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2006年7月18日 (火)

数学遍歴について

 学生時代の専門科目は理論物理学の素粒子論という,いわば"物理学の王様"でした。

 これ自体は他には応用が効かない,つまり何の役にも立たない代わりに物理,数学を含め,あらゆる知見がこれに役に立つ,あるいはこれを理解するためにはほとんど全ての知見が必要である,

 という意味では,

 "素粒子論は数学の女王様である数論(整数論)によく似ている。"

と感じます。

 大学生の頃には数学を全てマスターした後でなければ理論物理学には着手できないなどという思いがあって,学生運動やそれに必要な社会科学系の勉強の合間には全く物理はやらず,数学ばかりやっていました。

 しかし,やがて数学を全てマスターすることなど無理である,不可能である,ということがわかってきたので,そのときどきに必要な数学をつまみ食いするようになりました。

 しかし,純粋数学へのあこがれは強く,物理学科で2科目だけ足りなくて大学を留年した1年間は,ほとんど数学科の専門講義に出席していました。

 そのころは連続体仮説が解決していたことを知らず,これに挑戦しようなどという不遜な考えもありましたが,

 まあ,一応,本業は物理屋だったので物理数学として必要な解析学の勉強が主となり,W.Rudinの「Principles of Mathematical Analisys」(後に日本名「現代解析学」として翻訳出版)から始めました。

 まず,これで集合,写像,実数の連続性(デデキントの切断)を学びました。

 函数解析に類するものは,W.Rudinには有限次元空間の解析しかなかったのですが,数学科の解析学の講義ではバナッハ空間etc.にも言及していました。

 それから,フーリエ(Fourier)解析,ルベーグ・スティルチェス(Lebesgue-Stieltjes)積分で解析は終わりでした。,測度論はW.Rudinの本では詳しくなかったので別の本で学びました。

 特に,コディントン・レヴィンソンなどの「常微分方程式論」を読んで微分方程式の存在定理にはまったことがありました。

 微分方程式の解の存在に関しては,特にリプシッツ条件を仮定せず,アスコリ・アルツェラの定理を用いたペアノの存在定理や直接,折れ線近似の極限が解になるいうコーシーの折れ線法に凝ったり,コワレフスカヤの優級数の方法によってべき級数解の存在定理を証明することなどに夢中になった時期もありました。

 もちろん,函数論や線形代数学,そして素朴な物理数学の意味で成分の変換構造だけを扱うベクトル解析やテンソル解析を履修したのもその頃ですね。

 その後,古典物理学を幾何学化してやろうと思って着手したけれど挫折し,後にアーノルドなどが力学系という数学の一分野で既にかなりの部分をやった後だということを知りました。

 一時期はアーベルやガロアの代数学のうちの代数方程式のベキ根による可解性にのめりこみました。

 アーベルの方は高木貞治の「代数学講義」の中にあるラグランジュの方法によるところが大きく,結構わかりやすいものでした。

 しかし,ガロアのほうはアーベルのように泥臭いアプローチではなく,簡単にいえば「方程式の係数のつくる体にベキ根を添加する,ことによって拡大していった体が,やがてその方程式の根をすべて含むようになるならば可解であるというものでした。

 そして体の拡大には群(ガロア群)が伴ない,上記の体の言葉で可解というのは,それらに伴なう『群の正規部分群の縮小列において商群がアーベル群となって最後に単位群になること=可解群であること』と同値である。」というものです。

 係数体を不変に保つ群が代数方程式の根に関する"置換群=対称群"と同型である,というものですね。

 そのうち,微分方程式のフックス群に興味が移り,メビウス変換での保型形式と線形常微分方程式の解とかの関係から,久賀道郎の「ガロアの夢」を読み返した頃もありました。

 これは,現在はペンディング中です。

 それに出会った当時は,ガウス(Gauss)やポアンカレ(Poincare')の天才ぶりに驚愕したものでした。

 こうした関係からゼータ函数に関するリーマン予想にたどりついても不思議はありません。まあ,数論の素数定理には驚いたものでした。

 ゼータ函数は物理学のくりこみとも関連しているらしいし,超伝導のボーズ・アインシュタイン凝縮にも関係があります。

 まあ,数論のほうは入門書を数冊読んだ程度ですが,これに関連して最近,公開鍵暗号についての理解は深まりましたね。

 もちろんフェルマー予想(=現在では予想ではなく定理ですが)にも興味はありますが,証明の経緯はわかっても,その全貌は私の力ではまだ理解できません。(ちまたには未だ怪しげな書物が出回ってるようですね。)

 量子論とはディラックの変換理論がほとんど全てのエッセンスである,と考えるようになり,超選択則と関わる素粒子の分類も,その抽象空間の大域的対称性からくるものであるとかの関連性から,リー群の線形表現は不可欠なのでそれを勉強したりしました。

 また,一般相対論の幾何学性との関連や,局所的対称性とゲージ理論との関係から,微分幾何学や多様体論,弦理論(ひも理論)との関係からホモロジー,コホモロジーの関係でトポロジーをやるとか留まることを知りません。

 これから挑戦しようと思っているのはリーマン予想は夢ですが,ウェーブレット解析や途中になっている確率微分方程式などですかねぇ。

 いや物理もやらなくちゃ寿命は待ってくれません。

http://fphys.nifty.com/(ニフティ「物理フォーラム」サブマネージャー)                                       TOSHI 

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