2021年2月 1日 (月)

71 71回目の誕生日です。

今日2021年2月1日は私の誕生日です。

私のエトは今の太陽暦では寅年です。

今年の中国春節=旧正月元旦は1月28日なので旧暦で

新暦でも今は丑年でしょうが

,私が生まれた1950年(昭和25年)2月1日は

,まだ丑年だったはずです。なので丑寅年=鬼年と

称しています。

ところで昨年は4月と8月にパルスオキヂメーターの血中酸素

が90未満になり、それぞれ数週間酸素吸入で暮らしましたが

症状は似ていても心不全からくる肺水腫でコロナには感染して

いません。何とか生きています。

 

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2020年12月30日 (水)

くりこみ理論(第2部)(2)

「くりこみ理論(第2部)」の続きで

第8章の§8-1「くりこみ群と演算子積

展開」の続きです。

※(余談):いろいろとバタバタしている

うちに,ブログの原稿書きもさぼっていて,投稿は久しぶりです。とうとう明日は

2020年の大晦日で,急に寒くなりました

が,何とか生きたまま,年を越せそうです。

(余談終わり)

※以下,本文です。

さて,運動方程式とWT恒等式の項目

に入ります。

当面の目的はあくまで演算子積(複合

演算子)に対する「Wilsonの演算子積展開」の成立を証明することにあり,少し寄り道

とはなりますが,この証明にとっても重要なので,BPHZの枠内で運動方程式の使い方と,WT恒等式についてのコメントです。

粒子場:φ(x)から成る系のBPHZの

意味での有効Lagrangian:

与えられたとき,系の従う運動方程式

(Euler-Lagrange eq.)は,

/∂φ-∂μ{∂/∂(∂μφ)}

=δS/δφ=0  (21) です。

何故なら,は,作用原理を満たすべき

作用SをS=∫d4によって

定めるLagranfian密度を意味する

からです。

しかしながら,これは,必ずしも

演算子等式の成立を意味しない。と

考えられるので,Green関数中に因子

(δS/δφ)」が現われたからと

いって,Green関数を直ちにゼロとする

ことはできないことがわかります。

(※これは,Green関数中のT積

(時間順序積)は,実はT*積を意味する

ので,階段関数θ(t)の微分などが

消えずに単純な等式の成立を邪魔る

からです。)

そこで,BPHZの手続きで有限に

されGreen関数を,真空期待値:

<0|T[…]|0>>>のような形に

記すことにすれば,

上記のEuler-lagrangeの運動方程式

よりも,むしろ,次式の成立を主張する

方が,系の運動を記述する方程式として

ふさわしい。ということを示したい

と考えます。

すなわち,Green関数に対する

方程式:<0|T([φ(z){δS/δφ(z)]dφ(x1),,φ(xn)|0>

=iΣr=1n4(z-xr)

<0|T(φ(x1)..^φ(xr).φ(xn)|0> (22)が成立するとするわけです。

ただし,^φ(xr)は,全体の積から,

φ(xr)のみを除くことを意味する記号

です。

この(22)式は,次元dが,複合演算子:

[φ(z){δS/δφ(z)}]の正しい次元:

4以上の場合なら,常に,そして最初の

因子φ(z)を両辺で,その微分:∂μ1.

μkφ(z)に置き換えても(dをその

正しい次元以上にする限り)成立します。

この式は,演算子型式で正準交換関係

を用いて得られる式と,ほぼ同じですが,

T積が実はT積であることや,因子:

[φδS/δφ]が,機能的に導入された

正規積であることなど,あくまでBPHZ

の枠内での等式となることに着目します。

※(注2-1):以下,(22)をFeynmanグラフ

的に証明します。

ただし,今は,たび重なるココログフリーのリニューアルや,OS()Windows)の

バージュンの変化でブログ記事の上で

用いていた,図を書くスキルなどを失っているため,文章のみの,頭の中に仮想的に

描いた図での説明しか,できませんが。。

さて,まず,φ(δS/δφ)

=φ[-(□+μ2)φ-(λ/3!)φ3]の

うち,V={-φ(□+μ2)φ}として,V

のみを挿入した裸のGreen関数:GV(n)

に効くFeynmanグラフを運動量表示で

考察します。

グラフのV頂点(Vを含む頂点)

のKlein-Gordon演算子の掛かった場:

[-φ(□+μ2)φ]が出る線は,一般に

直接,外線p1,p2,.pのどれかに

つながるか?または,λφ4相互作用の

頂点につながるか?のどちらかです。

-(□+μ2)φから出る線は全く相互

作用が無いグラフと,(この場合λφ4

無い)相互作用をしているグラフに

つながるか?のいずれかしかありません。)

ところが,-(□+μ2)φの演算子:

-(□+μ2)は,運動量表示ではp2-μ2)

であり,丁度:伝播関数:-(□+μ2)-1

(これは運動量表示では,i/(p2-μ2))

を相殺して単なる数因子;iに変える

働きを持つことに注意すれば,結局

のところ,(22)式の<0|T([φ(z)

δS/δφ(z)]dφ(x1),,φ(xn)|0>

=iΣr=1n4(z-xr)

<0|T(φ(x1)..^φ(xr).. φ(xn)|0>,で,φ(δS/δφ)=φ[-(□+μ2

-(λ/3!)φ3])とした等式が成立する

ことがわかります。

すなわち,グラフ表現の等式の両辺で,

V頂点に次元dを付与したBPHZの

R演算を施します。

これは,グラフのV頂点に

[-φ(□+μ2)φ]を挿入したGreen

関数に対する等式を与えます。

第1項:つまりV頂点が相互作用無し

で直接n個の外線の1つにつながって

いて,残りとは無関係の場合には,V頂点

を囲むくりこみ部分は存在しないので,

通常のR演算を受けて,(22)の右辺の

総和式を得るわけです。

(※この第1項のV頂点因子は,単に,

(p2-μ2)×{i/(p2-μ2)}=i

と,(-iλ/3!)の積の数因子です。)

他方,残る第2項は,V頂点が

φ・i(―iλφ)/3!)=φ・λφ3/の

複合場となっていて,Vを含む部分は,

元の{-φ(□+μ2)φ]と同様,Vを

次元dであると見なしたTaylor引き算

を受けます。

それ故,R演算後の第2項は,次元d

の正規積:[φ・λφ3/3!]を挿入した

Green関数:<0|T[{φ・λφ3/3!}dφ(x1)..φ(xn)]|0>を与え,これを左辺に移項

して[―φ(□+μ2]φ-λφ3/3!]

挿入項にまとめられて,(22)の左辺を

与えるわけです。(証明終わり 

(注2-1終わり※)

BPHZの枠内では(22)の等式は大変有用なモノであり,例えばカレント保存則から従うWT恒等式もこの範疇に含まれて

います。  

最も簡単な例として,複素スカラー場φ

から成る系で有効Lagrangianが

=∂μφμφ-μ2φφ

-(λ/2)(φφ)2で与えられる場合を

考えます。

このときU(1)カレント;jμ(x)

=i{φ(x)∂μφ(x)-{∂μφ(x)}

φ(x)}=iφ(x)∂μφ(x)(23)

は,素朴な(1)の運動方程式を用いて,

保存することがわかります、

すなわち

μμ=i{φ*□φ-(□φ*)φ}

=-i{φ*(δS/δφ)-(δS/δφ)φ}.(24)ですから素朴な運動方程式:

δS/δφ=δS/δφ=0から,右辺は

ゼロとなります。素朴にはそうです、

等式:<0|T([φ(z)δS/δφ(z)]d

φ(x1),,φ(xn)|0>

=iΣr=1n4(z-xr)

<0|T(φ(x1)..^φ(xr)...φ(xn)|0>は,<0|T([φi(z)|δS/δφk(z)]]d

φi1(1i2(x2).φim(xm)|0>

=iΣr=1n4(z-xrkir

<0|T(φ(z)φi1(x1)..^φir(xr)

..φim(x)|0> (25)となることが

容易にわかります。

さらに、一般に正規積[O]に対して

μ[O]=[∂μO]d+1.(26)の等式が

成立します。

何故なら,グラフγのω次のTaylor

項演算子をtγω.,γの外線運動量因子

の1つをqμとするとき

ɤ(ω+1)μ=qμγωとなるからです。

そこで,(23)を正しい次元3を付与

した正規積[jμ]3として,それを挿入

したGreen関数の発散∂μを計算

すれば,(26),(25),(24)の等式を用いて

次式を得ます。すなわち,

zμ<0|T{[jμ(z)]3φ(x1)..φ(x)

φ(y1),.φ(yn)}|0>

=∂<0|T{[φ{δS/δφ}

-{δS/δφ(z)]4

φ(x1)..φ(x)

φ(y1)...φ(yn)}|0>

=-Σr=1nδ4(z-xr)

<0|T{φ(z)φ(x1)..φ(x)

φ(y1)...φ(yn)}|0>

+Σr=1nδ4(z-yr)

<0|T{φ(z)φ(x1)..φ(x)

φ(y1)..φ(yn)}|0>..(27)

です。

この式が,BPHZ定式化における

WT恒等式であり,形式上,演算子形式

で素朴に(紫外発散の問題を考慮しない)

正準交換関係を用いて求めたWT恒等式

を再現したものとなっています。

U(1)カレントの正規積[jμ]3

代わりに,次元4のエネルギー・運動量

テンソルのそれ[Tμν]4の場合も同様です

。また,,次元3以下のソフトな破れがある

カレントの場合も同様な等式で分析

できます、

  • さて,続いて演算子積展開に戻ります。

準備が整ったので先のWilsonの

OPEの公式(1):

A(x)B(x)

=limx→yii(x―y)

i((x+y)/2)],(Ciはc-数関数)を

,BPHZ定式化を用いて証明することを

始めます。

一般的な場合も本質的には同じなので,

ここでは最も簡単な場合:λφ4理論で,

AもBも場φ自身である場合のみを

考えます。

すなわち,Tφ(x+ξ)φ(x-ξ)

=Σii(ξ)[Oi(x)]di  (28)

(diはCiの正しい次元)の形の展開式

の成立を証明します。問題としている2

つの演算子の積:φ(x+ξ)φ(x-ξ)

を挿入した(くりこまれた)Green関数:

(n)φ(x+ξ)φ(x-ξ)は,今の場合,

単に,(n+2)点Green関数:(n+2)

です。

つまり,<0|T{[φ(x+ξ)φ(x-ξ)

φ(y1)..φ(y)}|0>=∫d4qd4

(2π)-8×Πj=1n4ik(2π)-4

exp(-iqx-ik・2ξ)

×exp-iΣj=1njj)(2π)4

δ4(q+Σj=1nj)

(n+2)(q/2+k,q/2-k,)..(29)

です。ここで,φ(x+ξ)および,

φ(x-ξ)の運動量をそれぞれ,

(q/2)+k,および,(q/2)-k(つまり,

重心運動量がq,相対運動量がkとなる

ように)置き,その他の運動量を

­=(p1..p)としました。

(29)で,ξ→0での挙動を今から

調べたいのですが,(29)は,ξ=0では

∫d4k(2π)-4がloop積分の形になり

新たな紫外発散が生じる。という構造

になっています。そこで,演算子積:

φ(x+ξ)φ(x-ξ)に対し,これは

離れた2点の場の積なのますが,先の

局所積の場合と同様,正規積:

[φ(x+ξ)φ(x^ξ)]というもの

を,次のように導入します。

まず,ΓをG(n+2)に効く任意のグラフ

とするとき,端点:x1=x+ξと,

x-ξを一致させて得られる

グラフΔをΔ=Γ~.(30)と記述します。

新たに生じた点x=x1=x2のφ2頂点

Vと呼びます、しかし,この操作は

(29)のG(n+2) →G~(n+2)のFeynman

グラフに効く被積分関数:]ΓはIΓ→,IΔ.(31)

としてほとんど何の変更もしてないことに

注意すべきです。

(29)の被積分関数をIΓと思うかIΔと思うかは

後から行なう∫d4k(2π)-4exp(-2ikξ)が単

なるFourier積分か,ξ=0とおいたloop積分に

なるか,の違いだけです。

そこで,次数がdの正規積:

[φ(z1)φ(x2)]を次のように定義

します。

すなわち,あるグラフΓの寄与として,

<0|T{{φ(x1)φ(x2)}φ~(p1).

.φ~(pn)}}0>Γ (x1=x+ξ,x2=x-ξ)

=∫d4qd4k(2π)-8

exp(-iqx-2ikξ)(2π)4

δ4(q+Σii)]∫Πj=124j

Δ(d)(q/2+k,q/2-k,,d)]..

(32)とします。

途中ですがここで今年は終わりです。

※(参考文献):九後汰一郎著

「ゲージ場の量子論Ⅱ」(培風館)

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2020年11月11日 (水)

くりこみ理論第2部(1)

今日は11月11日です。

長い記事を一気にアップします。

「くりこみ理論(次元正則化)」シリーズは,2020年

8月に記事:(1)~(16)をアップして終了しました。

それらは,参考テキスト「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(九後汰一論著)の「第7章くりこみ」を.私が49歳

の1999年3/20から1999年5/7に,詳読したときの

行間埋め覚え書きの履歴のノートの内容でした。

20年以上前のノートの反芻は,老化した70歳の自分

の頭脳には,温故知新で新鮮な刺激となっています。

続いて「第8章くりこみ群と演算子積展開」から,

くりこみ理論の補遺として記事をアップします。

参照ノートの開始日は,前章の終了日と同じ1999年

の5/7でした。

(※余談):この1999年の頃は「1999-7の月に

ハルマゲドンで人類は滅びる。」という五島勉氏著の

ベストセラー「ノストラダムスの大予言」がはやって

いて,7月にはこの世の終わりがくるのか?とかを,半分

本気で心配していましたね。

幽霊やUFO,超能力など現時点では,まだ,ちゃんと

した存在証明も不存在証明もできていない,と思っている

超常現象など,自分では見たりしたとかの経験もない物事

については,頭から否定するわけでもなく.とにかく昔も

今も半信半疑状態です。

自分は現代の自然科学のレベルはまだ低いと思って

いて,これに全面的信頼を持つほど単純ではないですから,

何の文明的なモノも避難場所もない荒野のようなところ

に,一人で闇夜に放り出されたとしたら,文明世界しか

知らない自分は,魑魅魍魎が出てくるかも?と本能的な

恐怖におののくことでしょうね。

増え続ける人類は,「あらゆる生物種は自らの増加が

食料不足をもたらして減少する。」という食物連鎖

の輪廻の「神の摂理」から離れて,人類には共食い

という戦争もなくなり医学の進歩により疫病を予防

しても,結局,新しいウィルスという天敵が現われ自殺

やLGBTなどの少子化文化でも追い付かず,環境破壊

などによる災害,そして科学文明が反逆するという滅び

の道が現在のハルマゲドンとして避けられないのでは

ないか?と思います。(余談終わり※)

※以下は,本文です。

第8章の「繰り込み群と演算子積展開」という新しい

項目に入るに当たり,テーマの説明と機付けとして

この間「物理学の哲学」というシリーズ記事を

書きました。ここからは,新しく第2部とします。

  • 8-1:(複合演算子のくりこみと演算子積展開)

場の理論の種々の現象論的応用において,しばしば,

場の局所的演算子(一般には複合演算子)A(x),B(y)

の積:A(x)B(y)が2点xとyを同一点(x=y)

(または光円錐:(x-y)2=0)の近傍に近づけたとき,

どのように挙動するか?を知る必要が生じます。

Wilsonは,この問題に対して,直観的に,ある種の

局所演算子の完全系:{Oi(x)}が存在して;

一般に,A(x)B(x)

=limx→yii(x―y)Oi((x+y)/2)],(1)

(Ciはc-数関数)と展開できることを主張し,

その意味と応用について議論しました。

Wilson自身は上記の展開式(1)を,必ずしも摂動論

の枠内に限らず成立する,演算子間の等式として提唱

したもので,今日,(1)はWilsonの「演算子積展開」

(operator-product expansion),略してOPEと

呼ばれています。

演算子A,B,Oiの次元をd,d,diとすると

z=x-yの関数としての展開係数Ciは,Ci(z)

~(1/z)(dA+dB-di)のように挙動すると考えられる

ので,短距離のz=(x-y)~ 0の同一点の極限では

展開(1)の無限個の項のうち,次元diが低い初めの方

の数項だけを分析すれば十分なはずです。

そして,摂動論の枠内で初めて(1)の展開を厳密に

証明したのはZimmermannでした。

本節では,彼に従って,摂動論において(1)の展開式

を導きます。以下では,簡単のため,もっぱらλφ4

理論で話をしますが,他の場合でも本質的には同様

です。

まず,複合演算子の厳密な定義からです。

展開式(1)の右辺にある演算子Oiは,一般に

φ(x),φ(x)∂μφ(x)などのような場の

同一時空点の積であって,局所演算子積,

(lobal operation product),または,単に複合

演算子(composite operator)と呼ばれるものです。

しかし,こうした局所積は場の理論では特異性を

持っているので,そのままではWell-defimed(無矛盾)

ではなく,(1)の展開,つまりOPEを証明するには,

まず,そうした局所積を正確に定義するところから

始める必要があります。

複合演算子:Oを直接,演算子として定義する代わり

に,Zimmermannに従って,正規積(normal product)と

呼ばれる演算子:[O]d(またはN(O))を機能的に定義

します。

すなわち,[O]を含む全てのGreen関数を定義

することによって,逆に,演算子:[O]を定義します。

Oはφ,∂μφ∂μφ,φ(∂μφ∂νφ)などの

ように,一般の場φと,その微分から構成される

単項式であり,O=O(φ)を含むGreen関数は,

(n)(x1,x2..xn)

=<TO(φ)φ(x1)φ(x2)..φ(xn)>

=∫Dφ{O(φ)φ(x1)φ(x2)..φ(xn)

×expi{∫d4}.(2)で定義されます。

ただし,Lagrangian密度は相殺項なしの有限な

=(1/2)(∂μφ∂μφ-μ2φ2)-(λ/4)φ4 .(3)

であり,これはBPHZの枠内で有効Lagrangian

と呼ばれるものです。

このとき,先の乗法的くりこみの場合の相殺項に

相当するものはに陽に加えないで,BPHZの

Taylor演算:(-tγ)で機能的に行なうものです。

(※Tayllor演算:(-tγ)で自動的に満足される,

「p=0での(中間的)くりこみ条件」以外の

くりこみ条件を設定したいときには,(3)式のに,

さらに有限係数の(hcのベキ級数を係数とする)

相殺項を加えたものを,改めて有効lagrangian

とする,わけです。)

もう1つ,第4章「経路積分と摂動論」で述べた

ように,定義(2)で用いているT積(時間順序積)は

*積の意味です。本節で用いるT積は全てT*積

を意味することに注意しておきます。(※つまり,

T積への左からの演算は,Tを飛び越えて内部への

直接演算を意味するわけです。)。

以下,Green関数:G(n)を議論する代わりに,その

1粒子既約な(1PI)グラフのみの寄与で,かつ,n点

1..xの各脚から出る伝播関数iΔを取り去って

得られるn点頂点関数:Γ(n)を議論します。

すなわち,<TO(φ)φ(x1)..φ(xn)>1PI

=[Πi=1n{∫d4i(xi-yi)}]Γ(n)(y1..yn).(4)

と書けるとします。

Γ(n)を論じるには,まず,再び,第5章§5-6で

したように,φ,Oの外場J,Kを導入して,頂点関数

の生成汎関数をexpiW[J,K]

=∫Dφ[expi{∫d4+J・φ+K・O(φ)}] (5)

で定義し:W[J,K]を,外場Jについてのみ,Legendre

変換して,Γ[φ,K]=W[J,K]-J・φを,定義

します。するとn頂点関数は,ΓO(x)(n)(x1,.xn)

=δ(n+1)Γ[φ,K]

/{δK(x)δφ(x1)..δφ(x)}|φ=K=0.(6)

としても,得られる量です。

※(注1-1):つまり,生成汎関数の定義から,

expiW[J,K]­=Σ{(1/n!)Γ(n)(x1..xn)

φ(x1)..φ(xn)}です。

そして,δ(expiW[J,K])/δK

=(δW[J,K]/δK)expiW[J,K]ですから

δW/δK=NΣ{(1/n!)Γ(n)(x1..xn)

×φ(x1)..φ(xn)}(Nは規格化定数)と

なりますが,(δΓ[φ,K]/δK)φ

=(δW[J.K]/δK)φ,かつ,

(δΓ[φ,K]/δφ)=-Jですから,

δΓ[φ,K]/δK=NΣ{(1/n!)

Γ(n)(x1..xn)φ(x1)..φ(xn)}です。

それ故,N~1として(6)式の,

ΓO(x)(n)(x1,.xn)=δ(n+1)Γ[φ,K]

/{δK(x)δφ(x1)..δφ(x)}|φ=K=0.

と,(δΓ/δK)の展開係数:Γ(n)(x1.xn)

は同じものであるとわかります。

(注1-1終わり※)

Γ(n)を,Oが挿入された頂点関数

(O-inserted vertex function)と呼びます。

Oの正規積:[O]の頂点関数Γ[O]d(n)は,

Γ(n)に効くグラフGの各々に対して,その

Feynmanの被積分関数I(n))を,それに

R演算を施した,R[O]d(n))

=ΣU∈(G)γ∈U(-tγ)}I(n))(7)

で置き換えて得られる量として定義します。

ただし,このグラフGのくりこみ部分γとしては,

Oの頂点を囲むものも含みます。その場合,演算子

[O]dは,実際の次元(※例えば,O=(∂μφ∂μφ)

なら次元は4)には関係なく,次元dを持つ演算子

と見なします。すなわち,[O]d頂点には,指標:

(d-4)を付与するか,または,見かけの発散次数

の公式§7-3の(7)に従って,[O]d頂点を含む部分

グラフγは見かけの発散次数:ω(γ)

=4-nγ+(d-4)=d-nγ≧0.(8)(nγはγの

外線数)(8)のとき,くりこみ部分と見なし,tγ

ω(γ)のTaylor演算子とします。

このようにして得られるΓ[O]d(n)は,dがOの

本当の次元d以上であれば,有限な無矛盾なもの

となります。

何故なら,Gの生成汎関数を(5)のexpiW[J,K]

=∫Dφ[expi{∫d4+J・φ+K・O(φ)}]

のように書けば,{+KO(φ)}全体を系の有効

Lagranguanと見なすことができて,その場合,

O頂点を含むグラフも普通のグラフであって,普通

のBPHZくりこみで有限になるからです。

(※収束定理を参照)

もちろん,このときにはO頂点を囲む部分グラフ

の見かけの発散では,Oの本当の次元dを勘定し,

γもそれに見合ったものですから,上のように

して得られる量は,d=dとした正規積:[O]dO

の場合の頂点関数Γ[O]dO(n)です。

d>dの[O]dの場合は,必要以上の引き算を

しますが,ともかく有限ではあります。

そして,d>dの場合の[O]を引き過ぎ

演算子(oversubtracted operator)」と呼び,

d=dの正しい次元を付与した正規積を,

通常の正規積と呼びます。

引き過ぎ演算子:[O]d(d>d)は,実は次元

がd以下の.通常の正規積演算子:[O^]dの線形

和で表わすことができます。

これを.[φ2]dを例に取って説明します。

この場合,示すべきは,α,β,γを定数として,

2]4=[φ2]2+α[φ4]4+β[∂μφ∂μφ]4

+γ[φ□φ]4.(9)の式です。

一般に,[O]dと同じ形の[O]dOは,係数1で

現われ,それに混じる他の演算子は,全てOと

同じLorentz変換性.および,内部対称性を

持ちます。

頂点関数:Γ[O]d(n)は,Γ(n)に効くグラフ

のFeynman積分の被積分間数をR演算を

用いて,R[O]d(n))

=ΣU∈(G)γ∈U(-tγ)}I(n))(7)

に置き換えて得られる量であると,先に定義

しました。

そこで,Γ[φ2]4(n)については,φ2頂点を,

次元4と見なしたTaylor演算子をt(4)γ

記すと,その寄与はR[φ2]4(n))

=ΣU∈(G)γ∈U(-t(4)γ)}Iφ2(n))

(10)の積分で与えられます。

φ2頂点を含むγに対して,t(4)γはφ2

正しい次元2を付与する通常のtγ=t(2)γ

より,2次だけ余計に取り出すので,t(4)γ

=t(2)γ+t^γ.(11)と書けます。

ところで,一般に順序付けられた積:

Πi=1(xi+yi)=(xn+yn)(xn-1+yn-1)

..(x1+y1)に対して,その展開の各単項式

の中に含まれるylのうち,最小添字を持つ

ものに着目して,項をまとめると,

Πi=1(xi+yi)=Πi=1ni+yni=1n-1i)

+(xn+yn)yn-1i=1n-2i)

+(xn+yn)(xn-1+yn-1)yn-2i=1n-3)+..

+{Πi=2n(xi+yi)}y1.(12)の形の等式

を得ます。

それ故,(10)の表式:R[φ2]4(n))

=ΣU∈(G)γ∈U(-t(4)γ)}Iφ2(n)

の中のグラフGの森:Uのそれぞれの中で,

φ2を含むくりこみ部分γ1,..γは小さい

ものから.大きいものへと,右から順に並んで

いるとし,対応するΠi=1n(-t(4)γi)

=Πi=1n(-t(2))γi-t^γi)に,(12)の形の等式

を適用すれば(10)におけるTaylor演算子の積

のあらゆる可能な森Uにわたる和が次のように

書き直せます。

すなわち,ΣU∈(G)Πγ∈U(-t(4)γ)

=ΣU∈(G)Πγ∈U(-t(2)γ)

+Στ∈TU1∈(G/τ)Πγ∈U1(-t(4)γ)(-t^γ)

U2∈(τ)Πγ∈U2(-t(2)γ)}].(13)です。

ただし,Tは,フラフGのφ2頂点を含む,

くり込み部分:τの全ての集合,(G/τ)は

τを1点に縮約したグラフ:(G/τ)のあらゆる

森:U1の集合,(τ)は,あらゆるτ森:U2

集合です。

公式(12)から,元々,U2がτの正規な森(τ

自身を含まない森)に限られる式も得られるの

ですが,満杯の森の場合には,必ず含まれるt(2)τ

はτの外線運動量のω(τ)=(2-nτ)次元以下

の多項式を与えるため,(4-nτ)次項を取り出す

(-t^τ)演算子の後ろでは,効きません,

つまり,t^τ(2)τ=0なので,このゼロ寄与も

加えたあらゆるτ森にわたる和としてもいい

のです。

さて,再掲(13):ΣU∈(G)Πγ∈U(-t(4)γ)

=ΣU∈(G)Πγ∈U(-t(2)γ)

+Στ∈TU1∈(G/τ)Πγ∈U1(-t(4)γ)(-t^γ)

U2∈(τ)Πγ∈U2(-t(2)γ)}].の右辺の演算を

φ2を含むグラフGのFeynman被積分関数:

φ2(n))に,左から演算します。

このとき,(13)の右辺第2項を演算する場合

には,I=IG/τ・Iτの積の形に書けること

を用います。

さらに,[φ2]4頂点を含むくりこみ部分τは,

公式(8)より:ω(τ)=4-nτ≧0.

(nτはτの外線数)に従ってω(τ)で,4-nτ≧0

のときが,くりこみ部分ですが,これは,τの外線数:

τが2,または4の場合のみです。

その場合,t^τ=t(4)τ-t(2)τは,nτ=2のときは,

τの外線運動量に関してt(4)τは(4-nτ)=2次

まで,t(2)τは(2-nτ)=0次までのTaylor演算子

ですから2次の部分のみを,nτ­=4のときは,

(2)γ=0なので0次の部分のみを,それぞれ,引き算

する演算であること注意します。

(※ 何故なら,1次の部分はLorentz不変性ゆえ,

出てきません。つまり,外線nτ=2なら2つのφ

に対し1次で効くのは∂μφとφから成る運動量

表示でpμに比例する部分ですから,それにかかる,

Taylor演算のp2=0での定数係数Aμを考えると,

これは4元ベクトルで,かつ,定数ということなので

不可能です。※)

こうして(13)の両辺をIに演算して次の(14)

が得られます。

すなわち,(10)の表式:R[φ2]4(n))

=ΣU∈(G)γ∈U(-t(4)γ)}Iφ2(n))

において,(13)のΣU∈(G)Πγ∈U(-t(4)γ)

=ΣU∈(G)Πγ∈U(-t(2)γ)

+Στ∈TU1∈(G/τ)Πγ∈U1(-t(4)γ)(-t^γ)

U2∈(τ)Πγ∈U2(-t(2)γ)}].を代入すれば,:

[φ2]4(n))=R[φ2]2(n))

-Στ∈T4G/τ[φ4]4(n))Rτ[φ2]2(4))|p=0

-Στ∈T2[RG/τ[∂μφ∂νφ]4(n))

{(i2/2)(∂2/∂p1μ∂p2ν)Rτ[φ2]2(4))|p=0}

+RG/τ[∂μ∂νφ・Φ]4(n))

×{(i2/2)(∂2/∂p1μ∂p1ν)Rτ[φ2]2(4)))|p=0]

+RG/τ[φ(∂μ∂νφ)]4(n))

×{(i2/2)(∂2/∂p2μ∂p2ν)Rτ[φ2]2(4)))|p=0]]

(14)を得ます。

ただし,T2,T4は,それぞれ外線数nτが2,4の

φ2項を含むくりこみ部分でp1,p2はτ∈T2の2本

の外線運動量であり(..)|p­=0はτの外線運動量が

全てゼロであることを意味します。

(※∂μφ∂νφの相互作用頂点からは,(G/τ)の

グラフとして,(-ip1μ)(-ip2ν)の因子を含むと

考えられます。)

ここでRτ(..)|p=0etc.は,外線運動量pに依らない

定数係数です。それ故,(14)をloop積分し,あらゆる

G,および,τについて和を取れば,

Γ2]4(n)=Γ[φ2]2(n)+αΓ[φ4]4(n)

+βΓ[∂μφ∂μφ]4(n)+γΓ[φ□φ]4(n)。(15)

となります。

ただし,Lorentz不変性により

(∂2/∂p1μ∂p2ν)Rτ[φ2]2(4))|p=0}∝gμν

となること,および,[φ□φ]4=[(□φ)φ]4

であることを用いました。

そして,定係数α,β,γは

α=Σ∀Gτ[φ2]2(4))|p=0}.(6).,etc.

で与えられます。

こうして,(15)が任意のn点頂点関数について

成立するので,結局,求める,引き過ぎ演算子[φ2]4

が通常の正規積の線形和で書ける,という式(9):

2]4=[φ2]2+α[φ4]4+β[∂μφ∂μφ]4

+γ[φ□φ]4.(α,β,γは定数)が証明された

わけです。

※(注1-2):そもそも,局所演算子積や複合演算子

を考える必要が何故あるのか?の動機付けを述べて

おきます。

私が現役の院生の頃,素粒子論では,カレント代数

という分野がありました。いまもあるのかは

知りません。

Fermionカレントはスピノルの双1次形式,

つまりスピノル場の演算子の局所積で与えられ

ますが,これを一般の物理屋は同一点の積の

特異性を深く考えずに考察していました。

例えばカイラル軸性カレントは

(x)=ψ~(ⅹ)γ5γμψ(x)

であり複合演算子(局所演算[子積]です。

特異性を意識してεだけ離した

Bilocal currentでは,

(x,ε)

=ψ~(ⅹ-ε/2)γ5γμψ(x+ε/2)

×{∫x-ε/2x+ε/2μ(y)dyμ}です。

そこで,当時,私が専門に研究していた

のはQEDにおける三角アノマリー

(Adler-Jackew anomaly)というテーマ

でした,この不思議な現象を解析すれば,

紫外発散を除去するくりこみという操作

の理論的メカニズムが明快に理解できる

のでは?と期待したからです。

しかし,このテーマは当時,素粒子論の

端緒を齧った程度の身で,一人でやるには

壮大過ぎて,結局,卒業(終了)には間に合わず,

仕方なく1974年(24歳)のとき発見された

(J/ψ)新粒子(後にcharmクォークを含む

重中間子と同定)に関連してカラー一重項

の粒子-反粒子対(中間子)と3体クォーク

(重粒子)のみが観測されて,例えばカラー

多重項や4体以上のexotic 粒子が観測され

ない理由について考察した「三重三元

クォーク模型の束縛ポテンシャル」という

卒業論文しか書けませんでした。

一方,量子アノマリーは,私のその後の普通

の社会人に就職した後もアマチュアとして

細々と考察していたのを嘲笑うかのように

世界的には解明され,例えば、本参考書の

第9章「アノマリー」であるようにゲージ

不変な次元正則化を行なうときγ5を含む

軸性カレントの存在がネックとなって出現

する余分な項である,とか,経路積分で変数

置換する際,γ5の存在のためにヤコービ行列

に現われる異常項である,という意味で解決

されました。まあ,自分が解決できなくても

理解できればいいというスタンスですから

それで満足ですが,実験観測データを説明

できる偉大な対症療法である「くりこみ理論」

を原因両方に変えたい,という構想と

アノマリーに大した関係がないという意味

で,40第の頃,がっかりしたのでした。

VVA三角アノマーに興味持ったのは,電荷を

持たない中性中間子であるπ0の電磁崩壊

π0→γ+γの崩壊に興味を持ったからでした。

電荷を持たないので摂動の1次では光子

(電磁場)と相互作用はできないので

π0→e+e→2γのように弱い相互作用

のV-Aカレントを経る2次の過程のはずです。

電子eのようなレプトンカレントの必要はなく

p-p~(陽子反陽子対) π0→p+p~→2γ

でもいいのです。当時は自分にクォークを想定

する習慣ないので実荷電粒子の陽子を挟みました

がnクオークでも1/3の電荷があるので,可能です。

そして,e~(1-γ5μeのようなV-Aカレント

の頂点:(1-γ5μがeとeに分かれて

それから,それぞれγνσの電磁頂点

から光子が出ていくというfeynmanグラフ

の三角グラフを考えます。そもそも純粋は

QFDだけではこういうのはありません。

しかもFurryの定理によりVVVグラフの寄与

はゼロなのでVVAだけ残ります。

ここまで書きましたが,ここからの話は,結局,

途中で追加したシリーズ記事「物理学の哲学」

の重複になるもで割愛します。(注1-2終わり※)

※次に(複合演算子の乗法的くりこみ解釈)

という項に入ります。

演算子挿入がない通常の場合のBPHZくりこみ

が裸のLagrangianを組み変えて相殺項を用意する

乗法的くりこみと解釈できることは,既に記述した

通りですが,今の演算子挿入で定義される複合演算子

の場合も乗法的くりこみで理解できます。

BPHZ流にくり込こんだΓ[O]d(n)のFeynman積分の

被積分関数の定義式(7):R[O]d(n))

=ΣU∈(G)γ∈U(-tγ)}I(n))において,

Taylor演算子:(-tγ)は,γが[O]d頂点を囲まない

場合は,通常のLagrangianからの相殺項の寄与を引く

のと同等でしたが,γが[O]d頂点を囲む場合は,新しい

相殺項を引くことに相当します。

この相殺項の演算子O^はTaylor演算子tγの次数

がω(γ)=(d-nγ)ですから,高々ω(γ)階微分

を持った場:φについてnγ次の局所演算子:

O^=(∂)(φ(x))nγ (17)

,(k=0,1,2,..ω(γ)=(d-nγ)の形を持って

います。このO^は,次元がk+nγ≦dです。

特に正しい次元:d=dを付与された正規積:

[O]dOのみを考えることにして,それをくりこんだ

複合演算子:Orenと呼ぶことにします。

そうすれば,BPHZくりこみは,結局,ある次元;di

演算子Oirenを,その次元以下の裸の演算子の完全系:

{O0j}を用いて,次のように,Oiren=Σdj≦diij0j,

ij=δij+hcij(1)+hc2ij(2)+..(18)として,

乗法的くりこみを行なったのと等価であることが

わかります。

つまり,左辺の展開のhcij(n)0j(n≧1)の

寄与がBPJZのTaylor演算(-tγ)に,対応した乗法

くりこみの相殺項として働きます。

ただ,この場合,乗法的くりこみ因子:Zijは,単に

定数ではなく,行列(要素)となっていることが,従前の

乗法的くりこみと少し異なります。

BPJZ処方でくりこまれたOiren=[Oi]diの場合は,

外線運動量がゼロの点での「(中間的)くりこみ条件」

を満たしています。

例えば,O=φ4の場合,O点に入る運動量をqとして,

Γ[φ4]4(4)(=0,P=0)=4!,Γ[φ4]4(2)(=0,P=0)

=0.piμ∂Γ[φ4]4(2)(=0,P=0)=0.

pjμ∂pjνΓ[φ4]4(2)(=0,P=0)=0

(18)なる条件です。

ただし,P=(1,2,3,4)です。

もちろん,このタイプ以外のくりこみ条件で

くりこまれた複合演算子{O^jren}も定義できて

{Ojren}とは,(18)と同じ下三角行列による有限

くりこみの関係でつながります。

すなわち,O^iren=Σdj≦di ijjren.(20)です。

途中ですが,今日はこれで長い記事を終わります、

(参考文献):九後汰一郎著「ゲージ場の量子論Ⅱ」

(培風館)

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2020年11月 3日 (火)

物理学の哲学(15)(終)(アノマリー)

「物理学の哲学(14)」からの続きです。

(※余談):今日は11/3(火)祝日です。時差があります

から,まだでしょうがアメリカでは重要な大統領選挙

の投票日ですね

実は先月の10/28(水)に,このシリーズ記事の(14)を

アップした直後,続いて分割した残りの記事を(15)

としてアップしようとしたところ,コピペの操作を間違え

,つい全部消えてしまいました。落ち込んでいるときに,

丁度,訪問医が来て,何事か?と心配されましたが,落ち

込みの理由を聞いて大したことない,と慰められました。

こうしたことは前にもあって,アップの前にバックアップ

を取る習慣になってましたが,これでこの記事シリーズ

が終わりになるので,ちょっとあせったようです。

まあ,仕方がないので消えた部分は,記憶に頼って書き直す

しかなく,再掲記事部分以外は少し変わったはずですが

今日11月3日までかかりました。今度は忘れずに先に

バックアップを取ります。

消えたモノも業者に頼れば復活するはずですが,貧乏人

私にそんな余分なお金はないのでね。(余談終わり※)

※さて,以下は本題です。

アノマリーは,運動方程式からのアプロ-チに

よっても得られることがわかりました。これは軸性

ベクトルカレントに現われる特異な演算子積を注意

深く扱えばいえることです。

※(注):j(x,ε)は,外場との相互作用があるので

真空期待値はゼロではなく,<0|j(x,ε)ελ|0>

=<0|ψ~(x+ε/2)γμγ5ψ(x-ε/2)ελ|0>

×exp{-∫x-ε/2x+ε/2dξ(ξ)}ですが,これの

εの2次以上のオーダーを無視します。

<0|ψ~(x+ε/2)γμγ5ψ(x-ε/2)|0>

=(γμγ5)αβ

<0|ψ~α(x+ε/2)ψβ(x-ε/2)|0>

=-(γμγ5)αβ

<0|T[ψβ(x-ε/2)ψ~α(x+ε/2)|0>

=-Tr{γμγ5iSF~(-ε)}です。

Fermionの伝播関数:S~(x-y)を外場:μ(x)

で展開すると,自由Fermion伝播関数:SF(x-y)

がベキで出現します。

まず,φ(x)を,Klein-Gordon方程式

(□+02)φ(x)=0を満たす自由複素スカラー場

とすると,その自由Feynman伝播関数:ΔF(x)は,

F(x)=<0|θ(x0)φ(x)φ(0)

+θ(-x0(0)φ(x)|0>

=θ(x0)∫d3(2π)-3(2ωk)-1exp(-ikx)

+θ(-x0)∫d3(2π)-3(2ωk)-1exp(ikx)

ただしωk=(2+m02)1/2で,与えられます。

そして,SF(x)は,このΔF(x)を用いて,

F(x)=(iγμμ+m0F(x)と表わすこと

もできます。(※自由Green関数として満足する

方程式は,(□+m02)ΔF(x)=-δ4(x)ですから,

これから,(iγμμ-m0)F(x)=δ4(x)です。)

ここで,iΔ(+)(x)=∫d3(2π)-3(2ωk)-1

exp(-ikx)と置くと,iΔ(+)(x)=(2π)-20dk

[{k2(2ωk)-1exp(-iωk0)}

×∫-11d(cosθ)exp(ikrcosθ)

=(2πi)-1(4πr)-10dk[kexp(-iωk0)

×{exp(ikr)-exp(-ikr)}/ωk]

(2πi)-1(4πr)-1-dk

[kexp{-i(ωk0+kr)}/ωk]

=-(4πr)-1(∂/∂r)(2π)-1-∞dk

[exp{-i(ωk0+kr)}/ωk]と書けます。

同様に,iΔ(-)(x)=∫d3(2π)-3(2ωk)-1

exp(ikx)]と置くと

(-)(x)=-(4πr)-1(∂/∂r)

[(2π)-1-∞dk[exp{i(ωk0+kr)}/ωk]

です。

ところで,f(x)=f(x0,r)

=(2π)-1-∞dk[exp{i(ωk0+kr)}/ωk] 

とすると,右辺=(2π)-1-∞dk

[exp{i(ωk0+kr)}/(k2+m02)1/2]であり,

k=m0sinhφと置けば,dk=m0coshφdφ

で,(k2+m02)1/2=m0coshφです。

k:-∞ → ∞は,φ:-∞ → ∞に対応するため,

f(x)=(2π)-1-dφ

[exp{im0(x0coshφ+rsinhφ)}となります。

ここで,さらに,λ=x2=(x0)2-r2と置きます。

すると,

(ⅰ)x0>0 かつ,x0>rのとき,

λ>0 なので,x0=λ1/2coshφ0,r=λ1/2sinhφ0

と置くことができて,f(x)=(2π)-1-∞dφ

[exp{im0λ1/2cosh(φ+φ0)}]

=π-10dφ exp(im0λ1/2coshφ)です。

故に. f(x)=(i/2)H0[m0λ1/2]

=(i/2){J0[m0λ1/2]+iN0[m0λ1/2]}

(※ J0は0次Bessel関数,N0は0次の

Neumann関数,H0は0次Hankel関数です。)

(ⅱ) x0>0 かつ,x0<rのとき,

λ<0 なので,x0=(-λ)1/2sinhφ0,

r=(-λ)1/2coshφ0と置くことができて,

f(x)=(2π)-1-∞dφ

[exp{im0(-λ)1/2sinh(φ+φ0)}です。

故に.f(x)=(1/π)K0[(m0(-λ)1/2]

=(i/2)H0[(m0(-λ)1/2]

=(i/2){J0([m0(-λ)1/2]+iN0[(m0(-λ)1/2]}

(※ K0は0次の第2種変形Bessel関数です。)

(ⅲ) x0<0 かつ,|x0|>rのとき,

f(x)=(-i/2)H0[m0λ1/2]

=(-i/2){J0[m0λ1/2]+iN0[m0λ1/2]}

(ⅳ) x0<0 かつ,|x0|<rのとき,

f(x)=(1/π)K0[(m0(-λ)1/2]  です。

つまり, λ=(x0)2-r2>0なら

f(x)=(-1/2)N0[m0λ1/2]

+(i/2)ε(x0)J0[m0λ1/2]で,λ<0なら,

f(x)=(1/π)K0[(m0(-λ)1/2]です。

(+)(x)=-(4πr)-1(∂f/∂r)

=(2π)-1(∂f/∂λ)

={i/(4π)}ε(x0)δ(λ)

+θ(λ){m0/(8πλ1/2)}{N1[m0λ1/2]

+iε(x0)J1[m0λ1/2]}

+θ(-λ){m0/(4π2(-λ)1/2)}{K1[m0λ1/2]}

同様に,iΔ(-)(x)={-i/(4π)}ε(+iε(x0)

1[m0λx0)δ(λ)

+θ(λ){m0/(8πλ1/2)}{N1[m0λ1/2]1/2]}

+θ(-λ){m0/(4π2(-λ)1/2)}{K1[m0λ1/2]}

です。

故に,iΔF(x)=<0|T{φ(x)φ(0)|0>

=θ(x0)iΔ(+)(x)+θ(-x0)iΔ(-)(x)

なので,F(x)

{i/(4π)}δ(λ)+θ(λ){m0/(8πλ1/2)}

{N1[m0λ1/2]+iε(x0)J1[m0λ1/2]}

+θ(-λ){m0/(4π2(-λ)1/2)}{K1[m0λ1/2]}

を得ます。

数学公式によれば,J1[z]=z/2-1/2)(z/2)3

+O(z5),N1[z]=-1/(4πz)

+{z/π-(1/π)(z/2)3}ln(z/2)

+(C/π){z-(z/2)3}+O(z5 lnz)+O(z5)

1[z]={z+(1/2)(z/2)3}ln(z/2)

+(C/2){z-(z/2)3}+1/(4z)+O(z5)

F(x)=={i/(4π)}δ(λ)-1/(4π2λ)

-{im02/(16π)}θ(λ)+{m02C/(8π2)

+{m02/(8π2)}ln(m0|λ|1/2/2)

+O(|λ|1/2ln|λ|)

F(x)=(iγμμ+m0F(x)

=2iγμμ[{1/(4π)}δ’(λ)

+1/(4π22)

-{m02/(16π)}δ(λ)-{im02/(16π2λ)}

+O(|λ|-1/2ln|λ|)]

+m

{1/(4π)}δ(λ)-1/(4π2iλ)

-{m02/(16π)}θ(λ)+{m02C/(8π2)

-{im02/(8π2)}ln(m0|λ|1/2/2)

+O(|λ|1/2ln|λ|)です。

以上から, SF(x)は,xμ→ 0 のとき,

μ(1/λ2)~ 1/x3のように挙動することが

わかりました。

普通に,光子の外場Aμ(x)とだけ相互作用する

iSF~(x)を,Aμ(x)とiSF(x)で摂動展開すると,

iSF~(x―ε/2,x+ε/2)=iSF’(―ε)

=iSF(―ε)

+(-ie0)∫d4y[iSF(x―ε/2―y)γα

iSF(y-x―ε/2)Aα(y)]

+(-ie0)2∫d4yd4z[iSF(x―ε/2―y)γα

iSF(y-z)γβF(z―ε/2)Aα(y)Aβ(z)]

+O(lnε)です。

上述のように,SF(x―ε/2,x+ε/2)

=S。(―ε)がεμ/{(-ε)2}2のように挙動する

ことから,kを積分の個数,Fermion伝播関数の個数

とする発散次数:Dの次数勘定定理はD=4k-3f

となり,D>0ならεμ→ 0 のとき収束し,D=0なら

lnε発散をし,D=-1,-2,-3..なら,ε-1-2-3..

と挙動するのが明らかです。

ただし, <0|ψ~(x+ε/2)γμγ5ψ(x-ε/2)|0>

=-Tr{γμγ5iSF~(-ε)}ですが,

左辺=<0|j(x,ε)|0>

=(1/2)<0|[ψ~(x+ε/2),γμγ5ψ(x-ε/2)]|0>

で,右辺の真空:|0>で挟んだ場の交換子は,最低次

では,正規積(normal-producy)となっていて寄与は

ゼロになり,それ故,摂動展開の第1項のSF(-ε),

すなわち,ε→0でのtadpoleは,<0|j(x,ε)|0>

に寄与しません。あるいは,実際に計算しても,

F(―ε)=∫d4p(2π)-4 exp(ipε)/(-m0)

ですが,Tr{γμγ5/(-m0)}=0より,

-Tr{γμγ5iSF(-ε)}=0で,明らかに

-Tr{γμγ5iSF~(-ε)}に寄与しません。

また, O(lnε)も<0|j(x,ε)ελ|0>

では,ε→0でελO(lnε)→ 0で消えます。

また,第3項=(-ie0)2∫d4yd4

[iSF(x―ε/2―y)γαiSF(y-z)

γβF(z―ε/2)Aα(y)Aβ(z)]ですが,

<0|j(x,ε)ελ|0>Fμλ(x)全体の

荷電共役不変性から,この項は寄与しません。

具体的にはj(x,ε)は荷電共役偶で外場:

μ(x)は荷電共役奇etc.ですが,詳細は省略

します。残るのは,第2項=(-ie0)∫d4

[iSF(x―ε/2―y)(y)iSF(y-x―ε/2)(y)]

=ie0 ∫d4pd4q(2π)-8 [exp(ipε)exp(iqx)

×{(/2-m0)-1(q)(/2-m0) -1}]

です。

それ故,<0|j(x,ε)ελ|0>

=-Tr{ελγμγ5iSF~(-ε)}

=(-ie0)Tr[ελγμγ5∫d4pd4q(2π)-8 exp(ipε)

exp(iqx)(/2-m0)-1(q)(/2-m0) -1]

+O(εlnε)

=e0Tr[γμγ5∫d4pd4q(2π)-8 exp(ipε)exp(iqx)

(∂/∂pλ){(/2-m0)-1(q)

(/2-m0) -1}]+O(εlnε)です。

したがって,limε→ 0<0|j(x,ε)ελ|0>

=e0∫d4pd4q(2π)- 3exp(ipε)exp(iqx)

(∂/∂pλ)Tr[γμγ5(/2+m0)(q)

(/2+m0){(p+q/2)2-m02}-1

{(/2)2-m02}-1]

=4ie0εαβγδαμ∫d4q(2π)- 4exp(iqx)

δγ(q)∫d4p(2π)- 4(∂/∂pλ)

[pβ(p+q/2)2-m02}-1{(/2)2-m02}-1]

が得られます。

ところで,∫d4p{∂f(p)/∂pλ}は,

もしも,pμ=(p0,p1,p2,p3)を;p0=ip4として,

μ=(p1,p2,p3,p4)と書いてEuclid化し,4次元

のGauss積分定理を適用すると,積分領域

を半径Rの4次元球の内部として,

∫d4p{∂f(p)/∂pλ}

=(i2π22){pλ<f(p)>}|p|=Rを得ます。

ただし,|p|=Rは,Minkowski空間ではp2=-R2,

を意味し,<f(p)>は半径Rの球面上のf(p)の

平均値を意味します。

故に,∫d4p(2π)- 4

(∂/∂pλ)[pβ{(p+q/2)2-m02}-1

{(/2)2-m02}-1]

=limR→∞[(i2π22)Rλβ(-R2-m02)-2](2π)- 4

=igλβ/(32π2)を得ます。

(※ ここで,対称性からlimR→∞(Rμν/2)

=(1/4)gμνとなることを用いました。 )

一方,∫d4q(2π)- 4exp(iqx)qδγ(q)

=i∂δγ(x)です。

したがって,limε→0<0|j(x,ε)ελ|0>

=-ie0εμλγδ{∂δγ(x)}/(8π2)

=-ie0 εμλξηξη/(16π2)と書けます。

以上から, limε→0<0|∂μ(x,ε)|0>

=2im0 limε→0<0|j5(x,ε)|0>

+{e02/(16π2)}εμλξημλξη

=2im0 limε→0<0|j5(x,ε)|0>

+{α0/(4π)}εμλξημλξη

となり,先の∂μ<0|j(x,ε)|0>

=ie0<0|j5μ(x,ε)ελ|0>Fμλ(x)

+2im0<0|j5(x,ε)|0>+O(ε2).および,

ie0<0|j(x,ε)ελ|0>Fμλ(x)

={α0/(4π)}εμλξημλ(x) Fξτ(x)+O(ε)

が確かに証明されました。 (注終わり※)

40年前の1975~1976年当時のノートはここで

終わっています。本当はこれからが本題で当時も

ノートは,これで終わってはいても,結論まで理解して

いたはずです。が,長くなったし切りがいいので,

今日はここで終わります。次からは,第3章で

1995年のノートに移ります。(※再掲記事終了)

と書いて終わっています。

結局のところ,「物理学の哲学」シリーズの初期の

副題「止まると死ぬ。」というのは(5)でも述べた

ように,Heisenbergの不確定性原理:ΔpΔx~hの

ため,期待値として,位置を原点に固定:<Δx>=0で,

かつ,速度も<Δp>=0と,古典的には静止状態でも,

ゆらぎ(分散)は<(Δx)2>=0なら,<(Δp)2>=∞

となり,運動量(速度)は絶対的不確定という点粒子の

静止できないという宿命があるのが根源です。

そもそも,素粒子を大きさのない(構造を持たない)

点である,とすることに無理があるので,こうし無限大

を生じる原因がある,と考えられるのです。

軸性ベクトルカレントは,4次元発散にアノマリー

があるのが真であり,これが例えばπ0中間子の崩壊率

に正しい寄与を与えるのを見ても,j(x)のように,

1時空点xでの場の局所的双1次形式で与えられる

物理量は,実はj(x,ε)(ε>0)の非局所カレントの

形の方が現実の姿であって,ε=0の局所カレントでは

有り得ないのではないか?と考えるわけです。

ガリレイ,ニュートンに始まる自然科学では,物体を

大きさのない質点と近似し理想化したおかげで力学が

発展しました。また,水や空気を流体という連続体と

考えて定式化しましたが,実は後に原子論が出現して

わかったように,これらは莫大な分子という粒子の集まり

を近似したものでした。古典電磁気学も原子内の電子の

運動による効果などを連続的な場と概念を用いて定式化

しました。厳密には,連続体は近似であったのです。

この我々の宇宙:4次元時空も普通に連続的な多様体で

ある,と考えられてはいますが,格子点のように単純では

ないにしても,実は,ある臨界のε>0よりも小さい距離

には分割できない離散的時空の近似ではないか?

というのが結論です。

学生時代に,初めて接した紫外発散を除去するくりこみ

手法の本質には,このアノマリーのメカニズムが関与するの

では?と思って興味を持ったのは,こうした動機からでした。

素粒子は宇宙全体でも離散個数しかないはずなのに粒子

の場が連続的なものとして定式化されているのも問題です

が,こうした疑問に,未だにこだわってるのは三つ子の魂百

までですね。

さて70歳になった私のブログでの遺言(遺構)は第1弾

の「どこかの馬の骨の伝記」に続いて,この「物理学の哲学」

シリーズで,第2弾が終わりました。

あとは,第3弾のオリジナル理論で終わる予定です。

命の方が持つかな?

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2020年10月28日 (水)

物理学の哲学(14)(アノマリー)

「物理学の哲学」の続きです。

前回記事までで,スピノル場の軸性ベクトル

カレントの4次元発散の部分的保存(PCAC)関係

に2光子頂点と軸性頂点の三角グラフの寄与の

評価から出現する量子アノマリーの存在が確認

され,その値を「低エネルギー定理」で評価した後

場の理論のσ模型へと一般化することから,π0→2γ

崩壊の崩壊率(1/τ)が,そのσ模型の三角アノマリー

の寄与として予測計算が可能であるということを

見出しました。

この天下り的に与えられたように見えるσ模型が

実は,最初は対称性を持っていて,やがてそれが自発的

に破れる「南部Jonalashino模型」の(アイソスピン)

カイラル対称性の破れによって,得られる系であり,

さらに,π0中間子は,その対称性の破れに伴って出現

したゼロ質量の擬スカラー・NGボソンと同定される

π中間子の1つ,中性のそれであって,局所ゲージ対称性

の破れに伴う「Higgs機構」で現実の質量を獲得した

粒子である,というストーリーが,一応,完結しました。

ただ,心残りは,参考に用いた弱い相互作用の扱いが,

古いFermiの現象論であることで,弱ゲージ粒子の媒介

する電弱理論ではないことですが,これについては,深入

りせず,またの機会に譲ることにしました。

しかし,最初,私が25~26歳(1975~1976年)の学生時代

に興味を持ち,それから15年間の普通のサラリーマン生活

を経て,42歳でクビとなり,フリーターになったのを機会に

40歳代での暇な時間に,主に物理学や数学の勉強を再開して

ここまで到達した結果の1つが,これまでのシリーズ記事

の内容ですが,学生時代に特に着目していたのは.このブロ

グ記事シリーズの最初の副題(止まると死ぬ)というテ-マ

の端緒となった問題でした。

これについては,詳しい記述を追加したいと考えますが

実は,この課題も既に,本ブログの2017年にアップした過去

記事:「摂動論のアノマリー(9)」で詳述しています。

そこで,これを再掲記事としてアップし,現在,気になる部分

を修正し追加することで,お茶を濁して今回の記事とします。

この注目の問題とは,「アノマリーの座標空間での計算」

に関わる記述です。

※ 以下,再掲記事です。

さて,これまでは,運動量空間での扱いが主でしたが,

ここまでの考察から.ア,ノマリーを含む,座標空間での

PCAC式:∂μ(x)=2im05(x)

+{α0/(4π)}Fξσ(x)Fτρ(x)εξστρが成立して,

最後のアノマリー項も単純な形で表わされることが,

わかりました。

この事実は,座標空間でのアノマリーの導出と,

その解釈が可能であることを示唆しています。

座標空間での論議を進めるに当たり,光子について

は量子化されてないc数の電磁場の半古典論に話を

限り,軸性ベクトルカレント:jが場:ψ~とψが

離れた2時空点にある場の積という非局所カレント

((bilocal current)の形の局所極限である。と見なす

ことにします。つまり,軸性カレントは.j(x)

=limε→0(x,ε)で与えられるとするわけです。

ただし,j(x,ε)

=ψ~(x+ε/2)γμγ5ψ(x-ε/2)

×exp{-ie0x-ε/2x++/2dξ(ξ)} です。

ここで,右辺の最後の指数関数因子内の

積分:∫x-ε/2x++/2dξ(ξ)は,線積分:

x-ε/2x++/2dξλλ(ξ)を意味します。

そして因子:exp{-ie0x-ε/2x++/2dξ(ξ)}は

局所ゲージ変換:ψ(x)→ exp{-ie0Λ(x)}ψ(x),

かつ.Aμ(x)→Aμ(x)+∂μΛ(x)の下でのj

不変性を保証するために,必要な因子です。

この指数関数因子を,微小な正の数εの1次の

オーダーまで展開し,さらに,運動方程式を用いて

の4次元発散を計算します。

まず,j(x,ε)のεによる展開は,

5μ(x,ε)=ψ~(x+ε/2)γμγ5ψ(x-ε/2)

×{1-ie0ελλ(x)}+(εの2次以上の微小項)

となります、

そこで,∂μ(x,ε)

=ψ~(x+ε/2)γμγ5ψ(x-ε/2)

×[-ie0ελμλ(x)

-ie0{Aμ(x+ε/2)-Aμ(x-ε/2)}]

+2im05(x,ε)+(εの2次以上の微小項)

となります。

結局,∂μ(x,ε)

=j(x,ε)e0ελμλ(x)+2im05(x,ε)

+(εの2次以上の微小項)という式が得られます。

※(注1):この結果は,電磁場:Aμ(x)が線積分に

おいて,経路依存であるために得られるもので,

しかも積分路が直線分であることが,本質的な意味

を持っています。

以下に,これの厳密で詳細な計算を書き下します。

すなわち,∂μ(x,ε)

={∂μψ~(x+ε/2)γμγ5ψ(x-ε/2)

+ψ~(x+ε/2)γμγ5μψ(x-ε/2)}

×exp{-ie0x-ε/2x++/2dξ(ξ)}

+ψ~(x+ε/2)γ5γμψ(x-ε/2)

μexp{-ie0x-ε/2x++/2dξ(ξ)}

です。

ここでDiracの運動方程式:

(iγμμ-e0γμμ-m0)ψ(x)=0

を用いると,γμμψ(x)=-im0ψ(x)

-ie0γμμ(x)ψ(x),かつ,

μψ~(x)γμ=im0ψ~(x)

+ie0ψ~(x)γμμ(x) です。

故に,∂μψ~(x+ε/2)γμγ5ψ(x-ε/2)

=im0ψ~(x+ε/2)γ5ψ(x-ε/2)

+ie0ψ~(x+ε/2)γμγ5ψ(x-ε/2)

×Aμ(x+ε/2),かつ,

ψ~(x+ε/2)γμγ5μψ(x-ε/2)

=im0ψ~(x+ε/2)γ5ψ(x-ε/2)

-ie0ψ~(x+ε/2)γμγ5ψ(x-ε/2)

×Aμ(x-ε/2) です。

そこで,[ψ~(x+ε/2)γ5ψ(x-ε/2)

×exp{-ie0x-ε/2x++/2ξ(ξ)}}

をj5(x,ε)と定義すれば,

μ(x,ε)=2im05(x,ε)

+ie0ψ~(x+ε/2)γμγ5ψ(x-ε/2)

×{Aμ(x+ε/2)-Aμ(x-ε/2)

-∂μx-ε/2x++/2dξ(ξ)} となります。

それ故,もしも,∫x-ε/2x++/2dξ(ξ)が積分

経路に独立な関数なら,最後の{ }の因子はゼロ

となることを示します。

すなわち,まず,∂μx-ε/2x++/2dξA(ξ)

=limh→0

{∫x+gλμh-ελ/2-ε/2x+gλμh+ελ/2-∫x-ε/2x++/2}

dξ(ξ)]/h

=Aμ(x+ε/2)-Aμ(x-ε/2)が成立します。,

最右辺は.電磁場:Aμが連続関数なのでε→0の

極限では,ゼロとなります。

そこで,もしも,∫x-ε/2x++/2dξμ(ξ)が積分経路

に独立なら,∂μ(x)=2im05(x)が成立づるわけ

です、これは,ベクトル解析のStokesの定理によれば,

μの4次元回転::rotν(Aμ)=∂νμ-∂μν

が,全てゼロの渦なしのポテンシャル場(保存力場)で

あるなら,スカラー場:φが存在してAμ=-∂μφと

表現できる場合に相当します。

しかし,電磁場が静電場でないなら,ゼロでない

rotν(Aμ)=Fνμが存在して,それらが電磁場の強さ

である電場:と,磁場:を表わすことは,電磁気学で

よく知られた事実です。

そこで積分は経路に依存するので,線積分の積分路

を特に直線分:lα={lα(τ):lα(τ)

=lα(0)+εατ,lα(0)=xα-εα/2,(0≦τ≦1)}と

選択すると,∫x-ε/2 x+ε/2dξA(ξ)

=εν01dτAν(l(τ)) となります。

また,積分路を直線分:Lα={Lα(τ):Lα(τ)

=Lα(0)+εατ,Lα(0)=xα-δαμΔx-εα/2,

(0≦τ≦1)} と選択すると.

x+Δx-ε/2x+Δx+ε/2dξ(ξ)

=εν01dτAν(L(τ))

μx-ε/2x++/2dξA(ξ)

=limΔx→0ν/Δx)[∫01dτAν(L(τ))

-∫01dτAν(l(τ))]

=limΔx→0ν[∫01dτ[{Aν(L(τ))-Aν(l(τ))

/{L(τ)-l(τ)}]=ενμν+ενO(ε),です。

一方,Aμ(x+ε/2)-Aμ(x-ε/2)

=εννμ+O(ε),

μ(x+ε/2)-Aμ(x-ε/2)

-∂μ-ε/2x++/2dξ(ξ)

=εν{∂νμ(x)-∂μν(x)}+ενO(ε)

を得ます。

以上から,式:∂μ(x,ε)

=j(x,ε)ie0ελμλ(x)+2im05(x,ε)

+O(ε2)が確かに得られました。(注1終わり※)

この式の真空期待値を取ると,単一の閉ループ

を通して,軸性ベクトルカレントがc数の任意個

の光子外場とcoupleする相互作用を記述する

生成汎関数の発散方程式を得ます。

すなわち,∂μ<0|j(x,ε)|0

=ie0<0|j(x,ε)ελ|0>Fμλ(x)

+2im0<0|j5(x,ε)|0>+O(ε2) です。

この右辺の第1項は,形式的にはεのオーダー

であり,「摂動論のアノマリー(4)」において,

μ(x)

=ψ~(x){im0+ie0γμμ(x)}γ5ψ(x)

+ψ~(x)γ5{im0+ie0γμμ(x)}ψ(x)

=2im05(x),j5(x)≡ψ~(x)γ5ψ(x)

として.素朴にWT恒等式を導出したときには

無視されるべきものでした。

しかし,摂動グラフとしての注意深い計算に

よれば,<0|j(x,ε)|0>は,ε→+0 のとき

ε-1のオーダーで発散し,それ故,実際には右辺の

第1項の<0|j5μ(x,ε)ελ|0>の因子は,有限な

寄与をします。

詳細計算を実行すると,

ie0<0|j(x,ε)ελ|0>Fμλ(x)

={α0/(4π)}εμλξημλ(x)Fξτ(x)+O(ε)

となって,先の(アノマリーを含むPCAC式の真空

期待値に一致します。

長くなったので,以下は次の記事にします。

(つづく)

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2020年10月10日 (土)

物理学の哲学(13)(アノマリー)

物理学の哲学」の続きです。

余談は抜きで即本文です。

 前回の記事の最後では,

※この後,残っている問題は,カイラル対称性の自発的

破れによって,出現する擬スカラ-の零質量NGボソン

と同定される粒子場:πが現実の135~140 MeV程度の

ゼロでない観測質量を持つπ中間子であるため,には,

質量を獲得する必要があり,この質量を得るに至る

メカニズムを解明することだけです。

という内容のことを書きました。

この最後の課題自体が,大きなテーマの一つなので

質量獲得に関連する「Higgs現象」について

詳述した本ブログの過去記事「対称性の自発的破れと南部

-Goldstone粒子(12)」の全文を,不要部分を削除し修正

して再掲載します。

※以下は再掲の過去記事です。

素粒子論は,少なくともPoincare’不変性,(つまり,

並進,および,Lorentz不変性)を満たす理論ですから,

対称性の自発的破れが起これば,「南部-Goldstone

定理」が常に適用できるはずです。

しかし,現実において厳密にゼロ質量の粒子として

観測されている素粒子は,光子とニュートリノ?くらい

しか存在しません。(※今までは発見されていません。)

光子や(未発見の)重力子(graviton)などは力を媒介

するゲージ粒子場として記述される。とされています。

確かに,光子,重力子は,それぞれ,ベクトル粒子,テンソル

粒子であり,対称性の自発的破れに伴なうNGボソンと

して理解されています。

しかし,ニュートリノについては。スピノル対称性

(超対称性)に対応するNGフェルミオンと考えると.

低エネルギー定理の予言と矛盾する,ことが確かめられ,

NGフェルミオンなどというモノではなさそうです。

(※事実,厳密にはゼロ質量ではないことの証拠とされる

「ニュートリノ振動」という現象が確認されています。)

また,「近似的に」ゼロ質量の粒子としてはπ中間子が

存在します。実際,南部-JonaLasinoが素粒子論において

初めて対称性の自発的破れの概念を提唱し,NGボソンで

あると指摘したのは,π中間子でした。

実際,π中間子が近似的カイラル対称性の自発的破れに

対応するNGボソンであることは,その後の1960年代の10

年間に、カレント代数,低エネルギー定理などの多くの成功

により確かめられ,強い相互作用の解明に多くの寄与を

しました。

では,この零質量NGボソンの希少性は,対称性の自発的

破れが,現実には比較的稀な現象であることを意味している

のでしょうか?

答は否です。実は,「ゲージ理論の場合には対称性の自発的

破れと,観測される零質量NGボソンの間に1対1対応が成立

しない。」というのが,真なのです。

ゲージ理論において,共変ゲージの場合には,もちろん,

対称性が自発的に破れれば,零質量NG粒子が出現します

が,「南部-Goldstoneの定理」は,その出現するNG粒子

が,「正定値計量を持った物理的粒子」であることを主張

していません。

そして,もしも,それが「不定計量」を持ち,BRS不変

でないモードであれば,物理的状態空間;physでは.観測に

かからないことになります。

他方,Coulombゲージ;∇=0 や,時間的軸性ゲージ

0=0などの「非共変ゲージ」の場合は,正定値計量です

から粒子は観測にかかる粒子のはずですが,今度は

「南部-Goldstoneの定理」に要求される明白なLorentz

共変性の仮定が,元から破れているため,,必ずしも対称性

の自発的破れに伴なってNG粒子が出現するとは限らない

からです。こうした可能性は,Higgs-Kibbleらにより初めて

指摘されました。

このことを,具体的に示す最も簡単な模型は,

「Goldstone模型」のU(1)対称性をゲージ化して,電磁場

を導入する「Higgs模型」です。

これより前に,対称性の自発的破れを起こす最も単純な例

として「南部-Goldstone模型」を紹介しましたが,これは

系のLagrangian密度:が次式:,

=∂μφμφ+μ2φφ-(λ/2)(φφ)2 

で与えられる模型でした。

この系での荷電スカラー粒子の複素場,φ,φの組を,

2成分のφ=[φ12]とφで記述し,さらに電磁場Aμ

も共存する,ここでの出発点となる系のLagrangian密度

を,=(-1/4)Fμνμν+(Dμφ)μφ+μ2φφ

-(λ/2)(φφ)2 としたモノを考察します。

ただし,Fμν=(∂μν-∂νμ)とします。またμ

は共変微分で,Dμφ=(∂μ-ieAμ)φと定義されます。

このとき,単純な「南部-Goldstone模型」の場合と同様

ここでも,treeグラフのレベルで,場:φについて,

<0|φ(x)|0>=v/√2=(μ2/λ)1/2となって,ゼロでない

真空期待値を生じます。

ここで,便宜上,複素場:φ(x)のシフトをφ(x)

={v+ψ(x)+iχ(x)}/√2,(ただしψ(x),χ(x)

は真空期待値がゼロの実スカラー場)としたものから,

変更して,極分解と呼ばれる次の形に取ります。

すなわち,φ(x)

={v+ρ(x)}exp{iπ(x)/v}/√2,です。

ここで,ρ(x)は真空期待値がゼロの実スカラー場,

であり,位相部分:exp{iπ(x)/v}は,G/Hの

非線型表現のNGボソン場パラメータ化として,

ξ(π)=exp{iπ(x)/f};π(x)

=Σa∈()πa(x)Xa とした,ξ(π)の

今のG/H=U(1)/{1}に対応するものです。

このとき,φの運動項は,

μφ=(∂μ-ieAμ)[(v+ρ)exp(iπ/v)/√2

=exp(iπ/v)[∂μ-ie{Aμ-∂μπ/(ev)(v+ρ)

/√2なので,(Dμφ)=exp(-iπ/v)

{∂μ+ie{Aμ-∂μπ/(ev)}(v+ρ)]/√2

です。それ故,(Dμφ)μφ=(1/2)∂μρ∂μρ

+(1/2)e2(ρ+v)2{Aμ-∂μπ/(ev)}

{Aμ-∂μπ/(ev)} です。

そこで,φφ=(1/2)(ρ+v)2より,

μ2φφ-(λ/2)(φφ)2

=(μ2/2)(ρ+v)2-(λ/8)(ρ+v)4

=(μ2/2)ρ2+(μ2/2)v2+μ2vρ

-(λ/8)(ρ4+4vρ3+6v2ρ2+4v3ρ+v4)

=(μ2/2-3λv2/4)ρ2-(λ/8)ρ4

-(λv/2)ρ3+(μ2v-λv3/2)ρ-V0[v/√2]

です。ただし,-V0[v/√2]

=(1/2)μ22-(λ/8)v4です。

v=(2μ2/λ)1/2=|μ|(2/λ)1/2なら

μ2v-λv3/2=0で,μ2/2-3λv2/4=-μ2より,

2=2μ2=λv2とし,M=ev=|μ|(2e2/λ)1/2

とおけば,=(-1/4)Fμν2

+(1/2)M2{(1+eρ/M)2{Aμ-M-1(∂μπ)}2

+(1/2)|(∂μρ)2-m2ρ2}

-m√λρ3-(λ/8)ρ4-V0[v/√2]です。

さらに,Uμ=Aμ-M-1(∂μπ)と定義します。

すると,Fμν=∂μν-∂νμなので,

=(-1/4)(∂μν-∂νμ)2

+(1/2)M2μ2(1+eρ/M)2+(ρ場の項)

となり,π(x)は完全に姿を消します。

しかも,ベクトル場:Uμは質量:Mを獲得

しています。

これを,Higgs現象(Higgs-Mechanism)と呼びます。

が,この現象を,もう少し詳しく見てみます。

まず,φ=(v+ρ)exp(iπ/v)/√2

→(v+ρ)/√2,および,Aμ → Aμ-M-1μπ=Uμ 

の変数変換は,ゲージパラメータ:θ(x)を,q数の場;

-1π(x)と置いた.「q数ゲージ変換」になっている

ことに注意します。

すなわち,零質量のベクトル場:Aμが,NGボソン場:

πを吸収して質量Mを持つベクトル場(Proca場):Uμ

になったのです。

(※=(-1/4)(∂μν-∂νμ)2+(1/2)M2μ2

で記述される有質量ベクトル場をProca場と呼びます。)

ここで,電磁相互作用を切ったとき,つまり,e=0と

したとき:e≠0の物理的粒子の自由度の収支を勘定

すれば,次のようになっています。

M=evですが,e=0では,零質量のAμ(2自由度),

零質量のπ(1自由度),零質量のρ(1自由度)であった

のが,e≠0では,質量MのUμ(3自由度),質量mのρ

(1自由度)となっています。

スピンが1の物理的モードは零質量のときはHelicity

が±1の2自由度しかないですが,質量を得ると静止系も

存在して,モードが1,0,-1の3自由度になることで,

不足している1自由度は,NGボソン場:πにより供給

されます。

e≠0では,は既にゲージ不変ではなくρ(x)や

μ(x)は,いわゆるゲージが固定された場です。

それ故,ρやUμのみで表わされたLagrangian密度は,

ある種のゲージ固定化がなされたものであり,通常,それ

をユニタリゲージと呼びます。

ユニタリゲージは理論の物理的内容が明白でよいの

ですが,Proca場の伝播関数

(gνν-kμν/M2)/(k2-M2)の紫外部:

k→∞での挙動が悪いため,理論が,くりこみ不可能です。

そこで,くりこみ可能な共変げ-ジの同じ理論に考え

直します、

「くり込み可能共変ゲージ」の項に入ります。

複素場;φのパラメータ化として,上の極分解の代わりに,

先に「Goldstone模型」で取った分解を用います。

すなわち,φ(x)={v+ψ(x)+iχ(x)}/√2とします。

このとき,Dμφ=(∂μ-ieAμ)(v+ψ+iχ)/√2

=[∂μψ-i{eAμ(v+ψ)+∂μχ}+eAμχ]/√2

(Dμφ)=[∂μψ+i{eAμ(v+ψ)+∂μχ}

+eAμχ]/√2より,

(Dμφ)μφ2=(1/2)[(∂μψ+eAμχ)(∂μψ+eAμχ)

+{eAμ(v+ψ)+∂μχ}{eAμ(v+ψ)+∂μχ}]

=(1/2)(∂μψ2)2+eAμ(χ∂μψ-ψ∂μχ)

+(1/2)e2μ2χ2+(1/2)e2μ2ψ2+(1/2)M2(Aμ

+M-1μχ)2+eMAμψ(Aμ-M-1μχ) です。

一方,φφ=(1/2)(v+ψ)2+(1/2)χ2

=(1/2)(ψ2+χ2)+vψ+(1/2)v2より,

φ)2=(1/4)(ψ2+χ2)2+v2ψ2+(1/4)v4

+(1/2)v22+χ2)+vψ(ψ2+χ2)+v3ψ

です。

μ2=λv2/2,m2=2μ2ですから,v=m/√λ

で,λv=m√λであり,μ2-(λ/2)v3=0,

-(λ/2)v2ψ2=-(1/2)m2ψ2 です。

それ故,μ2φφ-(λ/2)(φφ)2

=-(1/2)m2ψ2-(1/2)m√λψ(ψ2+χ2)

―(λ/8)(ψ2+χ2)2―V0[v/√2] を得ます。

ただし-V0[v/√2]=(1/2)μ22-(λ/8)v4)

です。

そこで,Lagrangian密度は,

=(-1/4)Fμν2+(1/2)M2{Aμ-M-1(∂μχ)}2

+(1/2)|(∂μψ)2-m2ψ2}+eAμ(χ∂μψ-ψ∂μχ)

+eMAμ2ψ+(1/2)e2μ22+χ2)

-(1/2)m√λψ(ψ2+χ2)―(λ/8)(ψ2+χ2)2

-V0[v/√2] と書けます。

この時点では,ゲージ固定がなされていないので,

ゲージ固定処方に従って,この0に,

GF+FP=-iδ[c~(∂μμ+(1/2)αB)]

=B∂μμ+(α/2)B2+ic~∂μμ

を付加したものを改めてとします。

これは普通の共変ゲージ条件です。

この可換群:U(1)に基づくHiggs模型では,この

共変ゲージの場合,FPゴースト:c,c~は全くの

自由場となりますから,必ずしも導入の必要はあり

ません。

上の,F+FP=-iδ[c~(∂μμ+(1/2)αB)]

=B∂μμ+(α/2)αB2+ic~∂μμ

とは別の,Rξゲージと呼ばれる便利な共変ゲージ

があります。

まず,Lagrangian密度:0の第2項にゲージ場

μとNGボソン場;χの遷移項:MAμμχがある

ことに注意します。

遷移項があると場の混合が起こり面倒ですから,

ゲージ固定項をうまくとって,これを相殺すること

を考えます。

複素場:φ(x)のゲージ変換:

δφ=-eθ(x)φ(x)は,φ(x)

={v+ψ(x)+iχ(x)}/√2 により,

2成分の場(ψ(x),χ(x))に対して,

δψ=-eθ(x)χ(x),

δχ=-eθ(x){v+ψ(x)}

と分解されます。

ところが,BRS変換:δはこの式で

θ(x)→ c(x)(FPゴースト場)とするものです。

ゲ-ジ固定項を次のようにとります。

RξGF+FP=-iδ[c~(∂μμ+αMχ

+(1/2)αB)]=B(∂μμαMχ)

+(α/2)B2+ic~(□+αM2+eαMψ)c

とします。

最後の変形では,ev=Mを用いました。

NL場:BをGauss経路積分,または運動方程式

を用いて消去します。 0 Rξ+Fに,

対する運動方程式:∂/∂B=∂μμ+αMχ+αB

=0 から,B=-(1/α)(∂μμ+αMχ)より,

RξF+F=-{1/(2α)}(∂μμ+αMχ)2

+ic~(□+αM2)c+ieαMc~cψ と

なります。

そこで,Aμとχの交差項:Mχ(∂μμ)が現われる

ため,これと0の遷移項:MAμμχと合わせて,

全微分項=4次元発散項: M∂μ(χAμ)

=MAμμχ+M∂μ(χAμ)となって作用積分では,

これらは落ちることになります。

このRξゲージでは,たとえ,可換群U(1)の場合でも

FPゴーストがc~cψの相互作用項を持つので,

もはや落とすことはできない,というデメリットは

あります。  (再掲記事終了※)

以上,過去記事のコピーで,お茶を濁してサボりました。

これには,続きの記事(13)gって,まだ共変ゲージで

BRS不変な系の対称性の的破れとNGボソンの考察

なこもありますが,今のゼロ質量粒子の希少性と質量獲得

の機構を理解するには,ここまでで十分です。

単純な「Doldsyone模型」で,<0|φ(x)|0>=v/√2

≠0の真空期待値が現われて,結果,U(1)対称性の自発的

破れが生じて,Φ=v/√2+(ψ+iχ)}/√2 により,

<0|ψ|0>=0,<0|χ|0>=0を満たす無矛盾な実スカラー

場のψとχへのシフトが必要が生じ,ψの方に-/1/2)m2ψ2

の,質量mの質量項が現われます。

そして電磁場と共存したU(1)局所ゲージ不変性が,

自発的に破れると,ゼロ質量ゲージ粒子の光子Aμも,

質量を獲得してProva場:Uμのベクトル中間子に

なることが,上述のHiggs機構の説明で解明された

と言えます。

今回はここまでです。このシリーズも終わりに

近づきした。(つづく)

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2020年10月 8日 (木)

物理学の哲学(12)(アノマリー)

「物理学の哲学」の続きです。

チョッと間があきましたが,前回の記事までで,

場の理論のσ模型を用いて軸性ベクトルカレント

の一般的な4次元発散に対するPCAC(部分的保存

の)式:∂μ=(fπ/√2)π+(アノマリー項)

を見出し,これを利用して中性のπ0中間子

の崩壊:π0→2γの崩壊率:1/τの予測計算

をすることが,可能となりました。

しかし,唐突にσ模型という場理論の模型

を提示されて,この系のカイラル対称性を仮定

した軸性ベクトルカレントが,現実のπ中間子

の場に関連すると書かれていた,ここまで参照

してきた1975年の学生時代から読んでいた論文

「Lectures on Elementary Particles and

Quantum Field Theory;(1970 Brandeis

University Summer Institute in Theoretical

 Physics)Volume!.」」に基づいて,ほぼそれに

忠実に過去記事も現在の記事も議論をたどって

記述してきましたが,実のところ,私には以前

から,急にこのσ模型なるモノが出てくる根拠

がよく理解できていませんでした。

そこで,ここからは,恐らくσ模型の原型である

だろうと思われた「南部-Jonalashino模型」に

ついて,考察してみます。

そのため,まず,本ブログの2017年8月末頃

にアップした過去記事「対称性の自発的破れと

南部-Goldostone粒子」のシリーズから必要部分

を再掲引用しながら,記述します。

さて,対称性の自発的破れを起こす例としては

まず,「南部-Goldstone模型」があります

これは系のLagrangian密度が,

=∂μφμφ+μ2φφ-(λ/2)(φφ)2 

で与えられる模型で,単一の複素スカラー場:φ

のφ4-相互作用系であり,ただし,質量項:(μ2φΦ)

の符号が通常粒子のそれと逆であるのが,通常の系

との本質的な違いになっています。

それ故,通常の<0|φ(x)|0>=0を満たす真空:

|0>の上では,φの場の励起モードは,負の2乗質量:

-μ2(<0(虚数質量:±iμ)を持つ,いわゆるタキオン

(Takiyon)となります。

ここでは,これよりは自明でない例として,

「南部-Jonalashino模型」(略してNJ模型)を

考察します。

「南部-Jonalashino模型」のLagrangian密度

は,Ψ~iγμμΨ+(G/N)[(Ψ~Ψ)2

+(Ψ~iγ5Ψ)2]で与えられます。

ここでは,以下の近似の意味を明確にするため,

Fermion場:ΨはN個のDirac場:ψi(i=1…N)

のSU(N)変換群の基本表現を示す列ベクトルで

あるとします。すなわち,Ψ=[ψ1,..ψ]とします。

そして,Ψ~ΓΨ=Σj=1ψj~Γψjと規約します。

元々のNJ模型は.N=1の単純な模型でした。

※「南部-Goldsyone粒子」関係のブログ過去記事の

シリーズをアップしたたのは,2017年頃(67歳の頃)

ですが,この「対称性の自発的破れ」について勉強

していたのは参考ノートによると1990年代(40歳代)

の頃で,確かそのときに1975年前後の学生時代に量子

アノマリーについて記述していた論文中で,出会った

σ模型というのは,これが元になっているのでは?

と思ったのでした。

この関連の過去記事では,N-Fermion系なのに,

N=1の1-パラメータθの位相変換群:U(1)の変換::

Ψ→ exp(-iθ)Ψ,および,カイラルU(1)変換:

Ψ→ exp(-iγ5θ)Ψの下での不変性を論じていた

のですが,ここでは,θをN-パラメータのベクトル

θ=(θ1,.,.θ)に,一般化したSU(N)のゲージ

変換:Ψ→ exp(-iθ)Ψ,および,カイラルSU(N)

ゲージ変換:Ψ→ exp(-iγ5θ)Ψを考えることに

します。こうすれば,N=2のアイソスピンSU(2)

不変性や,(p,n,λ)の3クォークを仮定したN=3

のフレイバーSU(3)不変な,N-Fermion系のσ模型

に対応することになる。と思います。

そして,SU(N)×SU(N)対称性群のうち,

カイラル対称性のSU(N)不変性が成立するには

に,(-mΨ~Ψ)(mはゼロでない固有値を持つ

質量行列)のようなFermionの質量項が存在しない,

という必要があります。

そこで,系の動力学により.Fermopnの質量項が

出現して,その結果,カイラルSU(N)対称性のみ

が,自発的に破れる可能性を調べます。

これは,系における4次のFermion相互作用項

(G/N)(Ψ~Ψ)2の形を考慮すると,複合場(Ψ~Ψ)

がゼロでない真空期待値:すなわち,<0|Ψ~Ψ|0

=-{N/(2G)} ≠0 を実現するなら,(-mΨ~Ψ)

の質量項を獲得した,という解釈で,可能になると期待

されます。つまり,Ψ~ΨΨ^~Ψ^-{N/(2G)}

置くことができれば,この,新たなΨ^については,真空

期待値が,<0|Ψ^~Ψ^|0>=0 と無矛盾となり,この

Ψ~Ψ=Ψ^~Ψ^-{N/(2G)}を満たすΨ^を,改めて

Ψと定義し直せば,質量項(-(Ψ~Ψ)が出現した。と

解釈できるわけです。

このとき,Ψ→ exp(-iγ5θ)Ψ に対する(Ψ~Ψ),

および,(Ψ~iiγ5Ψ)の変換則は,それぞれ,(Ψ~Ψ)

→(Ψ~Ψ)cos(2θ)-(Ψ~iγ5Ψ)sin(2θ),および,

(Ψ~iγ5Ψ)→ (Ψ~Ψ)sin(2θ)+(Ψ~iγ5Ψ)cos(2θ)

です。そして,カイラルカレント:jΨμγ5Ψ

によるカイラルチャージ:Q5=∫d3xj50(x) により,

[iQ5,Ψ~(x)iγ5Ψ(x)]

=∫d3[j50(y),Ψ~(x)iγ5Ψ(x)]

=2Ψ~(x)Ψ(x)なる交換関係が得られます。

何故なら,θ=ε>0が無限小カイラル変換:U(ε)

=exp(-iγ5ε)=1-iγ5εの場合を想定すると,,

Ψ→Ψ+δΨ=U(ε)Ψ, δΨ=-iγ5εΨなので,

(Ψ~Ψ)→ (Ψ~Ψ)-2ε(Ψ~iγ5Ψ),かつ,

(Ψ~iγ5Ψ)→(Ψ~iγ5Ψ)+ 2ε(Ψ~Ψ)であり,

[iεQ5,Ψ~(x)iγ5Ψ(x)]=2εΨ~(x)Ψ(x)

となるからです。 

それ故,<0|Ψ~Ψ|0>がゼロでないのは,カイラル

チャージ:Q5が矛盾なく定義できる対称性が,自発的

に破れていることを意味します。

そして,これは「南部-Goldstoneの定理」から,

カイラルSU(N)の破れに対応する擬スカラーの

複合場:(Ψ~iγ5Ψ)のチャネルに,(N2-1)個の

擬スカラーの南部-Goldstoneボソン,略して

NGボソンが現われることを意味します。

この,元のLagrangian密度の中には「素Heisenberg場」

のみでNGボソンは粒子場としてて用意されていないので

動力学的にに結合状態として供給される必要があります。

そこで,この問題を扱うには,補助場の方法と呼ばれる

技法を用います。

まず,Grassman数の外場:η,η~を導入して系の

FermionのGreen関数の生成汎関数を,経路積分の

形で,Z[η,η~]

=∫ΨΨ~[expi∫d4x{+η~Ψ+ηΨ~}]

によって与えます。

これの意味は,Zは係数がGreen関数:G(m,n)

η,η~のベキ級数の和である。ということです。

つまり,仮にZが1外場変数:ηのみの関数なら,

それをηでn回微分してη=0と置いたものが

n点Greenn関数:G(n)を与えるえるあるような

汎関数であり,Z[η,η~]は,さらに2変数に拡張

したものです。これにGauss積分の1を表わす因子:

1=∫σ~π~[expi∫d4

[-{N/(2λ){σ~2+π~2}]を挿入して、さらに

積分変数:σ~(x),π~(x)を次のようにσ(x),

π(x)に変数置換します。

すなわち,σ~=σ+(λ/N)(Ψ~Ψ),および,

π~=π+(λ/N)(Ψ~iγ5Ψ)とします。

すると,この変換で積分測度は不変:つまり

σ~π~=σπです。

故に,Z[η,η~]=∫ΨΨ~σπ

[expi∫d4x{(Ψ,Ψ~,σ,π)+η~Ψ+ηΨ~}

なる表現相木が得られます。

ただし,(Ψ,Ψ~,σ,π)

=Ψ~iγμμΨ+(G/N)(Ψ~Ψ)2

+(G/N)(Ψ~iγ5Ψ)2-{N/(2λ)}(σ2+π2)

-{λ/(2N)}(Ψ~Ψを)2-{λ/(2N)}(Ψ~iγ5Ψ)

です。このを湯川Lagrangianと呼べば,これに

対するσ,πについてのEuler-Lagrange方程式は,

σ=-(λ/N)(Ψ~Ψ),および

π=-(λ/N)(Ψ~iγ5Ψ)という式mになり,

これらをに代入し返すと,元のに帰着するため

LとLが等価なことが確かめられます。

において,特に,N=1としてΨをψと記すと,

このとき,=ψ~iγμμψ+G(ψ~ψ)

+G(ψ~iγ5ψ)2-{1/(2λ)}(σ2+π2)

-{λ/(2)}(ψ~ψ)2-{λ/(2)}(ψ~iγ5ψ)2

-Gψ~(σ+iγ5π)ψとなります、

さらに,補助場:σ=-(ψ~ψ,).π=-λ(ψ~iγ5ψ)

を導入して,代入すると,

=ψ~iγμμψ-Gψ~(σ+iγ5π)ψ

+(G/λ2)(σ2+π2)-{1/(2λ3)}(σ2+π2)

-({1//(2λ)}(σ2+π2) と書けます。

ところが一方,素朴なN=1のσ模型は,次のLagrangian

密度を持ちます。これは,陽子pのスピノル場:ψ(x)

中性π0中間子の場:π(x),および,スカラー中間子の場

σ(x)のみを含む単純な系のそれです。すなわち,

=ψ~{iγμμψ-G0ψ~(g0-1+σ+iπγ5)}ψ

+λ0{4σ2+4g0σ(σ2+π2)+g022+π2)2}

+(μ02/2)(2g0-1σ+σ2+π2)

+(1/2){(∂π)2+(∂σ)2}-(μ12/2)(π2+σ2)

です。

このσ模型のの表式と,先のN=1の

「南部-jonalashino模型」でのを比較して

類似点,相違点を見てみます。

まず,「南部-Jonalashino模型」は自発的破れが

生じる前には正確にカイラル対称性を持っている系

なので,元々,Fermion場:ψの質量項がない系である

としていますが,σ模型の実際の核子(p,n)のような

Fermionには裸の質量:m0≠0があり,m0=G0/g0

置けば,質量項:-m0ψ~ψ=-G00-1ψ~ψが存在する

はずです。

「南部-Jonalashino模型」のの第1行は,

[ψ~iγμμψ-Gψ~(σ+iγ5π)ψ]ですが,

これに,この質量項を加えると,

[ψ~iγμμψ-ψ~G(g0-1+σ+iγ5π)ψ]

となって,σ模型のLの第1行と一致します。

第2行以下の,σ,πの相互作用項は,σ模型の

項の方が複雑で,明らかに両者一致はしませんが

重要な共通点があります。

先のGreen関数の生成汎関数を再掲すると,

Z[η,η~]=∫ΨDΨ~σπ

[expi∫d4x{(Ψ,Ψ~,σ,π)+η~Ψ+ηΨ~}

ですが,これで先にDηDη~積分を実行したものを

単にZと書き,これをσ,πの1粒子既約グラフの総和

として,Legendre変換で変数を外場からσ,πに変換

したもの,または,摂動展開した項の(hc)のオーダー

のn次の展開係数の運動量表示がn点頂点関数:Γ(n)

となる有効作用:Γ[σ,π]から,時間tへの依存性を

はずした有効ポテンシャル:V[σ,π]を比較します。

これは,もはや演算子の関数ではなく期待値の関数

を意味します。

有効ポテンシャルについて上に,複雑な定義

書きましたが,要するに力学の系のLagrangian

が,L=T-Vと表現されるときの運動項を除く

相互作用ポテンシャル:Vを,量子論的に述べただけ

です。そこで,σ模型のと,南部-Jonalashino模型

のLでは,V[σ,π]は(σ,π)平面上の回転体で

あり,ワイン瓶底状の形で,結合係数λが大きくなる

と,(σ,π)=(0,0)以外に,V[σ,π]が停留置を取る

(σ,π)値が存在します。特に,では,π=0のとき.

σ=σ0≠0に最小値があります。

そして,V[σ0,0]<V[0,0]が成立するため,対称で

あったσ=0の真空(基底準位)が新たな真空に相転移

する,「対称性の自発的破れ」が生じるわけです。

これが,σ模型と南部-Jonalaxhino模型の両者の

有効ポテンシャルVが持つ,共通の性質です。

ただし,実際は「南部pJpnalashino模型」は,

場の演算子σが当然,満たすべき,<0|σ|0>=0

という真空の対称性条件が破れ,<0|σ|0>=σ0<0

となることから<0|ψ~ψ|0>=-σ0/λ>0の質量項

が出現してカイラル不変性が破れるのでしたが.σ模型

では,元々,∂μ=-μ120-1πのPCAC式しか成立

せず,カイラル対称性を持たない系です。

σ模型は,あらゆる次数までで,<0|σ|0>=0となる

ように,模型が全体に平行移動された形式を選択している

からです。つまり,σ模型は「南部-Jonalashino模型」

の系のカイラル対称性が破れた結果として得られる系

であると解釈されます。

※これで,後,残る問題は対称性が破れた時点では,

πがゼロ質量のNG・擬スカラーボソンに対応して

おたはずなのに,実際は135~140MeVのゼロでない

観測質量μを持つ粒子となるに至った,メカニズム

を解明するだけです。しかし,キリもいいし,この

問題は,次回に譲って,今回はここまでにします。(つ

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2020年9月25日 (金)

物留学の手留学(11)(アノマリー)

物理学の哲学」の続きです。

(※余談):今日は9月25日(金)です。

けさはゴミ出しに行くともう肌寒かったです。

温暖化で日本も亜熱帯気候に近くなり,日本

にはいないはずの動植物やデング熱,マラリア

などの細菌やウィルスもいて驚きます。

今年も秋は短かく,すぐに冬がくるのでしょうね。

今度は,時代劇で笠置シズ子が出てるのを見て

泣けました。時代劇チャンネルは,昭和の今は亡き

出演者が多くて,まだ,若くて元気なのかと勘違い

しますね。懐かしいですが。(余談終わり※)

※さて本題です。前回の記事では,このシリーズ

書いてきた内容を,自分の中で改めて整理する

ために長い要約を書き記しました。

今回は,その続きとして,まず,要約記事の直前の

前々回の記事を思い出し,その最後の部分を再掲載

して,そこから話の続きを進めたいと思います。

  • 以下は,まず再掲載記事の部分です。

前々回の記事「物理学の哲学(9)」の最後では,

中性のπ0中間子崩壊:π02γにおいて,入射

する,または静止状態のπ0中間子の運動量がqμ

の場合の,崩壊のS行列要素fiを書き下した式

を考察しました。これはLSZの公式により,

fi=<γ(k11)γ(k2,ε2);out|π0;in>

=i∫d4xf(x)(□+μ2)

<γ(k11)γ(k22);in|π0r|0>という

式で与えられますが,これはx表示ではincoming

漸近状態のπ0中間子の平面波の基本波動関数:

(x)=(2π)-3/2(2q0)-1/2exp(-iqx),および

崩壊して出てゆく2光子のincomingの状態関数:

(2π)-3(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*

×exp{i(k1+k2)x}によって,

fi=i∫d4x[(2π)-9/2exp{-i(q-k1-k2)}

(2q0)-1/2(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2,q)]

と書けるはずです。

ただし,Sσρ(k1,k2:q)は,3粒子の運動量k1,k2

qに依存する部分の指数関数以外の因子です。

そこで,(2π)-1/2(2q0)-1/2(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*

σρ(k1,k2,q)は,上記Sfiの積分表示の被積分関数:

if(x)<γ(1,ε1)γ(k2,ε2);in|□+μ2)π0r|0>

のFourier変換の形になっています。

それ故,(2π)(4k1020)-1/2ε1σ*ε2ρ*σρ(k1,k2,q)

は,f(x)<γ(k1,ε1)γ(k2,ε2);in|(□+μ2)π0r|0>

から,,π0の波動関数f(x)をはずした2光子の状態

の振幅:<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r|0>

のFourier変換(運動量表示であると考えられます。

他方,<γ(k1,ε1)γ(k2,ε2):in|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρπ(k12)

によって関数Fπ(k12)を定義します。

すると,2種類のSfiの積分表示の比較から,

(2π)SσΡ(k1,k2,:q)=k1ξ2τεξτσρπ(k12)

なる等式の成立がわかります。

と書いたところて記事は終わりました。 

(※以上,再掲記事終わり※)

ここからが,今回の続きの記事です。

さて,これまでは電磁場の存在しない場合の

σ模型を論じてきましたが,これに電磁場:Aμ(x)

を含めるには,元のσ模型のLagrangian密度:

に,-(1/4)Fμνμνと,-e0ψ~γμψμ

2項を加えるだけです。

すると,三角グラフの存在のために,PCACの素朴

な方程式:∂μ=(fπ/√2)πは,次のように

アノマリーを持ち形に修正されます。

すなわち,∂μ=(fπ/√2)π

+(1/2){α0/(4π)}Fξστρεξστρ  です。

ただし,右辺最後のアノマリー項の因子:(1/2)

は,単にσ模型の軸性カレントの具体的な表式:

=(1/2)ψ~γμγ5ψ+σ(∂μπ)-π(∂μσ)

+g0-1(∂μπ)の最初の核子項に現われる因子

の(1/2)を反映したものです。

そこで,適切に正規化された(くり込まれた)Feynman

規則を導入し,QEDでの論旨を同様に実行することに

より,これが電磁相互作用と強い相互作用の両方の

摂動論の全ての次数まで正しいことを示せます。

つまり,三角グラフへの如何なる仮想光子,仮想中間子

の輻射補正もアノマリー項とそのの係数を変えること

はないわけです。

上述の考察の全ては,先のσ模型では,アイソスピン

対称性変換群のSU(2)群の基本表現の核子(p,n)系を

想定していましたが,これを,ハドロンのクォークの

フレイバーSU(3)群の基本表現(p,n,λ)系への一般化

に持ち込むことができます。

(※ 現在では(u,d,s,c,t,b)の6種の存在が

認められているクォークは,過去の記事で参照した論文

出版時の1970年当時には,)u,d,sの,3種だけと

考えられていて,(p,n,λ)と記すのが慣習でした。)

(p,n,λ)を基底とするSU(3)のケースなら,Ψは

3成分でψ=(ψ123)に置き換えられ,スカラー

中間子σと:擬スカラー中間子πは9重項の中間子

(1重項+8重項)に置き換えられるため,軸性ベクトル

カレントは,8成分のカレントとなり,π0に対応

するのは,その第3成分:5μ(3)になります。

それ故,π0に対してのアノマリーを持つPCAC方程式

は,∂μ5μ(3)=(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρ

×εξστρ と書けます。

ただし,係数Sは,S=Σiii2で定義されています。

ここにQiはJ5μ(3)の中に素粒子場として現われる

i番目のFermion(クォ―ク) の電荷であり,giは,

その結合定数です。つまり,J5μ(3)=Σiiψ~iγμγ5ψj

+(中間子項)という表式でのgiを意味します。

これも摂動論の全ての有限次まで正しい式です。

Sに対する表現:S=Σiii2の解釈はアノマリー

へのトータルの寄与は,個々の素Fermi粒子を全て

巻き込む,各々の三角グラフの寄与の総和による

と考えるからです。

PCACB関係式:μ5μ(3)=(fπ/√2)π0r

+S{α0/(4π)}Fξστρεξστρ は,素朴な4次元

発散が,乗法的くり込み可能な任意のくり込まれた

場の理論において,正しいと予測されます。

したがって,正しいPCAC式は,μ5μ(3)

(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρεξστρ.

よなりますが,これはσ模型のような特殊な場理論

の模型でなく,一般的なクラスの模型でも成立する.

正確な方程式である,と考えられます。

そして,次は「摂動論のアノマリー(20)」の

「π0 崩壊の低エネルギー定理」という項目

から引用した議論です。

アノマリーを持つ4次元発散の真空から2光子への

行列要素としての正確な「低エネルギー定理」を考える

ため,まず,∂μ5μ(3)=(fπ/√2)π0r

+S{α0/(4π)}Fξστρεξστρ.における素朴な

4次元発散の値:(fπ/√2)π0rがπ0中間子の場

であることに着目します。

この場合「低エネルギー定理」は,π0中間子の質量

がゼロでのoff-shellに外挿されたπ0 → 2γの振幅に

ついての命題が得られます。

π0 → 2γの振幅:Fπ(k12)の標準定義は,

<γ(k1,ε1)γ(k2,ε2):in|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρπ(k12)であったことを思い起こします。

そして,くり返しになりますが,別の過去記事では,

<γ(k11)γ(k22):in|μ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρF(k12),

<γ(k1,ε)γ(k22);in|2im05|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σε2ρ*

×εξτσρG(k12),

<γ(k11)γ(k22):in|{α0^/(4π)}

(Fξσ+FRξσ)(Fτρ+FRτρξστρ|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρH(k12)

として,(k12)の関数:F,G,Hを定義し,これら

は実は対数発散するので,切断Λを入れて正規化した

Λ,GΛ,HΛのくり込まれた量であるF~,G~,H~,

つまり,F~(k12)=limΛ→∞Λ(k12) etc.

に対して,F~(0)=0,G~(0)=-H~(0)=-2α/π

が成立する。という「低エネルギー定理」

を得ています。今の場合はアノマリー項の因子Sを

含めるように,係数Hを定義し直すとH~(0)=2αS/π

となるので,G~(0)=-H^(0)=-2αS/πです。

そしてF(k12),G(k12),H(k12)の

定義式を,Fπ(k12)の定義式:

<γ(k11)γ(k22)in|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

εξτσρ×Fπ(k12)と比較して,(k12)=0の場合を

考えると,上記の「低エネルギー定理」

は,G~(0)=-2αS/π=(μ-2π/√2)Fπ(0)

となります。

すなわち,π0崩壊のSg等列要素の真空から2光子

への因子:Fπに対しては,正確な「低エネルギー定理」

は,Fπ(0)=-(2√2μ2αS)/(πfπ)を意味する

ことがわかります。

何故なら,π0の運動量:qμ=k1μ+k2において.

2=(k1+k2)2=0,つまり,(k12)=0の

低エネルギーは.質量がゼロのoff-Shel(質量殻外に

ある仮想π中間子状態意味しますが,このときには,

<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r|0>

={-(k1+k2)2+μ2)}

×<γ(k11)γ(k22)|π0|0>

=μ2<γ(k11)γ(k22)|π0r|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ

×Fπ(0)となります。

ところが,π0を含むPCAC関係式:∂μJ 5μ(3)

=(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρ

×εξστρ.によれば,

μ2π0r=(√2μ2/fπ)∂μJ 5μ(3)

-(√2μ2S/fπ){α0/(4π)}Fξστρεξστρ.

です。

それ故.μ2<γ(k11)γ(k22);in|π0|0>

=(√2μ2/fπ)

×<γ(k11)γ(k22);ih|∂μ(3)|0

(√2μ2/fπ)0/(4π)}

<γ(k11)γ(k22);in|Fξστρεξστρ|0>

と書けます。

そして,この式の両辺の各項から,共通因子

の(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρ除けば,Fπ(0)=(√2μ2/fπ)F(0)

-(√2μ2/fπ)H(0)を得ますが,これはくりこんだ

は,π(0)=(√2μ2/fπ)F~(0)-(√2μ2/fπ)

×H~(0)となります。そして,この右辺第1項の

 ~(0)は,<γ(k11)γ(k22);in|∂μ5μ(3)|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρF(k12)の係数Fをくりこんだ量

ですが,これは,低エネルギーのq2=(k1+k2)2

=0ではF(k12)=F(0)=0,であり,

F~(0)=0です。

したがって,結局,π(0)=-(√2μ2π)H~(0)

を得ます、

 ここで先の「低エネルギー定理」によれば,

0=F~(0)=G~(0)+H~(0)であって

H~(0)=2αS/πより,G~(0)=-H~(0)

=-2αS/πなので,π(0)=(√2μ2/fπ)G~(0)

-(2√2μ2αS)/(πfπ)が得られます。

ところで,

<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r|0>

={-(k1+k2)2+μ2}

×<γ(k11)γ(k22)|π0|0>

ですから,(k1+k2)2=μ2の(on-shell;

量殻上)にあるときは,(k12)=μ2/2

なのですが, このと両辺がゼロで,左辺は

π(k12)=Fπ2/2)に比例する量なので,

π2/2)=0となりそうですが,実際には,

<γ(k11)γ(k22)|π0r|0>が,(k1+k2)2=μ2

に極を持つ,と考えられるので、この質量殻上での

π,(μ2/2)は。一般にゼロにはなりません。

しかし,<γ(k11)γ(k22)|π0|0>は,

質量殻外の(k1+k2)2=0 には、極を持たない

ので.(k1+k2)2=0  のとき,

(k1+k2)2<γ(k11)γ(k22)|π0|0>

=(4k1020)-1/21ξ2τε1σ*ε2ρ*

×εξτσρG~(k12)(k1+k2)2は,ゼロです。

またまた,くり返しになりますが,π0 → 2γ

の崩壊行列要素は,Sfi

=<γ(k11)γ(k22);in|(□+μ20r(x)|0>

=i∫d4x(2π)-4 exp{-i(q-k1-k2)x}

(2π)-3/2(2q0)-1/2

×<γ(k11)γ(k22)|(□+μ20|0> 

で与えられますが,他方,

<γ(k11)γ(k2,ε2)|(□+μ20r|0>

=(4k1020)-1/2ったので,

1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ

×Fπ(k12)であπ(0)

=-(2√2μ2αS)/(πfπ)は,低エネルギー

でのπ0 → 2γの振幅が,直接:∂μJ 5μ(3)

(fπ/√2)π0r+S{α0/(4π)}Fξστρ

×εξστρ.のアノマリー項に比例することを

示しています。

この項はSに依存します。そして,Sは

素Fermi粒子の電荷Qと,その軸性カレント

での結合定数gからS=Σjj2 によって

決まります。

さて,求めるべき,π0の崩壊率:1/τ(τは崩壊寿命)

については,次の公式があります。

すなわち,1/τ=(μ3/64π)|Fπ2/2)|2..です。

これは,崩壊の反応体積をV,時間をTとすると,

単位体積当たりの遷移速度は,|Sfi|2/(VT)

(2π)4δ4(q-k1-k2)(2π)-9(8k1020q)

|Fπ2/2)|2

ε1,ε2|k1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ|2]

で与えられます。ただし,E0=q0で,これは

π0中間子のエネルギーです。

※(注):何故なら,まず,Sfiは4元運動量保存の因子:

(2π)4δ4(q-k1-k2)を含み,VT=(2π)4δ4(0)

と同定されるので.|Sfi|2/(VT)は,因子:

(2π)4δ4(q-k1-k2)を1個含みます。

π0 →2γ反応では,Sfiが規格化因子:

(2π)-3/2(2k10)-1/2(2π)-3/2(2k20)-1/2

(2π)-3/2(2E0)-1/2を持つため,これは

|Sfi|2(VT)には(2π)-9(8k1020q)-1

の寄与をします。

そして,(k1+k2)2=μ2 のときk12=k22=0

より,(k12)=μ2/2なので,係数:Fπ(k12)

寄与はFπ2/2)です。

そして,π0の静止系を想定するとqμ=(Eq,)

=(μ,0)です。そこで,12とおくと,

k=||=μ/2ですから,k10=k20=k=μ/2です。

よっての向きを3軸(z軸)に取って=k3

すると,k1ξ2τで.ゼロでないのは,ξ=0,τ=3か,

ξ=3,τ=0のみです。

さらに,k1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ=2k2ε0 3σρ

においてε12は横波を示すので,ε11=ε22=0,

より,ゼロでないのは,(σ,ρ)=(1,2),(2,1)のみで,

このとき,ε1σ*ε2ρ*=1です。

結局,Σε1,ε2|k1ξ2τε1σ*ε2ρ*εξτσρ|2

=|2k2ε0 312|2+|2k2ε0 321|2=8k4 

得ます。全空間Vに1個のπ0が存在する,という

規格化を考慮してπ0の1個当たりの崩壊確率を

求めると,1/τ(1/2!)∫d3132{V|Sfi|2

/(VT)}=(μ3/64π)|Fπ2/2)|2が得られます。

因子:(1/2!)は,2光子の区別不可能性による因子

です。こうして得られた評価式1/τ-1

=(μ3/64π)|Fπ2/2)|2において,Fπ2/2)

をFπ(0)=-(2√2μ2αS)/(πfπ)で近似すると,

結局,π0崩壊の崩壊率の近似計算値が,

1/τ=(μ3/64π)|8μ4α22/(π2π2)

=S2μ7α2/(8π3π2)で与えられることが

わかりました。

これに,具体的な物理定数の近似値:α~1/137,

μ~135 MeV,および,fπ~√2aπμ2/r,に

π=0.87μ~0.97μを代入,過去記事「弱い相互

作用の旧理論(7)」からの引用でr~1.21の代入

から得られるfπ=1.02μ3 ~1.13μ3をも,1/τを

与える式に代入すれば,崩壊率の近似計算値として

,1/τ=22.74S2eV~30.21S2eVを得ます。

一方,Rosenfeldによって引用されたπ0崩壊の

崩壊率の実験値は,

1/τexp=(1.12±0.22)×1016sec-1

=(7.37±1.5)eVです。(※つまり,π0

崩壊寿命は,τ~10-16sec程度です。また,現在

でのより正確な実験値は,1/τexp=(7.48±0.32)eV

です。)

そこで,仮にS2=1/4であれば,計算値が,

1/τ=5.68 eV~7.55eVと予測されます。

この結果からは,S2=1/4のときに実験値との

著しい一致を見ることになります。

ところが,π0が関わる軸性ベクトルカレント

では,クォークの基本3粒子の場:Ψ=(ψ123)

=(p,n,λ)の結合定数について,ストレンジ粒子

λは無関係で(g1,g2,g3)=(1/2,-1/2,0) です。

そして電磁カレントの[Uスピン不変性]から,

基本粒子の(p,n,λ)の電荷は,(Q1,Q2,Q3)

=(Q,Q-1,Q-1)というパターンを持ち,

Q=2/3とすると(Q1,Q2,Q3)=(2/3,-1/3.-1/3)

なのでS=Σjj2=1/6となります。

しかし,現在の見地では,クォークにはフレイバー

自由度とは独立に,カラー自由度が存在して,カラー

SU(3)対称性を持つことが知られており,この自由度

3により,S=(1/6)×3=1/2となるため,確かに

2=1/4を満たします。。 

現在,ハドロンを構成する基本粒子のクォーク

はフレイバー自由度も3個ではなく6個の

(u,d,s,c,t,b)=(up,down,strange,charm,

top,bottom)が存在すると,されていますが,

1970年当時は,そのうちの3個(p,n,λ)

=(u,d,s)の3種だけで基本クォークが

構成されると予想されていました。しかし

π中間子と関わるカレントのクォーク成分は

(u,d)=(p,n)だけなので,全体のフレイバー

自由度が3から6に増加しても,カラーを考量

したS=1/2という値には変わりなく実験値との

矛盾はないことになります。

荷電π中間子π±の平均寿命が,τ~2.6×10-8sec

観測されているのに対し,中性のπ0中間子の

平均寿命は,τ~10-16 sec程度と,はるかに短かく

π0→2γの崩壊は,π→μ+ν~の崩壊とは異なる作用

で,アノマリー項の寄与によるものと考えられると

いうのが,最終結論です。

そもそも,π中間子は,カイラルゲージ対称性を持つ

系の対称性の自発的破れで「南部-oldstonの定理」に

従って出現したゼロ質量の粒子(NG粒子)が,ゲージ

対称性の破れという特殊性で,Higgsメカニズムに

よって質量を獲得した粒子と解釈されています。

 それ故,元々質量は大きくなく,もしも本当にゼロ質量

なら中性π0の場合,理論上崩壊は禁止されるので,実際に

崩壊が生じるのはアノマリー存在のためと考えられます。

アノマリーは,ゴーストや仮想粒子のように,存在しても

実在として観測されないモノではなく,現実に観測され,

崩壊寿命の計算などに必要なモノです。

ここで,キリもいいので今回はここまでです。(つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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