2022年8月11日 (木)

エレクトロニクス覚書き(2の2)(電気伝導2)

※2022年8月11日(木)

TOSHIです。余談は抜きで続きをアップします。

,以下,本題です。再掲記事の続きです。

(※再掲記事3)

電気伝導(つづき2)(衝突の正体)(2006年6/19アップ修正)

@nify物理フォーラムで私と一緒にサブシスをやっている

高校の先生で友人と思っている,かんねんさんから,次のような質問

を受けました。

「電子が金属の原子から抵抗を受ける(=衝突する)ことが抵抗

の正体である。と本には書いてありますが.この陽イオンと電子

の衝突って,どんな感じなのでしょうか?というのは,衝突による

斥力的イメージではなく,異符号ゆ故の引力的な力を想像して

しまいます。これをどう理解したらいいのでしょうか?」という

質問ですが,それに対する私の回答があまりにも不親切だたので,

そのフォーラムでの回答の内容を大幅に修正したものを以下に記述

します。

まず,量子論で電場などの外力がない場合に,固体の中の電子は

自由電子近似をするとしても.実は弱いイオンの引力によって,体積

Vの中に閉じ込められており,Vが有限であるために1つの電子の

運動量(故に速度)は,どんな値でも取れるわけではなく,ある離散的

な値しか取れません。

そして,これら1つ1つの準位にPauliの原理とスピン自由度

によって下から2つずつ電子を詰めてゆき,丁度,その固体中の電子

が全て収まったときの,最大のエネルギーをFermiエネルギーと呼び

この最高準位をFermi準位と呼びます。

そうして,この電子準位の全体を運動量ベクトル,または,それを

Plank定数hで割った波数ベクトルの集まった3次元空間で考えると

1つの球になりますが,これをFermi球と呼びます。

そして,球ですから球対称であるが故に,電場のない状態では平均

の運動量はゼロです。つまり,電場がなければ自由電子の平均速度v

もゼロなので電流もゼロだということができます。

しかしながら,固体の中の電子を自由電子で近似するのには無理

があり,格子構造を持った束縛電子で遮蔽された周期的な陽イオン

の引力ポテンシャルを受ける電子波であるのを考慮する必要が

あります。

周期的引力ポテンシャルの摂動を受けるため,電子が取る

エネルギー準位は,その値を取ることができる許容帯と呼ばれる

ネルギ-バンド領域と,その値を取ることは不可能な禁止帯と

呼ばれる小さなギャップ領域の繰り返し,という形態を取ること

になります。

そうした自由電子に代わる固体の結晶格子中の電子を,それ

を発見した人の名を取ってBloch(ブロッホ)電子と呼び,上述

の理論を「バンド理論」といいます。

固体中のBloch電子を下の準位から順にFermi準位に達する

まで許容帯の中に詰めてゆきます。

そうすると1つのケースとしては,幾つかのエネルギーバンドは

完全に占有され,他の全ては空になるような形になることがあります。

このとき,許容帯のうち全てが占有されたバンドを充満帯,または

価電子帯と呼びます。そして,この全充満帯の頂点と,電子が全く空

の非占有許容バンドまでの禁止帯領域の幅をエネルギーのバンド

ギャップと呼びます。

このギャップが絶対温度TにBoltzmann係数kを掛けた値(kT)

に比べて大きい場合には,Fermi準位付近の電子のエネルギー値が

(kT)程度なので,すぐ上の空の許容帯である占有可能な空きの

ある許容帯(伝導帯)までジャンプすることはできませんから,

この固体は「絶縁体」となります。

一方,バンドギャップが小さい場合,ある温度では充満帯から空

の許容帯へとジャンプして,その電子は伝導可能となり,他方,

充満帯の方ではジャンプして欠けた電子の穴が「正孔」という

正電荷のキャリアとなる,などのために,この固体は(真性)半導体

となります。

もう1つのケースは,Fermi準位が許容帯の途中になる場合

で,このときは,その許容帯の中の全部の準位が占有されて

いるわけではなく,部分的に占有されていることになります。

そこで,その中では,その準位付近の電子は自由に動けるので

「電気伝導」というモノが可能になります。

このとき,部分的に占有されている許容帯を伝導体と呼びます。

そして,こうしたケースの固体を「導体」と呼びます。金属は

これに属しています。

バンド理論によると,電子の占有を許された準位の数は,どの

許容帯でも同一で,(固体中の格子の総数)=(構成原子の全個数)

をNとすると,スピンの2つの自由度のため,結局,1許容帯当り

で占有可能な準位数は2Nという偶数になります。

一方,1個の原子当りの価電子の個数が偶数の元素では,それ

を2nとすると,価電子の数は全体で2nNとなり,この総電子数

を許容帯の占有可能な準位数2Nで割り算すると商がnとなって

余りがゼロですから,許容帯には電子が充満し充満帯となり,空き

準位がないため身動きできません。

しかも,その上には禁止帯というエネルギーギャップがある

ので,絶縁体になるか,半導体になるかのいずれかで,これらの

固体は非金属です。

 しかし,奇数の価電子を持つ元素の場合,これは一般に金属です

が,この場合は総電子数を2Nで割ったとき余りがあり一番上の

エネルギーではバンドが充満しないで,ほぼ半数の空き準位がある

という部分的占有状態の伝導帯となり,自由に動けるBloch伝導

電子となって金属導体になるわけです。

このとき,エネルギー領域のバンド化による自由電子

からBloch電子への変化は,一見したところ,電子の質量がmから

有効質量と呼ばれるmに変わる効果だけで表現可能で,実は周期的

Cohlombポテンシャルが全く規則的に並んでいて,しかも止まって

いるだけという状況ですが,,これでは散乱や衝突などは全く起き

ないと考えられます。

つまり,それだけでは依然として緩和時間が∞のままなので,素朴な

古典論で考えたような電子がイオン芯と衝突して散乱されるという

描像は量子論的には誤りなのです。

すなわち,あるエネルギーを持ったBloch電子というのは,自由電子

とは異なり運動量固有状態ではありませんから空間的には一定速度

で運動しているわけではありませんが,とにかく定常状態であると

いうことが重要です。

それ故,古典的に意味のある運動量や速度の期待値は時間的には

一定である,というわけです。つまり,自由電子と同じように,古典

的描像ではBloch電子も一定速度で運動しているわけですから,

古典的Drudeの理論のように,イオンまたは,その引力ポテンシャル

で散乱されるわけではない,ということになるのです。

そして電子質量をmとするとき,自由電子ではエネルギーが

E=p2/(2m)なので,これを運動量pで2回偏微分すると(1/m)

になりますが,Bloch電子でも(本当は自由粒子でないのですが),

そのエネルギーを運動量pで2回偏微分したものを(1/m)

として mを有効質量と定義します。

すると,電場Eがあるときの運動方程式は散乱がないなら

d(m)/dt=eとなり,有効質量は”電子の慣性質量”

と同じ役割を果たすという意味があります。

したがって,例えば電気伝導度=抵抗率の逆数が自由電子

近似の古典的理論値:σ=ne2τ/mからσ=ne2τ/m

変更を受けるという意味があります。

電場Eがかかると,Fermi球の原点がずれて,波数について

球対称でなくなるので,電流がゼロでなくなりますが,それは

電子の電荷をeとするとΔtの後に運動量としてeΔtだけ

ずれる,という意味です。eは負ですからと反対向きにずれる

のですが,それだけでは時間tと共に電子の速度は増加sますから

一様速度にはならず,次第に加速されます。

やはり,一様速度になるためには何らかの衝突,散乱が必要です。

衝突が起こるというのは,量子論では電子は波であり電子波束

が一方向に進行している状態ではなくなって,の方向に影響を

こうむることを意味します。

これは,「並んでいる陽イオンが熱などにより振動する。

つまり,格子振動する。(逆に振動こそが熱かも)」,あるいは

「格子欠陥がある=不純物効果がある。」というような不規則な

変化がある場合で,これがないとBloch電子が散乱されて一様速度

の方向が変わるようなことはありません。

量子論的には,電子波が主に「陽イオンの格子振動=フォノン

(phonon;音子)と衝突するのが散乱の原因でとされます。結局,

結晶格子にある陽イオンが単に並んで止まってるだけでなく時間的

に変動することによりイオンの位置が規則的配列からずれて,その

振動により電子がその進路を曲げられると見るわけです。

 だし,その効果が質問にあった,引力のためであるか?それとも

斥力のためであるか?については私にも確かなところは不明です。

ただ,電気的に中性のフォトン(光子;photon)と電子が衝突する

Compton効果のアナロジーで,電磁場を調和振動子の集まりとして

量子化したフォトン(光子)と同様に, 固体内の格子振動と呼ばれる

陽イオンの振動(波動)を量子化したフォノン(音子)が,電子と衝突

する散乱というくらいの参考書で見たのか,誰かに教わったかの

漠然としたイメージしかありません。

(※もっともフォノンとの衝突はCompton散乱のような弾性散乱

ではなくエネルギー・運動量が保存されない非弾性散乱のはず

ですが。。)

例えば極低温で電子と電子が引付けあってCooper対という

対を作り,結果,電子対共鳴としてスピンが整数のBose粒子と

なり「Bose-Einstein凝縮」を起こして超伝導体を構成する

というBCS理論というのがありますが,元々,電子間には

Coulomb斥力が働くはずですから引力で対を作るというのは

不思議です:

 一方,現在では電気力:Coulomb相互作用は量子論的には

荷電粒子間で仮想フォトン(スカラー光子)を交換する結果

で生じる.というのが量子電磁力学の理論からの帰結ですが,

これのアナロジーで.固体の結晶格子内の電子間の引力,斥力

はフォノンの交換により生じるとされています。

特に,固体内で低温ではフォトン交換による電気的なCoulomb

斥力を,フォノン交換による引力が上回るようになり,Cooper対

という電子対ができると考えられています。

いいかえるとCoulombポテンシャルが格子フォノンによって

遮蔽されて斥力から引力に変わるという帰結です。

このようにフォノン(格子振動波)をフォトン(電磁波)のように

粒子性を持った量子として吸収,,放出したり散乱するもとして

扱うのです。

 こうし,とにかく電子の衝突,散乱があれば,古典論のDrude

理論のイオン芯との衝突でなくても有限な緩和時間τを与える

ことができますね。

実際にはこの緩和時間は運動量や温度の関数であり,詳しくは

「Boltzmannの輸送方程式」という偏微分方程式の1つの項で,

緩和時間という量を挿入定義することに従って決まります。

私も,まだアシュクロフト・マーミン著(吉岡書店)

「固体物理学の基礎」の全4巻のうちの2巻目の途中

まで読んだところで中断していて,把握できてない知見

が多々あり今はこの程度の説明が限界です。

 ここで終わり,次回は固体結晶のフォノンについての過去記事

に続きます。

 

 

 

 

 

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2022年8月10日 (水)

エレクtロニクス覚書き(2の1)(電池,電気伝導1)

2022年7月21日(木)→8月10日

※(余談):TOSHIです。江戸では暑い日が続いています。

MLBの大谷君やダルビッシュ,プロゴルフの松山選手や渋野

ら若手女子ゴルファーの活躍,テニスの大阪なおみちゃんや

世界陸上などスポーツイベントのTV観戦をするくらいの

楽しみしかなく,最大の趣味であった読書が弱視?でできなく

なりました。

 私は世の中では,反社ではなく非社会的アウトサイダーで

熱中症にもならず,コロナにも罹患しませんが気候の不安定の

せいか?心臓と肺.気管支,さらに食道から消化器の調子もよく

ないです。そろそろお迎えかな?(余談終わり※)

※さて,以下,本題の続きです。

※まず化学電池の原理について復習

中学校の理科や高校の化学で習った,化学エネルギーを電気

にする液体電池の典型例は,希塩酸中に亜鉛(Zn),および,銅

(Cu)という2枚の金属板を入れて,Znを負極にCuを正極に

して導線でつなぐとき,電子の流れで起電力が生じるのでした。

(ダニエル電池?)

 塩酸(HCl)は,HCl⇔H++Clと電離平衡にあり希塩酸は,

その薄い水溶液です。溶液中でのZn,Cuの外殻の価電子の電離

平衡は,それぞれZn⇔Zn+2+2e-,Cu⇔Cu+2++2e-です。

金属のイオン化(電離)に必要なエネルギーは.定圧辺変化なので

エンタルピー変化:ΔHで表現されます。これが小さい方ほど,

金属原子の結合が不安定で.イオン化しやすいです。

これがいわゆるイオン化傾向とypばれているモノで,これに

より,平衡反応の矢印の向きが決まってZnからe-を得て,それ

がCu2+流れて金属Cuか析出することで起電力が得られる

のが液体電池です。

私は弱視で本が読めないので.ネットのホームページで文字

拡大で参照すると,電圧降下:ΔVでの表現として実験値はZn

が1.56V.Cuは0.45Vであり,相対的にZn板の電位よりもCu

の電位が1.11Vだけ高いので,Znに残された電子eが回路

通ってCu板に流れてCu板に金属Cuが析出する。

というわけです。

電池は放電あるいは回路電流によって電子が全て消費されると

寿命を迎えますが,逆向きの起電力をつないで放電すると元に

戻るなら.これが充電です。充電可能な電池としてはニッケル・

水素電池あり,電解質にはKOHを用いているらしいでます。

ノーベル賞受賞の吉野博士によるリチウムイオン電池は負極に

Liを用いることに成功して汎用化されtいる優秀な液体電池

ですが,現在,理想的な電池としては電解質に液体でなく固体を

用いる全固体電池が開発中で今後のEV車などへの使用が期待

されています。

私は,充電スタンドなど別に発電された電気を利用するのではなく,

太陽光をそのまま使うソーラー光電池を搭載して,夜間は電電池

で賄うソーラーカーであれば,電気を不断に供給されながら稿走行

できるのでとてもよい方法と思いますが,現状は,通常EV車の10倍

以上のコストが必要で効率を上げる技術も未熟,かつ経済的にもで

実用に不向きであるらしいです。常温の超伝導物質があればなあ。

と思います。

ソーラー発電なら我が国には,輸入するしかない石炭。石油,LNG

は不要で,CO2発生も少なく,気象や地震などの天災にも強いと

思いますし,遊ばせている広大な農閑地にソーラーパネルを配置

すれば電力会社が独占している送電線も大して必要ないし環境

破壊,光害の問題さえクリアできれば現,実には将来的に発電所

よりもコストは安く,売電のためでなく自己に必要だけな電気供給

を考えるなら一時的に国家予算で補助しても,結局,年に何度かの

メンテナンス程度の費用で償却され電気代不要なクリーンなで

電力源となるのですがね。

既得の電力利権などに拘泥せず,こうした開発に国家が投資

すれば優秀な技術立国で,これまでも新技術を開発している

我が国だと可能な気がするのは私だけの浅知恵なのでしょうか?

※さて,次に,固体結晶のバンド構造を復讐するため2006年

当時の過去記事から,いくつかを再掲します。

(※再掲記事1)電気伝導(オームの法則(2006年6/15)

@niftyの物理フォーラム,と化学の広場の専用会議室:

「中高生の理科質問箱」で電気伝導について泥試合的

な論争が続いているのを傍観していますが,そもそも

初学的知識の子供に解説するだけなら,以下の程度の

説明で十分かな。。と思います。

まず,電流の定義ですが,電流とは電荷を運ぶキャリア

(Career)という実体(電子とか,正孔とかイオンとか)の

如何によらず,単位時間に断面積を通過する電荷量のこと

です。そして,通常,その単位はA(アンペア)=C/sec

(クーロン/秒)で与えられます。

普通の家庭で流れている電流は数アンペア程度で,この

とき,電荷の平均の移動速さは数mm/s程度に過ぎません。

それなのに,遠くでスイッチを入れても,すぐ近くで電灯

が点くのは,要するにトコロテン式で.遠くの端で電荷が

押されると次から次へと”押しくら饅頭”のように押

されて,近くでもすぐに遠くの端と同じ速さで電荷が

移動するようになるからですね。

電池などの起電力を持ったポンプを閉じた回路につなぐ

と金属でできた導線の中にも電場が生じます。電場

あるとき,大きさeの電荷があると力:=eを受けること

になります。それ故,質量mの電荷が速度vで運動するとき,

その運動は,それが電場Eの他に何の力も受けていなければ,

Newtonの運動方程式:d(m)/dt=eを満足することに

なるはずです。(相対論効果は無視しています。)

ところが,普通,金属の内部を移動する電荷というのは,金属

原子からの束縛をはずれたと見なしてよい自由電子です。

電子の電荷eは負の数で,,金属の中では自由電子という

名は付いていますが,実はそれほど自由というわけではなく.

金属原子の格子振動(量子論的にはフォノン(音子)と呼ばれる

量子=波動性と粒子性共有のモノ)や,不純物によって散乱を

受けます。

素朴な古典論でのドゥルーデ(Drude)のモデルでは。この

散乱はイオン芯(原子から自由電子を差し引いた残り)との衝突

を意味します。もちろん,電子同士の衝突などは無視できます。,

これら散乱を受ける電子の平均の衝突までの時間=緩和時間

をτ(sec)とおくと,これは1個の電子が単位時間(1秒間)に衝突

する確率が,(1/τ)であることを意味します。

 1個の電子が散乱を受けると,それはどの方向に散乱を受ける

確率もほぼ同じなので,ある向きに進んでいた1個の電子に着目

すると,その向きに走る電子に関しては急に消えたのと同じに

なります。

故に,現在の時刻をtとして時(刻(t+Δt)に消えずに残って

いる確率は,(1-Δt/τ)です。そこで電子の速度を(t)と

すると,先のNewtonの運動法則は次のように変更しなければ

なりません。つまり,m(t+Δt)=(1-Δt/τ){m(t)

+eΔt+O(Δt2)}です。

そして,この両辺をΔtで割ってΔt→0の極限を取ると.

上式右辺のΔtの2次以上の項は消えて,d(m)/dt

=e-m/τと書いてよい,ことになります。

そして,十分長い時間の後には(といっても実はすぐですが)

平衡に達して左辺の加速度項はゼロとしてよく,速度は一定に

なるはずです。

このときの多くの電子の平均の速度もやはり,vと書くこと

にします。そうすると,0=e-m/τ⇒e=m

により,=eEτ/mと書けます。

単位体積当りの自由電子の個数をnとすると,電流密度

(=単位時間当りに単位断面積を通過する電荷量):は,

=neで与えられますから,結局,=(ne2τ/m)

なり,電流密度は電場に比例し,その向きも電場と同じ,

ということになります。

 この関係式:=σ;ただし,σ=ne2τ/mは,電気伝導度

という形でのオームの法則(Ohm‘s law)ですが,より身近な形

に直しておきましょう。

電荷が流れている場所の金属線(抵抗)の断面積をS,長さを

Lとします。そして正電荷qが一様電場Eに抵抗して距離L

だけ,反対向きに移動するのに要する仕事=位置エネルギーは

qELとなりますが,これをe=qLと書いて,

のことを電圧,または電位差と呼びます。この電圧の単位は,

V(ボルト)=J/C(ジュール/クーロン)です。

電流は電流密度×断面積;Sですから,先の=σ

という形の式は.=σS=(σS/L),あるいは,逆に

{L/(σS)}という形になります。

そこで,抵抗Rを,R=L/(σS)と定義すれば,よく知られた

形のオームの法則:Rとなります。

(参考文献):アシュクロフト・マーミン著「固体物理学の基礎」

(吉岡書店)

(※再掲記事2)電気伝導(つづき1)(ジュール熱)(2006年6/17)

 オーム@の法則について述べたついでに,電気が熱に変わる

のは何故か?というジュール熱の問題も微視的に考察してみます。

 1つの電荷eに対する運動方程式を与えるため,位置xに

おける電位をV()とすると,これは単位電荷当りの

ポテンシャルを意味しています。

一様電場の向きをx軸に取って,問題を1次元化,つまり,

x座標だけで考えると,EとVの関係はE=-dV/dxと

なります。

したがって,電場Eがあって何の抵抗もないときには,

運動方程式は電荷の質量をm,速度をvとすると,

d(mv)/dt=―e(dV/dx)となります。つまり,抵抗が

ないと電流を与える電荷の速度は一定ではなく加速されるの

ですね。そして,この運動方程式の両辺にv=dx/dtを

掛けて得られるv(dv/dt)=d(v2/2)/dt,および,

恒等式;v(dV/dx)=(dx/dt)(dV/dx)=dV/dt

を用いると,d(mv2/2)/dt=-edV/dtとなります。

つまり,(d/dt){(1/2)mv2/2)+eV}=0となって,

保存力場に対する,通常の力学的エネルギー保存則を得ます。

左辺の(d/dt){(1/2)mv2/2)+eV}は,もちろん,

力学的エネルギーの単位時間当りの増加分ですが,これがゼロ

ということは,抵抗がないときには,熱などの形でのエネルギー

の散逸(ロス)が全く無いことを意味していると考えられます。

しかし,実際には,前記事で書いたように金属線にはゼロでない

抵抗があり,自由電子の衝突の緩和時間をτ(sec)として,運動

方程式は,d(mv)/dt=eE-mv/τとなることを

見ました。すなわち,より正しい運動方程式は,

d(mv)/dt=―e(dV/dx)-mv/τです。

働く力を表わす右辺は,位置xで決まるだけでなく速度vに比例

するマイナスの項,いわゆる抵抗力の項を含んでいます。

力学的エネルギーの変化率の方は,やはり両辺にv=(dx/dt)

を掛けて求めるわけですが,今度は,(d/dt){(1/2)mv2+eV}

=-mv2/τとなりますから,平衡状態,つまり.加速度がゼロで

dv/dt=0の電荷速度vが一定,または電流が一定の状態に

なると,d(eV)/dt=-mv2/τとなるはずです。

結局,回路に電流スイッチが入ってから十分な時間が経過した

後にvが一定で,v{d(mv)/dt=d(mv2/2)/dt=0 より,

運動エネルギーが一定に保たれる平衡状態になっても,位置

エネルギーは,右辺の(-mv2/τ)のような形で散逸して(逃げて)

いきます。これがいわゆる熱というわけです。

つまり,緩和時間τで特徴付けられる材質の抵抗があれば,それ

を流れる電流を構成する電子が受ける外力は保存力どころか位置

だけの関数でさえなくて,何らかの原因で自由電子はデタラメな

方向へ散乱され,散乱された電子の運動エネルギーの総和という形

で,力学的エネルギーが損失を蒙ることになります。

 このエネルギー損失は,速度に比例する抵抗という形で表現され,

これが巨視的には「ジュール熱」と呼ばれるモノとして現われると

いうわけです。

そこで,力学的エネルギーの他に,「熱エネルギー」という形

のエネルギーの存在も考慮するならば,先の方程式:すなわち,

抵抗がないときには,(d/dt){(mv2/2)+eV}=0に

よって,エネルギーの保存を示し,一方,抵抗があるときには,

(d/dt){(mv2/2)+eV}=-mv2/τの形の発展方程式

となり,結局,「単位時間当りの力学的エネルギーの減少分

(増加分(減少分)が熱エネルギーの増加分(減少分)に等しい.]

という「全エネルギーの保存法則(熱力学第一法則)」を表現

しています。

具体的には,Eが一定のときの電位はV(x)=-Ex+(定数)

と書くことができて,d(eV)/dt=-eEvと書けます。

したがって,大きさがeの1つの電荷の単位時間当りの

エネルギー損失の式:d(eV)/dt=-mv2/τは,-eEv

=-mv2/τとなります。

一方,抵抗物体の単位体積当りの電荷eの個数をnとすると,

電流密度はJ=nevです。

それ故,単位時間,単位体積当りの損失は,nmv2

=neEv=JEとなり,断面積がS,長さがLの抵抗ならその

体積:SLを掛けて,JSLE=nSLmv2/τですが,電流の

定義:I=JSと電圧の定義:V=ELを用いると,これは,IV

=Nmv2/τという表式を得ます。ただし,NはN=nSLで抵抗

中の電荷eの総数です。

そこで,抵抗内の全電荷:Q=Neを用いると,全体積中のN個

の電荷による単位時間あたりの全エネルギー損失:=ジュール熱:

IV=Nmv2/τとして与えられる「ジュール熱,または消費電力

はIV=Qmv2/(eτ)なる式で表現されます。両辺の単位は

ワット(W)=J/secです。

(参考文献):アシュクロフト・マーミン著「固体物理学の基礎」

(吉岡書店)

長くなったので次は,次回にまわします。

 

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2022年7月20日 (水)

エレクトロニクス覚書き(1)(太陽光発電補遺)

※2022年7月7日(金)→7月20日(水)

※(余談):2月の誕生日以来の久しぶりTOSHIです

私は,コロナじゃなくワクチンも1度も受けていませんが

ときどき,血中酸素濃度が落ちて酸素吸入をしています。

先週(7/7頃,)酸素値は96以上に回復しましたが虚血性

心不全での肺水腫で利尿剤で水を排出して何とかまだ生きて

います。自分のまわりでは毎年のように同年代の友人がポツポツ

と鬼籍に入ってゆき,さびしい限りです。元々私が一番アブナイ

と言われていましたが,私は意外とシブトイ憎まれっこのようです、

まあ,棺桶片足ですがね。。(余談終わり※)

※さて,以下,本題です。

元々,地球のエネルギーは,全て太陽由来ですから,最近の再生

可能な発電として太陽光発電と蓄電に関心があり,関連項目を

調べています。

まずエレクトロニクスの知見からおさらいします。

エレクトロにクスというのは,電子(electron)の挙動とそれを

利用した電気機器の応用などを扱う学問と理解しています,

§1.交流電流の直流化

 電気の発生源が主として電気以外の水力とか,火力による

ボイラーの加熱などにより,磁極の中でコイルを回転させると

いうモーターとは逆の操作で,熱などのエネルギーを電気に変換

するという発電機に頼るため.発生されるのが周期的に正負の向き

が変わる交流電流が主流ですが,アメリカの発電機が60Hz,

ドイツのそれが50Hzだったかな?の理由で明治時代?での

導入先の違いから西日本と東日本で交流周波数が異なって

います。これはは不便なことですが,もはや双方が巨大化して

いて統一にはコストがかかりすぎるためか,現在もそのままです。

こうした発電機は古いママチャリなどで,人力でペダルをこぐこと

で前方のライトを灯すという人力発電を思い起こせば,それの大がかり

なモノが,火力などの交流発電機であろうと想像できます。

今は,送電も交流は交流のままで行なわれています。

加熱や照明など交流のままでよい機器も多いですし,近年は周波

数がどちらでも対応できる機器の開発等もされています。

それでも,ラジオ,オーディオなど直流に変換しないと使用

できない電気機器も多数あります。これは,通常,整流回路を

用いて直流化します。これには電子が陰極から陽極に向かう

電流のみを通し逆向き電流は遮断して通さない素子=整流器

を回路に挿入します。整流素子1個では半周期のみの電流で

残る半周期は空白です。そこで,2個の素子を並列に挿入した全波

(両波)整流回路を用いて残る半波空白部分をも向きをそろえて加え

るようにします。

これで,例えばI0sinωtの交流電流なら,I0|sinωt|のように

方向は直流化されますが,直流と呼ぶには波型のデコボコ(リップル)

が大きくて不安定な流れです。それ故,コンデンサを挿入してきるだけ

平滑化して自然な直流を求めます。

§2.整流素子:2極真空管とダイオード(diode)

エジソンによる電球は,真空,または希ガスを封入したガラス管で.

内部にフィラメントと呼ばれるタングステンなどの特殊金属導線

部分を作り,それが電流の増加と共に熱線と同時に光線を放射する

モノです。特に金属が熱せられると境界壁の仕事関数と呼ばれる

障壁ポテンシャルより大きい熱エネルギーを持てば自由電子が

放出される現象があり,これを熱電子といいます。

2枚の金属プレートの一方を陽極,他方を陰極と定め,陰極のみ

をフィラメントで熱を与えます。熱電子は負の電荷eを持つので

陰極から飛び出した熱電子は陽極に引かれます、そこで陽極を正

とする電圧に対しては,陽極と定めたプレートに熱電子が到達

しますが,逆の負電圧なら熱電子は陽極プレートと呼んでいても

実は陽極ではなく陰極となるために電子が到達しません。

したがって,交流電圧をかけた場合,正電圧のときのみ真空中

を熱電子の電流が流れることになり.負電圧部分では空白となる

ため,2極真空管は半波整流素子に成り得ます。これの並列+

平滑回路で全波整流平滑化可能です。

§3。固体体結晶中の電子エネルギーのバンド理論

真空中の自由電子であれば,それらは連続的な運動量(波数)を

持つ自由平面波で表わされ,そのエネルギー=運動エネルギーに

上限はありません。また,単独原子,分子であっても束縛される電子

のエネルギーは離散的ではありますが上限はないはずです。

しかし,有限な境界を持つ固体結晶内では電子が占有可能な準位

の数は限られていてPauliリの排他原理から.1準位に2個ずつの

電子を詰めていくことができます。

構成元素の内殻電子が原子核=正イオンに束縛されているのに対し

外殻電子は,周囲の他の原子との共有結合も可能て,価電子と呼ばれ

近似的に自由電子としてBlochの周期的電子となります。

この価電子をエネルギー準位の下方から順に詰めていくとある

レべルが上限となって,満杯の身動きできない充填帯と,その上に電子が

占有不可能な禁止帯と呼ばれるエネルギー帯(エネルギーバンド)構造

になります。

例えば原子番号14のシリコンSi(珪素)は価電子は4と偶数ですが,

結晶を構成する原子の価電子がmでその原子の個数がNなら占有される

準位の総数はmNです。一方,結晶格子構造の周期性から,この周期性

を持つ正イオンによる周期的ポテンシャルに従う電子のエネルギー

について,Bloch電子という近似的に自由な独立電子として周期的

境界条件を適用することで,占有可能な許容帯と,不可能な禁止帯

が交互に繰り返されます。

総数mN個の価電子を詰めて許容帯を下から充填帯にしていくと,

最後に充填していない疎らな許容帯=伝導帯が出現することがあり

ます。各原子での許容帯に入り得る価電子の個数は決まっていて同じ

個数ですが,スピン上下の2個ずつ入るので.それは偶数です。

そして,絶対温度Tのとき,準位が最上位電子はkTのオーダー

の運動エネルギーで熱振動しています。(kはBoltzmann定数) 

ですから,もしも完全に電子順位が満杯で充填されたバンドの上の

禁止帯のエネルギーギャップの幅がkよりも,はるかに大きい

なら,この固体は絶縁体ですが,この禁止帯のギャップの幅がk

に比べて小さいなら,その1つ上の許容帯にまで電子が励起遷移される

ことがあり,この場合,この充填されていなかったバンドは伝導帯と

呼ばれて,電子が負のキャリアとして自由に動けます。同時に元の励起

前の満杯に電子で充填されていた許容帯には電荷eの電子が失われて,

相対的に電荷が(-e)>0の正孔が出現して,いわゆるドナーと呼ばれる

正のキャリアの半導体(P型半導体)になります。

逆に,満杯でなかったバンド帯に励起されて電子が加わった部分は,

負電荷過剰となり,アクセプターと呼ばれて.負のキャリアである電子

を持つ半導体(N型半導体)となります。

価電子が偶数4の元素Si(シリコン)のN個の原子の結晶では,価電子

総数は4N個であり,全ての許容帯バンドの電子許容準位数も偶数

なので,完全に電子が充填されて余りがなくなりますが,絶縁体では

なくて禁制帯のギャップが.約1.12eVと小さいことで,不純物がない

なら真性半導体と呼ばれる半導体となります。

他方,価電子が奇数の物質では,最上位のバンドが充填されず.約半分

の準位が空きで,自由に移動できる伝導電子があるため.通常は金属

導体となります。

そして.半導体のP型とN型を接着させたPN接合は2極真空管と

同じく陽極と陰極で.N→Pの電子流が一方通行なので整流素子と

なり得ます。これは半導体ダイオードと呼ばれています。

真空管に比べて,半導体によるダイオ-ドはるかに小さいモノなので

デジタル機器の直流回路で重宝されています。

§3。増幅器(アンプ),3極真空管とトランジスタ

交流電流をそのまま増幅するには変圧器があり,これは電流が

流れる部分の同じ長さ当たりのコイルの巻き数に電流量が比例

するのを利用した交流の相互誘導を用います。

しかし,直流化して増幅する増幅回路の素子としては,3極真空管

があります。これは2極黒真空管の陽極と陰極の間に,もう1枚

可動な金属板(網)を入れて,これをグリッドと呼びます。この真空管

では陰極はカソード,陽極はアノードと呼ばれています。

カソードからアノードへの熱電子流量はカソードを熱する陰極

の電流量に,ほぼ比例した特性を持ち,グリッドを移動させて飛距離

を変えることで電子流量も相応して変化させることができます。

そこで,電子流の量の過多を調節することで,元のカソード上の電流

を,増幅させる効果を持つ増幅器とみなせます。

一方,半導体によるトランジスタは,3極管のカソード,グリッド

アノードを,それぞれ,NPPなどの型の半導体接合で行なう増幅器

です。これもダイオードと同様,真空管よりはるかに小さいので

便利です。

§4.ソ-ラー電池(太陽電池)

光電効果を利用すると.Si(シリコン)やGaAs(ガリウム-ヒ素)

などの半導体表面にエネルギー:hνの光子が衝突して光電子流が

発生する光電効果を利用した起電力を光電池(ソーラー・バッテリー)

といいます。

水力エネルギーを電力に変える発電効率が.80%にも達するのに

して,太陽光によ発電効率は現状のメーカーのソーラーパネルの

場合,高々20%程度で,80%の太陽エネルギーは無駄に空気中に

捨てていることになります。これを捨てずに蓄電できればいいの

ですがね。

ところで,熱力学第2法則によれば絶対温度T1とT2の2物体が

あるとき,熱は高温から低温にしかひとりでには移動できないと

いう第2法則があるため,熱エネルギー:Qを電気も含めた力学的

エネルギ-:Wに変化させる最大効率は,T1>T2なら,η=W/Q

=1-(T/T1)=(T1-T2)/T1で与えられることはわかって

おり,周囲に変化を生じさせず,この熱から仕事に変えることを

繰り返す機関(サイクル)の最高効率の理想的なモノはカルノー

(Carnot)サイクルと呼ばれます。現実の実用的には,より効率

の低いガソリンサイクルやディーゼルサイクルが車のエンジン

に用いられています。

というわけで,蒸気機関車のようにボイラーの蒸気で発電機を

して発電を行なう火力発電も.100%の効率は不可能です。

しかし,逆に電気を熱に変えることは100%可能なのですがね。

太陽光でも捨てている太陽光を蓄えて使用できればいいのですが,

効率20%で得た電気も全部使わなければ熱として消えるだけで

蓄えられません。ジュール熱という損失(ロス)がゼロなのは

超伝導体だけです。

単純には電気は大量に蓄えることができないのです、

もしもし摂氏15度から30度程度の常温,かつ1気圧の状態

超伝導体が存在すれば,送電線などもそれで作成しロスなく電気

を蓄えることができて、それは画期的なことで電力不足を解消

できるのですが。。。

現状では約170万気圧のような高圧での水素化合物などがある

だけで,通常気圧では,極低温の物体でし超伝導体は存在せず冷却

コストのため.MRIやマイスナー効果を利用したモノレールなど

にしか使用されていません。今日はここまでです。(つづく)

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2022年2月 1日 (火)

ガロア理論補遺(今日は誕生日)

※2022年1月21日(金)開始→2022年2月1日(火)

※(余談):投稿を迷ってるうちに,2月に入ってしまいました

今日:2/1は私の72回目の誕生日です。1950年生まれの年男

なのですが,古希も超えた死に損ないジジイには「めでたくもアリ,

めでたくもナシ,誕生日も冥途の旅の一里塚。」です。

昔は,行きつけの飲み屋のカラオケ伴奏で,毎年恒例のように,

「Happy  Birthdaty to Me」を唄ってアピールしたものでした。

常連だったんだから,誰か覚えていろよな。ホントに。。。

(※今朝はネットバンクをチェックしたら,何か10万円が一括入金

されてました。住民税非課税家庭への給付金でしょうね?

意外と早いね。ラッキー。誕生日プレゼントかな???)

さて,大抵の病気はグッスリと良い睡眠を散れば治るという

のが昔からの持論で,風邪でもひくと最安のユンケルと睡眠薬

2日以内には回復してました。その他には度な「百薬の長」

でもあればなおイイいかも?と思っています。

私,30歳代の終わり頃からの慢性糖尿病が原因で,心不全であり

腎臓も透析はしてないが悪化中なので,不眠は体に負担が大きく

逆に睡眠はとてもいい薬です。なぜか?年末くらいから食欲も

なく,不眠続きで体力が低下して寝たキリに近くなっています。

かろうじて首から上だけ元気です。入院が多くてもう足の筋肉が

立ってるだじぇで辛いのでね。23歳から57歳まで長年のウツ病

で向精神薬には慣れているせいか,少々の精神安定剤は単なる睡眠

剤よりの不眠にもこよく効くので,訪問医に処方してもらって昼も

夜も飲んでいると,少しは楽になってきました。ただ,相変わらず1

分間に4リットルの酸素優吸入をしいます。食が細いのに体重が

減らないのは,きっと心臓が弱って肺に水が溜まっているようです。

利尿剤も飲んでますが,糖尿病なのに糞尿じゃなく出が悪いです。

イヤ,先は長くないですね。コロナには無関係ですが。

(余談終わり※)

※以下,本題です。ガロア理論の復習のシリーズの補足として,

記事:(1)~(9)の意味などを代数方程式解法の歴史とも関連

づけて,自己確認も兼ねて考察し要約してみました。

※古代ギリシャのユークリッド以来,,幾何学全盛の時代にも

,ディオファントスや,アルキメデス,ピタゴラスなど,必ずしも

図形とは関わらない,数字の数学を研究する学者もいました。

しかし,近代西洋代数学が発展したのは,xやyという文字を

変数として,例えばx-6x2+3x+5のように.数式を表現する

方法を発明したフランスの有名な哲学者デカルト(Descartes)の

功績が非常に大きかったのでは?と思います。和算など漢数字に

よる難解と見える東洋数学の表現に比べ,数式を記号表現に簡素化

したのは,非常に明快であり,大きな意味があったと思います。

さて,まず,2次代数方程式,いわゅる2次方程式の根を求める公式

については,昔,高校で習いました。

すなわち,基本式はf(x)=ax2+nx+c=0(a≠0)ですが,

これをa{x+b/(2a)}2-b2/(4a)+c=0と変形すると,

{x+b/(2a)}2=(b2-4ac)/(4a2)となりますから,

ルートの中が正か負か?を判別する判別式をD=b2―4acと

おけば,この方程式の2根はx=(―b±√D)/(2a) です。

次に,3次方程式frすが.これは16世紀にイタリアの学者

Tatyagliai(タルタリア)が発見したモノを,Cardano(カルダノ)

が無断で盗んだとか?金を払って買ったとか?で,今日では

「Cardano(カルダノ)の公式」と呼ばれています。

まず,基本式はf(x)=ax3+bx2+cx+d=0(a≠0)です。

これは,a{x+b/(3a)}3-{b2/(3a)}x+cx-b3/(27a2)

+d=0。と変形できます。

それ故,y=x+b/(3a)とおき,x=y-b/(3a)を代入すれば,

ay3+{c-b2/(3a)}y+{d+2b3/(27a2)}=0∔となります。

これを,y3+Ay+B=0と書けば,2次項が消え簡単になります。

ただし,A=-(b2-3ac)/(3a2),B=(27a2d+2b3)/(27a3)

です。さらに,y=u+vとおくと,(u+v)3+A(u+v)+B=0.

,つまり,u3+v3+(3uv+A)(u+v)+B=0 となります。

そこで,uv=-A/3とおけば,u3+v3=-B, かつ,

33=-A3/27となりますから,u3,v3は,tの2次方程式

2+Bt-A3//27=0 の未知変数tの2根になります。

そこで,D=B2+4A3/27とおけば,u3=(-B+√D)/2,

かつ,v3=(-B-√D)/2と書くことができます。

u={(-B+√D)/2}1/3,v={(-B-√D)/2}1/3とおき,

1の3乗根を1,ω,ω2と書けば,0 ω2+ω+1が成立して,

yの3次方程式の3根は,y=u+v.u+ωv,u+ω2v です。

(※y=u+v.ωu+ω2v,ω2u+ωvという等価な表現も

ありますがね。)

4次方程式の解法は,18世紀にイタリアのFerrari(フェラーリ)

により,発見されました。(彼はカルダノの弟子?らしい。)

基本式はf(x)=ax4+bx3+cx2+dx+e=0(a≠0)

です。これもy=x++b/(4a)として,x=y-b/(4a)を代入

すれば,3次項が消え,y4+Ay2+By+C=0と少し簡単に

なります。この両辺に,(2λy2+λ2)を加えると,(y2+λ)2

=(2λ-A)y2-By+(λ2-C)=0となることを利用します。

もしも,この右辺も(Ey+F)2のような完全平方式なら,

(y2+λ)2=(Ey+F)2となるので,y2+λ=±Ey±Fと

なって+,-の2つのyの2次方程式を解けばyが得られます。

そして,x=y-b/(4a)から,xの根を得ることができます。

とことが,(2λ-A)y2-By+(λ2-C)=(Ey+F)2

なるためには,(2λ-A)=E2,かつ,左辺の判別式:Dがゼロに

なることが必要十分です。

すなわち,D=B2-4(2λ-A)(λ2-C)=0であるべきですが

これは.λ3-4Aλ2-(B2-4AC)=0なる3次方程式です。

これを解いて,λの根が得られれば,それを先の2次方程式の係数

に代入して,その方程式を解くことにより,元の4次方程式の解が

得られます。

この解を元の基本方程式の係数:a,b,c,d,eの式に書き下す

のは,とても煩雑で面倒な作業ですから.ここではワザワザやり

ませんが,時間さえかければ可能です。

一方,方程式の係数の具体的数値が既知である場合なら.

上記の解を求める手順を追うアルゴリズムを,その通りに

プログラム化すれば,容易に解の数値を得ることができます。

とにかく,4次方程式を解く問題は3次方程式,2次方程式

を解く問題に帰着されました。数値計算の実用などには問題

なしです。

しかし,5次以上の代数方程式については,結局,根を求める

一般的解法,公式は見出せないことが,わかってぃます。

ここでは,試みは失敗に終わったけれど,魅力的なフランスの

Lagrange(ラグランジュ)の方法を見てみます。

この項は,私,眼が悪くなって手持ちの本も読めない状況ので,

主に画面を拡大して,ホームページの「ラグランジュの試み」

参照させて頂きました。

さて,解くべきn次代数方程式f(x)=0については,それを

解くための方法の存在はともかく「複素数体Cの中に必ず根を

持つ。」というGaussの「代数学の基本定理」があります。

その1根をαとすれば,f(x)=(x-α)f1(x)と因数分解され,

さらに(n-1)次方程式f1(x)=0も根を持つため,n次方程式

f(x)=0は,Cの中にn個の根:α12,..,αnを持つことになり,

結局,多項式f(x)は,f(x)=a(x-α1)(x-α2)・・・(x-αn)

(a≠0)と表わすことができます。

方程式に,解,または根があること=解が存在するということと,

それを求める解法が存在するということは,全くの別問題です。

さて,以下,Lagrange(ラグランジュ)の手法を解説します。

まず1のn乗根を,ζ12,..ζnとします。

そして,順列(1,2,.n)の置換を,σとすると,これは1対1,かつ,

上への写像であり,σ:(1,2,..n)→(σ(1),σ(2),..σ(n))と

表現されます。σ全体の集合は,対称群(置換群)と呼ばれる有限群

をなし,これをSnと表記すれるのが慣例です。

∀σ∈Snに対し,Πσという(α12,.,αn)を置換する写像:

Πσ:(α12,..,αn)→(ασ(1)σ(2),.ασ(n))を定義して,σに

Πσを対応させる写像を考えると,これも全単射であり,この写像

Πσの集合:G={Πσ:σ∈Sも,合成写像を群の積演算として群を

なします。このGは,前述のように,対称群Snと全く同型です。

ここで,uσ=ασ(1)ζ1+ασ(2)ζ2+..+ασ(n)ζnとおきます。

Gの元:Πσの個数は,Snの位数,つまり順列の総数:n!に等しい

ので,Πσの個数,従ってuσの個数もn!個です。

そこで,Snの元σに番号をつけて,σ12,..σk...σn!とし,

先のuσkをukと定義し直すことにします。ただし,σ1は恒等置換

e.または1であるとします。

ところが,uσのn乗:uσnを取るとuσ=ασ(1)ζ1+..+ασ(n)ζn

に,1のn乗根ζk(k=1,2,..,n)を掛けた(ζkσ)も(ζkσ)n

=uσnを満たすので,あるτ∈Snに対して(ζjσ)=nτであり

σn=uτnとなる,σとn個のτの対対応があります。

よって,これらの相異なるnσnの個数は,(n-1)個の順列

の個数と同じ(n-1)!です。

したがって,n次方程式の根を求める方法が。(n-1)次方程式

の根を求める方法に帰着することが,期待されます。

実際,2次方程式f(x)=ax2+bx+c=0(a≠0)では2根

をα,βとすると,1の平方根はζ1=1,ζ2=-1ですから,

1=α+(-1)β,u2=(-1)α+βとして,u12=(α-β)2=u22

です。対称式には.根と係数の関係があってα+β=-b/a,αβ

=c/aですから(α-β)2=(α+β)2-4αβ=(b/a)2-4c/a

=(b2-4ac)/a2なので,D=b2-4acとおけば,α-β=±√D/a

です。これとα+β=-b/aから,α=(-b*√D)/(2a),かつ,

β=(-s-√D)/(2a)が得られました。

3次方程式:f(x)=ax3+bx2+cx+d=0(a≠0)では,

3根をα,β,γ,1の2乗根をζ1=1,ζ2=ω,ζ3=ω2とします。

このとき,ω2+ω+1=0です。

そして,(α,β,γ)の偶置換からu1=α+βω+γω2,

2=γ+αω+βω2=ωu1,u3=β+γω+αω2=ωu2,

奇置換からv1=β+αω+γω2,v2=γ+βω+αω2

=ωv1,v3=α+γω+βω2=ωv2の6=3!個が得られます

しかし,u13=u23=u33,v13=v23=v33=なので3!=6個

のうち,相異なるのは,2!=2個だけになります。

ただしu13=v13の場合もあるようです。

便宜上,u=u1,=α+βω+γω2,v=v1=β+αω+γω2

とおきます。u3+v3=(u+v)3-3uv(u+v)ですが,

まず,u+v=(α+β)(ω+1)+2γω2です。

さらに,方程式が,yを変数とする簡易型のy3+Ay+B=0

であるとします。すると,α+β+γ=0ですからα+β=-γ

より,u+v=3γω2を得ます。

また,uv=(α+βω+γω2)(β+αω+γω2)

=(α2+β2)ω+αβ(ω2+1)+(α+β)γω2+(α+β)γω3

+γ2ω4=(α2+β2+γ2)ω+(αβ+αγ+βγ)(ω2+1)

=(αβ+αγ+βγ)(ω2-2ω+1)=-3Aωを得ます。

結局,u+v=3γω2,かつ,uv=-3Aωです。また,

γは,y3+Ay+B=0の1根ですからγ3+Aγ+B=0

より,γ3=-Aγ-Bです。

それ故,(u+v)3=27γ3=-27(Aγ+B)であり,

3+v3==-27(Aγ+B)+27Aγ=-27Bを得ました。

他方,u33=-27A3です。

故に,u3,v3は,tの2次方程式:t2+27Bt-27A3=0

の2根t=(-27B±√D)/2,ただし,D=272(B2+4A3/27)

です。こうして,u3,v3=(27/2){―B±(B2+4A3/27u)1/2

が得られました。後はCardanoの公式での導出と同じです。

4次方程式:f(x)=ax4+bx3+cx2+dx+e=0

(a≠0),あるいは,簡略化したy4+Ay2+By+C=0でも

4根をα,β,γ,δとし,1の4乗根:1,-1,i,-iを

用いた積和でuk(k=1,2,..24)をつくり,uk4が3!=6個に

なって,3次方程式と2次方程式に帰着するというFerrariに

類似した方法で根の公式が得られるのですが,この面倒な作業

は省略します。昔の学者は根気よくやって成功したらしいです。

ところが,これを5次方程式で実行すると失敗します。

これらの方法では,係数が根の対称式であり,これが対称群Sn

の元に対しては不変という変換性に着目したのが重要です。

結局,S2,S3,S4と,S5の違いが決定的なことでした。

5だけは,他のS2,S3,S4と異なり,正規部分群(交換子群)

を取っていっても,可換群(アーベリ群に帰着せず,途中でこれ

以上小さくできない。という困難に遭遇します。

Qの元:有理数を係数とするn次多項式は分母の公倍数を

掛ければ整数係数になります。(※有理係数の方程式と整数

係数の方程式とは同値です。)

有理係数のモニック多項式をf(x)=xn+a1n-1+..+an,

と書き,f(x)=0のn根をα12,..αnであるとします。

とりあえず,f(x)は,既約多項式とすれば重根は存在せず,

f(x)は,Qでは因数分解できず,既約であるのにも関わらず,,

f(x)=(x-α1)(x-α2)・・・(x-αn)と完全な因数分解

が可能な,Qの拡大体E=Q(α12,..,αn)が存在します。

この体Eをf(x)の分解体といいます。

方程式f(x)=0が「ベキ根で解けるとは.全てのn根の

α12,..,αnが,1の幾つかのベキ乗根ζと,幾つかの有理

係数:a1,a2,..,anのベキ乗根の四則演算式,つまり,有理式

で表わされることを意味すると考えられます。

ところで,f(x)の有理係数:a1,a2,..,anは,それぞれ,

1=-(α1+α2,+..,+αn),a2=α1α2,+..,+αn-1αn,・

・・・・・・,an=(-1)n1α2・・αn-1αn)と,全て根の

対称式で与えられるので.α12,..αnの,群Gの任意の元

の置換写像:Πσに対して常に不変のままです。

このn次対称群Snに同型な群Gは,E=Q(α12,..,αn)

内の自己同型写像の群で,QはGの不変体と見なせます。

(※GはQからEへのガロア拡大に対応するガロア群です。)

有理G数体Qに,まず,ζを,そして係数aj(j=1,2,..n)の

ベキ根:√aj=(aj)1/を1つずつ添加して単純拡大をつくる

のを繰り返して,F1⊂F2⊂F3…と拡大体をつくっていくとき,

これをベキ根による拡大といいます。

これが,有限回の拡大で分解体E=Q(α12,..,αn))を

含んでしまえば,n根:α12,..,αnは,ζたちや(aj)1/たち

の幾つかの四則演算式=有理式(根の公式)で表わされるので

,これを「f(x)=0がベキ根で解ける」と解釈したのがアーベル

やガロアの代数方程式についての着想であったろうと想像します。

そして,QからEへの拡大の.いわゆるガロア群は対称群Sn

同型な自己同型群Gですが,E/Qの各中間体Bのそれぞれに,

Gの正規部分群が1対1に対応するという基本定理があります。

Q=F0⊂F1⊂F2⊂..⊂Frで,最後にF⊃Eなら,ベキ根で

解けるというわけですが.これに群の縮小正規列G=G0⊃G1

⊃G2⊃..⊃Grが対応して,最後にGr={e}となる場合,これ

が,拡大体ではFr=Eに対応するので,群Gを「可解群」と呼ぶ

のでした。

k+1=G~k(=D(Gk):Gkの交換子群)という選択が常に可能

ですから,この縮小正規列は必ず存在しますが,このとき剰余群

(Gk/Gk+1)が体Fkを不変体とするFk+1への拡大のガロア群

であり,これらは全て可換群(アーベル群)なる必要があります。

群の縮小正規列が有限のr個でGr={e}まで収縮して終わる

なら,対応する拡大体がFr=Eとなり,ベキ根による解が可能

なので,Gを可解群と呼ぶわけです。

ところで可換群の交換子群は,{e}ですから,途中Gr-1が可換群

となるなら,元のGは可解群です。

ここらあたりの詳細はシリーズ記事(6)にあります。証明抜き

で定理を羅列しておきます。

※(再掲載);まず,[定理6-4]から,(基本定理)です。

EをFのガロア拡大体とし,その自己同型群をG,つまり,

自己同型写像全体のつくる群をGとする。

E/Fの中間体:Bに対してBを不変にするGの元の全体

のつくる部分群をUとすると,Uの不変体はBである。

そして,BにUを対応させる対応は,E/Fの中間体と,Gの

部分群との間の1対1対応である。

[基本定理の系]::中間体BからEへのF上の同型写像は,

群Gの部分群Uによる剰余類から誘導されるものだけである。

また,BはFのガロア拡大体である。

(※[基本定理]における対応は,Gの部分群に,その不変体を

対応させるものです。Gには,体F,Uには,体B,単位群{e}

には,体Eが対応します。)

※EはBのガロア拡大体ですが,BはFのガロア拡大体とは

限りません。以下では,UがGの正規部分群で(σUσ-1)=U

であることが,UがFを不変体とするBのガロア群であるため

の必要十分条件であることがわかります。

[定理6-5]:体Eは体Fのガロア拡大体あり,Gはガロア群

であるとする。そして,中間体Bに対応するGの部分群を

Uとする。∀σ∈Gに対して(σB)もE/Fの中間体であり,

対応するGの分群は(σUσ-1)である。

さらに,体Bが体Fのガロア拡大体であるための必要十分

条件は,UがGの正規部分群となることである。

このとき,そのガロア群は.(G/U)に同型である。

(再掲載終了※)

※さて,対称群S2,S3,S4は可解群でありn≧5の対称群Sn

は可解群ではないことを示します。

(証明)まず,S2は恒等置換eと互換:(1,2)のみが元で,

元の積は常に可換なので可換群ですから,その交換子群

は,S~2={e}でこれは正規部分群なのでS2⊃{e}が

正規列となり.明らかにS2は可解群です。

次に,交代群Anは,Snの指数2の正規部分群であり,

交換子群S~nに等しいのですが,n=3の交代群A3は,

それ自身可換群です。何故なら,S3の位数は6,A3

位数は3ですじから,その元は恒等置換:e={1,2,3}と

σ={2,3,1},および,σ-1=={3,1,2}だけですから明らかに

可換群で,これも正規列:S3⊃A3⊃{e}を得るので可解群

です。また,n=4のS4についての置換:σ={i,j,kl}

∈S4は,物理学で用いるLevi-Civita(レヴィーチヴィタ)

のテンソル:εijklの非ゼロ成分が,+1のときは偶置換で,

σ∈A4です。他方,εijklが(-1)のとき.σは奇置換です。

しかも,σ∈A4のとき.(1,2)σは奇置換であり,

σ,τ∈A4でσ≠τなら,(1,2)σ≠(1,2)τとなりA4

元の偶置換と1対1に対応します。

それ故,S4/A4={A4,(1,2)A4}です。この商群は.

単位元A4の他には,元が1個なので可換群です。

そもそも,指数が2なら.商群の位数は2で,常に可換群

です。そして,部分群VをV={e,(i,j)(k,l)}(ただし,

i,j,k,lは1~4の異なる数)とおくと,|V|=1+42/2=4

です。Vの元である互換の積の積は,異なる4つの互換の積:

(i1.j1)(k1,l1)×(i2,j2)(k2,l2)ですが,これは互換の

順序に依存しないので可換です。

そして,|A4|=12より,|A4/V|=3で(A4/V)

={V,(1,2,3)V.(2,3,4)V}と書けますが,そもそも位数が

3の部分群は,既述したように単位元と,それ以外の1元と

その逆元だけが全ての元なので,明らかに可換群です。

以上から,対称群S2,S3,S4は可解群でありn≧5

の対称群Snは可解群ではありません。

((↑※これらはガロア理論の復習(2)から抜粋しました。)

以上でn≦4のn次代数方程式はベキ根で解けて,n≧5

のn次代数方程式はベキ根では解けないことが証明された

ことになります。  要するにある正規部分群から先は,

どうあがいても堂々巡りで,対応する体に係数のベキ根を

添加しても.こ,れ以上は拡大できない壁があって分解体E

まで到達できない。というのが,5次以上の代数方程式

を低次の方程式に帰着できない限界なのでした。(終わり)

※※ガロア理論は,代数方程式の可解性がきっかけで展開された

理論ですが,それ以外にも,大きな応用や体系的理論があるようです。

 例えば,1969年,一浪して私が19歳で大学に入った頃久賀道郎著

(日本評論社)「ガロアの夢」という本を興味本位で購入しました。

しかし高校の受験数学しか知らなかった自分には「猫に小判」で

長い間眺めているだけでした。

随分後の2007年心臓手術を受けた頃,斎藤利弥 著

「線形微分方程式とフックス関数I(ポアンカレを読む)」

(河合文化教育研究所)という書物に遭遇し,フックス(Fuchs)関数

フックス群,確定特異点を持つフックス型線型乗微分方程式など

についても本ブログで書きました。

※最後に付録で作図不能問題に言及して終わります。

[定義1]:作図が定規とコンパスによって得られるとは,

次のような処置の有限回の繰り返しによって得られることを

いう。(1)それまでに得られた点の中から2点を取り,それら

を結ぶ直線をつくる。(2)それまでに得られた点の中から2点

を取り,その1点を中心とし,他の1点を通る円をつくる。

(3)それまでに得られた2直線,直線と円,2円の交点をつくる。

※平面上に,直交座標軸とx軸上の単位点Eを定めておき,次に

与えられた幾何図形を表わす線分が,1端を原点Oとして正の

x軸上に取られているとする。それらの線分の端点の座標を,

1,a2,..anとする。その上で,F=Q(a1,a2,..an)とする。

座標が体Fの元であるような点は,全て作図可能です。

[定理1]:座標が体Fの元であるような点から(1)~(3)の

ような作図を進めて到達できる点の座標は,Fの2p次拡大体

の元である。(※2ρとは,単に2のベキ乗を意味します。)

(証明)座標がFの元である2点P1,P2を通る直線の方程式を

つくる。また,そのような点C,Pを取り,Cを中心とするPを

通る円の方程式をつくる。それを,それぞれax+by+c=0,

2+y2+dx+ey+f=0とすると,これらの方程式の係数

は体Fの元です。そして,これらの図形の交点は次の性質を

持ちます。ア)2直線の交点の座標は,やはり,体Fの元です。

(※2直線の方程式の係数(Fの元)の四則演算(有利式)で

表わされるので体Fの元です。)

イ)直線と円の交点の座標は.体Fの元か,または,F上2次の

拡大体の元です。(※高々2次方程式の根です。)

円と円の交点ぼ座標は円と直線の交点に帰着できます。

(※円と円の2交点を結ぶ直線,あるいは2円から(x2+y2)

の項を消去した直線と1円の交点に帰着)

すなわち,(1)~(3)のような作図を有限回行なって到達

できる点の座標は体Fの高々2次拡大体の有限回連続なので

2のベキ乗,つまり,2p次拡大体の元です。(証明終わり)

[例題1]:(角の3等;分の不可能性)

任意の角:αが与えられた場合,a=cosαが与えられたのと

同値です。α=3βならβを作図でつくるのはb­=cosβを作図

するのと同値です。三角関数の3倍角の公式によれば,cosα

=cos(3β)=4cos3β-3cosβです。

つまり,b=cosβは3次方程式4x3-3x-a=0の根です。

例えば,α=π/3ならb=cosβ=cos(π/9)ですが,このとき,

a=cos(π/3)=1/2より,bは,4x3-3x-1/2=0 または,

8x3-6x+1=0の根です。これはF上,つまりQ上では因数分解

不可能な既約多項式ですから,bを根とする上記多項式の分解体

がF(b)=Q(b)を含む場合,これは,F=Qの3次の拡大体です。

そこで,bはQの,2のベキ乗の拡大体に含まれないので作図は

不可能です。(終わり)

[例題2]:(立体倍積問題)

 長さ1の線分から体積が2の立方体の1辺を作図することは

できない。(証明)この立方体の1辺の長さはx3―2=0の根

3√2でありこれをQに添加した体Q(√2)は.Q上3次拡大体

です。よって作図不可能です。(終わり),

[例題3]:(正p多角形の作図)

(解)pを素数とします。長さ1の線分から正p角形の1辺の長さ

を作図することが必要です。複素z平面の適当な原点Oを中心

とする,中心Oからの長さ1の正p角形のp個の頂点は,角度2π

をp等分する点,すなわち,z=exp(2kπi/p)(k=0、1,2,..

(p^1)で与えられ,その実部がx座標で虚部がy座標です。

これらの頂点z=x+yiは,xのp次方程;xp-1=0の根

x=zです。つまり,ζを1のp乗根とするとz=ζです。

特に,z=ζが1の原始p乗根であるとします。

頂点の座標は,Qの拡大体;Q(ζ,i)の元です。

この体はQ(cos(2π/p),sin(2π/p),i)とも書けます。

cos(2π/p),sin(2π/p)が作図できるためにはQ(ζ,i),

従って,作図できるには,Q(ζ)がQ上2のベキ乗次の

拡大体に含まれる必要があります。

ところが.ζの既約多項式は.xp-1+xp-2+..+x+1の

(p-1)次の円周等分多項式ですから,Q(ζ)はQ上(p-1)次

拡大体です。したがって,p-1=2ρ or p==2ρ+1となる場合,

つまり,Mersene(メルセンヌ)数:(2ρ-1)に2を加えた数に

等しい場合のみです。

結局,p==2ρ+1であることが,正p角形を定規とコンパス

で作図可能なための条件です。それ以外のpでは正p角形の

作図は不可能です。p=3,5,17,47,6537,..のときのみに

作図可能です。(終わり) 

ではまたいずれ。。。生きていれば。

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2022年1月20日 (木)

ガロア理論の復習(9)終わり)

※2022年1月16日(日)開始→2022年1月20日(木)

※(余談) 東京大学付近で刺傷事件があったそうです。

不幸な事件ですね。本当のことは本人しか,わからない

ことでしょうから憶測,邪推ですが,人生は受験勉強だけ

じゃない。とよく言われます。

かく云う私も,第2志望とスベリ止めばかりの人生です。

医者になりたい?東大に入りたい?親がすすめる?本当に

自分の意志,希望ですか? 人に限らず生き物は,それぞれ

からの遺伝子のせいで,能力に個体差があるのは仕方ない

ことです。さらに育った環境にも左右されます

大抵は努力すれば,時間かかってもよいなら集中すれば,

ある程度希望はかなうかもしれません。でも若いときは2度

と戻りませんから,今しかないと悲観するのもアリでしょう。

でも健康に生きてれば,捨てたもんじゃないです。寝たきり

の71歳で,酸素吸入中のいつお迎えが来てもオカしくない

老齢の私には,健康で若いだけでもうやましい。

人生をアキラめずに,,ゆっくりと落ち着いて考えて,もう少し

ガンバってみよう。どこかのにいちゃん。

 

さて,,もはや弱毒だが感染力だけは強いオミクロン株.必要以上

に怖がって鼻水くらいでも隔離や入院で,施設も人員もパンク

しそうです。そもそも重い病気で苦しみ死ぬのはまずいと誰しも

思うだろうけど.とにかく感染が増えるのはマズイから阻止しよう

という前提を疑えば,今が大変かどうか?は押してしるべしです。

何をやっても,結局,ウイルスの方が人知より上手だから,感染を

阻止しる努力は,無理,で無駄.だろうが,政治的にアリバイ工作だけ

は必要だというわけせすね。感染すると自分だけじゃなく家族を

含む他人に病気を移すからダメなんだと常識的なふとが述べて

います。1億人以上の日本人全員,イヤ75億の地球人全員が2~3

日ずつ風邪になったとしたら,そんなに人類の危機なんですか?

私のように風邪でも死亡率3割といわれていう病人には。どんな

病気でも,ワクチンの副作用でも命が危険ですがネ。

外国を見れば,もうスグ,ピークから集団免疫で自然に終息しそう

です。ずっと,飲酒を悪物扱いして,また飲食店イジメの連続です。

,流行が下火になってから,テキトーな対策をする。そして,選挙,。

うまくできてるもんだネ。

評論家の三浦瑠璃氏,私嫌いな人なんですが、smanewsの

コロナの券件だけは賛同しています。(余談終わり※)

 

※さて,ガロア理論本題の続きです。

第9章 不可能の証明(代数方程式の根の公式)

[定義9-1]:(アーベル拡大体の定義)

ガロア群が可換群であるようなガロア拡大体を

「アーベル拡大体」という。

[定理9-1];Fを体(複素数体Cの部分体)とする。

ζを1の原始n乗根とし,K=F(ζ)とすると,Kは

Fのアーベル拡大体である。

(証明)Kは原始n乗根ζを含むので,xn-1の根を全て

含みます。何故なら,ζの位数はnでζn­=1であり,定義

により,K=F(ζ)は1,ζ,ζ2..ζn-1が張るF上のn次元

ベクトル空間です。ζn=1より,ζを根とする,KのF上の

既約多項式:p(x)は,p(x)=xn-1+xn-2+..+1です。

故に,xn-1=(x-1)p(x)の根は.全てKに含まれます。

(xn-1)のn個の根は全て相異なりKは(xn-1)の分解体

であるため,KはF上のガロア拡大体です。

σを,KのF上のガロア群:Gの元の自己同型写像とすると,

(σζ)n=σ(ζn)=σ(1)=1ですから(σζ)もまた1の

n乗根です。ζは原始n乗根なのでσζ=ζk(σ)となるk(σ)

が存在します。ここで,τをσとは別のGの自己同型とすると.

τζ=ζk(τ)であり,(στ)(ζ)=σ(ζk(τ))=(σζ)k(τ)

=ζk(σ)k(τ)=ζk(τ)k(σ)=(τσ)(ζ)です。(στ).(τσ)は,

共にGの自己同型写像であり.K=F(ζ)なので,∀α∈Kに

対して,(στ)(α)=(τσ)(α)が成立します。

つまり,Kの上で,恒等的にστ=τσ(可換)です。

したがって,KのF上のガロア群Gが可換群となるため,

Kはアーベル拡大体です。(証明終わり)

[注意1]:特に,素数pについては,1の原始p乗根をζと

すると,1≦k≦(o-1)のときに.kはpと互いに素なので

ζkは全て1の原始p乗根です。

p-1=(x-1)(xp-1+xp-2+..+1)であり.この第2の

因数のxp-1+xp-2+..+1は体Q上の既約多項式です。

これがζの既約多項式なので,Q(ζ)は,Qの(p-1)次

拡大体です。素数pでなく,一般の自然数nでは,1の原始

n乗根ζの既約多項式は,Euler関数をΦ(n)として,φ(n)

次多項式であり,{Q(ζ)/Q}=φ(n)です。

この一般の既約多項式:xn-1+xn-2+..+1を,

「円周等分多項式」といい,Q(ζ)を「円分体」といいます。

[注意2]:円分体の部分体を「円体」といいます。

円体は有理数体:Qのアーベル拡大体です。

(クロネッカー・フェーバーの定理)

[定理9-2]:nを自然数とする。体Fは1のn乗根を全て含む

とする。a∈Fとし,xn=aの1根αをFに添加した体をK

とする。α=n√aと表わすと,K=F(α)=F(n√a)である。

このとき,KはFのアーベル拡大体である。

(証明)(xn-a)の分解体をEとします。(xn-a)は明らかに

分離的です。すなわち,(xn-a)の2根をα,α~とすると

α≠α~です。このとき,αn=a,かつα~n=aより,(α~/α)n

=1であり,ω=(α^/α)は1のn乗根の1つです。

仮定により,ω∈Fで,α~=ωαよりα~∈F(α)です。

よって.K=F(α)が(xn-a)の分解体Eであり,KはF

のガロア拡大体です。

KのF上のガロア群をGとするとき.σ∈Gなら(xn-a)

の根αに対して,(σα)n=σ(αn)=σa=aですから,

(σα)も,αと同様(xn-a)の根です。。

そこで,ζを1の原始n乗根とすると,ζ∈Fであり,

(σα)=ζm(σ)α(0≦m(σ)≦(n-1))と書けます。

τ∈Gについては(τα)=ζm(τ)αです。

これから,前定理の証明と同様に,στ=τσ(可換)を

得ます。故にGは可換群で,K=F(α)はアーベル拡大体

です。(証明終わり)

[系]:ζ∈F,a∈Fのとき,F(n√a)/Fのガロア群は

巡回群である。

証明)α=n√aとおくとαn=aです。

Fのガロア群をGとし,σ∈Gとすると(σα)n=aなので,

σα=ζm(σ)αなる整数でm(α)はnを法として一意的に

定まるので,σ→m(σ)という写像を考えると,これはG

から,{Z/(n)}の上への1対1写像で,Gは{Z/(n)}に

同型です。したがって,Gは位数がnの巡回群です。

(証明終わり)

[定義9-1](巡回拡大体)

ガロア群が巡回群であるガロア拡大体を「巡回拡大体」

という。

※ベキ根による可解性について

[定義9-2]:(ベキ根による拡大体)

体Fの拡大体:KがFのガロア拡大体であり.体の列:

F=F0⊂F1⊂F2⊂..⊂Fr=Kが存在して次の条件が

成立するとき,Kを「ベキ根による拡大体」という。

  • 1=F0(ζ)である。ただし,ζは1の原始n乗根で

ある。(2)∀i(1≦i≦(r-1))に対して,Fi+1=Fii)

と書ける。ただし,αiはxni-ai=0のような方程式の根

である。ここで,ai∈F,ni|nである。

そして上の体の列を,「ベキ根による拡大列」という。

※Fには,1の原始n乗根が含まれているので,Fiには1

の原始ni乗根が含まれています。よって,Fi+1はFi

アーベル拡大体です。

そこで,K/Fのガロア群をGとし,Fiに対応する部分群

をGiとすると,G=G0⊃G1⊃G2⊃..⊃Gr=1のような

部分群の列が得られます。

i+1がFiのガロア拡大体であるための条件は,Gi+1

iの正規部分群であって(Gi/Gi+1)はFi+1/Fiのガロア群

に同型です。Fi+1はFiのアーベル拡大体ですからガロア群

(Gi/Gi+1)は)可換群です。よってGは可解群です。

[定義9-3]:f(x)をFの1次以上の多項式とする。

f(x)が「ベキ根で解ける」とは,f(x)の分解体EがFの

ベキ根による拡大体に含まれることをいう。

[定理9-2]:F上の1次以上の多項式f(x)がベキ根で解ける

ならば,f(x)の分解体:EのF上のガロア群は可解群である。

(証明)EがF上の多項式:f(x)の分解体であるとします。

f(x)=(x-α1)・・・x-αn)(分離的);αi∈Eであって,

E=F(α1,..,αn)であるとします。

[定義9-3]から 体Fの拡大体:EがFのガロア拡大体であり,

体の列:F=F0⊂F1⊂F2⊂..⊂Fr=Kが存在して,次の条件

が成立するとき,Eを「ベキ根による拡大体」といいます。

そして,[定義8-7]から,f(x)をFの1次以上の多項式とする

とき,f(x)が「ベキ根で解ける」とは,f(x)の分解体EがF

のベキ根による拡大体に含まれること,をいいます。

そして,E/Fのガロア群をGとして,GG=G0とおき,体Fの

E=Frまでの拡大中間体体列の,Fiに対応する部分群をGi

すると,G=G0⊃G1⊃G2⊃..⊃Gr=1のような部分群の縮小

する列が得られますが,Fi+1がFiのガロア拡大体であるための

条件は,Gi+1がGiの正規部分群であって,(Gi/Gi+1)がFi+1/Fi

のガロア群に同型である可換群であるときで,このGを「可解群」

と呼ぶことは既に定義として述べました。

したがって,f(x)がべき根で解けるなら分解体Eに対する

ガロア群Gは可解群です。(証明終わり)

[定理9-3]:Fの多項式f(x)の分解体Eは,Fのガロア拡大体

であり,Gをそのガロア群とするとき,E/Fの中間体Kに対応

するGの部分群をNとすると,KはFのガロア拡大体なので,

NはGの正規部分群であり,K/Fのガロア群は.(G/N)に同型

です。そうして,(G/N)も,可解群です。

(証明)このシリーズ「ガロア理論の復習(6)」の[定理6-5]に,

よれば,「体Eが体Fのガロア拡大体でGはガロア群であると

し,E/Fの中間体Bに対応するGの部分群をUとするとき.

∀σ∈Gに対して(σB)もE/Fの中間体であり,対応するG

の部分群は(σUσ-1)である。さらに,体Bが体Fのガロア

拡大体であるための必要十分条件はUがGの正規部分となる

ことである。このとき,B/Fのガロア群は(G/U)に同型で

ある。」とあります。このことは,既に証明済みです。

G→(G/N)の自然な準同型:g→gNを考えると,

(G/N)も可解群です。つまり,Fの拡大列に対応するGの

縮小列:G=G0⊃G1⊃G2⊃..⊃Gr=1に対応して,(G/N)

=(G0/N)⊃(G1/N)⊃(G2/N)⊃..⊃(G//N)=Nが

対応します。,これをG~i=(Gi/N),(G/N)

=G~0⊃G~1⊃G~2⊃..⊃G~r=Nと書くと,G~i+1はG~

iの正規部分群で(G~i/G~i+1)は可換群です。

何故ならgi∈Gi,gi+1∈Giとするとgi-1i+1i∈Gi+1

なので,(giN)-1(gi+1N)(giN)={(gi-1i+1i)N}

∈Gi+1Nであり,(Gi+1/N)は(Gi/N)の正規部分群です。

そして,Gi,G~i=(Gi/N)は可換群ですから,

∀σ,τ∈Giに対して,(σN)(τN)=(στ)N=(τσ)N

=(τN)(σN)です。故に,(σN)G~i+1=(σN){(Gi+1/N)}

ですが,結局,στ=τσであって可換なら,それらの同値類も

全て可換です。それ故,(G~i/G~l+1)も可換群です。

以上から,G~=(G/N)も可解群です。(証明終わり)

[注意3]:n個の変数x1,x2,..,xnの,有理数体Q上

の有理関数体:Q(x1,x2..,xn)をKとする。

Kにおいて,x1,x2..,xnの基本対称式は,次のように

書けます。(※対称式とは変数の如何なる置換によって

も不変な整式であり,それらは基本的な基本対称式と

いう対称式の関数で表わすことができます。)

1=x1+x2.+..+xn,

2=x12+x13+..+xn-1n,

・・・・・・・・・・・・・,

n=x12・・・xn-1nです。

F=Q(s1,s2..,sn)とすると.F内の多項式

f(x)=(x-x1)(x-x2)・・・・(x―xn)

=xn-s1n-1+s2n-2+..+(-1)nnの分解体

が,K=Q(x1,x2..,xn)です。

(※(x1,x2..,xnは全て相異なりf(x)は分離的

であるとしています。)

このとき,K/Fは,明らかにガロア拡大体です。

[定理9-4]:x1,x2..,xnを相異なる根とするQ上

の多項式:f(x)の分解体K=Q(x1,x2..,xn)の,

体:F=Q(s1,sx2..,sn)上のガロア群は,n次の

対称群Snに同型である。

(証明)順列:{1,2,..,n}の任意の置換をσとします。

これは{1,2,.,n}→{σ(i),σ()..σ(n)}なる写像

であり,i≠jなら,σ(i)≠σ(j)の全単射です。

K=Q(x1,x2,..,xn)の元はx1,x2,..xnの有理関数

ですが,これに対して写像Πσを次のように定義します。

すなわち,α∈Kがx1,x2,..xnの有理関数であって,

α(x1,x2,..,xn)なる関数で与えられるとき,これに

対して,Πσ(α)=α(xσ(1),xσ(2),..xσ(n))と定義します。

明らかに,Πσ(α)=α(xσ(1),xσ(2),..xσ(n))も,

(x1,x2,..xn)のQの元を係数とする有理関数であり,

Πσ(α)∈K=F(x1,x2,..xn)です。

次に,ΠσがKの自己同型写像であることを示します。

まず,∀α,β∈Kひ対して,(α±β)(x1,x2,..xn)

=α(x1,x2,..,xn)±β(x1,x2,..,xn)ですから,

Πσ(α±β)=(α±β)(xσ(1),xσ(2),..xσ(n))

=α(xσ(1),xσ(2),..xσ(n))±β(xσ(1),xσ(2),.,xσ(n))

=Πσ(α)±Πσ(β)です。

また,(αβ)(x1,x2,..xn)=α(x1,x2,..xn)

β(x1,x2,..,xn)より,Πσ(αβ)=Πσ(α)Πσ(β)の成立

も自明です。故に,Πσは,環準同型(加法,乗法で準同型)です。

しかも,σ,τ∈Snに対して,σ≠τならΠσ≠Πτ,であり

G={Πσ:σ∈Sn}では,∀Πσ∈Gに対して必ず,対応する

σ∈Snが存在するのでSnからGへの写像:σ→Πσは全単射

ですから,GとSnは同型:G~Snです。そして,このときKの

自己同型群Gの不変体は,F=Q(s1,s2,..,sn)であることが

わかります。

何故なら,まず対称式s1,s2,..,snは明らかに任意のGの元

Πσで不変です。そこで.体FはGで不変ですから,Gの不変体

をF~とすると,F~⊃Fです。

それ故,(K/F)≧(K/F~)=|G|=|Sn|=n!です。

ところが,KはFのn次多項式の分解体ですから,

(K/F)=n!です。

何故なら,x1,x2..,xnがf(x)のn個の根であるとき

n=F,Fi=F(xi+1,xi+2..,xn)=Fi+1(xi+1)とおけば,

F=Fn⊂Fn-1⊂...⊂F1⊂F0=Kです。

そこで,(Fi-1/Fi)≦iならば,(K/F)=(F0/F1)(F1/F2)

・・・(Fn-1/Fn)≦n!です。

そのためには,Fi-1はFiにxiを添加して得られる拡大体

なので,体Fiに係数を持ち.次数が高々iのxiを根とする

(既約)多項式を見出せばよいことになります。

そこで,fi(x)=(x-x1)(x-x2)..(x-xi),..,

n(x)=f(x)とおけば,fi(x)はxのi次の多項式で最高次

の係数は1であり,他の係数は,F=Q(s1,s2..,sn )の元である

:1,s2..,snと,Fi=F(i+1,xi+2..,xn)の元:i+1,xi+2..,xn

のみの関数で与えられます。例えば,fi(x)のxの係数は,

-(x1+x2+..+xi)=-s1+(xi+1+xi+2+..+xn)です。

2の係数は,(x12+..xi-1i)ですが,これもFの元s2

i=F(i+1,xi+2..,xn)の元:i+1,xi+2..,xnで表わされる

はずです。しかも,明らかにfi(xi)=0です。

故に,確かに(Fi-1/Fi)≦iが成立します。

したがって,(K/F)=(K/F~)=n!となるため,F~=F

です。つまり,FがGの不変体で,K/Fのガロア群は対称群

nに同型です。(証明終わり)

 

[基本定理]:n≧5のn次多項式は,べき根で解けない。

(証明)F=Q(s1,s2..,sn)上の多項式f(x)がベキ根で解ける

ならf(x)の分解体E=F(x1,x2..,xn)のガロア群Gに同型な

対称群Snが可解群であることが必要です。

ところがSnはn≧5のときは可解群でないので5次以上の

代数方程式はベキ根では解けません。

※これの詳細証明については「ガロア理論の復習(2)」で群論

のトピックとして,特に代数方程式の可解性を意識することなく,

既に,可解群や対称群について詳細に論じることでて証明されて

います。そこで必要部分を再掲載して以下の証明に代えます。

(※再掲記事:抜粋開始):第2章 可解群

体の拡大列に自己同型群の縮小する正規列が対応し,それが

代数方程式の係数を置換する対称群に関わるというのは,,随分

と先のトピックであり,環や体の説明の後に記述するのが理論

構成の本来の順序であると思いますが,,一応,群についての全て

の話だけを,予めまとめて書いたらしい私の過去ノートに従う

ことにします。

[定義2-1]:(可解群の定義):群Gが与えられたとき,まずG0

0=Gとおいて,k=0,1,2,,に対し,Gk+1をGkの正規部分群

とする縮小する列として,G=G0⊃G1⊃..⊃G⊃Gk+1⊃...

をつくるとき,商群(Gk/Gk+1)が全て可換群(アーベル群)となる

正規列が,有限のm個でGm={e}となって終わるなら,自己同型群

Gを「可解群」という。

※交換子群を用いてGk+1=G~とすることもできます。

(ただし,交換子群:G~はD(G)とも書かれ,∀x,y∈Gに対し.

その交換子:(xyx-1-1)を含む最小の正規部分群のことです。)

それ故,どんな群Gでも正規列を作ることは可能ですが,それ

が有限個で{e},または{1}に収束するかどうか?は定かでは

ないです。{e}に収束しない群Gを「非可解群」という。

(※縮小正規列の途中でGが可換群(アーベル群)となるなら,

G~k={e}なので,Gk+1={e}と置けば,その時点で可解群

であることが判明します。)

[定義2-2]:(部分群の指数の定義)

群Gの部分群Hの指数とは,Hによる(左右)剰余類の個数の

ことです。これを|G:H|と表記します。

[定理2-1](ラグランジュ(Lagrange)の定理):

Gが有限群で,Hがその部分群であれば,指数:|G:H|

=|G|/|H|である。

(証明)前に記述したように,Hによる左剰余類の場合

なら,G=ΣaHのように,Gは互いに素な剰余類の

直和で表わせます。

そして,剰余類(aH)の元の個数は全てHの位数

|H|に等しいため,|G|=|G:H|・|H|です。

故に|G:H|=|G|/|H|を得ます。(証明終わり)

[定義2-3]:(対称群(置換群)の定義):

n個の整数の列{1,2..n}の順序を交換する写像,

σ:{1,2,..n}→{p1,p2,..pn}(順列)を,n次の置換

と呼び,Snを全てのn次の置換を元とする集合とすれば

これは置換の積について群をなし,これを対称群(置換群)

という。※ただし,置換の積とは,合成写像を意味します。

つまり,σ:{1,2..n}→{p1,p2,..pn}と,τ:{1,,2,.n}

→{q1,q2,..qn}なる元(写像):σ,τ∈Snの積は,写像

σ:i→pi=σ(i)と,写像τ:i→qi­=τ(i)を,この順に

適用して合成すると,合成写像:(τσ)(i)=τ(σ(i))

=τ(pi)となりますが,線形代数学では,これを

置換σと置換τの積:(στ)と定義するのが慣例です。

置換操作は可換ではないので,定義での操作順序

の規約は,参考書によっては演算の順序が逆のモノ

もあり,誤解すると混乱の種になるので注意が必要

です。

そして,実際,この積演算はSnの中で閉じており

整数列の順序を全く変化させない写像:e(i)=i,

つまり,e:{1,2..n}→{1,2,n}を恒等置換と呼べば

これが積演算の単位元となります。

そして,σの逆元σ-1は,これを逆写像:σ-1:p→i,

つまり,σ-1:{p1,p2,..pn}→{1,2..n}で与えれば,

(σσ-1)=(σ-1σ)=eとなるので,その存在は明らかです。

また,群であるために必要な積演算の結合則は,積演算

が合成写像ですから,結合則の成立も自明でSnは確かに

有限群をなすことがわかります。

[定義2-4]:(互換の定義):特にn個の列{1,2..n}のうち.

成分iだけを,j≠iなるjと交換して,それ以外の成分

は不変のままの置換を,(i,j)と書いて「互換」と呼び

ます。このとき,互換も1つの置換ですから,もちろん

∀(i,j)∈Snです。

※線形代数学によれば,任意の置換σ∈Snは有限個の

互換の積で表わすことができます。

そうして,その因子分解は,個々のσに対し一意には

決まらないのですが.1つの置換の因子分解の因子の総数

が奇数であるか,偶数であるか?は,一意的に決まります。

そこで,奇数個の互換の積で表わせる置換を奇置換と

いい,偶数個の互換の積で表わせる置換を偶置換といいます。

nの置換の総数,つまり,位数|Sn|は,順列の総数に

等しいので|Sn|=nn=n!ですが,奇置換に左からでも

右からでも互換を1つ掛けると偶置換になり,逆に,

偶置換に互換を1つ掛けると奇置換になるので1対1

の対応があり,結局,奇置換と偶置換の個数は同じです。

故に,それぞれ,(n!/2)個ずつ,あるはずです。

しかし,積演算の単位元である恒等置換eは,偶置換

ですから,それを含む偶置換の集合だけがSnの部分群

をなし,ます。これをn次の交代群と呼び,Anと表記

します。

[定理2-2]:交代群AnはSnの交換子群:S~nであり,

それ故,Snの正規部分群である。

(証明)σ,τ⊂∈Sのとき.交換子:στσ-1τ-1

つくると,σが奇置換ならσ-1も奇置換,σが偶置換

ならσ-1も偶置換で,τとτ-1についても同様です。

それ故,交換子:στσ-1τ-1は常に偶置換です。

故に交換子で生成される交換子群:S~nは交代群

nに一致しており,既述の定理によって正規部分群

です。(証明終わり)

[定理2-3]:対称群S2,S3,S4は可解群でありn≧5

の対称群Snは可解群ではない。(非可解群である。)

(証明)S2は恒等置換:eと互換:(1,2)のみが元で,

積は常に可換なので可換群ですから,その交換子群

は,S~2={e}でこれは正規部分群なのでS2⊃{e}

が正規列となり.明らかに可解群です。

次に,交代群Anは,Snの指数が2の正規部分群

ですが,n=3のA3は,それ自身可換群です。

何故なら,S3の位数は6,A3の位数は3で,その

元は恒等置換:e={1,2,3}とσ={2,3,1},および,

σ-1=={3,1,2}だけですから明らかに可換群であり,

正規列:S3⊃A3⊃{e}を得るので可解です。

n=4のS4についてはσ={i,j,kl}∈S4

は,物理で用いるLevi-Civitaテンソルの非ゼロ

成分のεijklが+1のとき偶置換で,σ∈A4です、,

他方,εijklが(-1)のとき.σは奇置換です。

しかも,σ∈A4のとき.(1,2)σは奇置換であり

σ,τ∈A4でσ≠τなら,(1,2)σ≠(1,2)τとなり

1対1に対応します。

それ故,S4/A4={A4,(1,2)A4}です。この商群

は単位元A4の他には元が1個なので可換群です。

そもそも指数が2なら.商群の位数は2で,常に可換群

です。そしてVをV={e,(i,j)(k,l)}(ただし,

i,j,k,lは1~4の異なる数)とおくと,|V|

=1+42/2=4です。Vの元である互換の積の積

は,異なる4つの互換の積:(i1.j1)(k1,l1)

×(i2,j2)(k2,l2)ですが,これは互換の順序に

依らないので可換です。

そして,|A4|=12より,|A4/V|=3で(A4/V)

={V,(1,2,3)V.(2,3,4)V}と書けますが,そもそも

位数が3の部分群は,単位元と,それ以外の1つの元

とその逆元だけが全ての元なので,明らかに可換群です。

以上から,S4⊃A4⊃V⊃{e}という正規列が得られ,,

4が可解群であることが示されました。

次に,n≧5のSnを考えます。Snの部分群で長さ

が3の巡回置換を全て含むものをGとします。

このときNがGの正規部分群ならNもまた,

長さ3の巡回置換を全て含むことを示します。

n≧5なので,i,j,k,r,sを1からnまでの

うちの相異なる5文字とします。

そして,σ=(i,j,s),τ=(k,r,s)とすると

仮定により,σ,τ∈Gです。このとき,その交換子

は,στσ-1τ-1=(i,j,s)(k,r,s)(s,j,i)

×(s,r,k)=(r,j,s)となります。

何故なら,(i,j,s)(s,k,r)=(i,j,k,r,s)

で,(j.i,s)(r,k,s)=(j,i,r,k.s)です

から,積はi→i,j→s,k→k,r→j,s→r

となるため,(r,j,s)と書けて,これは長さ3の

巡回置換です。交換子群は.最小の正規部分群です

から,NがGの正規部分群なら(r,j,s)∈Nですが

r,i,sは任意なのでNも全ての長さ3の巡回置換

を含むことがわかりました。

それ故.もしもSnが可解群であるなら,

n⊃S(1)⊃..⊃S(r)={e}となる正規列がある

はずですが,そうすると最後の正規部分群:|e}も

長さ3の巡回置換を全て含むべきなので,これは矛盾

です。したがって,n≧5のSnは非可解群です。

(証明終わり)(※再掲載記事終了)

以上でn≦4のn次代数方程式はベキ根で解けて,

n≧5のn次代数方程式はベキ根では解けないことが

証明されました。

※一応,1994年の私のノートから初期の目的は終わりました。

このシリーズは終わりです。しかし,書き残したことで続く

かもしれません。

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2022年1月17日 (月)

ガロア理論の復習(8)

※2021年12月13日(月)開始→2022年1月16日(日)

遅ればせながら,明けおめ,ことよろ。。

来月の2月1日には,生きていれば72歳になる予定です・

※(余談) 12月13日月曜夕方から,何故か血中酸素濃度

が90以下まで下がり,酸素吸入のお世話になっています。

飲食物,薬はお金さえあれば何とかなるけれど酸素不足

は自分の力じゃどうしようもないです。酸素業者のお世話

になっています。4.0リットル/分の吸入で何とかなってます。

最近.流行のオミクロンでは酸素吸入(中等症)も肺炎も少ない

なので,私のはコロナじゃないだろうし.弱毒化した

ウィルス感染に,政府,自治体,マスコミ,御用学者は過剰

防衛と思えるピントハズレな対策が続いていると見えます

ね。有害でない大腸菌のようなもものの感染ならいくら

体内に増加しても大丈夫ですね

さて酸素吸入器が取れないまま,年が明けてしまいました。

新年の挨拶も余裕なく,よく呼吸困難になりますが発熱も

肺炎もなくブログもたまに書くと疲れます。少しずつ

起きて書いても,すぐ疲れてキリがなく,この話題は何とか

終わりそうなのですが長いので分割します。(余談終わり※)

※ガロア理論の本題の続きです。

第8章 有限体について

※1のn乗根について

[補助定理1]:可換群Gにおいて,a,b∈Gの位数がm,n

のとき,m,nの最小公倍数をkとすると,Gの中には位数

がkの元:c∈Gが存在する。

(証明)(m,n)=1なら,k=mnであり,c=abと

すれば,このcが求める位数がkのGの元です。

何故なら,ck=ak=1は明らかでありlがcの位数

であるとすると,lはcl=1となる最小の正整数です。

もしも,l<kならk=lq+r(0≦r<l)で,c=1.

lq=1ですから,cr=1によりr=0が必要です。よって

k=lqであり,lはk=mnの約数です。

ll=1よりal=b-lですが,(b-l)n­=(1/bn)l=1

なので,aln=1です。mがa=1となる最小の正整数

であったので,m/(ln)であり.m/l,またはm/nです

が,これらは(m,n)=1に矛盾します。故に,c=abの

位数は,l=k=mnです。

一般の場合,m,nを素因数分解してm=p1e12e2・・・

ses,かつ,n=p1f12ef2・・・psfsとします。

このとき,位数が,piei,pifi(i=1,2,..s)の元が存在します。

何故なら,m=pqと因数分解できるとき,a=1ですから

(a)p=1となり,(a)は位数がpの元となるからです。

a=pqと同様,b=pqの場合も同様です。

そこで,gi=(ei,fi)としてdi=pigi(i=1,2,..s)と

おけば,k=d12..dsは,m,nの最小公倍数です。

そして,位数がdi=pigi(i=1,2,..s)の元が存在します。

iを位数がdiの元として,c=a12・・asとすれば,

cがkを位数とするGの元です。(証明終わり)

[補助定理2]:有限可換群Gにおいて,元の位数の最大値を

kとすると,任意の元の位数はkの約数である。

(証明)群Gの元の位数の最大値をkとします。

a∈Gの位数mがkの約数でないなら,kとmの最小公倍数は

kより大きく,[補助定理1]より,これを位数とする元が存在

しますが,これはkがGの元の位数の最大値であるという仮定

に反します。故にmはkの約数です。(証明終わり)

[定理8-1](可換)体Fの乗法群F×の有限部分群Sは巡回群

である。

(証明)|S|=nとし,Sの任意元の位数の最大値をrとすると,

∀x∈Sは,xr-1=0を満たします。

しかし,この方程式はFの中でr個より多くの解を持つこと

ができないので,n≦rです。

一方,rはnの約数なのでr≦nですから,結局r=nです。

つまり,Sは位数がnの巡回群です。(証明終わり)

[定義8-1]:(1のn乗根)

nを正の整数とする。体Fの元αがαn=1を満たすとき,

αを「1のn乗根」という。

体Fの有限乗法部分群Sの位数がnのとき,Sの元は全て1

のn乗根である。巡回群Sの生成要素の数は,Eulerの関数

Φ(n)で与えられるが,これら生成元を「1の原始n乗根」

という。

※位数が,丁度nである,S=<ε>={1,ε,ε2,..,εn-1}の元

が存在して,εkが1の原始n乗根であるためには,(k,n)=1

なることが必要十分です。

何故なら,εn=1より,(εk)n=1ですが,もしも(εk)q=1なら,

n|(kq)であり,(k,n)=1の場合,n|qより,q≧nです。

そこで,nがqの最小正整数なので,これがεkの位数です。

逆に,(k,n)=d>1なら,k=k1d,n=n1dと書けて,

εk=(εk1)d=1より,(εk)n1=1でn1<nですから,位数は

nより,小さいことになるから矛盾です。

nが素数pのとき,φ(p)=p-1です。

何故なら,n=p(素数)なら,「Fermatの小定理」によって,

εp-1=1であり,kが(p-1)と互いに素であるSの元εkは,

k=0,1,2,p-2に対応する(p-1)個であるからです。

[定義8-2]:(有限体の定義)

体Fの元が有限個数のとき,Fを有限体という。

[定理8-2]:Fの乗法群としての単位元を1とする。このとき

Fを加法群として見たときの1の位数をpとするとpは素数

である。

(証明)p=qrと因数分解できてq>1,r>1とすると,q<p,

r<pです。ところが,p・1=(qr)・1=(q・1)(r・1)=0

なので(q・1)=0,または,(r・1)=0です。

これは,1の位数がpであるという仮定に矛盾します。

故にpは素数です。(証明終わり)

[定義8-3]:(標数の定義)

有限体Fの乗法の単位元1の位数である素数pを「体Fの標数」

という。

[定理8-4]n∈Zに,(n・1)∈Fを対応させるとZからFの中

への環準同型写像が得られ,標数がpなので,核はイデアル(p)

である。よって準同型定理から,Fは体Z/(p)に同型な部分体Fp

を持つ。このFpをFの「素体」という。

Fの元1+1を2,1+1+..+1(n個)をnと表わすことに

すると,p=0であり.Fp={0,1,2,..p-1}である。(証明略)

[系1]:標数がpの有限体Fでは∀a∈Fに対してpa=0である。

(証明)pa=a+a+..+a=1・a+1・a+..+1・a

=(1+1+..+1)・a=(p1)・a=0 (終わり)

[系2];Fを標数がpの有限体とする。∀a,b∈Fに対して

(1)(a+b)p=ap+bp.(2)ap=bp⇔a=b(証明略)

[定理8-5]有限体Fの標数をp,Fp上の次数をfとすると,

Fの大きさはq=pfである。さらに,Fの乗法群F×は,

位数:(q-1)=(pf-1)の巡回群である。

(証明)FはFp上f次元なので,Fの元ω12...ωf

存在して,∀α∈Fは,α=x1ω1+x2ω2+..+xfωf

(xi∈Fp)と一意的に表わされます。

そしてxiの取り方はp通りあるので,αの取り方,つまり,

Fの大きさはq=pfです。

×はFの中で有限可換群ですから[補助定理1]により巡回群

であり,位数は(q-1)=(pf-1)です。(証明終わり)

※有限体Fの元は0,1,ζ,ζ2,..ζq-2です。(ζq-1=1)

[例8-1]p=2のときFはF2の2次拡大体で,F×は位数が3

の巡回群です。F×=の元はx=ζ,ζ2,1であって,x3=1を

満足します。x3-1=(x-1)(x2+x+1)より,ζ,ζ2は,

2+x+1=0の根で,F={0,1,ζ,ζ2}です。(終わり)

※有限体の拡大体

[定理8-6]:有限体Eが部分体Fのn次の拡大のとき,Fの

大きさをqとすると,Eの大きさはqnである。Eの乗法群

×は位数が(qn-1)の巡回群である。

(証明)EのF上の基底をω12,..ωnとします。

すると,∀α∈Eは,α=x1ω1+x2ω2+..+xnωn

(xi∈F)と表わされます。|F|=qよりxiの取り方

はq通りあるため,Eの大きさ|E|はqnです。

×は体Eの中の有限群なので,巡回群であり,位数は

(qn―1)です。()証明終わり)

[系]:有限体Eは,その部分体F上,E=F(ζ)のように,

Fにただ1つの元ζを添加して得られる。よって有限体の

場合も,有限次拡大体は単純拡大体である。

(証明)巡回群E×の生成元をζとすれば,q=|E|のとき

r=0,1,2,..q-2に対して,ζr∈F(ζ)なのでE×⊂F(ζ)

であり,0∈F(ζ)よりE⊂F(ζ)です。

一方,0.1.ζ,ζ2,..,ζq-1のつくる体はF(ζ)を含むので

E=F(ζ)です。(証明終わり)

[定理8-7]:有限体EがFのn次の拡大のとき,EはFの

ガロア拡大体(正規拡大体)である。

Fの大きさをqとするとき,σ:α→αq(α∈E)は,Eの

F上の自己同型写像であり,EのF上のガロア群Gは,

G={ε,σ,σ2,..,σn-1}(εは恒等写像)であり,σを生成元

とする巡回群である。

(証明)E(したがってF)の標数をpとすると,q=pnです

から,∀α,β∈Eに対して,(α±β)=αq±βqです。

何故なら,(α±β)p2={(α±β)p}p etc.です。

同様に,(αβ)q=αqβqです。

したがって,σ(α±β)=σα±σβ,σ(αβ)

=(σα)(σβ)であり,σは自己同型写像です。

また,a∈Eに対して.σa=a,つまり.aq=aとなる

のは,aがxq=x,つまりx(xq-1-1)=0を満たすことを

意味します。こうしたEの元:x=aの個数は高々q個です。

ところが,Fの元はq個あって,F×は位数(q-1)の巡回群

ですから,∀x∈F×はxq-1=1を満たし,x=0もxq=xを

満たすため,aq=aを満たす元a∈Eは.Fのq個の元に一致

します。したがって,巡回群:<σ>の不変体がFです。

さらに,σの位数をmとするとき,σm=εですから.E×

生成元をζとすると,σmζ=εζ=ζ,つまり,ζqm=ζ,or

ζqm-1=1ですが,EはFのn次拡大体なので,Eの大きさは

nでE×は位数が(qn-1)の巡回群ですから,ζの位数は

(qn-1)です。よって(qn-1)≦(qm-1)より,n≦mです。

一方,<σ>={ε,σ,σ2,..σm-1}の不変体がFなので,

m=|<σ>|=(E/F)ですから,結局,m=nです。

以上から,Eは位数がnの巡回群G=<σ>を,F上の

ガロア群とする,Fのガロア拡大体となります。(証明終わり)

[定理8-8]:与有限体Fと,与自然数nに対して,F上n次の

拡大体が存在する。

(証明)Fの大きさをqとするとき,F上の多項式(xqn―x)の

分解体をEとして(E/F)=nを示します。(E/F)≠nならE

の大きさがqnではないので,Eの大きさがqnなら(E/F)=n

です。ところが,αがxqn―x=0の根ならαqn=αなので,

qn―x=(xqn-αqn)―(x-α)

=(x-α)|(xqn-1+xqn-2α+..+xαqn-2+αqn-1)-1}ですが

x=αを最右辺の第2因数に代入,すると,qnαqn-1-1となり

qは標数pのベキですから,これは(-1)となりゼロでないです。

よって,(xqn-x)は重根を持たず,根の数はqnです。この根

の全体集合をE~とします。

α,β∈E~とするとαqn=α,βqn=βより(α±β)qn

=αqn±βqn=α±β,かつ,(αβ)qn=αβなので(α±β)⊂E~,

つ,αβ∈E~であり,さらに,α≠0のとき,(α-1)qn=(αqn)-1=α-1

より,α-1∈E~です。したがって,E~は体(Eの部分体)をなします。

ところで.Fの元aはaq=aを満たすので,(aq)q=aを満たし,

qn=aです。故に,F⊂E~⊂Eです。すなわち,E~はE/Fの

中間体です。一方,Eは,E~とFを含む最小の体ですから

E⊂E~です。以上からE~=EでEの大きさはqnです。

故に,(E/F)=nです。(証明終わり)

[系]:pを素数とする。任意の自然数fに対して大きさが

fの有限体が存在する。

(証明)体:Z/(p)のf次の拡大体をつくればいいです。

(※Z/(p)は標数pの有限体です・)(証明終わり)

途中ですが,長いのでもう少しですが,ここで中断して

残念ながら先送りします。(つづく)

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2021年12月13日 (月)

ガロア理論の復習(7)

2021年12月3日(金)開始→12月13日(月)

※(余談)1941年(昭和16年)12脱8日は,日本軍

のハワイ真珠湾の奇襲攻撃で,アメリカとの戦争

が始まった日でした。もう80年も前ですか?風化

はしないんだろうなぁ。昔,DVDで「トラトラトラ」

という日米合作映画を見たら,アメリカの情報部は

全て知っていて放置したらしいです。

2001年9月11日のニューヨーク貿易センター

ビルへのテロ事件も「華氏911」という映画では,

政府上層部は,事前にわかっていて防ぐことを

しなかったたらしいし,戦争したい米上層部とか

死の商人たちは,その正当防衛とか報復とかの

口実ためには,多数の国民の命の犠牲など,何

とも思ってないらしい。と感じました。

映画はフォクションかもしれないですけどね。

まあ,火のないところに煙は立たず,とも言います。

さて,9月末頃には日本での「コロナ自然消滅仮設」

の記事をブログに書きました。ネットにはフ,ェイク

やデマが氾濫していて,取捨選択せずに鵜呑みにする

と危険なことは承知なのですが,楽観的見方として,

「オミクロン=Xマスプレゼント説」というものが

ありました。コロナ変種のオミクロン株は,あまり

にも大きい突然変異,言い換えると,大きなコピー

ミスの結果であり,不安定で感染力はデルタより

はるかに強いけれど,今のところデータでは症状

は無症状か軽症で,高々風邪の発熱やセキと同じ

程度で酸素吸入も不要で重症化率もごく低いと

いうので,この「善玉ウイルス」が「悪玉デルタ株」

を駆逐し去って,コロナも終焉を迎えるのでは?

と,無責任なアウトアサイダーの私は,淡い期待を

抱いています。(※オミクロン無害説)

何でもかんでも感染したら入院だと,ただの風邪

でも医療はパンクするのでしょうがね。

さて,命の残り時間が少ない私は,何事にもアセリを

感じています。所詮,無駄な抵抗ですが。。。

今日(12/12)は,何故か頭痛,と消化不良か?嘔吐,下痢

の連続で本稿アップも日を超えてしまいました。もう

長くはないなぁ。。(余談終わり※)

※さて,ガロア理論の本題の続きです。

第7章 複素数体Cの部分体

※本章ではすべての体は,複素数体Cの部分体と

します。何故,複素数体の部分体に限定するか?

というと,今の古典的なガロアの代数方程式の

可解性の理論では重要とは思われない?体の

「標数」という概念があるからです。標数は後述

の有限体に対して定義される素数であり,複素数体

のような無限体では,標数はゼロと規定されています

が,標数がゼロでない場合,以下の,体に対する定理が

成立しないこともあります。

※既約多項式の分離性

[定義7-1](導関数の定義)

体F上のn次多項式:

f(x)=ann+an-1n-1...+a0

(0≦j≦nのjについてaj∈F,かつ,an≠0)

の導関数:f’(x)を次のように定義する。

f’(x)=nann-1+(n-1)an-1n-2..+a1

[定理7-1]:f(x),g(x)をF上の多項式とすると,

その和:(fLg)(x),積:(fg)(x)=f(x)g(x)

の導関数は次の性質を有する。

すなわち,

(1){f(x)+g(x)}’=f’(x)+g’(x),

(2){f(x)g(x)}’=f’(x)g(x)+f(x)g’(x)

である。

(証明)この命題の成立は,明らかで証明は簡単なので,

省略します。(終わり)

[定理7-2]:f(x)が体F上の1次以上の多項式である

場合,代数数方程式:f(x)=0が重根を持つための必要

十分条件はf(x)とf’(x)の最大公約数(最大公約式)

が1次以上の多項式になることである。

(証明)体Fに対して,f(x)∈F[x]とする。

f(x)=0が根(解)を持つとき,体K=F(α)の上では,

f(x)=(x-α)kg(x)(k≧1,g(α)≠0)と書けます。

これを,K[x]の多項式(係数にαを含む多項式)と

して,その導関数をとると,

f’(x)=k(x-α)k-1g(x)+(x-α)kg’(x)

となります。

故に,αがf(x)=0の重根で,k≧2であるためには,

f’(x)が(x-α)の1次以上の因数を持つことが必要

十分条件です。つまり,f(x)とf’(x)がK=F(α)

において.1次以上の公約数として(x-α)を持つこと

が,f(x)=0が重根αを持つために必要,かつ,十分な

条件です。(証明終わり)

[系]:f(x)∈F(x)がFで既約な多項式であるときは,

f(x)=0は重根を持たない。

(証明)f(x)が体Fの上で既約多項式であるのに重根:

αを持つと仮定します。[定理7-1]によれば,f(x)=0

が重根αを持てばf(x)とf’(x)がある共通根αを持ち,

f(x)は既約なので,体Fでは因数を持やないが,体F(α)

では1次因子(x-α)を持ち,これは.f’(x)と共通の

因子となります。

ここでdegf(x)=nとするとdegf’(x)=(n-1)<n

ですから,F内でf(x)をf‘(x)で割って商をq(x),余り

をr(x)とすると,f(x)=f’(x)q(x)+r(x);

ただし,degr(x)≦(n-2),と表わすことができます。

このとき,もしもr(x)≡0ならf(x)=f’(x)q(x)

となって,「(x)はF上で可約となり,Fで既約という仮定

に反します。故に,剰余;r(x)は(n-2)次以下の恒等的には

ゼロでない多項式ですがf(α)=f’(α)=0なのでr(α)=0

であり,r(x)も,F(α)において1次因子(x-α)を持ちます。

さらに,f’(x)をr(x)で除してf’(x)=r(x)q1(x)

+r1(x)(degr1(x)≦(n-3))と,剰余:r1(x)を求め,次に,

r(x)=r1(x)q2(x)+r2(x)..と除法の操作を繰り返す

「ユークリッドの互除法」でr(x),r1(x),r2(x)…と剰余

の次数を1ずつ下げていく列をつくると,結局最後はに剰余が

がゼロとなる場合もありこのときはf(x)のFでの既約性に

反します。一方,もしも剰余がゼロにならない場合,最後には

剰余はxの1次式となり,それがf(x),f’(x)の最大公約数

であり,(x-α)の定数倍に一致するはずですが,剰余の列:

r(x),r1(x),r2(x),..は,全てF[x]の元なので,最後

の(x-α)の定数倍もFの多項式となり,やはり,f(x)が

F上で既約多項式であるという仮定に矛盾します。

したがって,f(x)がF上で既約多項式ならf(x)=0

は重根を持たない,ことが示されました。(証明終わり)

※ガロア拡大体の条件

[定理7-2]:体Eを体Fのガロア拡大体とする。α∈E

のF上の既約多項式は,Eにおいて1次因数の積に分解

される。

(証明)αにガロア群Gの元(自己同型)を施して得られる

像のうち,異なるものの全体を,α12,..,αr,(α1=α)

とし,p(x)=(x-α1)(x-α2)・・(x-αr)とします。

このとき,∀σ∈Gに対し,σ(α1),σ(α2),//σ(αr)は

全て相異なります。r=|G|です。

何故なら,σ(αi)=σ(αj)であれば,両辺にσ-1を施すと,

αi=αjを得るからです。

しかも,これらはGの元によるαの像ですから,最大r個

から成るα1,…αrの1つの順列(置換)を与えます。

一方,p(x)はp(α)=0を満たすFの多項式なので,その

係数は,Gの不変体Fの元であり,σを施しても不変です。

そして,p(α)=0ですからp(x)=0はαを根に持ちます。

ここで,f(x)をf(α)=0を満たす任意のF内の多項式と

すると,∀σ∈Gに対し,σ{f(α)}=f{σ(α)}=0です。

つまり。σ(α)もf(x)=0の根となります。

各々のσ∈Gに対してσ(α)は,相異なるp(x)=0のr個

の根:α12,..,αr,のどれかに一致するため,f(x)はp(x)

の根を全て含むことになります。

それ故,f(x)はp(x)を因数として持ち,f(x)∈(p(x))

です。つまり,J={f(x)∈F[x];f(α)=0}}とするとき,

Jは,p(x)を最大公約数とするイデアルで,J=(@(x))です。

何故ならf(x)が可約でf(z)=p1(x)p2(x)とFの多項式

の積に因数分解できるとき,αがf,(x)=0のの根でf(α)=0

となるのは,p1(α)=0でp1(x)∈(p(x))であるか,p2(α)=0

でp2(x)∈(p(x))のいずれか,または両方であることを

意味し,p(x)は既約なので最大公約因子です。

つまり,f(x)∈(p(x))です。

p(x)はF上既約多項式なので重根を持たず,単根として

α12,..αrを持ち,しかも,これら以外には根を持ちません。

したがって,p(x)=an(x-α1)(x-α2)・・(x-αr),

(an∈F,an≠0)と書けます。(証明終わり)

[定義7-2](分解体):体F上の多項式f(x)が,拡大体K上

の1次因子の積に分解されるとする。

すなわち,f(x)=an(x-α1)(x-α2)・・(x-αN)

とする。このとき,Fの拡大体:F(α12,..,αn)をf(x)

の「分解体」という。,

[定理7-3];EがFのガロア拡大体ならば,EはF内のある

多項式の分解体となる。逆に,体F上の多項式のF上の

分解体はFのガロア拡大体である。

(証明)EをFのガロア拡大体とし,Gをガロア群とします。

,そして,(E/F)=|G|=nとし,Fのベクトル空間として

のEの生成元(基底)をω12,..,ωnとします。

前定理により,ωのF上の既約多項式をそれぞれ,pj(x)

とすると,pj(x)はEにおいて1次因子の積に分解されます。

それ故,任意の多項式f(x)∈F[x]の因数分解を

f(x)=ap1(x)p2(x)・・pn(x)(a≠0,pj(x)は

規約モニック)とおくと,f(x)はE上で1次因子の積に

分解されます。

(※このとき,f(x)は「分離的」である,といいます。),

※ここで,少しくどいとも思える説明を加えます。

例えば,σi1)=σj2)なら,ω2=σj-1σi1);

ij∈G)ですから,σ=σj-1σi∈Gのような,

あるGの元σが存在してω2=σk1)となります。

1(x)=0の根ω1と,p2(x)=0の根ω2がGの自己同型

写像:σkで互いに写像される関係なので,既約多項式モニック

として,p1(x)とp2(x)は同じものです。

そこで,こうしたダブルカウントのp2(x)を因数から除く

必要があります。

実際には,集合S={σij):i,j=1,2,..,n},;

ただし,σi∈G(1≦i≦n)の元のうち,相異なるもの

の全体を{α12,..,αn}とすると,∀σ∈Gに対して,

σk1),σk2),..σkn)もまた,Sの元であり,

しかも,全て相異なるので,Eの元の集合として

12,..,αn}={σk1),σ2),..,σkn)}です;

任意のf(x)でf(x)=a(x-α1)(x-α2)・(x-αn)

=a{x-σl1)}{x-σk2)}・・{x-σkn)}なる

等式が∀σk∈Gに対して成立することになります。

そして,αi∈S(1≦i≦n)はある(k,j)で,αi=σj)

であることを意味しますから,ω12,..,ωnは全てf(x)=0

の根に含まれます。つまり,{ω12,..,ωn}⊂{α12,.,αn}

となります。(蛇足的な説明終わり)※

f(x)の(最小)分解体はF(α12,..,αn)ですが,結局,

E=F(ω12,..,ωn)⊂F(α12,..,αn)⊂Eです。

したがって,Fのガロア拡大体Eは,あるf(x)の分解体

つまり,Fにf(x)=0の根を全て添加した体となります。

逆に,Eがf(x)∈F[x]の分解体であるとします。

そして,Fの元を不変にするEの自己同型写像のつくる群

をGとします。

ここで,Fから分解体E=F(α12,..αn)までの間の

中間体の列を想定します。F=E0⊂E1⊂..⊂En=E,

i=F(α12,..αi)=Ei-1i)(1≦i≦n)でます。

ところが,f(αi)=0でありf(x)は,体Ei-1の多項式

ですから,αiはEi-1で代数的です。故に,(Ei/Ei-1)は有限

です。そこで,|G|=(E/F)=Πi=1n(Ei/Ei-1)より,群Gは

有限群です。

次に,Gの不変体がFであることを示します

多項式f(x)∈F[x]のf(x)=0の根が全てFに属する

なら,E=Fであり,Gの任意の元はFの任意の元を不変に

します。そのようなαの全体はFから出ることはないので

E=Fが,Gの不変体であることは明らかです。

このときは,(E/F)=1であり,Gの元は単位元(恒等写像)

のみです。次に,f(x)=0の根のうち,n個(n≧1)が,体F

に含まれていないとします。,

さらに帰納法の仮定としてFに含まれない根の個数がnより

小さいときには,定理が成立する,つまり,FがGの不変体である

とします。

ここで,αをFに含まれないf(x)=0の根としtてf(x)

を体F(α)の多項式と見たときも,Eはf(x)の分解体です。

このとき,f(x)=0のの根のうち,F(α)に含まれないもの

の個数はnより小さいので,帰納法の仮定により,Eの自己同型群

はF(α)を不変にします。このF(α)を不変にするEの自己同型

写像の群をUとすると,UはF(α)を不変体とし,それ故,もちろん

Fを不変にしますから,U⊂Gです。

θを群Gの不変体の元とします。

θは,Uの全ての元で不変ですから,θ∈F(α)です。

αのF上の既約多項式p(x)の次数をsとすると,θ

は.θ=c0+c1α+c2α2+..+ca-1αs-1,(ただし,

j∈F,0≦j≦(s-1))と表わされます。

p(x)=0は重根を持たないのでp(x)の根をα1,.αs

とすると,αをαjに写すF(α)からF(α)への同型写像:

σが存在します。同型写像の延長を繰り返して,σをEから

Eの上への同型写像,つまりGの元:τへと延長できます。

このτ∈Gをθに作用させると,τ(θ)=c0+c1αi

+c2αi2+..+cs-1αis-1.(i=1,2,.s)となります。

故に方程式cs-1s-1+cs-2s-2+..+c1x+(c0-θ)

=0は,s個の相異なる根:α12,..,αを持ちますが,

これは,根の個数sが方程式の次数(s-1)より多いので

方程式ではなく恒等式であることを意味するため,全て

の係数はゼロです。

特に,c0=θですから,τ(θ)=θ∈Fです。θはG

の不変体の任意の元でしたから,FがGの不変体です。

以上から,GはFを不変体とするガロア群で,Eは

ガロア拡大体,であることが示されました。(証明終わり)

[定理7-4]:体Fの2次の拡大体Eはガロア拡大体

である。

(証明)(E/F)=2とすると,Fに含まれないω∈Eが存在

します。このとき,1,ω,ω2は1次従属です。

故にa0+a1ω+a2ω2=0という自明でない関係式

が成立し,ωはf(x)=a22+a1x+a0∈F[x]の根

です。もしも,a2=0ならa0+a1ω=0となり

0=a1=0で自明な式となるため,a2≠0です。

f(x)=0の他の根は,{-(a1/a2-)-ω}∈Eですから

Eはf(x)の分解体です。そしておmrががFの元

でないので,{-(a1/a2-)-ω}もFの元ではないため

f(x)はF上既約な多項式ですからEは分離的

分解体です。よってE/Fはガロア拡大です。。

(証明終わり)

[定義7-3](単純(単)拡大の定義)

体Fの拡大体KがFにαを添加した体で,K=F(α)

と表わされるようなαが存在するとき,この拡大を単純

(単)拡大といい,体Kを単純(単)拡大体という。

※複素数体C内では「ガウスによる代数学の基本定理」

を仮定すると,体F上の∀f(x)∈F[x]は複素数体C

の中で1次因数の積に分解します。その根を全てFに

添加した体Eをつくると,Eはf(x)の分解体です。

つまり,複素数体の部分体F上の多項式は複素数体の

中に必ず,分解体を持ちます。

[定理7-5](原始元定理)

体Fの有限次拡大体Kには,K=F(γ)のようなγが

存在する。つまり有限次拡大体KはFの単純拡大体である。)

(証明)KがF上有限次なら,KのF上の基底をα12,.,.αn

とすると,K=F(α12,.,.αn)です。

帰納法を用いて証明できますが,結局,n=2も場合

に定理の成立を示せば十分であるとわかります。

何故なら,F=E0⊂E1⊂E2⊂...⊂En=Kなる拡大

する体の列を.Ei=Ei-1i),,.,En=F(α12,.,.αn-1)(αn)

によって,つくると.もしもE2=F(α12)=F(γ)とできる

ことが示せたなら,E3=F(α123)=F(γ,α3)=F(γ2)

も成立することがわかる,からです。

そこで,n=2の場合として,K=F(α,β)とします。

α,βを根とするF上の既約多項式をそれぞれ,g(x),

h(x)とします。g(x)≠h(x)の場合,f(x)=g(x)h(x)

の分解体をEとするとg(x),h(x)がFで既約なのでf(x)

は分離的です。(※f(x)はE上単根の1次因子の積に分解

されます。)

ところで,前の[定理7-2]により,分解体EはFのガロア拡大体

です。そしてKはE/Fの中間体です。ガロア拡大体の中間体

はEのガロア群Gの部分群と1対1に対応るので中間体の個数

は有限です。つまり,(E/F)=|G|が有限なので,中間体の個数も

有限です。

そこで,∀c∈Fに対してγ=α+cβとおいて,体K

=F(γc)で定義すると.これらはE/Fの中間体ですが,C

の部分体であるFは無限体なので,c∈Fの取り方は無数に

あります。しかし,中間体Kcの個数は有限ですからKd=K

を満たすFの元dで,d≠cであるものが存在します。

するとK=F(γ)=K=F(γc)でγ=α+dβです

から,γcd∈Kcであり,故に(c-d)β=(γc-γ)∈K

(g-d)≠0ですから,β∈Kcです。

そこで,α=(γc―cβ)∈Kcも成立します。

それ故,K=F(α,β)⊂Kcですが,γ=(α+cβ)がF(α,β)

=Kの元であることは,明らですからKc=F(γc)⊂Kであり

結局,Kc=Kです。

したがって,γ=γとおけばK=F(γ)と表わせることになり

,KがFのの単純拡大体であることが示されました。

(証明終わり)

[系]:複素数体の中ではFの有限次拡大体は単純拡大体

である。(これは自明です。)

[定理7-5]:EがFのガロアア拡大体であることは,Fの複素数体

内へのF上の同型写像が,全てEの自己同型写像であることに

同値である。

(証明まず,F上の同型写像とは,Fの元を不変に保つ同型写像

のことです。そして,EにおけるF上の同型写像の数をmと

すると,,m≦(E/F)=n=|G|です。(※EはFの有限次(n次)

拡大体とします。)

故に,全ての同型写像はEの自己同型写像でGに含まれます

何故なら,GはFを不変体とするEの自己同型写像の全体

であり,そのn個の元はm個の中に含まれているので,,自己同型

写像でないF上の同型写像があるとm>nとなって矛盾する

からです。

逆に,F上の同型写像が全てEの自己同型写像とします。

EはFの有限次拡大体ですからE=F(γ)と書けます。

γのF上の既約多項式をp(x)とします。このとき.pは2次

以上でp(x)=0の2根をγ,δとすると,γをδに対応させる

F(γ)からF(δ)への同型写像が存在します。

これが,Eの自己同型写像ですから,δ∈E=F(γ)です。

つまり,F上の既約多項式p(x)の根が全てEに含まれる

のでEはp(x)の分解体であり,よってE/Fはガロア拡大

です。(証明終わり

[例7-1]:次のα,βに対してQ(α,β)=Q(γ)となるγを

求めます。Qは有理数体で,α=√5i,β=√2,です。

(解)γ=√5i-√2とすると,(γ-√2)2=―5,

γ2-2√2γ+7=0,故に,β=√2={(γ2+7)/(2γ)}∈Q(γ)

よって,α=√5i=(γ-β)∈Q(γ),です。()終わり

[例7-2]:(x4-2)は,有理数体Q上の既約多項式です。

その分躯体は,E=Q(21/4,2,-21/4,21/4i,-21/4i)

ですが,これは明らかにQ(21/4,i)に等しいです。

そして{Q(21/4)/Q}=4,{Q(21/4,i)/Q(21/4)}=2

より,(EQ)={Q(21/4,i)/Q}=8です。

EはQ上8次のガロア拡大体です。

E内のQを不変体とする自己同型写像は

21/4を±21/4,±21/4iに,写す4通り,,iを

±iに写す2通りの,σ:σ(21/4)=i21/4,σ(i)=i

と,τ:τ(21/4)=-21/4,τ(i)=-iの2種から

G={1,σ,σ23,τ,στ,σ2τ,σ3τ}です。

※途中ですが,今回はここで終わります。(つづく)

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2021年12月 2日 (木)

ガロア理論の復習(6) )

※2021年11月23日(火)開始→12月2日(木)

※(余談)11月29日は,1869年だったかな?

シャイアン族大虐殺の悲劇があった日です。1970年

当時20歳の学生だった私,ベ平連など戦争反対のデモ

に参加していた頃,に,珍しく封切りで「ソルジャー・

ブルー」という米映画を見ました。

酋長が白旗を掲げていたのにも関わらず,ネイティブ

が女子供を中心に数百人も青い服の騎兵隊に蹂躙され,

惨殺されるのを見て,実話に基づいた映画とはいえ義憤

を感じ,若い心が慄えた記憶があります。

キャンディス・バーゲンが出てlましたね。野性的な

女優でした。当時,可愛さだけなら,D・ホフマン主演の

「卒業」に出ていたキャサリン・ロスの方が私的には好み

でしたが,まあそんなこと考える映画じゃなかったですね。

私は最近,よくセキや低血糖の発作が起きて,転倒など

がキッカケで容態急変,ということも有り得る事態です。

全くの無神論者なので,あと何日で石に還らずにこの世に

いられるるんだろうか?私の残り時間は?と自問する毎日

です。今朝(12/2)も,急に気分が悪くなり朝飯は全部嘔吐

してしまいました。今は小康です。(余談終わり※)

※さて,本題の続きです。

※「第5章 体の拡大」の続きからです。

[定理5-9](基本定理)

体Fの体F~の上への写像σが環準同型である

とき,すなわち,x,y∈Fに対して,σ(x+y)

=σ(x)+σ(y),,かつ,σ(xy)=σ(x)σ(y)

のとき,σはFからF~の上への同型写像である。

,この同型写像を,σ:F→F~と表わす。

このとき,σは,(1)σ(0)=0.,σ(1)=1,および,

(2)σ(-x)=-σ(x),かつ,σ(x-1)={σ(x)}-1 

という性質を持つ。

(証明)まず,kerσ={x∈F,σ(x)=0}={0}なので,

F,F~を環と見たとき,[環の準同型定理]によって,

{F~/kerσ)}~F(同型)であり,しかも(F~/{0})=F~

ですから,F~~F(同型)です。。つまり,σは,Fから

F~の上への同型写像となっています。

(※何故なら,和(加法)も積(乗法)も保存され,後述

するように,σ(1)=1なので,もしもx=n∈Zなら

σ(x)=σ(n)=nσ(1)=n=xです。また,xが

有理数で.x=(p/q)∈Q(q≠0)の場合なら,1=σ(1)

=q{σ(1/q)},かつ,σ(x)=p{σ(1/q)}ですから,

σ(x)=(p/q)=xです。

xを有理数体Qから,実数体Rの元へと拡張しても同じ

で.σ(x)=xと考えられます。

よって,σ(x)=0なら,x=0が成立するはずです。

(※↑性質(1)の逆命題)

そして,このことは,kerσ=|0}を意味し,写像σが1対1

の写像(単射)であることを意味します。※)

次に,σの性質(1),(2)を証明します。

まず,(1)は,σ(x)=σ(x+0)=σ(x)+σ(0)

⇒σ(0)=0,,および,σ(x)=σ(x)σ(1)(x≠0)より

σ(1)=1,です。次に,(2)は,0=σ(0)=σ{x+(-x)}

=σ(x)+σ(-x) ⇒σ(-x)=-σ(x)であり,

また,1=σ(1)=σ(x-1x)=σ(x-1)σ(x)

⇒σ(x-1)={σ(x)}-1 です。(証明終わり)

[定義5-9]F上の整式(多項式):f(x)∈F[x]が,

f(x)=a0n+a1n-1..+an  ;ただし,0≦j≦n

のjについてaj∈F,かつ,a0≠0なる形で与えられる

とき,これの係数に左からσを施し,F~上の整式として,:

σ(a0)xn+σ(a1)xn-1..+σ(an)をつくる。

この整式を(σf)(x),または,単に(σf)と表わす。

[定理5-10]:∀f(x),g(x)∈F[x]に対して,

次の性質:(1) σ(f+g)=σf+σg,および,

(2) σ(fg)=(σf)(σg) が成立する。

(証明)これは,σが体Fの上で同型写像なので明らかです。

すなわち,f(x)=Σj=0njn-j,g(x)=Σk=0mkm-k

なる具体的形であれば,和の写像の場合,{σ(f+g)}(x)

=Σk{σ(a+b)xn-k}=(σf+σg)(x) です。

積の場合も,詳細は略しますが,2重有限数列の積の

公式から,σ(fg)=ΣjΣk{σ(aj)}xn+m-j-k 

なって,右辺={σf(x){σg(x)}です。

(証明終わり)

[定理5-11]:p(x)がF上で既約のとき(σp)(x)も,

F~上で既約である。

(証明)もしも(σp)がF~上可約なら,σp=(σq)(σr)

の因数分解が可能です。σは全単射なので,対応するF[x]

の元q,rが存在するため,右辺=σ(qr)であり,これは

p=qrと書けることを意味しpも可約になって,pが既約

という仮定に反します。(証明終わり)

[定義5-10](同型写像の延長)

σ:F→F~とし,体Eを体Fの拡大体とする。

τがEからF~の拡大体E~の上への同型写像であり,

Eの部分体Fの上では,τ=σであるとき,τはσのE

への「延長」である,という。

[定理5-12](同型写像の延長定理1)

σ:F→F~とし,体Eを体Fの拡大体とする。

τ:E→E~が,σのEへの延長であるとき,(E~/F~)

=(E/F)である

(証明)ω1,..,ωnFが,F上独立なEの基底をなすとき,

(τω1),,.,(τωn)は,F~上独立なE~の基底をなします。

何故なら,τがEからE~への同型写像なので,E~の元:

β=a1(τω1)+..+an(τωn)には,β=ταとなるE

の元αが,α=τ-1β=a1ω1+..+anωn で与えられる

ことに同値であるからです。(※β=0ならα=0で,

1次独立性の条件を与える自明な関係式も同値です。)

故に,n=(E/F)=(E~/F~)です。(証明終わり)

[定理5-13](同型写像の延長定理2)

同型:σをσ:F→F~とし,p(x)をFの既約多項式

とする。αはp(x)=0の根であり,βは(σp)(x)=0

の根である,とする。そして,E=F(α),E~=F~(β)

とすると,写像τ: Σi(aiαi)→Σi{σ(aii}は,Eから

E~への同型写像であり,τはσのEへの延長である。

逆に,σのEへの延長は,上記のτのようなものに限る。

(証明)degp(x)=nとする。

Fの拡大体E=F(α)は,1,α,..αn-1で張られる線型

空間であるため,その元は次数(n-1)のF[x]の多項式

f(x)によって,f(α)という形に表わされます。

そして,τの定義によれば,τ{f(α)}=(σf)(β)で

あり,σはF~の上への写像なので,∀γ∈F~(β)対して,

γ=Σi(a~iβi)=τ[Σi(aiαi)]=τ{f(α)};ただし,

i=σ-1(a~1) or a~i=σ(ai)と書けます。

よって,τはE~=F~(β)の上への写像です。

τがE=F(α)からE~=F~(β)への環準同型写像

であることも,容易に示せます。

結局,τはEからE~の上への同型写像です。

 しかも,γ=Σi=0n-1(aiβi)のa~1=..=a~n-1=0

で,γ=a0(定数)であり,γ∈F~の場合は.γ=τ(a0)

=σ(a0) (a0∈F)であり,F上では,τ=σとなって

いるので.τはσのEへの延長です。

この 逆が成立するというτの一意性も,Eの基底

の写像がE~の基底に,一意に写されるので自明です。

(証明終わり)

[系]:p(x)がFの既約多項式で,α,βがp(x)=0

の根のとき,αをβに写像し,Fの元は不変に保つ写像,:

つまり,∀a∈Fに対してはτ(a)=aであるような

F(α)から,F(β)への同型写像:τが存在する。

(証明)σとして恒等写像を選べば.a∈Fに対して,

σ(a)=aであり,τとして,[Σiiαi]を[Σiiβi]

に写す延長を選べば.これが求める同型写像です。

(証明終わり)

[定義5-12](不変体,or固定体)

体EからEのある拡大体Ωの中への相異なるn個

の同型写像:σ12..,σnが与えられたとき,

F={a∈E:σ1(a)=σ2(a)=...=σn(a)}は,

Eの1つの部分体である。

これを,σσ12..,σnの「不変体(固定体)」という。

(※このとき, 0∈F,1∈F,および,a∈Fなら,

(-a)∈F,a-1∈Fが成立することは自明です。※)

[補助定理]:不変体Fの元:a1,a2..,anがあり,∀x∈E

に対して,a1σ1(x)+a2σ2(x)+..+anσn(x)=0..(1)

が成立するのは,a1,=a2.=.,=an=0のときである

。つまり,n個のσ12..,σnは,F上1次独立である。

(証明)(ⅰ)n=1のとき(1)は,a1σ1(x)=0ですが,

x≠0のとき,σ(x)≠0なのでa1=0を得ます。

(ⅱ)n>1のときk≦(n-1)に対しては

1σ1(x)+a2σ2(x)+..+aσ(x)=0.なら,

1=a2=..=ak=0と,補助定理が成立すると仮定

します。 そして,k=nに対して;

1σ1(x)+a2σ2(x)+..+anσn(x)=0と,

  • 式が成立するとします。

仮定から,0≦i≦(n-1)の全てのiについてσi≠σn

であり,σi(α)≠σn(α)となるα∈Eが存在します、

このαについて(1)式のxに(αx)を代入すれば.

(1)は,次のようになります。すなわち,

1σ1(α)σ1(x)+...+anσn(x)σn(x)=0.(2)

です。他方,(1)の両辺に左からσn(α)を掛けると,

1σn(α)σ1(x)+..+anσn(α)σn(x)=0..(3)

です。(2)式から(3)式を辺々引き算すれば,

1σ{σ1(α)-σn(α)}σ1(x)+..

+an-1n-1(α)-σn(α)}σn-1(x)=0.を得ます。

これは,k=(n-1)<nの自明な1次関係式なので,

帰納法の仮定から,ai{σi(α)-σn(α)}=0ですが

σi(α)≠σn(α)なので.i=1,...(n-1)について.

i=0です。それ故,anσn(x)=0となるので,a=0

も得られます。

したがって,帰納法により[補助定理]の成立が証明

されました。(証明終わり)

[定理5-14]:(E/F)≧nである。

(証明)(E/F)=mで,m<nと仮定します。

体F上のベクトル空間としてのEのF上の生成系

を,ω12,..,ωmとします。次の,連立方程式

 σ11)x1+σ21)x2+..+σn1)xn=0,

・・・・・・・・・

 σ11m)x1+σ2m)x2+..+σnm)xn=0,

を考えると,これは,n個の未知数xjをnよりも少ない

m個の方程式系で求める連立1次方程式なので,自明で

ない解(少なくとも1つはゼロでない解)として,n個

の解の組:(x1,x2,..,xn)を持ちます。

一方,∀α∈Eは,α=a1ω1+a2ω2+..+anωn,

(a1,a2,..an∈F)で表わされます。

上の連立方程式の第1式に.σ1(a1)を掛け,第2式に

σ2(a2)を掛け,以下,第m式まで同様な操作を続けると,

Fは不変体ですから,σ1(aj)=…=σn(aj)なので,

σ1(a1ω1)x1+σ2(a1ω1)x2+..+σn(a1ω1)xn=0

・・・・・・・・,・・・

σ1(amωm)x1+σ2(amωm)x2+..+σn(amω)xn=0

を得ます:これら全ての式を加えれば,∀α∈Eに対し,

非自明な組:(x1,x2,::xn)に対する等式として,

σ1(α)x1+σ2(α)x2+..+σn(α)xn=0を得ます。

一方,[補助定理]によれば,これは全てがゼロの自明な

n個の組:x1=x2=..=xn=0でのみ成立する等式です。

したがって,矛盾が生じます。よって,m≧nです。

(証明終わり)

 

第6章ガロア拡大体,ガロア群

[定義6-1](自己同型写像)

体EからE自身への同型写像を自己同型写像

という。Eの自己同型写像全体は明らかに群を

つくる。Eの自己同型(写像)の集合Gが有限群

をつくるとき,当然,Gは恒等写像を含む。

そして,F={a∈E;σ(a)=a for∀σ∈G}

を.群Gの不変体(固定体)という。

また,Eの元αに対して,G=[σ12,..σn}なら,

S(α)=ΣGσ(a)(ΣGはG全体をわたる総和)

=σ1(α)+σ2(α)+..+σn(α)で与えられる

Eの元を,αのスプ-ル(spur;対角和)という。

[定理6-1]:S(α)は不変体Fの元である。

そして,EにはS(α)≠0であるような元αが存在

する。

(証明)β=S(α)とし,τをGの任意の元とすると

τ(β)=τ{Σσ(α)}=Σσ(α)=βより,β∈Fです。

何故なら,∀τ∈Gに対し,σj≠σならτσ≠τσk

より,G={σ12,..σn}={τσ1,τσ2,..τσn}

であることが明らかだからです。

そして,∀α∈Eに対して,S(α)=0なら,αの恒等式

として,1次関係式σ1(α)+σ2(α)+..+σn(α)=0を

得ますが,これはαをxに代えると,先の[補助定理]に

矛盾します。故に,S(α)≠0なるα∈Eが存在します。

(証明終わり)

[定義6-2](ガロア(Galois)拡大体とガロア群)

 体Eの自己同型写像のつくる群をGとし,Gの不変体

をFとするとき,EはFの「ガロア拡大体」であるという。

ぞして,GをEのF上の「ガロア群」という。

[定理6-2];体EがFのガロア拡大体のとき,その拡大次数

はガロア群Gの位数に等しい。

つまり,(E/F)=|G|=(G:1)である。

(証明)(E/F)=m,|G|=nとすれば.[定理5-14]

により,m≧nですから,m≦nを示せば十分です。

それにはEの(n+1)個の元α1,α2,..αnn+1

1次従属であることを示せばいいです。

そこで.次の連立方程式を考えます。

1σ1-11)+x2σ1-12)+..+xn+1σ1-1n+1)=0

1σ2-11)+x2σ2-12)+..+xn+1σ121n+1)=0

・・・・・・・・・・

1σn-11)+x2σn-12)+..+xn+1σ1n-1n+1)=0

簡略式では,Σk=0n+1kσj-1)=0(1≦j≦n)で

表わされます。そして,これらは,(n+1)個の未知数が,

それより少ないn個の方程式で与えられる系なのでEの

中に,非自明な解:(x1,x2,..xn+1)を持ちます。

jの少なくとも1つは非ゼロなので,一般性を失うこ

となくx1≠0と仮定しいぇおきます。

このとき,∀α∈Eに対して(αx1,αx2,..αxn+1)

もまた,この同次連立方程式の解です。

そこで,αx1がS(αx1)≠0を満たすように,αを選び

その後に,(αx1αx2,..αxn+1)を,改めて(x1,x2,..xn+1)

と定義し直します。するとまず,(x1)0です。

そして,方程式系:Σk=0n+1[xkσj-1k:)]=0(1≦j≦n)

に,左からそれぞれσjを施せば,Σk=0n+1j(xk]=0

(1≦j≦n)を得ます。さらに,これらn個を全て加えると,

Σk=0n+[S(xk]=0となります。

ところが,S(xk)∈Fであり,S(x1)≠0なので,結局,

これは,α1,α2,..αnn+1が1次従属であることを意味

します。それ故,m≦nであるべきすから(E/F)=n

=|G|です。(証明終わり)

[定義6-3]:σが体Fを元ごとに不変にするとき,σはFを

不変にする,とか,σはE/Fの同型写像である,という。

[定理6-2の系]:EがFのガロア拡大体で.GがFを不変体

とするガロア群のとき,Gは体Fを不変にするEの同型写像

の全体集合である。

(証明)Fを不変にするEの自己同型写像σがGに属さない

ならば,Fは,(n+1)個の自己同型写像の不変体となって,

[定理6-2]に矛盾します。故に,このσも.Gに属します。

(証明終わり)

[定理6-3]:G1,G2が体Eの自己同型写像の群で G1≠G2

のとき,これらの不変体は異なる。

(証明) G1,G2が同じ不変体Fを持つと仮定すると.

n=(E/F)=|G1|=|G2|ですから,G1≠G2の場合は,

(G1∪G2)がnよりも多い元を持つことになります。

しかし,(G1∪G2)の不変体も明らかにFですから,

(E/F)=|G1∪G2|>nとなって,矛盾します。(終わり)

[定理6-4](基本定理)

 EをFのガロア拡大体とし,その自己同型群をG,

つまり,自己同型写像全体のつくる群をGとする。

E/Fの中間体:Bに対してBを不変にするGの元

の全体のつくる部分群をUとすると,Uの不変体は

Bである。そしてBにUを対応させる対応は,E/F

の中間体と,Gの部分群との間の1対1対応である。

(証明)中間体Bを不変にするGの部分群をUとし、

その位数を,|U|=rとします。

そして,Uの不変体をB~とします。

するとBはUで不変なので,B⊂B~であり(E/B~)=r

ですから.(E/B)≧rです。

それ故.B=B~を示すには,(E/B)=rを示せば

よいことがわかります。

,さて,σ∈GをBに施すと,BはEの中に同型に写像

されます。すなわち,B~σ(B)(同型)です。

さて,σ12∈G,,σ1≠σ2なら,∀β∈Bに対して

σ1(β)=σ2(β)であるための条件は,σ1-1σ2(β)=β,

つまり,(σ1-1σ2)∈U,あるいは,σ2∈(σ1U)です。

同一の剰余類(σU)に属する自己同型写像が,体Bに

同じ同型写像を誘導するわけです。

つまり,σ2∈(σ1U)が,∀β∈Bでσ1(β)=σ2(β)

すなわち,B上で同じ同型写像である,ための条件です。

{G{=nのとき,n=rsなら,異なる剰余類(σU)

の個数はsです。つまりs=(G;U)=||G|/|U|です。

異なるs個の剰余類(σU)の代表元をτ12..τs

すると,これらは,体Bの上の自己同型写像と見なすこと

ができて,その不変体はFです。

何故なら,(τj)j=1sの不変体をF~とすると,τj∈G

より.∀a∈Fに対しτj(a)=aなので,まず.F⊂F~

です。他方.a∈F~で,τj(a)=aならτjは,aを

不変に保つGの元でもあるので,aはGの不変体に属し

a∈Fです。それ故,F~⊂F~も成立するため,F~=F

です。したがって,(B/F)≧sです。

この不等式を先に得た(E/B)≧rと合わせると

(E/F)=(E/B)(B/F)≧(rs)を得ます。

しかし,実際には(E/F)=n=(rs)なので,結局.

(E/B)=r,かつ,(B/F)=sであると結論されます。

以上から,E/Fの中間体Bに対して.Bを不変にする

Gの元全体のつくる部分群Uが一意に対応します。

また,Gの部分群Uに対して,Bを不変体とする中間体

Bが存在して対応する,という逆命題も成立します・

UはBを不変にするGの元の全体であり,Uに対して

Bは一意的に定まります。 (証明終わり)

[基本定理の系]::中間体BからEへのF上の同型写像

は,群Gの部分群Uによる剰余類から誘導されるものだけ

である。また,BはFのガロア拡大体である。

(証明)Gの元から誘導される(B/F)個以外に,BからE

への同型写像が1つでもあれば{(B/F)+1}個の同型写像

の不変体がBであることになるため.BのF上の次元と同型

写像の総数が一致するという定理に矛盾します。故に,

そうした同型写像は存在しません。そして,BはUの不変体

ですから,EはBのガロア拡大体です。(証明終わり)

(※[基本定理]における対応は,Gの部分群に,その不変体

を対応させるものです。Gには,体F,Uには,体B,単位群

{e}には,体Eが対応します。)

※EはBのガロア拡大体ですが,BはFのガロア拡大体とは

限りません。以下では,UがGの正規部分群で(σUσ-1)=U

であることが,UがFを不変体とするBのガロア群であるため

の必要十分条件であることを示します。

[定理6-5]:体Eは体Fのガロア拡大体あり,Gはガロア群

であるとする。そして,中間体Bに対応するGの部分群を

Uとする。∀σ∈Gに対して(σB)もE/Fの中間体であり,

対応するGの分群は(σUσ-1)である。

さらに,体Bが体Fのガロア拡大体であるための必要十分

条件は,UがGの正規部分となることである。

このとき,そのガロア群は.(G/U)に同型である。

(証明)σ∈GならσはEの自己同型写像ですから,(σB)

もBと同じく,E/Fの中間体です。

何故なら,BはEの部分体なので(σB)⊂Eであり,

(σB)も体であることは明らかです。一方,FはGの

不変体なので,(σF)=FであるからσBが中間体の

場合も同じ不変体です。

そして,(σB)の元はσ(β)((β∈B)と表わされます。

故に,τ∈Gが,全てのσ(β)を不変にするのは,∀β∈B

に対して,τ{σ(β)}=σ(β),つまり(σ-1τσ)(β)=β

となることが必要十分です。これは.(σ-1τσ)がBを不変

にすることを意味します。

それ故,τが(σB)を不変にする条件は,(σ-1τσ)∈U

が成立することであり,これはτ∈(σUσ-1)と値です。

したがって,(σUσ-1)が中間体(σB)に対応するGの

部分群です。

ところが,UがGの正規部分群なら,∀σ∈Gに対して,,

(σUσ-1)=Uです。中間体と部分群は1対1に対応する

ので,∀σ∈Gに対して,対応するGの部分群が同じなら.

中間体も一致するため,(σB)=Bとなり,σはEの上の

自己同型写像であると同時に,Bの上の自己同型写像でも

あることになります。ただし,(σB)の元を不変にする

自己同型写像:τは,(σU)の元ですが,Uが正規部分群

なら,τ∈Uでもあります。UがGの正規部分群である

ときは,UがB内でFを不変体とするガロアa群となり

Bがガロア拡大体となるための必要十分条件です。

そして,Bを不変にするガロア群の元:τは(G/U)

の剰余類(σU)の代表元として,1対1に対応する

ため,ガロア群と商群(G/U)は同型です。

逆に,BがFのガロア拡大体であるとき,UがGの

正規部分群でないなら,(σUσ-1)≠Uであるような

σ∈Gが存在し,σB≠Bです。よって(B/F)個の

ガロア群Uの元以外に(σF)=Fを満たす写像が

存在するわけです。このσはEの自己同型写像です

が,Bの自己同型写像ではありません。

これはガロア拡大体の条件に矛盾します。

したがって,UがGの正規部分群であることがBが

Fのガロア拡大体であるための必要十分条件です。

(証明終わり)

[定理6-6]:E/Fの中間体:B1,B2,にそれぞれ

自己同型部分群U1,U2が対応するとき,B1⊃B2

とU1⊂U2が同値である。

(証明) B1⊃B2のとき,σ∈U1なら,∀β∈B2

対して,β∈B1より,σ(β)=βですからσ∈U2

です。それ故,U1⊂U2です。逆に,B2⊃B1なら

1⊃U2が成立します。

[定理6-7]:体Fのガロア拡大体Eのガロア群を

Gとする。2つの中間体:B1,B2に対し,B1,B2

含む最小の体を(B12)とし,共通部分を(B1∩B2)

とする。B1,B2,にれ対応するガロア群をU1,U2

するとき,(1)(B12)には,(U1∩U2)が対応する。

(2)(B1∩B2)には,U1,U2を含む最小の部分群:W

が対応する。

(証明)(1)σ∈Gとします。

σが(B1B2)を不変にすることは,B1とB2を

共に不変にすることを意味し.これは,σ∈U1,かつ,

σ∈U2,つまり,σ∈(U1∩U2)に対応します。

  • 次に,中間体:(B1∩B2)に対応するGの部分群

をVとします。

すると,(B1∩B2)⊂B1,かつ,(B1∩B2)⊂B2です。

故に,[定理6-2]から,V⊃U1,かつ,V⊃U2です。

ところが,仮定により,WはU1,U2を含む最小の

Gの部分群ですからW⊂Vです。

そこで,Wに対応する中間体をBとすると,W⊂⊃U1,

かつ,W⊃U2より,B⊂B1,かつ,B⊂B2ですから.

B⊂(B1∩B2)です。故にW⊃Vであり,結局,

W=Vです。(証明終わり)

※途中ですが,今回はここで終わります。(つづく)

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