フィボナッチ数列を解く
1,1,2,3,5,8,13,21,34.55,...,と続いていく数列をフィボナッチ(Fibonacci)数列といいます。
これは前の2つの数を加えたものが次の数になるという数列
であり,漸化式:an+2=an+1+an(n≧1,a1=1,a2=1)で定義
されます。
図形的には,環状列石(StoneーHenge;ストーンヘンジ)や生物
の巻貝(アンモナイトetc.)などに見られるファイ螺旋,美術に
おいて有名な黄金分割の構成を示すものでもあります。
この数列のnによる一般項の表現を,高校生のときのような
方法で解いても面白味がないので,関数方程式の行列表現として
解いてみます。
まあ結局は同じことで,内容は陳腐な試みですが。。
先に述べたようにフィボナッチ数列を定める漸化式は
an+2=an+1+an(n≧1,a1=1,a2=1)で与えられますが,
これは行列形式では次のように書けます。
すなわち,An≡t[an,an+1],P≡[P1,P2];P1≡t[0,1],
P2≡t[1,1]と置けば,フィボナッチ数列の漸化式はAn+1=PAn
と書けます。
それ故,An=Pn-1A1となります。
ただし,上添字tは転置行列(transport matrix)を意味します。
例えばt[0,1]は行(横)ベクトル(1×2行列){0,1]を転置した
列(縦)ベクトル(2×1行列)を意味します。
ここで,固有値問題PX=λXを解きます。
これの解の固有値は固有値方程式:det(λE-P)=0 を解けば
得られますが,この方程式は謂わゆる数列の特性方程式:
λ2-λ-1=0 です。
この2次方程式の2つの根はλ±≡(1±√5)/2ですが,このλ±
が固有値問題PX=λXの固有値λの2つの値を与えます。
一方,固有値λ=λ±に属する固有ベクトルをX±とすると定数倍を
別にしてX±=t[1,λ±]と書けます。
これらにより,PX±=λ±X±(複号同順)が成立します。
そこで,2×2行列BをB≡[X+,X-]で定義すると,
PB=[λ+X+,λ-X-]です。
したがって,Λを固有値λ±を対角成分とする2×2対角行列
とすると,PB=BΛが成立します。
これから,Λ=B-1PB,P=BΛB-1であり,それ故,
Λn=B-1PnB,Pn=BΛnB-1が成立します。
An=Pn-1A1に戻り,これの左からB-1を掛けると
B-1An=(B-1Pn-1B)B-1A1=Λn-1B-1A1を得ます。
A1 =t[1,1], B-1A1 =t[1-λ-,-1+λ+]/√5
=t[λ+,-λ-]/√5ですから,B-1An=t[λ+n,-λ-n]/√5 です。
以上から,An=t[an,an+1]=Bt[λ+n,-λ-n]/√5より,最終的に
an=(λ+n-λ-n)/√5 が得られます。
(ネタがないからといって,16年前に予備校でやった計算を蒸し返して
いるなんて,我ながら全然進歩がないですね。)
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