2018年6月22日 (金)

素粒子=ソリトン説(1)

※現在,順天堂の形成外科病棟に入院し,5/30 

右足首の腫れた部分を切除して傷の回復を待ってる 

状態です。
 

1回7月初めに傷への植皮手術があって,恐らく 

7月中旬から下旬には退院できそうです。
 

まあ,恐らくは遺稿ということで数年前から考察して 

いた「素粒子=ソリトン説」なるものを少しずつ

アップしようと思います。
 

§1.サイン・ゴルドン方程式とソリトン解 

スピンがゼロで質量がμの自由粒子場φの 

相対論的波動方程式は,Klein-Gordon方程式 

(□+μ2)φ=0 で与えられることが知られて 

います。これは自然単位:h=c=1では 

2φ/∂t2ー∇2φ=-μ2φと書けます。
 

この方程式は量子論のx表示の演算子としては 

=-i,E=H=i/t,より,22=μ2 

というEinsteinのエネルギー等式を意味して

います。
 

しかし,この線形斉次方程式; 

2φ/∂t2-∇2φ=-μ2φを微修正して, 

2φ/∂t2-∇2φ=-μ2sinφとしたもの 

を考察してみます。
 

これは非線形方程式でありSin-Gordon方程式 

と呼ばれています。
 

ここで便宜上,3次元の空間を1次元とみなし, 

φはxとtのみの関数とします。
 

すると,Klein-Gordon方程式は, 

2φ/∂t2-∂2φ/∂x2=-μ2φになります。 


    一方,sin-Gordon方程式は,
 

2φ/∂t2-∂2φ/∂x2=-μ2sinφ 

と簡単化されます。
 

さて,sin-Gordon方程式の方を実際に解いてみます。
 

まず,時間tに依らず,xのみに依存する定常解 

を求めます。
 

これは常微分方程式:2φ/∂x=μ2sinφの解 

です。通常の手法に従って両辺にdφ/dxを掛けると 

(1/2)/dx[(dφ/dx)2]=μ2sinφ(dφ/dx) 

ですから,これを積分して, 

[(dφ/dx)2]02μ2φ0φ2sinφdφ 

2μ2(cosφ0cosφ)を得ます。
 

そこでx=0でdφ/dx=0の解は 

(dφ/dx)22μ2(1cosφ)4μ2sin2(φ/2) 

Or dφ/dx=±2μsin(φ/2)を満たします。
 

よって,x=0でφ=0となる特殊解は 

0φ{1/sin(φ/2)}dφ=±2μxで得られます。
 

ところで,∫du(1/sin)はt=tan(/2)とおくと, 

1/(1+t2)cos2(/2)(1+cos)/2より 

cosu=(1-t2)/(1+t2),sinu=2/(1+t2) 

であり,dt=(1/2)(1+t2)duなので, 

∫du(1/sin)=∫dt/t=log|tan(/2)|+C 

なる公式を得ます。
 

それ故,log|tan(φ/4)|=±μ(x-x0),つまり 

φ()4tan-1[exp{±μ(x-x0)}] なる解 

が得られるわけです。
 

これは,古典的な孤立波を示し,ソリトン解と呼ばれて 

います。
 

この解は時間tに依存しない局所化された波ですが, 

位相速度vで進行する解を求めるには,ξ=x-vt 

として,φ(,)をφ(ξ)と書きます。
 

このとき,2φ/∂t2-∂2φ/∂x2=-μ2sinφ 

,(1-v2)2φ/dξ2=μ2sinφとなりますから, 

E=μ/(1-v2)1/2と置けば,定常解から直ちに 

φ(ξ)4tan-1[exp{±E(ξ-ξ0)}] 

と書けることがわかります。
 

しかし,λ>010-40オーダーのPlanckスケール 

の微小係数として,λ→0の極限で 

2φ/∂t2-∂2φ/∂x2=-μ2φに帰着するような 

非線形モデルを想定するなら, 

2φ/∂t2-∂2φ/∂x2=-m2sin(λφ) 

近似的に∂2φ/∂t2-∂2φ/∂x2 

=-μ2φ(1-λ2φ2/6)になるようなものを考える 

べきでしょう。
 

ただし,このモデルはμ2=m2λを仮定するため,μを 

固定したままλ→0とするとき,m→∞となるので, 

何らかの矛盾が生じてしまいそうです。
 

でも,取りあえず 

2φ/∂t2-∂2φ/∂x2=-m2sin(λφ) 

(μ2=m2λ)の定常d2φ/∂x2=m2sin(λφ) 

解いてみると,=μ/λ1/2であり,(1/2)(dφ/dx)2 

=m2sin(λφ)dφ=(2/λ){1cos(λφ)} 

(22/λ)sin2(λφ/2),

dφ/dx=±(2/λ1/2)sin2(λφ/2) 

定常解は,{1/sin(λφ/2)}dφ=±(2/λ1/2) 

(2μ/λ)xより 

(2/λ)log|tan(λφ/4)|=±(2μ/λ)(x-x0) 

つまり,log|tan(λφ/4)|=±μ(x-x0)
 

そこで. 

φ()(4/λ)tan-1[exp{±μ(x-x0)}] 

と書けます。
 

推論が無矛盾なら,これはλ→0の極限で, 

2φ/∂t2-∇2φ=-μ2φ or定常方程式: 

2φ/dx2=μ2φの特殊解である 

φ()exp{±μ(x-x0)}]に当然,一致する 

はずです。
 

しかし,このφ=(4/λ)tan-1[exp{±μ(x-x0)}] 

の形では極限計算がむずかしいので, 

2φ/∂t2-∂2φ/∂x2=-m2sin(λφ) 

2φ/∂x2(μ2/λ)sin(λφ)を解く途中 

の等式;log|tan(λφ/4)|=μ(x-x0)の時点で 

λ→0とすると,展開;tany=y-y3/3..より 

log|λφ/4|=±μ(x-x0)の近似等式から 

log(λ/4)log|φ|=±μ(x-x0) 

φ()exp{±(μ/λ)(x-x1)}]となって 

0がx1=x0±(1/μ)log(λ/4)にシフトされる 

だけである,という合理的結果を得ます。
 

(※実は(1/μ)log(λ/4)→-∞というのが疑問?)
 

対応して位相速度vで進行する解は,ξ=x-vt 

として,φ(,)=φ(ξ), 

,2φ/∂t2-∂2φ/∂x2=-m2sin(λφ) 

から,(1-v2)2φ/dξ2=m2sin(λφ)となり, 

E=μ/(1-v2)1/2と置けば,上記の定常解から 

φ(ξ)(4/λ)tan-1[exp{±E(ξ-ξ0)}] 

と書けます。
 

しかしながら,これらの解はx,またはξ=x-vtと 

共に単調増加,または減少する実数解を示しており, 

という描像ではないです。
 

そこで今度はxに依存せず,tのみの関数としての 

謂わゆる定点振動解を求めてみます。
 

Klein-Gordon方程式:(□+μ2)φ=0,すなわち 

2φ/∂t2-∂2φ/∂x2=-μ2φは,φがxに依らず, 

∂φ/∂x=0であれば,2φ/dt2=-μ2φとなり, 

これの振動解は複素数表現で規格化の定係数を除いて, 

φ()exp(±iμt)で与えられます。
 

λ→0の極限で,これに帰着するsin-Goedon方程式 

2φ/∂t2-∂2φ/∂x2=-m2sin(λφ), 

(2=μ2/λ),2φ/dt2=-(μ2/λ)sin(λφ) 

であり,これの解は,φ()(4/λ)tan-1{exp{±μt)} 

です。
 

これらは,先に求めた定常解:φ()exp{±μ(x-x0), 

および,φ()(4/λ)tan-1[exp{±μ(x-x0)}] 

において,xをtに,μをiμに置き換えただけです。
 

したがって,位相速度vで等速度運動する波なら 

ξ=x-vtとしてφ(ξ)exp(±iμξ),および, 

φ(ξ)(4/λ)tan-1{exp(±iμξ)}(E=μ/(1-v2)1/2) 

を得ます。
 

ところで,量子論の相対論的波動方程式である 

Klein-Gordon方程式:(□+μ2)φ=0,スピンがゼロ 

の自由粒子場φを記述する方程式であり,運動量が 

粒子が正エネルギー;E=(2+μ2)1/2を持って,速度: 

/Eで等速度運動をするという古典描像に対応する 

無限に拡がった自由平面波の解は,規格化定数を除いて 

φ()exp(ikx),または,μ(0,)(,) 

から,φ(,)exp}i(Et-kx)と表わされること 

が知られています。
 

それ故,λ→0の極限で,これに帰着する 

sin-Goedon方程式: 

2φ/∂t2-∇2φ=-(μ2/λ)sin(λφ) 

の対応する解は, 

φ()(4/λ)tan-1{exp(-ikx)}と修正される 

と考えられます。
 

§2.非線形モデル:φ4 

ここまで述べてきて,sin-Gordon方程式 

2φ/∂t2-∇2φ=-(μ2/λ)sin(λφ)を用いる 

という技巧に頼らなくても,自由Lagrangian 

が次のφ4型の剰余項を持つ単純な非線形モデル: 

(1/2)μφ∂μφ-(1/2)μ2φ2+λ2φ4/4! 

を想定し,これのEuler-Lagrange方程式; 

μ(/μφ)-∂/∂φ=0から得られる 

(□+μ2φ-λ2φ43/3!0,つまり, 

2φ/∂t2-∇2φ=-μ2φ+λ2φ3/3! 

を考察した方がベターかなと思いました。
 

この方程式の右辺は,λ~0で事実上, 

(μ2/λ)sin(λφ)に一致しますが,むしろ,

最初から非線形方程式: 

2φ/∂t2-∇2φ=-μ2φ+λ2φ3/3!の方を 

出発点として考察した方がスッキリすると 

思います。
 

さて,これを解くには,やはり,まず,xを省いた 

2φ/dt2=-μ2φ+λ2φ3/3!を解けばいいです。
 

初期条件の選択は本質的ではないので,t=0 

φ=0,かつ,dφ/dt=0の条件の解を求めると, 

(1/2)(dφ/dt)2=-(1/2)μ2φ2+λ2φ4/4! 

dφ/dt=±iμφ{1(λ2/μ2)φ2/12}1/2 

を満たします。
 

さらに積分して, 

0φdφ[φ-1{1(λ2/μ2)φ2/12}-1/2] 

=±iμtを得ます。
 

ここで,∫dy[-1{(1-a22)-1/2]の計算において, 

積分変数の置換;ay=sin,ady=cosudu 

を行うと,∫dy[-1{(1-a22)-1/2] 

=∫du(1/sin)log||tan(/2)|+C 

なる式を得ます。
 

ay=sinu=tan(/2)sin2(/2)より, 

t=tan(/2)とおけばay=2/(1+t2), 

t=ay±(1-a22)1/2ですから,結局, 

∫dy[-1{(1-a22)-1/2] 

;og||tan{y±(1-a22)1/2}|+Cなる公式 

を得ます。
 

それ故,a=√3λ/(6μ)として 

aφ=sinuとした結果,log||tan(/2)|+C=±iμt 

であり.t=t0でu=π/2,aφ=sinu=1となる 

ものはC=±iμt0で与えられますから, 

log||tan(/2)|=±iμ(t-t0), 

τ=tan(/2)exp{±iμ(t-t0)}とおくと 

aφ=sinu=2τ/(1+τ2)となることから, 

φ=(43μ/λ)exp{±iμ(t-t0)} 

/[1exp{±2iμ(t-t0)}]が得られます。
 

これも,λ→0exp{±iμ(t-t0)}に帰着する 

という期待に反して∞になるという困難を含んで 

います。
 

しかし,0φdφ[φ-1{1(λ2/μ2)φ2/12}-1/2] 

=±iμtで,λ=0ならlogφ-log0=±iμt 

ですからφ=exp(±μt)です。
 

積分定数が∞というのがミソかな?
 

ここでめげずに,左辺の積分の差を考察してみます。 

0φ[{φ-1(1-a2φ2)-1/2}-φ-1]dφ 

=-a-20φ[φ3{(1-a2φ2)1/+φ}]dφです。
 

-a-2[φ3(1-a2φ2)1/2}dφ=-∫sin-4udu 

{cos/(2sin3)}(2sin3u+1) 

=a-3(1-a2φ2)1/2(23φ31)/(2φ3) 

よって,0φ[{φ(1-a2φ2)1/2}-1-φ-1]dφ 

[-3(1-a2φ2)1/2(23φ31)/(2φ3)+a-2/φ]0φ
 

以下,a→0でゼロになるかどうかpending状態の 

ままで一応打ち切り次回に進みます。(つづく)


  ※参考:北里大学PDF
数学と物理学の間

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月28日 (月)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(20)

※16日から入院中ですが,ネットにアクセスが可能で,この 

項目はこれで終わる予定だったため,予め,病院まで 

持参していた参考ノートから原稿書きをしました。
 

さて,「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(19) 

から§6.7 Weinberg-Salam模型の続きです。
 

前回の最後では,小林・益川がクォーク2世代だけでは,模型に 

CPの破れを導入できないことに注目し,Ffが複素数となる 

自由度を得るために第3世代クォークの必要性を指摘した。 

というところで終わりました。
 

一般にクォークがn世代のときはqとq2n個あるため 

n×n複素行列:Ffのn2個の実パラメータ(22からn2個の 

ユニタリ条件:ΣFfFf=δffのn2を引いてn2) 

のうち,(2n-1)(とq2n個から全体の位相1を引く) 

は吸収できて,(22n+1)=(n-1)2個が残ります。
 

一方, n×n行列:Ffが実行列であれば,ユニタリ行列は回転の 

直交行列を意味し,その条件はΣFfFf=δff,これは 

{n+n(n-1)/2}個の独立条件なので,独立パラメータは

(n-1)/2個です。
 

以上から,n×n混合行列行列:Ffはn(n-1)/2の実回転角: 

θi(一般化Cabbibo)(n―1)(n-2)/2個の位相因子:δi 

(小林・益川位相)を含むことがわかります。
 

後者の位相因子:δirxp(iδj)が問題のCPを破る位相因子で, 

果たして,その個数はn=1,2ではゼロでn=33世代で初めて 

1個現われることになります。
 

小林・益川自身はCPの破れの起源として,このn×n混合行列 

の位相以外にも,例えばHiggs2重項を2種以上導入して,その間 

の相互作用項に位相を与える可能性も指摘しています。
 

※アノマリーの相殺

古典論の段階で存在するカレントの保存が量子論(loopグラフ) 

段階で成立しないことがあり,その現象を一般にアノマリー

(anomaly)(量子異常)と呼びます。
 

これは,くり込みなどの項目を論じた後の章で一般論として詳論 

する予定ですが,Weinberg-Salam模型に関わる部分だけを簡単に 

述べます。
 

Fermion場がカイラル(左手型,or 右手型)の場合には 

6.14に示した三角形のloopグラフがカイラルアノマリー 

を引き起こします。
 

ゲージ理論においては,ゲージ場の結合するカレントに,この 

アノマリーが存在すれば,ゲージ対称性,それ故,BRS対称性 

が壊され,S行列のユニタリ性,引いては理論のくり込み可能性 

まで成立しなくなります。
 

Weinberg-Salam模型は,正にカイラルFermionに結合するゲージ 

理論ですから,このアノマリーの危険性を孕んでいますが,実は, 

大変うまい具合にアノマリーへのレプトンの寄与とカラー 

3自由度のクォークの寄与が相殺します。
 

これを以下で説明します。
 

後章で示すように,一般に群Gのゲージ場Aμが表現T

属する左手型Fermion:Lと表現Tに属する右手型Fermin:

とに,int=Aμ(~γμL+R~γμ),結合

しているとき,ゲージ場:μ,ν,ρの3点頂点に対する

6.14のアノマリー,

abc=Tr[{,}]-Tr[{,}] 

=Tr(L-R)[{,}]に比例することがわかります。


 

今のWeinberg-Salam模型の場合,ゲージ場はSU(2)×U(1) 

(μ,μ)であり,AAA,AA,BB,BBBの4つの 

タイプのアノマリーを調べる必要があります。
 

μの結合する行列:は弱アイソスピンで,これは左手型の 

SU(2)-2重項の場合は(τ/2),右手型Fermionではゼロ 

です。また,μが結合するのは,弱超電荷:Yです。
 

そこで,AAAアノマリーはSU(2)×2重項ごとに. 

r[{τi,τ}τ]2δijr(τ)0に比例するので存在 

しません。
 

ABBタイプもTr(τ)0でTrもゼロですから 

r[YYτ]=Y2r(τ)0です。
 

AABアノマリーはTr(L-R)[{,}] 

(1/)r[{τi,τj}](δij/2)r() 

(δij/2)r( (Q-τ/2) (δij/2)r( ()
 

それ故,AABアノマリーは左手型Fermionの電荷の総和に 

比例します。
 

最後のBBBアノマリーは, 

r(L―R)(YYY)=Tr(L―R)[(Q-T)3] 

=Tr(L―R)()(3/4)r(Qττ)に比例します。
 

ところがTr(L―R)()は左手型Fermionと右手型Fermionの差 

,電荷は同じQについて左手型Fermionと右手型Fermion 

必ず,対で存在するので,相殺してゼロです。
 

そこでBBアノマリーもまた左手型Fermionの電荷の総和に 

比例します。
 

ここでレプトンの電荷は各世代ごとに 

(νe)+Q()=Q(νμ)+Q(μ)=Q(ντ)+Q(τ)=-1 

です。
 

一方,カラークォークの電荷は各世代ごとに 

3×{()+Q()}3×{()+Q()}

3×{()+Q()}3×(2/31/3)=+1です。
 

したがって,レプトンとクォークの寄与が相殺して.アノマリーは 

現われないことになります。
 

この相殺のために,クォークとレプトンの対応が常に成立している 

必要があります。発見されていないtクォークはこのためにも存在 

しなければなりません。(※実は,1995年に発見されました。)
 

このクォークとレプトンの対応やアノマリーの相殺は

Weinberg-Salam模型では全く偶然的なことに過ぎませんが,

クォークとレプトンの間により深い関係だあることを示唆

しています。このことがSU(5)SO(10)などのゲージ群

に基づく大統一理論(grand unified theory)への1つの大きな

動機になったのです。
 

※電荷の普遍性
 

Weinberg-Salam模型での電荷の普遍性(charge universality)

の問題に,こで触れておきます。
 

電荷の普遍性とは光子の荷電粒子との質量殻上での合定数が,

厳密に普遍的であるかどうか?いうことです。
 

例えば電子(またはμ粒子)の電荷は陽子の電荷=結合定数と

非常な高精度(逆符号で)一致していることが知られています。
 

この問題はU(1)群に基づくQEDの場合は,ほとんど自明でした。 

(1)群の場合はWT恒等式が非常に簡単で,それから直ちに,

荷電粒子:φiの裸の結合定数:i0(つまり,Lagtrangian

現われる結合定数)観測される質量殻上の結合定数:iとが

比例するという関係が容易に導かれます。
 

先に述べたWT恒等式: 

-<0|[ψi()ψ~j()i()]|0 

=<0|[(i)()()ikψ()ψ~j()~()|0 

+<0|[ψi()igψ()()()j~()|0
 

ここで,(1)ゲージの場合はg=e0,=Qなので, 

[,ψi]=-()ijψ=-qiψi,つまり()ijψ=qiψi
 

そこで,-<0|[ψi()ψ~j()i()]|0 

=-i0i0|[()ψi()ψ~j()~()|0 

i0i0|[ψi()ψ()()~()|0
 

これは,ψi,ψjの同次式ですから,これらは既にくり込まれた 

Heisenberg場としていいです。
 

さらに,BはF.T<0|[()μ()]|0>=kμ/2のみを

ゼロでない連結Green関数として持ち,

μ=Z31/2renμ ⇔ Arenμ=Z1-1/2μ 

より,左辺=(i3-1/2μ/2)i'(p-k)

(iΓrenμi)i'() 

となります。
 

一方,,~QEDでは自由場ですから, 

.T<0|[()~()]|0>=-1/2です。
 

故に,右辺=i0i(-1/2){i'()i'(p-k)}
 

よって, 

3-1/2μΓrenμi=e0i{i'-1()i'-1(p-k)} 

これと,光子の質量殻近傍ではS'-1()-m, 

Γrenμ ~ γμから,i=Z31/20iを得ます。 

(証明終わり)
 

つまり,i=Z31/2i0=Z31/20iです。
 

ここで,3は光子場のくり込み定数で,iは裸の結合定数: 

ei0ei0e0iで与えられる荷電粒子の生成演算子φ 

運ぶ電荷演算子Qの量子数です。 

すなわち,[,φ]=qiφです。
 

3,30は荷電粒子φiと無関係な定数なので 

i=Z31/20iは電荷の普遍性を証明しています。
 

すなわち,質量殻上の結合定数eiは量子数qiに普遍的 

比例定数で比例していること,特に量子数qiの荷電粒子 

は等しい質量殻上の結合定数を持つことを示しています。
 

ところが,Weinberg-Salam模型では,WT恒等式はかなり 

複雑になり,それを直接用いることによって,求めるべき 

比例関係:i(定数)×ei0(定数)×e0iを導く 

のは容易なことではありません。
 

事実,Landauゲージ(α=0)以外では,この方法での証明 

は過去に与えられていないようです。
 

そこで,ここでは"Maxwell方程式"を用いたより強力な 

証明法を紹介します。
 

この方法では,Weinberg-Salam模型のSU(2)×U(1) 

の大局的不変性を尊重する任意の共変的ゲージ: 

GF=-(μ)μ+(1/2)α0の下で 

i(定数)×ei0(定数)×e0iが証明できます。
 

ここで群の添字:aはU(1)に対応する0から, 

SU(2)に対応する1,2,3まで走るものとします。
 

したがって,0μ,Lゲージ場(1/4)(μν-∂νμ)2 

(1/4)(μν-∂νμ)2,μと記したU(1) 

ゲージ場を表わすとします。
 

ここで以前に与えた"Maxwell方程式"により, 

ννμ=gJμ{,μ~}(a=1,2,3) 

ν0νμ=g0μ{,μ~0}です。
 

SU(2)×U(1)対称性はU(1)EMへと自発的に 

破れているので最終的には唯一の電荷演算子, 

つまり電磁的電荷演算子:Qのみが無矛盾となります。
 

量子数の関係式:Q=T3+Y(※これは正確には粒子φiごと 

の量子数間の関係式:qi=τ3+yiであり,場の理論の 

演算子:,3,Yの関係式ではないことに注意,実際, 

自発的対称性の破れのために, 3,やYなどは無矛盾 

な演算子としては存在しないことに注意されたい。)
 

そうして,"Maxwell方程式"のa=3成分と0成分の 

次の線形結合を考えます。 

ννμ=e0(3μ+J0μ){,μ^μ}, 

νμ('3νμ+gF0νμ)/(2+g'2)1/2, 

^μ('μ~3+gDμ~0)/(2+g'2)1/2 

です。
 

ここでe0=gg'/(2+g'2)1/2は先には電磁結合定数: 

eと定義したものと同じですが,に現われる裸の結合定数 

であることを強調するためe0と記しました。
 

この線形結合: 

ννμ=e0(3μ+J0μ){,μ^μ}では 

実際,νμ,場についての線形な部分が, 

丁度,先にZμと同時に与えた電磁場: 

μ(gA3μ+g'0μ)/(2+g'2)1/2 

νA-∂μνに一致しており, (3μ+J0μ)は例えば 

物質場部分の電磁相互作用カレント(leptonμ+jquarkμ) 

に一致しています。
 

すなわち,形式的電荷演算子;∫d3(30+J00) 

正準交換関係を用いて,正しく電磁的電荷量子数:i 

をカウントする[,φ]=qiφを再現します。
 

しかしながら,既に詳述したように(30+J00)には, 

素4重項メンバーβ(a=3,0)のある線形結合βの 

零質量1粒子項:μβの寄与が存在するので,3次元 

積分の収束する無矛盾な電荷演算子Qとしては, 

Q=∫d3[(30+J00)-ω∂kk0] 

∫d3xJEM0としなければなりません。
 

k0はFνμ(,0)成分で,零質量電磁場:Aμを含んで 

いるので∂ννμ,上の零質量素4重項の1粒子状態; 

μβをある重みで含み,係数ωは(30+J00)の含む 

μβを丁度相殺するように選択されます。
 

(※このとき,ννμの含むβが,(30+J00)の含むβ3 

とβ0の線形結合:βと一致していることは,とにかく, 

電磁的量子数qiに対応するU(1)EM対称性が自発的破れ 

を起こさず残っているという仮定:つまり, 

Q=∫d3[(30+J00)-ω∂kk0] ∫d3xJEM0 

の形の(30+J00)を含む電荷が無矛盾なものとして存在 

するという仮定,から従う1つの必要条件です。)
 

ここでQ=∫d3xJEM0で定義されたカレント: 

EMμ(3μ+J0μ)-ω∂ννμを用いればMaxwell 

方程式は次の形になります。
 

すなわち,(1-e0ω)ννμ=e0EMμ|,^μ} 

です。この式を2つの任意の物理的1粒子状態:|i> 

|f>(phys)で挟めば, 

(1-e0ω)<f|ννμ()|i> 

=e0<f|EMμ()|i>を得ます。
 

ただし,|i>,|f>∈phys)より, 

<f||,^μ}|i>=0なることを用いました。
 

(1-e0ω)<f|ννμ()|i> 

=e0J<f|EMμ()|i>の両辺に∫d3exp(ikx) 

を掛けて計算し,μ0の極限を取ることを考えます。
 

NGボソンの低エネルギー定理と同様,μ0の極限で 

残るのはFνμチャネルの零質量1粒子,つまり,光子の 

つくる極部分だけです。
 

Heisenberg:νμ()に含まれる,くり込まれた光子の 

漸近場:asμ()の重みをYとすると,0→±∞で 

νμ()→Y{νasμ()-∂μasν()}.. 

です。ここでは無関係な質量を持つ粒子の漸近場の 

寄与である係数Yは, 

例えば2点関数:0|[νμ()ρσ()]|0>の 

20の留数から読み取れます。
 

νμ()→Y{νasμ()-∂μasν()}. 

,∫d4exp(ikx)0|[νμ()asρ()]|0 

=-Y(νμρ-kμνρ)/2を意味していること 

に注意すれば, 

limk→0∫d4x<f|ννμ()|i>(1-e0ω) 

=Y(1-e0ω)limf→pi(2π)4δ4(f-pi)fi(i+pf)ρ 

なることがわかります。ただし,くり込まれた光子とi, 

3点頂点:Γ(3)μfiが質量殻k20の近傍では, 

ifi(i+pf)μの形を取ることを用いました。

このefi,|i>,|f>が不変規格化された状態のとき, 

質量殻上光子の物理的結合定数です。
 

一方,右辺はμ=0成分を考えると,無矛盾な電荷演算子 

Qが,Q=∫d3[(30+J00)-ω∂kk0] ∫d3xJEM0 

で与えられること,および,Qが電荷量子数qをカウント 

することを用いて次式を導きます。
 

limk→0∫d4exp(i00)exp(ikx)0<f|EM0()|i> 

=∫dx00<f||i> 

=e0iδfilimf→pi (2π)4δ4(f-pi)2i0です。
 

ただし,i|i>の電荷量子数であり,不変規格化条件: 

<f|i>=(2π)32i0δ3(fi) 

(※ただし,∫dx02πδ(f0-pi0))を用いました。
 

limk→0∫d4exp(i00)exp(ikx)0<f|EM0()|i> 

=∫dx00<f||i> 

=e0iδfilimf→pi (2π)4δ4(f-pi)2pi0 

のμ=0成分と比較して,fi{(1-0ω)}-1δfi0i 

を得ます。
 

この式は質量殻上の光子の結合定数efiが荷電粒子の種類 

に関して対角的であると同時にY,ωやe0が明らかにiやf 

に依存しない定数なので,これは, 

求める電荷の普遍性:i(定数)×ei0(定数)×e0i 

証明しています。
 

この証明法のいいところは物理的粒子:|i>,|f>が上でQ 

が消えることを用いたステップです。
 

<f||,^μ}|i>=0は複雑なWT恒等式に埋もれた 

必要な情報を非常に簡潔に取り出していることに相当します。
 

また,QEDの場合でも,もちろん上の証明が成立しています。
 

その場合は,単にSU(2)部分を消去し,(1)部分を残せば 

いいです。(※つまり,g=0,=1,2,3μ0,かつ, 

→e0,0μ→jμ=ψ~γμψとすればいいです。)
 

そうすれば, 

ννμ=e0(3μ+J0μ){,μ^μ},通常の 

QEDMaxwell方程式:ννμ=e0μ+∂μ, 

(νμ=∂νμ-∂μμ,B={,~})となり,この場合, 

上で問題にした零質量粒子βはNL場:Bです。
 

容易にわかるように∂ννμはBをZ3μ,だけ含むため,

 

0μはBを(31)μBだけ含み,したがってからωを 

求めることができます。 

すなわち,QEDの場合,(1-e0ω)31,0ω=1-Z3-1 

です。このQEDの場合には,次の漸近式: 

νμ()→Y{νasμ()-∂μasν()}.. 

において,Y=Z31/2なので, 

fi{(1-0ω)}-1δfi0iはefi=qiδfi31/20 

となるわけです。
 

最後に,上の証明は荷電粒子:|i>,|f>がLagrangian 

に現われる素な場である,ということを全く仮定してない点に

注意します。
 

それ故,|i>や|f>は,クォーク3体結合状態である陽子 

でもよく,その光子結合定数e陽子|電子|と一致すること 

を証明しています。第6章の「対称性の自発的破れ」の項目 

はこれで終わりです。
 

そこで,今回はここまでです。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館) 

 

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2018年5月26日 (土)

訃報です。。

※入院中につき,まとレスです。

私は5/30日に右足の指2本切断手術予定で医者に入院2カ月コースと言われました。自宅ではドコモ光で自宅室内のWiFiしか使えないので,入院中のブログは休みにしようと思っていたのですが病室のWiFiが使えたので,とりあえずアクセスしました。

5/16日私が入院したと同時に大物芸能人3人の相次ぐ訃報が入りました。

 西城秀樹さん。星由里子さん。朝丘雪路さんです。

ず,5/16日に西城秀樹さんが急性心不全で亡くなられました。

享年63歳。まだ若いです。

  「西城秀樹」の画像検索結果

いわずと知れた新御三家、、野口五郎,西城秀樹,郷ひろみの一員で1955年生まれ,,1970年代の歌謡曲ブームに新スタイルを導入し,特に「YMCA」は大ヒットでした。

役者としても小林亜星の「寺内寛太郎一家」で樹稀樹林や浅田美代子らと共演、。大立ち回りは毎回楽しみでした。カレーのコマーシャルといい私より5歳若くちょうど東京に就職したころ全盛期で私も応援してました。

 脳梗塞を2003年,2011年の2度発症しても頑張ってる姿はカッコよかったです。結局,血栓性の病気らしく,若いのに脳梗塞に心筋梗塞や不整脈系の心臓病を併発したのは不運でした。

ご冥福をお祈りします。合掌!!

次に若大将=加山雄三の永遠のマドンナ。。女優の星由里子さんが16日に心房細動および肺がんが原因で天に召されました。享年74歳でした、

ニュース → 女優の星由里子さん肺がんで死去 74歳「星由里子」の画像検索結果

長年,私の住んでいた巣鴨1番街でスナック「若大将」を開いていた私より4歳年下の友人がいます。長崎出身の彼は若い時から加山雄三ファンで若大将シリーズが大好きだったので「若大将」をやっていたのでした。残念ながら店は立ち退きで数年前なくなりましたが友人として付き合っています。

昨日お見舞いに来ましたが星由里子さんんの訃報を嘆いていました。

加山雄三,星由里子,田中邦衛の映画、、私の趣味とは少し違いますがファンではありました。

ご冥福をお祈りします。合掌!!

そして昭和の大女優:朝丘雪路さんがアルツハイマー性認知症が原因で4月27日に亡くなられていたことがわかりました。

享年82歳でした。

NHKニュース → 朝丘雪路さん死去

「朝丘 雪路」の画像検索結果

この方も今さらどうこう言わなくてもだれにも愛され,多士済々の宝塚出身のお嬢様女優でした。

 そして,テレビ創世期の11PM(イレブンピーエム)で大橋巨泉の相手役で天然キャラの元祖でした。5歳年下の津川雅彦と結婚45年でした。

 

長門裕之と南田洋子といい,この兄弟は大女優を女房にしてやがて妻が認知症になって先に亡くなることまで共通です。基本的に2人とも奥様の介護ができる優しい旦那様であったのは幸運でした。

「長門 南田」の画像検索結果

ご冥福をお祈りします。合掌!!

そして芸能人でjはないですが毎日新聞編集委員の岸井成格(しげただ)さんが15日未明肺線がんのため亡くなられたそうです。享年73歳でした。。

 

ニュース→ 岸井成格さん死去

「岸井さん」」の画像検索結果

TBS日曜番組の「サンデーモーニング」のコメンテーtクァーとして知ってるだけですがとても共感できる人でした。

 

ご冥福をお祈りします。合掌!!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月15日 (火)

また入院します。

2,,3日前から足首の傷が腫れて熱があり自宅で点滴中ですが,感染症で危ないので5月16日朝に本郷の順天堂医院に入院予定です。 ではまた。。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月 1日 (火)

超直接民主制(コンピュート議会)

表題だけでわかるでしょう。

誰でも考えるような思い付き構想です。

代議員(選挙)不要,。いかなる法案もスマホ(携帯)1つで全員投票。。結果は即時集計で世論がそのまま反映されます。

昔は不可能だった直接投票と瞬時集計。。いまならできそう。。

プラトンの絶対専制「哲人政治」の対極にあるようなモノでしょうか。。

PS:南北朝鮮。。アリの1穴か?ドミノ倒しか?ベルリン壁再来期待。

南北の人民が自由往来できさえすれば。。あとはなし崩し

TOKIOの山口くん かわいそう。。

人気商売は大変ですね。。小出恵介くん。ベッキーや極楽,トンボの山本くん。。小室ちゃん。。。etc.

他人の[不幸は蜜の味??,週刊誌のメシのタネ??

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年4月28日 (土)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(19)

「対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(18) 

から§6.7 Weinberg-Salam模型の続きです。
 

※クォークの結合 

何百と存在するハドロン(Hadron=バリオン(Baryon:重粒子) 

とメソン(Meson:中間子))に関しては,それらをqqqやqq~ 

の結合状態として実現している基本構成子:クォーク(quark) 

:()を用いてLagrangian密度を書きます。
 

クォーク場:(),強い相互作用(QCD:量子色力学: 

:Quantum Color Dynamics)のカラーSU(3)以外にそれと 

直交する自由度:フレイバー(Flavor)の添字fを持っています。
 

以下では,カラー添字は省略します。
 

クォークのフレイバーの種類として,質量の順に軽い方から, 

(up),(down),(dtrange),(charm),(bottom)の5種 

が既に観測されており,後にわかる理由によって,もう1つ 

(top)があると考えられています。
 

これら6種のクォークの電荷は,eを単位として, 

,,tのq(F=1,2,3),Q=2/3,,,bのq 

(f=1,2,3)が Q=-1/3を与えられ,Q=2/3 

Q=-1/3の2系列に分けられます。
 

Q=2/3の系列を上系列(upper quarks)と呼んでq 

で表わし.Q=-1/3の系列を下系列(lower quarks) 

と呼んでqで表わすことにします。
 

これらのクォークの左手型成分はSU(2)-2重項, 

右手型成分はSU(2)-1重項とし,弱超電荷Yは,公式: 

Q=T3+Yで決めてSU(2)×U(1)の多重項を得ます。
 

[,d'],[,s'], [,b'] 

(Y=1/6),=u,=c,=t(Y=2/3), 

=d,=s,=b(Y=-1/3)です。
 

そこで,クォークもレプトンと同じく3世代構造 

になります。
 

レプトンと異なるのはSU(2)-2重項,の下成分;  

'=(d',s',b')(F=1,2,3),質量固有状態:  

(,,)(f=1,2,3),必ずしも一致せず, 

一般にユニタリ回転を受けてq'=Σf=13Ff 

となる点です。

このユニタリ回転Uの存在は.まだ3種のクォークu,, 

しか知られていなかった1960年代にまずCabbiboが導入 

したもので,続いて1970年に, 

Glashow-Illiopoulpus-Miani(GIM)が第4のクォ-クcを 

導入しクォーク2世代を完結させて

 と書きました。
 

回転角θCabbibo(Cabbibo angle)と呼ばれ,実験値 

ではsinθ0.22 です。
 

(※私が大学院に入学した1974年には(J/ψ)と呼ばれる新粒子 

が発見されましたが,当時は,正体が不明の未知の粒子でした。 

後にこれが,(charmクォークを含むメソンであると判明した 

のでした。私の論文では,8重項グルノンの1つか?という予想

がありました。。)
 

さらに1973,小林-益川はCP不変性の破れを説明する 

ために第3世代:,bの存在を予言し,上の2×2行列の 

Uを3×3行列としたユニタリ回転に拡張しました。
 

この3×3行列:Uは小林-益川混合行列と呼ばれ, 

その1つのパラメータの取り方は.次で与えられます。
 

ただし,icosθi,isinθi(i=1,2,3)です。
 

この行列は実験的には対角成分が支配的です。
 

[,'],[,'], [,'] 

のSU(2)-2重項においては, SU(2)-2重項,の上成分 

(3=1/2)が丁度上系列クォーク(質量固有状態):,, 

となるように取りましたが,この3つの線形結合に 

取り直せば下成分(3=1/2)が丁度下系列クォーク: 

,,bに一致するようにもできます。
 

[,']=UFf]=UFf[fF'F',] 

=UFfと書けて,は下系列対角なSU(2)-2重項です。
 

さて, 

[,'],[,'], [,'] 

=u,=c,=t,=d,=s,=b 

を用いて,クォーク部分のLagrangianを書くと. 

kinquark=ΣF[~iγμ{μ(i/6)'μ 

(i/2)(τAμ)]+ΣF{~iγμ{μ(2i/3)'μ}} 

+Σ[~iγμ{μ(i/3)'μ}].
 

nmassquark=-Σ{(~Φ)+R~(Φ)} 

 -Σ{(~Φ~)+R~(Φ~)} 

となります。
 

ただし,Fは上系列クォーク:,,tを,fは下系列クォーク: 

,,bを表わしています。
 

また,μQCDのグルオン(guluon:膠粒子):μを用いた 

カラーSU(3)の共変微分: 

つまり,μq={μicμ(λ/2)}qです。
 

nmassquarkの右辺第2項に現われるΦ~,レプトン部分の質量項: 

nmasslepton=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

でのHiggs:Φに対して,Φ~iτ2Φで与えられ,真空期待値は 

0|Φ|0>=[0,/2,0]に対して,0|Φ~|0>=[/2,0] 

です。これは上系列クォークに質量を与えるためです。
 

ここでも,レプトンの場合と同じ関係式:=√2/ 

=gm/(2)が成立し、Higgs場との湯川結合定数:, 

はクォークの質量:,に比例します。
 

ゲージ場との相互作用項も,レプトンの場合と同じく 

int=-{/(22)}(μμ+Wμμ+) 

-eAμemμ(/cosθ)μμ で与えられます。
 

ここでの荷電カレント:μはクォーク部分を意味し, 

μ=Jquarkμ=Σ,~Ffγμ(1-γ5)f です。
 

また,電磁相互作用カレント:emμ, 

emμ=Jquarkemμ(2/3)(~γμu+c~γμc+t~γμ) 

(1/3) (~γμd+s~γμs+b~γμ)です。
 

Zボソンの結合する中性カレント:μ, 

ZμquqrkZμ(3) quqrkμsin2θquarkemμであり 

(3) quqrkμ=Σ{~γμ(τ3/2)} 

=Σ(1/4)[~γμ(1-γ5) 

-Σ,Ff{~fFγμ(1-γ5)Ff'}] 

(1/4){Σ~γμ(1-γ5)-Σ~γμ(1-γ5)} 

です。
 

GIM機構 

荷電カレント:quarkμ=Σ,~Ffγμ(1-γ5)f  

おいては,SU(2)-2重項にクォーク混合(mixing)がある反映 

として混合行列UFfが現われています。
 

話を簡単かつ明確にするため,混合行列が次 

で与えられるクォーク2世代しかない場合,を考える 

ことにすれば
 

(2世代)μ(~cosθ+s~sinθ)γμ(1-γ5) 

(-d~sinθ+s~cosθ)γμ(1-γ5)c となります。
 

混合行列は対角成分が支配的(cosθ>>sinθ)ですから, 

同一世代的遷移(Cabbibo favered process):u⇔d,c⇔s 

が主で,世代間遷移(Cabbibo suppressed process):u⇔s, 

c⇔dは相対的に少ないです。
 

しかし,たとえ因子sinθが微小とはいえ,世代間遷移が 

存在することが重要です。例えば(us~)結合状態である 

中間子は,-d~sinθγμ(1-γ5)cの項を通してのみ 

崩壊できるのです。
 

これに対し,中性カレント:Zμでは,クォ-ク混合の効果は 

消えて,フレイバーについて対角的なことが重要です。 

つまり,(2世代)Zμ(3) (2世代)μsin2θ(2世代)emμ 

(3)(2世代)μ(1/4){Σ~γμ(1-γ5) 

-Σ~γμ(1-γ5)} 

(2世代)emμ(2/3)(~γμu+c~γμ) 

(1/3)(~γμd+s~γμ)です。
 

これは,混合行列の積:ΣfFFf,Uのユニタリ性から 

δff'になるからです。
 

ところが,もしもクォークがu,,sの3種しかなかったらどう 

でしょうか? 
 

その場合は,cがないのでSU(2)-2重項はLしか無く, 

そこで,ΣfFFfのFはF=uのみなので,δff'には 

なりません。
 

すなわち,(3) (2世代)μ=Σ{~γμ(τ3/2)}  

(1/4)[~γμ(1-γ5)(~cosθ+s~sinθ) 

γμ(1-γ5)(cosθ+ssinθ) となり,特に, 

(1/4)cosθsinθ{~γμ(1-γ5)+h.} 

項はフレイバーについて対角的ではなく,フレイバーを 

変える中性カレント(Flavor changing neutral current) 

略してFCNC呼ばれます。
 

このようなFCNCがあれば,例えば(ds~-sd~)結合状態の  

 0中間子の崩壊過程K:0 → μ++μ-が,主崩壊モードである 

0 → π+e+ν, 0 → π+μ+νμと同程度  

の確率で起こるはずです。
 

しかし.実験によると,この崩壊過程の分岐比(branching ratio:  

全崩壊確率中に占める割合)の値は,(0 → μ+μ)  

(7.3±0.4)×10-9と極めて小さいです。
 

したがって.このようなFCNCtreeレベルでは存在禁止で 

あるはずです。
 

このため,GIM,当時未発見のcクォークを導入して,  

2世代分のSU(2)-2重項を作り,それぞれ'FCNCの寄与が  

相殺するようにしたのです。すなわち,f≠fに対しては  

ΣfFFf'0 となるようにしました。
 

このような相殺の機構をGIM機構と呼びます。
 

この機構は,クォークが何世代存在しても同様ですから,3世代目 

の下系列のbクォークが発見された今は,bの関係するFCNC 

相殺するため,(この参考文献著書発行当時は未発見だった)上系列  

のtクォークの存在が必要とされるわけです。
 

0 → μ+μの分岐比が完全にゼロではなく, 

B=(7.3±0.4)×10-9の値を取るということは,GIM機構  

を持つゲージ理論を支持する証拠になっています。
 

つまり,0 → μ+μの過程はtreeレベルでなく,6.13  

のような1-ループ(1-loop)グラフが寄与しています。
 

uを媒介とするs~u~u~dには係数sinθcosθ,cの媒介  

では,~c~c~dで係数は-cosθsinθ,符号が違うので  

uとcの質量の2乗差が効いてきます。
 

すなわち,その過程の振幅:,大雑把に計算して, 

{4/2}{(22)/ 2}sinθcosθ 

~α(2/ 2)sinθ×Gとなりますが,これは主崩壊モード  

の通常の振幅:sinθに比べて,因子α(2/ 2)  

(1/137)(2/ 2)0.3×10-4だけ小さく,確率はその2 

10-9に比例するので,分岐比:B=(7.3±0.4)×10-9をうまく  

再現しているからです。
 

CPの破れ  

弱い相互作用は,例えば荷電カレントがV-A型なのでパリティ 

を最大限に破っています。
 

このの破れは,Weinberg-Salam模型ではFermi粒子のカイラル  

(左手型,右手型)成分を基本的な場として扱っているため,うまく  

取り入れられています。
 

ところが,弱い相互作用では,さらにCP不変性も破れています。
 

例えば,CP=-1の長寿命モードK0中間子:0 CP=+1 

2π状態にも崩壊します。
 

0の添字Lはlongtime(長寿命)のLですが,=-1,

=+1です。 

一方,2πはπ+πでもπ0+π0でも=+1,内部パリティは  

(1)2=+1ですが,0 のスピンはゼロなので,その崩壊  

過程では2πはl=0 の軌道s状態にあるはずですから,結果  

CP=+1となりCPは破れています。
 

CPの破れが,Weinberg-Salam模型で起こるためには,  

そのLagrangianの結合定数のどれかが実数ではなく,複素数 

である必要があります。
 

ゲージ場部分やHiggs場の自己相互作用部分(Higgs2重項が  

1種類だけならHermite性からこれは起こり得ません。
 

Higgs場とクォークやレプトンとの湯川相互作用部分もFermion  

場の定義を取り直せば結合定数:,f,を全て実数()  

に取れるので.CPは破れません。
 

nmasslepton=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

,nmassquark=-Σ{(~Φ)+R~(Φ)} 

 -Σ{(~Φ~)+R~(Φ~)}では,既にこうした 

操作を実行して湯川結合定数を,Fermionの種類について対角的な 

実数,かつ,正の量にした形を与えたので,実は常にそうできること 

,ここで示しておきます。
 

(証明):クォーク・セクター:nmassquarkに限定して話をすると,  

SU(2)-2重項の左手型クォーク場:i,SU(2)-1重項の  

右手型上系列クォーク場:Iと右手型下系列クォーク場:i  

とが,n世代分(i=1,..,)存在する場合,そのHiggs-2重項  

Φとの湯川相互作用項の最も一般的な形は  

= -Σi,j=1{ij(~iΦ)j+gij(~iΦ~)j 

+h.} です。ただし,ij,およびgijは一般に複素数の 

湯川結合定数であり,それぞれ,2個あります。
 

まず,任意のn次複素行列:Mはユニタリ行列U,Vを用いて対角化 

できる。つまり,UMVが対角成分:λ1,..,λが全て実数,かつ 

正の対角行列になるようにできる。という 

「特異値標準形の定理」の成立することが知られています。
 

そこで,湯川結合定数:(ij),および,(ij),それぞれ,n次  

の複素行列とみなせば,それぞれ2個のユニタリ行列で対角化

できます。つまり,Σijiijj=fδFF',および,  

Σijiijjf'=fδffとできるユニタリ行列:  

,,,が存在します。f,は正の実数です。
 

初めのクォーク場:i,I,iの代わりにそれらをユニタリ変換  

した次の場,=ΣUii,=ΣUii, =ΣVii

=ΣViiを用いれば,  

= -Σi,j=1{ij(~iΦ)j 

+gij(~iΦ~)j+h.},標準形である 

nmassquark=-Σ{(~Φ)+R~(Φ)}  

 -Σ{(~Φ~)+R~(Φ~)}に帰着します。  

(証明終わり)
 

,,,をL=UFfのUFfと比較すれば  

Ff(下+)Ff

と書けて,小林・益川行列:UFfは,

湯川結合定数行列をそれぞれ対角化する上系列

ユニタリ行列と下系列ユニタリ行列のずれから

生ずることが明らかです。
 

一旦,nmassquarkのような標準形に書けば,湯川相互作用が 

CP不変性破らないことは直ちにわかります。

実際, Higgs場Φのt’Hooftパラメトリゼーション: 

Φ()(1/2){v+ψ()iχ()τ}[0,1] 

(1/2)[-χ2()-iχ1(),v+ψ()+iχ3()] 

(ψ,χ[χ1,χ2,χ3]は実スカラー場)において, 

χ()0に取るユニタリ・ゲージでは,(※このゲージ以外では 

非物理的Higgs:χが残っており,χの関わる湯川相互作用 

,Ffが複素数のとき,CPを破ります。しかし,これは次に 

論じる荷電カレント相互作用と本質的に一体の効果です。)
 

ΦはΦ()(1/2) [01,v+ψ()]となり, 

これを代入すれば,標準形の湯川相互作用は, 

nmassquark=-{Σ(+fψ/2)~}(f → F) 

となります。(j=f/2)
 

これは,クォーク質量項と実結合定数の湯川相互作用:~qψ 

を与え,明らかにCP不変です。
 

それ故,Weinberg-Salam模型でCP不変性の破れを起こす唯一の 

可能性はクォーク場の荷電カレント相互作用部分: 

(/22){μ~γμ(1-γ5)Ff+h.}の結合定数: 

gUFfが複素数,つまり,混合行列UFfが複素数になることです。
 

(19-1):まず,CPμ(,)-1-1=Wμ(-x,)です。 

CP(,)-1-1=C(γ0)~(-x,)=Cq+T(-x,) 

故に,CP(,)-1-1=q(-x,)
 

そこで,CP{~γμ(1-γ5)(,)}-1-1 

=qγ0γμ(1-γ5)Cq(,) 

=-q~γμ(1-γ5)Cq(,) 

何故ならFermionについては,荷電共役行列:Cが 

あって,γμC=C-1γμC=-γμ,γ5C=γ5=γ5 

を満たします。そして,γ0γμγ0=γμです。
 

よって,{μ~γμ(1-γ5)Ff+h.}の第1項は 

CP変換でWμ~γμ(1-γ5)Ff(,) 

変わりますが,一方,2:.cの-,tでの式は, 

μ~γμ(1-γ5)Ff(,)ですから, 

(,).Ffが実でないなら,CP変換で(,) 

に変わらないため,CPが破れることになります。 

(19-1終わり※)
 

ところが,定義が示すように混合行列:Ffは左手型クォークの 

上系列場qのSU(2)-2重項の相棒(下成分)の下系列場 

との相対的関係を与えるものですから,場の位相と(従って 

F'も共通に)場の位相を取り直す自由度を使えば行列要素; 

Ffの位相も変えることができます。
 

例えば,クォークが2世代のときは.Ffは2×2ユニタリ行列 

で元来4つの複素数要素=8自由度から4つのユニタリ性条件 

で4実パラメータの自由度なので,,,,sの4つの位相を 

使えば413個を吸収できます。(1を引くのは全体にかかる 

共通位相を除外したからです。)
 

そこで,残る1実パラメータをCabbibo角θとして,Ffを実数 

に取れて2世代では,CPの破れを導入できません。
 

小林-益川は,このことに初めて注目し,Ffが複素数と 

なる自由度を得るために第3世代クォークの必要性を 

指摘したのです。
 

途中ですが,今回はここまでにします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)


PS:小林・益川は2008年南部先生と共にノーベル物理学賞

を受けました。私,1975年か1976年に小林先生の集中講義

を受けた記憶ありますが,当時は浅学のため,内容は理解

できていませんでしたね。(猫にコンバンワ!です。)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年4月25日 (水)

訃報!!衣笠祥雄さん

元プロ野球広島カープの鉄人・衣笠祥雄さんが去る4月23日夜,結腸ガンで亡くなられました。享年71歳でした。 

日刊スポーツ →衣笠氏死去・4日前まで解説 鉄人を貫く 

.「衣笠祥雄」の画像検索結果

現役時代の背番号28で連続試合出場記録を持つ鉄人でした。私の3年先輩星野さんに次いで惜しい人を亡くしまはした。

東京六大学のスターだった田淵,星野,山本浩二は,みな衣笠と同じ年齢でしたが,衣笠は高校卒業でプロに入ったので3年早い苦労人でした。

見るからに。。こんないい人いません。。。私たちON世代には英雄でした。

いまどき,,ガンは治療すれば必ずしもすぐ亡くなる病気じゃないはずです。。闘病中ということでしたが潔いというか惜しいことです。

ご冥福を祈ります。合掌!!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年4月21日 (土)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(18)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(17) 

から§6.7 Weinberg-Salam模型の続きです。
 

※レプトンとの結合 

弱い相互作用の電荷の変化する部分に関しては(V-A) 

の相互作用であることから,レプトン場は左手型成分: 

ψ((1-γ5)/2}ψのみがSU(2)-2重項で,右手型成分: 

ψ((1+γ5)/2}ψはSU(2)-1重項を取らねばなりません。
 

現在ではe.μ以外に,より重いレプトン:τ粒子の存在が 

知られているので, 

[ν,], μ[νμ,μ],τ[ντ,τ] 

(Y=-1/2),=e. μ=μ. τ=τ(Y=-1) 

と定義します。ここで超弱電荷:Yの値は,Q=T3+Yによって 

決まるものです。
 

こうすれば,. μ.τに対応するニュートリノ:ν.νμ.ντ 

の右手型成分が現われない,ことは注目に値します。
 

零質量?のニュートリノは謂わゆるWeyl場であり 右手型成分 

は元々無いからです。
 

τ粒子の存在が未知であった昔から,質量の違いを除けば全く 

同一の性質を持つ,電子eとμ粒子が何故,存在するのか?という 

ことが謎であり,これは「e-μパズル」と呼ばれていました。
 

現在では,τ粒子まで加わっているため,「e-μパズル」は 

「自然は,何故3度も同じことを繰り返すのか?」という問い 

に直されます。
 

今では,[ν,], μ[νμ,μ],τ[ντ,τ] 

(Y=-1/2),=e. μ=μ. τ=τ(Y=-1) 

に現われる,,μ,τの多重項の繰り返しを.3世代構造 

(3-generation structure)と呼んでいます。
 

これらを用いてレプトン部分のLagrangian:では, 

-2重項がY=-1/2,-1重項がY=-1に対応して,演算子 

Yを,それぞれの固有値に置き換えます。また,(j=e,μ,τ) 

については,1重項なのでT=0です。
 

そこで,Dirac運動項は 

kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμ{μ(i/2)g'Bμ 

(i/2)(τAμ)}L+R~iγμ(μig'Bμ)], 

nmasslepton=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

と書けるはずです。
 

(18-1):何故なら、仮にRjもニュートリノを上成分に持つ 

2重項と仮定すれば, 

Dirac質量項=-Σj=e,μ,τ{(~+R~)ij(+R)} 

ですが,~,~に比例する項は恒等的にゼロなので, 

Dirac質量項=-Σj=e,μ,τ{(~ij)+R~ij} 

なります。
 

そして,質量行列:ijはMij=-fiδijと書くことができ,しかも 

この質量も2重項場(Higgs)Φに起因するとして,jを1重項 

に戻し,Hermite性を保持しながら,湯川型を仮定すると, 

質量項=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

と書けます。  (18-1終わり※)
 

レプトンのDirac質量項は,Higgs-2重項Φとの湯川相互作用 

から,真空期待値:0|Φ()|0>=[0,/2]を得た後に 

初めて現われます。
 

例えば,電子項;j=eの部分は, 

-f{[ν~,~][0,/2]+h,} 

=-(/2)~e=-m~e と解釈されます。 

(※mは電子質量,.cはHermite共役項の意です。)
 

したがって,レプトンの,Higgs-2重項の湯川結合定数: 

,treeレベルで,それぞれの質量に比例し,v=2/gと 

いう以前の評価から,=√2/v=gm/(2) 

書けることになります。
 

そこで,湯川結合定数f,通常,(/)~ m/(2) 

<<1なので,SU(2)の結合定数gに比べてかなり小さい 

ことがわかります。
 

次に,kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμ{μ(i/2)g'Bμ 

(i/2)(τAμ)}+R~iγμ(μig'Bμ)]μ, 

μ,μ,μ,μ,μに書き換えます。
 

結果,int=-{/(22)}(μμ+Wμμ+) 

-eAμemμ(/cosθ)μμ が得られます。
 

ただし,μ4-Fermi相互作用の荷電カレントのレプトン  

部分:leptonμ2(1i2)leptonμであり  

leptonμ=e~γμ(1-γ5)ν+μ~γμ(1-γ5)νμ 

+τ~γμ(1-γ5)ντ で与えられます。
 

emμは電磁相互作用カレントで,これは  

leptonemμ=-(~γμe+μ~γμμ+τ~γμτ)の意味です。
 

また,μはZボソンの結合する中性カレントで 

Zμ(3)leptonμsin2θleptonemμであり 

(3)leptonμ=Σj=e,μ,τ{~γμ(τ3/2)}です。
 

(18-2):Dirac相互作用における電子項;j=eの部分のみ 

に着目し,1μ(1/2)(μ+Wμ),

2μ(i/2)(μ-Wμ), 

3μcosθμsinθμ,

μ=-sinθμcosθμ を代入します。

特に,τAμ=τ11μ+τ22μ+τ33μ 

(1/2){(τ1iτ2)μ(τ1iτ2)+μ} 

τ3(cosθμsinθμ) です。
 

~iγμ{μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)} 

+R~iγμ(μig'Bμ) 

=e~iγμμe+νeL~iγμμνeL 

(g'/2)(~γμ+e~γμ+νeL~γμνeL) 

(sinθμcpsθμ) 

(/2)}[νeL~,~]γμ 

×[(1/2){(τ1iτ2)μ(τ1iτ2)+μ} 

+τ3(cosθμsinθμ)][νeL,]
 

=e~iγμμe+νeL~iγμμνeL(~γμ)(eAμ) 

(~γμ)(’sinθμ) 

+(1/2)(~γμ-νeL~γμνeL)gZμ/cosθ 

(/2)}(νeL~γμ )μ(νe~γμνeL )+μ} 
 

(※※ここで,紛らわしいのですが,(eAμ)の係数eは素電荷 

でe=gsinθ=g’cosθW 0 であり, 

cosθ=g/(2+g'2)1/2,sinθ=g'/(2+g'2)1/2 

より,g'sinθW +gcosθW (2+g'2)/(2+g'2)1/2 

(2+g'2)1/2=g/cosθ,っです。それ故 

g'sinθμ=g'2μ/(2+g'2)1/2 

=gsin2θμ/cosθを用いました。)
 

μ粒子部分,τ粒子部分についても同様です。
 

(18-2終わり※)
 

電磁相互作用項:-eAμemμ,丁度,荷電レプトンの 

運動項:Σj=e,μ,τψ~iγμμψの∂μを共変微分の形の 

極小相互作:iμ(iμ-eAμ),or μ(μieAμ) 

にすることに相当しています。
 

Wボソンの荷電カレントのレプトン項: 

{/(22)}(μμ+Wμμ+)を用いて前掲の図6.12 

の型no]Feynmanグラフの寄与を計算すれば,Wボソンの質量 

に比して低エネルギーの領域(2<<M2)では実質上 

4-Fermi相互作用:Fermi=-(/2)μμ を再現します。
 

つまり,2<<M2)では,(2-M2)~ -M2より, 

{i/(22)}2μ(iμν)(2-M2)-1μ  

~-i(/2)μμ  なる対応です。
 

よって./2=g2/(82)より,Wの質量は, 

{22/(8)}1/2{22/(8sin2θ)}1/2 

(37.3/|sinθ|)GeVと評価されます。
 

2(2+g'2)2/4=M2/cos2θを用いると 

=M/|cosθ|~(74.6/|sinθ|)GeV, 

/2=√2/g={2/(4)}1/2 174 GeV,
 

こうして, /2がパラメータ無しで決まったことに 

着目します。これはSU(2)×U(1)→ U(1). 

自発的破れの特徴的スケ-ルが100 GeV程度であること 

を示しています。
 

さらに電荷を持たないZボソンと中性カレントJμ 

相互作用項があり,Zボソンを媒介とする図6.12,旧来 

4-Fermi相互作用では知られてなかった,中性カレント 

相互作用:(1/2!)(/cosθ)2Zμ(μν)(2-M2)-1μ  

~ -(4/2) Zμμ が存在することを予言します。
 

これの存在は,実際,()ニュートリノと電子(陽子)の弾性散乱 

ν~e→ν~, νμ~e→νμ~,νμe→νμ, 

ν~p→ν~, νp→ν..などで観測され,それらの 

データからWeinberg角因子:sin2θが決定されました。
 

最近の値は,sin2θ0.2325±0.0008です。
 

これを用いれば,,Zボソンの質量は, 

77.GeV, 88.3GeVと予言されます。
 

果たして1968,CERNRubbiaらによって,遂に発見 

されたW,Zボソンはその質量の観測値が 

(80.26±0.026)GeV,(91.17±0.02)GeVでした。
 

上述の予言値は,これとよく一致していますが,ループグラフ 

の補正計算では,予言値が23%大きい方に修正されて 

80GeV, 91GeVとなり,理論と実験の一致は驚く 

ほど良いです。
 

※ここまで得た結果と,まだ詳しく考察してない部分を

要約します。 

前回記事では,ゲージ場とHiggs場のLagrangian 

ゲージ場Higgsと書くと, 

ゲージ場=-(1/4){μν-∂νμ-g(μ×ν)}2 

(1/4)(μν-∂νμ)2 

=-(1/4)μνAμν(1/4)μνZμν 

(1/2)(μννμ)(μννμ) 

i(||μν+gcosθZμν)μ+ν 

(2/2){|μμ|2(μμ)2}であり,
 

Higgs|μΦ|2+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2, 

μ=∂μ(i/2)μ(i/2)(τAμ) 

であることを見ました。
 

今回,レプトンのDirac運動項: 

kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμ{μ(i/2)g'Bμ 

(i/2)(τAμ)+R~iγμ(μig'Bμ)], 

の計算から,
 

kinlepton=Σj=e,μ,τ[~iγμμ+R~iγμμ] 

intであってレプトンとゲージ場の相互作用項:int 

,int=-{/(22)}(μμ+Wμμ+) 

-eAμemμ(/cosθ)μμ で与えられる 

こと,そして,
 

また,レプトンのDirac質量項は, 

nmasslepton==-Σj=e,μ,τ{(~ij)+R~ij} 

=Σj=e,μ,τ(-fj){(~Φ)+R~(Φ)} 

で与えられることを見ました。
 

残るHiggs2重項場:ΦのセクターのLagrangian, 

Higgs|μΦ|2+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2 ですが, 

Higgs|{μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)}Φ|2 

+μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2 ,g'→ 0 の極限で 

Higgs-Kibble模型と同じものに帰着する,と書きました。
 

SU(2)Higgs-Kibble模型での考察と同じく, 

Higgs2重項Φは,Φ()[φ1,φ2] 

(1/2){v+ψ()iχ()τ}[0,1] 

(1/2)[-χ2()-iχ1(),v+ψ()iχ3()] 

(ψ,χ[χ1,χ2,χ3]は実スカラー場) 

で与えられる,とします。
 

SU(2)対称性が破れる原因となる真空期待値は, 

0|Φ()|0>=[0,/2]であり, 

0|ψ()|0>=<0|χ()|0>=0 です。
 

明らかに,対称性の破れにより生じた零質量のNG 

ボソンがχ[χ1,χ2 ,χ3]ですが,粒子の電荷Qは, 

Q=T3+Yを満たします。
 

Φの弱超電荷をY=1/2として,Φ()[φ1,φ2] 

(1/2)[-χ2()iχ1(),v+ψ()iχ3()] 

Φの下成分(3=-1/2)の電荷がQ=0となるように 

このYを設定したのでした。
 

したがって,上成分(31/2),電荷Q=+1を持つはず 

です。
 

まず,χ[χ1,χ2 ,χ3],SU(2)のベクトルなので 

T=1であり,ψはスカラーなのでT=0です。 

これらは,3|χ3>=|χ3,|χ3>=χ3|0,3|ψ>=0, 

|ψ>=ψ|0>より,[3,χ3]=χ3,[3,ψ]0 

意味します。
 

故に,[3,φ2][3,ψiχ3]iχ3です。 

そこで, [,φ2][,ψiχ3}[3+Y,ψiχ3] 

0 であれば,[,ψiχ3]=-iχ3 

でなければなりません。
 

そこで,ψについての弱超電荷はY=0 [,ψ]0 

と仮定すれば,[, χ3]=-χ3となることが必要です。
 

それ故,NGボソン:χ[χ1,χ2 ,χ3]の弱超電荷は 

Y=-1,[,χa+]=-χa+(a=1,2,3)であると 

します。
 

こうすれば,Φ()[φ1,φ2]において, 

[,φ2}0,[,φ1}=φ1となり,上述したように 

Φの下成分がQ=0,上成分がQ=+1を持ち,質量mの 

Higgs粒子ψは如何なる量子数も持たない,ということで 

全て辻褄が合います。
 

Higgs-Kibble模型の共変微分は,Weinberg-Salam模型の 

μΦ={μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)}Φ 

において,g'=0としたDμΦ={μ(i/2)(τAμ)}Φ 

です。
 

Higgs-Kibble模型においては, 

|μΦ|2(μΦ)μΦ=(1/2)(μψ)2 

(/2)μ{χ(μψ)-ψ(μχ)χ×(μχ)} 

(1/2)(μχ-Mμ)2(/2)MAμ2ψ 

(2/8)μ2ψ2(2/8)μ2χ2でした。
 

μの獲得する質量はM=gv/2|μ|(2/2λ)1/2 

でした。
 

これはWeinberg-Salam模型では, 

|μΦ|2|{μ(i/2)g'Bμ(i/2)(τAμ)}Φ|2 

であり,このうちゲージ場の質量項は(ゲージ場質量項) 

|(i/2){g'Bμ+g(τμ)}[0,/2]|2 

(22/8){(1μ)2(2μ)2} 

(2/8)(μ-gA3μ)2
 

=M2μμ(1/2) 2μμ 

で与えられることを見ました。
 

Higgs機構により,元々零質量のゲージ場:μ,μが獲得 

する質量M,,2=g22/4,2(2+g'2)2/4 

=M2/cos2θW です。
 

g'に無関係な項は,Higgs-Kibble模型と同じで, 

μ2ΦΦ-(λ/2)(ΦΦ)2  

=-(1/2)2ψ2+V0[/2)] (λ/8)(ψ+χ2)2 

(1/2)m√λ)ψ(ψ+χ2) です。
 

ただし,ψの獲得する質量mは,22μ2,/2(μ2/λ)1/2 

で与えられ,-V0[/2](1/2)μ22(λ/8)4です。
 

今回はここまでにし次回からはハドロン(クォーク)との 

結合等について考察します。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(17)