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2006年4月 5日 (水)

サルにもわかる相対性理論⑥

 コーヒー・ブレイクとして関連する話題を述べます。

①粒子と波

 高速走行している電車の内部で前方へボールを投げるのを,電車の外で静止している観測者が見ると,そのボールの1秒間の走行距離は,(電車の走行距離)+(ボール単独の走行距離)となるため,観測されるボールの速さは(電車の速さ)+(電車内でのボールの速さ)となります。

 ところが,その電車が前から秒速340mの音速で警笛を鳴らしたとしても,その音の速さは電車の外で空気中に静止している観測者にとって,やはり秒速340mのままで電車の速さにはまったく関係ありません。(風速ゼロと仮定)

 これがボールのような粒子と音のような波の1つの大きな違いです。

 では秒速340mという音の速さは,測る人によって違わないのでしょうか?

 それは,もちろん違います。

 これについては粒子でも波でもまったく同じで,飛んでくるものを追いかけるときは速さは小さく,飛んでくるものに向かっていくときは速さは大きくなります。

 (例外は光,電波です。)

 では測る人には関係ない値,例えば音速が秒速340mというのは何に対する速さなんでしょうか?

 これは実は音の波というのは媒質(電車の警笛の場合は空気)の振動が,それの弾性(圧力,粘性力など)によって伝わっていくものですから,「媒質=空気に対して静止している人の測る音波の速さ」ということになります。

 風が吹くと媒質が運動するので,観測者が風に関係なく止まっていると,観測される音速は「秒速340mに風速を代数的に加えたもの」となります。

(ただし,音速340m/sは摂氏15度での静止空気中でのおおよその値です。)

 これに対し,"光=電波"も波なのですが,これは電気振動で具体的に何か空気のような媒質が振動するわけではないのです。

 昔の人は無理に振動する”媒質=エーテル”というものがあると考えて,光という波の振動の媒質を説明しようとして苦労しています。

 もちろん,真空の宇宙空間に"エーテル"があったとしても別にかまいませんが,電気振動はそれとは無関係です。

 光というものは媒質を持たず真空中を伝わる波であるわけです。

 では,光速が秒速30万kmであるといわれていますが,これが媒質に対する速さでないのなら何に対する速さなんだろうか?という疑問がおきます。

 これは,アインシュタインの相対性理論とは何なのかということを知っている人にはすでに答は明らかです。

②地球と空気

 地球は秒速約500mで自転しています。

 もしも地球上の空気が自転する地球地面とすれちがうだけで,地球に引きずられないなら,いつも風速500mくらいの風が吹いてて立ってることもできません。

 でも幸いなことに,地球の地面にぴったり付いている空気は,ほとんど自転する地球と同じスピードで運動しているので,風が吹いたとしても普通はせいぜい秒速10m以内なのですね。

 これは地球と風のあいだに大きな摩擦が働いている結果です。地球は空気の層をひきずって運動しているのです。

 また,空気はどうして,地球表面から逃げずいつまでも留まっているのでしょう。

 それは地球に引力(重力)があるからです。

 重力はわたしたちが地上で浮きあがらずに立ったり,歩いたりできる原因ですが,空気も実は重力があるから地上にへばりついているわけです。

 重力がなくなったら体が浮いていいな。とか思っていると空気もなくなってしまいますから大変です。

 地面に近い方が空気が濃くて,高い山の上にいくと空気が薄くなるのは,空気の層が地球に引かれて上から下に重しのように重なっていて下の方にいくほど圧縮されているからです。

 月でも,地球の6分の1の引力があるのに,空気がないのは,単に地球と異なり偶然にでも大量の空気と遭遇することがなかったためでしょう。

 もし,仮に月に空気があったとしても,引力が地球よりはるかに小さいので,その層はかなり薄いものにはなるでしょうが。。。。

 ③ドプラー効果

 電車が警笛を鳴らしながら自分に近づいてくるときには音が高くなり,遠ざかっていくときには音が低くなるというのは経験したことがあるでしょう。

 これは近づくときには,音の振動数が大きくなり(同時に波長は小さくなり)遠ざかるときには音の振動数が小さくなる(同時に波長は大きくなる)ことを意味し,ドプラー効果という現象として良く知られています。

 これに対し光にももちろんドプラー効果は観測されています。

 光については,遠くの星から飛んでくる光は,その星が自分自身で独立に運動する速さが比較的大きくない限り,

 星は宇宙の膨張と共に地球から遠ざかっていくため,波長が長くなり振動数が小さくなって人の目には「光の波長が長い方にかたよる赤方偏移」を起こすことが観測され,ドプラー効果がその原因として知られています。

 赤方偏移といっても「光が赤くなる」と誤解しないようにしてください。

 たとえば「もともと青色の光であったものが黄色に観測される」というような現象のことです。

 光速は不変であるならドプラー効果は起こらないから光速不変は誤りという誤解もありますが,ドプラー効果は光源の速度には関係しますが観測する光速の大きさには関係ありません。

ここで音のドプラー現象について簡単に説明しましょう。

 ある音源があって,それがある一定の周期T秒で1回ずつ,音を発するとします。

 そして媒質に対する一定の音速をcとします。また,その音を発する音源は,ある速さvで自分のほうに近づいてくるとします。

 1回音がしてそれが速さcで観測者に聞こえたとします。

 次にT秒の後に2番目の音が発せられます。

 最初に観測者が音を聞いて,やはりcの速度で届く2番目の音を聞くまでの時間はT秒より長いでしょうか,それとも短いでしょうか?

 答えは「T秒より短い」ですね。なぜなら音の走る距離は最初の音より2番目の音のほうが短いからです。

 というわけで,近づいてくる音はその1回あたりの周期が短くなります。つまり振動数が大きくなるということです。

 波長は音速を振動数で割ったものですが,音速は音源の近づく速さに関係なく同じですから波長は短くなります。

 音源が遠ざかるときはこの逆です。

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