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2006年10月13日 (金)

超弦理論テキストにおける計算ミス

 ちょっとブログネタに困ったので,いささか僭越ながら超弦理論(superstring theory)について勉強している私のノートの中から,英語のテキストで計算ミスと思われる部分の修正について書いてみます。

問題の超弦理論のテキストは,1999年7月から2000年9月頃まで読んでいて,最近また再読を始め,またp.276でスピン群の表現の理解のために私の読書がストップしている本です。

 

それは,M.B.Green,J.H.Schwarz & E.Witten 著「Superstring Theory,(vol.Ⅰ)」というテキストです。この中の計算ミスがちょっと気になったので,ここで指摘しておこうと思います。

 

問題の箇所はChapter.4(第4章)Worldsheet Supersymmmetry in string theoryの部分です。

 

第4章でボソン弦にフェルミオン・パートナーを加えたもののうち,時空次元がD次元のNS型の弦での光錐(lightcone)ゲージにおいて,弦の角運動量を示すJμν=lμν+Eμν+Kμν=Lμν+Kμνのうち,ボソン部分の交換関係の式が間違っていると思ったのです。

 

すなわち,p.213の(4.3.17)の表式[Li-,Lj-]=-(p+)-2mΔm-miαmj-α-mjαmi)において,(4.3.18)式ではΔm=m(D-2)/8+(1/m)[2a-(D-2)/8]が与えられているのですが,これが私のチェックした計算と異なっています。

私の計算によると,Δm2=-[(D-2)/8](m3-m)+2m2-2ma+2m2(m-1)=[-(D-2)/8+2]m3+m[-2a+(D-2)/8]より,-Δm=m(D-18)/8+(1/m)[2a-(D-2)/8]となりました。

 

私は自分の計算の方が正しいと信じて,以下読み継いでいます。

フェルミオン部分の交換関係については,[Ki-,Kj-]=(p+)-2m-miαmj-α-mjαmi)なので,いずれの表式でもD=10(時空が10 次元)でa=1/2のときに,正しい交換関係[Ji-,Jj-]=0 が得られます。

 

D=10,a=1/2でアノマリー,あるいはゴーストが消えるのは,どちらの計算結果でも同じなので,まあ理論全体にとっては全く問題ないのですが,ちょっと気になるミスだと私は思ったので,書いてみました。

第2章(chapter.2)のボソン弦における同様な式ではチェックの結果,計算に間違いはなくD=26(時空が26次元),かつa=1でアノマリーあるいはゴーストが消えます。

  

ボソン弦だけでは基底状態にタキオンが現われるのが欠点ですが,スーパーストリング(超弦)ではタキオンは現われず,基底状態のモードの質量が ゼロになるのがいいところですね。

 

そういえばポルチンスキー(Polchinski)もせっかく高価な洋書2冊「String TheoryⅠ,Ⅱ」を買って読み始めた矢先に日本語訳の「ストリング理論」が出版されて,私はやはり安易な道に走ってしまいました。

 

参考文献:M.B.Green.J.H.Schwarz&E.Witten「Superstring theory」vol.Ⅰ,Cambridge universal press 

 

http://fphys.nifty.com/(ニフティ「物理フォーラム」サブマネージャー)                                       TOSHI

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