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2006年3月20日 (月)

私のライフワーク

 私(TOSHI)のライフワークの1つは,素粒子論における究極の基本理論を見つけることにあります。

 30年くらい前の学生時代の専門はQED (量子電磁力学)におけるトライアングル・アノマリー(triangle-anomaly)の研究でありました。

 でも,当時の主要論文は仕方なく書いたもので,"カラー・クォークの分子模型による群論的な考察=カラーによるエキゾチック粒子(exotic particles)の存在しない理由"を書いたもの,「カラーとして"1重項=無色"のハドロンしか観測されないのは何故か?」(投稿名は「quark molecule」)でした。

 不本意でしたが,それが大学院の修了論文でした。

 実際の専門では,もしも,カイラルバーテックス(chiral vertex)が1つある三角ループに量子アノマリーがなかったなら,中性π中間子が2つのγ(光子)に崩壊する確率はゼロなのですが,量子アノマリーが存在するためにシグマモデルによる計算で正しい崩壊寿命が計算可能になるというようなお話でした。

 当時は,「Brandeis Lecture」という論文集でS.Adler の論文を読んで感心し,こうしたことで,「くりこみ」における発散の困難が解消できるのではないかという期待を持ちましたが,今となっては幻想だったようです。

 単にγ5を含むカイラルカレントの共変的)なくりこみへの影響,あるいはγ5に伴う経路積分のヤコビアンなどによって,アノマリーは生じるとういうことを後に理解しました。

 最近になって,「くりこみ」というのは実数だと収束しないべき級数を2次元複素平面へと次元を増やして,うまく複素数にして,まわりこむ経路をつくって解析接続し収束させるようにする,ということに似ているなあ,と再認識しました。

  重力の共変的量子化の話も含めて,「くりこみ」などのいわゆる技巧に走らずに発散を除去できる,おそらく超対称性(susy)を持ったゲージ場,ひも(string:弦),ツイスター(twistar)などを包摂した統一場の理論を作ることがライフワーフだと言ったら,やはり,その筋の人なら,こいつは誇大妄想狂だと思われることでしょうね。

 もう,そういうことをやるには老い先短いし,「かなわない夢というのは夢ではない」(イヤ,逆かな?)と言われる人もおられるそうです。

 しかし,私にとっては,「結局は生きてるうちにはかなわないだろうなあ。」と思いながらも,現在ただいま,その夢を目指して微々たる努力をしている状態にあること自体にかなりの満足をおぼえています。

 むしろ,「神の領域」に近いことを目指している,という意味で,大きいということだけなら誰にも負けないくらい大きい夢だろうということが1つの自慢です。

 これが私の「夢=ライフワーク」です。

 ノーベル賞程度クラスの単なるシングルヒットではなくて一遍に,ホームラン,さらには逆転満塁ホームランを打つことを目指しています。なので最近は小さな論文も全然書いていません。というかモチベーションが湧いてきません。

 現在はとりあえず超弦理論(超ひも理論)を理解しようとして,グリーン,シュバルツ,ウィッテン(Green,Schwarz,Witten)の「superstring」やポルチンスキーの本を読んでいる段階です。

   まあ,単なる「ひとりごと」ですから大言壮語も許してください。

                                 TOSHI

http://fphys.nifty.com/(ニフティ「物理フォーラム」サブマネージャー)

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115. 素粒子論」カテゴリの記事

003. 日記・回想」カテゴリの記事

コメント

 ども藤掛健さん。。コメントありがとうございます。TOSHIです。

 この話はトフフトの論文からですね。

 回答は簡単なことです。

 カイラルアノマリーは電荷に比例するからですね。

 6フレイバーのクォークをカラー自由度で3倍してレプトンの電荷を総和してゼロなら全てのアノマリーの総和もゼロです。

          TOSHI

投稿: TOSHI | 2014年9月30日 (火) 18時22分

カイラルアノマリーの存在とレプトンの電荷の和がゼロになることとの関連を知りたい。たまたまそうなっているのか、それともなにか深い訳があるのか。昔、読んだ混合場理論を思い出す。確か梅沢敏夫が、光子の質量をゼロする条件を他の素粒子の存在に求めたというものだった。そういえばヒッグズ粒子がワインバーグ模型を繰り込み可能性にするというのも、混合場そのものだ。ワインバーグ模型はあまり好きではなかった。二つの力を統一するために湯川結合をさらに付け加えるのでは統一と呼べるかどうか疑問であったから。なにか不自然な人為的なものとしか思えなかった。

投稿: 藤掛健 | 2014年9月30日 (火) 06時34分

昨日ははじめてのお店で俊さんにお目にかかれ短い時間ではありましたが楽しく過ごさせていただきありがとうございました。僕も多少酔っていたので失礼があったらごめんなさい。俊さんのサイト楽しく興味深く読ませていただいております。これからもどんどん書いて下さいね。又お会い出来る日を楽しみにしています。お身体を大切にくれぐれもご自愛下さい。では又の日に。

大介より(小介かな)

投稿: 大介 | 2006年5月30日 (火) 15時41分

 いらっしゃい。。かんねんさん。。

 実は自分でもよくわからないことを書いています。(笑)

 かんねんさんの情熱にはいつも感服しています。

 お会いしたら、おそらく実物の私にがっかりなさると思いますが、いつか近いうちにお会いできることを期待しています。

TOSHI

投稿: TOSHI | 2006年3月29日 (水) 13時19分

ブログオープン,おめでとうございます。それから,いつもお世話になってます。私にはTOSHIさんの研究は難しくてわからないところだらけですが,時々見に来ますね。(^^)

http://fdh.way-nifty.com

投稿: かんねん | 2006年3月29日 (水) 11時09分

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