常微分方程式の解の存在定理④(連立方程式,高階の方程式)
連立常微分方程式系:dyi/dx=fi(x,y1,y2,..yn)(i=1,2,..,n)についての解の存在定理を考えます。
これは,y≡t(y1,y2,..yn),f≡t(f1,f2,..fn)と列ベクトル表示をすれば,dy/dx=f(x,y)と書けます。
fの定義域である閉領域DをD=I×J,I≡[x0-a,x0+a],J≡[y0-b,y0+b]とし,Dの上でのfの連続性を仮定すれば,容易にDが2次元の領域の場合に還元できます。
そこで,この"拡張された解の存在定理"の成立自体は,ほぼ自明ですから証明は省略します。
この場合,"ノルム=n次元の絶対値"について,
|f(x,y1)-f(x,y2)|<k|y1-y2|なるLipschitz条件
を仮定すれば解の一意性も成立します。
そして,高階(n階)の常微分方程式:
dny/dxn=f(x,y.dy/dx,d2y/dx2,..,dn-1y/dxn-1)は,
y1=y,y2=dy1/dx,y3=dy2/dx,..,yn=dyn-1/dxとおき,最後にdyn/dx=f(x,y1,y2,..yn)とすれば,
上述の連立方程式:dy/dx=f(x,y)に帰着します。
そこで,高階の常微分方程式の解の存在と一意性の問題は,連立方程式のそれに帰着します。
結局,1階の常微分方程式の「解の存在と一意性」の問題に還元されることがわかりました。(以上)
http://fphys.nifty.com/(ニフティ「物理フォーラム」サブマネージャー) TOSHI
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