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2006年4月 2日 (日)

サルにもわかる相対性理論⑤

 順番は前後するのですが①の概要の続きです。

 (4)収縮の相対性,時間の遅れの相対性,双子のパラドックス

 AがBに対して速度vで運動していると,Bは「Aが収縮している」と観ます。

 常識では,BからみてAがちぢんでるのだから,Aからみると「Bは伸びている」はずでしょう。

 ところが,BはAに対して向きは反対だが,同じ大きさvの速度で運動しているので,Aからみても「Bは収縮している」のです。

 同じようなことが時間についても起こります。Bからすると「Aの持つ時計は遅れる」のですが,Aからすると「Bの持つ時計は遅れる」のです。

 こんなことがあるのでしょうか?

 でも,「公式」によるとまったく矛盾なく真実なのだからしかたがありません。 

 たとえとして,幅は一定ですが曲がりくねっている川に2本の同じ長さの橋がかかっているというものを考えてみましょう。

 一方の橋の上には太郎君,もう一方の橋には花子さんがいるとします。

 川は曲がりくねっているため,2つの橋は平行ではないので,2人はお互いに斜めの方向から橋を見ることになります。

 ですから太郎君が花子さんの橋を見ると本当の長さより収縮しています。つまり実際の長さより短かく見えるます。

 だからといって花子さんから見て太郎君の橋が自分より長く見えるのでなく,まったく同じように本当の長さよりちぢんで見えるのは言うまでもありません。 

 そして,相手の橋が短く見えるのはなぜでしょうか?

 それは相手の橋のかかっている向きが自分の橋の下の川の流れる向きに対して垂直ではなく傾いているからです。

 

 これと同じように,一定速度vで走るということが,実は自分に対して川のように流れていく時間に対して傾いているということでこれを理解します。

 つまり,ふつう傾いているというのは,ある直線がある直線と平行でなく一定の傾きを持っていることです。

 一定の速度で運動していることは,運動するものの座標が時間に対してある一定の傾きを持つこと,移動する距離が時間に比例することを意味します。

 もし太郎君と花子さんが時間について同じように流れている。

 つまり,共に止まっているか,同じ速度で同じ向きに走っていれば彼らの関係は2人のいる橋が時間の流れに対して,共に垂直であり,傾いていないことを意味します。

 つまり,流れは互いに平行なので,橋の幅はたがいにちぢんだりしません。

 しかし,花子さんが太郎君に対して運動していれば,流れの向きが傾いて花子さんの橋はちぢんでおり,花子さんからみても太郎君の橋がちぢんでいます。

 結局,こういうことになるのは,たがいの時間軸が平行でないからです。

 そして,橋と川の関係を逆転します。

 つまり,座標軸と時間軸を交代させると,こんどは運動がたがいの座標軸を傾かせるので,たがいに時間が遅れることになるのがイメージできると思います。

 しかし,2人の時計がどちらも相手より遅れるとしても,全く同じ場所で出会って時計を見比べることができない限り,深刻な矛盾はおこりません。

 ここで,「双子のパラドックス」というものを考えてみましょう。

 たとえば,共に15歳の双子の兄Aと弟Bがいて,Aのほうが地球から「光が地球の時間で10年かかる距離=10光年」の距離にある星まで,光速の80%,秒速24万kmで旅行して,すぐに折り返して地球に帰って2人が再会したとします。,

 このとき,2人の年齢がどうなっているか?を考えたとき,「矛盾があるのではないか?との疑い」のことを「双子のパラドックス」といいます。。

 これは,いったん別れた人が再び出会ってお互いの時計を見合わせることができる例になっています。

 光速の80%で,光が往復20年かかる距離を飛ぶのですからその宇宙船は25年で往復します。

 弟Bは兄が帰ってきたとき,15+25=40歳になってるはずです。

 ところが,兄Aの方はBからみてその時間が遅れています。

 計算によると,片道7年半,往復で15年しか年をとらないので,弟Bと再会したとき,15+15=30歳にしかなっていません。

 その結果として兄と弟の歳が違ってしまい,兄の方が若いことになります。

 これを「双子のパラドックス」と呼ぶ人もおられますが,ここまではパラドックスでもなんでもありません。

 これは,「ローレンツ変換の公式」をふつうに使って計算できる,まったく正しい結果でしかないからです。

 ところが,運動は相対的で,どちらかが止まっていて,どちらかが運動しているという違いがないことを知っています。

 そこで兄の方からみると,すなわち兄の宇宙船の方が止まっているという見方をすれば,逆に弟の方が兄の宇宙船に対して逆向きに光速の80%で飛んで往復したことになります。

 そこで,兄Aにとって15年がたつうちに,弟の方は25年ではなく,たった9年しか年をとらないということになります。

 こんどは弟のほうが兄より若いという逆の結果になります。

 2人は同じ地球で再会するわけですから,見方によって年齢が逆転するのは深刻な矛盾ではないか?というのが「双子のパラドックス」です。

 これも,実は,矛盾でもなんでもなく,兄の運動を止まっている弟が見るという立場では運動しているのは兄の宇宙船だけですが,

 止まっている兄という立場から弟をみる場合は,弟や地球だけでなく宇宙全体が反対向きにすごいスピードで運動していることになり,

 「2つの立場は必ずしも対等ではない」といえます。

 また,実は兄は地球に帰るときに必ず方向転換しなければならず,前の計算では,その方向転換の時間まで考えていなくて,経過時間ゼロで直ちに宇宙船を正反対向きの同じ速さにできると仮定しています。

 理想的には無限大のすごい加速,減速をおこなって速度の向きを逆転しなければならず,このため兄は莫大な「重力=G」を感じるはずです。

 実はそのような,「大きい重力の下では時間は極端に遅れる」のに対して,弟のほうはせいぜい「地球の引力による小さい重力」くらいしか感じないので時間はほぼふつうに進むことから矛盾は解消される,という見方もできます。

 「重力が大きい場合,その重力の底のほうでは時間の進みが遅れ,無重力では進みがふつうで時計の進みは重力の底より速い」ということが言えます。

 これは,「一定スピードで走る人の立場でみる"ふつうの相対性理論=特殊相対性理論"」ではなく,「曲がったり加速,減速運動している人がみても自然現象は同じというより複雑な相対性理論=一般相対性理論」にもとづく話です。

 だからといって,特殊相対性理論は,一定速度で運動しているものしか説明できないというわけではなく,観測する者が一定速度で運動してるだけです。

 加速運動しているものをも,もちろん説明できる理論です。 

(※これについては,加速運動を扱うには特殊相対論ではダメで一般相対論が必要であると誤解してる人が,かなりいたと思います。)

 (5)相対論的力学等は紹介しない。

 いままでの課題は,すべて空間の軌道だけを対象にした運動学の話です。

 空間の位置と速度加速度,および軌道だけを考える運動学だけでなく,質量や力などが軌道にどう関係してくるのか?というような「物理学法則」が入ってくる力学の話をするつもりなら,

 アインシュタインの相対論的力学以前にニュートン力学の初歩から説明する必要があるでしょう。

 力学まで考えれば,たとえば「エネルギーと質量の等価性」の問題,有名なE=mc2という式,それに原子核の質量の欠損から原水爆や原子力発電所のような莫大なエネルギーが得られることなども説明することができます。

 しかし,これら力学に属する話は割愛することにします。

http://fphys.nifty.com/(ニフティ「物理フォーラム」サブマネージャー)                                                  TOSHI

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コメント

 教えて下さい。

 宇宙空間に宇宙船が静止しています。船内には静子さんが乗っています。静子さんは時計 T を持っています。
 さらに同じ宇宙空間に宇宙船がロケットを噴射して、加速度 a で加速航行しています。船内には加子さんが乗っています。加子さんは時計 t を持っています。
 ある時刻に静子さんが、加速中の加子さんの宇宙船の瞬時速度を測ると V でした。この V の時に静子さんの時計が⊿T 経過する間に加子さんの時計を見ると⊿t の時を刻むとします。
 加子さんの時計は遅れて⊿t=⊿T√[1-V^2/c^2] ですよね?(トータルでは積分すれば良い)
 それではある時刻に加子さんが、静止中の静子さんの宇宙船の瞬時速度(加子さんが静子さんを見るとあたかも静子さんが加速しながら動いているように見えるという意味で)を測ると v でした。この v の時に加子さんの時計が⊿t' 経過する間に静子さんの時計を見ると⊿T' の時を刻むとします。
 加子さんの時計は遅れて⊿t'=⊿T'√[1-v^2/c^2] でよろしいでしょうか?(トータルでは積分すれば良い)
 等速運動の場合は互いに相手の時計が遅れるが、加速運動の場合は「静子さんが加子さんを見た場合も、加子さんが静子さんを見た場合も、どちらの場合でも加子さんの時計が遅れる」これでよろしいのでしょうか?

 以上大変お手数をおかけしますがよろしくご教授下さい。

投稿: パラノーマル | 2017年2月14日 (火) 08時47分

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