量子力学の交換関係の問題(その2)
今回も量子力学の交換関係の問題を解きます。
"線形演算子:A,Bが,[A,[A,B]]=0 または[B,[A,B]]=0 を満足するとき,eAeB=e{A+B+[A,B]/2}が成立することを証明せよ。"
という問題です。
[解答] [A,[A,B]]=0 と仮定し,関数f(x)をf(x)≡exAexB と定義します。このとき,もちろんf(0)=1です。
また,f(x)をxで微分すると,df/dx=AexAexB+exABexB ={A+exABe-xA}f(x)と書くことができます。
そこで,今度はg(x)≡exABe-xAという関数gを考えます。
するとg(0)=B です。
次にこれをxで微分すると,dg/dx=exA[A,B]e-xAですから,
x=0 とおいてg'(0)=[A,B]です。
さらに微分すると,d2g/dx2=exA[A,[A,B]]e-xAよりg"(0)=[A,[A,B]]を得ます。
結局,帰納的に考えると,g(x)=exABe-xAは,g(x)=B+[A,B]x+[A,[A,B]]x2/2!+[A,[A,[A,B]]]x3/3!+..とMaclaurin展開されることになります。
そして,特にx=1とおくと,g(1)=eABe-A =B+[A,B]+[A,[A,B]]/2!+[A,[A,[A,B]]]/3!+..が成立します。
まあ,これは余談ですね。
ところで,仮定より[A,[A,B]]=0ですから,この場合には
g(x)=exABe-xA=B+[A,B]xとなりますね。
したがって,df/dx={A+B+[A,B]x}f(x)です。
f(0)=1という条件下でこの線形微分方程式を解くと,解は一意的で
f(x)=e{(A+B)x+[A,B]x^2/2}となります。
これにx=1を代入すると,f(1)=eAeB=e{A+B+[A,B]/2}
が得られます。
一方,[B,[A,B]]=0 のときは,
df/dx=exAAexB+exAexBB
=f(x){e-xBAexB+B} と書けます。
そして,[B,[A,B]]=0 ならe-xBAexB=A+[A,B]xなので,
df/dx=f(x){A+B+[A,B]x}となり,同様にして
同じ結果が得られます。
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