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2006年4月17日 (月)

基礎物理学講義④(力と運動2)

②重力と万有引力

(ⅰ)運動方程式 

 加速度を質量と力で表わした式を運動方程式という。つまり,mである。

(ⅱ)万有引力の法則 

 あらゆる物体間には,その互いの質量の積に比例し,その間の距離の2乗に反比例する引力が働く。

 これをニュートンの発見した万有引力の法則という。

 接触していない2つの物体の間に力が働くというのは驚くべきことである。

 電気力や磁気力なども万有引力よりはるかに大きい力としてこうした遠隔作用をおよぼす。

 これらの力の原因は,現時点では,もう少し常識的に理解しやすい近接作用と解釈されている。

 万有引力の法則を式であらわすと,F=GMm/r2である。

 ただし,m,Mは2つの物体の質量(kg),rはその距離(m),Gはその比例定数で万有引力定数と呼ばれる。

 Gは,およそ6.673×10-11Nm2/kg2である。

(ⅲ)重力とは?

 地球の半径をR(m)とする。

 地上付近の物体は,まるで地球の全質量がその中心の一点に集まったかのような引力を中心に向かって受ける。

 この地上付近の物体が受ける万有引力を重力という。地上の場合,この力は地球の中心に向かっている。

 力の大きさは,F=GMm/R2だから運動方程式は,ma=GMm/R2でありGM/R2をgとおくと,落下の加速度aが,a=gとなるので,この加速度 g(m/s2)を重力の加速度という。

 地球が平らに思えるほど地球半径Rに比べて低い高さの地上付近では,重力落下の加速度gはほとんど一定と近似してよく,だいたい9,8m/s2である。

③ばねの力

 ばねを引っ張って伸ばすと,その力に比例してばねが伸びる。

 一方が固定されたばねを押すと,その力に比例してばねがちぢむ。

 このとき,ばねが手を引いたり押したりする力をとすると,それは手がばねに加える力と向きが反対である。つまり手の作用に対する反作用である。

 そこで,ばねの伸びる向きを伸びxの正の向きにとると,ばねが手におよぼす力の向きはxとは逆向きである。

 それ故,比例定数をkとして F=-kxと書ける。これをフック(Hook)の法則という。

 kをばね定数,または,ばねの力が弾性力であることから弾性定数という。

④運動方程式の解としての直線運動

(ⅰ)運動方程式とは?

 既に述べたように質量がmの質点の運動方程式は/m または,mである。

 あるいは微小時間Δtの間の速度の微小変化をΔとするとΔ/Δt=/m,これが運動方程式である。

(ⅱ)地球重力と落体の運動

 ア)自由落下運動

 ma=mgより,a=gである。

 t=0で,初速度vが v=v0=0で,初期の鉛直下向きの位置座標がz=0 であったとすると,時刻 t では,v=gt ,z=(1/2)gt2 ,v2=2gz となる。イ)真上への投げ上げ運動 ma=-mg t=0 ,で地面z=0から初速v=v0で真上に投げ上げたときの運動 v=v0-gt,z=v0t-(1/2)gt2である。

(ⅲ)摩擦(まさつ)と運動

 ア)静止摩擦力 

 物体が水平な机上に静かにおかれているとき,物体は静止しつづける。

 物体には重力と"机からの反作用=垂直抗力"Nが働いてつりあっている。

 これに水平な(横向きの)力 f を加えてみる。

 それでも物体が動かない場合これには机から物体に逆向きの水平な打ち消す力:F=- f が働いているにちがいない。この力Fを静止摩擦力という。

  f を次第に大きくしていっても摩擦力Fの大きさは決して f より大きくなることはなくいつも f と同じ大きさである。これが摩擦力の特徴である。

 しかし f がある値を越えると急に物体は動き出す。このときの f の大きさをF0と書く。この摩擦力を最大静止摩擦力という。

 F0は机に押しつける力の大きさ,つまり,"机から受ける力=垂直抗力"Nに比例する。これの比例定数をμと書き静止摩擦係数という。

 これには単位はない。比の値だからである。そして,F0=μNである。

イ) 動摩擦力(運動摩擦力)

 運動しているときにも,物体にはほぼ一定の摩擦力F’が働く。これを動摩擦力という。

 F’も垂直抗力Nに比例し,その比例定数μ’は動摩擦係数とよばれる。F’=μ’Nである。

 常にμ’<μである。逆ならおかしな矛盾がおきます。考えてみてください。

⑤運動量

(ⅰ)力積と運動量

 ニュートン(Newton)の運動の第2法則:ma=Fを書き下すと,Δt のあいだに力Fが働いて速度が v1からv2になった場合は,m(v2-v1)/Δt=F と近似的に書き表わせる。つまり,mv2-mv1=FΔt である。

 質量と速度ベクトルの積 mv をその物質の持つ運動量という。

 運動量は観測者によって,いろいろと異なる量である。

 たとえば旅客機の中で歩いている人の運動量は旅客機の中の人が観測すると小さいが,地上の人が観測すると非常に大きい。これは後に説明するエネルギーについても同じである。

 ある時刻からある時刻までの間の力Fは,その間に時刻ごとに変わる。

 時刻を t として力はF( t )という関数として書いてよい。

 このとき,力積とはその時間の力と時刻の積和である。すなわち,力積=ΣF( t )Δt,つまり,厳密には積分∫F( t )d t のことを力積というのである。

 先の運動の第2法則を書きなおすと,m22-m11=ΣFΔtとなる。ここでは,質量も時刻と共にm1からm2に変化すると想定している。(これが正しい第2法則である。)

 そして,(運動量の増加分)=(その間に受けた力積)である。特に力Fが時刻 t1から t2の間一定ならば,(受けた力積)=F(t2-t1)となる。

(ⅱ)運動量保存の法則

 ニュートンの運動の第3法則(作用・反作用の法則)によると,衝突した2つの物体は衝突しているごく短い時間ではあるが,互いに働く力は大きさ等しく向きが反対である。

 2つの物体1と2が衝突するとする。その質量を,それぞれm1,m2とし,衝突前の速度を v1,v2, 衝突後の速度をv1’,v2’とする。

 衝突時間をΔt とし,その間に1が2におよぼす力をF12,2が1におよぼす力をF21とする。作用反作用の法則によって,F21=-F12である。

 一方,1,2のそれぞれについてm11’-m11=F21Δt , m22’-m22=F12Δt である。21Δt+F12Δt=0 なので両方の式を加えるとm11’-m11+m22’-m22=0 となる。

 移項すると,結局,m11+m22=m11’+m22’が得られる。

 これが運動量保存の法則である。

⑥力学的エネルギーとその保存法則

(ⅰ)仕事 

 物体に一定の力を加えて,そののかかる向きに距離xだけ移動させたとき,この力は物体にW=Fx だけの仕事(力学的仕事)をしたという。

 1Nの力で1m移動したとき1J(1ジュール)の仕事をしたという。つまりJ=Nmである。

 の力を加えても移動方向xがの向きとθだけの角度をなすときは,仕事はW=Fxcosθとなる。摩擦力は必ず負の仕事をする。それはなぜか?

(ⅱ)仕事率 単位時間(1秒間)にする仕事の割合を仕事率という。

(ⅲ)運動エネルギー 

 止まっていた物体が速度になったとき,摩擦などの抵抗がないなら,それまでにされた総仕事量を物体が今持っている運動エネルギーであるという。

 つまり,加速度が になるように =mの力を受けながら距離 x を運動しその間に速度が 0 から まで変化したとすると,v2-0=2ax であるから,(1/2)mv2=max=Fx である。

 よって速度 ,質量mの物体の持つ運動エネルギーは(1/2)mv2 である。

 定義から, (運動エネルギーの増加分)=(加えられた仕事量)が成り立つ。

つまり,座標x1からx2まで移動する間に力 =m を受けて速度が 1から 2 に変化したとすると v22-v12=2a (x2-x1)であるから (1/2) mv22-(1/2) mv12=F(x2-x1)が成立する。

(ⅳ)位置エネルギーと力学的エネルギーの保存法則

 ある物体を,ある特定の固定した位置 xからある位置 x まで(速度ゼロのままでゆっくりと)持ってこようとしたとき,そのために必要な仕事をその物体の x における位置エネルギーという。

 この物体を速度ゼロで x0から x までもってくるとき加えるべき力を(-)とすると,その位置エネルギーはが一定なら,(-F) (x-x0) である。

 なぜ,でなく(-)かというと,はほっておいても自然に物体にかかる力で,(-)は,それの速度ゼロにしておこうとする力だからである。

 位置エネルギーは,U(x)=(-F)(x-x0)と表されるから,(1/2)mv22-(1/2)mv12=U(x1)-U(x2),つまり,(1/2)mv12+U(x1)=(1/2)mv22+U(x2)である。

 言い換えると,(運動エネルギー)+(位置エネルギー)=(常に一定)となる。

(ⅴ)力学的エネルギーが保存しない場合

 基準点,OからPまで物体を自然に働く力に抵抗してゆっくりと運んだときに,OQPという道筋とOQ’Pという異なる道筋で必要な仕事が異なる場合には点Pの位置エネルギーがPの位置だけで決まらず道筋で変わることになるので,位置エネルギーというものが存在できない。

 このような場合には,もちろん力学的エネルギーは保存しない。

 つまり,OQPQOと1回転して元のOに戻ったときに要した仕事量がゼロでない場合は位置エネルギーは定義できないし,力学的エネルギーは保存しない。

 たとえば道筋のどこかで摩擦力が働く場所が少しでもあれば摩擦力は必ず運動の向きと逆向きに働くから,負の仕事しかしないのでどちら向きに回転しても仕事はゼロにはならず,この場合力学的エネルギーは保存しない。

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