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2006年11月

2006年11月30日 (木)

星の構造(ポリトロープガス球とエムデン解)

前回の議論において,4つの未知数P.ρ,L,Tに対する4つの方程式が得られました。

 

すなわち,①dP/dr=-(4πGρ(r)/r2)∫0r2ρ(r)dr,

②P=P(ρ,T,μ),dL/dr=4πr2ρε,

④dT/dr=-(1/λ){L/(4πr2)};λ=4acT3/(3κρ)

の4つです。

 

そこで,星の中心;r=0 でL=0 ,表面:r=RでP=P表面 0 ,T=T表面 0 (中心のTに比べ表面のTは無視できるほど小さい)という境界条件を与えます。

 

化学組成によりμやκがわかり,核反応の詳細なメカニズムの解明によりεがわかれば,①~④を解くことが原理的には可能となるので平衡状態での星の構造を知ることができると考えられます。

ただし,それでもまだ条件的には解くことがむずかしいと思われるので,式④dT/dr=-(1/λ){L/(4πr2)}代わりになるようなより簡明な温度勾配の式を与えるモデルを考えてみます。 

一般に,断熱変化での温度勾配はdT/dr={1/(n+1)}(T/P)(dP/dr)と表わすことができます。

 

nは状態方程式PV=U/nを満たすnを意味します。

 

非相対論的気体分子ならPV=(2/3)Uよりn=3/2,光子気体のような相対論的気体ならPV=U/3よりn=3です。

これは次のような考察で導くことができます。

 

すなわち,並進以外の回転や振動などの自由度を無視すれば,を体積(Vの気体を構成する粒子数とすると,U=nBTです。

 

したがってPV=BTですが,dU=nBdTで断熱変化ではdU+PdV=0 によって,PdV=-nBdTが成立します。ここでkBはBoltzmann定数です。 

それ故,PV=BTよりPdV+VdP=BdTなので,-nBdT+BTdP/P=BdT,(n+1)dT/T=dP/Pとなりますから,結局,dT/dr={1/(n+1)}(T/P)(dP/dr)が得られます。

これは,1/(n+1)=d(logT)/d(logP)を意味しますから,PT-(n+1)=(一定),あるいはPρ-(n+1)/n=(一定)となります。

 

P=kρ(n+1)/n=kρ1+1/n (kは定数)と書いても同じです。

そして,④式の温度勾配:dT/dr=-(1/λ){L/(4πr2)}と断熱変化の温度勾配dT/dr={1/(n+1)}(T/P)(dP/dr)は,dP/dr<0 なのでどちらも負の値になります。

 

温度勾配の絶対値:|dT/dr|が断熱変化のそれより大きいなら,輻射や熱伝導だけでは平衡を保つだけのエネルギーを輸送ができず,流体(ガス)自体の運動が生じる必要があります。これを対流と呼びます。

そして,こうした大きい温度勾配の状態は対流が生じるという意味で不安定なので,最終的にはdT/dr={1/(n+1)}(T/P)(dP/dr)に落ち着くか,より安定な温度勾配に落ち着きます。

 

これを対流平衡といいます。

これらから,Pとρの間に次のような関係があると仮定します。

 

すなわち,d(logρ)/d(logP)=N/(N+1)が成り立つとします。このとき,P=kρ(N+1)/N=kρ1+1/N(kは定数)が成立します。

 

このNのことをポリトロープ指数(Polytropic index)と呼びます。

通常の理想気体の断熱変化ではcv,cpをそれぞれ定積比熱,定圧比熱としてγを比熱比γ≡cp /vとすると,P=kργ (kは定数)となるのでγ=(logP)/d(logρ)であり,このときのポリトロープ指数NはN=1/(γ-1)で与えられます。

Kelvinは,断熱変化でなく対流平衡でもδQ=cdTとなるケースがあることに気づきました。

 

例えば湿潤大気では乾燥大気とは異なる対流平衡が存在し得ることを示すこともできます。

Emden(エムデン)はこれを一般化して,δQ=cdTなる変化をポリトロープ変化と呼んで考察しました。

 

これはc=0 では断熱変化,c=∞では等温変化,c=cv,cpでは,それぞれ定積変化,定圧変化になるという意味で一般的な記述になっていると考えられます。

そしてδQ=cdTというポリトロープ変化でも,あるNについてP=kρ1+1/N(kは定数)が成立することを導くことができます。

すなわち,δQ=dU+PdVにおいてcv=(∂Q/∂T)V=(∂U/∂T)Vですが,理想気体なら(∂U/∂V)T=0 なので,(∂U/∂T)V=dU/dT,PV=BTよりδQ=(dU/dT+B)dT-VdPです。

 

そこでcp=(∂Q/∂T)P=dU/dT+B,つまりcp-cvB(Mayerの公式)が成立します。

δQ=cdTならδQ=dU+PdVはcdT=cvdT+(cp-cv)TdV/Vより,(cv-c)dT/T+(cp-cv)dV/V=0 と書けます。

 

γ'≡(cp-c)/(cv-c)とおけばc=0 のときはγ'=γです。

 

一般には(cp-cv)/(cv-c)=γ'-1ですからdT/T+(γ'-1)dV/V=0 ,つまりd{log(TVγ'-1)}=0 となってTVγ'-1=(一定),

あるいはPVγ'=(一定)を得ます。

 

したがって,1/γ'≡N/(N+1)とおけばγ'=1+1/N(N=1/(γ'-1))であり,P=kρ1+1/N(kは定数)が得られます。

P=kρ1+1/N(kは定数)④'を④の代わりに用いたガスによる球対称の星をポリトロープガス球(Polytropic gas sphere)と呼びます。

 

  の両辺を(r2/ρ)倍した後,さらにrで微分すると(d/dr){(r2/ρ)dP/dr}=4πGρr2となります。

 

この方程式にP=kρ1+1/N(kは定数)を代入すると,Lane-Emdenの式と呼ばれる微分方程式:(1/ξ2)(d/dξ){ξ2dθN(ξ)/dξ}=-[θN(ξ)]Nが得られます。

 

ここで,ρ≡ρcN(ξ)]N,r≡αξ,α≡(N+1)1/2[Pc/(4πGρc2)]1/2であり,ρcは中心の密度,Pc は中心圧力です。

  

ただし,θN(0)=1でξ,θNは無次元量です。

 

θNが満たすべき条件は,θN(0)=1の他には,ξ=r=0 においてdP/dr=0 ,すなわちθN'(0)=0 です。

 

そしてこの方程式の解をEmden解と呼びます。

 

この方程式の一般のNに対する解を求めるには数値計算が必要ですが,N=0,1,5 の場合は解析的に厳密解を求めることができます。

 

ここでは,証明を省略してそれらの解を列記しておきます。

 

θ0(ξ)=1-ξ2/6,θ1(ξ)=sinξ/ξ,θ5(ξ)=1/(1+ξ2/3)1/2です。

   

上記の解の陽な表現によれば,θ0(ξ),θ1(ξ)にはθN(ξ)=0 となるξが存在しますが,θ5(ξ)はξが有限の範囲ではゼロにはならず,これは半径が∞であることを意味します。

  

一般に,θN(ξ)>0 なら,dθN/dξ=-(1/ξ2)∫0ξξ2N(ξ)}Ndξ< 0 なので,その範囲ではθN(ξ)は単調減少関数です。

 

そして,θN(ξ)が最初にゼロになるところが星の表面です。

その表面に相当するξ=r/αの値をξNとおくと,N<5 のときの星の半径RNは,RN=αξN=[Pc/(4πGρc2)]1/2(N+1)1/2ξNです。

 

星の質量Mは,M=∫0RN4πρr2dr=-4πα3ρc0ξN(d/dξ)[ξ2N(ξ)}N]dξ=[Pc3/(4πG3ρc4)]1/2φNとなります。

 

ただしφN≡-(N+1)1/22dθN(ξ)/dξ]ξ=ξNです。

 

定数であるφNはNによる変動が小さいので,M=[Pc3/(4πG3ρc4)]1/2φNはMとPccの関係を知ることができる式になっています。

 N=5のときには半径が∞ですが質量Mは有限です。

 

 しかし,N>5のときは質量,半径ともに∞になりますから,N>5は現実的な解を与えるとは思われません。

 

参考文献:佐藤文隆,原 哲也 著「宇宙物理学」(朝倉書店)

 

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2006年11月29日 (水)

星の重力平衡とエネルギーの流れ

 星(恒星)は重力によって束縛されたガスの塊りで,その表面から核融合などの反応で得られたエネルギーを放出しています。

 

 こうしたメカニズムの一端を述べてみようと思います。

 まず,今日は球対称な星の重力平衡の話から始めます。 

 中心から半径がr,r+drにおける圧力をP,P+dPとすると,この圧力差によってrとr+drの間のガスはrの増加する向きに単位面積当たり-dPの力を受けます。

 

 一方,同じ領域のガスはrの内側の質量M(r)による重力で中心に向かって引き付けられています。

 

   

   

 そこで,万有引力定数をG,半径rの位置の密度をρ(r)とすると,重力平衡の条件=釣り合いの条件は,-dPΔS={GM(r)ρ(r)ΔV/r2}

 ={GM(r)ρ(r)/r2}ΔSdr で与えられます。

 

 つまり-dP/dr=GM(r)ρ(r)/r2 です。

 

 また,(r)はM(r)=4π∫0r2ρ(r)drと書くことができます。

 

 他方,Pとρは一般に温度Tや組成の平均分子量μなどから決まる,ある気体の状態方程式:P=P(ρ,T,μ)を満足するはずです。

 このため,温度Tを決定する関係式が必要となります。

 

 そのためには星の内部でのエネルギーの流れを考える必要があります。

 

 星の内部の点でのガスのエネルギー密度をE,そこでのエネルギー流束をとし,εを単位質量当たりの星によるエネルギー発生率とすると,エネルギー保存の方程式は,∂E/∂t+∇ρεで与えられます。

 そこで,L(r)を半径rの球面を単位時間に横切るエネルギーの総量とすると,L(r)=4πr2rですから,dL/dr=4πd(r2r)/dr

 =4πr24πr2(-∂E/∂t+ρε)です。

 

 Frのr方向の成分です。

  

 平衡状態では,∂E/∂t=0 ですから,エネルギー保存の方程式は,

 dL(r)/dr=4πr2ρεとなります。

 一方,L(r)=4πr2rにおいて,一般に=-λ∇Tにより,
 Fr=-λ(dT/dr)ですからdT/dr=-(1/λ){L(r)/(4πr2)}
 を得ます。
 
 aをStefan-Boltzmannの法則E=aT4における係数とし,cを光速,κを吸収係数とすれば,輻射平衡の場合の熱拡散係数λは,λ=4acT3/(3κρ)なる式で与えられます。

 ここで,理論的にλ=4acT3/(3κρ)なる式が成立することを証明しておきます。 

 Iを光の強度(単位時間当たりに単位面積を通過する単位立体角当たりの光のエネルギー)とすると,エネルギー流束はF=∫IcosθdΩ=πIで与えられます。

 

 そして,熱平衡で完全黒体のときにはI=J≡acT4/(4π)です。

 

 光の強度Iとエネルギーの流束Fの違いは,あらゆる方向から直進してきた強度Iの光がその断面積をあらゆる方向に通過するのに対し,

 

 流束Fの方は,その断面に垂直な成分のみを総和したという意味になっているということです。

 振動数がνの光の流束と光の強度をFν,Iνとすると,

 F=∫Fνdν,I=∫Iνdνです。

 

 それに対応して平衡状態での理想的な黒体輻射の法則を,

 J=∫Jνdνと書いておきます。

ある物質の距離dsを通過する間に,Iνが物質によってαννだけ吸収され,物質からjνの光放出を受け,さらに全体として散乱の寄与を受けるとすれば,

 

dIν/ds=-ανν+jν-ανSC(Iν-Jν)

=-(αν+ανSC) (Iν-Sν)となります。

 

ανSCは散乱係数で,Sν≡(jν+ανSCν)/(αν+ανSC)です。

ここで,簡単のために物質の温度や吸収係数がz方向のみに変化するとして考察することにすれば,対称性によって光の強度もzとその方向となす角度θのみに依存します。

 

θ方向への光の流れを考えると,ds=dz/cosθより,

cosθ{∂Iν(z,θ)/∂z}=-(αν+ανSC)(Iν-Sν),

または,Iν(z,θ)=Sν-cosθ(∂Iν/∂z)/(αν+ανSC)

です。

星の内部では局所的に熱平衡にあると見なせるので,第ゼロ近似として,

ν(0)(z,θ)=Sν(0) =Jν(T)と取ります。

 

そして第1次の近似を行なえば,Iν(1)(z,θ)

=Jν(T)-cosθ{Jν(T)/∂z}/(αν+ανSC)

となります。

 

そこでエネルギーの流束として正味の値,向きが反対の光も考慮してθを 0~πの範囲に取ると,

 

ν(z)=∫Iν(1)cosθdΩ

=2π∫-11ν(1)cosθd(cosθ)=

-[4π/{3(αν+ανSC)}]{∂Jν(T)/∂z}

 

を得ます。

∂Jν(T)/∂z={∂Jν(T)/∂T}(dT/dz)ですから,

F(z)=∫Fν(z)dν

=(-4π/3)(dT/dz)∫(∂Jν/∂T)/{ρ(κν+κνSC)}dν

となります。

 

ここで,αν=ρκννSC=ρκνSCとしました。

 

さらに,∫(∂Jν/∂T)dν=(∂/∂T)(∫Jνdν)

=(∂/∂T){acT4/(4π)}=acT3/πを使用し, 

Rossland平均:1/κ≡[∫(∂Jν/∂T)/(κν+κνSC)dν]/[∫(∂Jν/∂T)dν]による吸収係数κを定義すると,

  

F(z)=-{4acT3/(3κρ)}(dT/dz)

が得られます。

そして,1次元zから球対称rに移行すれば,(r)=4πr2rで,

r=-{4acT3/(3κρ)}(dT/dr)となります。

 

以上で証明は完了しました。

こうした吸収,散乱の他に,熱伝導によるエネルギーの減衰も考えると物質の吸収のκをκrad,熱伝導率をκcondとして,1/κ=1/κrad1/κcond とする必要があります。

取り合えず,今日はここまでにします。

 

参考文献:佐藤文隆,原 哲也 著「宇宙物理学」(朝倉書店)

  

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2006年11月27日 (月)

高温状態での電子対発生

 前記事の続きです。

 高温の状態:T=6×109K程度では,電子と陽電子の対発生(対創生)が起こるようになります。

 

 これは丁度kBT~ me20.51MeVとなる温度になっています。

 この反応はγ+γ ⇔ e-+e+で与えられます。

 

 ただし,γ,e-,e+はそれぞれ光子,電子,陽電子を表わします。meは電子(陽電子)の質量,cは真空中の光速です。

 

 また,以下ではγ,e-,e+に対応する物理量に,それぞれ添字γ,-,+を与えることにします。

なぜ,光子(photon)が1個ではなく2個必要なのかというと,"慣性中心系=重心系"で見たとき,γ ⇔ e-+e+ なら運動量の保存則から両辺はそれぞれ総運動量がゼロの状態ですが光子の質量がゼロであるために光子1個だけではエネルギー保存の法則が成立しなくなるからです。

 

もっとも自由運動状態ではなく束縛状態などにあって束縛エネルギーなどがあればその限りではありません。ただし,以下の話では光子の個数は関係しない話となっています。

先の記事でも述べたように,平衡の条件は反応の前後で化学ポテンシャルが等しいというものです。ただし今の電子対発生においては質量もその"化学ポテンシャル=自由エネルギー"に入ってきます。

 

化学ポテンシャルは質量項を含まないように定義されているので,平衡条件は,γ+me2)+(μ+me2)となります。

 

そして熱平衡にある光子ではμγ0 ですから,μ+me2=-+me2)という式が得られます。

 

一方,光子は電気的に中性なので,元々存在していた電子の数密度をn0とすれば,n-n=n0=ρZ/(AmH)となります。

 

ρは物質密度,Z,Aはこの物質の原子核の原子番号と質量数,mH は水素原子の質量です。

BT>>me2のときには~n>>n0なので,簡単のために00 とすると,=nより,μ=μ=-me2となります。

 

この場合には,n ~ {1/(π2c3)}∫02dp/[exp{(ε-μ)/(kB)}+1]において積分に寄与するのは大きいpですから,(ε-μ)~cpとしてよいと考えられます。

 

そこで,n+=n-{(kB)3/(π2c3)}∫02du/(expu+1)={3ζ(3)/(2π2)}{kB/(hc)}3 となります。

これを,平衡状態にあってBose分布をしている光子の密度:

γ{(kB)3/(π2c33)}02du/(expu-1)

=(2ζ(3)/π2){kB/(hc)}3

 

と比較すると,=n(3/4)nγとなります。

同様に,電子,陽電子のエネルギー密度は,

 

+=E-

~ {1/(π2c3)}∫0cp3dp/[exp{cp/(kB)}+1]

={(kB)4/(π2c33)}∫03du/(expu+1)

=(7/8)(π4/15)(8π3/π2){kB44/(h33)}=(7/8)aT4

 

となります。

 

ここで,aは光子のエネルギー密度に対するStefan-Boltzmannの法則:

γaT4の係数aです。

 

したがって,(E++E-)/Eγ7/4 となります。

さらに高温になると,電子以外の他の粒子も対発生して輻射エネルギー密度が総エネルギー密度に占める割合はさらに小さくなります。

  

参考文献;佐藤文隆 原 哲也 著「宇宙物理学」(朝倉書店)

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電離平衡のサハの式

 前回に引き続く話題として,高温プラズマ状態における電離に対するサハの式(Sahaの式)について述べてみます。

 一般に核反応や化学反応などにより系を構成する成分粒子数の変化がある場合,定温,定圧では平衡の条件は反応の前後での化学ポテンシャルμが等しいことで与えられます。 

"C ⇔ A+B"という反応系で,A,B,Cの粒子数を,それぞれ,NA,NB,NC,反応の前後を1,2として添字表現をするとき,温度,圧力が反応前後で同じ:T1=T2,P1=P2であるとします。

 

全体のエントロピーの変化は,ΔS=(∂S/∂NC)ΔNC+(∂S/∂NA)ΔNA+(∂S/∂NB)ΔNBですが,ΔNA=ΔNB=-ΔNCという粒子数の条件から,ΔS=[(∂S/∂NC)-(∂S/∂NA)-(∂S/∂NB)]ΔNC=(μC-μA-μB)ΔNC/Tとなります。

 

そこで,平衡の条件ΔS=0 がμC=μA+μBで与えられることがわかるからですね。

ここで,高温での中性原子状態Aが電離状態Aと,"A⇔A+e"で表わされる平衡にあるとします。

 

この条件は,イオン化エネルギーをEとするとμ0=μ+μ+Eです。

 

ただし,μ0は,それぞれ,A,A,eの化学ポテンシャルを示しています。

つまり,通常の化学式のようにEを陽に書くなら,"A+E→A+e"であり,Aの最低エネルギーの準位はAやeのそれよりもEだけ低いので,

 

通常の並進,回転,振動の自由度のみによる"Gibbsの自由エネルギー=化学ポテンシャル"のAやeでの原点をAのそれよりEだけ高い位置に取ればいいことになります。

 

それ故,平衡の条件が,μ0-E=μ+μで与えられるからですね。

一方,前記事で非相対論的粒子に対して述べたように,

 

化学ポテンシャルは.μi=kBlog[(ni/gi){h2/(2πmiB)}3/2]

=log[(ni/gi){2πhc2/(miB)}3/2]

(i=0,+,-)で与えられます。

 

ここで,c≡h/(2π)でhはPlanck定数です。

したがって,kBlog[(n0/g0){2πhc2/(m0B)}3/2]

=kBTlog[{n/(g)}{2πhc2/(mB)}3/2{2πhc2/(meB)}3/2]+Eです。

  

故に,0 であることに注意すれば,  

/n0=(g/g0)[meB/(2πhc2)}3/2exp{-E/(B)}

が得られます。

原子の総数密度をn≡n0+nとし,イオン化成分の比率をx≡/n=/nとすれば,1-x=0/nであり,

 

上の式はx2/(1-x)={g+-/(g0n)}{meB/(2πhc2)}3/2exp{-E/(B)}となります。これをSahaの式と呼びます。

 

そして,T→大,E<<BTでは,exp{-E/(B)}→1によりx2/(1-x)→ ∞ なので,x→1となってイオン化が進むことになります。 

参考文献;佐藤文隆 原 哲也 著「宇宙物理学」(朝倉書店)

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2006年11月26日 (日)

高密度状態での陽子の中性子化(2)

前記事の続きです。

簡単のために水素原子を考えます。水素原子の半径はほぼボーア半径:aB=hc2/(me2)=0.53×10-8cmで与えられます。

 

ここで,hc≡h/(2π),hはPlanck定数でmeは電子の(換算)質量です。

 

原子が密着して配列しているなら水素原子の密度:ρHはρH=mH/(4πaB3/3)で与えられますが,この密度以上に物質が圧縮されると原子がバラバラに配列している状態から外れて,とても高密度な状態にあるといえます。

 

ただしmH は水素原子の質量です。

例えば,原子が半径aの空間に圧縮されれば,電子の陽子との間に働く静電エネルギーはc.g.s単位でEe=e2/aです。

 

一方,不確定性関係:ΔpΔx~hcより,半径aの空間に閉じ込められた電子は(hc/a)程度の運動量を持ち,そこでEk=hc2/(2me2)程度の運動エネルギーで運動しています。

このエネルギーは,密度:n~1/a3の縮退エネルギー,

つまりFermiエネルギー:εF=pF2/(2me)

[{3/(4πgh3)}}1/31/3]2/(2me)

=(3π2)}2/3c2/(2me2) と同程度です。

 

ちなみに,ρH=mH/(4πaB2/3)の密度では,

k/Ee={hc2/(2me2)}/aB=1/2~1なので,

kとEeは同じオーダーになります。

しかし,aが小さくなるとEk/Ee=aB/(2a)は大きくなります。

 

やがて電子のエネルギーEk=hc2/(2me2)が大きくなって,陽子の束縛をはずれて自由に飛び回るようになります。

 

これを圧力電離(pressure ionization)といいます。

 

電離された電子は密度が大きくなるにつれて静電相互作用を無視して一様密度の自由粒子の気体のように挙動するようになります。

一方,陽子の量子的運動エネルギーをEK とし,その陽子同士の静電エネルギーをEpと書くとEK/Ep={aB/(2a)}(me/mp)です。

 

pは陽子の質量です。

 

KがEpより大きくなるのは電子の場合と比べて,aが(me/mp)倍まで小さくなったとき,密度にして1010倍大きくなったときです。

 

したがって,その密度が達成されるまでは陽子は静電エネルギーが最小となるような配列で規則正しく並ぶことになります。

しかし,温度Tがゼロ近傍の低温ではなく十分高温になり,BT>c2/(2mp2)となった場合,EKは縮退エネルギーである量子的運動エネルギーよりも,主として熱運動エネルギーで与えられることになります。

 

そこで,このときはEpとEKの比Γは,Γ=Ep/EK ~ e2/(aB)となります。

 

そしてΓ>1なら陽子は規則正しく結晶状に配列すると予想されます。

陽子ではなく,質量数がAで電荷がZのイオンなら密度はρ=AmpnなのでΓ~ (Ze2)/(aB)=2.27×106(Z2/A1/3){ρ(kg/m3)}1/3/T

です。

 

コンピュータによる結晶化の仮想数値実験によると,Γ~1では局所的に秩序のある液体状態を保っていますが,Γが50~170程度になるとはじめて結晶化するらしいです。

つまり,結晶化が崩れる温度は,大体T>2.3×104(100/Γ)(Z2/A1/3){ρ(kg/m3)}1/3Kであることになります。

これら圧力電離が生じ始めるのは,ρ<2×109 kg/m3程度の高密度状態ですが,これ以上の高密度状態になると陽子の中性子化が起きます。

中性子と陽子の質量差は,Q=(mn-mp)c2=1.29 MeVで中性子の方が陽子より重いので通常は陽子のほうが安定で中性子が陽子に崩壊します。

 

これが弱い相互作用によるベータ崩壊(β-decay)です。

 

当然のことですが自然の崩壊現象というのは重い粒子が軽い粒子に崩壊するものです。逆反応は自然には有り得ません。

しかし,Q=(mn-mp)c2=1.29MeVよりも大きいエネルギーを持つ電子を陽子に照射すればベータ崩壊の逆反応である陽子による電子捕獲(electron capture):p+e-→n+νeなる反応が起こります。

 

物質密度が非常に高くなり,aが小さくなって電子の縮退エネルギー="絶対温度Tで電子の取り得る上限のエネルギー"εF=(3π2)}2/3c2/(2me2)が,この捕獲反応を起こすほど大きくなると,陽子は電子を吸収しどんどん中性子化してゆきます。

今,簡単のためにT=0 として陽子,電子,中性子のみから成る気体を仮想して平衡状態における組成を検討してみましょう。

高密度状態で先に述べた電子捕獲の反応が起こって,ベータ崩壊と平衡状態に達するとします。

  

温度一定:dT=0 ,密度一定:dV=0 のときは平衡になる条件はHelmholtzの自由エネルギーF≡U-TSが極小になることです。

粒子を通さない壁で仕切られた2つの異なる系があって,2つの系のうち系2は十分大きい熱浴であるとして,これらが平衡にごく近い状態にあるとすると,T1=T2=T,P1=P2=Pです。

 

2つの系全体では孤立系なので,反応は総エントロピーS=S1+S2が増加する方向,すなわちdS1+dS20 の方向に進むはずです。

ところが,反応の前後で全エネルギーも全体積も保存するはずですから,dU1=-dU2,dV1=-dV2です。

  

したがって,dS2(dU2+PdV2)/T=(dU1+PdV1)/Tなので,反応が進む条件は,dS1(dU1+PdV1)/T0 となります。

熱浴ではない系1の反応だけに着目して,添字1をはずすとdS-(dU+PdV)/T0 です。dT=0,dV=0ではPdV=0 なので,この条件はd(TS-U)/T=-dF/T≧0,つまりdF≦0 になります。

 

それ故に,平衡の条件はHelmholtzの自由エネルギー:F≡U-TSが極小であることになるわけです。

そして,今はT=0 の場合を考えているので,F=Uですから平衡になる条件は内部エネルギーUが極小になることです。

 

そして体積が一定dV=0 の条件では,これは内部エネルギー密度E=U/Vが極小になることと同じことですね。

p+e-→n+νeの反応で発生した電子ニュートリノ:νeは物質との相互作用が極端に小さく何でも通り抜けてしまうため,これは高密度領域からすぐに逃げてしまうと考えられるので,これの効果は無視することにします。

核子の数密度:nBの保存と電荷の保存から陽子,電子,中性子の数密度を,それぞれnp,ne,nnとすると,np+nn=nB かつnp=neが成立するので,与えられた一定のnBに対してnnが与えられれば全ての組成は決まってしまいます。

 

そして陽子,中性子,電子のそれぞれについて質量を除いた内部エネルギーの密度をE=U/Vとすると,全エネルギー密度ξはξ=nmc2+Eで与えられます。

 

系全体のエネルギー密度はξ=ξn+ξp+ξeです。

そして先に述べた平衡の条件は相対論まで含めれば質量のエネルギーと運動エネルギーを加えた広い意味での内部エネルギーが極小になる条件ですから,結局ξが極小になるという条件に同等です。

そこで平衡になるときの組成を得るためには,nn の変化に対してξが極小になる条件を求めればいいことになります。

 

すなわち,dξ/dnn=dξn/dnn+dξp/dnn+dξe/dnn=dξn/dnn-dξp/dnp-dξe/dne=0 です。

 

dn=(g/h3)pF2dpF,dE=(g/h3)d[∫0pFεp2dp]により,dE/dn=pF-2(d/dpF)[∫0pFεp2dp]=εFなのでdξi/dni=εFi+mi2 (i=n,p,e)となります。

したがって,平衡の条件はεFn+mn2=εFp+mp2+εFe+me2,すなわち,(pFn2+mn22)1/2=(pFp2+mp22)1/2+(pFe2+me22)1/2となります。

次はこの式からnp=neによってpFp=pFeであることに注意しながら(pFp/pFn)2を解くことを考えればよいことになります。

 

具体的な計算は煩雑なので省略して結果だけを書くと,(pFp/pFn)2=[1+(4Qmn/pFn2)+4(Q2-me24)mn2/pFn4]/[4{1+(mnc/pFn)2}]が得られます。

 

なお,この結果式においてはmp=mnとし,mpはmnで置き換えています。

p/nn=(pFp/pFn)3ですが,ρc≡mn43/(3π2c3)≒6.11×1018 kg/m3とおけば,mnc/pFn=(ρc/mnn)1/3となります。

 

そこで,np/nn

=(1/8)[(1+{4Q/(mn2)}(ρc/mnn)2/3+{4(Q2-me24)/(mn24)}(ρc/mnn)4/3)/(4{1+(ρc/mnn)2/3})]3/2

が得られます。

右辺をmnnで微分することにより,np/nnはnnの増加と共に大体において減少するが,ある値を境にして増加に転ずることがわかります。

 

(p/nn)は,nn~ 1.27×10-4ρc=7.74×1014 kg/m3のとき

最小値:(np/nn)min~[{Q+(Q2-me24)1/2}/(mn2)]3/2

≒1.34×10-4を取ります。 

 

 mnn>>ρcになると,極限値1/8に近づいていきます。

いずれにしても,圧縮されて密度が高くなると陽子はそのほとんどが中性子に変わり中性子の割合が大きくなります。

 

そして,中性子が崩壊しようにも,常にある量の電子が存在するため,崩壊によって生成される電子や陽子のエネルギー状態は既に占拠されているので中性子の崩壊が妨げられ,そのため不安定な粒子である中性子が安定に存在していると考えられます。

 

ただし,上述の議論は陽子,電子,中性子の系を理想気体と仮定した前提で得られたものです。

 

実際には高密度物質はこの理想化からは程遠い状態にあります。

 

しかも,核子は相互作用の無視できる自由運動をするわけではなく原子核の状態で存在します。

 

たとえ,そうでなくても核力によって強く相互作用するわけですから,核力の影響を無視できないことになります。

 

これらを考慮した話は中性子星を中心とした話になりますが,これについては機会があったらまた記事にしてみたいと思います。

参考文献;佐藤文隆 原 哲也 著「宇宙物理学」(朝倉書店)

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2006年11月25日 (土)

高密度状態での陽子の中性子化(1)

 陽子と中性子と電子が多数ある系で,高密度状態の際に陽子が中性子化するメカニズムについて述べてみたいと思います。

 そのために,今日はまずスピンの自由度がgであるフェルミ粒子(Fermion)について,"縮退エネルギー=Fermiエネルギー"について論じてみます。

スピンが半奇数である粒子は絶対温度TでFermi-Dirac分布(Fermi分布)に従います。

 

これは,化学ポテンシャルをμとするとき,エネルギーがεの状態にある平均粒子数がnF(ε)=1/[exp{(ε-μ)/(kB)}+1]で与えられることを示しています。

このFermi分布はBose分布と同じく,exp{(ε-μ)/(kB)}>>1のときには,n~ exp{-(ε-μ)/(kB)}で与えられる古典分布のMaxwell-Boltzmann分布になります。

 

体積がVの系の全粒子数は,N=(V/h3)∫(4πgp2/[exp{(ε-μ)/(kB)}+1])dp~ (V/h3)∫0[4πgp2exp{-(ε-μ)/(kB)}]dpで与えられます。

 

したがって,粒子の数密度nはn≡N/V~ (4πg/h3)∫0[p2exp{-(ε-μ)/(kB)}]dpとなります。

 

また,系の全エネルギーをUとすると,エネルギー密度は

E≡U/V~ (4πg/h3)∫02εexp{-(ε-μ)/(kB)}dpです。

同様に,圧力Pは

P~ {4πg/(3h3)}∫0(dε/dp)2exp{-(ε-μ)/kB}dp

=(4πgkB/h3)∫02exp{-(ε-μ)/kB}dp

=nkB

となります。

非相対論的粒子ではエネルギーがε=p2/(2m)なので,数密度n=N/Vを求めるdp積分を実行し結果をμをnで表わす式で示せば,

μ=kBlog[(n/g){h2/(2πmkB)}3/2]],or exp{μ/kB}

=(n/g){h2/(2πmkB)}3/2

となります。

そして,特にexp{μ/kB}>>1,すなわち,数密度nが非常に高い状態でのFermi分布:nF(ε)=1/[exp{(ε-μ)/(kB)}+1]を考えると,

 

これはF(ε)~ 1 (ε<μ),nF(ε)~ 0 (ε>μ)なる分布で

近似できます。

 

特にT→ 0 の極限では厳密にこの分布になります。この極限の状態を完全縮退といい,そうでないときは部分縮退といいます。

そして,この分布においてnF(ε)がゼロではない上限のエネルギーをεFと書き,これをFermiエネルギーと呼びます。

 

一般にεF~ μであり,完全縮退の極限では正確にεF=μです。

 

εFに対応する上限運動量の大きさをpFと書きFermi運動量と呼びます。

εF(pF22+m24)1/2-mc2ですね。

Fermi運動量pFを用いると,数密度n,圧力P,エネルギーEは,

 

n=(4πg/h3)∫0F2dp=(4πg/3)(mc/h)33,

P={4πg/(3h3)}∫0F[p2(dε/dp)]dp=Kf(x),

E=(4πg/h3)∫0F(εp2)dp=Kg(x)

 

と表現できます。

 

ここで,x≡F/(mc)としました。

 

K={g/(6π2)}(mc/h)3mc2≒6.0×1014×(g/2)J/m3,

f(x)=x(2x2-3)(x2+1)1/2+3sinh-1(x),

(x)=8x3[(x2+1)1/2-1]-f(x) です。

また,n=(4πg/h3)∫0F2dp=(4πg/3)(mc/h)33,

x≡F/(mc)からF{3/(4πgh3)}}1/31/3

と書くことができます。

 

  (つづく) 

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2006年11月22日 (水)

思い出し泣き(その2)

 昨日は,夜酒を飲んで話をしていたときに,つい泣声になってしまいました。

 ニュースによると,去る10月2日に米ペンシルベニア州で機械文明を拒否して生活し,敬虔で絶対平和主義のキリスト教プロテスタントの一派であるアーミッシュ(Amish)の小学校で,女児5人が近くに住む32歳の男に射殺された事件があったということです。

 → http://matinoakari.net/news/item_59687.html

 この事件では,13歳の少女が年下の子らを救おうと「私を最初に撃って」と犯人に訴えて殺されたということを他の客に話して伝えていたときに,またしても思わず思い出し泣きをしてしまいました。

 宗教が,あるいは神御自身が,この女の子を勇敢にさせて自らの命を捧げるという行動に走らせたのでしょうか?

 「自分を犠牲にしても他人を助けなさい。」と聖書にはあるらしいですが,それを本当に実行できるという行動力には感涙を禁じ得ません。

※後記:犯行後に自殺した加害者の家族をいたわり,加害者の葬儀へも被害者家族を含むアーミッシュが参列しました。アーミッシュというのは本当に「汝の隣人を愛せ。汝の敵を愛せ。。」を実行しているらしい。。。

 親鸞の「善人なおもて往生をとぐ。いわんや悪人をや。」 あるいは,「罪を憎んで人を憎まず。」

 いずれにしても,頭で考えたことがあるにしても,それを実際に実行できるものではありません。

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2006年11月21日 (火)

地球の平均気温とステファン・ボルツマンの法則

今日は比較的軽い話題として黒体輻射におけるステファン・ボルツマンの法則(Stefan-Boltzmannの法則 or シュテファン・ボルツマンの法則)について述べてみたいと思います。

 

そして,その1つの例として地球の平均気温を考えてみます。

 

力学によれば,粒子の運動量をとし,それに働く外力をとすると,その粒子の従う運動方程式はd/dt=です。

 

そこで,例えば1辺がLの立方体の中にある1粒子がx軸に垂直な立方体の一方の面と衝突する際,その面に及ぼす力をとすれば,時間Δtの間に面が受ける力積Δtのx成分はfΔt=2pxです。

 

そして,衝突時の粒子の速度をとすると,粒子がx軸に垂直な面の一方と単位時間に衝突する回数はvx/(2L)回(=1/Δt:ここでのΔtは衝突周期)です。

  

故に,立方体内の全粒子数をNとすると,面が粒子衝突によって受ける合力:=Nの垂直成分はF=N・2<pxx/(2L)=N<pxx/Lとなります。

 

したがって,"面にかかる圧力P=面に垂直にかかる単位面積当たりの力F/S"の表現として,P=F/L2(N/V)<pxx>を得ます。S≡2で,これは立方体の面の面積です。

 

また,V≡L3であり,これは立方体容器の体積です。記号< >は容器内の粒子全体についての平均値を表わします。

もしも,立方体内の粒子群が通常の質量mの分子の集まりなら,

xx>=m<x2>=m<2>/3です。

  

また,粒子群が質量ゼロの光子の集まりなら,光速をcとすると,

xx>=<cp>/3です。

 

そこで,単位体積当たりの粒子群の全エネルギーのうち,重心運動のエネルギーをuとすると,

 

粒子が質量のある分子なら,u=(N/V)m<2>/2よりP=2u/3,光子なら,u=(N/V)<cp>よりP=u/3としてよいことになります。

 

ただし,Pが単原子分子気体の気圧や光子気体の輻射圧を表わす場合には,重心運動のエネルギーuは内部エネルギー全体と一致します。

そして熱力学によると,系の全内部エネルギーをU,エントロピーをS,絶対温度をTとすると,"エネルギー保存則=熱力学第一法則"から,等式dU=TdS-PdVが成立します。

 

そこで,(∂U/∂V)T=T(∂S/∂V)T-P=T(∂P/∂T)V-Pが成立しますから,Pが光子の輻射圧:P=u/3の場合にはu=T(du/dT)/3-u/3,すなわち,du/u=4dT/Tとなります。

 

これを積分すると,aをある比例係数(積分定数)として,u=aT4なる式を得ます。

  

これを,この式を発見した人の名を取ってStefan-Boltzmann(ステファン・ボルツマン)の法則といいます。

では,係数aは具体的にはどんな値になるのでしょうか?

光子はボーズ粒子(Boson)ですから,その分布はBose-Einstein(ボーズ・アインシュタイン)分布:n=N/V=1/[exp{(ε-μ)/(kBT)}-1]に従いますが,容器内に閉じ込められていようと光子の個数には制限がないので化学ポテンシャルμはゼロです。

 

ただしεは光子のエネルギーで,ε=cpです。

 

それ故,量子論によれば振動数がνの1光子のエネルギーはPlanck定数をhとしてε=cp=hνで与えられるので,容器内の平均光子数は,

n=N/V=1/[exp{hν/(kBT)}-1] と書けます。

 

黒体輻射ではνとν+dνの間の光子が占有可能な状態数は単位体積当たり8πν2dν/c3ですから,

  

u=∫0(8πhν3/c3)/[exp{hν/(kBT)}-1]dν

=(8πh/c3)(kBT/h)4ζ(4)Γ(4) となります。

 

そこで,u=aT4;a=(8π5/15){kB4/(h33)}≒7.56×10-16Jm-3deg-4なる公式を得ます。

 

こうして,Bose-Einstein統計に基づくPlanckの公式からも黒体輻射のStefan-Boltzmannの法則,つまりu=aT4が得られることがわかります。

 

したがって,逆に輻射圧Pに関する式:P=u/3が,量子統計力学の立場からも改めて確認されたことになります。

ところで,黒体輻射において単位時間に単位面積から射出されるエネルギーをJとするなら,

  

Stefan-Boltzmannの法則はJ=σT4,σ=ac/4≒5.67×10-6W・m-2・deg-4 という形になります。

 

そして,係数σ=ac/4をStefan-Boltzmann係数と呼びます。

なぜ,このように書けるか?というのは以下のように説明されます。

 

すなわち,黒体輻射の輻射エネルギーは等方的な分布をしているので,単位体積から射出される微小立体角dΩ=d(cosθ)dφ当たりのエネルギーは,u(θ,φ)dΩ={u/(4π)}dΩと書けます。

 

そして,今問題としている面積要素の法線と輻射光の流れのなす角をθとすると,光速cによってその方向に作られる単位面積当たりの円筒の体積はccosθです。

 

そこで,その面積要素の単位面積を通過する全方向の輻射光の総エネルギー流量は,J=∫ccosθ{u/(4π)}dΩ={cu/(4π)}∫0dφ∫0π/2cosθd(cosθ)=cu/4=(ac/4)T4となるからです。

 

この立体角積分でθの積分範囲を,0 ~ π/2として全体の半分にしているのは,対象とする面積要素を通過する光の向きとして1方向だけを取るべきだからです。

さて,例えば太陽から地球が受け取る総輻射エネルギー流量は太陽定数(solar constant)として知られています。

 

そして,大気層の頂上でのこれの具体的な値が,(太陽定数)=1.96cal/(cm2・min)≒1370W/m2であることがわかっています。

 

この太陽定数から太陽の総輻射量Lを逆算すると,L=4π(1AU)2×(太陽定数)=3.85×1026Wが得られます。

 

1AU(1天文単位)は太陽と地球の間の平均距離を表わす単位で,約1.496×1011mです。

一方,太陽の半径をRとすると,太陽表面の面積は4πR2なので,先のStefan-Boltzmannの法則からL=4πR2σT4となりますから,

 

これにL=3.85×1026W,R≒6.96×108 mを代入すると太陽表面の温度Tが逆算できてT≒5780Kと推定されます。

 

一方,地球の太陽公転軌道を半径1AUの円で近似して,その軌道上に1つの"黒体=地球"があるとすれば,同じ太陽定数とStefan-Boltzmannの法則によりσT4=1370W/m2を得ます。

 

これから"黒体=地球"の平均温度はT≒394Kと計算されます。

 しかし,地球をその公転軌道上の黒体と同一視して,地球半径をREとすると,実際に太陽からの輻射を受ける側の地球の表面の面積はπRE2なのに対し地球全体の表面積は4πRE2です。

 そこで,地球表面全体で平均した結果はσT4=(1370/4)W/m2≒342W/m2になると考えられるため,地球表面の平均気温はT≒394KではなくT≒279K=6℃と算定されます。

 ところが,これでもまだ過大評価であるらしく,観測によれば太陽からの輻射エネルギーは地球大気の頂上て平均でその30%は反射されます。

 地球が吸収して我々が実際に受ける輻射エネルギーの総流量は約1.37cal/(cm2・min)=約957W/m2であることが知られています。

 それ故,上記の等式σT4=(1370/4)W/m2≒342W/m2は,さらにσT4=(9 57/4)W/m2≒240W/m2と変更されます。

 結局,太陽からの輻射,あるいは放射と地球表面からの放射の平衡を表現するこの等式だけから温度を算定すると,地球の平均気温としてT≒255K=-18℃が得られます。

ところが,実際には現在の地球の平均気温は15℃=288K前後ですから,上の試算とは30度以上の差があります。

 

これは,実は主に水蒸気やそれによって生成される雲,そしてその他にも,二酸化炭素などのガスが地表から放射された赤外線などを吸収して再放出するという「温室効果」のためと考えられています。

 

そこで,水蒸気や二酸化炭素などを「温室効果ガス」と呼んでいます。

 

こうした温室効果ガスが異常に増えたりして現状のバランス(平衡)が崩れると,いわゆる「地球温暖化現象」が起こることが指摘されています。

 

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2006年11月19日 (日)

ブラソフ方程式の解とプラズマ乱流の渦

 前記事の続きです。

 

 ブラソフ方程式(Vlasov equation):∂f/∂t+∂f/∂-(e/m)∂f/∂=0 を実際に解いてみます。

 

 ただし,時間を陽には含まない定常解に対する方程式:

 v∂f/∂-(e/m)∂f/∂=0 の解を求めます。

 

 今から述べる解はBGK解(Bernstein-Greeene-Kruskal solution)として知られています。

 

 実は,1電子のエネルギーをH=mv2/2-eφと書くと,Hの任意関数f(H)が方程式:∂f/∂-(e/m)∂f/∂= 0 を満足することがわかります。

 

 ただし,ここでの記号HはHamiltonianを意識しているわけではなく,今の場合,電場と区別するためにエネルギーの記号Eの代わりにHを用いているだけです。

 

 実際,∂f/∂=-e(df/dH)∇φ=e(df/dH)

 であり,∂f/∂=m(df/dH)ですから,

 f(H)は∂f/∂-(e/m)∂f/∂= 0

 を確かに満たすことがわかります。

 

 そこで,後は,またはφとf(H)が,ε0=-e∫f(,,t)d+en0,またはε02φ=e{∫f(H)dv-0}を満たすようにf(H)の関数形を決めるだけでよいことになります。

 

 そして,H=mv2/2-eφより∫f(H)d=4π∫0(H)v2dv=(8π/m)∫f(H)(H+eφ)(dv/dH)dH=2π(2/m)3/2-eφ(H)(H+eφ)1/2dHです。

 

 ∇2φ=(e/ε0){2π(2/m)3/2-eφ(H)(H+eφ)1/2dH-n0}

 なる形の方程式が得られます。

 

 ただし,r→∞ではφ≡0 であり,そこでは2φ=0 ですから,

 2π(2/m)3/2-eφ(H)H1/2dH=n0

 が満たされる必要があります。

 

 そして,(H)が決まればφ,つまりが決まる形になっています。

 

 V(φ)≡-(4π/3ε0)(2/m)3/2-eφ(H)(H+eφ)3/2dH+en0φ0とおけば,方程式は2φ=-dV/dφとなります。

 

 ここで導入されたV(φ)は,Sadgeev(サジェーエフ)ポテンシャルと呼ばれます。

 

 そして,2φ=-dV/dφの両辺に∇φを掛ければ,

 ∇[(∇φ)2/2+V(φ)]=0 となるため,

 結局,(∇φ)2/2+V(φ)=(空間的に一定)と結論されます。

  

 もしも空間微分∇を時間微分d/dtと同一視するなら,

 (∇φ)2/2+V(φ)=(空間的に一定)(dφ/dt)2/2+V(φ)=(時間的に一定)となって,"エネルギー保存則"と同一視できます。

 

 また,特に空間を1次元と考えると,f(H)d=(2/m)1/2-eφ(H)(H+eφ)-1/2dHです。

 

 そして必要条件も(2/m)1/2-eφ(H)H-1/2dH=n0に変わります。

 

 そこで,1次元のSadgeevポテンシャルは,

(φ)=-(2/ε0)(2/m)1/2-eφ(H)(H+eφ)1/2dH+en0φ0 となり,保存則は(dφ/dx)2/2+V(φ)=一定となります。

 

 仮に,-eφ0≦H≦0では(H)=(m/E0)1/20/23/2=一定,それ以外のHでは(H)=0 というモデルを設定してみます。

 

 すると,0≦φ<φ0なら(φ)=-{2n001/2/(3ε0)}(E0+eφ)3/2+en0φ0で,φ≧φ0なら(φ)=-{2n001/2/(3ε0)}[(E0+eφ)3/2{e(φ-φ0)}3/2]+en0φ0となります。

 

 これは,φ→0では(φ)=-2n00/(3ε0)-n0(eφ)2/(4ε00)+..を満たし,0≦φ<φ0なら(d/dφ)<0 であって,Vはφの減少関数であることを意味します。

 

 また,φ≧φ0なら(d2/dφ2)>0 なのでVは常にφについて下に凸な関数です。そこで,ある点φ=φminでV(φ)は極小になります

 

 xを時間と考え,φを1次元の空間座標と見て,速度を位置座標φの時間xによる微分係数:v≡dφ/dxであると見ます。

 

 このとき,v2/2+V(φ)=一定という法則はV(φ)をφを位置とする位置エネルギーであるとした力学的エネルギー保存則の描像と考えることができます。

 

 無限の過去x=-∞ではφ=0 で速度v=dφ/dxもゼロとすると,全エネルギーはV(0)です。

 

 この状態から出発して保存則v2/2+V(φ)=V(0)を満たしながら進んでいくと,運動エネルギーv2/2=V(0)-V(φ)における-V(φ)はφ=φminで最大値:-V(φmin)に到達します。

 

 その後,運動エネルギーは次第に減少し,ついにはどこかでv2/2がゼロ,つまり速度がゼロになって反転することになり,やがて元の位置φ=0 に戻っていくと解釈されます。

 

 この描像で元の位置φ=0 まで戻る時刻を無限の未来x=∞であると考えることにすれば,この往復運動は1回だけということになります。

 

 したがって,反転するところの座標φをφ=φc0 とすると,φcはφc≧φ0,かつc)=V(0)=-2n00/(3ε0)から求まる値です。

 

 それ故,φ(x)は,x=-∞でゼロ,x=∞でもゼロで,その間のあるxでφ(x)=φcという正のピークを持つ上に凸な関数となるはずです。

 

 こうした状況は,一般の3次元の話に戻っても成立するはずです。

  

 3次元で電場のポテンシャルφ()が正のピークを持つところ,つまりφ()=φcを満たす位置の近傍では電子が少なく,"正電荷=イオン"の影響の方が大きくなっている領域と考えられますから,この領域を電子のホール(hole:電子の穴)と呼びます。

 

 これは一旦電子の少ないところができると,そこでは正のイオンが支配的になるため,周囲の電子がそこの近くを通ると加速されて素通りし,

 

 また仮に正イオンに捕捉されたなら,電子気体の電子としては出てこられなくなくなるためと考えられます。

 

先に,(φ)の下に凸な形からφが周期的な反復運動をすると予想した描像からもわかるように,こうした電子ホール生成などは決して静的な現象ではありません。

 

電子の集団が大きいスケールで振動運動をしているという意味から,1つの渦の形成を意味すると考えられます。

 

プラズマ中の乱流では,こうした"ホール=渦"がたくさん存在するはずで,これらをクランプ(clump)と呼びます。

 

こうして電子気体の運動論から出発して,非平衡な統計物理としてプラマ物理の一端を垣間見ることができたかなと思います。

 

参考文献;北原和夫 著「非平衡系の統計力学」(岩波書店)

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2006年11月18日 (土)

遮蔽ポテンシャルとブラソフ方程式(クーロン系)

 以前の考察において,分子間力のような短距離力に根ざす現象を扱う際には粒子衝突を統計的に表現したBoltzmann方程式が有効であることを見ました。

 しかし,重力や電気力は距離に反比例するCoulomb型の長距離力ですから,,こうした力がメインの現象では個々の粒子間衝突よりも多数の粒子との平均的相互作用の方が効いてきます。

 そして,プラズマ(Plasma)のように多数の電子とイオンから成っていて全体としては電気的に中性な系を考察するときには,イオンは重くて静止したまま,数密度n0で一様に分布していて電子だけがその中で運動しているという平均場近似のモデルが有効であると考えられます。

 このとき,電場=-∇φによって与える静電場のスカラー・ポテンシャルφは,∇=ρ0によって,ε02φ=enel-en0というPoisson方程式に従います。

  

 (-e)<0 は電子1個の電荷でnelは電子数密度です。

 

 また,イオンは原子価が1価であると仮定しています。

 電子は軽いので電子気体という近似が有効であると思われます。

 

 そこで,この平均場近似で系が電子自身の密度にも依存した電場に応じて熱平衡分布に達しているとすると,電子数密度の分布はnel()=n0exp{eφ()/(kBT)}で与えられると考えることができます。

 

 ポテンシャルφ()がr→∞でゼロになるとすれば,r→∞ではnel()→n0が成立するので,十分遠方では電気的に中性になるという条件は満足されます。

 

 そして,このとき先のPoisson方程式:ε02φ=enel-en0は,

 ε02φ=en0[exp{eφ/(kBT)}-1] となります。

 対象とする系はプラズマですから,十分高温である:|eφ|/(kBT)<<1と仮定します。

 

 この仮定に基づき,Poisson方程式:ε02φ=en0[exp{eφ/(kBT)}-1]において,右辺をeφ/(kBT)の1次まで展開する近似を採用すると,

2φ=e20/(ε0B)φ=φ/λD2が得られます。

 

 ただし,λD≡[ε0B/(20)]1/2は,Debye長さと呼ばれる特徴的な長さです。

 上のようなφの満たす1次近似の方程式:(21/λD2)φ=0 は,よく知られたHelmholzの方程式です。

 

 球対称で,かつ遠方でゼロになるという境界条件を満たす解もよく知られており,これは湯川ポテンシャルの形の式:φ()const・exp(-r/λD)/rです。

 

 一方,上記の解φ()const・exp(-r/λD)/rはλD→∞ において2φ=-en0の解であるCoulombポテンシャル:φ()=en0/(4πε0)に一致するはずです。

 

 そこで,未知係数も一意的に決まって,

 φ()=en0 exp(-r/λD)/(4πε0) と書けます。

 

 これを遮蔽ポテンシャルと呼びます。

 電荷密度n0が大きくてプラズマパラメータ:Λ≡n0λD3がΛ>>1を満足するなら,遮蔽範囲であるDebye長以下の領域に多数の電荷があるので,電子の運動は個々の電子の衝突ではなく平均的分布による電場によって大きく支配されます。

 

 さて,電子の分布関数を速度と位置の関数としてf(,,t)と書くことにします。

 

このとき,位置だけの関数である数密度は,nel(,t)=∫f(,,t)dで与えられます。

 

 ところで,以前の記事では外力がない場合の連続の方程式を,

 ∂f/∂t+∇f=(∂f/∂t)collと書いて,これからBoltzmann方程式を導きました。

 

 しかし,今の場合には電子速度は一定ではなく電場による外力,あるいは加速度を受けて変化します。

 

 また,右辺の衝突湧き出し項は無視できるので,連続の方程式は

 ∂f/∂t+∂f/∂+(-e/m)∂f/∂=0 となります。

 ここで,∇fを∂f/∂と表記しd/dt=-e/mを用いました。

 したがって,結局,fに対する方程式系は,連続方程式:

∂f/∂t+∂f/∂-(e/m)∂f/∂=0 と,

 

 電場を決定する方程式:

ε0=-e∫f(,,t)d+en0 の2つになります。

 

 これらの方程式をブラソフ方程式(Vlasov's equation)と呼びます。

 

 こうして電場が分布fから決まることになり,fについては非線形になります。

 これらは,私が北原和夫著「非平衡系の統計力学」(岩波書店)を現在勉強しているプロセスの中での覚え書きとして記したものです。 

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2006年11月16日 (木)

非慣性座標系で現われる慣性力

 @nifty物理フォーラムでの「座標変換と遠心力」という質問に関して松田卓也先生から助言を頂いていますが,正直なところ遠心力という言葉にこだわりが強すぎるような気がします。

 

 結局は気象庁の木下篤哉氏や琉球大学の前野(いろもの物理学者)昌弘氏を交えて議論し結論らしいものが出たようです。

 

 松田卓也先生には専門家の中の専門家であるが故のこだわりが見られるようです。

 初めの質問はデカルト座標系から極座標に移っただけで,何故遠心力が現われるのかという単純な質問でした。

 

 この単純な質問の中にニュートンの運動の第1法則の存在価値という重要な課題も含まれていますね。

 松田先生のご意見はあくまで遠心力という慣性力は重力ではあるかもしれないがそもそも重力というのは時空のゆがみであるという意味でしょうか,それはそもそも力ではないというものでした。

 

 向心力というものがあるのであって,遠心力などという力などない,あるとしても回転座標系で現われるものであり,非加速系である極座標で現われる項は遠心力と呼ぶべきではない,ということでした。

 私はあえて反論はしませんでしたが,そもそも非慣性系で慣性力が現われるのはごく自然なことです。

 

 座標変換が運動系への変換ではなくても,擬似的に一般座標での加速度に対して外力以外の寄与があるのは当然のことですね。

 簡単のために2次元で考察します。

 

 x=x(ξ,η),y=y(ξ,η)なる直交曲線座標変換に対して,dx/dt=(∂x/∂ξ)(dξ/dt)+(∂x/∂η)(dη/dt),dy/dt=(∂y/∂ξ)(dξ/dt)+(∂y/∂η)(dη/dt)です。

 

 そこで,Lagrangian:L=T-Uにおいて,T=(m/2)[{(∂x/∂ξ)2(∂y/∂ξ)2}(dξ/dt)2{(∂x/∂η)2(∂y/∂η)2}(dη/dt)2]

です。

"運動方程式=Euler-Lagrange方程式"の1つである

(d/dt)[∂L/∂(dξ/dt))]―∂L/∂ξ=0

を書き下します。

 

m{(∂x/∂ξ)2(∂y/∂ξ)2}(d2ξ/dt2)

m{(∂x/∂ξ)(∂2/∂ξ2)(∂y/∂ξ)(∂2/∂ξ2)}(dξ/dt)2-m{(∂x/∂η)(∂2/∂η∂ξ)+(∂y/∂η)(∂2/∂η∂ξ)}(dη/dt)2∂U/∂ξ=0 です。

 

明らかに,(d2ξ/dt2)=Fξ+(慣性力)という形にならざるを得ないことがわかりますね。

例えば,平面極座標x=rcosθ,y=rsinθなら,運動方程式は,

m(d2/dt2)=-∂U/∂r+mr(dθ/dt)2,

および m(d2θ/dt2)=-(∂U/∂θ)/r2 となります。

 

局所的な回転角速度があれば遠心力が働きます。

 

さらに3次元ならCoriolis力も現われますが,ある意味でこれらが現われるのは非慣性系の宿命なのです。

 

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2006年11月14日 (火)

結晶内での弾性波(地震波)

 今日は等方的とは限らない一般の結晶内での弾性波,特に地震波について考察してみます。

弾性体の密度をρ,応力テンソルを{σjk},それを構成する部分の局所的速度を={uj}とすると,この弾性体が従うべき運動方程式は流体方程式と同じくρd2j/dt2=∂σjk/∂xkで与えられます。

 

そして,歪み速度テンソル{ujk}をjk≡(∂uj/∂xk∂uk/∂xj)/2で定義すれば,これは{σjk}と同じく反対称の単なる回転を除いた対称テンソルです。これは6個の独立成分を持ちます。

 

微小変位に対しては適切な線形弾性体近似では,Hookeの法則:

σjk=Cjklmlmが成立するため,先の運動方程式は,

ρd2j/dt2=Cjklm(∂2m/∂xk∂xl)となります。

jklmは,一般に81個の成分を持ちますが,{σjk}も{jk}も対称テンソルなのでjとk,lとmについて対称ですから,独立成分は6×6=36個となります。

  

また,歪みエネルギーWはΔW=σjkΔjkから求まり,対称2次形式W=(1/2)jklmjklmになるので,jklm,kとl,mの交換についても対称であり,結局,その独立成分は(30/2)+6=21個となります。

この方程式の平面波の解をj=u0jexp[i(kr-ωt)]として代入すると,ρω2j=Cjklmklmとなります。

  

これは書き直すと(ρω2δjm-Cjklmkl)um0 とも書けます。

 

この1次方程式が自明でない解を持つためには,3行3列の行列係数:(ρω2δjm-Cjklmkl) (j,m=1,2,3)の行列式がゼロ,

 

すなわち,det(ρω2δjm-Cjklmkl)=0 が成立する必要があります。

 

そして,ω2を未知数としてこの方程式を解けば,ω2の3個の解が得られ,それらはの関数となります。

ところで,もしも結晶が等方性弾性体であれば,歪みエネルギー:

W=(1/2)jklmjklmは,座標系の回転に対して不変なスカラーであるはずですが,jkの2次形式の形で得られる独立な不変スカラーはukk2jkjkのみです。

 

そこで,適当な係数λ,μを選んでW=(1/2)λukk2+μjkjkと書けるはずです。

 

そこで,応力テンソル{σjk}={Cjklmlm}は,σjk=λullδjk+2μujkと書けます。ここに弾性定数λ,μはLameの定数と呼ばれています。

このときには,運動方程式も,  

ρd2/dt2(λ+μ)∇(∇)+μ∇2  

と簡単になります。

 

先に挙げた1次方程式の係数の行列要素は,

ρω2δjm-Cjklmkl(ρω2-μ2jm(λ+μ)jm

となります。

 

の向きをx軸の正の向きに取ると,k1=k=||,k2=k30 ですから,行列[(ρω2-μ2jm(λ+μ)jm]は対角成分が[ρω2(λ+2μ)k2]と2つの(ρω2-μk2)の対角行列になります。

 

したがって,det(ρω2δjm-Cjklmkl)=0 の解は,

P2≡(ωP/k)2(λ+2μ)/ρ,VS2S/k)2=μ

となります。

 

それぞれの速度に対応する平面波は,速度Pで伝播する波の伝播方向への振動である"縦波=P波"と,速度VSで伝播する波の伝播方向に垂直な方向の振動である"横波=S波"です。

 

しかし,もしも異方性の弾性体の場合ならω>0 の3つの解ω()はの関数として1次の同次式ではあっても,単なる1次関数とは限らず,弾性波は一般に分散性の波であると思われます。

 

そこで,伝播速度は"単一波の速度=位相速度"ではなく,群速度=∂ω/∂で与えられると考えられます。

ところで,σjkやujk[σ]=t112233233112)のように,6次元の列ベクトルで表わすVogitの表記という表記法があります。

 

この表記で表現すると,Hookeの法則は[σ]=C[u]と簡単になります。

ここでCは6行6列のテンソル行列です。

 

また,このとき,特に結晶が等方性弾性体なら,

Cの成分のうちで独立なのはやはり2つだけです。

 

先に述べたLameの定数はλ=C12,およびμ=C44=(C11-C12)/2 と表わされます。

例えば結晶が立方体構造をしている立方晶系では独立成分は3つです。

 

つまり,C11=C22=C33,C12=C23=C31,かつ4~6行の成分は4~6列しか成分のない対角行列であって,C44=C55=C66です。

 

結局,この結晶構造を示すにはC11とC12とC44の3つだけあれば十分である,ということになります。

この条件では,x軸をの向きに取り,先のdet(ρω2δjm-Cjklmkl)= 0 はCjklmをボイトの表記でCを表わせば,ξ=(ω/k)2,a=C11/ρ,b=C44/ρ,c=C12/ρとして,(ξ-a)(ξ-b)2=0 です。

 

この解はξ=a,bとなります。

 

つまり速度をVP,VSとすると,VP2=C11/ρとVS2=C44/ρの2つの速度が得られます。

 

これは等方性弾性体でのC44=μ,C11=λ+2μのケースと一致します。

一方,六方晶系ではC11=C22で,C13=C23,また4~6は対角行列でC44=C55,C66=(C11-C12)/2です。

 

故に,結局のところ,C11,C12,C13,C33,C44の5つだけがあれば十分となります。

 

結果だけ書くと,VP2=C11/ρ,およびVS2=C44/ρ,(C11-C12)/(2ρ)となり,"横波=S波"には2つの速度があるので地震の観測ではS波の方に二重の波が観測されると予測されます。

 

ただし,異方性の結晶では一般に波は完全にS波とP波になるように行列が対角形になるとは限らないので,これらの計算においては偶々波の進行方向が結晶の対称軸と一致したり直交していたりする特別なケースだけしか扱っていません。

 

一般的な扱いについては,暇があってその気になればまた記事にするかもしれません。

参考文献;ランダウ=リフシッツ 著「弾性理論」(東京図書),角谷典彦 著「連続体力学」(共立出版)

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2006年11月12日 (日)

松田卓也先生のこと

 酒を飲んで帰って,@nifty物理フォーラムを見にいったら,元京都大助教授,元神戸大教授で確か定年退官されたと思う宇宙論の松田卓也先生から,私のブログをほめていただくコメントをいただいていました。

 つい,うれしくなって,ここで正直に自慢したいなという気持ちが起こったので書いてみました。

 松田先生には,10年ほど前のパソコン通信時代に何度もあった「双子のパラドックス」などについての議論でアクシオン(木下篤哉)氏やmurakさんなども交えて喧々囂々とやっていた時代にアドバイスやご意見を頂いていました。

 私のハンドルネームTOSHIから,二間瀬敏史氏と間違えられそうなことがあって,当時神戸大学におられた松田先生から「本人が迷惑しているらしい」という旨の投稿がありましたが,私の責任ではないので,それは今思うと光栄なことでしたが「私こそ迷惑だ。」などと突っ張ったものでした。

 今となってはなつかしい思い出ですね。

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2006年11月11日 (土)

折り返しノイズ

前記事の続きです。

 

前記事ではf(t)のFourier変換:F(ω)≡(f)において,|ω|>ω1のときはF(ω)=0 であるという理想的なケースを考えました。

 

この場合には,T<(π/ω1)の間隔でサンプリングすれば完全に元の信号:f(t)を復元できると書きました。

 

また,その式ではf(nT)のnは-∞から∞の範囲となっていますが,実際には有限個しかサンプリングできないので,Shannonの公式はあくまで近似式であり,その分の誤差も生じることを書き忘れていました。。

そして,また実際にサンプリングするソースデータも理想的ではないケース,つまり,T<(π/ω1)の間隔Tでサンプリングしているのにも関わらず,元の音のソースは|ω|>ω1の領域にもゼロではないF(ω)の成分をも含むのが普通ですね。

理想的なケースなら,(fT)=(2π/T){-∞(ω-2nπ/T)}の1つ1つのF(ω)の信号(ω-2nπ/T)でのゼロでない帯域,-ω1<ω-2nπ/T<ω1は決して重なることはないです。

 

しかし,今の場合は|ω|>ω1の領域にゼロでないF(ω)の成分があるので,ω1<ω-2nπ/T<ω1の部分に重なりができる結果,復元した信号の中で|ω|>ω1の高周波成分が,あたかもω1<ω-2nπ/T<ω1の成分であるかのように,ノイズとして入ってきます。

これをエイリアシング(Aliasing)とか,折り返しノイズと呼びます。

 

そして,こうしたノイズの発生を回避するためには,

 

1つには理想的ケースとするために,サンプリングの際に低周波のみをパス(スルー)し高周波をカットするフィルターであるローパスフィルター(Low-pass-filter)を通すという方法があります。

 

しかし,一般に完全なローパスフィルターというものはなく,これを実現するのは結構むずかしいことです。

 

そこで,別の手段として,サンプリング間隔Tをさらに小さくするという"オーバーサンプリング(Oversampling)"という手法を併用することが多いようです。

 

それでも,折り返しノイズを完全に除去するのは不可能で,ノイズを極限まで減らすことも技術的にはかなり困難なようです。

  

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2006年11月10日 (金)

シャノンのサンプリング定理

 昨今はアナログ機器のデジタル化が進んでいますが,いくら細かくデジタル化しても結局はアナログを完全に再現することはできないのではないかと思います。

 

 集合の濃度という意味では,いくら稠密な集合であっても高々可算個のデータで連続無限を表現することは不可能ではないかと感じることはよくあります。

 この感覚とは別に"周波数の大きさに上限があるなら,時間的に連続な信号も上限の2倍以上の個数のサンプルがあれば再現(復元)可能である。"というShannon(シャノン)のサンプリング定理があります。

 

 以下では,それを説明してみようと思います。

 まず,準備として一般に関数f(x)のFourier変換:(f)を,

(f)≡F(ω)≡∫-∞f(x)exp(-iωx)dxで定義します。

 

 このとき,逆変換は,f(x)=[1/(2π)]-∞(ω) exp(iωx)dωで与えられます。

また,周期がTの周期的デルタ関数:δT(x)を,

δT(x)≡∑-∞δ(x-nT)で定義します。

このとき,δT(x)のFourier変換:(δT)がやはり周期的デルタ関数になることがわかります。

 

すなわち,δT(x)は周期Tの周期関数なので,これをFourier級数に展開すると,δT(x)=(1/T)∑-∞exp[i(2nπx/T)]となります。

 

そこで,(δT)=(1/T)-∞-∞[exp{-ix(ω-2nπ/T)}]dx(2π/T)-∞δ(ω-2nπ/T)と書けるからですね。

(t)を帯域を制限された信号であるとします。

すなわち,(ω)≡(f)において,|ω|>ω1のときはF(ω)=0

であるとします。

 

例えば,音楽などでは人間の耳には,"周波数f=ω/(2π)が20kHz前後より大きい音=非常に高い音(超音波と呼ばれ犬など他の動物には聞こえる音もあります)"は聞こえません7。

 

そこで,実質的にそれより大きい周波数部分は必要ないと見なされて,CDでは22.05kHzより大きい周波数の信号はカットされています。

ここで,ある時間的周期Tごとにこの信号(t)をサンプリングしたと考えると,サンプリングした信号をf(nT)として,全てのサンプル信号はfT(t)≡-∞(nT)δ(t-nT)=f(t)δT(t)と表現できます。

これをFourier変換すると,(fT(t))=[fδT]

[f(t)]*[δT(t)]となります。

 

最右辺の'*'は"たたみこみ(convolution)"を示しています。

 

そこで,(fT)=(2π/T)F(ω)*{-∞δ(ω-2nπ/T)}

(2π/T){-∞(ω-2nπ/T)}となります。

もしも,T(t)のFourier変換(fT)の周期(2π/T)が,周波数の幅である2ω1よりも大きい:(2π/T)>2ω1 or T<(π/ω1)なら,

 

1つ1つの帯域幅を持つ信号:(ω-2nπ/T)のゼロでない帯域:-ω1<(ω-2nπ/T)<ω1は決して重なることがないわけです。

  

そこで,元の信号の全体であるF(ω)が周期的に現われます。

 

f(t)は1周期分のFourier変換から逆変換により完全に決定できます。

具体的には,(fT)は周期(2π/T)の周期関数なのでFourier級数に展開できて,(fT)=(2π/T){-∞(ω-2nπ/T)}=-∞n exp(inTω);cn =∫-π/Tπ/TF(ω)exp(-inTω)dω=Tf(-nT)です。

 

なぜなら,F(ω)は積分区間の外ではゼロなので積分区間を(-∞,∞)に拡張しても同じだからです。

そこで,(fT)=-∞(nT)exp(-inTω)であり,左辺は -π/T≦ω≦π/TではF(ω)に等しいので,

 

結局のところ,帯域内ではF(ω)=∑-∞(nT)exp(-inTω)と展開されます。

 

これの逆変換により,元の連続信号f(t)が具体的に,

f(t)=∑-∞[f(nT)sin{π(t/T-n)}/{π(t/T-n)}]

という形で完全に得られます。

 

かくして,全信号は原理的にはサンプル信号(nT)だけで復元できることになります。

 

これを,"Shannonのサンプリング定理"と言います。

 

したがって,例えばCDの帯域が22.05 kHzだとすると,サンプリングには44.1kHzのデータがあれば十分ということになりますね。

つまり,帯域制限があるときには何らかの補間法に頼ることなく各時刻の各周波数ごとの振幅(大きさ)が計算によって復元できます。

 

つまり,どんな楽器のどんな音色やそれらの合奏であろうと,音の帯域周波数の2倍のデータをある場所でサンプルしておけば,その場所での全楽器からの音を原理的には完全に再現できるというわけです。

ただし,これらを本当に忠実に行なうのは結構むずかしい問題があると思われます。

 

これらの精度は,実際に復元演算を行なうデジタルコンピュータのチップを含むであろうDAコンバータ,録音機器,再生機器の性能にかかっており,

 

そうしたことを行なうプロセスでは,必然的にノイズやエラーを伴なうからです。

 

また,実はカットした帯域外の人間の耳には聞こえないはずの音が弾性振動の波として違った作用を人体に及ぼす結果として,人間の快,不快の感覚に関与しているかも知れません。

 

参考文献;松下泰雄 著「フーリエ解析」(培風館)

 

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2006年11月 9日 (木)

思い出し泣き

 昨夜の勤務の合間の休憩時間に内田康夫の推理小説「還らざる道」を1冊,読み終えてしまいました。

 内田康夫の小説では,浅見光彦出現以前のデビュー作であろうと思われる「死者の木霊」がやはり私には最も印象的です。     

 浅見光彦ものは「サザエさん」同様,彼やそのまわりが全く歳を取らないことも含め,既にマンネリ化していますが,何故か読んでしまいます。 

 話の筋とは無関係ですが,今回の小説では戦国武将の中でかなり好きな「明智光秀」も話題になっていたので彼の素性について,調べたいという気にもなりました。

 また,小説の中に数年前,地下鉄で同胞でもないのに危険を顧みずホームから落ちた人を助けようとして犠牲になった韓国人青年の話題もあって,当時そこにいたのに彼を助けようとした日本人が全くいなかった,ということなど思い起こして,つい「思い出し泣き」をしてしまいました。

 歳のせいか喜怒哀楽の感情は少なくなってきていますが,何故か僅かな怒と大きな哀は残っていて涙もろくなっているらしいです。

 正義とか人の義とかいうことも,所詮はTPOによって変化する相対的な価値観であることはわかっているのに,何故かこうした義侠心には遠い記憶の中のことでさえ,いまだに青臭く感情移入してしまいます。

 まあ,こういう自分も嫌いではないですが。。。。

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2006年11月 8日 (水)

量子的ボルツマン方程式

古典的気体分子でなく金属内の自由電子という量子的Fermi気体に対し,

先に述べたBoltzmann(ボルツマン方程式):

∂f/∂t+∇f=(∂f/∂t)coll

を拡張することを考えてみます。

ch/(2π)(hはPlanck定数)とすると,波数がの"電子波束の速度=群速度"は,k=hc-1(∂εk/∂)です。

 

の時間変化は,外力として電場があるときには電子の電荷をe(<0)としてd/dt=e/hcで与えられます。

 

波数がの電子波束をFermi粒子として,その分布関数をfkとすると量子的Boltzmann方程式が,∂fk/∂t+k∇fk(∂fk/)(∂fk/∂t)collで与えられます。

 

左辺の第3項は,電場による波束の変化,つまり運動量=hcの時間的変化による分布の変化を示しています。

波数:'+dk'1'+d1'の間の電子波束対が衝突して単位時間に速度1との波束対となって,+d,11+d1領域に入ってくる散乱確率を,σ(,1|',1')1'd1'とします。

 

これとは全く逆に,+d,11+d1領域から出て行く散乱確率をσ(',1'|,1)1'd1'とします。

気体分子の運動論のときと同様な略記として,f≡fk,f1≡fk1,

f'≡k',f1'≡k1'とおきます。

 

衝突前の波数,1を持つ波束の減少は,ff1にも比例しますが,衝突後の状態'と1'が占有されていないことが必要なので,(1-f')(1-1')にも比例します。

したがって衝突項を与える式は(∂f/∂t)coll=∫σ(,1|',1')f'1'(1-f)(1-1)1'd1'-∫σ(',1'|,1)ff1(1-f')(1-1')1'd1'となると考えられます。

量子力学でも時間に関する可逆性,空間反転対称性は成り立ち,「衝突数算定の仮定」という統計的意味は量子力学自体が確率現象なので,さらなる重みを持ちます。 

そこで,(∂f/∂t)coll=-∫σ(,1|',1')[ff1(1-f')(1-1')-f'1'(1-f)(1-1)]1'd1'となるはずです。

量子論でのFermi粒子系のエントロピー(entropy)は,

S=-kB∫[flogf+(1-f)log(1-f)]です。

 

そこで,このときのH関数は,H≡[flogf+(1-f)log(1-f)]と定義すればいいと思われます。

 

古典論と同じように考察して,

dH/dt=∫[log{f/(1-f)}(∂f/∂t)coll]dk

=(1/4)∫σ[f'1'(1-f)(1-1)-ff1(1-f')(1-1')]log[ff1(1-f')(1-1')/{f'1'(1-f)(1-1)}]1'1'

と書けます。

そこで古典的気体分子運動論と同じく,金属内のFermi気体である自由電子の運動論でもH定理,

 

すなわち,dH/dt=∫[log{f/(1-f)}(∂f/∂t)coll]dk≦0が成立し,エントロピーの増大則:dS/dt≧0 を保証します。 

今度の場合では,熱平衡状態とは[(logf)(∂f/∂t)coll]d=0,

すなわち,ff1/[(1-f)(1-1)]=f'f1'/[(1-f')(1-1')]

に対応しています。

 

これはfがFermi-Dirac分布,f=1/[exp{(εk-μ)/kB}+1]に従うなら確かに満足されています。

 

参考文献;北原和夫 著「非平衡系の統計力学」(岩波書店)

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2006年11月 6日 (月)

移流拡散方程式を解く

 特殊な条件の下で移流拡散方程式を解いてみたいと思います。

 これは30年ほど前,就職した会社で配属後に計算したものの転載です。

 点源から,不断にQ(m3/s)の気体物質が排出され,風速は一様で=(u,0,0)で与えられ,拡散係数:x,Ky,Kzが定数である場合の濃度計算を考えます。

 

 まずは,点源は原点にあるとします。

 このとき,気体物質の体積濃度Cに対する拡散方程式は,

 ∂C/∂t+u(∂C/∂x)=x(∂2/∂x2)+y(∂2/∂y2)

 +z(∂2/∂z2)+Qδ3() と書けます。

 これを解くため,濃度:C=C(,t)のFourier変換式を,

 C(,t)≡{1/(2π)3}∫d3C^(,t)exp(ikr)とします。

 

 これを上の≠0での拡散方程式に代入すると,C^=C^(,t)に対する方程式として∂C^/∂t+(xx2yy2zz2+ikx)C^=0

が得られます。

 故に,C^(,t)=C^(,t0)exp[-(xx2yy2zz2+ikx)(t-t0)]と書くことができます。

 そして,C^(,t0)=∫d3'C(',t0)exp[-i(')]ですから,(,t)={1/(2π)3}∫d3C^(,t0)exp[-(xx2yy2zz2+ikx)(t-t0)+ikr]={1/(2π)3}∫d3'C(',t0)∫d3exp[-(xx2yy2zz2)(t-t0)-i{kr'-kx(t-t0)}] を得ます。

 ところが,

∫d3exp[-(xx2yy2zz2)(t-t0)-i{kr'-kx(t-t0)}]

=∫exp[-x(t-t0){x+i[x'-u(t-t0)]/[2x(t-t0)]}2]dkxexp[-y(t-t0){y+iy'/[2y(t-t0)]}2]dkyexp[-z(t-t0){z+iz'/[2z(t-t0)]}2]dkzexp[-{'-u(t-t0)}2/{4x(t-t0)}-y'2/{4y(t-t0)}-z'2/{4z(t-t0)}]

 

です。

  

 Gauss積分を実行することにより,

 右辺=[π3/{xyz(t-t0)3}]1/2exp[-{'-u(t-t0)}2/{4x(t-t0)}-y'2/{4y(t-t0)}-z'2/{4z(t-t0)}]

 となります。

 したがって,C(,t)=(1/8)[1/{π3xyz(t-t0)3}]1/2

∫d3'C(',t0)exp[-{'-u(t-t0)}2/{4x(t-t0)}-y'2/{4y(t-t0)}-z'2/{4z(t-t0)}]です。

 

 特に初期瞬時濃度が排出強度Q'そのもの,C(,t0)=Q'δ3()なら,

 

 C(,t)=(Q'/8)[1/{π3xyz(t-t0)3}]1/2exp[-{x-u(t-t0)}2/{4x(t-t0)}-y2/{4y(t-t0)}-z2/{4z(t-t0)}]

 となりますね。

 そこで,排出量が単位時間当たりQ,つまり,微小時間dt0ではQ'=Qdt0である場合,これを代入してt0で積分します。

 定常状態の濃度C()は,これで得られるはずです。

 

 C()=∫0dt0(Q/8)[1/{π3xyz(t-t0)3}]1/2exp[-{x-u(t-t0)}2/{4x(t-t0)}-y2/{4y(t-t0)}-z2/{4z(t-t0)}]と書けます。

 

 この時間積分を実行すると,

  

 C()=(Q/4)[1/{π2xyz}]1/2(x2/2/y+z2/z)-1/2 exp{ux/(2K)}exp(-u(x2/2/y+z2/z)1/2/(2K1/2))

 

となります。

 特にx,yを水平方向,zを鉛直上向き方向としたとき,一般に地上付近を考えるならばx,y>>zです。

 

 また,水平方向の対称性からK=Ky=KH とすると,

 (x2/2/y+z2/z)1/2~ R/KHと考えることができます。

 

 ただし,R≡(x22)1/2は点源からの水平距離です。

 そこで,() ~ [Q/(4π)][1/(RHz1/2)]exp {ux/(2KH)-u{R2/(2KH)2+z2/(4zH)1/2}]です。

 

 さらに風下方向xがyよりも風に流される影響が優勢と考えて,

x>>yとするとき,

 

 ux/(2KH)-u{R2/(2KH)2+z2/(4zH)1/2} ~ ux/(2KH)-ux/(2KH)[1+y2/(2x2)+KH2/(2Kz2)]と近似すれば,

 

 () ~ [Q/(4π)][1/(xHz1/2)]exp[-uy2/(4KHx)-uz2/(4Kzx)] となります。

ここで,σx2=σy22KHx/u,σz2=2Kzx/uと書けば,

()~[Q/(2πσxσz)]exp[-y2/(2σy2)-z2/(2σz2)]

となります。

しかし,一般には地上z=0 より下のz<0 には拡散しないので,

z=0 で境界条件として∂C/∂z=0 なる反射条件が成立します。

 

規格化定数は,上半面z>0 のみを対象空間とするため,先の値の2倍となります。

 

また,拡散式は発生点源より風上のx≦0 では()=0 であるという境界条件をも満足する必要があります。

 

さらに,点源が高さz=He=(有効高さ)を持つなら,地下z=-Heにも仮想の鏡像点源があるとすれば∂C/∂z=0 を満たす解となります。

 

濃度は,C() ~ [Q/(2πσxσz)]exp{-y2/(2σy2)}[exp|-(z-e)2/(2σz2)+exp|-(z+e)2/(2σz2)]]と変更されます。

行政では,簡易式として,y方向について-∞ から+∞ まで積分し,その濃度が円周2πRではなくて,16等分した風向の風下扇形(π/8)R部分に全て分配されると仮定して近似した式が採用されているようです。

 

すなわち,濃度は風向をx軸として,()~C(R,z)

~ [Q/{(2π)1/2(π/8)Rσz}][exp|-(z-e)2/(2σz2)+exp|-(z+e)2/(2σz2)]] で与えられる,という簡易式を多用するようです。

 

これらの式は,有風時プルーム(plume)式と呼ばれています。

 

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2006年11月 5日 (日)

昔好きだった女性

 今日は朝まで飲んで酔っ払ちゃったので社会人になってから昔お付き合いのあった母親と姉以外の女性を列記してしまおうかなと思います。ここを見てたら是非コメントしてね。

 (飲み屋のママや芸者さん,風俗関係は除外してます。)

 何が何でも自殺未遂までした片思いの人は会社で1年先輩だった「S井智子」さんです。あとの娘は好きな順番じゃなくて,だいたい出会った順番です。

 (自殺未遂といっても私の勝手な一人相撲の片思い失恋で,その夏の日には神保町で飲んだ後,新宿で2件目のヤケ酒を飲み,そこから青梅街道を上を向いて歩いて新高円寺の自宅アパートにたどりつきました。

 夜中に部屋を大掃除して拙い遺書を書き,せめて下着だけでも替えた後,精神病院で貰って自殺用に貯めていた睡眠薬約70錠を飲んで寝ただけなのですが。。

 結局,数日間会社を休んだだけで,本人以外は知らない話です。

(所持している種類の睡眠薬では,よほどうまくやらないと死ねないということが後になってわかりました。)

 それから,同期入社の「M上直子」さん,中野坂上駅にある老舗のお菓子屋の2人の娘さんの妹の方の「K須順子」さんがいました。

 その他,同期は「I千晶」さん,「N村」さん,「S木幸ちゃん」,「K本枝里子」さんとあと一人忘れてる。(PS:「Y田雅子」さんだったかな?)

 「K須順子」さんには自宅が私の新高円寺駅への帰り道への途中だったし特別な思いがありました。

 同期では「M上直子」さんと同じくらい好意を持っていました。って,こりゃ今もそうですが我ながら多情だな。。。

 それに1年先輩(とはいっても年下)ではS井さんと同期の「T橋」さんと「H川」さん,さらに先輩の「板Kの初ちゃん」とお局クラスの「N野」さん。

 また,会社の卓球部でよくグループ旅行した利尻島出身の「T原由美子」さん,その友人の「大M」さん,そして笑顔が素敵でなんとなく好きだった「飯Z庸子」さん,

 そして結婚したいと思っていた(故)「石S好美」さんがいます。

 それに「B戸(S山)典子」さん,「安D好恵」さん,北区浮間に住んでいた「T真佐子」さん,「石H弥生」さん,今でもいつかまた飲みに誘いたいと思っている「S原雅子」さんが卓球部関係です。

 私の同期の男性の妻となりその後離婚した「T永真紀子」さん,いろいろ人生について教わった営業部の「木M亜里沙」ちゃん,同じ会社ではないけれど会社で一緒に働いていた同学年の友人の大和さんに紹介してもらった沖縄は今帰仁出身のかなり美人の「Y田艶子」さん。。

 そうそう,卓球部で忘れていたけど,愛知県名古屋?出身の顔は可愛かったけど細身で長身だった「M川明子」さん。。

 あるとき,グループで後楽園球場での「巨人-中日」のナイターを観にいったとき,彼女以外はどちらかというと巨人ファンだったし,離れ離れもイヤだったので全員一緒に巨人側で割と静かに観戦していたときのことです。

 中日が勝った瞬間に思わず「M川」さんだけが立ち上がって「バンザイ!」をしたので,巨人ファンしかいない席の後ろからか紙ツブテがいっぱい飛んできて「コワーイ」という状況になり,皆でガードしました。

 チョッと危なかったということもありましたね。

 かなり,華奢で愛くるしかった埼玉は鶴ヶ嶋の「ゆでお」ちゃんって本名は何だったっけ。。。(思い出した。「W辺直子」ちゃんだ。。)

 かなり大切な思い出を他の人と同列に書いていました。

 次の方は,「S井智子」さんや(故)「I石S好美」さんと同じくらい大切な思い出のある人です。

 やはり会社の卓球部の一員で,一時は私の彼女だった北海道は利尻島出身の「T原由美子」さん。

 表面は明るくお笑いのようにふるまっていたけれど,何故か寂しげな陰を背負っていた人で,私とは横浜の山下公園などでデートしたり,池袋で映画を見たり個人的にかなり深いお付き合いをした方です。

 あるときは,デートの最中に私がカゼを引いて高熱を出し,白山の彼女のアパートで布団に寝かせてもらって「おかゆ」とか「焼きそば」とか作ってもらって,2,3日間治るまで看病してもらったこともあります。

 その後,「N田F生」先輩の引越しの手伝いのとき,荷物を載せたトラックが旧居から新居に届くのを待つ1時間半くらいの間,近くの喫茶店で,彼女の親友でやはり卓球部のかなり大人びた美人の「大M」さんと「T原」さんの2人で,

 「何度も泊まっておいて手も出さないのは失礼だ。」とかいう内容で長時間説教を受けた思い出があります。

 その後「T原」さんは会社をやめて札幌に再就職したと聞きました。「大M」さんは確か結婚退職でしたね。

 「T原由美子」さんには油絵の趣味があるらしく,お別れの記念に赤い「利尻富士」の絵をもらったのですが,30年くらいの間の私の何回かの引越しのドサクサでこの絵は紛失してしまいました。 ゴメンネ。

 27歳から35歳まで新高円寺に住んでいましたが,そのころ通っていた東中野は「ハイブリッジ」の「千K和子」さん,年頃なのにあどけない笑顔だった「H野恵美子」さん,

 ちょっと太めだったので,「シコ踏んでみて」とからかっていた女性の名前は何だっけ?

 結構,親密だった劇団「銅R」の「G智子」さん,最初は「青い石」でバイトしてたときに出会って,偶然「ハイブリッジ」で再会しました。。

 中野は「えてがみ」(ママはK田良子さん)にいて笑顔が可愛かった「がんちゃん」も,そして良子ママもなつかしい。冬場のママ特製の雑炊はおいしかった。。

 そして,「蜜蜂」の少し太めの「美奈ちゃん」に"ママ=「京子」さん",その姪の高校生で田原トシちゃんが好きだったので胸に「TOSHI」と入った手編みの失敗作をもらった「こずえ」と,ママの娘でこずえと同級生の「ヤスコ」。。。

 中野の店「ジュリアン」のママは美しかった。

 ウィスキーのミルク割りと箱崎の歌:抱擁を教えてもらいました。その店を締めて東高円寺に同名の「ジュリアン」という喫茶店を開いたと聞いています。

 そして,神楽坂は「坂の上の2階」の「えいちゃん」や「M幸子」さん,そこで知り合った厚生年金病院の看護婦寮にいた「M和枝」ちゃん,なつかしいです。

 同じく神楽坂「バロン」の「恵美ちゃん」と「千恵ちゃん」,そこで紹介され僕より364日上(1949年2/2生まれ)で今は掛川で闘病中(クモ膜下出血?)の歯科医の「H(S)千春」さん,

 そして厚生年金病院の事務だった「N山みどり」ちゃんもバロンでアルバイトしてたときに知り合いました。

 そして彼女の友達?の石原真理子(絵)に顔が似ていた「純子」ちゃん。。。

 この店は当時は大手の会社では丸紅と熊谷組の社員,それに厚生年金病院の医者と看護婦,その卵や医療事務の女性が多かったですね。

 男性だけれど,お客では「福屋」のS一郎さんもなつかしい。私は,バロンのマスターのお兄さんと紹介されて信じてたこともありました。

 さらに,同じく神楽坂や江戸川橋関係では今でも細々とお付き合いある「サンドール」の「W辺(I藤)時子」さんと「W辺由利」さんの姉妹。。。

 神楽坂の毘沙門の前で肉まんで有名な五十番の隣「坂の上の2階」はママの姪で10歳くらい年下の「いくちゃん」は好きだったけどいつもテキトーにあしらわれ,からかわれてマゾの私はうれしかった,という記憶あります。

 同じく神保町の「たか」のママの"「かずちゃん」=「I田和子さん」"も好きだったので,よく行ったけれど「二度と来るな。」と本当に塩まで撒かれて,ついうれしくて翌日もまた行くということもあって,やはり私は典型的なマゾでした。

 カラオケはなかった時代で,そこでは有線にリクエストして唄を聴いてました。

 ネット関係ではパソコン通信でチャットで将棋を教えてあげていて8年ほど前に1度だけ上京した彼女と実際に会って飲んだ大阪の「やっぱりあき(O本あき)=N亜希」さん,

 そして去年まで4年間,12年ぶりに昔の会社にアルバイトとして戻っていたときに出会った親子ほど歳の違う「K(O)典子」さん,

 最後に巣鴨1丁目のスナック「若大将」で最近好きになったけどやはり親子ほど歳が違って決して報われることのない上海育ちの「りくちゃん」,これで終わりかなあ,意外と少ないですね。。。

    

 とにかく私の場合は若い頃から,人一倍女好きで浮気性(イヤ実は全部本気です),しかも美人であるか否かによらず,近くにいれば必ず情が移って,惚れっぽい性分なので困ったものです。

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2006年11月 4日 (土)

大気中の移流拡散方程式

 大気中の気体物質の拡散方程式について,若干の考察をしてみたいと思います。

 ある温度で大気の単位体積中に存在する同じ温度の気体物質の体積の値をその濃度と呼びCで表わすことにします。

 "(大気+物質)の密度=大気全体の密度"をρ,濃度対象としている気体物質のみの密度をρ1とし,質量濃度をcとします。ρ1=ρcです。

 

 そして,大気全体には"主流=平均流"として風速があるとし,大気全体は非圧縮,かつ空間的にもρは一定と仮定すると,その全体としての連続の方程式はdiv=∇=0 となります。

 

 一方,混合された気体物質に着目した連続の方程式には湧き出しがあるとして,∂ρ1/∂t+∇(ρ11)=q1と書くことができます。湧き出しq1は物質の排出強度と呼ばれます。

 連続の方程式∂ρ1/∂t+∇(ρ11)=q1にρ1=ρcを代入すると,(ρc)/∂t+∇(ρc)=-∇[ρc(1)]となります。

 

 結局,Dc/Dt=∂c/∂t+∇c=-∇+q1 /ρと書けます。ただし,D/Dt=∂c/∂t+∇はLagrange微分です。≡c(1)は拡散流束密度と呼ばれる量です。

 ここで,N0をAvogadro,Mを大気全体の分子量,M1を濃度対象の気体物質の分子量とすると,大気全体と対象物質の単位体積当たりの分子数は,それぞれ,N0ρ/M,N0ρ1/M1です。

 

 同一温度での気体の体積は分子の数に比例するので,C=ρ1/(ρM1)=(M/M1)cとなります。

 

 よって,質量濃度cと(体積)濃度Cは単に定数係数の違いしかないことがわかります。

 

 したがって,質量濃度cの方程式Dc/Dt=-∇+q1 /ρを体積濃度Cで表わすと,DC/Dt=-∇+Qとなります。

 

 ≡(M/M1)i=C(1)は(体積濃度の)拡散流束密度,Q≡q1/(ρ/M1)は物質の(体積)排出強度と解釈できます。

 ここで,Fick型の拡散を想定し,拡散流束密度が濃度の高い方から低い方向へ濃度の勾配に比例した大きさて流れるとします。

 

 その拡散流束密度は拡散係数:Kをテンソル{Kij}として,

i=-Kij(∂C/∂xj)となります。

 

 Kは拡散係数ですから正値行列です。

  

 ただし,同じ添字が2度出現するときは1から3まで加えるというEinsteinの規約を用います。

 

 拡散係数テンソル:Kを主軸変換して対角化し,ij=Kiδijの主軸をx,y,z方向に取れば,主軸成分はKx,Ky,Kz と表わすことができます。

 

 このときには,拡散流束密度は={x(∂C/∂x)}x+{y(∂C/∂y)}y{Kz(∂C/∂z)}zと書けます。

 

 そこで,(移流)拡散方程式として, 

∂C/∂t+∇C=(∂/∂x){x(∂C/∂x)}+

(∂/∂y){y(∂C/∂y)}+(∂/∂z){Kz(∂C/∂z)}+Q

が得られます。

 特に拡散係数Kがスカラーで近似的に定数と見なせるときには,

 ij=Kδijであり,通常の移流拡散方程式である

 ∂C/∂t+∇C=K∇2C+Qに帰着します。

 

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2006年11月 2日 (木)

ボルツマン方程式とH定理

 今日は不可逆過程と関連してボルツマン方程式とボルツマン

 (Boltzmann)のH定理について述べたいと思います。 

 まず,質量がmで全分子数がNの気体が速度v+dvの間

 にある粒子数の分布をf()dとします。

 

 簡単な考察によって,絶対温度Tで熱平衡状態

 にある場合には,f()はMaxwell-Boltzmann分布:

 f()=N[m/(2πkB)]3/2exp[-m2/(2kB)]

 に従うことがわかります。

 

 これは,∫f()d=Nと規格化されています。

 次に同じ気体分子が非平衡状態にあるとして,その分布関数

 を位置と速度,および時刻tの関数としf(,,t)と

 します。

 

 つまり,時刻tに+dの間,+dの間にある

 分子数をf(,,t)dとするわけです。

 

 

 これも∫f(,,t)d=Nと規格化しておきます。

 このとき,粒子の衝突を無視した自由運動による各位置の近傍

 での粒子数の保存を示す連続の方程式は,

 ∂f/∂t+∇f=0 となります。

 

 これはLiouville方程式を分布関数で与えたものとなっています。

 しかし,一般に非平衡状態では衝突による粒子数変化の

 湧き出し項として衝突項が存在し,連続の方程式は

 ∂f/∂t+∇f=(∂f/∂t)collとなるはずです。

 これをBoltzmann方程式と呼びます。

 

 ある時刻tに速度'1'をもつ粒子対が衝突して単位時間

 に速度1との粒子対となって+d,11+d1

 領域に入ってくるプロセスの頻度をσ(,1|',1')

 とします。

 

 これと全く逆に,+d,11+d1領域から出て

 行くプロセスの頻度をσ(',1'|,1)とすれば,

 

 

衝突(湧き出し)項は,(∂f/∂t)coll=∫σ(,1|',1')

f(,',t)f(,1',t)d1'1'

-∫σ(',1'|,1)f(,,t)f(,1,t)

1'1'なる式で与えられるはずです。

 ところで,力学の時間反転に対する対称性よって,1から

 '1'に変わる頻度は-'と-1'から-と-1に変化する

 頻度に等しい:

 つまりσ(',1'|,1)=σ(-,-1|-',-1')

 と考えられます。

 

 これを「衝突数算定の仮定」と呼びます。

 さらに座標軸の向きを逆転させても,こうしたプロセスの頻度は

 同じと考えられるので,

 σ(-,-1|-',-1')=σ(,1|',1') です。

 

 そこで,結局σ(,1|',1')=σ(',1'|,1)として

 よいと考えられます。

 ここで略記法として,f≡f(,,t),f'≡(,',t),

 f1f(,1,t),1'(,1',t)と書くと, 

 (∂f/∂t)coll

 =∫σ(,1|',1')(f'f1'-ff1)1'1'

 となります。

 

 気体分子の衝突は,弾性衝突で衝突の前後でエネルギーも運動量

 も保存されると考えられるため,

 1'+1',かつ,2+v12=v'2+v1'2

 以外の場合には,σ(,1|',1')=0 です。

 Boltzmann方程式が不可逆過程を記述することを示すため,

 ここでBoltzmannのH関数という関数Hを,

 H(,t)≡∫(,,t)logf(,,t)d

 で定義します。ここでlogは自然対数:lnです。

 このとき,∂H/∂t=∫(∂f/∂t)(logf+1)d

 書けますが,

 Boltzmann方程式:∂f/∂t+∇f=(∂f/∂t)coll

 を代入すると,

 

∂H/∂t=∫(logf+1)[-∇f+(∂f/∂t)coll ]

=-∇[(flogf)d]+∫(logf+1)(∂f/∂t)coll

となります。 

この右辺のうちで,1×衝突項の部分の積分は

(∂f/∂t)coll

=∫σ(,1|',1')(f'1'-ff1)1'1'

です。

 

これはσ(,1|',1')の,1,',1'における粒子の

交換に対する対称性と(f'1'-ff1)の粒子交換の反対称性から

ゼロとなります。

 

したがって,Hの流れとして,H(flogf)dを定義

すると,∂H/∂t+H[(logf)(∂f/∂t)coll]d

となります。

 

これは,BoltzmannのH関数の流出入以外の正味の生成である

dH/dt=∂H/∂t+H [(logf)(∂f/∂t)coll]d

によって与えられることを示しています。

そして,∫(logf)(∂f/∂t)coll

=∫(logf)σ(,1|',1')(f'1'-ff1)1'1'

です。

 

この式の右辺は, 

(logf1)σ(1,|1',')(f1'f'-f1f)1'1',

(logf')σ(',1'|,1)(ff1-f'1')1'd1',

(logf1')σ(1','|1,)(f1f-f1'f')1'd1'

の全てと等しいことになります。

 

しかも対称性から,これらのσは全て等しいので,簡略化して

σ(,1|',1')を単にσと略記することにします。

すると,(logf)(∂f/∂t)coll

=(1/4)∫σ(f'1'-ff1)(logf+logf1logf'logf1')

1'1'

(1/4)∫σ(f'1'-ff1)log(ff1/f'f1')1'1'

と書けることになります。

ところが,σは衝突頻度ですから,当然σ≧0 であり,しかも

(x-y)log(y/x)≦0 ですから,

 

結局,dH/dt=[(logf)(∂f/∂t)coll]d≦0 が

示されたことになります。

 

つまり,BoltzmannのH関数は時間と共に常に一定,または減少

するということが示されたわけです。

 

こうして,"時間反転不変=可逆な力学法則から,どういうわけか

不可逆変化が導かれました。

これを"BoltzmannのH定理"といいます。

しかし,この定理に対しては,"Loschmidtの逆行性批判"という

有名な反論があります。

 

すなわち,"ある瞬間に時間的変化を反転する,つまり全粒子の向き

を逆転させると,逆にHは過去に向かって減少する,または未来に

向かっては増加するということになる" という反論です。

 

これは,まことにもっともな話です。 

こうしたさまざまな反論に悩んだ末,とうとうBoltzmannは自殺

に追い込まれてしまったのです。

 

今考えると,H定理は実は確率法則による定理であり,例えば衝突

頻度σに対して「衝突数算定の仮定」が導入されています。

 

既に"速度空間の大きい体積の方には小さい体積よりも粒子数

多いはずである"などの「等重率原理」のような確率的構想

が入っていて,単純な可逆的力学法則からの確率概念的な飛躍

があることに気付きます。 

というわけで,確率法則としてはBoltzmannのH定理は正当である

と認めて何ら問題はありません。

 

ところで,H関数は非平衡状態に対して与えられたものですが,

熱平衡状態は∫[(logf)(∂f/∂t)coll]d=0,

つまりff1=f'f1'に対応します。

 

そして,このときはfをで積分したものはMaxwell-Boltzmann分布

となります。

 

平衡統計力学においてのみ定義されるエントロピー(entropy):

を計算すると,これはBoltzmannのH関数と

S=-kB∫H(,t)d(定数)なる関係にあることが

わかります。

 

そこで,エントロピー概念を拡張して非平衡状態でもエントロピーを,

S=-kB∫H(,t)d(定数)で定義すればいいのでは,

と考えることができます。

 

"孤立系=流出入のない系ではエントロピーは常に増加する"

という熱力学第2法則は,平衡状態でのBoltzmannのH定理の

いい換えに過ぎないということになります。

 

参考文献;北原和夫 著「非平衡系の統計力学」(岩波書店)、テル・ハール 著「熱統計学」(みすず書房)

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