2017年12月11日 (月)

訃報!!野村サッチーさん。

去る12月8日.元プロ野球監督野村克也氏の奥様で芸能人の野村沙知代さんが急死されたそうです。享年85歳でした。。

死因は虚血性心不全ということです。

 日刊スポーツ → サッチーの死因は虚血性心不全だった「野村 沙知代」の画像検索結果

サッチーの世間の常識的モラルに左右されず,わが道をいくアウトサイダー的キャラクターは大好きでした。

 虚血性心不全といえば私の持病です。私の障害者として認定されている病名は心臓内部障害の「虚血性心不全」であり,手帳にそう記載されていますが私はまだ生きています。

 一応,.心筋梗塞と同じく,急性だけでなく慢性もあって,それは死因とはならないことを主張しておきます。

 ご冥福をお祈りします。合掌!!

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2017年12月10日 (日)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(11)

「ゲージ場の量子論」(対称性の自発的破れ)の続きです。
 

前回は,非線型表現のLagrangianを考察し,対称性の群G 

が部分群Hへと破れるとき,破れた生成子の空間(G―H) 

対応して出現するNGボソン場:πの自然なLagrangian密度 

=fπ2r{α⊥μ(π)2}=で与えられ,これは(/) 

既約対称空間の場合や,/H=U()×U()/() 

(半単純群)の場合には, 

=Tr{(μπ)2}(3π2)-1r{(μπ[π,[π,μπ]])} 

と書けることを示して終わりました。
 

ただし,αμ(π)(i)ξ(π)-1μξ(π),α⊥μ(π) 

,これのに直交する()空間に属する部分です。
 

今回は,まず,NGボソン場が物質場と相互作用する場合を 

考えます。
 

物質場をχ()とすると,これは破れていない部分群:Hの 

線形表現の表現空間のベクトルに属していて,この表現は 

自由に既約分解できます。
 

χ()は既約表現の1:ρ0の空間に属するとします。
 

すると,h∈Hに対してχ() → χ'()=ρ0()χ() 

と変換されます。
 

g∈Gに対しては,/Hの1つの代表元;ξ(π)(G―H) 

ξ(π) →ξ'(π)=gξ(π)-1(π,)と変換するのに対応 

して,χ() → χ'()=ρ0[(π,)]χ()と変換される 

と定義します。
 

Gの線形既約表現:ρを任意に取れたとし,ρ()のgをHの元 

hに限定すれば,ρはHの表現としては可約(完全可約) 

既約成分:ρiに直和分解されます。 

(※Gの一般には可約な線形表現を既約分解するとき,対応する 

表現空間の既約分解での各既約成分,つまり各既約表現は量子数 

の異なる各粒子場に対応します。)
 

そこで,このH-既約な成分として先のρ0を含むようなGの 

既約表現:ρを任意に持ってきます。
 

∀h∈Hに対して,ρ()=ρ0()+ρ1()+ρ2().. 

と直和分解されます。

ρ()は表現行列としては,ρ0(),ρ1(),ρ2().を小行列 

細胞の対角成分とする細胞対角行列となります。
 

これに対応して物質場を,χ()の代わりに, 

χ^()[χ(),0,0,,..]で定義して,表現ρの次元と同じ 

個数成分の縦ベクトルとします。
 

そうすれば,ψ()=ρ(ξ(π))χ^()で定義されるψ() 

はGの下で線形に変換します。
 

実際,ψとχの定義から,g∈Gに対して 

ψ() → ψ'()=ρ(ξ(π'))χ^'() 

=ρ(gξ(π)-1(π,)){ρ0((π,))χ}^() 

=ρ()ρ(ξ(π))ρ(-1(π,))ρ((π,))χ^() 

=ρ()ψ() です。
 

つまり,g∈Gに対して,ψはψ() →ρ()ψ()と変換し, 

ρはGの1つの線形表現でしたから,この変換は線形です。
 

そこで,ψ()は線形基底.元の場:χ()は非線型基底と 

呼ばれます。
 

例えば物質場:χ()Dirac場の場合,NGボソン場:π 

との相互作用項をπの微分の最低次(1次)のものに限れば, 

最も一般的なLagrangian密度は,=ψ~iγμμψ-mψ~ψ 

{1-g(i)}ψ~γμσ[ξ(π)α(i)μ(π)ξ-1(π)]ψ です。
 

ψ()=ρ(ξ(π))χ^()ですから,結局, 

=χ~iγμ{μiσ0(α//μ(π))}χ-mχ~χ 

-Σi=1n(i)χ~γμσ[α(i)μ(π)]χ 

です。
 

(i)はG/HのH-既約成分の数:nだけある任意定数で, 

カイラル対称性の場合は,Goldberger-Treimanの関係式に 

現われる軸性チャージの値:(20)に対応します。
 

ただし,群Gの線形表現:ρの微分表現としてLie代数: 

表現をσ,部分群:Hの線形表現:ρ0の微分表現としてLie代数 

の表現をσ0としています。
 

h∈Hに対してρ()=ρ0()+Σi=1nρi()なる既約分解が 

なされ,ρ()χ^()=ρ0()χ()です。
 

(11-1):何故なら,まず,ξα⊥μ(π)ξ-1G です。 

これは,αμ(π)(i)ξ-1μξ,ξ=exp{iπ/i}より,  

ξα⊥μ(π)ξ-1(i)(μξ)ξ-1=∂μπ+O(π2)∈G  

であることから,以前の論旨と同様に明らかです。
 

そして,ψ()=ρ(ξ(π))χ^()より, 

ψ~()=χ^~()ρ(ξ(π))=χ^~()ρ-1(ξ (π) 

また,μψ=ρ(ξ(π))μχ^+ρ(μξ)χ^ です。 

故に, まず,-mψ~ψ=-mχ~χです。
 

そして,ψ~iγμμψ 

=χ^~iγμ{μ+ρ(ξ-1(π))ρ(μξ)}χ^ 

=χ^~iγμ{μiρ(αμ)}χ^ です。
 

ところが,ρ(ξα(i)μξ-1)=ρ(ξ)ρ(α(i)⊥μ)ρ(ξ-1) 

であり,αμ=α//μ+Σi=1nα(i)μ と直和分解して. 

α//μ,かつ,Σi=1nα(i)μ() です。
 

ρはGの線形表現なので. 

ρ(αμ)ψ=ρ(αμ)ρ(ξ)χ^ 

[ρ(α//μ)+ρ(Σi=1nα(i)μ)]ρ(ξ)χ^ 

=ρ0(α//μ)ρ(ξ)χ^+Σi=1nρi(α(i)μ)ρ(ξ)χ^ 

ですから, 

ψ~iγμμψ+Σi=1nψ~γμσ[ξα(i)μξ-1]ψ 

=χ^~iγμμχ^-χ^~γμρ(αμ)χ^ 

+Σi=1nχ^~γμρ(α (i)⊥μ)χ^ 

=χ^~iγμμχ^-χ^~γμρ0(α//μ)χ^ 

=χ~iγμ{μiσ0(α//μ)}χ を得ます。 

(11-1終わり※)
 

次は,少しの間ゲージ場との結合を考察してみます。
 

ここまでは,時空座標xに依らない大局的変換のみを 

考えてきました。しかし,群Gの全て,または部分群I⊂G 

を局所的変換に昇格させてみます。 

つまり,Iをゲージ変換群にします。
 

ゲージ群:Iのゲージ場:μ()=Viμ()iをNGボソン 

に結合させます。ただし,iはIの生成子です。
 

その方法は簡単であり,単にMauler-Cartan形式:αμ(π) 

おいて,μをI-共変な微分;μに置換するだけです。
 

すなわち,α^μ(π)(i)ξ-1(π)μξ(π) 

μξ(π)=∂μξ(π)+ieVμ()ξ(π)とします。
 

そして,先述の論議の全ての式でのαμ(π)をα^μ(π) 

に置き換えます。
 

そうすれば,例えば,先の群GがHへと破れたLagrangian 密度: 

=Σi=1ni2r{α(i)⊥μ(π)2},ゲージ群IがHへと破れた 

ときのそれ:=Σi=1ni2r{α^(i)⊥μ(π)2}に置き換えること 

()の生成子に対応した成分:iμの質量項が得られます。
 

これは次節で論議する予定の「Higgs現象」です。 

ここではこれ以上のゲージ場の論議はpending 

しておきます。
 

さて,次には多様体:/Hの座標としてのNGボソン場という 

意味付けを考えます。つまり,一般的に言えば,NGボソン場の 

変数はG-不変な計量を持つ商多様体:/Hをパラメータ化する 

座標と考えることができます。
 

こう考えるときには,ξ(π)exp(iπaa)で与えた標準的な 

NG場の変数:πa.単にG/Hの1つの座標の取り方に過ぎず, 

{πa}11に対応する, 

φα=fα(π)(α=1,2,..,dimG-dim)で与えられる如何なる 

変数:{φα}も等しくG/Hの座標として用いられ得ます。
 

このとき,Maurer-Cartan形式の直交成分:α⊥μ(π),以前に 

書き下したα⊥μ(π)=Xaμπa(πについて2次以上の項) 

と同様,α⊥μ(π)=Xaaαμφα..の形となり, 

NGボソンのLagrangian密度;=Σi=1ni2r{α(i)⊥μ(π)2} 

,=gαβ(φ)μφαμφβ 

αβ(φ)(1/2)Σi=1ni2aα(φ)aβ(φ) と書けます。
 

この最後の形を見るとgαβ(φ),明らかに多様体:/Hの計量 

テンソルと同定できます。また,この計量テンソルは一意的でなく 

n個の任意パラメータfi2を持つことが示されています。
 

こうして,先に述べたように非線型表現から多様体内の粒子の 

自由落下測地線を与える自然なLagrangian密度が得られるという 

結論を示すことができました。
 

さらに,S行列がこうした場の変数の取り方に依存しないことをも 

示しておきます。
 

同じ1つの系のLagrangianでも,それは上述のように場の変数の 

取り方次第で違った関数形を散ります。すなわち, 

(π)((φ))~(φ) etc.です。
 

そこで,当然ながらn次のGreen関数: 

(.π)a1,..an(1,..,n)=<0|[πa1(1)..πan(n)]|0 

(.φ)α1,..αn(1,..,n)=<0|[φα1(1)..φαn(n)]|0 

も互いに異なります。
 

しかし,今の非線型表現Lagrangianの場合に限らず,全く一般的に, 

「S行列は如何なる場の変数を選んで計算しても同じである。」 

ということを示すことができます。 

これを「亀淵-O'Raifeartaigh-Salamの定理」 

(カメフチ・オラファティ・サラームの定理)と呼びます。
 

ここで,“如何なるという言葉には以下に述べるような制限 

があります。
 

証明は,物理的S行列のゲージ固定非依存性の証明と本質的 

には同じです。
 

元の変数πと新しい変数φとはφα=fα(π)なる変数変換で 

結び付いているので,~(φ)を用いて計算されるφ場の 

Green関数: (.φ)α1,..αn(1,..,n) 

=<0|[φα1(1)..φαn(n)]|0>は,明らかに, 

(.φ)α1,..αn(1,..,n) 

=<0|[α1{π(1)}..αn{π(n)}]|0 

=G(.(π))α1,..αn(1,..,n) なる等式を満たします。
 

この最右辺は,(π)=L~((π))に基づくn系の複合場 

α{π()}Green関数です。
 

一般に関数:α(π)はπについてベキ展開可能です。 

φα=fα(π)=Cα1aπa+Cα2abπaπb+Cα3abcπaπbπ.. 

ここでは,係数:1,2,3,..は全て,微分を含まない定数 

と考えておきます。(※そうした変換を点変換といいます。)
 

φ系でS行列を計算するにはLSZの公式に従って,(.φ) 

のn本の外線の足のそれぞれに,Klein-Gordon演算子: 

(i)(2-m2)を掛けてp2=m2とおきます。 

(外線の足がNGボソンの場合は,20です。)
 

ところが,(.φ)はπ系で計算した複合場のGreen関数:  

(.(π))に等しいので,この質量殻上に置く手続きで 

生き残るn系のFeynmanグラフは,6.8のようなn本の 

複合場の足:α(π)の取手のそれぞれが,結局

π-伝播関数の1本線に帰着するもののみです。
 

6.8の中に現われるfα(π)からπa1体への遷移グラフ  

の中身,展開:φα=fα(π)=Cα1aπa+Cα2abπaπb  

+Cα3abcπaπbπ+に対応した図6.9で与えられます。

 
 

S行列に関係するのは,1粒子極の留数のみですから,結局,  

6.9の遷移グラフの全体的効果は,次の置き換えに等価です。

すなわち, φα=fα(π) (1/2)αaπaです。 

ここで,(1/2)αa=Cα1a+Cα2cdγcd2a(2-m2) 

+Cα3cdcπγcdc3a(2-m2)..,です。

ただし,γ2(2),γ3(2)等は図6.9のグラフで

定義される関数です。
 

同じ手続きを2点関数に対して行えば,: 2=m2の近傍で 

0|(φαφβ)|0>=<0|{α(π)β(π)}|0 

(1/2)αa(1/2)βb0|(πaπb)|0>が得られます。
 

そこで元の場:πaが正しく規格化された場であったとすれば, 

(1/2)αa,φ場のくりこみ定数行列に等しいことがわかります。
 

それ故,φ系のS行列を計算するとき,先のLSZの手続きの他に 

同時にZ1/2の逆行列を掛ける必要があるので,結局, 

φα=fα(π) (1/2)αaπa  

(1/2)αa=Cα1a+Cα2cdγcd2a(2-m2)

+Cα3cdcπγcdc3a(2-m2) 

の置き換え規則は,φ系のS行列がπ系のS行列に等しいことを 

証明するものです。
 

この証明が成り立つための唯一の制限は,行列Z1/2が逆行列を 

持つこと,つまりdet(1/2)0です。
 

ループを含まないツリーグラフのレベルではZ1/2=C1なので, 

これは,行列:α1aが正則であれ,というものです。
 

また,上では微分のない点変換に限定しましたが,点変換 

でなくC1が運動量の関数であってもdet(1/2)0であれば, 

問題ないです。
 

今日はここまでにします。次回は「Higgs現象」に入る予定です。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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2017年12月 7日 (木)

訃報!!海老一染の助さん。

「おめでとうございます。」で有名な和傘皿回し曲芸の海老一染の助さんが,去る12月6日,急性肺炎で亡くなられました。享年83歳でした。

日刊スポーツ → 海老一染の助さん死去,兄の死から15年旅立つ

「染の助」の画像検索結果

 2002年に,コンビの「頭脳労働」が専門の兄・染太郎さんを亡くしてからも,お1人で頑張られていたそうです。正月には欠かせない芸でした。

ご冥福をお祈りします。合掌!!

PS:私も5日の火曜日に微熱が出ました。現在はセキと頭痛で4年ぶりに風邪をひいたようです。

 私は虚血性心不全で2007年4月に順天堂で心臓バイパスと僧房弁形成手術を受けてから11年経ちましたが.風邪をこじらせて肺炎にでもなれば100パーセント死亡するらしいです。

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訃報!!はしだのりひこさん。

去る12月2日未明にフォーク歌手のはしだのりひこさんが,パーキンソン病に肺炎の併発で亡くなられました。享年72歳でした。

Yahoo ニュース→:フォ^ク歌手橋田紀彦さん死去72歳

「はしだのりひこ」の画像検索結果

「フォーククルセイダース」の「帰ってきた酔っ払い」や「悲しくてやりきれない」のヒットで,加藤和彦,北山修氏らと共に歌手デビューした後,,「はしだのりひことシューベルツ」,「,はしだのりひことクライマックス」,「,はjしだのりひことエンドレス」など次々とバンドを結成し「花嫁:、「風」など数々のヒット曲を生み出しました。発禁だった「イムジン河」もありましたね。

ご冥福をお祈りします。合掌!!

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2017年11月27日 (月)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(10)

「ゲージ場の量子論」(対称性の自発的破れ)の続きです。
 

§6.4 非線形表現の続きです。
 

前回は,非線型表現のLagrangianにおいて基本的役割を 

果たす量は,ξ(π)∈G/Hから作られる次の1形式 

(1次微分形式)です。
 

すなわち,α(π)(i)ξ(π)-1dξ(π),または,もっと 

陽に成分で,α=αμdxμ,dξ=∂μξdxμ として, 

αμ(π)(i)ξ(π)-1μξ(π)です。 

(※これは,数学ではマウレ-・カルタン形式 

(Maurer-Cartan form)と呼ばれます。)
 

と書いて終わりました。
 

ここからは今回の記事です。
 

まず,α(π),群:GのLie代数:に属するので,その基底:  

{}{α,a()}で展開できます。
 

(10-1):α(π)(i)ξ(π)-1dξ(π),ξ(π)exp(iπ),  

故に,詳細は後述しますが,α(π)exp(iπ)dπexp(iπ)  

=dπ+(i)1/2!)[π,dπ] 

(i)2(1/3!)[π,[π,dπ]]..であり, 

右辺∈()です。 

(10-1終わり※)

そこで,α(π)に属する成分:α//()に属する 

成分:αに分けて,それぞれを,に平行な成分, に直交 

する成分と呼びます。
 

αμ(π)=α//μ(π)+α⊥μ(π)  

α//μ(π)=α//αμα2r[ααμ(π)]α  

α⊥μ(π)=αaμa2r[aαμ(π)]a ()
 

Maurer-Cartan形式:αμ(π)のg∈Gによる変換は,  

ξ(π)の変換則から,αμ(π) → αμ(π')  

=h(π,)αμ(π)-1(π,)

(-i)(π,)μ-1(π,) となります。

(※gは時空座標xには依らない大局的変換です、  

よって∂μg=0 です。※)
 

(10-2):何故なら

ξ(π) → ξ(π')=gξ(π)-1(π,) なので,  

(i)ξ(π)-1μξ(π) → ξ(π')μξ(π)  

(i)(π,)ξ(π)-1-1μ{gξ(π)-1(π,) (π)}  

(i)-1(π,)ξ(π)-1μξ(π)μξ(π)(π,)  

(-i)(π,)μ-1(π,)
 

(10-2終わり※)
 

そして,非斉次項: h∂μ-1に属するので,  

α//μ(π) → α//μ(π')  

=h(π,)α//μ(π)-1(π,)

(-i)(π,)μ-1(π,)
 

α⊥μ(π) → α/⊥μ(π')

=h(π,)α/⊥μ(π)-1(π,) です。
 

すなわち,直交成分:α⊥μ(π)だけが斉次変換します。

()の基底である破れた生成子:{a}は先述したように, 

一般にHの可約な表現により,表現空間:()の基底は 

{a}{a1}|a2}..|an}と既約分解されます。
 

そのため,()に属するαμ(π)の直交成分:α⊥μ(π) 

n個の既約成分に分割されます。 

α⊥μ(i)(π)=α⊥μai)(π)ai2r[aiαμ(π)]ai 

(i=1,2,..,) です。ここで,慣例通り,簡単のため省略した 

Σaiの添字ai,既約セクター:{ai}の上のみを走る和を 

意味します。
 

分解された既約成分:α⊥μ(i)(π),各々独立に変換されて, 

α⊥μ(i)(π)→ α/⊥μ(i)(π')=h(π,)α/⊥μ(i(π)-1(π,) 

または, α/⊥μai(π')=ρ(i)aibi((π,))α⊥μbiπ) 

と変換します。
 

したがって,NGボソン場のみから作られる,微分次数が 

最低次(2)のG-不変な最も一般的なLagrangian密度は, 

=Σi=1ni2r[{α⊥μ(i(π))2] 

で与えられることがわかります。
 

よって,()-既約成分の数:nだけの任意定数 

i2を含みます。
 

この任意定数:iは次元が+1の量であることがわかります。 

この定数:iは先に定義したNGボソンの崩壊定数(結合定数): 

πのことで,i番目の-既約セクターのNGボソン:πai() 

対応するものなのでfπ(i)とでも書くべき量です。
 

このことを見るために,まず,Maurer-Cartan形式:αμ(π) 

π()=πa()aで陽に表わすべく,次の式に注意します。 

αμ(π)(i)exp(iπ)μ{exp(iπ)} 

=∂μπ+(i/2!)[π,μπ]

{(i)2/3!}[π,[π, μπ]]..
 

(10-3): exp(iπ)[exp{i(π+Δπ)exp(iπ)]/Δxμ 

[exp(iπ)exp{i(π+Δπ)}1]/Δxμです。
 

ここで,()exp(xA)exp(xB)とおくと, 

dF/dx=Aexp(xA)exp(xB)exp(xA)exp(xB) 

{A+exp(xA)exp(-xA)}() 

{A+B+(1/2!)[,]x+(1/3!)[,[,]]2..}() 

です。F(0)1より積分してx=1と置くと,  

(1)exp()exp() 

exp|A+B+(1/2!)[,](1/3!)[,[,]]..} 

です。
 

故にexp(iπ)exp{i(π+Δπ)} 

exp|iΔπ+(1/2!)[π,Δπ](i)(1/3!)[π,[π,Δπ]]..}
 

limΔx→0([exp(iπ)exp{i(π+Δπ)}1]/Δxμ) 

iμπ+(1/2!)[π,μπ](i)(1/3!)[π,[π,μπ]]. 

が得られます。
 

ここで,200610/23の本ブログの過去記事: 

「量子力学の交換関係の問題(その2)」を参照しました。
 

これは短いので全文を再掲載・引用します。
 

(※以下は再掲載記事です。)
 

今回も量子力学の交換関係の問題を解きます。
 

「線形演算子:,Bが,[,[,]]0 ,または, 

[,[,]]0 を満足するとき, 

expexpB=exp(A+B+[,]/2) 

が成立することを証明せよ。」という問題です。
 

続いて解答です。 [,[,]]0 と仮定し,関数f() 

()exp(xA)exp(xB)で定義します。 

このとき,もちろんf(0)1です。
 

()をxで微分すると, 

df/dx=Aexp(xA)exp(xB)exp(xA)exp(xB) 

{A+exp(xA)exp(-xA)}() 

と書くことができます。
 

そこで,今度はg()exp(xA)exp(-xA)という 

関数:()を考えます。
 

すると,まずg(0)=B です。次にxで微分すると 

dg/dx=exp(xA)[,]exp(-xA)ですから, 

x=0 とおいて,'(0)[,]です。
 

さらに微分すると, 

2/dx2exp(xA)[,[,]] exp(-xA) 

より,"(0)[,[,]] を得ます。
 

結局,帰納的に考えると, 

()exp(xA)exp(-xA), 

()=B+[,]x+[,[,]]2/2! 

[,[,[,]]]3/3!..Maclaurin展開される 

ことになります。
 

そして,特にx=1とおくと, 

(1)expA・Bexp(-A) =B+[,][,[,]]/2! 

[,[,[,]]]/3!.. が成立します。
 

しかし,問題の解答としては,これは余談です。
 

ところで,仮定より[,[,]]0ですから, 

この場合にはg()exp(xA)exp(-xA) 

=B+[,]xとなります。
 

したがって,df/dx={A+B+[,]}() です。
 

(0)1という条件下でこの線形微分方程式を解くと, 

解は一意的でf()exp{(A+B)x+[,]2/2) 

となります。
 

これにx=1を代入すると, 

(1)expexpB=exp(A+B+[,]/2) 

が得られます。
 

一方,[,[,]]0 のときは, 

df/dx=exp(xA)exp(xB)exp(xA)exp(xB) 

=f(){exp(-xB)exp(xB)+B}  

と書けます。
 

そして,[,[,]]0 なら{exp(-xB)exp(xB) 

=A+[,]xなので, 

df/dx=f(){A+B+[,]}となり, 

同様にして同じ結果が得られます。(再掲載終了※)
 

ここで問題としているF()exp(xA)exp(xB) 

2006年の過去記事の問題における()exp(xA)exp(xB) 

の違いは,前者では[,[,]]0,または,[,[,]]0  

を仮定していないので,より一般的問題への拡張 

となっていることです。 (10-3終わり※)
 

αμ(π)(i)exp(iπ)μ{exp(iπ)}  

=∂μπ+(i/2!)[π,μπ]

{(i)2/3!}[π,[π, μπ]].. の右辺第1項が

μπなので, 

α⊥μ(π)=Xaiμπai()(πについて2次以上の項)   

となることがわかります。
 

それ故,NGボソン場:πai()Lagrangian密度:

=Σi=1ni2r[{α⊥μ(i(π))2]において規格化された 

運動項(1/2)(μπaiμπai)を持ち,かつ正しい場の 

次元:dimπai=+1を持つように,変数πai()の再定義 

をします。すなわち,πai()→ πai()/iとします。
 

(10-4):次元=単位の話を復習します。 

自然単位c=h=1を採用しているので,1[]=LT-1 

よりL=Tですから,エネルギー:の単位は[]=ML2-2 

=Mであり,単位は質量と同じです。
 

そこで,Planck定数:hの単位が,エネルギー×時刻=MT 

と読めますから,結局:T=L=M-1で全ての単位はMだけ 

で表わすことができて,これを質量次元といいます。
 

例えば,LをLagrangian,HをHamiltonianとすると. 

[][]=Mであり,その密度の単位は,ML-3=M4 

です。それ故,[]=M4です。
 

そしてφがスカラー場なら自由粒子の系では, 

(1/2)μφ∂μφ―μ2φ2なので[φ]=Mです。 

これをdimφ=+1とも書きます。
 

他方,g=exp(iπ)∈Gは,ψ() 

ψ→ ψ'=gΨ=exp(iπ)ψに変換させる位相変換なの 

[π]1でありNGボソン場の質量次元はゼロです。
 

α⊥μ(π)=Xaiμπai()(πについて2次以上の項) 

より[α⊥μ(π)]=Mですから,[]=M4 

=Σi=1ni2r[{α⊥μ(i(π))2]から[i]=Mを得ます。
 

そこで,πai()→ πai()/iなるスケール変換で 

[πai()]=M,or dimπai()=+1を得ます。 

(10-4終わり※)
 

そうすれば,ξ(π) → ξ(π')=gξ(π)-1(π,) 

というπのg∈Gによる変換則から,gが破れた生成子:ai方向 

の無限小変換:g=rxp(iθaiai)1iθaiaiのときには, 

ξ(π)exp(iπ/i) → ξ(π')exp{i(π+δπ)/i} 

(1iθaiai) exp(iπ/i)-1(π,) です。
 

この変換ではπai()の変換:π'ai- πai=δπaiのみが, 

πについて0次の項を持ち. 

δπai=fiθai(πについて1次以上の項) です。
 

よってXai方向の変換に対するNoetherカレントは, 

aiμ()(i){/(μπai)}{(ii)+O(π)} 

=fi(μπai)(πについて2次以上の項)の形になるため, 

iは確かにπaiの崩壊係数を意味することがわかります。
 

/Hの既約な対称空間の場合,つまり,[,] 

で既約な場合,展開:αμ(π)=∂μπ+(i/2!)[π,μπ] 

{(i)2/3!}[π,[π, μπ]]..において, 

πの偶数次の部分がα//μ(π)で奇数次の部分が, 

α//μ(π)()となって分離されます。
 

さらに,()が既約空間:つまり, 

{a}{a1}|a2}..|an}の直和分割がn=1ですから 

Lagrangian密度:=Σi=1ni2r[{α⊥μ(i(π))2], 

π→π/iでfi=fπとして, 

=Tr{(μπ+{(iπ)-2/3!}[π,[π, μπ]]..)2} 

=Tr{(μπ)2}(3π2)-1r{(μπ[π,[π, μπ]])} 

.. となります。
 

ここまで,Gは単純群であるとして,非自明な部分群の直和では 

表わせない直既約群である,と仮定しましたが,単純群でない 

場合ても本質的には同様です。
 

例として,前述したカイラル群;G=U()×U()の対称性 

,H=U()にまで破れる場合を考えます。
 

このとき,Gは半単純群です。 

つまり,Gの部分群は,自明な正規部分群:,{1}を除き, 

全て非可換群です。
 

g∈Gは,∈U()とg∈U()の組:(,)であり, 

チャージ:a=Qa+Qaに対応する破れていない生成子は, 

(a,a),チャージ:5a=-Qa+Qaに対応する破れた 

生成子は,(-Ta,a)で与えられ,それ故,部分群:H=U() 

,(,)の形の元から成っています。
 

そこで,ξ(π),αμ(π),α//μ(π),α⊥μ(π)に対応する量は, 

まず,ξ(π):π∈()については, 

(exp(iπaa/π),exp(iπaa/π)) 

(ξ-1(π), ξ(π))です。
 

αμ(π),α//μ(π),α⊥μ(π)については, 

(i)(ξ-1(π),ξ(π))-1μ(ξ-1(π),ξ (π)) 

(i)(ξ(π)μξ-1(π),ξ-1(π)μξ(π)) 

(α//μ(π)-α⊥μ(π),α//μ(π)+α⊥μ(π)), 

最後の式は,α//μ(π),α⊥μ(π)の定義でもあります。
 

α//μ(π)(2i)-1[ξ-1(π)μξ(π)+ξ(π)μξ-1(π)] 

α⊥μ(π)(2i)-1[ξ(π)μξ-1(π)-ξ-1(π)μξ(π)] 

(2i)-1ξ(π)(-1μ)ξ-1(π) です。
 

ただし,U=ξ2(π)exp(2iπ/π)なる変数を導入 

しました。また,この場合,/Hは既約で,1つしかない崩壊定数 

πで予めNGボソン場を規格化しておきました。
 

ξ(π) → ξ(π')=gξ(π)-1(π,)に相当する 

(,)∈Gによるの変換則は,(ξ-1(π),ξ(π)) 

(ξ-1(π'),ξ(π'))(,)(ξ-1(π),ξ(π)) 

((π,,),(π,,)-1 

(ξ-1(π)-1(π,,,ξ(π),

ξ(π)-1(π,,)) 

です。
 

この場合,両辺で右元を左元で割ったものを計算すれば, 

U=ξ2(π)→ U'=ξ2(π')=gξ2(π)-1, 

つまり,U→ U’=gUg-1 です。
 

-不変,カイラル不変なLagrangian密度は,一意的に, 

カイラル=fπ2r{α⊥μ(π)2}(π2/4)r{(U∂μ)2} 

となります。
 

α⊥μ(π)(2i)-1[ξ(π)μξ-1(π)-ξ-1(π)μξ(π)] 

,αμ(π)(i)ξ(π)μξ-1(π)の展開におけるπの 

奇数次項を表わしていることは明らかですから,カイラル 

既約対称な(/)の場合のLagrangian密度: 

=Tr{(μπ)2}(3π2)-1r{(μπ[π,[π,μπ]])} 

と同じ式になることがわかります。
 

今日はここまでにします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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2017年11月22日 (水)

季節はずれのエイプリルフール?

 何ーー?量子コンピュータの試作機公開だって??

テクノロジーニュース → 

[世界界初の量子コンピュータNTTが開発

「ミニブラックホ-ルが地球上で見つかった。」という昔,「いろもの」さんや「アクシオン」さんが言ってた4月1日ののジョークと同じくらいにジョ-クかフェイクっぽい。

 2006年5/4の過去記事::

公開キー暗号(神はサイコロ遊びをなさる)」 を参照されたい。

PS:今日の掘り出しモノ:「ちあきなおみ」の「朝日楼」

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2017年11月20日 (月)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(9)

「ゲージ場の量子論」(対称性の自発的破れ)の続きです。
 

さて,我々は一般相対性理論によって, 

我々の宇宙の4次元時空は擬Riemann多様体であり,その 

計量テンソル成分を(μν)とすると時空点の世界間隔:ds 

はds2=gμνdxμdxνで与えられること,
 

そして,時空を運動する粒子のLagrangian密度:, 

()=-ds=(μνdxμdxν)1/2として,作用:  

S=∫dxL()=-∫dsに対する作用原理: 

停留条件(最大固有時間)δS=0を満たすEuler-Lagrange  

方程式が時空内の粒子(質点)の運動を支配する測地線 

の方程式(自由落下)を与えることを知っています。

そこで,以下の論議の最終目的は次のとおりです。
 

例えば,カイラル群:G=U()×U()がH=U() 

へと自発的に破れた場合,商空間:/HをNGボソンの場: 

πa()を座標とする多様体と見なすことができます。
 

そして,多様体G/Hの座標は,πa()に限らず, 

φα=fα(π)(α=1,2,dim(/))のように, 

一般的ニ選ぶことができて,そのときの計量テンソル: 

αβ(φ) により,カイラルLagrangianの自然な形式 

として時空多様体標準のカイラル=gαβ(φ)μφαμφβ 

とできることを見るのが最終目的です。
 

そのため,NGボソンの場:πaによるG/Hの代表元: 

ξ(π),ξ(π)exp{i(Σaπaa)}, 

π()=Σaπa()a() で与えられ, 

さらに,πを崩壊定数としてスケール変換:  

π() → π()/π,を実行して, 

U=ξ2(π)exp{2iπ()/π}(から 

NGボソン場のカイラルLagrangian密度:カイラル 

カイラル=-(π2/)r(U∂μ)で与えられる 

ことがわかり,これが結局:=gαβ(φ)μφαμφβ 

となることを導くわけです。
 

以下はその手順の手さぐり作業と見なせます。
 

§6.4 非線形表現 

一般的に対称性がGからHへと破れた場合にNGボソンが自分 

自身,または他の物質場と,どういう相互作用をし得るのか?を 

対称性の要求から決める1方法として,非線形表現Lagrangian 

を構成する方法を述べます。
 

このLagrangianにおいて,NGボソン場の微分の次数が最も低い 

項は,任意パラメータなしで一意的に決まる,という事情があり, 

§6.3の「低エネルギー定理」に対応します。
 

さて,NGボソン非線形Lagrangianを求めます。
 

対称性が群Gから部分群Hへ破れた場合,既述したように 

Gの生成子:の全体,破れていない生成子:α 

と破れた生成子:aに分離します。
 

{の全体∈}{α,a}です。
 

ここで,r(αa)0 for ∀Sα,∀Xa, 

,α,aは最も簡単な基本表現の表現行列(Hermite行列) 

と理解しておきます。
 

基本表現以外の表現:ρの場合の表現行列は,これらと区別して 

ρ(),ρ(α),ρ(a)などと表わすことにします。
 

さらに規格化を,r(αβ)(1/2)δαβ, 

r(ab)(1/2)δab となるように取っておきます。
 

(9-1):N次のHermite行列:,Yの内積:(,) 

(,)=Tr(XY)で定義します。この定義は,実数上 

の線形空間での実数値内積であるための必要十分条件を 

全て満たす無矛盾な定義であることがわかります。
 

すなわち,XのN個の固有値をλ1,λ2,..λとすると, 

XがHermite行列なら,これらの固有値は全て実数であり 

Xは適切な正則行列Pによる相似変換:PXP-1により 

対角要素がλ1,λ2,..λのN次対角行列に相似変換可能です。

このとき,r(PXP-1)=Tr()=Σ=1Nλjです。
 

同様に,Yの固有値をσ1,σ2,..σとすると,これらも全て 

実数で.r(XY)=Σ=1Nλjσj です。 

したがって,(,)=Tr(XY)は常に実数です。
 

そこで,この定義は,実数上の線形空間での実数値内積 

であるための必要十分条件とされる次の条件を全て満足 

します。
 

,,Zを任意のHermite行列とすると, 

1.(,)=(,) (交換則) 

2. (X+Y,)=(,)(,) (分配則), 

3. ∀k∈Rに対して,(kX,)=k(,) 

4.(,)0, .(,)0 ⇒X=0  

が成立します。
 

ちょっと成立が怪しいのは,条件4だけですが,(,) 

=Tr(2)=Σ=1Nλj2 ですから,これも明らかにクリア 

されています。
 

そして,特に∀X,∀Yに対して常にTr[,]0です。
 

ここで,(,)=Tr(XY)0のとき,XとYは直交する 

といいます。
 

ユニタリ群:Gの生成子:{}の作る線形空間:, 

g∈Gに対して,g=exp(i)となるHermite演算子: 

X全体の集合で,GのLie(またはLie代数) 

と呼ばれます。これがM次元の線形空間を作るとき, 

その基底がM個の生成子の集合:{}A=1Mです。
 

N次元の表現空間では,gの表現,およおび,Xの表現は, 

それぞれ,N次のUnitary行列,および,Hermite行列  

となります。
 

ところで,Schmidtの直交化法により,任意の有限次元 

の内積が定義された線形空間の基底は,正規直交化する 

ことが可能です。そこで,例えば(,)=Tr() 

=δAB(,B=1,2..,)と規格化できます。
 

HがGの部分群であるとき,HのLie代数:はGの 

Lie代数:の直交空間,()の直交穂空間と 

なるようにとることができます。 (9-1終わり※)
 

さて,r(αβ)(1/2)δαβ,r(ab)(1/2)δab, 

なる規格化とTr(αa)0  によって, 

まず,r(α[β,a])=Tr ([α,β]a)0  

です。したがって,常に[α,a]() です。
 

つまり,[,]()ということになります。
 

(9-2):何故なら,[,]=ABC-ACB 

[,]C-[,AC],r([,AC])0 より, 

r([,])=Tr ([,])です。
 

そして,部分環(部分代数):は交換子[ , ]に対して 

閉じていて,[α,β]ですから, 

[α,β]=Σγγγと書けて,r (γa)0  

なので,r ([α,β]a)0 を得ます。  

(9-2終わり※)
 

一方,[a,b]()に属するとは限らず,一般には 

αとXaの線形結合で与えられますが,特にSαのみの 

線形結合で書ける場合,つまり,[,] 

の場合,商空間(oset space)(or 等質空間:homogeneous space) 

/(を法とする同値類の集合),対称空間(symmetry space) 

と呼ばれます。
 

商空間:/が対称空間であるとは要するに, 

の元Xに対する"パリティ変換"τ:G → G を, 

Y∈なら,τ()=Y, Y∈()なら,τ()=-Y 

で定義するとき,このτを実行しても代数()が不変である 

ことを意味します。(※数学では,この"パリティ変換":τ 

のことを対合的自己同型写像(involutive homomorphism) 

いうようです。)
 

(9-3):一般に,[a,b]=Σααα+Σaaa 

と書けます。故に,両辺に線形写像:τを実行すると, 

τ[a,b]=Σαατ(α)+Σaaτ(a)ですから, 

[a,b]=Σααα-Σaaa と書けます。
 

そこで,[a,b]=Σααα+Σaaa ,τで不変 

なら,それはΣααα-Σaaa=Σααα+Σaaa 

を意味します。
 

したがって,∀aについてda0 ですが,これは商空間: 

/が対称空間:[,]であること, 

同値です。つまり,[a,b]の作る空間:[,]  

が”パリティ変換”:τで不変なことと,/が対称空間で 

あること:[,]H は同値である, 

ということです。 (9-3終わり※)
 

環の商空間:/が対称空間である場合は,破れていない 

生成子=の元:αには偶(),破れた生成子=() 

の元:aには奇()のパリティを付与できる場合です。
 

((9-4);カイラル群:G=U()×U() 

H=U()へと破れた場合,H=U()のパリティは 

()(G-H)=U()のパリティは奇()であり, 

群としての商空間:/Hは群としての対称空間の例です。

(94終わり※)
 

ここまで見てきたように,NGボソンの個数は商空間:/ 

の次元;dim(/)dimdimに等しく,NGボソン場: 

πaは破れていない部分群Hの下で線形に変換します。
 

この事実は,NGボソン場:πa,商空間G/Hまたは/ 

座標に取るべきことを示唆しています。
 

そこで,ξ(π)を群Gの()商空間:/Hの代表元 

(representative)とし,次のように,NGボソン場:πa 

パラメータ化します。すなわち,ξ(π)exp{iπ()} 

π()=Σaπaaとします。
 

この時点で,NG場:πa()は質量次元がゼロの場です。?
 

(9-5):()剰余類(coset): 

gH={∈G|=gh:h∈H}をHを)法として 

同値類別した同値類と考え,これを元とする商集合が 

商群:/H={gH|g∈G}です。
 

そして,これの元:ξHを構成する全ての同値な元のうちの 

1つのξ∈Gを,ξHの代表元と呼びます。
 

ξ(π)exp{i(Σaπaa)}と書いて場:πaLie代数の元: 

π()=Σaπa()a()を構成するパラメータ 

と考えます。
 

ξ(π)(G-H)であり,これは破れた方の群:(G-H)の元 

に対応しています。Σaで線形和を取るXa()のaの 

個数は;dim(/)dimdimです。  

(9-5終わり※)
 

ξ(π)exp{i(Σaπaa)}に左から群Gの元gを掛けた 

gξ(π)もGの元ですから,/Hのある代表元ξ(π') 

Hのある元;hの積に一意的に分解できます。
 

すなわち,gξ(π)=ξ(π’)(π,)です。
 

(9-6):何故なら,G=∪g∈G(gH)よりgξ(π)∈G 

なら,あるξ'∈Gが存在してgξ(π)∈ξ'Hとなり, 

ξ'Hの代表元を,ξ(π')とすると,Hのある元;hに 

対して,gξ(π)=ξ(π')hと書けます。
 

そして,gξ(π)=ξ11=ξ22なら,ξ1~ξ2,つまり, 

ξ2∈ξ1 or ξ1H=ξ2Hです。
 

この意味で,gξ(π)=ξ(π')hという分解は一意的 

というのは,ξ1Hとξ2HがG/Hの同じ元で,gを掛けると 

分解がξ(π)Hからξ(π')Hに変わるという意味では, 

gξの分解は一意的という意味です。
 

(9-6終わり※)
 

そこで,NG場:π()のg∈Gによる変換(大局的変換) 

π()→π'(),ξ(π')=gξ(π)-1(π,)  

で与えられます。

ただし,ξ(π)exp{iπ()},ξ(π')exp{iπ'()} 

です。
 

写像Fを,()( ξ(π))=gξ(π)-1(π,)と定義 

すると,(21)(ξ(π))=g21ξ(π)-1(π,21) 

=g21ξ(π)-1(π,1)(π,1)-1(π,21) 

=g2(1)(π,1)-1(π,21)です。
 

故に,-1(π,21)=h(π,1)-1(π,21) 

=h-1(π1,2)∈Hとすれば,(21)=F(2)(1) 

が成立する,という意味でFは準同型写像です。
 

そこでFはGの1つの表現ですが,  

()(ξ(απ1+βπ2))=αF()( ξ(π1)) 

+βF()( ξ(π2))が成立しないので 

線形ではないです。
 

そこで,こうしたπによるGの表現を,非線型表現 

(non-linear representation)と呼びます。
 

しかし,g=h∈Hのときには予期されるように,これは 

線形な表現となります。
 

実際,まず,[,]()より, 

[α,a]()なので,hXa-1()です。
 

よって,h∈Hに対してhXa-1()なる変換は, 

{a} ()の準同型写像です。 

つまり,表現空間:()の上の部分群:Hの1つの表現 

であり,しかも,(αXa+βX)-1=αhXa-1+βhXb-1 

ですから,線形表現です。
 

そこで,表現:ξ(π')=gξ(π)-1(π,)でg=hと 

したξ(π')=hξ(π)-1(π,)の場合, 

特に h-1(π,)=hとする選択が可能で,このとき, 

ξ(π')=hξ(π)-1,再び,/Hの代表元となり, 

これは線形表現です。
 

そして,ξ(π')=hξ(π)-1,π'= hπh-1に同値 

でありπに関しても線形です。
 

この表現を,ρ()(π)=hπh-1 (π=Σaπaa  or  

ρ()(a)=hXa-1のように表わせば,この表現:ρは, 

一般には可約な,群Hの表現空間:()の上での線形表現 

,()の基底:{a}を表現ρの表現空間の基底とも 

呼びます。
 

特に,基底:{a}によって表現変換を展開し, 

ρ()(a)=hXa-1=Σbρab()と書けば,ρab() 

はρの表現行列の行列要素を示しています。
 

{a}{a1}|a2}..|an}と直和分割できて 

各々の{ak}の春空間が任意のh∈Hについての変換:ρ() 

の下で不変部分空間になるなら,表現:ρは既約表現の直和 

=完全可約表現となります。
 

π()=Σaπa()aを与えるNGボソン場の座標: 

{πa()},{a}の既約分解:{a1},|a2},..,|an} 

に対応して{πa1()},{πa2()},.. πan()}と分解され, 

各H-既約なセクター:{πaj()}に属する成分:πaj(), 

そのセクターの中で表現:ρにより,πaj=Σbiρjajbi()πbi 

なる線形変換を受けます。
 

()の全ての生成子系:{a}がH-既約なとき,すなわち, 

{a}{a1}|a2}..|an}でn=1の場合,商空間: 

/Hは既約である,といわれます。
 

まず,簡単のため,Gが単純群であるとき,つまり,Gと{1} 

以外には正規部分群を持たない場合,を考えます。
 

非線型表現のLagrangianにおいて基本的役割を果たす量 

,ξ(π)∈G/Hから作られる次の1形式(1次微分形式) 

です。
 

すなわち,α(π)(i)ξ(π)-1dξ(π),または,もっと 

陽に成分で,α=αμdxμ,dξ=∂μξdxμ と書けば, 

αμ(π)(i)ξ(π)-1μξ(π)です。 

(※これは,数学ではマウレ-・カルタン形式 

(Maurer-Cartan form)と呼ばれます。)
 

途中ですが,今日はここまでにします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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2017年11月13日 (月)

対称性の自発的破れと南部-Goldostone粒子(8)

「ゲージ場の量子論」(対称性の自発的破れ)の続きです。
 

前回は,1つの核子:Nが1つの軟NGボソン:πを放出する 

過程に対応して,軸性カレントAμ()を運動量がpiとpf 

の核子状態で挟んだ行列要素: 

<N(f)|μ()|(i)>=Mμ()exp(iqx) 

(q=pi-pf)を考察し, 

Goldbwrger-Treimanの関係式」と呼ばれる最も簡単な, 

「低エネルギ^定理」を見出しました。,
 

今回は軟NGボソンの2体過程を考察します。
 

任意個数の軟NGボゾン(soft NG-Boson)の関与する 

過程に対しても「低エネルギー定理」を導くことができ 

ますが,その最も簡単な例として,2つの軟NGボソン 

の弾性衝突過程:πi(i)+πa() → πf(f)+πb() 

の散乱振幅を考察します。
 

ただし,軟らかい(oft)ボソンとは,低エネルギー,つまり, 

振動数が小さくてゼロに近い,または,波長が無限大に近い 

Bose粒子を意味します。
 

予め,目的を明示しない論議では,何の計算をしているのか? 

が不明で,モチベーションの持ち方に影響すると思われるので 

まず,結論から述べることにします。
 

2つのNGボソンの2体弾性衝突の過程: 

πi(i)+πa() → πf(f)+πb()では,全てのπは 

質量がゼロの質量殻上:i2=pf2=q2=k20 にあるため, 

4元運動量保存則から散乱のs,,u チャンネルの 

値は,s=(i+q)22iq=2kpf, 

t=(i-pf)2 =-2if=-2kq, 

u=(i-q)2=-2iq=-2kpf  

で定義されます。
 

この散乱での不変散乱振幅:, 

[πi(i)+πa() → πf(f)+πb()] 

=-(1/π2)(1/2)[(iabc)(ibci)(k+q)(i+pf) 

(2π2)-1(u-s)ibcabc となることがわかり, 

Bose対称性から,これは 

[πi(i)+πa() → πf(f)+πb()] 

 (3π2)-1{(u-s)ifccab (s-t)ibccfa  

(t-u)iaccbf } と書けます。
 

これが求める軟NGボソンの2体衝突の振幅に対する 

「低エネルギー定理」を与えるというのが結論です。
 

これを示すため,まず,核子:Nと軟NGボソン:πの弾性 

散乱:(i)+πa() → N(f)+πb()のS波部分 

の振幅を考えます。
 

関係する行列要素は,(外線付き2点Green関数) 

<N(f)|[aμ()bν()]|(i)>です。
 

これに∂μνを作用させ,軸性カレントの保存則: 

xμμ0,yνbν0 を用いると,次式を得ます。
 

μν<N(f)|{aμ()bν()}|(i) 

(1/2){μδ(0-y0)

<N(f)|[bν(),aμ()]|(i) 

+∂yνδ(0-y0)<N(f)|[aμ(),bν()]|(i)} 

です。
 

(8-1):何故なら,Bose粒子に対するT積の定義から, 

[aμ()bν()]=θ(0-y0)aμ()bν() 

+θ(0-x0)bν()aμ() です。
 

そこで,μ[aμ()bν()] 

=δ(0-y0)aμ()bν()

-δ(0-x0)bν()aμ() 

=δ(0-y0) [aμ(),bν()] です。
 

同様に,ν[aμ()bν()] 

=-δ(0-y0)aμ()bν()

+δ(0-x0)bν()aμ() 

=-δ(0-y0) [aμ(),bν()] 

=δ(0-y0)[bν(),aμ()] です。
 

それ故,μν[aμ()bν()] 

(1/2){μδ(0-y0)[bν(),aμ()] 

+∂νδ(0-y0)[aμ(),bν()]} 

を得ます。   (8-1終わり※)
 

再掲: 

μν<N(f)|{aμ()bν()}|(i) 

(1/2){μδ(0-y0)

<N(f)|[bν(),aμ()]|(i) 

+∂yνδ(0-y0)<N(f)|[aμ(),bν()]|(i)} 

の両辺に,∫d4exp(iqx)∫d4exp(iky)を施し, 

,kを相対的に同じオーダーに保ちつつ,ゼロに近づけます。
 

すると,lim q,k0∫d4exp(iqx)∫d4exp(iky)

 

μν<N(f)|{aμ()bν()}|(i) 

(1/2)limq,k0∫d4exp(iqx)∫d4exp(iky) 

{iμ<N(f)|∫d4[5b(0),aμ()]|(i) 

iν<N(f)|∫d4[5a(0),ν()]|(i)} 

 を得ます。
 

ただし,(qk),qk ~ q2~k2程度のq、kについて 

無視すべき,2次以上の無限小項を意味します。
 

そして,[5,μ()]iabcμ()から,  

<N(f)|∫d4[5b(0),aμ()]|(i) 

ia∫d4x<N(f)|μ()|(i) 

ですが,

ベクトルカレント:μ()の核子による行列要素: 

<N(f)| μ()|(i)>は,  

そのLorentz不変性,()対称性,および保存則の要請 

μμ0 から,一般に次の形に書けるとわかります。

すなわち,<N(f)| μ()|(i) 

=u~()c{γμ1(2)iσμνν2(2)/(2)} 

(i)exp(ipx);p=pf-pi,かつ,1(20)1 

です。
 

(8-2): μHermite,不変性,から 

,Lorentz変換でベクトル変換性を持つ量としての 

行列要素:<N(f)| μ()|(i)>は, 

γμ,( f+pi)μ,iσμν ,および,(f-pi)ν 

の実数のスカラー係数倍の線形結合形で与えられる 

と考えられます。
 

しかも,(f+pi)μ, iσμν(f-pi)νで表わす 

ことができます。
 

それ故,<N(f)|μ()|(i) 

=u~()c{γμ1(2)iσμνν2(2)/(2)} 

(i)exp(ipx) なる形に書けます。
 

この右辺にpμを掛けると, 

~()c{1(2)iσμνμν2(2)/(2)} 

(i)exp(ipx)

=u~()c(i)1(2)exp(ipx) 

0 となり,この形なら無条件でベクトルカレント保存: 

μμ0 が反映されます。
 

さらに,<N(f)|μ()|(i) 

=u~()c{γμ1(2)iσμνν2(2)/(2)} 

(i)exp(ipx) において, 

μ=0 として両辺に∫d3xを施すと, 

<N(f)|(0)|(i) 

=u~()c{γ01(2)iσμνν2(2)/(2)} 

(i)exp(i00)(2π)3δ3() となります。
 

この等式は,p=pi-pf0でも成立するので, 

f=piを代入すると, 

<N(i)||(i) 

=u(i)c (i)δ3(0)1(0) です。
 

c,()変換群の生成子としてのチャージQ 

核子状態:|(i)>による行列表現に他ならないので, 

状態のスピノル部分の規格化:(i)(i)1 

考慮するとF1(0)1 を得ます。 (8-2終わり※)
 

したがって, 

limq,k0∫d4exp(iqx)∫d4exp(iky) 

μν<N(f)|{aμ()bν()}|(i) 

(1/2)limq,k0∫d4exp(iqx)∫d4exp(iky) 

({iμ<N(f)|∫d4[5b(0),aμ()]|(i) 

iν<N(f)|∫d4[5a(0),ν()]|(i)} 

+O(qk))
 
 

の右辺に,<N(f)|∫d4[5b(0),aμ()]|(i) 

ibac∫d4exp(ipx)~()c{γμ1(2) 

iσμνν2(2)/(2)}(i),および, 

<N(f)|∫d4[5a(0),ν()]|(i) 

iabc∫d4exp(ipy)~()c{γμ1(2) 

iσμνμ2(2)/(2)}(i)を代入すると.
 

式の右辺 

limq,k0 (iabc)(1/2)(2π)4δ4(f+k-pi-q) 

(i)(μ+kμ)[~()c{γμ1(2) 

iσμνν2(2)/(2)}(i)+O(qk)] 

(abc/2)(2π)4δ4(f+k-pi-q) 

[~()c()1(2)(i)+O(qk)] 

を得ます。
 

一方,左辺の行列要素: 

<N(f)|{aμ()bν()}|(i)>に寄与する 

Feynmanグラフは,軟NGボソンの極限:,k→0 で 

特異性(Singularity)を持つ最も効くグラフは, 

先のNGボソン1体過程のときの図6.6と同じ書き方で, 

6.7(),(),()のタイプに分類できます。


()のグラフは,NGボソンの極:1/2,1/2の特異性 

が明らかですが, 

(),()のタイプのグラフの核子1粒子の 

中間状態の伝播関数も,i,fが質量殻:i2=pf2=m2 

の上の運動量なので,例えば,{(i+q)2-m2}-1 

{2iq+O(2)}-1の特異性を持つことに注意して 

おきます。
 

先には,(6.6()の寄与), 

0|μ()|πb()(i/2)abfi() 

ただし,abfi()=gπNN~(f)γ5(i) 

0|μ()|πb() 

=<0|πμπas,a()|πb() 

iπδabμexp(iqx) で与えられ,
 

結局,(6.6()の寄与) 

~fππNN~(f)aγ5(i)(μ/2)exp(iqx) 

となり,()のグラフはh(2)=fππNN/2の寄与に 

相当します。 

そして軸性カレント:μ()の保存の要請:μμ0 

,核子状態で挟んだ行列要素: 

<N(f)|μ()|(i)>=Mμ()exp(iqx) 

に適用すれば,0=qμμ() 

=u~(){γ5(2)+q2γ5(2)}(i)  

となります。 と書きました。

これと同様に,π-N散乱での図6.7()のグラフの寄与は, 

( -fπ2)[(i)+πa() → N(f)+πb()] 

×(2π)4δ4(f+k-pi-q) 

となります。
 

(8-3):6.7()の斜線部は2点Green関数を核子状態 

で挟んだ行列要素に2つのNGボソンの足が付いたものです。
 

NGボソンの足の寄与は

|(i/2)(iπμ)}{(i/2)(iπν)} 

ですが,これに∂μν=qμνを掛けると,Green関数から 

S行列要素を導くLSZのNGボソン外線除去の因子: 

(i/2)(1/2)の他の部分は散乱のS行列要素×(-fπ2)の寄与 

となるのは明らかです。 (8-3終わり※)
 

6.7(),()のグラフは,S波のπ-N散乱振幅にはO(qk) 

の寄与しかせず,今考えているオーダーでは,これらは無視して 

落とすことができます。
 

何故なら,(),()のグラフの寄与をそれぞれ,,Cと 

記せばBの上グラフは図6.6()を2個,Cの上グラフ 

は図6.6()1個含みます。
 

先に,6.6()と図6.6()の和にqμを掛けて縮約して 

q→0とするとゼロ,つまりO(2)でしたから,B+2 

=O(qk)と考えられます。
 

そこで(B+C)の代わりに-Cを考察しC=O(qk) 

示せば十分です。
 

6.7()の上ラフと下グラフの和を具体的に書けば, 

C={~(f)γ5(i+m)γ5(i)}/(2i) 

{~(f)γ5(i+m)γ5(i)}/(2i) 

[~(f){2(i)-2mkq}/(2i) 

{2(i)-2mkq}/(2i)](i) 

なる形です。
 

そこで,k~qなら,相殺して確かにC=O()=Q(qk) 

です。;(qq=q20,kk=k20,i(i) 

=m(i) などを用いました。)
 

したがってS波のπ-N散乱振幅においては, 

(iabc/2)(2π)4δ4(f+k-pi-q)(i) 

[~()(c) fi()1(2)(i)+O(qk)]20 

=-fπ2[(i)+πa() → N(f)+πa()] 

×(2π)4δ4(f+k-pi-q)  

のように式の左辺と右辺が等置できます。
 

ここで,1(20)1であり,この等式を散乱の重心系 

(CM系):q=-pi,k=-pfで考察すると, 

i,k→0では,i~pfであり, 

~()()(i)=-2N となるため,
 

結局,[(i)+πa() → N(f)+πb()]. 

(abc /π2)(c)fiq+O(2)が得られます。
 

これが,S波のπ-N散乱振幅に対する「低エネルギー定理」 

ですが,これが最終目的ではなく軟NGボソン;πの 

π-π弾性散乱の「低エネルギー定理」に向かいます。
 

さて,標的粒子を核子:Nの代わりにNGボソン:πとして, 

軟NGボソン同士の弾性散乱: 

πi(i)+πa() → πf(f)+πb()を考えます。
 

この場合,行列要素: 

<N(f)|{aμ()bν()}|(i)>は, 

<πf(f)|{aμ()bν()}|πi(i)>に変わります 

,6.7().()に相当するものは相変わらず効きません。
 

その理由は,核子が標的の場合よりも簡単で,NGボソン:π 

は擬スカラー粒子なので,パリティの保存の要請から図6.7 

()の核子線をπに変えた3π頂点は禁止され,また,() 

の<π|aμ|π>の寄与も禁止となって消えるからです。
 

一方,π-N過程でのGreen関数の発散微分: 

limq,k0∫d4exp(iqx)∫d4exp(iky) 

μν<N(f)|{aμ()bν()}|(i) 

(1/2) limq,k0∫d4exp(iqx)∫d4exp(iky) 

({iμ<N(f)|∫d4[5b(0),aμ()]|(i) 

iν<N(f)|∫d4[5a(0),ν()]|(i)} 

+O(qk)) は,[5a(0),μ()]iabccμ() 

であり,<N(f)|cμ()|(i) 

=u~()c{γμ1(2)

iσμνν2(2)/(2)}(i); 

1(2)0)1,p=pi-pfと表わせるので,
 

(iabc/2)(2π)4δ4(f+k-pi-q)(i) 

[~()c()1(2)(i)+O(qk)] 

でしたが,
 

Nをπに変えると,ベクトルカレントの行列要素は 

<πf(f)|cμ()]|πi(i) 

ifci(i)(i+pf)(2)exp(ipx), 

(0)1,p=pf-piなる形になります。
 

何故なら,πを表現空間とする変換群の随伴表現 

では,(c) fiifci であるからです。
 

π-N散乱での, 

(iabc/2)(2π)4δ4(f+k-pi-q)(i) 

[~()(c) fi()1(2)(i)+O(qk)]20 

=-fπ2[(i)+πa() → N(f)+πa()] 

×(2π)4δ4(f+k-pi-q) であった等置式は.
 

π-π散乱では, 

(iabc/2)(2π)4δ4(f+k-pi-q)(i) 

fci(q+k)(i+pf){(2) +O(qk)}20 

=-fπ2[πi(i)+πa() →πf(f)+πb()] 

×(2π)4δ4(f+k-pi-q) となり,
 

[πi(i)+πa() →πf(f)+πb()] 

=-(2π2)-1[abcbci(k+q)(i+pf) 

(2π2)-1(u-s)ibcabc  

となることがわかります。
 

何故なら,最初に示したように, 

s=(i+q)22iq=2kpf, 

t=(i-pf)2 =-2if=-2kq, 

u=(i-q)2=-2iq=-2kpf であり,
 

さらに;i+q=pf+kにより, 

u-s=-2(i+pf)=-2(i+pf) 

=-(k+q)(i+pf) であるからです。
 

Bose対称性より,これから, 

[πi(i)+πa() → πf(f)+πa()] 

 (3π2)-1{(u-s)ifccab (s-t)ibccfa  

(t-u)iaccbf}+O(s、st,..) を得ます。
 

これで,求める軟NGボソン;πのπ-π弾性散乱の 

「低エネルギー定理」を証明できたので,ここまで 

にします。
 

(参考文献):九後汰一郎 著「ゲージ場の量子論() 

(培風館)

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