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2006年10月 9日 (月)

非共変ゲージの非局所性(電磁場)

今日は電磁気学のごく軽い話題を一つ述べてみましょう。

 

真空中のMaxwell方程式において,電場を,磁場をとするとき,

電磁場のスカラーポテンシャルをΦ,ベクトルポテンシャルを

とすれば,=∇×,=-∇Φ-∂/∂tと書けます。

 

 もしも,非共変ゲージ(gauge)であるCoulombゲージ:=0 を

 採用するなら,例えばΦの満たすべき方程式は,∇=ρ/ε0より

 ∇2Φ=-ρ0というPoisson方程式になります。

 

 これを解くためには,"2G=δ3()を満たし無限遠でゼロとなる

 球対称なG()=Green関数がG()=[-1/(4πr)]で与えられる

 こと"を利用します。

 

 G()を用いれば,2Φ=-ρ0の解である一般的な

 スカラー・ポテンシャルは,

 Φ(,t)=(1/4πε0)∫d3'[ρ(',t)/|'|]

 で与えられることがわかります。

  

 これは,静電Coulombポテンシャルと同じ形になっていて,

 見かけ上は何の問題もないように見えます。

 

 しかし,実は定常的で電荷密度が時間的に一定:

 ρ(,t)=ρ()の静電場とは異なり,電荷密度ρに時間t

 が含まれていることに気付きます。

 

 そこで,一見したところ,右辺の∫d3'の積分により,時刻t

 での'電荷密度ρ=ρ(',t)の瞬間の変化が即座に,

 つまり超光速でスカラーポテンシャルΦ(,t)に反映される

 ことになります。

 

 それ故,このポテンシャルは"相対論を破っている=非局所的

 である(超光速である)"ことになり,結果,物理的に因果律と矛盾

 するように見えます。

 

 しかし,スカラーポテンシャルΦは観測可能量ではなく,観測

 される量で,このΦと関係あるのは電場=-∇Φ-∂/∂t

 のみですから,問題ないことがわかります。

 

 すなわち,電場はゲージ変換の不変量ですから,非共変な

 Coulombゲージを取ろうと,相対論的に共変なゲージ,例えば

 Lorenzゲージ:∇-(1/c)(∂Φ/∂t)=0 を取ろうと, 

 =-∇Φ-∂/∂tは全く同じ値の電場を与えます。

  

 見かけ上は,相対論を破っている,非局所的であるように

 見えても,観測される量という意味では相対論との矛盾はない

 といえるわけです。

http://fphys.nifty.com/(ニフティ「物理フォーラム」サブマネージャー)                                       TOSHI

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