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2006年10月30日 (月)

ベルヌーイ数とゼータ関数

 前記事の続きです。今日はベルヌーイ数(Bernoulli number)とゼータ関数の関係の一部について述べてみたいと思います。 

 まず,Bernoulli多項式:Bn(x)というものを定義します。

 

 "n(x)はxx+1n(y)dy=xn が成立する唯一の多項式である。"

 と定義します。

 

 Bernoulli多項式:Bn(x)の定義が一意的であることは明らかです。

 このBn(x)が,n(x)=∑r=0n(-1)rnrrn-r

 =B0n-n1n-1n22n-2-..(-1)n-1nn-1n-1(-1)nnと書けることは,右辺を直接積分してみればわかります。

 

 実際,上のn(x)の表式の右辺の変数xをyに変更し,[x,x+1]の区間でyで積分すると,∑r=0n(-1)rnrr[(x+1)n+1-rn+1-r]/(n+1-r)

となります。

これは前記事で得た公式:S(x)=∑r=0n[nrrn+1-r/(n+1-r)]において,xの代わりに(-x-1),および(-x)をそれぞれ代入したものの差を取って(-1)n+1を掛けたものに等しいです。

 

すなわち,xx+1(-1)rnrrn-rdy=(-1)n[S(-x)-S(-x-1)] です。

 

(x)はSn(x+1)-Sn(x)=(x+1)nを満たすxの(n+1)次多項式ですから,この等式のxを(-x-1)に置き換えると,

  

(-1)n[S(-x)-S(-x-1)]=(-1)n(-x)n=xn

  

を得ます。

 

したがって,多項式の[x,x+1]の区間での積分の一意性によって,

n(x)=∑r=0n(-1)rnrrn-rが示されたことになります。

これによって,text/(et1)=∑n=0n(x)tn/n!なる恒等式が成立することもわかります。

 

なぜなら,右辺のxをyに変更して[x,x+1]の区間でyで積分すると,∫xx+1n(y)dy=xnによってn=0nn/n!=extとなりますが,

 

左辺を同じようにして積分するとxtとなりますから,両辺が共にxで何回でも連続微分可能なため,両辺が等しいことは明らかです。 

また,明らかにn(0)=(-1)nnです。

 

text/(et1)=∑n=0n(x)tn/n!においてx=1とおくことにより,Bn(1)=Bnもわかります。

 

nが1以外の奇数ならBn0 なので,n(0)=(-1)nnより,

n(0)=Bn(1)=Bn(n≧2)が成立します。

 

そして,xx+1n(y)dy=xnをxで微分すると,

n(x+1)-Bn(x)=nxn-1ですから,xx+1[Bn'(y)/n]dy=xn-1

より,n'(x)=nBn-1(x)も成り立ちます。 

ここで,唐突ですが,a,bをa≦bなる任意の整数としMを任意の自然数とすると,区間[a,b]でCM級の任意関数f(x)に対して,

 

abf(n)

=∫abf(x)dx+{f(a)+f(b)}/2+∑k=1M-1[Bk+1{f(k)(b)-f(k)(a)}/(k+1)!]-{(-1)M/M!}abM(x-[x])f(M)(x)dx

 

なる公式が成立します。

 

ただし,M=1のときには右辺の∑の項はゼロであると規約します。

これを証明するため,区間 [0,1]においてCM 級の任意関数g(x)と,

1(x)=(x-1/2)なる関係式を用います。

 

すなわち,∫01g(x)dx=∫011'(x)g(x)dx={g(1)+g(0)}/2-∫011(x)g'(x)dxなる等式が成立することを利用します。

k'(x)=Bk+1(x)/(k+1)を用いて部分積分を繰り返せば,

  

01g(x)dx

={g(1)+g(0)}/2-(1/2)[B2(x)g'(x)] 01

 +(1/2)∫012(x)g”(x)dx

 

=...  

={g(1)+g(0)}/2+∑1M-1{(-1)k/(k+1)!}[Bk+1(x)g(k)(x)] 01{(-1)M/M!}01M(x)g(M)(x)dx

  

を得ます。

ここで,k≧2 ではk(0)=Bk(1)=Bkであり,(-1)kk=Bk でもあるのでこれらの置き換えをします。

  

結局,{g(1)+g(0)}/2

=∫01g(x)dx-∑k=1M-1{k+1/(k+1)!}{g(k)(1)-g(k)(0)}-{(-1)M/M!}01M(x)g(M)(x)dx が得られます。

そして,g(x)≡f(x+n)(a≦n≦b-1)として右辺最後の項の[0,1]での積分変数xをx+nに置き換えます。

 

n≦x<n+1に対しn=[x]ですから,書き直して,

 

{f(n+1)+f(n)}/2

=∫nn+1f(x)dx+∑k=1M-1{k+1/(k+1)!}{f(k)(n+1)-f(k)(n)}-{(-1)M/M!}nn+1M(x-[x])f(M)(x)dx

 

となります。

上に得られた式をn=aからn=b-1まで加え合わせた後に,両辺に{f(a)+f(b)}/2を加えることにより,

  

abf(n)

=∫abf(x)dx+{f(a)+f(b)}/2+∑1M-1[Bk+1{f(k)(b)

-f(k)(a)}/(k+1)!]-{(-1)M/M!}abM(x-[x])f(M)(x)dx

 

が証明されました。

 

この公式は,Euler-Maclaurinの和公式と呼ばれています。

では,これをRiemannのゼータ関数に適用してみましょう。

 

まず,∑n=1(1/ns)の有限和:∑n=1N(1/ns)を考えることにして,

f(x)≡x-sと定義します。

 

このとき,f(k)(x)=(-s)(-s-1)..(-s-k+1)x-s-k

=(-1)k(s)k-s-k です。

 

ここで,記号:(s)k≡s(s+1)..(s+k-1) を用いました。

ただし,k=0 では(s)k≡0 と規約します。

a=1,b=NとしてEuler-Maclaulinの和公式を使うと,

 

s≠1なら,n=1N(1/ns)

=(1-1/Ns-1)/(s-1)+(1/2)(1+1/Ns)+∑k=1M-1[Bk+1/(k+1)!](s)k(1-1/Ns+k)-{(s)M/M!}1NM(x-[x])x-s-Mdx

 

が得られます。

Riemannのゼータ関数は,まず,Re(s)>1なる複素数sに対し,

ζ(s)≡∑n=1(1/ns) と定義されます。

 

この範囲では左辺も右辺もN→∞で絶対収束するので,N→∞の極限でも等式として正しく成立します。

 

そこで,このEuler^Maclaurinの和公式で,N→∞の極限を取ると,

 

ζ(s)=∑n=1(1/ns)=1/(s-1)+1/2+∑k=1M-1[Bk+1/(k+1)!](s)k-{(s)M/M!}1M(x-[x])x-s-Mdx

 

となります。

 

Re(s)>1ではζ(s)≡∑n=1(1/ns)なので,最左辺でn=1N(1/ns)のN→∞の極限をζ(s)と表現しましたが,Re(s)>1以外ではn=1N(1/ns)は有限値に収束しないので,この等式は成立しません。

しかし,最右辺の積分は,Re(s)>1だけでなくRe(s)>1-M の範囲でも絶対収束するので,右辺の和公式によりゼータ関数ζ(s)を定義し直すことによって,自然にRe(s)>1-M の範囲に解析接続されると考えます。

 

Mは任意の自然数ですから,結局,ζ(s)はs=1に特異点(1位の極)を持つだけで,それを除く全複素s平面に解析接続されます。

ここで,mを任意の自然数とし,ζ(s)のsをs=1-mとおいてM=mとすれば,(1-m)M=0 ですから右辺の積分項は消えてζ(1-m)は次のようになります。

 

ζ(1-m)=-1/m+1/2+∑k=1m-1[Bk+1/(k+1)!](1-m)(2-m)..(k-m)と書くことができます。

m=1なら,ζ(0)=-1+1/2=-1/2=-B1です。

  

そこで,m≧2とすると,

(1-m)(2-m)...(k-m)=(-1)kk!m-1kですから,

  

1m-1[Bk+1/(k+1)!](1-m)(2-m)...(k-m)

=∑k=1m-1[(-1)kk+1/(k+1)] m-1k=(1/m)∑k=1m-1(-1)k mk+1k+1

=-(1/m)∑k=2m mkk=-(1/m)∑k=0m—1mkk+1/m+1/2-Bm/m

=-1+1/m+1/2-Bm/m

 

となります。

よって,いずれにしてもζ(1-m)=-Bm/mが成立するという美しい結果が得られました。

 

特に,ζ(0)=1+1+1+...+1=-1/2 なる形式的,象徴的な等式も得られ,mが 3 以上の奇数ならζ(1-m)=0 ということも示されたため,

 

s=-2,-4,-6...がζ(s)の零点であることもわかったことに満足して,今日はここまでにしておきます。

 

それにしても,"参考文献:荒川恒男・伊吹山知義・金子昌信 著「ベルヌーイ数とゼータ関数」(牧野書店)"は読み返してみるとまた新しい驚きを覚えました。

 

この種のマニアックな本としては秀逸ですね。

http://fphys.nifty.com/(ニフティ「物理フォーラム」サブマネージャー)                                       TOSHI

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コメント

Bn(x)の定義が∫[x,x+1] Bn(y)dy=x^n だけだったら、周期1で積分0の任意関数を足しても成り立つから一意的じゃないなー?
と思ったら、多項式という条件が付いてましたね。 失礼しましたー(証明しようとしたら、周期1関数の不定性が出たんで、多項式条件で証明完了です)
そんな戯言は置いといて、美しい結果ですね。
(EMANさんの所に書き込まれたリンクから見に来ました。なにしろ、ここを全部見るのはとっくに挫折してますんで・・)

投稿: hirota | 2008年3月10日 (月) 12時19分

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