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2006年9月 3日 (日)

n変数の相加平均と相乗平均

 今日は,数学の統計学の話題です。

 

 n変数の相加平均と相乗平均(幾何平均)を考察します。 

 "(相加平均)≧(相乗平均)"という公式の意味は,変数の場合には,

"x,yが正の数のとき{(x+y)/2}≧(xy)1/2(等号はx=yのとき)が成り立つ。" ということです。

 

 この不等式の成立は自明なのでワザワザ証明はしません。

 

 では,一般のn変数の場合の"(相加平均)≧(相乗平均)"の公式である{(∑i=1ni)/n}≧(Πi=1ni)1/n (は全て正の数)はどのように証明すればいいのでしょうか?

 

 まあ,一応は数学的帰納法(induction)を用いればいい,ということはすぐに気が付くでしょうね。 

 まず,n=2M のときにはこの不等式が成立すると仮定して,n=2M+1のときにも成立することを証明します。

 

 {(∑i=1ni)/n}≧(Πi=1ni)1/n (n=2M) が成立すると仮定すると,

n+1,n+2,.,2M+1,2M+2,.,2M+1の総個数も丁度 2Mですから,

 {(x+y)/2}≧(xy)1/2を使うと,

[{(∑i=1ni)/n+(∑j=1nn+j)/n}/2]≧{(Πi=1ni)1/nj=1nn+j)1/n}1/2  となります。n=2Mです。

 

 故に,{(∑i=12ni)/(2n)}≧(Πi=12ni)1/2n (2n=2M+1)成立します。

 

 そこで,n=2M+1のときにも{(∑i=1ni)/n}≧(Πi=1ni)1/nが成立することが示されました。

 

 すなわち,数学的帰納法により,nが2のベキ乗のときには,常に"(相加平均)≧(相乗平均)"が成り立つことが証明されたわけです。

 では,nが2のベキ乗でないときはどうでしょうか?

 

 このときには,2M-1<n<2Mを満足するMが必ず存在するはずです。

 

 そこで,N≡2M,n1≡N-n,<x>≡{(∑i=1ni)/n}と置きます。

 

 このとき,Nは2のベキ乗なので既に証明した事実によって,

 {(∑i=1ni+n1<x>)/N}≧{(Πi=1ni)<x>n1}1/N

 が成立します。

 

 ところが,この不等式の左辺は丁度<x>に等しいので,両辺をN=2Mすると,<x>N≧{(Πi=1ni)<x>n1となります。

 

 さらに,<x>N≧{(Πi=1ni)<x>n1両辺を<x>n1で割ると,

 <x>ni=1ni)となります。

 

 結局,nが2のベキ乗に等しいとは限らない一般の場合にも,

 <x>={(∑i=1ni)/n}≧(Πi=1ni)1/n

 が成立すること,が示されました。

 

 この後半の証明にはちょっとした工夫が必要でしたね。

  

 これはン十年前,大学の授業で習ったときの記憶なので,参考文献は不明です。

http://fphys.nifty.com/(ニフティ「物理フォーラム」サブマネージャー)                                       TOSHI

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