2019年8月26日 (月)

光の量子論(1)

※今回は,長年の糖尿病の末に心臓病となり,

2007年4月に心臓手術を受けて,私が心不全

の障害者になった頃より,約1年前のまだ普通

に仕事をしていて,ブログを始めた2ヶ月後の

2006年5/28頃の読書ノートからです。

 

2019年の今は新しく継続的に本を読んでノート

にまとめる,という作業は,視力の関係で困難と

なってきていますが,本を読める程度の視力が

あった2016年頃までは新しいノートも続々と

できていました。(※ 私の本格的に読んで理解

しようとする行為は,まさに写経ですから。※)

 

ブログを始めた56歳の2006年3月以前に作成

したノートたちの回顧録だけじゃなく,それ以後に

好奇心で,さらに読み学んだことも書いてきました。

 

まだ,命があって,機会があればこれはと思うモノ

については,またブログで回顧したいと思います。

 

第1章Planckの放射法則とEinstein係数

  • 1.1 空洞内の場のモードの密度

電磁放射は,空洞内に閉じ込められているものと

考えると好都合です。

すなわち,理論的な扱いでは,対象空間を有限範囲

に制限することが役に立ちます。

ただし,これは方便です。一般に,計算結果が空洞

の大きさ,形,性質に依存することはないからです。

 

そこで,対象を一辺がLの立方体空洞に選んでいい

です。そして,空洞の壁は完全な導体であるとすると,

電場の接線成分はゼロというk境界条件を満たす

べきです。(さもないと壁に電流が流れてしまう

からです。)

 

Planckの法則は,温度Tで熱平衡になっている

空洞内部の電磁放射のスペクトル分布を表わした

ものです。

この放射は黒体放射(黒対輻射)と呼ばれています。

 

さて,真空中の電場は,光速をcとすると,

それは,

波動方程式:∇2=(1/c2)(∂2E/∂t2)(1.1)

とMaxwell方程式,および,横波条件:

==0.(1.2)を満たします。

 

境界条件を満たす上記方程式の解を,

(,t)

=(E(,t),E(,t),E(,t))

と書くと,成分は次のように表わされます。

(,t)

=E(t)cos(kx)sin(ky)sin(kz)

(,t)

=E(t)sin(kx)cos(ky)sin(kz)

(,t)

=E(t)sin(kx)sin(ky)cos(kz)

(1.3) です。

 

ただし,

(t)=(E(t),E(t),E(t))

は,位置には無関係な時間依存ベクトルです。

そして,波動ベクトル:=(k,k,k)

は,境界条件故に次の成分を持ちます。

=πν/L,k=πν/L,

=πν/L.(1.4)

;ν=0,1,2,..(1.5) です。

 

そして,整数=(ν)の成分は

3つのうちの2つがゼロだと無意味なゼロ解

となるので,1つの成分しかゼロになることが

できない,という制限を持ちます。

 

さらに,∇==0.(1.2)という条件は,

解に,kE(t)=0.(1.6)という束縛条件

を与えます。これは(t)がに垂直である

という条件であり,それ故,が決まると,

これに対して(t)には特別な方向が存在する

ということになります。

(kに垂直な2つの偏り方向です。)

 

整数の組:(ν)の各々は,空洞内

の放射場の1つのモードと定義されるモノを

定めますが,2つの偏りを考慮すると,この1つ

のモードには2つの自由度が対応します。

 

電磁場の励起は全て,これらのモードの場の

線型和で表わすことができます。

 

ここで,求めたいのは,波動ベクトルの大きさ

がkとk+dkの間にある場のモード数を

与える式です。

 

これは丁度半径kとk+dkで囲まれた

8分球殻内の格子点の数に等しいはずです。

そこで,求める個数は,

(1/8)(4πk2dk)×(π/L)-3×2  .(1.7)

と書けます。

場のモードの密度:ρdkは,上述の範囲内

に,その波動ベクトルを持つ空洞の単位体積当り

のモード数として定義されます。

よって,(1.7)から,ρdk=(k22)dk.(1.8)

となります。これは一般に成立する式であり,これ

を導く際に用いた特殊な空洞の実体とは無関係です。

 

一方,角周波数ω=2πνは,波数k=2π/λ,

および,光速c=νλと合わせてω=ck.(1.9)

なる関係があります。

 

それ故,ωとω+dωの間にあるモードの密度

ρωdωを,(1.8)のρdk=(k22)dkから

求めると,ρωdω={ω2/(π22)}dω.(1.10)

と変換されます。

 

こうして,体積Vの中のモードの総和,Σ

を積分:∫(Vk22)dk,あるいは,

∫{Vω2/(π22)}dω.(1.11)に置換して

いいことになります。

 

  • 1.2 場のエネルギーの量子化

次に,第2段階として,温度Tの各々の場の

モードに蓄えられたエネルギー量を決定します。

 

電場の時間依存性は,(1.1)の波動方程式:

2=(1/c2)(∂2E/∂t2)に,(1.3)の

モード解を代入し.ω=ckを用いることで得られ,

2(t)/dt2=-ω2E(t).(1.12)となります。

これの各周波数ωが正と限定した解は次の形です。

E(t)=E0exp(-iωt) .(1.13)

 

※(注:1.1):(1.13)は数学的で形式的な複素表現の

解です。これとは独立にE0exp(iωt)なる解も

あります。

しかし,もちろん,現実の電場は実数であるべき

ですから.E0exp(-iωt),E0exp(iωt)という

独立解の代わりに,それらの線型和で実数となる

独立解:E0cos(ωt),E0sin(ωt)を採用すべき

とも考えられますが,必要なら適宜実部を取ると

して,この形のまま,複素電場ということで議論

を先に進めます。(注:1.1終わり※)

 

ところで,古典電磁気学によれば,

時刻tに空洞内の電磁場が持つエネルギー

は,(1/2)∫(空洞)0220)dV (1.14)

で与えられることがわかっています。

 

ただし,,はそれぞれ実電場,実磁場であり,

ε00は,それぞれ,真空の誘電率,透磁率です。

そして,これら真空の誘電率,透磁率は,光速cと,

c=1/(ε0μ0)1/2>(1.15)なる関係にあります。

 

今,考えている場のモードについての複素電場

はモード解(1.3)において,その時間依存の係数

が,(1.13)の]複素解E(t)=E0exp(-iωt)と

いう形で与えられる,とします。

 

振動の1サイクル:T=2π/ωの間のエネルギー

の変化は,一般に測定には影響されないので,便宜上,

振動の1サイクルについて場のエネルギーを平均

したものを,場のエネルギーrとして採用すること

にします。

 

ここで,必要な次の定理を与え,証明しておきます。

※[サイクル平均定理]:

exp(-iωt)の形で時間変動する2つの複素数

をA,Bとすると,A,Bの実部の積を振動の

1サイクルについて平均したものは.この平均

を記号:< >で表わすと,

<(ReA)(ReB)>=(1/2)Re(AB)(1.16)

である。

 

(証明):A0,B0を実数として,

A=A0exp(-iωt),B=B0exp(-iωt)と

おくと,ReA=A0cos(ωt),ReB=B0cos(ωt)

なので,(ReA)(ReB)=A00cos2(ωt)です。

 

故に,1周期:T=ω/(2π)についての平均は,

<(ReA)(ReB)>

=(1/T)∫0[(ReA)(ReB)]dt

=(A00/T)∫0[{1+cos(2ωt)}/2]dt

=(A00/T) [t/2+sin(2ωt)/(4ω)]0

=A00/2 となります。

一方,AB=A00ですから,結局,

<(ReA)(ReB)>=AB/2 を得ます。

(証明終わり)

 

さて,真空中の磁場は,電場と次の

関係式:∇×=-∂/∂t.(1.17)を

満たします。

 

そして,モード解(1.3)を再掲すると,

電場:=(E,E,E)の陽な形は,

=E(t)cos(kx)sin(ky)sin(kz)

=E(t)sin(kx)cos(ky)sin(kz)

=E(t)sin(kx)sin(ky)cos(kz)

です。

 

また,Bの時間依存部分:B(t)は,Eと同じ

モードでは,B(t)=B0exp(-iωt)の形である

はずなので,∂/∂t=-iωB を満たします。

 

それ故,このの具体的な形から,∇=0は,

x(t)+ky(t)+k(t)=0

を意味します。

一方,∇×E=-∂/∂tのx成分は,

∂E/∂y-∂E/∂z=-∂B/∂t

ですが,これは,

(k(t)-k(t))

×{sin(kx)cos(ky)cos(kz)}

=-∂B/∂t を意味します。

 

そこで,電場,磁場の時間係数部分:E(t),

(t)のみに着目すれば,∇=0,

および,∇×=-∂/∂tは,

それぞれ,kE(t)=0,および,

k×E(t)=-∂(t)/∂t と読み換

えられます。これらについては前にも指摘

していますが,具体的に検証しました。

 

ここで,k0=0より,kとE0は直交して

いるため,|k×0|=kE0です。

また電場と磁場の時間依存性の具体形:

(t)=0exp(-iωt),および,

(t)=0exp(-iωt)を考慮します。

 

 

すると,k×E(t)=kE0exp(-iωt),

=-∂(t)/∂t=iωB0exp(-iωt)

となりますが,この等式の実電場,実磁場

の意味での対応を書き下すと,,

kE0cos(ωt)=ωB0cos(ωt),および,

-ikE0sin(ωt)=iωB0sin(ωt)

です。

 

したがって,振幅の比較では,

kE0=ωB0なる関係式を得ます。

それ故,B0=(k/ω)E0

=E0/c=(ε0μ0)1/20.(1.18)です。

 

すなわち,振幅についてB020=ε002

なので,20=ε02と結論されます。

つまり,場のエネルギーへの電場と磁場の

寄与は全く同じです。

 

以上から,場のサイクル平均エネルギーは,

<(1/2)∫(空洞)0220)dV>

=(1/2)∫(空洞)ε0|(r,t)2|dV.(1.19)

となることがわかります。

ただし,ここでの(r,t)は実電場ではなく

複素電場を意味します。

 

※ここでPlanckの量子仮説を導入します。

(1.13)の(t)=0exp(iωt)の0は,どの

ような大きさでもいいので,古典論では(1.19)

で与えられる場のエネルギーは,正でありさえ

すれば,どんな値でも取ることができます。

しかし,電場E(t)は調和振動子の方程式:

2(t)/dt2=-ω2E(t)を満たしていて,

これは,量子論では調和振動子のエネルギーは,

=(n+1/2)hcω(n=0,1,2.).(1.20)

という離散的値しか取ることができません。

 

そこで,電磁場を各モードが調和振動子であり

電磁場全体は振動子の集合体であると見なして

量子化すると,(1/2)∫(空洞)ε0|(r,t)2|dV

=(n+1/2)hcω.(1.21)と書けます。

 

この条件は,Eの振幅E0が取り得る大きさを

制限します。しかし,当分は電磁場は量子化せず,

半古典的に扱い,後の第4章から全体を量子力学

の系として扱いに戻ることにします。

 

ここでは,Planckの法則の説明に必要なので,

量子論的議論を続けます。

 

n=0のときの基底状態でのエネルギー:hcω/2

は,零点エネルギーといわれます。

また,モードの電磁エネルギーが.n番目の

n=(n+1/2)hcωにあるときには,第n励起

状態にあるといいます。

 

量子化された場理論では,量子数nが1だけ

増加(減少)したときには光子が1個生成(消滅)

したといわれます。

 

  • 1.3 Planckの法則

温度がTで熱平衡にあるときに.モードの振動子が

第n励起状態に熱的に励起されている確率をP

すると,これは,通常のBoltzmann(ボルツマン)因子

を用いて,P=exp{-E/(kT)}

/[Σexp{-E/(kT)}].(1.22)で与えられる

と考えられます。

 

これにEn=(n+1/2)hcωを代入して.

U=exp{-hcω/(kT)}.(1.23)とおけば,

分子,分母でhcω/2に関わる項は相殺されて

=U/(Σn=0) (1.24)と書けます。

 

ω>0で,U=exp{-hcω/(kT)}<1なので、

Σn=0=1/(1-U).(1.25)となりますから,

=(1-U)U.(1.26)を得ます。

 

そこで,温度Tにおける平均光子数(励起準位数)

<n>は,<n>=Σn(nPn)=(1-U)Σn(nU)

=(1-U)U・(∂/∂U)[Σn]

=U/(1-U).(1.27)です。

これに,U=exp{-hcω/(kT)}.を代入して,

<n>=1/[ exp{hcω/(kT)}-1](1.28)

を得ます。この注目すべき結果が,

「Planckの熱励起関数」と呼ばれるものです。

 

ここで,(1.18)式のωに対するモードの密度:

ρωdω=ω2dω/(π23)と,上記の(1.28)から

零点エネルギーを無視して,温度Tでの平均の

電磁エネルギーは<n>hωであるとすると,

温度Tでの平均の電磁エネルギー密度を,

(ω)dωと定書くとき,これは,

(ω)dω=<n>hcωρωdω

=<n>hcω3dω/(π23)であり,

 

結局,,

(ω)dω={hcω3/(π23)}dω

/[exp{hcω/(kT)}-1].(1.29).

となります。

これが放射エネルギー密度: W(ω)に

対する有名な「Planckの法則」です。

 

Planckの法則は高温と低温では少し簡単な

形になります。

まず,(kT)>>hcωのときは,

(ω)~ ω2T/(π23).(1.30)です。

これは,1900年にRaylei(レーリー)によって

導かれた放送であり,h→ 0 の極限です。

 

一方,(kT)≦hcωのような低温では,

(ω)

~{hcω3/(π23)}exp{-hcω/(kT)}

(1.31)となります。これはWienの公式です。

 

(1.29)をωで微分してゼロと置きます。

0={hc/(π23)}

(-{hcω3/(kT)}exp{hcω/(kT)}

+3ω2[exp{hcω/(kT)}-1])

/[exp{hcω/(kT)}-1]2.です。

故に,{3-hcω/(kT)}exp{hcω/(kT)}

=3で,これが成立します。

よって,これはhcω/(kT)~2.8で成立します。

 

それ故,hcωmax~2.8kT.(1.32)を満たすωmax

で,エネルギー密度分布が最大になります。

これをWienの変位則といいます。

 

空洞内の光子(放射電磁波)の全エネルギー密度

(単位時間,単位面積当りの放射エネルギー)は,

0(ω)dω=∫0dω({hcω3/(π23)}

/[exp{hcω/(kT)}-1])

={k44/(π23c3)}

×∫0[x3/{exp(x)-1}]dx

=π244/(15c3c3).(1.33)となります。

※ここで,ゼータ関数の考察から,

0[x3/{exp(x)-1}]dx=π4/15となる

ことを用いました。

 

放射の全エネルギー密度がT4に比例する

というのは1879年に定式化された,

Stephan^Boltzmann(ステファン・ボルツマン)

の放射法則です。

 

(,t)を空洞内の放射場の全てのモード

から成る温度Tの全電場とすると,

0(ω)dω

={1/(2V)}∫(空洞)ε0|(,t)|2dV

(1.34)が成立しています。

 

(参考文献):Rodney.Loudon著

(小島忠宣・小島和子共訳)「光の量子論第2版」

(内田老鶴舗)

 

※例によって参考文献とか言いながら,元の著書

そのままの丸写しじゃないか。との批判がある

かも知れませんが,まあ,私自身の自己満足の

ウェブ日記でもあり,それでも,この種の専門書,

はそのまま読んでも浅学者には意味不明の不親切

な箇所がありがちで,私としては,そこを自分なりに,

わかりやすく書き下したつもりです。

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2019年8月 8日 (木)

光源(電球・蛍光灯・LED)(1)(電球)

前回は素朴な疑問としてエアコン,冷蔵庫などの

主要システムである熱交換器に関わる話をしました。

 

今回は,まず,世間ではエジソンが創ったと思われている

けれど,最初に発明したのはスワンという人物でエジソンは

フィラメントとして適切な物質の竹などを用いて実用化した

とされている電灯,白熱電球の話から始めて,蛍光管からLED

(発光ダイオード;ight emitting diode)まで,回路の電流に

より光(可視周波数帯の電磁波)が発生する原理を考察します。

 

今回の第1弾は,単純な電灯,電球です。

全体のストーリーは,次の通りです。

 

電気が流れて回転して戻ってくる回路という

モノを考えます。電気の通り道の役割をする導線

で回路をつくり,途中にロスに対抗して恒常的に

電流を流す電流源としてエネルギーを供給する

電池のような,「起電力」を持つ機器を挿入した

電気回路を想定して考察します。

 

 ただの電気の通り道として,は銅のように電気抵抗

が小さくエネルギーロスの少ない材質の金属導線を

使用し,逆に「ジュール熱」の発生を促して,それを

有用な機器として利用したい部分には,その用途に

応じて,ニクロムやタングステンなど抵抗が大きい

材質の導線をつなぎます。

 

発生した熱は,それを完全断熱の理想的保温容器

に閉じ込めない限り,伝導,対流.放射(輻射)によって

次第に逃散してゆきます。

特に,熱を得て有限な温度を持つどんな物体からも,

黒体輻射のプランク分布に比例した,波長-強度対応

で,多かれ少なかれ,あらゆる波長(周波数)の電磁波

を放射します。

この色-温度関係が黒体でない一般物質でも黒体

輻射のそれに形としては比例する,という性質が

「キルヒホッフの法則」として知られています。

 

放射される電磁波(光子)は波長が短かい方から

(周波数が高い=エネルギー大きい方から)順に

γ線,X線,紫外線,可視光線,赤外線.etc.という

名称が付いていますが,そのうち灯りとしての

使用目的で,可視光線が多く放射されることが

期待される抵抗導線部分を,外から見えるように

透明な壁で内部が真空な容器や希ガスの入った

容器を被せたモノが,(白熱)電球というわけです。

 

抵抗導線を閉じ込めても電磁波は内壁で完全反射

れない限り,透過して出てきますからね。

 

これだけのストーリーを説明するために,本ブログ

過去記事を再編集して「電気伝導まとめ(1),(2)」では.

「オームの法則」と「ジュール熱」発生のメカニズム

の詳細を,そして「黒体輻射(キルヒホッフの法則)」など

の過去記事を修正,再掲載して羅列しました。

これで全体説明の準備が完了したというわけです。

 

最終的には,平衡が保持されない放置の状態では

高温の物体からは(低温の物体でも)熱が逃げていくの

ですが,熱が失われてゆく手段には伝導,対流,放射しか

なくて,真空中や気体中に接触しないで逃げていく形態

は熱輻射(電磁波放射)の形だけです。

 

そして,それは先にも述べたように振動数(波長)に

よっては,赤外線,可視光,紫外線,X線と呼ばれる光線

を全て分布として含んでいるため,可視光も出ています

から,後は便利で効率よく利用できる機器に整えるだけ

です。

 

 

(※ 余談ですが空気や水の中で対流が起きるのは,

地球の重力(引力)のせいですね。一般に空気も水

も温度が高い方が軽く,低いほうが重いので,重力

落下で混合されるのは,高度が上の温度よりも下

の温度が高いとき,(気圧で言えば上空が高気圧で

低空の地上付近が低気圧のとき)でないと,対流は

生じません。

 

しかも,上の温度が低く,下の温度が高くても

温度差が小さい場合は,空気や水自体は静止して

いて,熱伝導だけの熱移動で,平衡状態を保つのに十分

なので対流は起きず,気象の意味では大気が安定した

状態にあるといわれます。

 逆に,地上が熱せられたりして,上下の温度差が大きく

なると,熱伝導だけでは熱移動が不十分になり,熱を持つ

空気や水自身も移動する必要性が生じて対流が起きると

いうわけです。

 

温度差がかなり大きいと急激な下降気流が起きます。

しかし,一方的に下降し続けるということはないので,下降

気流と上昇気流は,必ずセットで起こり,これが大気不安定

なときの対流現象です。

(※本ブログ過去記事「ベナール対流」参照)

 

水の場合,昔は岡山県の田舎の実家では五右衛門風呂

をマキで炊いて沸かしていたのですが,偶の一番風呂だと

上面が熱くても,その下は水のまま,ということもあって

まず,かき回して人工対流を起こしてから入ったのが昭和

30年頃のなつかしい思い出です。(以上,余談終わり※),

 

さて,全体のストーリーよりも少しだけ詳しく本題

を要約します。

 

まず,電気回路に電気を流すと,一般に導線部分には,

それが超伝導体でない限り,ゼロでない電気抵抗という

ものがあり,その大きさをオーム(Ω)という単位でRと

書くとき,回路に挿入した直流起電力,または,抵抗を

挿入した部分の端子間電圧(電位差)をV(ボルト)とし

そこを流れる電流をI(アンペア)とすればV=IR

という関係式が成立する,という「オームの法則」が

あります。

 

「電気伝導まとめ(1),(2)」では2006年6月の一連

の電気伝導の過去記事:「電気伝導(オームの法則)」

「電気伝導(つづき1)(ジュール熱)」,および,

「電気伝導(つづき2)(衝突の正体)」を再整理して,

アップし直しました。

 

「オームの法則」では,ブラウン運動などを規定する

確率過程で現われる,ラン・ジュバン(Langevin)方程式

m(d/dt)=-γ(t)という方程式が

ありますが,これのアナロジー的理論を展開しました。

 

この方程式は,水中で花粉が複雑な運動をする

のを,花粉の質量をm,速度をとして運動方程式

を立てたものです。

 

(-γv)は水の粘性抵抗を表わしたものですが

これは,水などの流体中に,ある半径aの小球がある

と仮定すると,巨視的に連続体と見なされた流体の

流れが遅いときには,これを変形速度が応力に比例

する,というNewton流体で近似して,接線応力のため

ηを粘性率として,小球は6πηaという値で評価

されるに比例した抵抗力を受けるという,

「ストークス(Stokes)の法則」の表現です。

(※ ↑2007年7/27,7/28の本ブログの過去記事:

「遅い粘性流(1),(2)(Stokes近似)」参照※)

 

また,水とは独立に花粉だけが受ける外力があれば,

それをFとします。

 

そして,普通量の水は微視的には莫大な個数の水分子

の集まりですから,花粉がそれらの水分子と絶えず

衝突することで受けると考えられる,我々には

確率的にしか評価できないと思われる乱雑な水の

分子運動由来の力をR(t)と書くとき,Newtonの

運動方程式は,巨視的見地,微視的見地を折衷した形

で,先述のLangevin方程式:

m(d/dt)=―γ(t)

で与えられると考えたわけです。

 

これは花粉に限らず,流体分子と比較できる

サイズの微粒子が水や空気などの流体中で複雑

なジグザグ運動をするのを,発見した人物の名を

とって「ブラウン運動」と呼びますが,これは

時間的に確率が変動する確率過程という現象の

解析に用いられる方程式です。

 

今の電荷の運動では,対象媒体の金属は常温では固体

であり,流体ではないですが,微視的には格子状に並ぶ

金属原子の集まりですから,金属原子の束縛から解放

された電子たちが陽イオンの海を流れるという描像で

流体中の微粒子のアナロジーとして考えます。,

 

電場がある場合の金属固体中の電荷eの電子

なら,金属格子の運動に起因するランダムな力は

平均的にはゼロで(t)=0であり,また,=e

です。(※Eは電場です。)

 

そして,巨視的な変形速度が応力に比例する粘生抵抗:

-γは,原子の束縛から解放された電子が古典論的

には陽イオンのイオン芯と衝突するとされ,量子論的

にはイオンの格子振動波のフォノンと衝突して,その

過程での電子の平均の自由運動時間を緩和時間;τと

定義して導入すれば.(-γv)は(-mv/τ)に

置き換えられて,先のLangevin方程式は

md/dt=eE-m/τと変更されるわけです。

 

これを満たすイオンと電子流の系が十分時間が

経って平衡に達し,電流が一定:d/dt=0と

なった場合には,e=τe2E/mとなり抵抗部分

の全体積:(LS)(断面積S,長さL)の中にN個の

可動電子が電荷eで存在すれば,数密度:

n=N/(LS)を用いて.電流密度は=nev

=nτe2/m.であり,これをJ=σE,

σ=ne2τ/mと書けば,σは電気伝導率です。

電流Iは,S=σSEですから.R=L/(σS)

と置けば,V=ELで,I=V/R,つまり,V=IRとなり,

σ=ne2τ/mからR=mL/(nSe2τ)と,電気抵抗:

Rの値が評価されます。

こうした形でオームの法則:V=IRが成立

することが説明されます。

 

そして,次の「ジュール熱」の項では,

まず,ポテンシャル(電位)V()(ボルト)を導入

して,電気力をeE=-∇(eV) と書きます。

 

「オームの法則」の項で与えた運動方程式は,

md/dt+∇(eV)=-m/τとなり,両辺

を乗じた結果,エネルギーの時間発展方程式:

(d/dt){(m2/2)+eV}=-m2/τを

得ます。これは,つまり,力学的エネルギー:

{(m2/2)+eV}が抵抗の存在のために保存

されず,単位時間に電子1個当り,(m2/τ)の

率で損失(ロス:散逸)があることを意味します。

 

これは,電流が一定の平衡に達してd/dt=0

となってもd(eV)/dt=-m2/τという形で

位置エネルギーの損失という形で残ります。

 

力学的エネルギー損失率の(m2/τ)は,N個の

電子では,Nm2/τですが,電場が一定でその方向

がx軸正なら,V()=-Ex+(定数)ですから抵抗

端子間の電位差を単にV(定数)とすればV=ELです。

 

また,前と同様,数密度;n=N/(LS)で電流密度J

=nev=σE(σ=ne2τ/m)と書くことが

できて,電流は,I=JS=nSev=σSE,Vです。

 

それ故,IV=(nSev)(EL)=NevEですが,

=τe2/mより,逆に,E=mv/(eτ)なので

IV=NevE=Nmv2/τを得ます。

 

右辺は,丁度先に評価した単位時間当りの

全エネルギー損失に一致していますから,結局,

このP=IVが.単位時間に抵抗部分から散逸

してゆくエネルギーを意味します。

 

これは,もちろん,力学的エネルギーではなく,

熱というモノを発生させるエネルギーですから,

「ジュール熱」と呼ばれるものです。また,

いわゆる「消費電力(Power)」とも呼ばれるモノで

単位はワット(W=J/sec)です。

 

そして,次の「衝突の正体」の項目では,古典的には

電気抵抗の原因となる緩和時間τを生じさせる衝突

散乱が,キャリアである金属内の自由電子近似の電子

が陽イオン芯と衝突であろうと推測されたモノが,

 

実は,格子状に並ぶ陽イオンの周期的ポテンシャルに

弱く束縛された「ブロッホ電子」が,静止したイオンの

格子群ではなく,量子的にはフォノンと呼ばれる運動

する格子:格子振動波にり進路を曲げられる散乱の結果

であることを述べました。

 

 その過程で,固体物理学では,こちらの方がより重要

かも知れない,格子ポテンシャルの周期性が原因で,

ブロッホ電子の取りえるエネルギー準位がバンド構造

を持ち,結果,固体が絶縁体,半導体,導体の電気的性質

をとるメカニズムを説いた「バンド理論」の概略に

ついても記述しました。

 

そして,また,超流動,超伝導現象の主因となるらしい

「ボーズ・アインシュタイン凝縮」の話や緩和時間の

定義を与える「ボルツマン方程式」についての過去記事

を復習しました。

 

「黒体輻射とキルヒホッフの法則」では,有限な空洞

(箱)の中にある絶対温度Tの物体からは,熱平衡では強度

の周波数(波長)への対応が,黒体輻射のプランクの分布に

比例した形で電磁波が放射(輻射)されることを述べました。

熱平衡になくても,温度が安定していれば,ほぼ同じです。

 

今回はこれで終わりです。

 

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2019年8月 5日 (月)

スゴイ!! ヒマワリちゃん。。。世界一

夜中に大興奮。。渋野日向子さん。。

全英女子オープンゴルフ優勝!!

キャディー兼コーチとのペアで談笑する姿に

テニスの大坂なおみちゃんとサーシャコーチが重なった。。

日向子(ひなこ)ってなかなか変換されない。

向日葵の葵をとって文字を逆転。

ウーン。。スマイリング」シンデレラ?よりヒマワリちゃん,でいいじゃないか。。

モグモグはかわいかった。。

メガネかけるとアニメの金田一クン。。テレ朝の大木優紀アナにも似てる?

2018年春先まで来ていた,訪問看護のS牧さんにも似ています。

※ PS:私と同じ岡山県出身とは知りませんでした。

私は亡父は明石,亡母は和歌山の出の関西人ですが,

私は岡山県は玉島市(現倉敷市)の生まれで,中高は金光学園という学校でした。

岡山ってのは有名人は少ないですね。。

隣の広島県は,首都圏以外では九州(特に福岡)と並んで

東京でヒトハタ上げようとするヒトが多いみたいですが。。

岡山は,まあ,変人が多くて思いつくままに有名人を羅列すると

古くは剣豪の宮本武蔵,絵画の竹久夢二,哲学者の三木清,政治家の犬養毅,

物理学者の仁科芳雄博士や将棋の大山十五世名人とかが有名かな。。

スポーツでは,古いけど水泳の木原美知子,。

マラソンの有森裕子,体操の森末慎二,フィギュアスケートの高橋大輔。

プロ野球なら平松,松岡,星野の巨人キラーの投手陣。。

野手なら大杉に川相くらい。。そうそうボクシングの辰吉丈一郎

芸能人なら,志穂美悦子,大橋恵理子や,元イエローキャブのメグミ,

よく知らないが,岩井志麻子(小説家?),男優では,長門勇や宅間伸

悪役商会で元プロ野球選手で最近亡くなった青汁コマーシャルの誰だっけ

芸人では島田洋八や次長・課長の河本,ブルゾンちえみや千鳥の2人くらい

イヤー。。渋野ちゃんはピカ一ですね。。。

 

 

 

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2019年8月 3日 (土)

ボルツマン方程式と緩和時間

表題のテーマについて詳細に説明すると約束して

いましたが,これについても本ブログの2008年に

関連の過去記事があったので,今回はこれらの記事

を再掲載することから始めます。

 

※以下,まず,再掲記事第1弾:2008年11/2にアップ

した古典統計力学においての考察記事です。

 

表題「ボルツマン方程式とH定理」

 

今日は,不可逆過程の要因解明の関連で.

「ボルツマン(Boltzmann)方程式」と

「ボルツマンのH定理」について述べたい

と思います。

 

 まず,質量がmで全分子数がNの気体が速度

v+dvの間にある粒子数の分布をf()d

します。

 

簡単な考察によって,絶対温度Tで熱平衡状態に

ある場合,f()はMaxwell-Boltzmann分布,つまり,,

f()=N[m/(2πkBT)]3/2exp[-m2/(2kBT)]

に従うことがわかります。

 

これは,∫f()d=Nと規格化しています。

 

次に,同じ気体分子が非平衡状態にあるとして,

その分布関数を位置と速度,および,時刻tの

関数としてf(r,,t)と表記します。

 

つまり,時刻tに+d,+d

ある分子数をf(,,t)dとします。

これも,∫f(,,t)d=Nと規格化して

おきます。

 

 このとき粒子の衝突を無視した自由運動による

各位置の近傍での粒子数の保存を示す連続の方程式

は,∂f/∂t+∇f=0 となります。

 

これはリウビル(Liouville)の方程式を分布関数で

与えたものとなっています。

 

 しかし一般に非平衡状態では衝突による粒子数変化

による「湧き出し項」として.衝突項が存在して連続

の方程式は∂f/∂t+∇f=(∂f/∂t)coll

なるはずです。

これを「ボルツマン(Boltzmann)(輸送)方程式」

と呼びます。

 

そして,ある時刻tに速度’と1’をもつ粒子対が

衝突して単位時間に速度1との粒子対となって,

+d,11+d1領域に

入ってくるプロセスの頻度を,

σ(,1|’,1’) とします。

 

これと全く逆に,+d,11+d1領域

から出て行くプロセスの頻度を

σ(’,1’|,1) とします。

 

すると,衝突(湧き出し)項は,

(∂f/∂t)coll

=∫σ(,1|’,1’)f(r,’,t)

×f(,1’,t)d1’d1

-∫σ(’,1’|,1)f(,,t)

×f(,1,t)d1’d1

になると考えられます。

 

 ところで力学の時間反転に対する対称性

から,1から’と1’に変わる頻度は,

’と-1’から-と-1に変化する頻度

に等しい。ということがいえます。

 

つまり,σ(’,1’|,1)

=σ(-,-1|-’,-1’)

と考えられます。

この等式を「衝突数算定の仮定」といいます。

 

 さらに座標軸の向きを逆転させても,こうした

プロセスの頻度は同じと考えられるので,

σ(-,-1|-’,-1’)

=σ(,1|’,1’) 

も成立するはずです。

 

そこで,結局

σ(,1|’,1’)=σ(’,1’|,1)

としてよいと考えられます。

 

 ここで略記法として,

f=f(r,,t), f’= f(,’,t),

1=f(,1,t),f1’≡ f(,1’,t)

と置くことにすれば,

衝突項は,(∂f/∂t)coll

=∫σ(,1|’,1)( f’f1’- f f1)

1’d1’と簡単になります。

 

気体分子の衝突は,弾性衝突と考えてよいので,

衝突1の前後でエネルギーも運動量も保存されると

考えられるため,1’+1’かつ,

2+v12=v’2+v12 以外の場合には.

σ(,1|’,1)=0 です。

 

 Boltzmann方程式が「不可逆過程」を記述している

ことを示すために,ここで「ボルツマンのH関数」

という関数:Hを.

H(,t)=∫f(r,,t)logf(r,,t) d

で定義します。

ここでlog=ln (自然対数)lnを意味します。

 

 このとき,∂H/∂t=∫(∂f/∂t)(logf+1)d

と書けますが,これにボルツマン方程式:

∂f/∂t+∇f=(∂f/∂t)coll を代入すると,

∂H/∂t=∫(logf+1)[-∇f+(∂f/∂t)coll ]

=-∇[∫∇(flogf)d]

+∫(logf+1)(∂f/∂t)coll

となります。

 

この右辺で,1×(衝突項)の部分の積分は,

∫(∂f/∂t)coll

=∫σ(,1|’,1)( f’f1’- f f1)

1’d1’です。

 

これは,σ(,1|’,1)の,

,1,’,1’の粒子交換に対する対称性

と.( f’f1’- f f’)の交換反対称性から,

ゼロとなります。

 

したがって,Hの流れとして

H∇(flogf)dを定義すると,

∂H/∂t+∇H

=∫[(logf)(∂f/∂t)coll]d

となります。

 

これは,ボルツマンのH関数の.流出入以外の

正味の生成である,dH/dt=∂H/∂t+∇H

が,∫[(logf)(∂f/∂t)coll]dで与えられる

ことを示しています。

 

そして,∫[(logf)(∂f/∂t)coll]d

=∫[(logf)σ(,1|’,1)( f’f1’- ff1)]

1’d1’です。

 

この式の右辺は,

∫[(logf1)σ(1,|1’,’)

×( f1’f’- f1 f)]d1’d1’,

∫[(logf’) σ(’,1’|,1)

×( f f1-f’f1’)]d1’d1’,

∫[(logf1’)σ(1’,’|1,)

×( f1 f-f1’f’)]]d1’d1

の全てと等しいことになります。

 

しかも対称性からこれらのσは全て等しいので

簡略してσ(,1|’,1’)を単にσと

略記することにします。

 

すると,∫[(logf)(∂f/∂t)coll]d

=(1/4)∫[σ( f’f1’- ff1)

×(logf+logf1-logf’-logf1’)]

1’d1

=(1/4)∫[σ( f’f1’- ff1)log(ff1/f’f1’)

1’d1

と書けることになります。

 

ところが,σは衝突頻度ですから,当然σ≧0 であり

しかも,(x-y)log(y/x)≦0 ですから,結局,

dH/dt=∫[(logf)(∂f/∂t)coll]d≦0

が示されたことになります。

 

つまりボルツマンのH関数は時間と共に,常に一定.

または,減少する,ということが示されたわけです。

 

こうして,時間反転不変=可逆な力学法則から,

どういうわけか不可逆変化が導かれました。

これを,「ボルツマンのH定理」といいます。

 

しかし,これに対しては,

「ロシュミット(Loschmidt=の逆行性批判」という

有名な反論があります。

 

すなわち,「ある瞬間に時間的変化を反転する,

つまり全粒子の向きを逆転させると逆にHは過去

に向かって減少する,または未来に向かっては増加

することになる。」という反論です。

これは,まことにもっともな話です。

 

こうしたさまざまな反論に悩んだ末に,とうとう

ボルツマンは自殺に追い込まれてしまったのです。

 

今考えると,実はH定理は確率法則による定理で

あり,例えば衝突頻度σに対して「衝突数算定の仮定」

が導入されています。

 

既に,「速度空間の大きい体積の方には,小さい体積

よりも粒子数が多いはずである。」などの等重率の原理

のような確率的構想が入っていて,単純な可逆的力学

法則からの確率概念的な飛躍があることに気づきます。

 

というわけで,確率法則としてボルツマンのH定理

の主張は正当である,と認めて問題ないと思います。

 

ところで,H関数は非平衡状態に対して与えられたもの

ですが,熱平衡状態は∫[(logf)(∂f/∂t)coll]d=0 ,

つまり,ff1=f’f1’であること,に対応します。

 

そして,このときはfをで積分したものが,速度vに

対するMaxwell-Boltzmann 分布を与えます。

 

平衡統計力学においてのみ定義され,数式的に

与えられるエントロピーSを計算すると,

これは,ボルツマンのH関数と.

S=-kB∫H(,t)d+(定数) という関係

にあることがわかります。

 

そこで、エントロピーの概念を拡張して,非平衡状態

でもエントロピーSをS=-kB∫H(,t)dで定義

すればよいのでは? と考えることができます。

 

「孤立系=(構成粒子の流出入のない系)では.

エントロピーは常に増加する。」という熱力学第2法則

は,平衡状態に対するボルツマンのH定理の言い換えに

過ぎない,ということにもなります。

 

(参考文献):

北原和夫 著「非平衡系の統計力学」

(岩波基礎物理学シリーズ)

エリデ・ランダウ 著「統計物理学」(岩波書店)

テル・ハール「熱統計学Ⅰ」(みすず書房)

 

(以上,再掲記事(1)終わり※)

 

(※次に,再掲記事第2弾 2008年11/8アップ)

表題「量子的ボルツマン方程式」

 

「古典的気体分子」ではなくて「金属内の自由電子」

という量子的”フェルミ気体“にボルツマン方程式;

∂f/∂t+∇f=(∂f/∂t)coll を適用すること

を考えてみます。

 

c=h/(2π)とすると,波数の電子波束の速度

=(群速度)は,k=(1/hc)∂εk/∂であり.の時間変化

は,外力として電場があるときには電子の電荷をe(<0)

として,d/dt=ehhcとなります。

 

そして,波数がの電子波束をフェルミ粒子として,

その分布関数をfkとすると,

「量子的ボルツマン方程式」は,

∂fk/∂t+k∇fk(∂fk/∂)=(∂fk/∂t)coll

となります。この左辺の第3項は,電場による波束の変化、

つまり,運動量;=hcの時間的変化による分布の変化

を示しています。

 

波数:’+d’と1’+d1’の間の電子波束対

が衝突して,単位時間に波数:1の波束対となり,

+d,11+d1領域に入ってくる散乱

の確率を,σ(,1|’,1’)d1’d1

とし,これと全く逆に+d, 11+d1

領域から出て行く散乱の確率を

σ(’,1’|,1)d1’d1

とします。

 

気体分子運動論のときと同様に,f=fk ,f1=fk1,

f’=fk’,f1’=fk1’と置くと,衝突前の波数:,

1の波束の減少は(ff1)にも比例しますが,衝突後

の状態:’と1’が占有されていないことが必要

なので,(1-f’)(1-f1’)にも比例します。

 

したがって,”衝突項”は,

(∂f/∂t)coll=∫σ(,1|’,1’)f’f1

×(1-f)(1-f1) d1’d1

-∫σ(’,1’|,1)ff1(1-f’)(1-f1’)

1’d1’ 

となる,と考えられます。

 

量子力学でも時間に関する可逆性,空間反転対称性

は成り立ち「衝突数算定の仮定」の統計的意味は,

量子力学自体が確率現象なので,さらなる重みを

持ちます。

 

それ故,(∂f/∂t)coll=-∫σ(,1|’,1’)

[ff1(1-f’)(1-f1’)

-f’f1’(1-f)(1-f1)]d1’d1’ 

となるはずです。

 

量子論でのフェルミ粒子系のエントロピーは.

S=-kB∫[flogf+(1-f)log(1-f)]d

ですから,このときのH関数は.

H=∫[flogf+(1-f)log(1-f)]d

と定義すればよい,と思われます。

 

古典論と同じように考察して,

dH/dt=∫[log{f/(1-f)}(∂f/∂t)coll]dk

=(1/4)∫σ[f’f1‘(1-f)(1-f1)

-ff1(1-f’)(1-f1’)]log[ff1 (1-f’)(1-f1’)

/{f’f1’(1-f)(1-f1)}]d1’d1

と書けます。

 

そこで古典的気体分子運動論と同じく,金属内の

「フェルミ気体」である自由電子の運動論でも,H定理:.

dH/dt=∫[log{f/(1-f)}(∂f/∂t)coll]dk≦0

が成立して,ぉれがエントロピーの増大則:dS/dt≧0

を保証します。

 

今度の場合では,熱平衡状態というのは,

∫[(logf)(∂f/∂t)coll]d=0 ,すなわち,

ff1/[(1-f)(1-f1)]

=f'f1'/[(1-f’)(1-f1’)]に対応しており,

fがフェルミ・ディラック分布:

f=1/[exp{(εk-μ)/(kBT)}+1]

に従うならば,この条件は確かに満足されて

います。

 

(参考文献):

北原和夫 著「非平衡系の統計力学」

(岩波基礎物理学シリーズ)

 

(以上,再掲記事(2)終わり※)

 

さて,「ボルツマン方程式」を古典論と量子論の両方

で定義し,考察した過去記事を上に紹介しましたが,

これらの主眼は,「ボルツマンのH定理」の数学的証明

を与えて解釈することにあり,「時間反転不変で可逆的

な1粒子の基本運動方程式から,多体系に移って統計的

に扱うときには,如何にして時間を逆行することができ

ないという巨視的意味での「不可逆性」が導入され,

正当化されるか?を述べた記事たちです。

 

では,最初,固体系内の電子が陽イオン芯であれ,フォノン

であれ,衝突して散乱される際,その衝突間に自由な運動を

する平均時間として導入され,定義された「緩和時間」と

いうのは,ボルツマン方程式の中ではどこに現われている

のでしょうか?

 

fを位置と速度,時間tの関数としての分布関数

とすると,素朴なボルツマン方程式は,

∂f/∂t+∇f=(∂f/∂t)coll ,

あるいは,∂f/∂t+∇f-(∂f/∂t)coll =0

で与えられるものでした。。

 

これに緩和時間の概念が入るとしたら当然,

衝突項:(∂f/∂t)coll の中でしょう。

 

緩和時間τは,たまたま,手にとった参考書によれば.

(∂f/∂t)coll­[f(,v)-f0]/τ

なる式で定義されるとあります。

ただしf0は電場などの外力が無いときの熱平衡状態

の分布関数(古典論ではMaxwell-Boltzmann分布,

量子論ではFermi-Dirac分布)であり,

右辺のf(,v)は電場Eなど外力があるときの,

左辺の分布関数f(r,v,)が,t→大で平衡に

達したときの分布てす。

 

(参考文献):

「量子物理学入門」(東京電機大学出版会),

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2019年8月 1日 (木)

再掲記事'5):ボーズ・アインシュタイン凝縮 関連

「電気伝導まとめ」では,本文内で出現した説明抜き

の専門用語で,後で詳述すると約束していたモノの

1つの「ボーズ・アインシュタイン凝縮」についても

本ブログの2006年の過去記事にあったので、それを

再掲載し,さらに追加の注釈を加えて説明とします。

 

残るは,「ボルツマンの(輸送)方程式」と緩和時間の

関係だけですね。

 

※以下は2006年10/11にアップした過去記事です。

表題 「ボーズ・アインシュタイン凝縮とゼータ関数」

 今日はボーズ・アインシュタイン凝縮

(Bose-Einstein condensation)

その評価式で現われるゼータ関数:ζとの少しの関係などに

ついて述べてみます。

非常に多数個=N個のスピンが整数のボーズ (Bose)粒子

(Boson)のみから成る系が絶対温度Tの状態rに存在する粒子

の個数:nは,量子統計力学によれば,ボーズ・アインシュタイン統計

にしたがって,=1/[exp(ε-μ)/(kT)-1] という分布式で

与えられます。

系の最低のエネルギー状態(基底状態)は,ε=0 準位ですから,

が負になるという有り得ない状況にならないためには,分母の

exp{-μ/(kT)}は.常に1より小さくはならない。という必要性

から,ボーズ粒子の場合には化学ポテンシャル:μは,正(非負)で

ある必要があります

※(追注1):ちなみにスピンが半奇数のフェルミ(Fermi)粒子

(Fermion),例えば,スピンが1/2の電子のようなDirac粒子

では,「同じ1つの状態には1個のFermi粒子だけしか入ることが

許されない。」という「パウリ(Pauli)の排他原理」(禁制原理)が

あり,状態:r にあるFermi粒子の個数は n=0,または,n=1の

いずれかです。

統計分布もスピンが整数:0,1,2..のボーズ・アインシュタイン統計

とは異なり,フェルミ・ディラック(Fermi-Dirac)統計:

=1/[exp(ε-μ)/(kT)+1] に従います。

 

ただし,実際にはスピン1/2の電子には,1つのエネルギー・運動量

固有状態には,スピン成分がアップ(+1/2)とダウン(1/2)の2つの

異なる状態(2自由度)があるため,電子2個まで入れます。

(注1終わり※)

 さて,多数のボーズ粒子の系に戻りますが,形の状態の

エネルギー準位密度をg(ε).つまり,εとε+dεの間の

エネルギー準位区間にある状態数がg(ε)dεであるとすれば,

これの化学ポテンシャルμは,総個数がNの条件:

0[{exp(ε-μ)/(kT)-1}-1g(ε)dε=Nから

決まることになります。

そして系の全体積をV,プランク(Planck定数) をhとすると,座標で

積分した後の半径がpの運動量空間のp~p+Δpの球殻の

位相体積要素は4πVp2dpです。

量子統計力学の意味では,位置座標qも含めた位相体積:

ΔqxΔqyΔqzΔpxΔpyΔpz=h3 当りに1つの割合で状態

が存在するため,状態密度は4π(V/h3)p2dpで

与えられますすが,自由粒子で考えるとき,

ε=p2/(2m),or p2=2mε なので.

2dp=(2mε)1/2mdε ですから,結局,

g(ε)=2πV(2m/h2)3/2ε1/2 を得ます。

それ故,(2πV/h3)(2mkT)3/2によって,定数:αが決定される

ことになります。

ただし,α=-μ/(kT)と置きました。

これは,μ≦0なのでα≧ 0 です。

ここで,1/{exp(x+α)-1}

=exp{-(x+α)}/[1-exp{-(x+α)}]

=∑n=1exp{-n(x+α)} なる展開公式

利用して積分を実行すると,

0dx[x1/2/{exp(x+α)-1}]=(π1/2/2)F[exp(-α)]

=(π1/2/2)∑(e-nα/n3/2)となります。

ただし,Fは,F(x)=∑(x-n/n3/2)で定義される関数です。

何故なら,∫x1/2exp(-nx)dx=-(d/dn)(π/n) 1/2

1/2/2)(1/n3/2) となるからです。

そして,F(e)が最大になるのは,明らかにα=0のときです。

すなわちF[1]=∑(1/n3/2)=∑(1/n3/2)です。

ここで,定義によって∑(1/n3/2)がゼータ関数のお値:ζ(3/2)

に一致することを用いました。 

そこで,先のαを決めるための条件式は

(2πmkT/h2)3/2F[exp(-α)]=(N/V) となります。

 そこで温度Tを下げていくとF[exp(-α)]が増加するしかない

ので,αは正の値からゼロに近づていくわけです。

しかし,これがゼロを超えて負になることはできないので,

その極限でのα=0のときの温度Tを臨界温度と呼んでT

書くと.(N/V)=(2πmk/h2)3/2ζ(3/2)

≒2.612(2πmkc/h2)3/2 なる関係式が得られます。

それ故,このTcよりも温度Tが低くなれば,もはや,

(2πmkT/h2)3/2F(e)=(N/V)からは物理的に意味の

ある化学ポテンシャルは見つからないことになりますね。

しかし,実は化学ポテンシャルμが負の値からゼロにをn0

すると,0=1/[exp{-μ/(kT)}-1]であり.これは無限大

になるといえます。

これは,実は粒子の総数がΣn=Nであるという式の総和∑を,

積分∫dεに置換したため,準位密度を与える

(ε)2πV(2/2)3/2ε1/2ε=0 ではゼロとなり,正味では

発散項であるはずの,ε~0の

(ε)[exp{ε/(kT)}-1] ~ (const)ε-1/2が,積分の結果

として消えてしまうので,現実には限りなく大きくなるゼロ状態の

粒子数の項が切り捨てられたためであろう,と考えられます。

そこで,ゼロ状態の項だけを∑nから抜き出し,残りを積分で

置き換えるという操作をやれば,結局,

n0+(2πmkT/h2)3/2F[exp(-α)]=(N/V)=Nとなり,

これが,αを決める真の式であると考えます。

ところで,n0 が大きくなって無祖できず,Nと比較できるオーダーに

なるのは,0=1/(expα-1) ~ Nのときですから,これは

α ~ |/Nのときです。

このときF[exp(-α)]~F[1]=ζ(3/2)≒2.612という

関係式から,n0 +V(2πmkT/h2)3/2F[exp(-α)] 

=Nは,0=N[1-(T/T)3/2] となります。

 

例えば「ボーズ気体」などでは,臨界温度Tc から

下では多くの粒子が,なだれ的にゼロ状態へと落ち込んで

ゆくことになりますが」、これを

「理想ボーズ・アインシュタイン凝縮」と呼びます。

例えば,液体ヘリウム4Heでは,この理論での計算値

のTcは2.13Kですが,これは実際の「超流動」や

「超伝導」が起きる転移温度:2.19Kと,とても近い値です。

実際,超流動や超伝導の主因は

ボーズ・アインシュタイン凝縮である,

とされています。

 

先にも追記したように電子のようなスピン半奇数の

フェルミ粒子では粒子数分布はフェルミ・ディラック分布

に従うため,こうした凝縮は起きないはずですが,実際の物質

中では,陽イオンの格子振動などによるフォノンの交換に

よって電子同士に引力が働くため,くーぱー対という電子の

対が構成され.これが対粒子としてボーズ粒子となるので

低温でボーズ・アインシュタイン凝縮を起こして,そのため

電気的には超伝導が起こる主因になるとされています。   

これは有名な「BCS理論」の核心ですね。

(参考文献):中村伝 著「統計力学」(岩波全書)

(以上,再掲記事終わり※)

※(追注2):極低温では液体ヘリウム4Heが,まるで生きて

てるかのように,容器の壁を上るなどの不思議な

超流動現象がありますが,ゼロ状態の凝縮による大量粒子

は巨視的には,粘性がゼロの流体となり,Landauにより提議

された2流体モデルでは十普通の粘性がある常流体部分と

粘性ゼロの超流体部分が独立に流体運動方程式に従って

運動する結果,そうした奇妙なことが起こることも

説明可能らしいです。

また,極低温でフォノン引力によって電子のクーパー

対が形勢され.この粒子対はボーズ粒子なので,結果,

低温凝縮を起こし巨視的には非回転的流体,つまり,粘性

ゼロの超流動状態の流体=超流体になって,電気的には

抵抗がゼロの超伝導体になるということが主のBCS理論

があると,先に述べましたが、南部陽一論先生はこの理論

だけでは満足せず,BCS理論はゲージ(位相)変換不変で

なくて変換で電流が生じることに着目しました。

元々はゲージ対称性の存在していた系が自発的に破れ、

その結果,出現するエネルギーゼロの

「南部-Goldstoneモード」が電子のクーパー対の状態

である,というような南部理論を提議されたということ

です。

 南部さんは最近,亡くなられましたが,この物性理論での

対称性の自発的破れの概念を,素粒子論にも適用して

大きな業績を挙げられ。後にノーベル賞を受けたこと

は記憶に新しいですね。

対称性の自発的破れ自体は.物性では,よくある現象で,

 例えば,低温では強い磁性を示す物体の,磁気モーメントの

主因となる電子のスピンが,常温では全く勝手な方向の

(無秩序な)状態=(エントロピー最大の平衡状態)にある

結果,空間的に等方的という対称性を持つ故に,磁性は

ゼロ(または反磁性)ですが,その系を次第に低温に冷やして

いくと,ある温度=臨界温度で急にスピンが,ある特殊な

方向に揃う(対称でなくなる),という「対称性の自発的破れ」

が生じて強い磁性を示すようになるという,相転移の

メカニズムとして物性理論では,比較的よく知られて 

いた性質らしいですね。

なお,これらの話の参考文献はネットも含めいろいろ,

寄せ集めです。(注2終わり※)

※PS2:2006年の昔,office2000かXPで作った

古いバージョンのワード文章を少し修正したモノを

上げたとはいえ,あまりにも改行化け,順序デタラメ

がひどく読めるようにするのに苦労しました。

イヤ,まだダメかな?

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2019年7月29日 (月)

再掲記事「黒体輻射記事の補足」

 前再掲記事の短かい数学的補足で,2006年7/22の

「黒体輻射(空洞輻射)と空洞の形状」を追加します。

※ 以下再掲記事です。

以前の記事で「空洞輻射の波数の分布が空洞の形状

には依らない。」と述べたことがありましたが,このこと

を証明してみようと思います。

 

一般に,自由電磁波の電場Eに着目すると,それは横波

であり,真空中のマクスウェル(Maxwell)方程式」を満足

します。

 

そして,まずは空洞を導体と考えて,その形が一辺がL

の立方体である,と理想化しておきます。

 

その境界条件は,境界での接線成分が 0 である必要

がありますから電場=(Exyz)は,sinやcos関数

を用いてEx=Ex(t)cos(kxx)sin(kyy)sin(kzz) etc.

と表わされ,波数ベクトル:=((kx ky kz)の成分は,

x=mπ/L,ky=nπ/L,kz=pπ/L

(m,n,p=0,1,2,3...) となります。

 

つまり波数ベクトルkは(π/L)を格子定数とする

格子点のみを許容値とするので,そのkの分布と

しては負でない整数m,n,pのみをとる8分球を

とり,kを連続化して横波の2つの自由度を考慮

すると,半径kとk+dkの間の波数kの個数が,

(1/8){(4πk2dk)/(π/L)3}×2

=(πk2dk)(V/π3) となります。

 

そして,この最終形では立方体であったという仮定

は必要なく,容積Vが有限でありさえすればいいと

いう形になっています。しかし,本当に立方体という

形状は関係ないのでしょうか?

 

簡単のために,3次元でなく2次元の空洞なるもの

を仮定し立方体を正方形に変更しても同様であると

すると,kx=mπ/L,ky=nπ/L(m,n=0,1,2,.)

であり,半径kとk+dkの間の波数kの個数は.

(1/4){(2πkdk)/(π/L)2}×2

=(πkdk)(S/π2)と体積Vの代わりに面積Sで

表わした形になります。

 

そうして,正方形ではなくて一般の単連結な閉曲線

で囲まれた任意の領域を“空洞”と考え,その面積がS

の場合も,波数の分布がやはり,(πkdk)(S/π2)と

なることを証明したい,と考えるわけです。

 

まず.この閉曲線を(f(t).g(t))(0 ≦t≦1)

(f(0),g(0)=(f(1),g(1))で定義します。

f,gは微分可能でtによる微分係数を,

f’=df/dt、g’=dg/dtとすると,

これらはtの連続関数であるとします。

 

この閉曲線を,

「一辺Lの正方形を反時計回りに1回転する閉曲線」

に変換する写像を汎関数:F,Gによって.

(u,v)=(F(f,g ),G(f,g ))とします。

 

微小変換はF,Gのヤコービ行列を,

J=(∂(F,G)/∂(f,g)) とすれば

(du,dv)=J(df,dg )となりますから,

外微分を使って,dS=df∧dg

=(1/|J|)du∧dvを得ます。

(※|J|はJの行列式です。)

 

電場の波数ベクトルkの境界条件はの閉曲線上

の接線成分がゼロ,=kxdf+kdg=0

ですから,これは(kx,ky)(df,dg)= 0 と

書けます。

したがって,(kx,ky)J-1(du,dv)=0 である

ことから,(kx’,ky’)=(kx,ky)J-1とおけば.

(kx’,ky’)は一辺Lの正方形のu-v空間の波数

ベクトル:k’の分布をするので.先の考察によって,

dkx’∧ dky’=(π/L)2dm∧dnの分布形

となるはずです。dm,dnは個数空間の微分で

dm∧dnを1つの格子,つまり1と同一視します。

 

よって,dkx∧dky=|J|dkx’∧ dky

=|J|(π/L)2dm∧dnです。

(kx’,ky’)の空間は格子間隔(π/L)のu-v

空間の逆格子空間としてよいわけで.この式は(kx,ky)

の空間が,f-g空間の逆格子空間でその格子定数の

平方が(π/L)2|J|=π2/(L2|J|-1) である

と考えるべきことを示しています。

ところでL2=∫du∧dvであり,

∫|J|-1du∧dv=∫df∧dg=Sですから

Lの任意性を考慮して,

dkx∧dky=(π2/S)dm∧dn,

 

すなわち,半径kとk+dkの間の波数kの個数は

(πkdk)(S/π2)となって,Sだけに依存し形状には

依らない形になります。

 

このように,黒体輻射,あるいは,空洞輻射では,

空洞の「壁面の形状の多様性や面の乱雑さ」などが

あれば,無限に多様な乱反射のモードを持つであろう

という予測は誤りであり,そのモードの個数分布は

空洞の体積のみで決まり,それが離散的であるのは,

大きさ=体積が有限であるためであるということが

確かに云える,ことが証明できたと考える次第で

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再掲記事の続き「黒体輻射とキルヒホッフの法則」

再掲のつづきで2006年6/20の「黒体輻射(キルヒホッフの法則)」

を追加します。

※ 以下,過去記事丸写しと追加の(注)です。これも電球,電灯の原理説明に必要

※ ブログネタが枯渇してるので物理ネタばかりで恐縮

ですが,今日は黒体輻射関連の話題について書きます。

 

「プランク(Planck)の黒体輻射の法則」は,

「レーリー・ジーンズ(Raileigh-Jeans)の法則」と

「ウィーン(Wien)の法則」の両方を説明するものと

して与えられ,ここに作用量子hの概念が導入されて

量子力学の曙が訪れることになったのは有名な話です。

 

プランクの法則のは.絶対温度Tの下での黒体からの

輻射エネルギ-密度uの波長λに対する関係を,波長λ

と温度Tの関数:u(λ,T)とした表現したもので,その

グラフはをTの値ごとに,縦軸uの横軸λに対するu-λ

曲線の族として与えることができます。

 

 ところで,黒体(black body)とは何か?というと,これ

は完全放射体とも呼ばれ.入ってくる全ての波長の電磁波

を反射することなく完全に吸収する理想的な物体のこと

を意味します。

 

それ故,上記の黒体輻射の法則とは,この理想的な物体

の吸収と放射がバランスして熱平衡になり絶対温度一定

となったときに,この黒体から放射(輻射)される電磁波

のエネルギーの周波数分布を与える法則です。

 

※(注1):(2019年追記):この記事を書いた2006年の

頃は.まだブログ上で細かい数式を記述するスキルが

乏しかったので.陽な式による表現を避けて文章だけ

の説明が中心だったのでした。

 

そこで,量子論の歴史的背景なども書かれている参考書:

「量子物理学入門」(東京電機大学出版局)や,(岩波講座:

現代物理学物理学の基礎)の「量子力学Ⅰ」などから得た

式などを,注として追記しておくこよにします。

 

 

これらによると,ν(/sec)を電磁波の周波数(振動数),

c(m/sec)を光速(電磁波の速さ)とするとき黒体輻射

で.νとν+dνの間にある輻射電磁波のエネルギー:

U(ν,T)dνを与える輻射エネルギ-密度:U(ν,T)

に対し,Raileigh-Jeans)の法則のスペクトル分布は,

U(ν,T)=8πν2T/c3 で与えられます。

 

これは,内部が真空の有限体積Vの空洞輻射を1辺

Lの立方体の箱内での輻射とし,x座標だけの1次元

だけで考えると,平面波:exp{i(kx-ωt)}の周波数

ν,or 波長λの満たすべき条件として,箱の端点x=0

x=Lが壁であり波が閉じ込められて出られないこと

を.上記平面波のxでの周期がLであること.つまり.

kLが2πの倍数であること(周期的境界条件)で表現

して要求することから得られます。

 

すなわち.まず,kL=2πN,または, k=2πN/L

(N=0,1,2,)となることを要求します。これは電磁波

が壁で反射されるか.途切れて定在波になるという条件

で物理的にも理にかなった境界条件です。

 

3次元に移行すると,V=L3であり波数ベクトルは,

=(kz)=(2π/L)(Nx y z)=(2π/L)

になると考えられるので,波数ベクトルの空間の体積

は,モードベクトル=(Nx y z)の空間の体積の

{(2π)3/V}倍ですが,実は,この関係は体積Vの空洞なら

その形が立方体か否か?などには無関係であることが

わかります。

 

そこで,この波の単位体積当りのモード数をn=N/V

として,3次元で考えると,空間の体積要素の関係では,

3=(2π)--33 なる式で書けます。

 

ところで,この波(電磁波)の位相速度は光速cであり,

これから,c=ω/k=2πν/k,かつ,c=νλなので

k=2π/λ=2πν/cと表わせます。

このため,d3=(2π)--33はd3=(2π)-33

=c-33ν なる関係に同等です。

 

それ故,半径がνで厚さdνの周波数の球殻:4πν2dν

には(4πν2/c3)dν個の波のモードがあることになり

ますが,電磁波は横波であり偏光の自由度2があるので

総自由度としては(8πν2/c3)dνです。

 

ここで,古典統計力学の「エネルギー等分配の法則」;,

「絶対温度がTのとき,熱平衡系を構成する1粒子の平均

エネルギーは1自由度につき(kT/2)である。」という

法則を用います。

 

電磁波は偏光として2つの独立な向きに振動し各々を

自由度2の1次元調和振動子と見なすことができて,調和

振動子にはエネルギー(kT)が割り当てられるため,

結局,電磁波の古典的描像ではありますが,

U(ν,T)dν={8πν2T/c3}dνなる関係を得ます。

これが輻射のRayleigh-Jeansの法則です。

(※独立な振動の2自由度は既に偏光として組み込み済み)

 

また,Wienは,実験データから(ν/T)の関数として

U(ν,T)=f(ν/T)=(α/c3)exp(-βν/T)

なるスペクトル分布式(Wienの分布則)を19世紀末頃に

発見しました。(※ただし,これらの法則で両辺の単位

はいずれも(W(ワット)/m2)です。※)

 

, 一方,Plankは,後にPlanck定数と呼ばれる作用量子

hを導入して.次のスペクトル分布を見出しました。

U(ν,T)=(8πhν3/c3) /[exp{hν/(kT)}-1]

(Planckの法則)です。

 

Wienの経験式:U(ν,T)=(α/c3)exp(-βν/T)で,

α=8πhν3,β=h/kを代入すれば,これは丁度,

Planckの分布式で,νが大きいときに,分母の

[exp{hν/(kT)}-1]の1を無視した式に一致

します。また,νが小さいときには,指数関数を近似

して,exp{hν/(kT)}-1 ~ hν/(kT)と

すると.Rayleigh^Jeansの式:

U(ν,T)={8πν2T/c3}に一致します。

 

こうしてPlankの法則は,両者を見事につなぐ式

となっています。

 

さらに,Plankの式をc=νλを用いて波長

λの式に変換します。

uとUは,u(λ,T)dλ=-u(λ,T)ν-2dν

=U(ν,T)dνで対応すると考えられます。

符号の違いは積分の向きで相殺されるので(-)を

はずして.U(ν,T)=cu(λ,T)ν-2

または,u(ν,T)=U(ν,T)ν2/c です。

 

したがって,u(λ,T)

=(8πhc/λ5)/[exp{(hc/λ)/(kT)-1]

が得られます。 (注1終わり※)

 

しかし,例えば,太陽などは黒体ではないし,しかも内部

に熱源を持っていて正確には熱平衡状態にはないですが

その場合でも,放射される主な光の波長(色)が物体の温度

に依存して決まる,という「色温度」の概念があります。

 

太陽の場合は,その表面温度がT=6500Kくらいで輻射

される電磁波のエネルギーが分布曲線上でピークになる

放射スペクトルの波長域が可視光線域に一致しています。

 

(※,むしろ,可視光(見える光)というのは,地球上の生物

(動物)の光を感じる器官(眼)の方が,太陽からの電磁波の

強度が最大の波長域を感知するような器官として創造され

ていると考えた方が合理的かも?※)

 

そして,そうした太陽のようなものでも,温度Tと放出光

の周波数(振動数)ν(or波長λ)の対応関係が上述の,

「熱平衡でのPlanck分布(黒体輻射分布)における絶対温度

とその温度での輻射エネルギー強度uが最大になる周波数の

関係」:すなわち,「Wienの変位則」と大してずれることなく

近似的に成り立つことが,よく知られています。

 

※(注2): Wienの変位則とは温度がTのときに電磁波の

輻射エネルギー強度が最大になる波長をλmaxとすると,

λmaxT ~ b(一定)になるという法則です。ただし,

b=hc/(5k) ~ 2.87×10-3(mK)=0.287(cmK)

です。

 

これを導くには,再掲.Plank分布式:

u(λ,T)=(8πhcλ-5)/[exp{(hc/λ)/(kT)-1]

が,λ=λmaxで∂u/∂λ=0を満たすことを使います。

 

,上記のu=u(λ,T)に対して,∂u/∂λ= 0は

-(40πhcλ-6)/[exp{(hc/λ)/(kT)-1]

+(8πhcλ-5){(hcλ-2)/(kT)}

×exp{(hc/λ)/(kT)}

/[exp{(hc/λ)/(kT)-1]2=0 となります。

 

これから,5λ[exp{(hc/λ)/(kT)-1]

-(hc)/(kT)}exp{(hc/λ)/(kT)}=0,

ですから,λ=λmaxとして,

λmax=|(hc)/(5kT)}exp{(hc/λmax)/(kT)}

/[exp{(hc/λmax)/(kT)-1]2 ~(hc)/(5kT)

あるいは,λmaxT ~(hc)/(5k) を得ます。

これがWienの変位則です。

そこで,h=6.6×10-34(Jsec),

c=3.0×108(m/sec),k=1.38×10-23(J/K)を

用いれば,λmaxT ~hc/(5k)~2.87×10-3(mK)

です。※ちなみに太陽表面のT=6500Kならその色

の波長はλmax~ 4.57×10-7m=457nm程度です。

可視光の波長は360nm~830nmくらいらしい

ですが,これは別に温度が太陽表面ほどの数千度K

もなければ可視光は放出されない,というわけでは

なく,これが強度がピークになる温度というだけで

どんな温度でも,多かれ少なかれ,あらゆる波長の

電磁波が放射されるのは言うまでもないことです。

(注2終わり※)

 

このように,輻射平衡のエネルギー分布が物質に依らない

ことは,実は19世紀にキルヒホッフ(Kirchhoff)が発見

したことです。以下では,この法則を説明します。

 

さて,温度Tで空洞の壁に向かって単位時間,単位面積当り

に投射される周波数がνとν+dνの間にある電磁波(光)

の輻射エネルギーをI(T,ν)dνとします。

 

そして,ある物質から構成された空洞の吸収率をa(T,ν)とし

同じ壁の表面から,単位時間,単位面積当り放出される温度T,

周波数νの輻射エネルギーをe(T,ν)dνとします。

 

Kirchhoffは.平衡状態では吸収と放出のバランスによって,

I(T,ν)a(T,ν)dν=e(T,ν)dνが成立するはずで

ある,という発想から「比:e(T,ν)/a(T,ν)=I(T,ν)

が物質の種類によらず,温度Tとνだけの関数である。」こと

を発見したのです。

 

そして,特に吸収率が100%,つまり,a(T,ν)=1が全ての

T,νについて成立する理想的な物体を黒体と呼ぶわけです。

一般の物体は黒体ではないのでa(T,ν)<1ですが,それでも

a(T,ν)がT,νに依らず一定であることが多いので輻射強度

e(T,ν)=I(T,ν)a(T,ν)は,Planckの黒体輻射の分布式

で与えられるI(T,ν)=U(ν,T)にほぼ比例します。

 

それ故,物体が黒体でなくても,色と温度の関係,つまり,最大

エネルギー:umaxをe与える色(波長λ,周波数ν)の関係はその

まま成立すると考えてよいわけです。

 

太陽とか生存中の人体のように発熱源があるとき,必ずしも

熱平衡でがない場合もありますが,それでも近似的に色温度の

関係は成立しているようです。   (再掲記事終わり※)

 

※PS:本ブログの科学記事では私のオリジナルというの

はほとんどなく,大抵は何らかの参考書で読んだのを一応

ノートにまとめ,それからブログ原稿を書いてアップして

おり,その場合,参考にした書物,文献を書くのが常ですが,

12.13年前のブログ初期の頃は参考文献を書いてないもの

もあります。

(※私の場合はブルーバックスのような啓蒙書ではなく曲がり

なりにも専門書を参考にしていることが多いです.※)

 

もっとも,蓄積した記憶。知識と計算力だけで書いたもの

も少しはあり,まあ恐らくは誰かのマネ,パクリでしょうが

参考書不明なので,それらは参考文献がブランクです。

 

この「キルヒホッフの法則」の記事も,追加の注を除き参考

文献を書いてませんが,これが記憶だけで書けるワケもなく

何を参考にしたのだとうか?と探しましたが不明でした。

 

数行でしたが,中村伝著「統計力学」(岩波全書)にほぼ同じ

記号を用いた記述があったのでこれかなぁ?

 

統計力学は初学には敷居が高く,良書というか,私の認識

能力でも理解可能なモノを求めて10冊以上,遍歴し購入した

はずなのですが部屋には数冊しか残ってません。

最近10年くらいは食べるカネにも不自由で,また視力劣化で

読めなくて持ち腐れになり本当は惜しい気持はあるけれど

古書店経由で私の胃袋に消えたモノ多々あり,探しても,

「アレは何でないの?」というの多いですね。※

 

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2019年7月28日 (日)

夢はユメ。,現はウツツ

夢とは本来非現実なことですが,今は目標とか理想という意味でも使われること多いようです。

偉い人の名言に水を指すワケじゃないが。。

「ユメは想い続けていれば.いつかかなう。」とか,

「成功は99%の努力と1%の才能や運」とか。。

これ1%のユメがかなった成功者が述べてるダケでしょう。

 ↑ 単なるヒガミです。^^;

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