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2006年5月26日 (金)

光子の干渉とコヒ-レンス

 ヤングの干渉実験(Young's double-slit interferance experiment)については古典論的には,"光=電磁波"の干渉という意味でよく知られています。

 一般に,光源というのは古典的な電流であり,それによって放射された電磁波はあらゆる方向を向いたカオス光となります。そのうちでコヒーレント(coherent:可干渉)な波だけが干渉します。

 この可干渉性((コヒ-レンス)は時間的なものと空間的なものがありますが,一般に電磁波のうち電場の自己相関関数で表現できます。同時刻に位置と方向がほぼ重なり合った波同士しか干渉できません。

 一方,量子論では光は1個,2個とカウントできるもので光子(フォトン:photon)と呼ばれます。ヤングの実験は光子が1個しかないような弱い光でも干渉し,強い光と同じ結果を示すことが知られています。

 QED(量子電磁力学)で古典電流から発生する光子の散乱行列(S行列)を計算すると,運動量空間のある領域に光子が n 個検知される確率は平均光子数 m に関するポアソン分布Pn=e -nn /n!で与えられます。ただし,mは電磁カレントJμ から決まります。

 (PS:後の記事ですが,2006年12/16の「電流によって発生する光子の個数分布」参照)

 しかも,量子論的には光子数を確定させると,波としての位相φは全く不確定になります。これは,交換関係: [n ,φ]=1/2 に由来するΔn Δφ ≧ 1/2 で表現されます。

 これは粒子性と波動性が相反するものであるから予想されることです。そもそも純粋な粒子は干渉できないはずですから,1個の光子が干渉するとはどういう意味なのか?についての考慮がなされるべきです。

 上述したことなどから,量子論的に1個の光子が干渉している状態というのは平均光子数が1個のポアソン分布をした光子群が干渉していると見なすことができると思います。

 つまり,量子論的にコヒーレント(可干渉)である状態とは丁度 Δn Δφ=1/2 であって個数と位相を同時確定できない限界にある状態です。

 量子光学では1個の光子のコヒーレント状態とは,光子の平均個数が1のポアソン分布をした状態であると定義されているようです。

(追伸 : ここらへんの話は私自身,ちょっと誤解があるかもしれません。

 今,Loudon著(小島訳)の「光の量子論」(内田老鶴圃)を読んで検討中です。その後,「光電効果」を波動論で説明することができるかどうかという問題に挑戦する予定です。)

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