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2006年7月31日 (月)

水中の物体(重心と浮心)

 一様密度の角材が水に浮かんでいる場合,一般にどのような角度で浮かぶのが安定であるのかを考えてみました。

 浮かぶ場合はもちろん浮力=重力で,しかも静止状態では重心と,"浮心=水没している部分の重心",は鉛直一直線上にあります。

 そして重心にかかる重力は下向き,浮心にかかる浮力は上向きで,どう浮かぼうと水没している部分の体積は浮かび方に依らず同じであり,重心の位置も全く変わりませんが,浮心の位置の方は,水没した部分の形状つまり傾き方によって異なります。

 さらに,浮かんでいる場合には水没している部分の体積が全体の体積より小さいので,鉛直線上で浮心のほうが重心より必ず下にあります。

 そして,その状態からどちらかに傾いた場合には,重心と浮心を結ぶ向きが鉛直線上から,わずかにずれるため,重力と浮力が偶力になって"回転のモーメント=トルク"が発生するでしょうね。

 そして,例えば角材が水平な状態にあったとして,そこから微小な角度だけ左に傾けたとき角材の水没部分は傾いた形になって一般に重心を x 軸(水平軸)の原点とするとき浮心は原点の左右どちらかに移動すると思います。

 左に傾いた状態でも浮心が重心より左に移動するなら復元し,左に傾いたとき重心よりも右側になるなら倒れると思います。

 浮心は重心よりも下にありますが重心と浮心の鉛直距離は棒(角材)が立って浮かんでいる縦状態の方が,棒が寝ていて水平に浮かぶ横状態よりも,もちろん大きいはずです。

 それが縦と横が区別できる所以でもあります。

 それ故,棒を元位置から僅かに左に傾けたとき,傾角が同じなら,そのときには傾ける前の重心真下の元の浮心が移動して来た場所は,"重心=原点"から見て,棒が縦状態であった場合の方が棒が横状態であった場合よりも右側です。

 そこで,僅かに左に傾けたときに,僅かに移動してできた新しい浮心も,棒が縦だった場合には,重心より右のままに残って倒れやすく,棒が横だった場合だと重心より左になって復元すると推察されます。

 では,水中の断面が正方形の角材だとどういう状態が安定なのか?を計算してみましょう。

 すなわち,縦と横がわかる角材なら,既に横に浮かべた方が安定であると上で結論しましたが,

 さらに,その横状態で浮かんでいる場合に,それを横から見た2次元断面が丁度正方形であるとしたら,どの角度で浮かんでいるのが最も安定な状態なのか?という向きを調べてみます。

 簡単のために,角材の比重は 0.5 であるとします。

 重心や浮心をどう計算するかというと,中学校で習うことですが,三角形の重心がどこにあるかについては我々は既によく知っています。

 横からみた断面が一般の多角形の場合には次のようにします。

 多角形を,幾つかの三角形に分けて,それぞれの三角形の重心に,それにかかる重力に相当する三角形の面積を掛け,一方,位置不明の全体の重心が全体である全面積を支えていると仮想して力のモーメントが釣り合う方程式を立てます。

 一般の四角形の重心の計算はかなり面倒なのですが,まず,角度αだけ水平から傾いた場合の正方形断面のうちの"水中部分の重心=浮力の中心(浮心)"をベクトルを使って求めます。

 そして,その x 座標から,自明な"正方形断面の重心=正方形断面の中心の" x 座標を引いたもの,つまり重心を原点としたときの浮心のx 座標を求めました。

 詳細な計算は省略しますが,重心を原点としたときの浮心のx 座標は正方形の1辺の長さを a とすると (a/12) sinα(1-tan2α)となります。

 これによると,αが正,
つまり左に傾いた場合,αが45度より小さければ,この浮心の x 座標は正になって浮心は重心より右下に移動して上向きの浮力が働くため,さらに左回転が加速されて復元せずに倒れます。

 また,αが負の場合(右に傾いた場合)も,逆に浮心が重心より左下になるのでやはり復元せずに倒れます。

 しかし,αが大きくなり,|tanα|>1になると,傾きとは逆向きのモーメントが働いて復元するようになります。

 結局,"αが45度のときに最も安定である。"という結論が得られました。

 ということは,角材は,45度傾いて角のとがっている部分が上にある状態の方が,面が水平になって浮かんでいるよりも安定ということになります。

 ,そこで,自然のままに任せるなら,"ほとんどの均質な角材は角を上にした状態で浮かぶ。"ということになりますね。

http://fphys.nifty.com/(ニフティ「物理フォーラム」サブマネージャー)                                       TOSHI 

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