2017年9月14日 (木)

人情時代劇

 9月11日から12日の深夜,イツモのように,なにげに時代劇専門チャンネルを見ていたら,山本周五郎作の人情時代劇が放送され,ラストで思わず,涙が出てきました。

 長年の仮面ウツ病。。さらに年齢のせいもあり少しのことでは驚かず,心も動かずで喜怒哀楽の感情が希薄になってきても年相応に少しは涙もろいようです。まあ,私の部屋はずっと一人暮らしなので涙を隠す必要なしですが。。。

 主演の乳母役の若い女優が個性的で,[「エ?池波志乃の若い時の作品?」と思いました。が,それにしてはほかの俳優が若いし,映像もカラーで新しそうでしたし色気はそれほど感じなかったので別人かな?

 顔は池波志乃かな?と思っても,体は線がほそいので,,後でネットでしらべてみると,趣里(しゅり)という女優でした。どうも水谷豊と伊藤蘭夫妻の長女ということでしたネ。演技は迫力ありました。。。

「趣里 画像」の画像検索結果

 うーん年甲斐もなくファンに」なりそう。山本周五郎作品はたしか「ぶらり信兵衛道場破り」とか,チャンバラでの殺し合いのある多くの勧善懲悪的時代劇とは違うようです。

 私が見たのは人情時代劇12作の第7話「初蕾」という話らしいです。

「水戸黄門」とか「暴れん坊将軍」とか,封建時代とはいえ,汚職ガラミなど,それなりの現代でも共感できる善悪の価値観に基づいて悪人を退治するという勧善懲悪的時代劇は,100%善人と100%悪人という,わかりやすい構図で,何も考えなくていいのでストレス解消にはります。

 将軍様,副将軍様の次にエライのは,お奉行様の「大岡越前」や「遠山の金さん,」,それに,池波正太郎の「鬼平犯科帳」,そして同心や与力ものから,「銭形平次」などの岡っ引きもの。。。現在なら全部警察ものですが。。

 日本人は(私も含めて),おカミの手先となって凶悪な犯人にをこらしめたり,逮捕する。。というドラマが,とても好きなようです。

 「必殺仕事人」のようなものは,おカミが手を出せないようなっ状況で,アメリカでは昔チャールズ・ブロンソンがやっていた,怒れる市民の復讐のための自警団のようなものでしょうか?それにしても殺し屋ですけど。。

 シバレンの「眠狂四郎」とかは,おカミのイヌじゃないし,,「子連れ狼」は,お尋ね者の方が主人公でした。

 NHK大河ドラマのような歴史ものは私は面倒くさくて見なくなりました。 

 藤沢周平のものは,「蝉しぐれ」とか「武士の一分」とか,ヤットーはありますが,,勧善懲悪というわけではなく,チャンバラもありますが,殺し合いなのに誰も怖がったり逃げたりしないヒーローものに比べて,真剣に対して死の恐怖心もあって腰が引けたりする,リアルな殺陣なども魅力的ですが。。

 スペースオペラのように舞台が宇宙というだけで,内容は現代社会の話と変わらない.昔読んだ「金星のターザン」シリーズとかバローズのSFのように,,山本周五郎の作品は時代背景が封建時代というだけで。。というほど単純じゃないような気もしました。

※ ちなみに。。。池波志乃の写真は↓

「池波志乃」の画像検索結果

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2017年9月13日 (水)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(5)

「ゲージ場の量子論」(対称性の自発的破れ)の続きです。
 

対称性の自発的破れを起こす例として前のGoldstone模型 

よりは自明でない例として「南部-Jonalashino模型」 

(NJ)模型を考察します。
 

「南部-Jonalashino模型」のLagrangian密度:. 

=Ψ~iγμμΨ+(/)[(Ψ~Ψ)2(Ψ~iγ5Ψ)2]  

で与えられます。
 

ここでは,以下の近似の意味を明確にするため,Fermion: 

ΨはN個のDirac:ψのSU()変換群の基本表現を示す 

列ベクトルであるとします。
 

すなわち,Ψ=[ψ1,..,ψ]とします。 

そして,Ψ~ΓΨ=Σj=1Ψ~Γψj と規約します。
 

元々の(NJ)模型は.N=1の単純な模型でした。
 

さて,このN-Fermion系は,位相変換U(1)

Ψ() exp(iθ)Ψ()の不変性以外に,カイラル

(1)変換:Ψ() exp(iγ5θ)Ψ()の下での

不変性を持ちます。
 

その対称性成立のために,には,-mΨ~Ψ(mは質量行列)

のようなFermion質量項はない,としています。
 

ここからはカイラルU(1)対称性が,この系の動力学により

自発的に破れて.Ψが質量を獲得する可能性を調べます。
 

4次のfermion相互作用項:(/)(Ψ~Ψ)2の形を考慮すれば, 

複合場:Ψ~Ψ()がゼロでない真空期待値; 

0|Ψ~Ψ|0>=-{/(2)}m ≠0 を実現すれば,Ψが 

-mΨ~Ψの質量項を得ると期待されます。.
 

(5-1):Ψ~Ψ=Ψ^~Ψ^{/(2)}mと置くことが 

できれば,0|Ψ^~Ψ^|0>=0 であり,(/)(Ψ~Ψ)2 

(/)(Ψ^~Ψ^)2 mΨ^~Ψ^{/(4)}2ですから

質量項:ー mΨ^~Ψ^ が出現します。 

(5-1終わり※)
 

このとき,Ψ → exp(iγ5θ)Ψに対するΨ~Ψ,Ψ~iγ5Ψ 

の変換則;Ψ~Ψ → Ψ~Ψcos(2θ)-Ψ~iγ5Ψsin(2θ), 

および,Ψ~iγ5Ψ → Ψ~Ψsin(2θ)+Ψ~iγ5Ψcos(2θ) 

,カイラルカレント:5μ=Ψ~γμγ5Ψによる 

カイラルチャージ:5=∫d350() により,
 

[i5,Ψ~iγ5Ψ()]=∫d3[50(),Ψ~iγ5Ψ()] 

2Ψ~Ψ() となります。
 

(5-2):何故なら,無限小カイラル変換:

(ε)exp(iγ5ε)1iγ5εの場合, Ψ →Ψ+δΨ

=U(ε)Ψ, δΨ=-iγ5εΨで, 

Ψ~Ψ→ Ψ~Ψ-2εΨ~iγ5Ψ,

Ψ~iγ5Ψ→: Ψ~iγ5Ψ+ 2εΨ~Ψであり,

[iεQ5,Ψ~iγ5Ψ()]2εΨ~Ψ() 

とmばるからです。  (5-2終わり※)
 

それ故,0|Ψ~Ψ|0>≠0,カイラルチャージQ5の対称性

自発的破れ.を意味し,擬スカラー複合場:Ψ~iγ5Ψの

チャネルに擬スカラーのN..ボソンが現われることを

意味します。

" 
このN..ボソンは元のLagrangian密度の中には"素 

Heisenberg場として用意されていないので,動力学的に

結合状態(bound state)として供給される必要が

あります。
 

この問題を扱うのに補助場の方法

(auxiliary field method)呼ばれる技法を用います。
 

Fermionの系のGreen関数の生成汎関数は,η,η~

Grassman数の外場として, 

[η,η~]=∫ΨΨ~[expi∫d4

{+η~Ψ+ηΨ~}]で与えられます。
 

これにGauss積分の1を表わす因子:

1=∫σ'π'[expi∫d4[{/(2λ)}{σ'()2+π'()2}] 

を挿入しても等式は不変です。
 

(5-3):ただし上の1の因子の等式が成立するかどうか?

不変測度;σ'π'の規格化に左右されますが,定数である 

ことには間違いないし不変測度は定数倍の任意性を持つという

意味で,こう規格化するのは可能です,(注5-3終わり※)
 

積分変数:σ'(),π'()を次のようにσ(),π()に変数 

置換します。すなわち,σ'=σ+(λ/)(Ψ~Ψ),および, 

π'=π+(λ/)(Ψ~iγ5Ψ) とします。 

この変換で積分測度は不変:σ'π'=σπ です。
 

系のLagrangian密度は, 

{/(2λ)}(σ'2+π'2) 

{/(2λ)}[{σ+(λ/)(Ψ~Ψ)}2

{π+(λ/)Ψ~iγ5Ψ)}2]

=Ψ~iγμμΨ+(/)(Ψ~Ψ)2(/)(Ψ~iγ5Ψ)2 

{/(2λ)}(σ2+π2){λ/(2)}(Ψ~Ψ)2

{λ/(2)}Ψ~iγ5Ψ)2-Ψ~(σ+iγ5π)Ψ 

と表わせます。
 

よって,[η,η~]=∫ΨΨ~σπ 

[expi∫d4{(Ψ,Ψ~,σ,π)+η~Ψ+ηΨ~}] 

が得られます。
 

ただし,(Ψ,Ψ~,σ,π) 

{/(2λ)}[{σ+(λ/)(Ψ~Ψ)}2

{π+(λ/)(Ψ~iγ5Ψ)}2] 

=Ψ~iγμμΨ

{/(2λ)}(σ2+π2)-Ψ~(σ+iγ5π)Ψ です。
 

ここで,Lの中の4次のFermion相互作用が全て相殺されて

消えるように,パラメータ:λを,λ=2G と選びました。
 

こうして,における4次のFermion相互作用は,湯川型相互

作用:Ψ~Ψσや.Ψ=iγ5Ψπに置き換えられました。
 

.ここで導入した場:σ(),π()を補助場,

書き換えるトリックを補助場による方法と呼びます。
 

その導出手順から,の系との系が物理的に等価であるのは

明らかですが,経路積分によらなくても,において補助場:

σ,πは運動項を持たないので.σ,πに対するEuler-Lagrange

の運動方程式,σ=-(λ/)Ψ~Ψ,π=-(λ/)Ψ~iγ5Ψ

となり,これらをに代入すると,元のに帰着するため,等価

なことが確かめられます。
 

そして,σ=-(λ/)Ψ~Ψ,π=-(λ/)Ψ~iγ5Ψ,から 

σとπは,それぞれ,複合場:Ψ~ΨとΨ~iγ5Ψを代用する場 

であると解釈されます。
 

系も元々はカイラルU(1)対称性を持っています。 

Ψ()の変換は元のΨ → exp(iγ5θ))Ψです。
 

補助場:(σ(),π())の変換は, 

(Ψ~Ψ(),Ψ~iγ5Ψ())と同じ2成分ベクトルとして, 

角度2θの(σ,π)平面の回転で与えられます。 

そこで,:{/(2λ)}(σ2+π2)は不変です。
 

しかし,-Ψ~σΨの項は,σ=-(λ/)Ψ~Ψ,がゼロ 

でない真空期待値を取る,という真空凝縮

(vacuum condensation)を起こせば,実質上.この項は

<0|σ|0>Ψ~ΨとなってΨが0|σ|0>≠0 の質量

を獲得し,結果,カイラルU(1)対称性を破ります。
 

ここでは,σとπの挙動にのみ関心があるので,生成汎関数

[η,η~]でη,=η~=0 としてFermionによる積分を先

に実行してしまえば;
 

(ΨΨ~積分はGauss積分なので, 

Gauss積分公式:ψψexp(ψAψ)Det 

(Aは4×4のガンマ行列)から, N成分のΨでは 

N重積分分で,ΨΨ~exp(Ψ~AΨ)(Det)

です。

  
故に,ΨΨ~exp[iΨ~{i(σ+iγ5π)}Ψ] 

Det{i(σ+iγ5π)} 

exp[lnDet{i(σ+iγ5π)}] です。※)
 

それ故,

Z=∫σπ∫ΨΨ~[expi∫d4{(Ψ,Ψ~,σ,π)}] 

とすると,Z=∫πσ[expiNS[σ,π] と書けます。
 

ただし, NS[σ,π]=N∫d4[{1/(2λ)}(σ2+π2) 

iln{Det{i(σ+iγ5π)}] です。 

(FermionのN個のN成分あったので,ln(Det)=Nln(Det) 

となり全体から,因子Nがくくり出せることに注意!!)
 

この時点でNは作用積分全体にかかっているので,(1/c)

と同様な定数因子です。
 

それ故,Z=∫πσ[expiNS[σ,π],の作用: 

[σ,π]=∫d4x∫d4[{1/(2λ)}(σ2+π2) 

ilnDet{-γμμi(σ+iγ5π)}])で記述される

σ,πのループグラフ展開は(1/)展開と同じに

なります。
 

Zの表記から有効作用を.Z=exp(iNΓ)として,

NΓ[σ,π]と書けば.Γ[σ,π]=S[σ,π]+O(1/)

です。

  
ここで,(1/)1ループ以上の量子効果です。 

すなわち,有効ポテンシャル:[φ~],運動量piが全てゼロ

のときのn点頂点関数の生成関数という意味を持つことが

わかりました。


 
(5-4):前記事の(注4-1)から転載します。 

[],[]の経路積分表式: 

[]exp(i[])­­=N∫φexp[i{[φ]Jφ}] 

をΓ[φ~]=W[]­­Jφ=に代入し,単位にPlanck定数:c 

を復活させると, 

Γ[φ~](ic)ln[φexp{(i/c){[φ](φφ~)}] 

となります。
 

経路積分φの積分変数を,φ → φ+φ~と変数置換して, 

-Ji()=δΓ/δφiを代入すれば, 

Γ[φ~](ic)ln[φexp{(i/c){∫d4 

([φφ~](δΓ/δφ)φ)}]  です。
 

[φφ~]をc-:φ~のまわりで量子場:φ()について 

展開すると,[φφ~][φ~](/∂φi)φi 

(1/2)φi|(iF)-1φ~}ijφjint[φ;φ~] 

と書けます。
 

ここで,|(iF)-1φ~}ij,|(iF)-1φ~}ij 

(2[φφ~]/∂φi∂φj)|φ=0(2[φ~]/∂φ~i∂φ~j) 

で与えられますが,これはこの頂点2点関数が場:φの期待値がφ~ 

であるような真空上でのFeynman伝播関数の逆数になっているため 

こう表記しました。
 

int[φ;φ~],φについては3次以上のφ~における相互作用項 

です
 

この[φφ~]の展開をΓ[φ~]の表式に代入すると, 

Γ[φ~]=∫d4[φ~]+Γ~[φ~]

Γ~[φ~](ic)lnφexp[(i/c){∫d4 

[(1/2)φi|(iF)-1φ~}ijφjint[φ;φ~](δΓ/δφ)φ}] 

を得ます。
 

これで,うまい具合に有効作用:Γ[φ~]から,古典的作用積分: 

[φ~]=∫d4[φ~]が分離されました。
 

Γ~[φ~]の項はhc1次以上のオーダーの量子効果で,

1粒子既約なループグラフの寄与を示しています。

(5-4終わり※)
 

 Γ~[φ~]のhcのオーダーでのループグラフ展開が,

ここでの(1/)による展開と同等と考えられます。
 

以下,もっぱら(1/)展開の最初の0次オーダーだけを考えます。
 

有効作用:Γ[σ,π]に対応する有効ポテンシャル:[σ,π] 

,Γ[σ,π]=S/∫dx0 に対して,

[σ,π]=-S/∫dで与えられる,という定義より,
 

[σ,π]{1/(2λ)}(σ2+π2) 

(1/i)∫d4(2π)-4 lnDet[ii(σ+iγ5π)] です。
 

このDet(determinant),Dirac場に対する4×4行列の 

行列式を意味します。
 

Det[exp(iγ5θ)exp{iθ(Trγ5)}1であり,π/σ 

tan(2θ)で回転角2θを定義して, 

lnDet[i(σ+iγ5π)]lnTr[i(σ+iγ5π)] 

ln(2-σ2-π2)を用います。
 

すると,[σ,π]{1/(2λ)}(σ2+π2) 

(2/i)∫d4(2π)-4 ln(2-σ2-π2iε) です。
 

最後の4次元積分はk → ∞ の紫外部で発散し,このまま 

では,うまく定義されていません。
 

そこで,運動量kをEuclid化して,紫外部を切断する切断理論 

(cut-off theory),この模型を定義することにします。
 

すなわち,Euclid化運動量をkμ(1,2,3,4=k0/i) 

として,(1/i)∫d4kf(-k2)=∫kE2≦Λ24(2) 

=π20Λ22(2)dk2 の定積分を定義します。
 

(1/i)∫d4(2π)-4 ln(2-σ2-π2iε) 

{1/(16π2)}0Λ2ln(-u-σ'2)du 

{1/(32π2)}{(Λ4ln(Λ2+σ'2)-σ'4ln(1+Λ2/σ'2) 

(Λ42σ'2Λ2)/2} (σ'2=σ2+π2) なので,
 

[σ,π]=V[0,0]{1/(2λ)}(σ2+π2) 

{1/(16π2)}[Λ4ln{1(σ2+π2)/Λ2} 

(σ2+π2)2ln{1+Λ2/σ2+π2)}{Λ42(σ2+π2)Λ2}} 

となります。
 

この有効ポテンシャル:[σ,π],カイラル対称性を反映

して明らかに(σ,π)平面での回転で対称です。
 

これを,π=0の断面で見れば,Λ2 → 大 とするとき, 

σ2 <<Λ2なら, 

[σ,π=0]-V[0,0]{1/λ-Λ2/(4π2)}(σ2 /2)であり,
 

σ2 >>Λ2なら,[σ,π=0]-V[0,0]=σ2 /(2λ)

です。


 

したがって,結合定数:λ=2Gが小さくて,1/λ≧Λ2/(4π2) 

となっている間は.停留点はσ=π=0しかなく,カイラル 

対称性は維持されますが,λが大きくなって

,1/λ<Λ2/(4π2)になると原点よりもVが低い

(ワイン瓶底内の)停留点が現われ,カイラル対称性は自発的

に破れます。
 

こうした自発的破れが起きる最小の結合定数を臨界結合定数 

(critical coupling constant)と呼びます。今の場合これを 

λcrtと書けば,λcrt4π2/Λ2 です。
 

λ>λcrt,対称性が自発的に破れる場合,真空をπ=0 の断面 

上の点に取るとすれば,σの期待値:0|σ()|0>=σ0, 

Vの停留点条件:{∂V[σ,π=0]/∂σ}σ=σ0=σ0/λ 

-σ0/(4π2){Λ2-σ02ln(1+σ02/Λ2)}0 から決まります。
 

これは対称性の破れていない"ノーマル解";σ00 以外に, 

λ>λcrt4π2/Λ2 では

,4π2/(λ"2)1-σ02/Λ2)ln(1+σ02/Λ2)で決まる 

σ00 スーパー解(super solution or 超伝導解)" 

を持ちます。
 

4π2/(λΛ2)1(σ02/Λ2)ln(1+σ02/Λ2)の右辺は

6.3に示すような(σ02/Λ2)の単調減少関数でλが

λcrt4π2/Λ2 に達すると4π2/(λcrtΛ2)1であり,

λ>λcrから解σ0存在するようになって,λ → 大に

つれて,解σ0は単調増加します。


 このσ0,[σ,0]{1/(2λ)}σ2 

(1/i)∫d4(2π)-4 lnDet[i(-σ)]をσで微分して

ゼロ置いても得られます。
 

lnDet[i(-σ)]=Trln[i(-σ)]ですから,Vをσで

微分して,σ0=λ∫d4(2π)-4r {i/(-σ0)}なる

方程式の解として.σ0が表現されます。
 

この右辺の量は,質量m=σ0の運動量表示の伝播関数:

,i/(-σ0iε)を持つFermionがまわるループグラフ

の寄与に相当していて, 

Fermionがm=σ0の質量を得たとしたとき,

(λ/)(Ψ~Ψ)2の相互作用項を通して誘起される質量項

,またm=σ0であるべきである。」という要求です。


  これは南部-Jonnalashinoの自己無撞着条件

(self-consistent condition)と呼ばれています。
 

上記計算から,λ>λcrtのときには,確かに動力学的に

カイラル対称性が破れることを見出しましたが,それに

対応する零質量のN..ボソンが果たして現われている

のでしょうか?
 

本記事の最初の方でNoetherカレントから求めた

カイラルチャージ:5の交換関係:

[i5,Ψ~iγ5Ψ()]=∫d3[50(),Ψ~iγ5Ψ()] 

2Ψ~Ψ()を示しましたが, 

これはN..粒子が,擬スカラー・チャネル,つまり,

π~ Ψ~iγ5Ψに現われるべきことを示しているので,

補助場π()の2点関数を計算してみます。
 

まず,(/)展開の第 0 次近似での有効作用;Γは

作用積分:で与えられます。すなわち, 

Γ=S=∫d4[{1/(2λ)(σ2+π2) 

ilnDet{-∂-i(σ+iγ5π)}} です。
 

このΓが,その生成汎関数となる頂点関数の展開における

頂点関数;Γ(2)()の運動量表示の展開係数を求める

,それはΓ~(2)()(2π)4δ4(p+q)であり,これがπの

伝播関数の逆数{iΔF()}-1に対応するわけです。
 

これは,具体的には,[δ2Γ/δπ()δπ()]π=0,σ=σ0 

なる運動量表示のπによる展開の2次の係数です。
 

lnDet=Trln なので 

Γ~(2)()=-1/λ-∫d4(2π)-4 

r[(iγ5){1/(-σ0)}(iγ5){1i/(-σ0)} 

と書けます。
 

途中計算は省略で,Fetynmanパラメータ積分公式を使って, 

Γ~(2)()=-1/λ-∫01dx∫Λ4(2π)-4 

[4{2-σ02―x(1-x)2}/{2-σ02―x(1-x)2{2] 

を得ますが,先の自己無撞着条件から,

これは結局ゼロとなりますから,

p~0 でΓ~(2)()=ΔF()-1 0+cp2+O(4)

となり,場πの伝播関数は零質量の極を持つことが証明

されました。
 

そしてさらに,

Γ~(2)()=-1/λ-∫01dx∫Λ4(2π)-4 

[4{2-σ02―x(1-x)2}/{2-σ02―x(1-x)2{2] 

,kをEuclid化した後,初等的に計算可能で,これも

途中計算を省略で,最終結果は.

Γ~(2)()=-1/λ-{1/(4π2)}

[Λ2(1/2)(2σ02-p^2)ln(1+Λ2/σ02)(^2/2)

|(2Λ24σ02-p2)/(4Λ24σ02-p2)}(2,Λ2+σ02) 

(^2/2)(2,σ02) となります。
 

ただし,このΓ~(2)()はπ(x)2点頂点関数だけでなく

σ()2点頂点関数をも表わす式です。そして,^2,

π()の場合:^2=p2,σ()の場合:^2=p24σ02

を意味します。
 

また,(2,2)は,(-p2)0 なら,

(2,2){(42-p2)/(-p2)}1/2 

×ln[{(42-p2)1/2(-p2)1/2}

/{(42-p2)1/2(-p2)1/2}] 

{(42-p2)/(-p2)}1/2 2Tan-1{(-p2)/{42-p2)}1/2
 

0≦p242なら,  

(2,2){(42-p2)/2}1/2 2Tan-1{2/{42-p2)}1/2 

です。
 

:π()のくりこみ定数:π,

Γ~(2)()=Zπ-12+O(4)で定義されるので,

(0,2)2を用いて, 

π-1{1/(8π2)} [ln(1+Λ2/σ02)(Λ2+σ02)/Λ2] 

2∫d4(2π)-4(2+σ02)-2 を得ます。
 

:πは系のLagrangian密度に-Ψ~iγ5Ψπの相互作用項を 

持つので.くりこまれたNGボソン場:πr=Zπ-1/2πの 

Fermion:Ψへの結合は,intπΨΨ=gπΨΨΨ~iγ5Ψπr 

πΨΨ=Zπ-1/2 で与えられます。
 

この,結合定数:πΨΨ=Zπ-1/2が元の基本結合定数:λ=2

には直接依存せず,0|σ()|0>=σ0だけから決まるのは

興味深いことです。
 

一方, Ψ~iγ5Ψ()

=-(/λ)π()→ -(/λ)π1/2π() 

であり,0|2Ψ~Ψ()|0=-2(/λ)0|σ()|0

=-2(/λ)σ0 です。
 

そこで,[i5,Ψ~iγ5Ψ()]=∫d3[50(),Ψ~iγ5Ψ()] 

2Ψ~Ψ() ,以前の記事での, 

μ() o→±∞ → fπμφas().., 

[φas(),φas()]i(x-y) 

Φ() o→±∞ → Z1/2φas()..,π1/2φ

=<0|δΦ|0でのN..漸近場φasと.πrの比較に

よって.π2(/λ)σ0/{(/λ)π1/2}2σ0π^1/2

となって崩壊定数πも求まります。
 

最後に,スカラー補助場:σ()のΓ~(2)()の計算結果において

注目すべきは,^2=p24σ020,Γ~(2)()0 となること

です。すなわち,スカラーチャネルにも,σ24σ02の質量を

持つ結合状態が生じています。

  しかしm=σ0Fermion:Ψの質量ですから,
24σ02,

丁度Ψ-Ψの2-Fermion状態の閾値であり,真の結合状態でなく

共鳴状態と考えられます。
 

「南部-Jonalashino模型」は.噛めば噛むほど味が出るような,

豊富で複雑な内容を含んでいて,少し計算を省略したにも

関わらず,長くなってしまいました。
 

今日はここで終わります。
 

この「対称性の自発的破れ」の項目は,このテキストの6章には

まだ続きがあるのですが,これもアップするかどうか?はPeding

とします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論()(培風館)

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2017年9月11日 (月)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(4)

「ゲージ場の量子論」(対称性の自発的破れ)の続きです。
 

今回,最初は「南部-Goldstoneの定理」の別証明、および, 

対称性の自発的破れの興味深いもう1つの例である

「南部-Jonalashino模型」の紹介と説明を行う予定でした

,「南部-Jonalashino模型」を詳しく説明しようとすると

とても長くなることがわかったので2つに分けて今回は,

「南部-Goldstoneの定理」の別証明の話だけにします。
 

(前置き):さて,前回,Goldstone模型で書き直したLagrangian 

密度:(1/2){(μψ)2-m2ψ2}(1/2)(μχ)2 

(m√λ/2)ψ(ψ2+χ2)(λ/8)(ψ2+χ2)2-V0[/2] 

において,χの質量項がゼロで.ψの質量項が正しい符号の 

(1/2)2ψ2で出現した理由を考え直してみます。
 

これら場の2次の項は,の中のポテンシャル項:-V0[φ] 

だけに由来しており,その停留点:φ=φ~=v/2の周り

での 曲率=2×2行列:{2/∂φi∂φj}φ~=v/2 の固有値

が2乗質量のゼロとm2に対応している,ことに気付きます。
 

ポテンシャル:0[φ],前回の6.1で回転したワイン瓶

の底の形であることを示しましたが,この瓶底の1点:

φ~=v/2の周りで見ると動径方向(Reφ方向)の曲率が

最大で,それがψの2乗質量:2を与え,一方,円周方向

(Imφ方向),そもそもU(1)対称性によりポテンシャル

の値が変化しない方向ですから,曲率はゼロで,これが

..ボソン:χの零質量を与えるとわかります。
 

この見方は,..ボソンが,何故,零質量になるのかに

ついて,ポテンシャル項:0の持つ対称性から.直接視覚的

に明快な説明を与えるもので「南部-Goldstoneの定理」の

別証明の発想の基礎となります。
 

(定理の別証明):局所的Heisenberg場の一組:{Φ()}

理論の対称性の群Gのある既約表現の基底になっていると

します。(※線型表現の不変部分空間の基底であれば既約

でなくてもいいと主鱒が。。)
 

すなわち,次式が満たされているとします。 

[i,Φi()]=∫d3i[0(y),Φi()] 

=-iijΦj() (i=1,2..,)
 

 ij,この既約表現でのGの生成子T 

表現行列(要素)です。
 

Φi()は,一般に"素"Heisenberg場の多項式で与えられる 

複合場であり,[i,Φi()]=∫d3i[0(y),Φi()] 

=-iijΦj(),[i,Φi()]=δΦiが線型変換 

であると主張するものではありません。 

(※表現が線型表現であるだけです。)
 

この複合場:Φi()に対する外場:i()を導入し, 

exp(i[])=<0|exp[∫d4J i()Φi()]|0 

によってW[]を定義し,これのLegendre変換: 

Γ[Φ]=W[]J Φから有効作用:Γ[Φ],そして,Φ

が定数の場合として有効ポテンシャル:[Φ]が得られた

とします。
 

Γ[Φ],[Φ]は対称性群GのΦを基底とする線型表現

の無限小変換である線形変換:Φi → ΦiiεijΦj

の下で明らかに不変ですから,(∂V/∂Φ)jΦ0

が成立します。
 

これは,Φについての恒等式ですからさらに両辺をΦ

微分して,同じく,恒等式:

(2/∂Φ∂Φ)jΦ(∂V/∂Φ)j0  

を得ます。
 

ここで,ある真空|0>における複合場演算子:Φi()

期待値,i=<0|Φi()|0>とすると, 

[i,Φi()]=∫d3i[0(y),Φi()]

=-iijΦj()から,

0|[i,Φ()]{0>=<0|δΦ|0 

=-<0|iijΦ(){0>=-iij

と書けます。
 

それ故, 次のような対応があることになります。 

ij0 ⇔ T(破れていない生成子) 

ij0 ⇔ T() (破れた生成子)
 

一方,

(2/∂Φ∂Φ)jΦ(∂V/∂Φ)j0  

,∂V/∂Φ0の停留条件を満たすΦ=viで評価

すると,[2/∂Φ∂Φ]φ=vj0 です。
 

ところが一般に,0|Φi()|0>=vi0 となる真空上

Green関数,:Φi()を,vi+Φ^i()のように真空

期待値分viだけシフトして,0|Φ^i()|0>=0 となる

ような新しい無矛盾な場をΦ^i()として再定義する

必要があります。

  そして,有効作用;Γ[Φ]=Γ[Φ^],Φの周り

Taylor展開した級数: 

Γ[Φ]Γ[Φ^]Σn=0(1/!)∫d41..4n 

Φ^i1(1)..Φ^in(n)Γ()(1,..n) 

の係数:Γ()(1,..n),この真空上の新しい無矛盾な

:Φ^()1粒子既約な頂点関数を与えます。
 

このことから有効ポテンシャル:[Φ],Φの周り

Φ^によるTaylor展開の係数:(),運動量表示の

有効作用:-Γ~()(1,..n)のpj0 での値:

-Γ~()(0,..,0)に一致することがわかります。
 

特にn=2では,

[2/∂Φ∂Φ]φ=v-Γ~i,j(2)(p=0) 

-Δ -1ij{=0 です。 

ここで,Δ -12Green関数=Feynman伝播関数:

Δ() ij逆行列要素です。 

(※ iΔ()ij

=∫d4{exp(ipx)0|TΦi()Φj(0)|0})です。)


それ故,
[2/∂Φ∂Φ]φ=vj0 は,

(j)零ベクトルを意味しない限り,(j)

が行列:{(iΔ) -1}ij{=0固有値ゼロに属する固有

ベクトルであることを示しています。
 

1スカラー1粒子だけの系では,その質量がmなら,伝播関数

の運動量表示,Δ()1/(2-m2iε)ですから,

p=0 のとき,-Δ -1=m2です。
 

故に:行列(-Δ -1ij|=0)は質量を意味する行列であり,

対角化したときの対角成分=固有値は質量を意味します。
 

-Δ -1ij|=0の零固有値は固有ベクトル方向の場が零質量

を持つことを意味するため,破れた生成子:に対応する数

の独立な固有ベクトルv≠0 が零質量のN..粒子

として出現することを示しています。

(証明終わり)
 

(4-1):前回記事での有効作用・有効ポテンシャルの説明で 

必要なのに,落としてしまったと思われる部分を追加します。
 

有効作用:Γ[φ]1粒子既約な頂点関数:Γ()の生成汎関数

あったことから従う有効ポテンシャル:[φ]のもう1つの

側面に注意します。

  
頂点関数:Γ()の運動量表示Γ~()を運動量保存のδ関数

を外して定義します。すなわち, 

∫d41..4n exp{i11..inn}

Γ()i1/..in(1,..,n)

=Γ~() i1..in( (1,..,n)(2π)4δ4(1..+pn)

です。
 

有効作用の展開:Γ[φ]=Σn=0(1/!)∫d41..4n 

φi1(1)..φin(n)Γ()i1..in(1,..n) において, 

φi()をφ~i(定数)とし,[Φ]の定義式,および, 

(2π)4δ4(p=0)=∫d4 exp(ipx)|p=0を考慮すると,
 

[φ~]=-Σn=0(1/!)φ~i1..φ~inΓ~()i1..in(0...,0) 

を得ます。
 

すなわち,有効ポテンシャル:[φ~],運動量piが全て

ゼロのときのn点頂点関数の生成関数という意味を持つ

ことがわかりました。

  
さらに,[]の経路積分表式: 

[]exp(i[])­­=N∫φexp[i{[φ]Jφ}] 

を,Γ[φ~]=W[]­­Jφ=に代入し,自然単位に

Planck定数:c復活させると[φ~]

(ic)ln[φexp{(i/c){[φ](φφ~)}] 

となります。
 

経路積分φの積分変数を,φ → φ+φ~と変数置換して, 

-Ji()=δΓ/δφiを代入すれば, 

Γ[φ~](ic)ln[φexp{(i/c){∫d4 

([φφ~](δΓ/δφ)φ)}]  です。
 

[φφ~]をc-: φ~の周りで量子場:φ()につて 

展開すると,[φφ~][φ~](/∂φi)φi 

(1/2)φi|(iF)-1φ~}ijφjint[φ;φ~]

と書けます。
 

ここで,|(iF)-1φ~}ij,|(iF)-1φ~}ij 

(2[φφ~]/∂φi∂φj)|φ=0

(2[φ~]/∂φ~i∂φ~j) で与えられますが,これは

:φの期待値がφ~であるような真空の上でのFeynman

伝播関数の逆数となってるのでこう表記しました。
 

int[φ;φ~],φについては3次以上のφ~における

相互作用項です

  
この[φφ~]の展開をΓ[φ~]の表式に代入すると, 

Γ[φ~]=∫d4[φ~]+Γ~[φ~] 

Γ~[φ~](ic)lnφexp[(i/c){∫d4 

[(1/2)φi|(iF)-1φ~}ijφjint[φ;φ~]

(δΓ/δφ)φ}] を得ます。 

  
これで,うまい具合に有効作用:Γ[φ~]から,古典的作用積分: 

[φ~]=∫d4[φ~]が分離されました。
 

(4-1終わり※)
 

今回は短かいながらここまでにして,次回は本当に 

「南部-Jonalashino模型」の説明に進みます。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論()(培風館)

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2017年9月 8日 (金)

摂動論のアノマリー(21)(第Ⅱ部:4)

  摂動論のアノマリーの続きです。
 

コーヒー・ブレイクなどもあり,少し間が空いて,私自身も

今までの 経過を少し忘れかけているので,前回の

「摂動論のアノマリー(20)」の最後の部分を再掲載する

ことから.始めます。
 

前回最後の方では,
 

π0  2γ の崩壊行列要素は, 

fi(x+μ2)<γ(1,ε1)γ(2,ε2);in|π0()|0 

i∫d4(2π)-4exp{i(1+k2)}

(2π)-3/2(20)-1/2exp(iqx) 

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|(□+μ2)qπ0|0

で与えられます。
 

そして.<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|(□+μ2)π0|0 

(41020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρπ(12) 

であったので,(154):π(0)

(-α/π)(2)(2μ2/π),低エネルギーでは

π0  2γの振幅が,直接:(150):

μ53μ(π/2)π0+S{α0/(4π)}ξστρεξστρ 

のアノマリー項に比例することを示しています。
 

したがって,もしもアノマリー項をゼロとしてomitしたら, 

(154)の代わりに,π(0)0 (155)が得られると予測されます。
 

しかし,これは,実験事実に反して,π0  2γの崩壊が禁止される 

ことを意味します。
 

ここで.手短かに,(154)が示唆することのいくつかを論じます。
 

()(154)によって予測されるπ0の崩壊実験の崩壊率は, 

パラメータSに依存します。
 

そして,このSは,Fermi粒子の電荷Qと軸性結合定数gに 

よって決まります。(※ S=Σjj2 です。)
 

SU(3)のクォークモデルでは,それは中間子の交換によって

相互作用するFermi粒子:(ψ1,ψ2,ψ3)(,,λ)なる基本

3粒子の組から成り,その結合定数は,(1,2,3)

(1/2,1/2,0) です。
 

電磁カレントのU-スピン不変性から,基本粒子:(ψ1,ψ2,ψ3)

電荷は,(,Q-1,Q-1)というパターンを持ちます。
 

この(,Q-1,Q-1)において,主流モデルの分数電荷の

クォークでは,Q=2/3より,

(,Q-1,Q-1)(2/3,1/3.1/3) なので 

S=Σjj21/6です。
 

一方, Q=1やQ=0の整数荷電を仮定すると,S=±1/2です。
 

ここで,π0の崩壊率(1/崩壊寿命)について次の公式が

あります。すなわち,τ-1(μ3/64π)|π[μ2/2]|2..(157)

です。
 

これにおいて,π[μ2/2]をFπ[0]で近似するとπ0崩壊の

崩壊率の近似計算値として,次の値が得られます。 

S=1/6なら τ-10.8 e..(158) 

S=±1/2なら  τ-17.4 e..(158) です。
 

一方,Rosenfeldによって引用されたπ0崩壊の崩壊率の

実験値,

τexp -1(1.12±0.22)×1016 sec-1(7.37±1.5) e.(159) 

です。

(※ 現在の最新実験値では,τexp -1(7.48±0.32) e)
 

また,もしも,最近のPrimakoff効果の実験が,上記のRosenfeld 

平均を含む初期の実験よりも信頼できるなら,τexp -111eV 

になるという結果もあります。
 

とにかく,この結果からは,S=1/6の分数電荷クォークは強く

排斥され,他方,Q=1やQ=0の整数電荷クォークは実験と

満足のいく一致を見るという結果を得ました。
 

():現在の実情では,クォークにはフレーバー自由度とは

独立にカラー自由度3があってSU(3)の対称性を持つこと

がわかっており,これにより,S=(16)×3=1/2となるため,

整数電荷の方が過剰で分数電荷の方が有力です。(注終わり※)
 

予測計算値(158)と実験値(159)の明白で劇的な一致は,幾分

偶発的なことです。この一致を偶発的と見るのは,逆に,実験

での崩壊率の不確かさと,PCACの論旨に含まれると予想

される1020%の外挿誤差の存在のためです。
 

例えば,もしも,(154):

π(0)(-α/π)(2)(2μ2/π) 

のfπに実験値を当てる代わりに,

Goldberger-Treimanの関係: 

2μ2/π ~ gV/(N)..(160)

(N:核子Nの質量,:πN結合定数 ~ 13.6,

:核子軸性ベクトルカレントの結合定数 ~ 1.22)

を代入するならS=±1/2の理論的予測は20%増加して

τ-1  9.1 eVとなるからです。
 

しかし,いずれにしろ,実験結果との比較は,||1/2を示唆 

しています。

というところで終わっています。(再掲載終了※)
 

今回はその続きです。
 

()π0崩壊の実験値と比較した結果によれば,||1/2ですが 

Sの符号は決まっていません。
 

しかしながら,Sの符号を定めるいくつかの異なる方法が

あります。その全てによる結果は一致しています。
 

1の方法は,π→ e+ν崩壊を調べることです。 

この崩壊のベクトル部分はπ0崩壊のFπのアイソスピン

回転と関連付けられ,軸性ベクトル部分は硬いπ中間子

テクニックを用いて評価できます。このプロセスに対する

実験的に測定可能な軸性ベクトルに対するべクトルの比が,

Sに,これが正の値であるという評価を与えました。
 

2の方法は前方光創成を用いることで,に比例するPrimakoff

振幅と前方の強い相互作用振幅の干渉を観測できます。
 

この後者のSの符号は,(,)共鳴:(Δ粒子)の領域のπの

光創成振幅の既知の符号から,有限エネルギー総和則によって

決定できます。
 

そして,その解析結果は再びSが正であることを示唆します。
 

第3の方法は,陽子のCompton散乱の分散関係に,極を支配する 

という論旨を適用することによって導出されるπ0  2γ振幅 

の近似表現:π=-4πα(κp/)(1/N)..(161) 

(154):π(0)(-α/π)(2)(2μ2/π)と比較する

ことから成る方法です。

(※ κpは陽子の異常磁気モーメントです。)
 

(161)はπ0  2γの近似値として崩壊率:

τ-1  2.0.1 eVを与え,近似方法としては,かなり

の精度です。

  
いずれにしろ,またもSが正という評価です。

第4の提唱される方法は陽子のCompton散乱のデータ

を用いて,π交換ピ-スの干渉を測定することを試る方法であり,

この干渉がπに比例して,核子と核子の同種核(アイソトープ)

の交換ピースを伴なっています。
 

この提案の問題は,π中間子の交換ピースがBorn近似の形式: 

tFπ/(2-μ2),ポテンシャル形式:μ2π/(2-μ2)

どちらをとるか?がわからないことです。
 

物理的領域ではt<0 より,この不確かさは符号の曖昧さ

へと誘導し,この方法を,あやふやなものとします。
 

とにかく,前の3つの方法からはSが正であることを

学びました。このことは三元クォークについて,Q=1

電荷:(,Q-1,Q-1)(1,0,0)であることに賛同的で

あることを意味します。
 

(※しかし,カラー三元クオークを考えるなら,Q=2/3

(2/3.1/3.1/3)の方が有力です。)
 

() (154):π(0)(-α/π)(2)(2μ2/π) ,

興味深いモデルのクラスにおける摂動論のあらゆるオーダー

で正しいことを示しましたが,

(150):μ53μ(π/2)π0

+S{α0/(4π)}στρεξστρ.,上記の(154)

が非摂動的効果によって修正される可能性を扱って

はいません。

  
例えば,係数Sは基本場自身を含む三角グラフ同様,

基本場の束縛状態を含む三角グラフによる寄与を受けるべき

ではないのか?それとも,これはダブルカウントになるのか?

という問題です。

  
この疑問に対する答は不明です。我々の解析における可能

な非摂動的修正の無視は,純粋な仮説です。
 

() 今度は,三角アノマリーがomitされるとき,PCACに

よって示唆されるように,如何にしてπ0  2γ 崩壊が禁止

ではないのか?がわかるのか?という,より一般的な疑問に

対する定量的予測により,今の進路から退却してみます。
 

しかし,実験上はπ0  2γ 崩壊が禁止されないという

ことを強く示す1つの興味深い実験的テストが存在します。
 

このことを見るために,終光子の1つがoff-shell(質量殻の外) 

にある,例えば,1,2のうちk120 のケースに禁止の論旨

戻ってみます。
 

「摂動論のアノマリ^(13)」で示したように,軸性ベクトル

5μ(真空 → 2光子)の行列要素:μ, 

μ(41020)-1/2<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|5μ|0 

で定義すると,終状態の2光子が共に,on-Shell(質量殻上) 

なら,

  
(106):(1+k2)μμ
 

(3-A6)(12)1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ 

が成立します。

 
しかし,off-shell(質量殻外:120,またはk220)

場合,上式の右辺に次の項(107): 

(224-k125)1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ 

が付け加わります。
 

120のとき<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|μj5μ|0>は,

1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ2+βk12)に比例

します。βは1のオーダー「です。
 

(21-1):π02γへの崩壊では,μ2(1+k2)2ですが, 

(106),(107)から,120,220 なら,

(1+k2)μμ 

(3-A6)(12)1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ 

-k125)1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ

=k1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ{(3-A6)(12)-A512} 

(3-A6)1ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ 

×[(12){5/(6-A3)}12] です。
 

ところが, 

<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|μj5μ|0> ∝ (1+k2)μμ 

であり, (12){5/(6-A3)}12 

(1/2){122(12)+k22}[{5/(6-A3)}1/2]12 

(1/2)(1+k2)2+βk12](1/2)(μ2+βk12) 

と書けます。 ここで,β={5/(6-A3)}1/2

しました。
 

いじょうから,<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|μj5μ|0

(μ2+βk12) です。
 

(21-1終わり※)
 

したがって,アノマリーなしのとき,崩壊振幅の光子on-shell

部分は因子μ2によって抑止されますが,光子off-shell部分は

抑止されないことがわかります。
 

※(21-2):崩壊のS行列要素は  

fi∝<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|(□+μ2)π0|0 

(41020)-1/21ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ

π[(1+k2)2/2] 

(π/2)<γ(1,ε1)γ(2,ε2)|(□+μ2)μj5μ|0 

(41020)-1/21ξ2τε1*σε2*ρεξτσρ(π/2) 

{(1+k2)2+μ2}(1/2)(3-A6)(μ2+βk12)です。
 

もしも,120 on-shellにあれば,, 

π[μ2/2]

{μ2/(2π)}lim(1+k2)2→μ2 {μ2(1+k2)2} 

×{3(12)-A6(12)}  です。 

ただし,{3(12)-A6(12)}(1+k2)2=μ2

に極を持ちます。

  
π[0]0でFπ[μ2/2]=O[μ2]ですから,120  

[βk12]>>O[μ2]なら,この崩壊は禁止されないと

いえます。 

(21-2終わり※)
 

光子off-shell部分の振幅は,π0 → eγ で測定できる

ので,崩壊禁止という論旨は,次のことを予測します。
 

すなわち,このk120 のプロセスのk12依存性は 

{1(β/μ2)12}の形になるだろうということです。

これは,このπの崩壊が禁止されるなら,ρ中間子崩壊なら 

|1(β2/ρ2)12}となり,πの場合はこれよりはるかに

大きい傾きを持つだろうと予測されるわけです。
 

この傾きの最近の測定結果は,1+ak12

(a~(0.01±0.11/μ2)なる行列要素で,β~aμ2  ~ O(1)

に反し,明らかにπ0 2γ禁止に反する強い証拠を示す結果

となっています。
 

したがって.これまで非常に詳細に論じてきた三角アノマリー

ようなメカニズムが,(155):π(0)0によりπ0の崩壊を

禁止するという予測を回避するために,明確に必要であると

いうことが確認されたと考えられます。
 

短かいですが,これで§5.2が終わりなので,今日はここで

終わります。

次回は.§5.3 VVAアノマリー以外のアノマリーの可能性

を探す,Other Ward-Identity Anomalirs(他のWard恒等式の

アノマリー)の項目に入ります。
 

 (参考文献):Lectures on Elementary Particles and Quantum  

Field Theory(1970 Brandeis University SummerInstitute  

in Theoretical Physics) Volume

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2017年9月 7日 (木)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(3)

「ゲージ場の量子論」(対称性の自発的破れ)の続きです。
 

対称性の自発的破れを起こす模型:2例を考察します。
 

1つはGoldstone模型,もう1つは南部-Jonalashino模型です。
 

まず,対称性の自発的破れが起きる最も簡単な例として, 

次のLagrangian密度:を持つ系から成るGoldstone模型を

考えます。
 

=∂μφμφ+μ2φφ-(λ/2)(φφ)2 です。 

この系は複素スカラー場φのφ4-相互作用系で,通常の場

とは質量項:μ2φφの符号が逆であるのが,本質的違い

です。
 

それ故,通常の<0|φ()|0>=0 の真空:|0>の上では

φの場の励起モードは,負の2乗質量-μ2(虚数質量:±iμ)

を持つ謂わゆるタキオン(tachyon)となります。
 

タキオンモードの存在は,||<μに対して,その時間発展

exp[±{i(2-μ2)1/2}]exp{±(μ22)1/2}

与えられるので,||が小さい長波長側のモードは時間が

経つと指数関数的に増大し,もはや微小な励起に留まらなく

なります。
 

これは,元の基底モード=真空も時間発展で不安定である

ことを意味します。
 

この系が持つ対称性は,位相変換;

φ'()exp(iθ)φ(),φ'()exp(iθ)φ()

の下でのG=U(1)~ O(2)不変性です。
 

対応するNoetherカレント,および,チャージは 

μi{φμφ-(μφ)φ}.

π=∂/(0φ)=∂0φ,

Q=i{φπ-πφ}です。
 

そして,i[,φ]=-iφ,i[,φ]iφ,ですが, 

これらは,同時刻正準交換関係: 

[φ(,),π(,)]iδ3(),および, 

[φ(,),π(,)]=-iδ3()から

従います。
 

一般に系の安定な真空の候補は有効ポテンシャル:

(φ~)の∂V/∂φ~0 で決まる停留点で

与えられます。

  
ただし,φ~(),Heisenberg(演算子):φ()期待値

であり,それ故演算子ではなくてc-数です。
 

(3-1):有効ポテンシャルの定義,意味については,

本ブログ20149/21から20154/21までにアップした

過去記事:「ゲージ場の量子論から(その1)(経路積分と

摂動論)(1)(12)において摂動論を記述した後,

有効作用・有効ポテンシャルの項に入る予定でしたが,

直前でこのシリーズを中断していました。
,

そこでこの記事シリーズから,適宜,必要事項を引用し,

これに追加して説明します。
 

便宜上,(12)Grassmann 代数の知見と面倒な考察を

要するFermion場の話は考慮せず,(1) (11)Boson

のみから成る系で考えます。
 

まず,時間tを含むHeisenberg表示の初期()状態,

終状態を,それぞれ,|φ,,|φ,|>として,

その遷移振幅を,位相空間の積分:∫∫DπDφによる経路

積分で表わすと,
 

<φ,|φ,

=∫∫φ(,tI)=φI()φ(,tF)=φF()DπDφ 

×exp(i∫tItF

[π()φ()(π(),φ())]) となります。
 

この式の右辺から,先に∫Dπだけを実行して,配位空間

の積分:Dφのみによる積分表式にしたものは,

Nを比例定数として, 

<φ,|φ, 

=N∫φ(,tI)φ()φ(,tF)φ()Dφ 

×exp[i∫tItF(φ,∂φ)] です。
 

次に,特にGreen関数の経路積分を考えます。
 

必ずしもφの固有状態ではない一般の状態を想定し,

初期()状態を|Ψ,,終状態を,|:Ψ,F>として,

一般化されたN点Green関数を,

()(,..,; Ψ,;Ψ,F) 

≡<Ψ,F|[φ()..φ()]|Ψ, 

/<Ψ,F|Ψ, 

=<Ψ,|exp(iF)[φ()..

φ()exp(i)]|Ψ 

/<Ψ|exp{i(F-t)}|Ψ> によって,

定義します。
 

これを変形して,最終的にGreen関数の経路積分式として 

()(,..,; Ψ,;Ψ,F) 

=NFIDφΨ[φ()] Ψ[φ()]

φ()..φ()exp[i∫tItF(φ,∂φ)]

を得ます。
 

ここで,一般化されたGreen関数の生成汎関数:FI[]

なるものを次のように定義して導入します。
 

すなわち,FI[] 

=<Ψ,F||exp{i∫dxJ()φ()}| Ψ, 

/<Ψ,F|Ψ,> です。
 

FI[]をJでN階微分してJ=0 と置いたものが一般化

されたN点Green関数になります。 

つまり,

[δFI[]/δJ()..δJ()]jJ(x1)..(xN)0 

=G()(,..,; Ψ,;Ψ,F) です。
 

実は,これが,FI[]

()(,..,; Ψ,;Ψ,F)の生成汎関数

である,という意味です。
 

そして,一般化されたGreen関数は,特に初期状態:|Ψ, 

終状態:|Ψ>が共に系の真空状態 |0>であるとしたとき, 

通常の意味のN点Green関数; 

()(,..,)=<0|(φ()..φ())0 

に一致します。
 

さて,話は重複するかもしれませんが, 

相互作用:int(φ)が存在して,Lagrangian密度, 

(φ,φ)(1/2)μφμφ(1/2)μ2φ2()int(φ) 

で与えられる実スカラー粒子の場:φ()を想定します。
 

この相互作用しているスカラー粒子のN点Green関数G(), 

()(1,..,N)=<0|(φ(1)φ(2)..φ()|0 

で与えられますが,これの生成汎関数を特にZ[]とします。
 

[],配位空間の経路積分によって 

[]=N∫Dφ exp[i∫d{(1/2)φ(□+μ2)φ

int(φ)+Jφ}] 

=N∫Dφ exp[i{(1/2)φ*(□+μ2)φ+J*φ}]

と書けます。
 

右辺の最後の式では,煩わしい∫dxという表現を省略する

ため,時空座標xの任意関数φI),ψ()に対して,内積と

呼ばれる演算:φ*ψを,φ*ψ=∫dxφ()ψ()=ψ*φ

によって定義,導入しました。
 

[],結局,

[]=<exp[i∫d{int(φ)+J*φ}]0 

/exp[i∫d{int(φ)}0 なる式に表わせることが 

わかります。
 

ただし,任意のφの汎関数F(φ)について, 

(φ)0

(exp{(1/2)(δ/δφ)*iΔ*(δ/δφ)}*(φ))φ=0 

と定義しました。
 

(φ)0の意味はF(φ)に左から微分演算子: 

exp{(1/2)(δ/δφ)*iΔ*(δ/δφ)} 

=Σk=0(1/k!)(1/2)k(δ/δφ)*iΔ*(δ/δφ)}

を作用させ,最後にφをゼロと置く操作です。
 

これは,exp[i∫d{int(φ)+J*φ}]0では, 

級数展開Σk=0(1/k!) )1/2)(δ/δφ)*iΔ*(δ/δφ)}

のkの1次ごとにexp[i∫d{int(φ)}]から

φ()φ()のようなφの対を1つ取り除き,代わりに

自由場Feynman伝播関数:

iΔ(x-y)=<0|(φin()φin()|0

で置き換えるという操作を示しています。
 

そして,係数(1/2)はxとyの交換の自由度2で割ることを

意味します。

また,自由場のFeynman伝播関数は,Fourier積分の形で, 

Δ(x-y)

=∫d4(2π)-4[exp{i(x―y)}/(2-m2iε)] 

なるものです。
 

生成関数における指数関数の級数展開は, 

[]=<exp[i∫{int(φ)+J*φ}]0 

/exp[i∫{int(φ)}0 

=Σ=0(1/m!)∫d41..  

iint(1).. iint()exp(i*φ)0/(分母) 

となります。
 

右辺の級数展開は相互作用intに比べて,微小な摂動である

考えたときの摂動展開級数そのものです。
 

(分母)=<exp[i∫{int(φ)}0の効果については,遷移

行列要素の摂動計算に考慮すべきでないと考えられる真空泡の

グラフを(分子)から相殺して除去する操作に関わるものなので,

本質的な寄与をする(分子)の各項について具体的計算方法を

考えます。
 

具体的には,< >0.まず.φの2個の積の場合には,

明らかに,φ(1)φ(2)0iΔ(1-x2)

[φin(1in(2)] です。

便宜上,iΔ(1-x2),Symbolic[φin(1in(2)] 

なる記号で表現しました。


  このように,φ(1),φ(2)の組をFeynman
伝播関数

iΔ(1-x2)で置き換える操作を縮約(contraction) 

と呼びます。
 

以下.具体的に,経路積分による定式化を整理すれば,Feynman

グラフによる通常の伝統的摂動論の計算法に一致することが

示せることを記述しています。

また,Fermion場への一般化もできますが,今回これは省略 

します。
 

ここまでは既に記述した過去シリーズ記事の(1)(11)の内容です。
 

ここから今回本題の「有効作用と有効ポテンシャル,」の話 

を追加します。
 

まず,Green関数の生成汎関数は, 

[]=<0|exp(iJ*φ)]|0 

=<exp[i∫{int(φ)+J*φ}]0

/exp[i∫{int(φ)}0

­­=N∫φexp[i{[φ]Jφ}] と表現されます。
 

このとき,[]exp{i[]}によって,[]

を定義します。
 

proper連結グラフ(固有連結グラフ)とすると,

[]expと表わせるので,i[]は連結固有Green関数

の生成汎関数です。
 

一方,[]=S[φ]+Jφと表わしていますが,具体的には 

Jφ=∫d4xΣiiφi(),であり,[φ]は作用積分の形で 

[φ]=∫d4(φ(),φ()) です。
 

ここで,有効作用;Γ[φ]をW[]から.汎関数のLegebdre変換: 

Γ[φ]=W[]Jφ によっ定義します。
 

ところで, 

δZ/δi(iδW/δi)

i0|φi()exp(iJ*φ)]|0より,

φ~i()(δW/δJi)

0|φ()exp(iJ*φ)]|0/と置くと,

φ~i()(δW/δi),()という外場が存在

するときの場:φ()の期待値を意味することが

わかります。
 

Γ[φ]をJ()でなく,上記の期待値:φ~i()の関数:

Γ[φ~]と考えると,()=δΓ[φ~]/δφ~i() 

です。

 
(※注:何故なら.WはJの関数と見ると,Wのφ~iによる微分

,δW/δφ~i=Σk(δJ/δφ~i)(δW/δJ) 

=Σk (δJ/δφ~i)φ~k であり, 

一方,δ(Jφ)/δφ~i(δJ/δφ~i)φ~+J

なので,δΓ/δφiδW/δφ~i-δ(Jφ)/δφ~i

=-Jiとなるからです。 (注終わり※)
 

有効作用:Γ[φ~]が重要な理由の1つは,これが1粒子

既約頂点関数:Γ()の生成汎関数になっている。

つまり,Γ[φ~]=Σn=0∫d41..4n 

φ~i1(1)..φ~in(n)Γ()(1,..n) となって

いる点です。
 

ここで,[]に効くグラフで伝播関数の線を1本切って

グラフが2つの部分に分離できるとき,その線を関節線

と呼びます。伝播関数の線が外線のそれであれば常に関節線

ですが,外線以外に関節線を持たないグラフを1粒子既約な

グラフ,内線にも関節線があるそれを1粒子可約なグラフと

呼びます。
 

結局,Γ[φ~]は量子効果であるループグラフを除く単純な

Treeレベルでは,cPlanck定数としたO(c)を除く近似

,古典的作用積分:[φ~]=∫d4(φ~,∂φ~)

一致します。
 

この有効作用の物理歴意味をさらによく理解すべく,より

特殊な場合を考えます。
 

外場Jと期待値φ~が共に時間x0=tに依存しない場合を

考えると,この場合.時間並進不変性があるので,[]

Γ[φ~]の∫d4x表現から,無限大の時間因子:T=∫dx0

がくくり出せます。
 

すなわち,[()=J()] =-w[()]∫dx0, 

Γ[φ~()=φ~()]=-E[φ~()]∫dx0  です。
 

さらに,Jとφ~が時空座標xに完全に依存しない定数の場合. 

[()=J]= =-w[]∫d4, 

Γ[φ~()=φ~]=-V[φ~]∫d4 です。
 

最後の,[φ~]はφ~の関数であり,有効ポテンシャル

と呼ばれます。
 

3次元空間のの関数:φ~()の汎関数:[φ~()]には 

決まった名称はありませんが,[φ~]にならって

有効エネルギーと呼んでおきます。
 

Jとφ~がt=x0に依存しないときを考えると, 

[]exp{i[]}exp{i[]} 

=<0| exp{i[]}0,ただし,[] 

-∫d3()φ~(),

Hはエネルギーを意味するHamiltonianです。
 

つまり,期待値の関数としては, 

=∫d3{π~φ~(φ~,∂φ~)},

=-∫d3(φ~,∂φ~)=-Lです。

何故なら,φ~がt=x0に依存しないため,共役:

π~=∂L/(0φ~)=∂0φ~がゼロだからです。
 

そして,真空:|0>はエネルギーHの最低固有値状態

(基底状態)でしたが,ここでも-iε処法を採用している

とすれば,T=∫dx0=∞ の極限では,事実上,[]

-∫d3()φ~()の基底状態:|0>のみが

exp{i[]}=<0| exp{i[]}0|0>に

効きます。
 

それ故,T → ∞ではw[][]の基底状態の

エネルギー固有値です。

つまり,[] |0>=w[] |0> です。
 

他方,この)固有値問題は,量子力学の変分原理の問題と

同じく, <Ψ|Ψ>=1,<Ψ|φ()|Ψ>=φ~()

下で,<Ψ||Ψ>を停留値にする停留解:|Ψ>を求める

停留問題とみなすことができます。
 

すなわち,この,|Ψ>=E|Ψ>の解が,

|Ψ>=|0,E=w[]を与えます。
 

したがって,場の理論で真空を探す問題では,予め並進

不変性を考慮して,[φ()]に依存しないφ~

関数である有効ポテンシャル:[φi~]の停留点を

∂V[φ~]/∂φi~0 から求めればいいです。
 

結局,有効ポテンシャル:[φ~],場φi()の期待値が

φi~(定数)である条件下での基底状態のエネルギー密度と

解釈され,その最低の固有値に対応する状態が真空です。
 

(3-1終わり※)
 

さて,上記注の前に, 

複素スカラー場のGoldstone模型: 

=∂μφμφ+μ2φφ-(λ/2)(φφ)2 

提示して一般に系の安定な真空の候補は有効ポテンシャル:

(φ~)∂V/∂φ~0 で決まる停留点で与えられます。
 

ただし,φ~(),Heisenberg:φ()の期待値です。
 

と述べたところまで戻ります。
 

Goldstone模型では,φ~の関数としての有効ポテンシャルは 

0[φ~]=-μ2φ~φ~(λ/2)(φ~φ~)2 と書けます。
 

このポテンシャルは,φ'()exp(iθ)φ()に対する

(1)不変性を反映して,φ~の大きさ|φ~|のみに依存して

おり,6.1に描いたの実軸での断面図をV軸の周りに回転

して得られるワインボトルの底部のような形をしています。
 

|φ~|の関数形に変形すると, 

0[φ~]=-μ2|φ~|2(λ/2)|φ~|4ですから, 

∂V0[φ~]/|φi~|=―2μ2|φ~|2λ|φ~|3 

=-2|φ~|2(μ2-λ|φ~|2)0 より. 

停留点は,元の不安定な真空に対応するφ~0,, 

|φ|=v/2(μ2/λ)1/2 で与えられます。
 

|φ|=v/2(μ2/λ)1/2 ,Vの断面図を回転した

ワインボトルの底に当たる円周上の点を示しています。

この円周上の点は,どの点も物理的に同等ですが,どれか

1つの点を取って新しい真空とすれば,場φの位相を1

選び出すことになり,(1)対称性を自発的に破ります。
 

特に,円周が実軸と交わる点をφ~を与える真空|0>に

取れば,これは,0|φ()|0>=v/2を実現します。
 

そこで,φ(){v+ψ()iχ()}/2と定義

すれば,ψ(),χ()は真空期待値がゼロの実スカラー

場です。

  
φ=(v+ψ+iχ)/2,

=∂μφμφ+μ2φφ-(λ/2)(φφ)2 

に代入して,22μ20とすると, 

(1/2){(μψ)2-m2ψ2}(1/2)(μχ)2 

(m√λ/2)ψ(ψ2+χ2)(λ/8)(ψ2+χ2)2

-V0[/2] を得ます。
 

ここで,0[φ]=-μ2|φ|2(λ/2)|φ|4 

であり.φ~0|φ()|0>=v/2ですから, 

0[φ~]=V0[/2]=-(μ2/2)2(λ/8)4 

です。
 

(※注3-2):上のの式右辺を導出します。
 

まず,μφμφ=(μψ-iμχ)(μψ+iμχ) 

(μψ)2(μχ)2 です。

  
次に,μ2φφ=(μ2/2){(v+ψ)2+χ2}

(μ2/2){2(ψ2+χ2)2vψ} です。

また,(λ/2)(φφ)2

=-(λ/8){4(ψ2+χ2)242ψ222(ψ2+χ2)

43ψ+4vψ(ψ2+χ2)} です。
 

ここで,/2(μ2/λ)1/2,かつ,2μ2=m2より, 

λv=√2μ√λ=m√λ,λv22μ2=m2  です。
 

そこで,まず,(μ2/2)(ψ2+χ2)(λ/8)22(ψ2+χ2)0, 

(μ2/2)2vψ-(λ/8)43ψ=0 (ψ2+χ2)の項やψの 

次の項は消えます。
 

そして,(λ/8)42ψ2=-(1/2)2ψ2,  

(λ/8)4vψ(ψ2+χ2)=-(m√λ/2)ψ(ψ2+χ2) 

です。

残りは,(1/2)μ22(λ/8)4=-V0[/2]です。
 

(3-2終わり※) 
 

(1/2){(μψ)2-m2ψ2}(1/2)(μχ)2 

(m√λ/2)ψ(ψ2+χ2)(λ/8)(ψ2+χ2)2

-V0[/2]を見ると.ψは質量がm,χは質量ゼロ

のスカラー粒子を示しています。
 

φ=(v+ψ+iχ)/2によって

0|φ()|0>=v/2であったのを,新しい場:

ψ,χでは,0|ψ()|0>=<0|χ()|00となる

ようシフトしたため,χは質量ゼロで出現したN.G.粒子 

の場である,と解釈されます。
 

実際,これは,対称性が破れる前の元の系では, 

μi{φμφ-(μφ)φ}. 

π=∂/(0φ)=∂0φ,Q=i{φπ-πφ}, 

で.<0|i[,φ]|0>=<0|iφ|0>=-i/20 

でしたが,

  
ψ,χは無矛盾な場として<0|i[,ψ]|0>=0,
 

0|i[,χ]|0>=0 であるべきです。
 

そして,μi{φμφ-(μφ)φ}  

=v(μχ)..となることから,χはN..粒子の 

漸近場と理解されます。

   
この近似レベルから.χが正しく規格化されたN.G.ボソン

Heisenberg場とわかるので,前記事のカレントの漸近条件::

μ() o→±∞ → fπμφas()..,  

と比較して,上記式は真空期待値の√2倍のvが.

崩壊定数πを与えることを示しています。

   
以上で,Goldstone模型の話を終わります。


つい,本題から逸れた有効ポテンシャルの説明にのめり込んで

必要以上に冗長となり,長くなってしまいました。

今回はここまでにします。


 次回はまず,「南部-Goldstoneの定理」の別証明を与え,

次にもう1つの例である「南部^Jonalasino模型」に進みます。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論()(培風館)

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2017年9月 1日 (金)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(2)

2017年も9月に入りました。

サッカー男子日本代表ワールドカップ出場決定おめでとう!

  
さて,「ゲージ場の理論」の続きです。
 

ここまでの準備の下で,自発的対称性の破れについての有名な 

「南部-Goldsttoneの定理」を述べて,これを証明します。
 

※「南部-Goldsttoneの定理」 

()理論が並進不変性と明白なLorentz不変性を持ち, 

()保存するベクトルカレントjμ()(μμ0)が存在して, 

()そのチャージ:Q=∫d30()の対称性が自発的に敗れて

いる。すなわち,0|i[,Φ()]|0>=<0|δΦ()|0>≠0 

を満たすスカラー場演算子Φ()が存在する。

と仮定する。
 

このとき理論には零質量の粒子(NG粒子:南部^Gpldsyone粒子) 

が存在して,カレントjμ()に結合している。
 

(証明) まず,0|[μ(),Φ()]|0>に対するスペクトル表示 

として,0|[μ(),Φ()]|0 

=∫0dσρ(σ)iμΔ(x-y,σ)が導かれます。
 

ただし,Δ(x-y,σ)は質量がσの自由スカラー粒子Φ: 

(□+σ) φ()0 の交換関係を示す不変デルタ関数: 

Δ(x-y,σ)[φ(),φ()]であり, 

スペクトル関数:ρ(σ), 

iμρ(σ-k)

(2π)3Σn,n’δ4(-k)0|μ(0)|n>

ηnn'-1<n'|Φ(0)|0> で与えられます。
 

系は(正定置とは限らない)完全性条件:

Σn,n'|n>ηnn’-1<n'|1 を満たすとします。

 スペクトル表示の導出には,

演算子(observable)O=jμ,Φが 並進共変性:

()exp(iPx)(0)exp(iPx)を満たすこと,

μがベクトル.Φがスカラーであること,

さらに,CPTの変換性:Θ=CPTとして,

ΘΦ(0)Θ-1=Φ(0),Θjμ(0)Θ-1=-jμ(0)

満たされること,を用います。
 

以下,この式を実際に導出します。
 

(1):0|[μ(),Φ()]|0>に, 

Σn,n'|n>ηnn'-1<n'|1 を挿入すると, 

0|[μ(),Φ()]|0 

=Σn,n'[0|exp(iPx)μ(0) exp(iPx)|n>ηnn'-1 

<n'|exp(iPy)Φ(0) exp(iPy)|0 

-<0|exp(iPy)Φ(0) exp(iPy)|n>ηnn'-1 

<n'|exp(iPx)μ(0)exp(iPx)|0] 

です。
 

故に,与式=Σn,n'[0|μ(0)|n>ηnn'-1<n'|Φ(0)|0 

exp{i(nx-pn')}-<0|Φ(0)|n>ηnn(-1<n'|j (0)|0 

exp{i(ny-pn')}]となります。
 

ここで,CPTの反ユニタリ変換性から, 

0|Φ(0)|n>=<0|ΘΦ(0)Θ-1|n>=<n|Φ(0)|0 

0|μ(0)|n>=<0|Θjμ(0)Θ-1|n>

=-<n|μ(0)|0です。

  さらに,ηnn'Hermite対称性から,ηn(n=より.

ηnn' -1(ηn'n-1)* です、

それ故, 

Σn,n'0|Φ(0)|n>ηnn'-1<n'|μ(0)|0

exp{i(ny-pn') 

=-Σn,n'0|μ(0)|n'>(ηn'n-1)<n|Φ(0)|0

exp{i(nx-pn'}] ですが,
 

不定計量であっても,ηnn'は実数にとることができて,4元運動量

は保存されるべきなので,n'=pnのときにのみηnn’0

対角化されていると仮定すると,


  
結局,
 0|[μ(),Φ()]|0

=Σn,n'0|Φ(0)|n>ηnn'-1<n'|Φ(0)|0 

[exp{in(x-y)}exp{in(x-y)}) です。
 

ここで,ρμ() 

(2π)3Σn,n'δ4(-k)0|μ(0)|n>ηnn'-1<n'|Φ(0)|0 

と置くと.ρμ(),00 のkμのみに依存するベクトル関数 

なので,ρμ()=-iμθ(0)ρ(2)と書くことができます。
 

そして,真空|0>は運動量演算子:μの固有値Pμ0 に

属する縮退していない最低エネルギーの基底状態であり,

|n>は,μ|n>=pnμ|n>を満たす固有状態ですが,これら

は全て真空:{0>にいくつかの粒子の生成演算子を作用させて

得られるものとしているので,2(n)20 なら,ρμ()

はゼロです。
 

すなわち,ρμ()=-iμθ(0)ρ(2),20 でのみ

ゼロでないというスペクトル条件を持ちます。
 

したがって.0|[μ(),Φ()]|0>の展開表現の最初に, 

1=∫d4kδ4(-k)を挿入すると,因子( iμ), 

μ[exp{i(x-y)},or -∂μ[exp{i(x-y)} 

で表わせるため,
 

0|[μ(),Φ()]|0 

=∫d4(2π)-3θ(0)ρ(2)

μ[exp{i(x-y)}exp{i(x-y)}]
 

=∫0dσ2ρ(σ2)∫d4(2π)-3δ(2-σ2) 

μ[ε(0)exp{i(x-y)}) 

=∫0dσ2ρ(σ2)μΔ(x―y, σ2) 

が得られます。 (1終わり※)
 

交換関係のスペクトル表示: 

0|[μ(),Φ()]|0>=∫0dσ2ρ(σ2)μΔ(x―y, σ2) 

から直ちに,T積のスペクトル表示: 

0|[μ()Φ(0)]|0>=∫0dσ2ρ(σ2)μΔ(, σ2) 

が従います。
 

この,両辺に左から,∫diμを掛けると,左辺は 

μμ0より,∫diμ0|[μ()Φ(0)]|0 

=∫diδ(0)0|[μ(),Φ(0)]|0 

=<0|i[,Φ(0)]|0>=<0|δΦ(0)|0>≠0 です。
 

一方,右辺は,∫diμ0dσ2ρ(σ2)

μΔ(, σ2) 

i∫d4x∫0dσ2ρ(σ2)□Δ(, σ2) です。
 

Δ(, σ2)=∫d4(2π)-4exp(ipx)/(2-σ2iε)

より,□Δ(, σ2)

=∫d4(2π)-4exp(ipx)(-p2)/(2-σ2+ε)  です。

故に,i∫dx∫0dσ2ρ(σ2)□Δ(, σ2) 

=∫0dσ2ρ(σ2)∫d4pδ()(i2)/(2-σ2+ε) 

=-i0dσ2{2ρ(σ2)/(2-σ2+ε)}p=0 です。
 

それ故, 

i0dσ2{2ρ(σ2)/(2-σ2+ε)}p=0 

=<0|δΦ(0)|0>≠0 ですが,これが成立するためには,

左辺の∫0dσ2の被積分関数:2ρ(σ2)/(2-σ2+ε)

p=0の極限でもゼロでないことが必要です。
 

2ρ(σ2)/(2-σ2+ε)

=ρ(σ2)+σ2ρ(σ2)/(2-σ2+ε) より, 

p=0では,limp→00dσ2{2ρ(σ2)/(2-σ2+ε)} 

=∫0dσ2ρ(σ2)

limp→00dσ2[σ2ρ(σ2)/(2-σ2+ε)] です。
 

これがゼロでない寄与をするのは,σ20に零質量1粒子離散

スペクトル:∝δ(σ2)の寄与があるときのみであることが

わかります。
 

ρ(σ2)からσ20で有限な部分:ρ~(σ2)を分離して, 

ρ(σ2)=wδ(σ2)+ρ~(σ2) と書けば, 

w=<0|δΦ(0)|0>≠0 なる式を得ます。
 

すなわち,対称性の自発的破れがある:つまり,

0|δΦ(0)|0>≠0 である限り,スペクトル関数:ρ(σ2)

中にゼロでないwδ(σ2)項が存在する必要があります。
 

これはペクトル関数の定義:iμρ(σ-k) 

(2π)3Σn,n'δ4(-k)0|μ(0)|n>ηnn'-1

<n'|Φ(0)|0> から,理論の完全系:{|n>}の中に,零質量

1粒子状態:|(m=0)とそれと対をなす<(m=0)|

存在して,この零質量1粒子状態が,0|μ(0)|(m=0)>≠0,

(m=0)|Φ(0)|0>という形でカレントμや場Φに結合して

いることを意味しています。  (証明終わり)
 

この定理に関して,いくつかのコメントを与えておきます。
 

1) 真空期待値:0|δΦ(0)|0> は,オーダー・パラメータ 

(order parameter)と呼ばれ,これがゼロでないかどうかが,

自発的対称性の破れの有無を決定します。
 

オーダー・パラメータの演算子;δΦがLorentz不変性を

破らずゼロでない値を取るには,これはスカラーでなければ

なりません。
  
(※あるいは,不変テンソルgμνやεμνλσを含む

2階対称テンソル,および,4階反対称テンソルでもいいです。

例えば,(δΦ)μν2階対称テンソルなら,0|(δΦ)μν|0

=gμν×(定数) の真空期待値をとります。)
 

したがって,電荷Qがスカラーの場合,δΦに対応する場Φも

スカラーであり,定理の要求する 

..0|[μ()Φ()]|0|零質量極部分

=<0|δΦ|0(μ/2) のように,20 に極をつくる

..粒子もスカラーです。(※ F..Fourier変換)

すなわち,この極の存在は,

μ() o→±∞ → fπμφas().., 

ただし,[φas(),φas()]i(x-y) 

Φ() o→±∞ → Z1/2φas()..,

π1/2φ=<0|δΦ|0> を満たす零質量スカラーN..

粒子の漸近場(asymptotic field):φasの存在を意味します。
 

πはN..粒子:φasがカレントjμと結合する強さを示す 

結合定数で,崩壊定数と呼ばれます。
 

2) 不定計量を含むゲージ理論ではN..粒子が正の計量を

持つ物理的粒子であるかどうかについて,定理は何も主張して

いません。

もしもカレントjμがゲージ不変(BRSう不変)な演算子

でないなら,..粒子は不定計量粒子で有り得ます。
 

その場合,一般に,前の漸近条件は 

μ() o→±∞ → fπμφ~as().., 

[φ~as(),φas()]i(x-y) 

Φ() o→±∞ → Z1/2φas().., 

に置き換えられ,φ~asとφasが同一の漸近場である

必然性がなくなります。

(※ 何故なら|n>ηnn'<n'|mにおいて,|n(m=0) 

と<n'(m=0)|が同じ粒子である必要がありません。)
 

しかも,Φがスカラーですから,φasもスカラーですがjμ

の漸近場μφ~asのφ~asはスカラーという保証はなく, 

μ自身の漸近場が∂μφ~asでなくベクトル場:μas

縦波モードでもいいことになります。
 

実際,QCDのU(1)問題では,このようなことが起きている

ことが知られていて,μasは2階反対称テンソル場:

μνasを用いて,μas=εμνρσνρσas

与えられます。
 

3) 先に,対称性が自発的に敗れたときにはチャージ演算子Q

が無矛盾でなくなることを述べましたが,その直接的原因は,

カレント:μ()にN..粒子状態が効いてくるため,遠方

で十分速く減衰しないので,μ()の空間積分が発散して

しまう,ところにあります。
 

この事情を,μ() o→±∞ → fπμφas().., 

[φas(),φas()]i(x-y) 

を用いて,(..粒子:φasが正計量のときに)もう少し

詳しく評価してみます。
 

φas()の生成演算子をa()と書き,次のN..ボソン

粒子状態を考えます。

すなわち,|NG>=∫d3()()|0>です。
 

この波束状態のノルムは,交換関係:

[(),()]=δ3()より,

<NG|NG>=∫d3|()|2 で与えられるので,
 

例えば,(),あるKについて,||≦Kなら

()1/||α,||>Kならg()0 と取ると,

2|()|2||のベキが(1)より大きければ,この

ノルムはゼロです。
 

そこで,α<3/2であればノルムが収束し,状態: 

|NG>=∫d3()()|0>は無矛盾です。
 

ところが,この状態と真空でjμを挟んだ行列要素は, 

0|μ()|NG>=fπ0{μΦas()|NG> 

=fπ∫d3(2π)3/2(20)-1/2 (iμ)()evp(ikx) 

となり.これのμ=0 の時間成分をd3xで積分するとき, 

α>1/2なら発散します。
 

そこで,例えば,α=1と選択すると<0||NG>は発散して

いて,Qは無矛盾な演算子として存在できません。
 

これが,カレント:μ()にN..粒子状態が効いてきて,

遠方で十分速く減衰しないたの,0の空間積分が発散して

しまうのがチャージが無矛盾でなくなる原因となる1例です。
 

ここまでの計算で,φasが零質量であることを本質的には

使っていませんが,(0=||で使ってはいる?),μ

現われ得るスカラー粒子状態(漸近場)φasは∂μμ0

の条件から,□φas0 がsy従うので零質量以外は

有り得ません。
 

4) 次に重要な注意は,群Gの対称性が,部分群Hにまで自発的に

破れた場合に,..粒子がいくつ出現するか?についてです。
 

:GのLie代数:を形成する生成子:(A=1.2..dim)

うち,破れた生成子:()に対応するチャージ:,

またはカレント:μの各々に対して,先述の

「南部-Goldstoneの定理」が当てはまるので,()

の各々に対して,

μ() o→±∞ → fπμφ,as().//を満たす

..粒子漸近場:φ,asが存在します。
 

しかし,問題はこうしたφ,asが全て独立な場であるか

どうか?ということです。

もしも独立でないとすると,これらの適当な線形結合:

Σφ,asゼロとなってΣμには,.G。の

1粒子がなくなりΣは無矛盾なチャージとなって

しまいます。

これは対応する生成子Σ破れていない生成子

になることを意味するため,元の生成子{},閉じた

破れていない生成子の線型空間:()を張る独立な元で

あった,という仮定に矛盾します。
 

以上から,「独立な破れていない生成子:()の各々

に対して,各々1個ずつ独立な零質量のNG粒子が対応する。」

という命題が成立します。

それ故,対称性が自発的にGからHまで破れるときに現われる 

..粒子の個数は,dim(/)dimG-dimHで与えられます。
 

5) 先の定理では,チャージQがスカラーの場合に限りましたが,

この仮定はスペクトル表示の表現を簡単にするためにおいた

もので,本質的ではないです。

実際,チャージQを(Poicaew’群の生成子である並進のμ

Lorentz群の生成子Mμν以外の)ベクトル,テンソル,スピノル

に選べば,i0|[,Φ]|0>=<0|δΦ|0>≠0 である限り,

カレント; μ,および,Φに零質量のN..粒子が結合して

いることが示せます。
 

例えば,FermionBosonを結び付ける超対称性のチャージ

Qは,MajonaraスピノルのFermiチャージで,これが自発的に

破れると,MajonaraスピノルのN..Fermionが出現します。
 

ただ,注意すべきは,例えばベクトルチャージ:μの場合

にベクトル場:Φνに対して

i0|[μ,Φν]|0>=<0|δμΦν()|0>=gμν×(定数)

0 です,だからといって,すぐにベクトルN..ボソン

が存在するといえない点です。

それは,スカラーN..ボソンでも,この関係を満たすことが

できるからです。しかし,論理的にはテンソルN..ボソンの

可能性も除外はできません。
 

これに関連して知っていて損にはならない事実として. 

Coleman-Mandula-Haag-Lopuszanski-Sohniusの定理」

があります。すなわち,

「一般に,Poincare’不変な理論において,物理的S行列の 

(連続的)対称性として存在し得る保存チャージは Poicaew'

群生成子:μ,μν以外にはスカラー(Boseチャージ),

または(1階の)スピノル(Fermiチャージ)のみである。」

という定理です。
 

これは,かなり一般的に妥当な仮定の下に証明される大変強力

な定理です。

したがって,例えば,あるLagrangianに4次元運動量:μ

とは別のベクトルチャージ;μの対称性があったとすると,Poicaew’不変性を破らない限り.μの対称性は自発的

に破れる,もしくは非物理的粒子のみと関わる対称性になるか.

のどちらかです。
 

BRS電荷はスカラーですがFermiチャージなので,上述の定理

によって許されない対称性であり,ⅱ)Q|0>≠0 の実現例に

なっています。
 

6)「南部-Goldstoneの定理」の適用範囲は,かなり広範で,

実はPoincare'不変性がないときでも,これに代わる適切な

仮定(これにもバラエティがある)があれば,成立します。
 

例えば物性論では強磁性におけるスピン波や固体における

フォノンなど多くのN..モードがあります。ここで,..

モードと述べたのは,そこでは相対論的粒子描像は存在しない

ので,運動量がゼロになるときエネルギーEもゼロになる

ような励起モードという意味です。
 

(余談):

世にはあまり知られていない専門書や論文の英語の文章を翻訳

して読んだ履歴を解説するならまだしも,「ゲージ場の量子論」 

のようにその筋では有名な日本語の専門テキストを,自己満足の

ためとはいえ,ただ丸写しのごとくブログ記事としてパクる,

というだけでは申し訳ないので,

少し,拙い私的雑文を加筆します。
 

「自発的対称性の破れとは如何なるときに生じるのか?」

というテーマです。


 物性論によると,常温では電子スピンの向きが全く
無秩序で

どの方向が特別ということはなく,全く対称なので磁気が存在

しない金属でも,,極低温まで冷却すると,急に相転移が起きて

ある特別な方向にスピンの向きがそろって強い磁気が生じる

という現象があります。

これは高温ではスピンの向きには全く秩序性がなく,それ故

等方的であるという対称性があったのが,低温で破れたこと

を意味します。
 

一般に物質内では,高温では無秩序という意味のエントロピー

が最大の対称性が保持されているのが普通だったのに,低温に

なって急に対称性が破れるという現象があり,これが,素粒子

論での自発的対称性の破れという発想の源であったと

聞いています。

(※かつてのDiracFeynman(デルタ関数,経路積分など)

ように常識や専門分野などに,とらわれない自由で新鮮な理論

には,必ずといっていいほど,南部先生が関わっておられたと

記憶しています。)
 

さて,宇宙論では,現在の主流理論では,宇宙はある時点から

1点からビッグ・バンと呼ばれる膨張を開始し,それは現在

も進行中であることになっています。ビッグ・バンは,Bang

(爆発)とはいっても,過去の一瞬の大爆発ではなく,今も

その途上にあると理解しています。
 

アインシュタインの一般相対論で得られた宇宙空間を記述

する重力場の方程式は,その発見以後,若干の修正が加えられ

ているようですが,基本的には規模は違いますが,初期条件が

膨張の向きなら膨張宇宙のビッグ・バンを示す解を,初期条件

が収縮の向きなら重力崩壊してブラックホールになるような

解を与えます。
 

これらは,同じ方程式の互いに時間反転の関係にある解です。 

偶然,膨張でも収縮でもない条件から出発すれば,静止宇宙

の解もあるでしょう。
 

しかし,我々のこの宇宙は,膨張宇宙の解に属していて,過去

の宇宙初期には非常に熱い火の玉宇宙であったものが,膨張

と共に次第に冷えてゆくというモデルで説明されます。

(※ ごく初期には,現在の膨張速度よりも,はるかに爆発的

に急膨張したというインフレーション宇宙の話もあります。)
 

現在の宇宙背景輻射の温度が絶対温度で約2.7度であると

いう観測結果Gamow(ガモフ)の火の玉宇宙のほぼ予言通り

であったのが,ビッグバン宇宙の証拠とされています。
 

いずれにしろ,宇宙初期の高温時代にはあらゆるゲージ

対称性が正確に成立していて,ゲージ粒子だけでなく全て

の粒子の質量はゼロであったはずでしたが,冷えていくに

つれて完全であった対称性破れて,質量ゼロであった粒子

達も,Higgsメカニズムなどにより,質量を獲得して現在に

至っているというのが,最近は新しい話に触れていない

ので私の認識はやや古いかもしれませんが,現代的な理論

であろうと思っています。

 つまり,膨張によって低温になっていくときに,孤立した

全体系,エントロピーの増大とは,逆の現象ですが,,局所的には

対称性が破れて,ある意味で,,ツルンとした対称な宇宙に秩序の

ある凸凹部分ができてきた,ともいえるでしょう。

 その意味では生命が誕生して複雑に進化していくのも,

エントロピー増大とは逆の流れで,自発的な対称性の破壊

の1つでしょう。
 。

今回はここまでにして,次回は対称性の自発的破れの実例

を見ます。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論()

(培風館)

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2017年8月29日 (火)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(1)

唐突ですが,ゲージ粒子の交換によって相互作用が実現される,

または,粒子間に力が働くという理論の歴史的経緯をたどって

要約してみようという思い付きが湧いたので書いてみます。
 

このテーマについては,九後汰一郎著(培風館)

「ゲージ場の量子論()()について,私が読解した履歴

を綴った1冊平均1206冊のノートがありますが,これを,全て

ブログ記事にするにはもう命の残り時間がないだろうと

思うので,
 

6章「対称性の自発的破れ(Spontaneously broken symmmetry) 

について書いた19992月(49歳)開始の4冊目もノートから, 

「対称性の自発的破れと南部-Goldstoneボソン」という 

テーマで記述した内容を抜粋したいと思います。
 

しかし,その前に前置きとして,本ブログで過去にゲージ場

関連について書いたいくつかの記事を振り返ってまとめて

みます。
 

まず,原子核の間に働く核力がπ中間子の交換相互作用に

よるという湯川秀樹によって提案されたモデルである,湯川

相互作用の理論の話から始めます。

(20126/17から始まる過去のシリーズ記事: 

「強い相互作用(湯川相互作用)」を参照)
 

1935,湯川によって,原子核の間に働く強い力・強い

相互作用を担う未発見の新粒子の存在が予言され.その後,

実際に1950前後に,現在π中間子と呼ばれている粒子達

が発見されて,湯川理論の正当性が裏付けられました。
 

現在的に見れば,質量:μ= 135140 MeVのπ中間子の

交換相互作用の寄与は.規格化等の因子を除けば,gを

πN頂点の結合定数とする.スカラー粒子型の伝播関数

×両頂点の因子:2/(2-μ2) で与えられます
 

仮想π中間子内線の4元運動量をqμ(,)と表わす

とき,πのエネルギー;が非相対論的レベル;<<μ

の場合には,上記因子は,2/(2-μ2) ~ -g2/(2+μ2)

と近似され,これは座標空間での表現に変換すると,核力の

湯川ポテンシャル:()=-g2exp(-μr)/(4πr)に一致

します。(r=||です。)
 

古典力学でのポテンシャルの定義から,核子間に働く力をFと 

すると=-∇Vです。こうして核力は湯川ポテンシャルV

によって与えられる力であるというのが,湯川理論でした。
 

湯川ポテンシャルは,r=1/μ=h/(μc)(Compton波長) 

6×10-27(J・sec)/[{140×106×1.6×10-19()}

{3×108(/sec)}]10-14m より,

中心からr~10-14(Fermi半径)くらいの距離で,その

大きさが最大のときのexp(-μr)1/e~1/3程度に急減衰

することがわかります。
 

一般に,指数関数因子が1/eになる距離を力のレンジ

(到達範囲;range)と呼びます。
 

そこで,核力は,半径が約10-8mくらいとされている原子の中

,中心の極く近くの10-14mくらいまでは,有意な引力として

作用して電磁力を上回り,一方,そこから距離が大きくなるに

つれて,Coulomb電磁力の斥力には対抗できなくなる,という

性質を持つ近接力です。
 

ヘリウム原子核(α粒子):4e2のように,pが2個とnが2

で構成され,これらが中心付近に凝集してできている場合,

pとpの強い電磁斥力に抗して,破裂せず安定に存在して

いられるのは,Fermi半径程度の距離内に隣接している限り

核力という強大な引力があって,これが電磁斥力を上回って

いるためであると考えられます。
 

一方,光子のように質量μがゼロの粒子の交換なら,レンジ 

Compton波長は1/μ=h/(μc)=無限大であり,これの

交換によるポテンシャルVはexp(-μr)1より,

静電Coulomb型の()=g2/(4πr) です。
 

質量ゼロの光子(光;電磁波)の交換による相互作用は

静電近似Coulomb相互作用のポテンシャル:

()=κ/(4πr) を与えます。
 

Coulomb力は,=-∇V={κ/(4πr2)}で与えられ,

これは中心からの距離rの逆2乗に比例する中心力です。

( /rは原点(中心)から半径方向への動径単位

ベクトルを意味し,κ>0なら斥力,κ<0なら引力です。)
 

実際には,逆に,この光子交換の電磁相互作用のアナロジー

で中間子の交換による核力という発想が得られたはずです。
 

ところで,重力,万有引力のポテンシャルもまた,静近似で

電磁力と同じCoulomb型のV()=-G/rであって,距離

逆2乗に比例する引力を示し,力のレンジは無限大です。
 

太陽からの引力が,光でも820秒もかかる14千万km以上 

離れた地球にまで十分作用して,365日周期の公転軌道

を支配しています。

これほどの距離まで力が及ぶのは,量子論的には仲介して

交換される粒子(重力子?)の質量がゼロであるため

考えられます。
 

ゲージ理論は,元々Dirac電子と電磁場の共存する

Lagrangian密度:

=ψ~γμ(iμ-eAμ-m0)ψ-(i/4)μνμν 

,ψ → exp{iθ()}ψ,μ → Aμ+∂μθなる局所

位相変換に対して不変である,という対称性(ゲージ不変性)

を持つことから,
 

Dirac電子の自由Lagrangian密度:

0=ψ~γμ(iμ-m0)ψが,xに依存する局所位相変換:

ψ → exp{iθ()ψに対して不変であるためには,連動

してAμ → Aμ+e-1μθなる変換を受ける質量ゼロの

ベクトル場:μ()が存在して

ψ~γμ(iμ-eAμ-m0)ψという形でcoupleすること

が十分条件になることがわかります。
 

このことから,こうした光子場(電磁場)をゲージ場

(gauge field),質量ゼロの光子をゲージ粒子と呼んだ

のでした。
 

そして,Yang-Mills(ヤンとミルズ),これを1個の

Dirac Fermionから多重スピノル場(multiplet):

Ψ=[ψ1,ψ2,..,ψN]に対する位相変換に対する対称性

へと拡張しました。
 

すなわち,θ()をN×N行列として,Ψの局所位相変換

を,Ψ → exp{iθ()}Ψとすると,

θ()Hermite行列なら,これは,U=exp{iθ()}

置くと,Ψ →UΨ,=U-1ユニタリ変換です。
 

この変換では,双1次形式は,

Ψ~γμiμΨ→ Ψ~γμiμΨ 

+Ψ~γμexp{iθ()}(μθ)exp{iθ()}Ψ  

と変換されます。
 

先の,1次元のDirac電子と電磁場の謂わゆるU((1)変換の

対称性なら,積は全て可換なので,

exp{iθ()}(μθ)exp{iθ()}=∂μθであり,

μ → Aμ+e-1μθを満たす11つのゲージ場: 

μ()の存在だけで不変性を保つには十分でしたが,
 

一般に,位相因子が非可換なN次元のΨの場合,変換で

不変となるためには,

μ μ+e-1exp{iθ()}(μθ)exp{iθ() 

のような.より複雑なゲージ変換を受けるN個の質量ゼロ

ベクトルBosenのゲージ場:

μ[(1)μ,(2)μ..,()μ]を必要とするという理論

,Yang-Millsが初めて提案したのです。
 

特にゲージ対称性変換:Uが,SU()群に属する場合,

対称性を定義するゲージ変換:Ψ →UΨ=exp{iθ()}Ψ

,N×N行列:θ()なる表現を,SU()(21)個の

独立な生成子のN×N行列表現:λ(a=1.2,..,のN21)

,改めて同じ記号で表わしたN-パラメ-タ: 

θ=[θ1,θ2,..,θN]の線型結合:Σλθで置き換えた

形式でΨ → exp{iΣλθ()}Ψ と書けます。
 

引数θを陽に書いて,UをU(θ)exp{iΣλθ()}

と表わせば,上記の位相変換はΨ → U(θ)Ψと書けます。
 

特に,θa()がxの関数でない定数の大局的変換で,

しかも無限小の場合:θ=ε(a=1.2,..,のN21)

書くと,(ε)exp(iΣλε)1iΣλε

あり,その共役(),(ε)exp(iΣλε)

1+Σλεa です。

 
そこで,もしも,i[^,ψα()]=-(λ)αβψsβ)

成立させるHermite演算子:^が存在すれば, 

(1iε^)ψα() (1iε^) 

=ψα()(ελ)sαβψβ()

(1(ελ) αβψβ() となります。
 

これは,exp(iΣε^)Ψ()exp(iΣε^)

=U(ε)Ψ() を意味し,無限小のεを有限な定数

パラメータθに戻しても, 

exp(iΣθ^)Ψ()exp(iΣε^)=U(ε)Ψ() 

が成立します。
 

よって,^(θ)exp(iΣθ^)とおくとき,Ψ()

単なる波動関数でなく,状態ベクトル:|Φ>に作用する量子化

された粒子の場の演算子を意味する場合,
 

exp(iΣθ^)Ψ()exp(iΣε^)=U(ε)Ψ()

,任意の量子状態:|Φ>が,|Φ> →|Φ'>=U^(θ)|Φ>

なる変換を受けるとき,場の行列要素(期待値):

<Φ1|Ψ()|Φ2>は,

<Φ1'|Ψ()|Φ2'>=<Φ1|^(θ)Ψ()^(θ)|Φ2 

=U(θ)<Φ1|Ψ()|Φ2>に変換されるという対応原理を

意味すると解釈されます。
 

これは,場の演算子の変換としては,

^(θ)Ψ()^(θ)=U(θ)Ψ(),または,

^(θ)Ψ()^(θ)=U(θ)-1Ψ() 

を意味するわけです。(:行列:(θ)exp(iΣλθ)

演算子U^(θ)exp{iΣθ^}の混同に注意)
 

20082/29の過去記事「ネーターの定理と場理論」によれば 

N個の古典場の系:φ{Φ1,φ2,..,φ}Lagranjian 密度 

(φ,φd,)とするとき,(φd=∂0φ=φ /dt)  

φj()→φj()+δφjなる微小変換

(※δφjはxによらない大局的変化)に対してが不変なら

カレントをjμ()jδL/δ(μΦ)定義するとき,

カレントの保存;μμ0 が成立します。 

(Noether(ネーター)の定理)
 

そこで,Q=∫d30()と置けば,dQ/dt=0 です。 

このとき,Qは運動の恒量といわれます。
 

系のLagrangian ,L=∫d3(φ,φd,)です。 

φi()の共役運動量をπi()=∂/∂φjd,で定義し,系の 

Hamiltonian,H=∫d3(Σjπφjd )で定義します。
 

すると,amiltonの正準方程式 {,φj}P.B=dφj/dt. 

{,πj}P.B=dπj/dtが成立します、 

ただし { , }P.Bはポアソン括弧式(Poisson Bracket)です。
 

これを用いると,{,φj}P.B.=-δφjが得られます。
 

そして,古典論と量子論の間には{,}P.B=-i[.]

という対応原理が成立します。(Diracによる対応原理)
 

これを適用すると量子論的には,{,φj}P.B.=-δφj 

l[^,φj].=δφjとなりますが,これはHamiltonの正準方程式

量子化した条件として同時刻正準交換関係の条件:

[φi(,).πj(,)]ijδ3()に読み換えること

 得られる関係式です、
 

そこで,SU()群について独立に(2-1)個の運動の恒量演算子 

^(a=1,2,..,21)が存在して,l[^,ψα].=δψα 

(λ)αβψβを満たす。という一般論が成り立ち, 

^(a=1,2,..,21)は量子論における演算子の変換の意味 

でのSU()の生成子です。
 

Ψ → exp{iθ}Ψという位相変換に対する不変性を考えたので 

カレント:μ()jδ/δ(μψ),ベクトルカレント

であり, ^はスカラーでしたが,Ψ → exp{iγ5θ}Ψの

ようにをγ5含むカイラル位相変換に対する不変性であれば 

μ()jδ/δ(μψ)は軸性ベクトルカレントで,

^擬スカラー演算子です。
 

さて,ここからは,話が重複する部分があるかもしれませんが, 

最初に書いたように,九後さんの著書「ゲージ場の量子論」

について私的に読書し解釈したノートからの抜粋です。
 

N個の場:φ{Φ1,φ2,..,φ}からなる系がにおいて

系が対称性を持つ条件としてのLagrangian密度:

(φ,φ)不変性の要求は,元々は作用積分;

S=∫d4(φ,φ) で記述される系が,

連続パラメータの大局的変換群:Gの下で不変であるという

対称性のために要求される条件です。
 

このとき,Noetherの定理」から,群Gの独立な生成子:

の各々に対して保存するカレントjμ (μμ0)

が存在して,そのチャージをQ=∫d30(,)

定義すれば,これは場:φに対して

i[,φi]=δφi=-i()ijφj (A=1.2...,dim)

を満たします。
 

作用積分の対称性は,基底状態=真空の対称性である場合も 

あれば,そうでない場合もあります。これは標記的に 

) 0>=0 ⅱ) 0>≠0 の2通りの場合 

として表現されます。
 

=∫d30(,),空間にわたる積分であり 

時間tについてもdQ/dt=0 を満たします。 

そこで,これは時空における平行移動で不変:[μ,]0  

です。
 

場理論における真空は,μ0>=0 を満たすものと定義 

されているため,[μ,]0から,μ0>=0

が従います。
 

故に.0>は,0>と同じく運動量:μのPμ0

の固有状態です。スペクトル:μ0を持つ基底状態は,真空

のみで縮退はないのでcを定数として,0>=c|0> 

と書けます。
 

それ故,c=<0|0>=∫d3x<0|0()0

ですが,真空の並進不変性:μ0>=0 , 

0|0()0>=<0|0(0)0>を意味します。
 

そこで,c=∫d3x<0|0()0>の右辺の被積分関数

は4元ベクトルであって,かつ座標系の平行移動に対して

不変な定数ベクトル量です。
 

定数で,かつ,Lorentz変換のベクトル量というのは

ゼロベクトル以外には有り得ないので,c=0と結論されます。
 

したがって,先にⅱ) 0>≠0 の場合もあると

書きましたが,これは,既に無矛盾な理論の物理量Qとしては

,有り得ないことです。
 

変換群Gの全ての生成子T(A=1.2...,dim)について

,対応するチャージ:,)0>=0 を満たして明白

,無矛盾な対称性が存在している場合,系は「Wigner相にある」

といいます。
 

一方,いくつかのQについては,)0>≠0を満たす

ものも混在している場合,この系は

「南部-Goldstone相にある」といいますが,このとき,もはや

Gの対称性は部分的に破れているはずです。
 

系が「南部-Goldstone相」にあって,

)0>=0 を満たすに対応する生成子:

"破れていない生成子" )0>≠0 を満たすQに対応

する生成子:を"破れた生成子"と呼ぶことにします。
 

破れていない生成子"同士のつくる交換子は,また 

破れていない生成子"を与えるため,"破れていない生成子" 

の線形結合の全体は群GのLie代数:の部分代数を構成 

します。
 

この部分代数:に対応するGの部分群をHと書き,

HをGの破れていない部分群と呼びます。
 

ここで無矛盾でない量,いわば,明白に存在するとはいえない

量Qによる条件Q0>≠0 を対称性の自発的破れが起こって

いる条件として採用するのは,論理矛盾で不適切と思われるので

より適切な表現を探します。
 

そのため,時空点xの近傍の有限領域のHeisenberg場で

書かれた.ある局所化演算子;Φ()を与え,これのQ

による変換が, 

[,Φ()]i∫d3[0(),Φ()]

=δΦ() となるものを考えます。
 

これならQ自身が存在しないときでも,この変換性を最左辺 

を無視した,i∫d3[0(),Φ()]=δΦ() 

置き換えれば,Φ()の定義域が点xの近傍の有限領域のみ 

なので,交換関係:[0(),Φ()].yがxのこの近傍 

領域にあるときにのみゼロでないため,その∫d3積分は 

無矛盾と考えられます。
 

そこで, の存在そのものが曖昧な場合でも

i[,Φ()],∫d3[0(),Φ()]の意味に解釈

して,に関わる自発的破れを,

0|i[,Φ()]|0>=<0|δΦ()|0>≠0 

を満たす局所化演算子,Φ()が少なくとも1つは存在する

という条件で定義します。
 

演算子Φ(),系のLagrangian密度:

(φ,φ)(φ{Φ1,φ2,..,φ})を構成する"

素"Heisenberg:φj()そのものである必要はなく, 

一般にxの近傍の有限領域:における{φj()}y∈

の並進不変な多項式であればいいです。
 

並進不変な演算子とは,

Φ()exp(iPx)Φ(0)exp(iPx)が満たされるという

意味です。
 

そして,がスカラーの場合は,Φ()をスカラー場の

演算子に限っても十分です。
 

長くなりそうなので,今日は一旦ここで終わります。
 

参考文献: 

.J,D,Bjorken and S.D.Drell

"Relativistic Quantum Mechanics"(McGrawHill) 

1. 九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論()(培風館)

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2017年8月28日 (月)

摂動論のアノマリー(第Ⅱ部)(コーヒー・ブレイク)

最初は,これまでと同じく自分のノートからの回顧録のような

ものを惰性的にダラダラと書くつもりで「摂動論のアノマリー」

の続き原稿を書こうと思ったのですが,つい,ここらで場理論や

くりこみ理論との関連,本論の要約を兼ねて,少し駄文

述べたくなりました。
 

 最初,本記事の副題を(閑話休題)にしようと思いましたが, 

閑話が余談や無駄話を指し,休題がそれを止めるという意味で 

あるとすると,これは余談をやめて本題に戻る,という意味に 

なり,これから余談を始めようと考えているときに使うの

逆かな?と思い,(コーヒー・ブレイク(coffee-break)) 

しました。。※
 

では,さらに閑話休題。。
 

本ブログ過去記事「弱い相互作用の旧理論(Fermi理論)」では, 

自由中性子nのβ崩壊:n→p+e+ν~はカレント・カレント 

相互作用:int(/2)μμによる旧い扱いでした。
 

そして,μの軽粒子(レプトン;lepton)部分のV-Aカレント 

(vector-axialvector current)である[~γμ(1-γ5)ν], 

μのハドロン部分のn-pのV-Aカレント: 

[~γμ(1-αγ5)]の対,

あるいは,これらを構成する4粒子が1頂点に局所的に集中

して(/2)という定数因子の効果を受ける,という局所

相互作用の仮定に基づく理論構成でした。
 

これに対して,-pカレントとe-νカレントの間に質量

がμゲ-ジBoson:W が交換されるとするなら.上記の

頂点では単なる定数因子の寄与は,1/(2-μ2iε)

という伝播関数の形の因子の寄与に置き換わります。
 

しかし,この中性子のβ崩壊程度の現象では,相互作用が弱い

ため.通常のエネルギーレベルでの実験結果との比較は,

最低次近似の予測計算値との比較で十分なので,その範囲

では,どちらも実験との一致度という意味では大差ないの

ですが,
 

q → 大の高エネルギーでは.一方の定数は全く減衰しない

のに対して,Wを交換する相互作用では,少なくとも1/2

オーダーで減衰するため,紫外発散を避けて,くり込み可能

なり,QEDと同様な形での弱い相互作用の理論計算ができる

ようになります。

(※現時点では図にあるように可能性ではなく実際にWが発見

されています。)
 

そして,中性子のようなFermion崩壊ではなく荷電π中間子

π崩壊については,「弱い相互作用の旧理論(12),(13)

(Fermi理論)で書いたように,
 

主要な反応はπ→ μ+νμ~,次反応はπ→ e+ν~ 

ですが,これについてはハドロンカレント部分を-pカレント

代わりに中間子場の時空微分,or運動量に置き換え,aという

比率を掛けるという現象論的扱いを採用しました。


 (※
-pカレントがV-Aカレントであるのに対してπは

擬スカラー粒子なので(a∂μπ)は,Aのみ(axial-vector

=軸性ベクトルのみ)です。)
 

π→ μ+νμ~,π→ e+ν~の崩壊率の分岐比

は, 理論的計算でも,(π→e+ν~/π→μ+νμ~) 

(e/μ)2{(μ2-me2)/(μ2-mμ2)}2

2.31488×10-5×5.49 1.27×10-4なる値が得られ 

これは実験値ともよく一致してπ崩壊のほとんどの反応

は,π→ μ+νμ~であることがわかっています。
 

そして,π→ μ+νμ~ とπ→ e+ν~の崩壊率:

ωは,τを平均寿命として

ω=1/τ={2||2/(8π)}μ3(/μ)2(1-m2/μ2)2 

で与えられることを見ました。


  この式は,m=mμを代入すれば,
π→μ+νμ~の崩壊率: 

ωμ1/τμを,m=mμを代入すれば π→e+νe~

崩壊率:ω=1/τを与えます。

 そこで,
ほとんど全ての反応であるπ→μ+νμ~の

崩壊率:ωμの予測値は. 

ωμ1/τμ{2||2/(8π)}μ3(μ/μ)2(1-mμ2/μ2)2  

です。

 
一方,観測されているπの寿命は,

τ=(2.55±0.03)×108sec です。

  
それ故,ωμの予測式を.この観測値の

ω=1/τ~ 1/{(2.55±0.03)×108sec}に等置することから

||の値を決めることができます。

この計算を実行した結果,|| 0.93μと評価されました。
 

これが先の過去記事の主要な内容でした。
 

上記のように,荷電π中間子:π±の寿命は,10-8秒で

あるのに対して,前記事で見たように,中性π中間子:π0

寿命は, 10-17秒と極めて短いようです。
 

これは,荷電πの崩壊が弱いβ崩壊相互作用であるのに対して, 

π0の主要な崩壊:π02γは中間状態に強い相互作用プロセス 

を挟んでいても,比較的強い電磁相互作用によるためでしょう。
 

電荷を持ったπの崩壊が弱い相互作用により,電荷を持たない

中性のπ0の崩壊が電磁相互作用によるというのは皮肉な話では

あります。
 

PCACの項で,π→ μν~ の崩壊振幅において, 

<μν~|π> ~ <μν~|NN~><NN~|π 

なる核子Nの中間状態を仮定しました。


 

同じように,π0 2γの崩壊振幅を, 

2γ|π0> ~ <μν~|NN~><NN~|π0>とすれば,

この崩壊反応は次のように図示されます。
 

これは,中間内線のNを実際の核子と仮定した図ですが,Nを 

(,)(,)クォークで置き換えると,最近のQCD理論に

準ずる図になるでしょう。
 

そのうちでも,特に,π02γ崩壊に効くのは三角グラフの

寄与であり,それもアノマリー項以外の寄与は無視できる,

というものですから,



  
40年前の学生時代に初めてこの理論に接した頃は,

アノマリーというのは正に異常項であって,何らかの方法

で克服され削除されるべきもの」と先入観で捉えていたため.

現実の粒子の崩壊現象の説明に不可欠ものであると認識

したときには不思議なことと驚いた記憶があります。

さて,パリテイがマイナスの擬スカラー粒子である

π中間子,元々自発的対称性の破れのために出現する

はずの「南部-Goldstone粒子」1つとされています

から,その時点では質量はゼロです。
 

しかし,中性πの場合,質量を無視してゼロとすれば,崩壊率

ゼロ(π(0)=0 より)であり,アノマリーがないなら崩壊

禁止なので,π0は完全に安定な粒子ということになり,これは

実験事実に反します。
 

自発的対称性の破れの後,さらに残る対称性として質量ゼロ

では成立していたカイラル対称性が破れて,μ~ 135MeV程度

の質量を獲得した後にも,破れが小さくてFπ(μ2/2)

π(0)で近似し,PCACの「低エネルギー定理」が適用

できて,アノマリーこそがπ0 2γの崩壊率への寄与に結び

付くのである,という結論は,ここまで展開してきた場の理論

やくり込み理論等の方法論としての正しさを示す証拠かも

しれません。
 

さて.p,nクォークによるπ0(pp~-nn~)/2なる

表現対して,アノマリ-の重みSはカラー自由度の3を

掛けて,S=(1/2){(2/3)2-(1//3)2}×31/2であることを

見ました。
 

荷電π中間子では,π=np~であり,対応する軸性ベクトル 

カレントは,5μ(5 1μi5 2μ)/2 

(1/2)~γμγ5p+√2(σ∂μπ-πμσ)

+√20-1μπ0 でしたが,そもそも.π崩壊では2光子放出

という電磁頂点を含む三角グラフの介在は.最低次では不可能

なので,π崩壊にはアノマリーは無関係です。
 

しかし,π0でなくても中性中間子なら三角グラフが寄与する

ことが可能なはず「です。

例えば,η0中間子は,η0(pp~+nn~2λλ^)/6

表わされ,π0(pp~-nn~)/2のアナロジーで,Sは 

S=(1/6){(2/3)2(-l/3)22(-l/3)2}×31/6となります。
 

観測によると,質量はμη0 548MeV,μπ0135MeVであり,

計算評価すると 

ωη1/τη 7.6eV×(μη/μπ)3×(1/3) 170eV です

しかし,これは,η0崩壊の実験値(Primakoff効果)

324 MeVの約1/2倍ですから一致すると見るかどうかは

微妙です。

(※ここの計算は「ゲージ場の量子論()(九後汰一郎著)

参照して,ほぼ丸写ししました。)
 

(※私見では,上記考察では重みSはSfiへの寄与であり,

崩壊率ωは|fi|2に比例するため,崩壊率への重みはSで

なくS2で効くので,(1/3)じゃなく(1/9)を掛けるべきで,

結果,ωη1/τη 57MeVとなって上記の170MeVより,さら

に実験値の320 MeVからの差が大きくなるようです??。)
 

「ゲージ場の量子論()」によれば,アノマリーというのは

系のLagrangian,γ5を含むカイラルな項がある場合,

謂わゆるBRS対称性が成立せず,次元正則化や経路積分量子化

によっても.ゲージ不変,かつ,くり込み可能な処方が不可能

であることの反映であり,

 
対応原理で見られるような古典方程式から逆に
量子論の波動

方程式を導く正準量子化からの帰結であるWard恒等式のような

ものでも,紫外発散を伴なうような量子論的扱いでは正則化に

おいて破れが生じる現象を意味するようです。
 

ここで終わります。

(参考文献):

1.lectures on Elementary Particles and Quantum  

Field Theory(1970 Brandeis University SummerInstitute  

in Theoretical Physics) Volume

2. 九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論()(培風館)

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