物理学史覚え書き
これは私が池袋の電子専門学校で物理学の講師をしていたときの講義録
の一つです。
表題「物理学とその歴史」
学問には科学的なものと非科学的なものがある。
非科学的なものの例 → 文学,音楽,美術など
科学とは?=いくつかの仮説,あるいは公理にしたがって論理的
な方法論で実証的体系的に論じた知識。
自然科学と社会科学がある。
1.科学の歴史
ギリシャ時代=自由な発想の時代 → 中世暗黒時代
(キリスト教会専制)=アリストテレスの世界観が支配(形而上学
=不可知論)
形而上学とは?=現象を超越しその背後にあるものの真の本質,
存在の根本原理,存在そのものを純粋思惟あるいは直感によって研究
しようとする学問。神,世界,霊魂などがその主要問題。
(広辞苑による) → 必然的に不可知論におちいる。
不可知論とは?=意識に与えられる感覚的経験の背後にある実在
は論理的には認識できないという説。
→ これらは信仰には向いている。
中世暗黒時代の終わり(← ペストの大流行)→ 宗教改革,
ルネッサンス→ 懐疑論の流行→ 科学のギリシャ時代以来の復権
→ 産業革命(1760年代)
2.物理学の歴史
物理学と数学はなぜ密接な関係にあるのだろうか?
ギリシャの自然哲学=ゼノンの背理,デモクリトスの原子論,
ピタゴラス,アルキメデス
ソクラテスとプラトン→ アリストテレスの世界観
=物体は押したり引いたり力を加えていなければ止まってしまう。
→ これを否定したのが,ガリレイ,ニュートンの力学的世界観
=因果律の悪魔=ラプラスの悪魔 ――→ 量子力学によって完全に
否定される。
力学的世界観 → 熱も電気も力学で説明しようとしたが失敗した。
力学的世界観によると"波動=振動"は媒質がないと伝わらない
→ "媒質のない波=電(磁)波=(光)"の存在
→ マッハ原理 → アインシュタインの相対性原理,
ここまでが古典物理学
現代物理学の夜明け=量子論の始まりと古典論からそれへの移行
3.問題
(1)1/3=0.333333…….である。では 1=0.9999999….は正しいか?
(2)死刑囚A,B,Cがいて3人のうち2人は明日処刑され残り
の1人は死刑を免除されることが決まっているがそれが誰かは看守
しか知らない。
この時点でAは自分が処刑される確率は2/3 であると思った。
そこでAは看守に自分のことは教えてもらえないだろうが他の
2人のことならかまわないだろうと言って看守にB,Cのどちらが
処刑されるのかとたずねたところBだと答えられた。
この時点で明日処刑される残りはA,Cのどちらかであり,確率
は 1/2 に減ったとAは思って喜んだ。さてこのAの思惑は正しい
のだろうか?
(3)ジェット機で世界一周しても中は無重力でないのに,なぜ
地球周回のシャトルでは中は無重力なのだろうか?
http://fphys.nifty.com/(ニフティ「物理フォーラム」サブマネージャー) TOSHI
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コメント
おっしゃるとおり、Bが処刑されると決まったからといって、Cが処刑されないという意味ではないので、質問の仕方は変えたほうがよかったですね。
これは「サーベロニの問題」という古くからある問題で、TTY時代のFSCIで何度となく流行し、そのどれかの時には私も回答しています。
おっしゃるとおり、条件付確率は2/3のままです。もし自分Aを名指しされる危険性もこめて質問したならば、本当に確率は1/2になったのですがね。
解答についてはおっしゃるとおりですね。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2006年3月31日 (金) 09時10分
問題(2)ですが、「B、Cのどちらが処刑されるのか」という質問の仕方に対してBという回答だとCは処刑されないことになってAにとっては嬉しくない状況のような気がします。
多分、そういう問題ではないと思いますので、「B、Cのどちらかは処刑されるはずだからその内の1人を教えて欲しい」というような質問に対してBという回答だとします。
回答を得る前は、処刑されるのは、(A,B), (B,C), (C,A)のどれかでそれぞれが等確率だと考えて問題ないと思います。回答を得た後は、(A,B), (B,C)の可能性に絞られるわけですが、回答によってCが処刑される確率は減少したけどAの処刑される確率は減少せず、Aの処刑される確率は2/3のままなのでしょう。つまり、(A,B)と(B,C)は等確率ではないということです。眠いのでちゃんと計算できませんが。
しかし、せっかく喜んでいるのだからそっとしておいてあげた方が良いのではないかという気がしなくもありません。
でも、真実を教えてあげて脱獄を勧めた方が良いのでしょうか?
投稿: 耕士 | 2006年3月31日 (金) 00時49分