測地線(双子のパラドックス)
一般相対論によると,われわれの宇宙は4次元の擬リーマン多様体(semi-Riemanian-manifold),特にローレンツ多様体(Lorentz manifold)であるらしいです。
つまり,一般に質量やエネルギーのある付近では"測地線(geodesic)=最短距離=直線"は引力を受けたと同じような具合に湾曲します。
局所的(local)には等価原理が成り立ちます。
すなわち,ローレンツ多様体なので各点の近傍は"ミンコフスキー空間(Minkowski space)=特殊相対論の成り立つ空間"となり,最小作用の原理が成り立つ作用は固有時間(proper time)の積分にマイナス符号がついたもので表わされます。
つまり,測地線に沿う運動では固有時間が最大になります。われわれが普通に重力に逆らうことなく自由落下や静止をしているときに経過する時間が最大になるのです。
これに逆らう機械的な運動,例えば測地線に逆らう宇宙旅行などをすると彼の固有時間は静止している最大固有時間よりも当然小さくなるので時間は遅れるということになります。
特に,われわれの時空は「シルヴェスターの慣性律(シルベスターの慣性律)(Sylvester's law of inertia)」によって特殊相対論と同じ計量構造を持つので,平坦なときのミンコフスキー空間と同じく,直線=測地線でつくった三角形の1辺の長さは他の2辺の和より長くなります。
それ故,"まわり道をするほど時間は少なくて済む"という「双子のパラドックス(twin paradox)」が生まれるのです。
昔,浦島太郎は,別の星へと亀の形をした宇宙船に乗って星間旅行をして帰ってきたのではないか?,という推測から,この時間の遅れを日本では「ウラシマ効果」ともいいます。
実際,光速に近いスピードで最短の恒星系へ行って帰っても,その間に地球で数十年から数百年たっていた。というのは当然ある話です。
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TOSHI
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