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2007年1月

2007年1月31日 (水)

常微分方程式の解の存在定理⑥(一般解の存在(3))

 引越しのドサクサで紛失してしまったと思っていたノートが見つかったので,常微分方程式の一般解の存在定理の記事を完成させましょう。

 再掲ですが,1階常微分方程式について厳密な意味での一般解の定義を与えましょう。

"ただ1つの任意定数Cを含んだdy/dx=f(x,y)の解:y=φ(x,C)があって,Cに適当な値を与えることにより,

 

f(x,y)が1価連続でLipsvhitz条件を満足する領域Dに含まれる全ての特殊解=初期値問題の一意解を表現できるとき,このy=φ(x,C)をDにおけるdy/dx=f(x,y)の一般解という。"

 

と定義します。

  

次に,以前に既に証明した,"補助定理1=解の延長定理"を再掲します。 

 

これは,

 

"方程式dy/dx=f(x,y)の右辺の関数f(x,y)が有界な閉領域Dで1価連続でLipschitz条件を満足すると仮定する。

 

そして,φ(x)をDの内部のある点(x0,y0)を通り有限区間a<x<bで定義されるdy/dx=f(x,y)の一意解とする。

 

もちろん,a<x<bを満たすxに対して(x,φ(x))∈Dである。

 

このとき,φ(a+0),φ(b-0)が存在して,これらをそれぞれφ(a),φ(b)と定義すれば,y=φ(x)はa≦x≦bで定義されるdy/dx=f(x,y)の解となる。つまり,解は[a,b]へと延長される。

 

さらに,点(a,φ(a+0)),または(b,φ(b-0)))がDの内点であれば解φ(x)はaの左,またはbの右へ)延長される。"

 

という定理です。

 

今日は,まず,次に与える補助定理22を証明します。 

 

(補助定理2):(x,y)は領域(or 閉領域)Dで連続,かつLipschitz条件を満足するとする。

 

y=φ0(x)をxの閉区間I:[a,b]で定義された方程式dy/dx=f(x,y)の1つの解であるとする。

 

ただし,∀x∈Iに対し(x,φ0(x))∈Dであり,しかもそれらの点は(a,φ0(a)),(b,φ0(b))の2点も含めてDの内点であるとする。

 

このとき,あるδ>0 が存在して,閉領域:U≡{(x,y)|x∈I,|y-φ0(x)|≦δ}に属する任意の点(x0,y0)を通り,閉区間Iで定義されたdy/dx=f(x,y)の唯一の解φ(x,x0,y0)が存在する。

 

さらに,φ(x,x0,y0)はx∈I,(x0,y0)∈U (x0∈I,|y0-φ0(x0)|≦δ) のとき,(x,x0,y0)に関して連続である。

 

以下,これを証明します。

  

(証明)x∈Iで点(x,φ0(x))はすべてDの内点ですから,あるδ1> 0 が存在して∀x∈Iに対して|y-φ0(x)|≦δ1なる点(x,y)が全てDに属することになります。

 

つまり,U1≡{(x,y)|x∈I,|y-φ0(x)|≦δ1}と定義すれば,U1⊂Dとなります。

 

(x,y)は,DにおいてLipscitz条件を満足するので,∃L> 0 :|f(x,y1)-f(x,y2)|≦L|y1-y2| for ∀(x, y1),(x, y2)∈U1 が成立します。

 

このLに対して,δexp{L(b-a)}<δ1,すなわちδ<δ1exp{-L(b-a)}を満たすようにδ> 0 を選び,U≡{(x,y)|x∈I,|y-φ0(x)|≦δ}で閉領域Uを定めます。

 

このとき,U⊂U1⊂Dより,(x0,y0)∈Uなら(x0,y0)∈U1であり,U1は閉領域であってf(x,y)はU1で一価連続,かつLipschitz条件を満足するので,

 

「解の存在と一意性の定理」により,(x0,y0)を通りIに含まれるあるxの閉区間J:[a1,b1]で定義されるdy/dx=f(x,y)の一意的な解y=φ(x,x0,y0)が存在します。

 

(もちろん,J:[a1,b1]もU1の点(x0,y0)に依存します。)

 

すなわち,まず「解の存在と一意性の定理」から,十分小さいα>0 に対してxの閉区間[x0-α,x0+α]で定義されるdy/dx=f(x,y)の(x0,y0)を通る一意的な解y=φ(x,x0,y0)が存在します。

 

そして,このとき[x0-α,x0+α]に対する点(x,φ(x,x0,y0))はすべて領域U1に属します。

 

その上,もし端点(x0-α,φ(x0-α,x0,y0)),または(x0+α,φ(x0+α,x0,y0))がU1の内点なら,さらにx0-αの左側またはx0+αの右側に解を延長することができて,これらは必ず閉区間として表わされます。

  

したがって,こうして得たφ(x,x0,y0)の定義域をJと定めるのです。

 

ここで,(x0,y0)∈Uである限り,閉区間JをJ⊂Iの条件下で如何に大きくしようとも,(a1, φ(a1,x0,y0)),(b1, φ(b1,x0,y0))はU1の内点に留まることを示しましょう。

 

x∈Jのとき(x,φ(x,x0,y0))∈U1ですが,もちろん(x,φ0(x))∈U1ですから,リプシッツ条件によって|f(x,φ(x,x0,y0))-f(x,φ0(x))|≦L|φ(x,x0,y0)-φ0(x)|であり,また|y0-φ0(x0)|≦δです。

 

ところが,φ(x,x0,y0)=y0+∫x0xf(x,φ(x,x0,y0))dx (x∈J),φ0(x)=y0+∫x0xf(x,φ0(x))dx (x∈I)ですから,

 

x∈Jに対して|φ(x,x0,y0)-φ0(x)|≦|y0-φ0(x0)|+|∫x0x|f(x,φ(x,x0,y0)-f(x,φ0(x))|dx|≦δ+L|∫x0x|φ(x,x0,y0)-φ0(x)|dx|です。

 

|φ(x,x0,y0)-φ0(x)|は閉区間Jでxについて連続ですから,正の定数Kが存在して|φ(x,x0,y0)-φ0(x)|≦K (x∈J)です。

 

よって,|φ(x,x0,y0)-φ0(x)| ≦δ+LK|x-x0|,

|φ(x,x0,y0)-φ0(x)| ≦δ+L|∫x0x(δ+LK|x-x0|)dx|

≦δ(1+L|x-x0|)+|∫x0x(L2K|x-x0|)dx|

≦δ(1+L|x-x0|)+L2K|x-x0|2/2  です。

 

これを繰り返して,一般にx∈Jに対して,

 

|φ(x,x0,y0)-φ0(x)|≦δ(1+L|x-x0|+L2|x-x0|2/2+L3|x-x0|3/3!+...+Ln|x-x0|n/n!|+Ln+1K|x-x0|n+1/(n+1)!

となりますから,

 

n→ ∞ において,|φ(x,x0,y0)-φ0(x)|≦δexp{L|x-x0|} ≦δexp{L(b-a)}<δ1

 

が成立します。

 

そこで,a<a1である限り(a1,φ(a1,x0,y0))はU1の内点であり,

1<bである限り(b1,φ(b1,x0,y0))はU1の内点です。

 

したがって,JがIに一致しない限り,φ(x,x0,y0)の定義域はいくらでも両側に延長されて,結局,閉区間Iまで延長されます。

 

何故なら,J⊂I,J≠Iなる任意のJに対してx∈Jならdy/dx=f(x,y)を満足する解φ(x,x0,y0)が存在するので,

 

a<x<bなる任意のxに対して解φ(x,x0,y0)が存在します。

 

結局,解の延長に関する補助定理1により,a≦x≦b,つまり閉区間Iの両端まで解φ(x,x0,y0)の定義域を拡張できるからです。

 

かくして,(x0,y0)∈Uなる任意の(x0,y0)に対して閉区間Iで定義され(x0,y0)を通るdy/dx=f(x,y)の一意的な解が存在すること,が示されました。

 

次にx∈I,(x0,y0)∈Uのとき,φ(x,x0,y0)が(x,x0,y0)に関して連続であることを示しましょう。

 

(x0,y0)∈U,(x0',y0')∈Uとすると,解φ(x,x0,y0),φ(x,x0',y0')は閉区間Iの上で定義されて,(x,φ(x,x0,y0))∈U1,(x,φ(x,x0',y0'))∈U1です。

 

また,∀x,x'∈Iに対し

|φ(x,x0,y0)-φ(x',x0',y0')|≦|φ(x,x0,y0)-φ(x,x0',y0')|+|φ(x,x0',y0')-φ(x',x0',y0')| です。

 

ところが,φ(x,x0,y0)=y0+∫x0xf(x,φ(x,x0,y0))dx,かつ

φ(x,x0',y0')=y0'+∫x0xf(x,φ(x,x0',y0'))dxですから,

 

|φ(x,x0,y0)-φ(x,x0',y0')|≦|y0-y0'|+|∫x0x0'|f(x,φ(x,x0,y0))|dx|+|∫x0'x|f(x,φ(x,x0,y0))-f(x,φ(x,x0',y0'))|dx| が成立します。

 

(x,y)∈U1なら,|f(x,y)|≦MなるM>0 が存在し,(x,y1),(x,y2)∈U1なら|f(x,y1)-f(x,y2)|≦L|y1-y2|が成立するので,

 

|φ(x,x0,y0)-φ(x,x0',y0')|≦|y0-y0'|+M|x0-x0'|+L|∫x0'x|φ(x,x0,y0)-φ(x,x0',y0')|dx|が成立します。

 

したがって,前と同様にして,

 

|φ(x,x0,y0)-φ(x,x0',y0')|≦(|y0-y0'|+M|x0-x0'|)exp{L|x-x0|}≦(|y0-y0'|+M|x0-x0'|)exp{L(b-a)}

 

です。

 

また,φ(x,x0',y0')がIで一様連続なのは自明ですが,

一応,|φ(x,x0',y0')-φ(x',x0',y0')|≦M|x-x'|です。

 

したがって,|φ(x,x0,y0)-φ(x',x0',y0')|

≦(|y0-y0'|+M|x0-x0'|)exp{L(b-a)}+M|x-x'|

となります。

 

よって,|x0-x0'|→ 0,|y0-y0'|→ 0,|x-x'|→0 なら,

|φ(x,x0,y0)-φ(x',x0',y0')|→ 0 が成立します。

 

結局,x∈I,(x0,y0)∈Uのとき,φ(x,x0,y0)は(x,x0,y0)に関して連続であることがわかりました。

 

以上で証明終わりです。

 

今日はここまでにします。

 

ところで,明日は私の誕生日の2月1日なので今日は56歳最後の日です。

 

還暦も近いなあ。。。

 

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2007年1月29日 (月)

ガロア理論(6)

 結局,Galoisが示したことは,

 "n次代数方程式の係数の作る体Fは,n個の根の対称式の作る体に一致し,Fを不変に保つ自己同型の集まりであるガロア群はn個の異なる根の置換に同型なn次の対称群Snであること,

 そしてn次代数方程式がベキ根によって可解なことは,ベキ根による拡大体/Fが方程式の全ての根を含む分解体を含むことに帰着すること,

さらに,それはその拡大に伴うガロア群(Galois group9が可解群であることに同等である。"

 

ということです。

 

一般に,n次の対称群(置換群?):Snは,n≦4のときは可解であり,n≧5のときは可解ではありません。

 

可解群の部分群は可解群なので,結局S4が可解群であって,一方5は可解群ではないことを示せば十分です。

 

nのうち偶置換のみの集合をAnとすると,これは奇置換とは異なり,単位元を含みますから群を作るので交代群と呼ばれます。

  

交代群Anが対称群nの正規部分群となるのは直接確かめることによって容易に証明できます。

 

4には正規部分群の列:{1}⊂V⊂A44があり(Vは4元群),因子群:4/A4,A4/V,V/{1}の位数は2,3,4なのでAbel群です。

 

一方,5の正規部分群は{1},A5,5しかないことがわかります。

 

H≠{1}をA5の正規部分群と仮定してσ∈Hとすると,A5 におけるすべての共役元はHに含まれます。

 

そして,全ての3巡回元がA5の共役元となることがわかりますが,全ての交代群Anは3巡回元によって生成されるのでA5は単純群,つまり自分自身と{1}以外に正規部分群を持たない,ことになります。

 

さらにH≠{1}を5の任意の正規部分群とすると,H∩A5はA5の正規部分群ですが,A5は単純群なのでH∩A5=A5,すなわち,A5⊂H (H=A5,またはH=5)であるか,H∩A5={1}であるはずです。

 

後者の場合h∈A5ではないh∈Hが存在し,このhは奇置換なのでHA55です。

 

H∩A5={1}なので,位数の関係式|H∩A5||HA5|=|H||A5|が成立することから,結局|H|=|5|/|A5|=2が成立するはずです。

 

H∩A5 ={1}より,Hは1以外には奇置換しか含まないのでh≠1なるh∈Hをとると,その位数は2なのでh=(ab)(ある決まった2つのaとbの互換)になります。

 

g∈5で共役元ghg-1を作るとき,例えばh=(12)としてg=(134)とすればghg-1=(24)となります。

 

これは単位元ともhとも一致しないのでgHg-1≠HとなりHが正規部分群であることに矛盾します。

 

したがって,5の正規部分群は{1},A5,5しかないことが示されました。

 

それ故,正規列は{1}⊂A55となり因子群A5/{1}はA5/{1}~A5と交代群A5に同型であって,交代群A5は明らかに非Abel群ですから,5は可解群ではありません。

 

以上から,

 

"4次以下の代数方程式はベキ根による一般解が存在するけれども,5次以上の代数方程式は一般にベキ根によっては解けない。"

  

ことがわかりました。

 

(→ ※2次方程式,3次方程式,4次方程式までは解の公式がありますが,5次方程式には解の公式はありません。)

  

これでGalois理論については,ひとまず終わりにしたいと思います。

 

参考文献:J.ロットマン 著(関口次郎 訳)「ガロア理論」(シュプリンガーフェアラーク東京)

 

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2007年1月28日 (日)

ガロア理論(5)補遺

"方程式f(x)∈F[x]が可解であるためにはFはこれら1の原始pi乗根を全て含むことが必要である。"と書きました。

 

α∈Fではないが,αn∈Fであるようなαを添加してできるベキ根による拡大(α)は,一般にはf(x)=xn-cの分解体にはならないことは自明です。

 

結局,単純拡大(α)だけでは,1の原始n乗根の1つをωとしたときの,f(x)=xn-cの分解体F(α,αω,αω2,..,αωn-1)と一致しません。

 

単なるベキ根拡大をガロア拡大になるように拡張することは,一般の分離的な多項式f(x)∈F[x]についても分解体を含む拡大になるであろう,という意味で,"可解であるということ"の定義にとって"1の原始pi乗根を全て含む"ということが必要と考えられたからです。

 

ところで,2月から仕事に復帰してよい,と医者からのお墨付きをいただいたので仕事に復帰することにしました。

 

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2007年1月27日 (土)

ガロア理論(5)

 今日は,まず,

 "Fが体であって1の原始n乗根ωに対してE=F(ω)であるとすれば,Gal(E/F)はZnの単元の乗法群U(Zn)≡{[i]∈Zn:(i,n)=1}の部分群と同型になり,それ故,Gal(E/F)はAbel群(可換群)になる。"

 ことを証明します。

 すなわち,E=F(ω)なので∀σ∈Gal(E/F)はωにおけるσの値によって完全に決まります。すなわち,σ(ω)=ωiなるiが(mod n)で一意に決まります。

 

このσをσiとし,0≦i≦(n-1)と仮定します。

 

ωが1の原始n乗根になることと,(i,n)=1 が同値であることは巡回群のよく知られた性質によって自明です。

 

σの巡回群:<ω>への制限は,巡回群:<ω>の自己同型です。

 

したがって,ψ:σi[i]は写像ψ:Gal(E/F)→U(Zn)を定めます。

 

そして,σjσi(ω)=σji)=(ωi)j=ωij=ωjiなので,ψ(σjσi)=[ji]=ψ(σj)ψ(σi)より,ψは準同型になります。

 

したがって,Gal(E/F)はU(Zn)の部分群に同型であり,それ故Abel群になります。

 

そして,

 

"Fは1の原始n乗根を含み,f(x)=xn-c∈F[x]とする。E/Fがf(x)の分解体であれば,単射φ:G≡Gal(E/F) →Znが存在する。

 

さらにf(x)が既約になる必要十分条件はφが全射になることである。"

 

という定理が成立します。証明は次の通りです。

 

ωが1の原始n乗根で,αがf(x)の根であればαn=cとなり,f(x)の全ての根はα,αω,αω2,..αωn-1となります。

 

σ∈Gならσ(α)=αωi であり,σはiによって完全に決まるので,

σ(α)=αωiのとき,φ(σ)=[i]と定義します。

 

ωはFに含まれているので,τ∈Gのときτ(ω)=ωです。

 

よって,τ(α)=αωj のとき,φ(τσ)はτσ(α)=αωj+iより,

φ(τσ)=[j+i]=φ(τ)+φ(σ)となり,Gは加群としてのnに準同型で,もちろん単射(injection)です。

 

そして,φが全射(surjection)になるための必要十分条件は,Gがf(x)の根の集合に推移的に作用することですが,これは明らかにf(x)がFで既約になることと同値です。

 

多項式f(x)∈F[x]がベキ根によって可解なら,拡大列:F≡B0⊂B1⊂...⊂Btのベキ根塔における拡大Gal(Bi+1/Bi)は素因数分解に沿って細分化することにより全て素数pi次の純拡大にすることができます。

 

(x)∈F(x)が可解になるためには,Fはこれら1の原始pi乗根を全て含むことが必要です。

 

このときBi+1はある多項式のBi上の分解体になるので,Gal(Bt/Bi+1)/Gal(Bt/Bi)~ Gal(Bi+1/Bi)です。

 

右辺は素数位数の巡回群Zpiになって,もちろんAbel群になることがわかりました。

 

このことは,GiGal(Bt/Bi)とおくと{1}=Gt⊂..⊂G1⊂G0Gal(Bt/F)なる正規部分群の列が存在して,それらの商群が全てAbel群であることを示しており,Gal(Bt/F)が可解群であるという定義に一致します。

 

参考文献:J.ロットマン 著(関口次郎 訳)「ガロア理論」(シュプリンガーフェアラーク東京)

 

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2007年1月26日 (金)

ガロア理論(4)

 今日は,"(x)∈F[x]が分離的な多項式であり,E/Fがその分解体であれば|Gal(E/F)|=[E:F]である。"ことを証明します。

 そのため,まず次の定理を先に証明します。

[定理]:σ:F→F'を体同型とする。

 

 多項式f(x)∈F[x]:f(x)=Σriiに対して*(x)≡σ*(f(x))≡Σσ(ri)xiを対応するF'[x]の多項式とする。

 

 EをF上のf(x)の分解体とし,E'をF'上のf*(x)の分解体とする。

 

 このとき,

 

 (ⅰ)σを拡張する同型写像<σ>:E→E'が存在する。

 (ⅱ)f(x)が分離的であれば,

 

 丁度[E:F]個のσの拡張:<σ>が存在する。

 

 (証明)(ⅰ)[E:F]=1なら,E=Fになりf(x)はF[x]において1次関数の積に分解されます。

 

 このことから,明らかにf*(x)もF'[x]で1次関数の積に分解されるのでE'=F'になり,したがって<σ>≡σとして問題なしです。

 

次に,[E:F]>1のときはf(x)の2次以上の既約因子p(x)を選び,p(x)の根β∈Eを選ぶと,それはf(x)の根でもあります。

 

*(x)≡σ*(p(x))∈F'[x]を対応する既約多項式としてβ'∈E'をp*(x)の根とします。

 

このとき,Fを点ごとに固定し,Φ(x+(p))=βとなる同型Φ:F[x]/(p)→F(β)が存在することは既に述べました。

 

同様にして,同型:Φ':F'[x]/(p*)→F'(β')が存在し,

c+(p)→σ(c)+(p*),x+(p)→x+(p*)なる同型:

Σ:F[x]/(p)→F'[x]/(p*)も存在します。

 

そこで,,[β]→Φ-1 [x]/(p)→Σ→F'[x]/(p*)→Φ'→F'(β')を<σ>と表わせば,これはF(β)をF'(β')に写すもので,

<σ>(β)=β'となる唯一の同型です。

 

[E:F]=[E:F(β)][F(β):F]であって,[F(β):F]≧2ですから,[E:F(β)]<[E:F]がわかります。

 

したがって,これで帰納法により,σを拡張する同型写像<σ>:E→E'が存在することが証明されました。

 

(ⅱ) [E:F]=1ならE=Fとなり,σの拡張はσ自身がただ1つ(uniqueに)存在します。

 

[E:F]>1のときは,f(x)=p(x)g(x)とします。

 

p(x)は既約でその次数はdです。

 

d=1であれば問題を変えずにf(x)をg(x)に置き換えるだけです。

  

d>1 のときには,p(x)の根βを選びます。

 

このとき,<σ>がσのEへの任意の拡張であれば,<σ>(β)はp*(x)の根β'になります。

 

*(x)は分離的なので,p*(x)は丁度d個の根β'∈E'を持ちます。

 

各β'に対して1つずつ別のσの拡張があるので,同型<σ>:F(β)→F'(β')が丁度d個存在します。

 

EはF(β)上のf(x)の分解体でE'はF'(β')上のf*(x)の分解体であり,[E:F(β)]=[E:F]/dなので,

 

帰納法によりd個の同型の各々には,丁度[E:F]/d通りの拡張された同型:<σ>が存在することになります。

 

結局,トータルとして丁度[E:F]通りのσの拡張<σ>が存在することが示されました。(証明終わり)

 

そこで,F'=Fとして,σをFの恒等写像に取れば,f(x)∈F[x]なら,

F上の任意の2つの分解体は,Fを点ごとに固定する同型写像によって同型になることもわかりました。

 

以上から,

 

"(x)∈F[x]が分離的な多項式であり,E/Fがその分解体であれば,|Gal(E/F)|=[E:F]である。"

 

ことも示されたことになります。

 

ガロア群Gについては,|G|=[E:EG]なので,E/Fがガロア拡大なら,|Gal(E/F)|=[E:F]=[E:EG]になります。

 

今日はここまでとします。

  

 参考文献:J.ロットマン 著(関口次郎 訳)「ガロア理論」(シュプリンガーフェアラーク東京)

 

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2007年1月24日 (水)

ガロア理論(3)

 病院生活は退屈なのでガロア理論をおさらいするのにはもってこいの時間でした。

  さて本題ですが,「ガロアの偉大な定理」と称されるものは,

 "Fを標数がゼロの体,E/Fをガロア拡大とする。このときガロア群G=Gal(E/F)が可解群になるための必要十分条件は,EがFのベキ根による拡大の中に埋め込めることである。

 

 つまり,Fを標数がゼロの体であるとき,多項式f(x)∈F[x]のガロア群が可解群になるための必要十分条件は,f(x)がベキ根によって可解になることである。"

 

 という定理です。

 

 今日はこれを証明します。

 

 (証明)まず,標数という用語については通常の有理数体,実数体,複素数体は全て標数がゼロなので,ここでは特に断らない限り出現する体は全て普通の標数がゼロの体としてこれを意識しないことにします。

 

 また,体のベキ根による拡大というのは次のように定義されます。 

 まず,Fの元ではないαに対し適当な正の整数mが存在してα∈Fであるとき,B=F(α)とおけばB/FをFのm型の純拡大と呼びます。

 

 また,体の拡大列:F≡B0⊂B1⊂...⊂Btがあるとき,各々のBi+1/Biがある型の純拡大なら,これをベキ根塔と呼びます。この場合に,拡大Bt/Fをベキ根拡大と呼ぶわけです。

 

 そして,f(x)∈F[x]とするとき,F上のf(x)の分解体Eを含む,べき根拡大:B/Fが存在する(F⊂E⊂Bなるベキ根塔が存在する)とき,"f(x)はF上でベキ根によって可解である。"といいます。

 

 さて,Fを体としE/Fをその拡大とします。

 

 このとき,Eの自己同型写像σで,そのFへの制限σ|Fが恒等写像,つまり,∀c∈Fに対してσ(c)=cなるもの(これを"σはFを点ごとに固定する。"という)の集合は群を作ります。

 

 この群をE/Fのガロア群と呼び,Gal(E/F)と書きます。

 

 特にf(x)∈F[x]が分解体Eを持つ場合にば,f(x)のガロア群とは,このGal(E/F)のことです。

 

 そして,体E上のある自己同型の群Gによって点ごとに固定されるEの点全体の集合をEGと書き,これをGによる不変体(固定体)と呼びます。

 

 一般には,G=Gal(E/F)のとき,F⊂G⊂Eですが,特にF=EGのとき,E/Fをガロア拡大と呼びます。

 

 また,(x)∈F[x]でE/FがFの拡大体であるとき,σ∈Gal(E/F)であって,α∈Eがf(x)の根であれば,明らかにσ(α)もf(x)の根です。

 

 何故なら,F[x]の多項式f(x)がf(x)=c0+c1x+..+cnn

 表わされるなら,0+c1α+..+cnαn0 ですが,

  

 これの両辺にσを作用させると,0+c1σ(α)+..+cnσ(α)n0

 となるからです。

 

 そして,上に示したことから(x)∈F[x]が分解体Eにおいて異なるn個の根:X={α12,..,αn}を持つなら,σ∈Gal(E/F)のときσ(X)=Xとなり,このσについてσ→σ|Xなる写像はGal(E/F)→SX(対称群)であり,しかもこれは準同型写像です。

 

 そして,SXはSnに同型:SX ~Snです。

 

 したがって,例えば5次の代数方程式のガロア群はS5の部分群と同型になります。

 

 まだ,退院直後で疲れ気味なのでこのぐらいにして,続きはまた後にしたいと思います。

 

参考文献:J.ロットマン 著(関口次郎 訳)「ガロア理論」(シュプリンガーフェアラーク東京) 

  

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2007年1月23日 (火)

退院しました。

 お久しぶりTOSHIです。予定通り本日23日(火)昼ごろ退院しました。

 心臓の方は胸水がすべて出たため呼吸はかなり楽になりましたが,放置すると元に戻るらしいです。

 心臓は左側が弱っているらしく5日間強心剤のようなものを点滴していましたが,無理に退院を申し入れたので,直前で飲み薬に変わりました。

 糖尿病はもう末期状態だそうで,放っておくと命は5年持たないとのことで,近いうちに再入院を勧められました。1ヶ月は待てないとのお達しでした。

 このままだと仕事ができないので,収入の道が途絶えるため,別の意味で命が持たないこともあり,色々整理したり今後の道を考える必要がありそうです。

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2007年1月16日 (火)

入院のため一週間お休みします。

 軽い「ちんちん梗塞」,いや「心筋梗塞」が原因の心不全のため,肺の下部にたまった水を抜いたりすることを目的に明日17日(水)早朝から板橋区にある帝京大医学部付属病院の内科に入院することになりました。

 退院は丁度,一週間後の23日(火)の予定ですが予定通りに退院できるかどうかはわかりません。

 というわけでノートPCでアクセスできる可能性はあるのですが,入院中はブログはお休みにしたいと思います。

 入院の前日までに引越しを完了したかったので友人のN目チャンの助けで旧居の荷物を今日中にすべて新居に運び込み,丁度今,再びパソコンもアクセスできるようになりました。

 あとは旧居のルームクリーニングと不用品の廃棄を業者に頼んで,不動産屋に鍵をあずけるだけで,晴れて売りに出せるのですが,残念ながら入院前に終わることができませんでした。しかたないので退院後にします。

 うれしいことに紛失していた命の次に大切なノートの1つである1973年の常微分方程式論に関するものが見つかりました。

 したがってガロア理論の続きと常微分方程式論に関してのブログもいずれ再開しようと思います。

 私信ですが,もし,入院中に私に連絡のある方は帝京大病院内科まで電話お願いします。(携帯は持っていきますが使用OKかどうかわかりません。)

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2007年1月15日 (月)

ガロア理論(2)

 前回の続きです。

 

 まず,環RのイデアルIが素イデアル(prime ideal)であるとは,IがRの真のイデアルであり,しかもab∈Iならa∈Iまたはb∈Iが成立することをいいます。

 

 さて,

 

 "Fが体であるとき,ゼロでない多項式p(x)∈F[x]がF上で既約であるための必要十分条件は(p(x))が素イデアルであることである。"

 

 という命題を証明します。

 

(証明)まず,p(x)が既約であるとします。

 

 そして,ab∈(p)とすると,p|ab(abはpで割り切れる)ですが,pは既約なので,これはp|a,またはp|bを意味します。

 

 すなわち,a∈(p),またはb∈(p)が成立します。

 

 そして,もし(p)=Rなら1∈R=(p)より,1=p(x)f(x)なるfが存在することになりますが,これは矛盾ですから,(p)≠Rであり(p)はRの真のイデアルです。

 

 以上から(p(x))が素イデアルであることがわかります。

 

 逆に,p(x)が既約でない(可約である)とします。

 

 このとき,p(x)=a(x)b(x)となるa,bが存在してa,bは1次以上の多項式なので,∂(a)<∂(p),かつ∂(b)<∂(p)です。もちろんab∈(p)です。

 

(∂(a)は多項式aの次数,ただしaが定数なら∂(a)はゼロです。)

  

 a∈(p)またはb∈(p)なら,∂(a)≧∂(p),または∂(b)≧∂(p)でなければなりませんから,このa,b,p=abについてはab∈(p)ですが,a∈(p)またはb∈(p)は不可能です。

 

 そこで,結局,p(x)が既約でないなら(p(x))は素イデアルにはなりません。

 

 これで,上述の命題:「p(x)が既約⇔(p(x))が素イデアル」の証明が終わりました。(証明終わり)

 

 そして,環Rの1つの真のイデアルをIとするとき,商環R/IはR/I≡{a+I|a∈R}で定義されます。

 

 Iを素イデアルとするとき,0=(a+I)(b+I)=ab+Iなら 0=0+I=Iなので,ab∈Iであり,Iは素イデアルなのでa∈Iまたはb∈Iが成立します。

 

 これは,a+I=0 ,またはb+I=0 を意味します。

 

 それ故,Iが素イデアルなら商環R/Iが整域となることがわかります。

 

 逆にR/Iが整域ならばIが素イデアルであることを示すことも容易にできます。

  

 さらに極大イデアル(maximal ideal)という概念を定義します。

 

 環Rの真のイデアルIは,IともRとも異なるI⊂J⊂RなるRのイデアルJが全く存在しないとき極大イデアルであるといわれます。

 

 そして仮にI⊂J⊂Rなら,こうしたJ全体の集合からR/I全体にJ→π(J)=J/I≡{a+I|a∈J}という自然な全単射が存在することから,Iが極大イデアルならばR/Iは{0}とR/I以外に部分イデアルを持たないことがわかります。

 

そこで,a+I≠0 なる∀a∈R,つまりa∈Iでない全てのaに対して,任意の単項イデアルは(a+I)=R/Iより,R/I=(1+I)はa+Iによっても生成されますから,1+I=(a+I)(b+I)=ab+Iとなるb+I≠0 なるb∈Rが存在します。

 

b+I≠0 はもちろん一意的ですから,これをa+Iの逆元と定義することでR/Iは体になることが示されました。

 

すなわち,"IがRの極大イデアルであれば商環R/Iは体となる。したがって,R/Iは体で,もちろん整域なのでIは素イデアルである。"ということになります。

 

次に,

 

"RがPID(単項イデアル整域)なら,任意のゼロでない素イデアルIは極大イデアルである。"

 

という命題を証明しましょう。

  

(証明)RがPIDであるとしIをRのゼロでない素イデアルとします。

 

そして,I⊂J⊂RなるRのイデアルJ≠Iが存在すると仮定します。

 

RはPIDなので,I=(a),J=(b)となるゼロでないa,b∈Rが存在します。

 

I⊂Jより,a∈Jなのでa=rbとなるr∈Rが存在します。

 

そこでrb∈Iですが,IはRの素イデアルなのでr∈Iまたはb∈Iが成り立ちます。

 

しかし,b∈IならI⊂J,J≠Iであるにも関わらず,J⊂Iとなり矛盾します。

 

そこで,r∈Iですが,それなら,∃s∈R:r=sa,つまりa=rb=sabにより,1=sbですから,J=(b)=Rとなることがわかります。

 

これで,IはRの極大イデアルであることが証明されました。(証明終わり)

 

以上の一連の命題から,F[x]/(p(x))は1つの体であることがわかりました。

 

そして,I≡(p(x)),F1≡F[x]/Iとおくと,写像:a∈F →a+I∈F'は,FからF'⊂F1への同型写像になります。

 

そこで,このF'をFと同一視します。

 

ここで,θ≡(x+I)∈F1とおけばθが既約多項式p(x)の根になることを示すことができます。

 

何故なら,p(x)=a0+a1x+...+ann と書くと,(θ)=(a0I)+(a1I)(x+I)+...+(anI)(x+I)n =a0+a1x+...+ann +I=p(x)+I=Iが成立します。

 

そして,Iは1≡F[x]/Iの零元ですから,θ=(x+I)はF1において,既約多項式p(x)の根となることがわかるからです。

 

つまり,"F[x]/(p(x))はp(x)の根を含む体である。"ことが示されました。

 

次に,E/Fが体の拡大でα∈EがF上で代数的であるとします。

 

このとき,写像φ:F[x]→Eを,f(x)∈F[x]→f(α)∈Eによって定義します。

 

φは,いわゆる代入写像:E[x]→EのF[x]への制限なので,φは環準同型になります。

 

αはF上で代数的なので,Kerφ≡{f(x)∈F[x]|f(α)=0}はF[x]の零でないイデアルになります。

 

Kerφ(φの核)がイデアルであるのはほぼ自明なので,証明を略します。

 

そして,αがF上で代数的なので,Kerφがゼロでない元を持つことも定義そのままです。

 

既に示したように,多項式環:F[x]は P.I.D.なので,あるモニック:p(x)∈F[x]に対して,Kerφ=(p(x))と書けます。

 

一方,Fの拡大であるEも体なので,その部分環であるimφ≡{f(α)∈E|f(x)∈F[x]}は整域です。

 

 環同型定理により,F/Kerφ~imφですが,imφが整域なのでF/kerφも整域です。

  

 そこで,Kerφ=(p(x))は素イデアルですから,p(x)はF上でαを根とする既約多項式(既約なモニック)であることがわかりました。

 

 次に,写像Φ:f(x)+(p)∈F[x]/(p(x))→f(α)∈F(α)において,KerΦ=(p(x))=(F[x]/(p(x))の零元)ですから,

 Φ;F[x]/(p(x))→F(α)は同型写像です。

 

つまり,F[x]/(p(x))~F(α)ということになります。

 

また,定義によりΦ:x+(p)→α,および任意のc∈Fに対してc+(p)→cですから,F'≡{c+(p)|c∈F}をFと同一視すれば,ΦがFを点ごとに固定するという式:Φ(x+(p))=αも成立します。

 

 さらに,p(x)が既約なのでimφ=imΦ={f(α)|f(x)∈F(x)}はEの部分体ですが,明らかにimΦはFとαを含む任意の部分体に含まれるのでimΦ=F(α)です。

 

 そして,I≡KerφならIはイデアルですが,f(x)∈Iならd≡(f,p)∈Iです。(dはfとpの最大公約多項式)

  

 pは既約なのでモニックの因子としてはd=1,またはd=pです。

   

 しかし,1はKerφに含まれないのでd=pにより,p|fとなります。

 

 したがって,∂(p)≦∂(f)です。

 仮にpと異なるq(x)∈Iがモニックで∂(q)=∂(p)なら,(q-p)∈Iで∂(q-p)<∂(p)ですから,∂(p)≦∂(f)に矛盾します。

 

 それ故,

  

 p(x)はαを根に持つF[x]の最低次数のモニックであり,しかもαを根に持つこの最低次数のモニックはp(x)以外にはない。

  

ことが証明されました。

 また,F1≡F[x]/(p(x))を考え,p(x)∈F[x]をn次の多項式とします。

 

 I=(p(x)),α≡x+I∈F1とすると,先に述べたようにαはF1におけるp(x)の根になっています。

 

 そこで,このとき,{1,α,α2,...αn-1}がF上のF1の基底になることを証明します。ただし任意のc∈Fはc+I∈F[x]/Iと同一視します。

 

 0≦i≦n-1に対して,Σiiαi0 となるような全てがゼロではない係数ci∈Fが存在すれば,Σiiiは高々(n-1)次の多項式ですから,

 

これはn次多項式p(x)がαを根に持つ最低次数の多項式であることに矛盾します。

 

それ故,Σiiαi0 なら係数ci∈Fは全てゼロで,結局{1,α,α2,...αn-1}はF上1次独立であるということがわかります。

 

そこで,r(x)∈F1,∂(r)<nに対してr(x)=Σiiiならr(α)はr(α)=Σiiαiと一意的に表現されます。

 

 この係数ai∈Fが一意的であることは{1,α,α2,...αn-1}がF上で1次独立であることによって保証されます。 

 

 そして,F1の任意の元はf(x)+Iと表わすことができますが,f(x)=q(x)p(x)+r(x),ただし∂(r)<∂(p)=nと書けますから,

f(x)+I=r(x)+Iであって∂(r)<∂(p)=nです。

 

それ故,F1=F[x]/(p(x)) ~F(α)なる同型でF1の任意の元(x)+Iはf(α)=r(α)と同一視されます。

 

 しかも,r(α)は上述のように{1,α,α2,...αn-1}によってr(α)=Σiiαiと一意的に展開表現されることがわかります。

 

 結局,f(x)+I~ f(α)=Σiiαiと一意的に書けます

 

 以上から,{1,α,α2,...αn-1}はF1~ F(α)の基底になり,したがって[F(α):F]=∂(p)であることも示されました。

 

参考文献:J.ロットマン 著(関口次郎 訳)「ガロア理論」(シュプリンガーフェアラーク東京)

 

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2007年1月14日 (日)

ガロア理論(1)

 今日はガロアの代数方程式論のさわりの部分について述べてみたいと思います。

 

 ガロアとは,19世紀に決闘で20歳で夭折したフランスの天才数学者エヴァリスト・ガロア(Evaliste.Galois:1811-1932)のことです

     

  

 そして,ここで私が取り上げるGaloisの理論というのは,

  

 彼が決闘前夜に書いた「(代数)方程式がベキ根によって解けるための必要十分条件について」という,当時は誰も理解できなかったらしい論文を死後14年も経って,J.Liouville(リウヴィル)が再発見したものです。

 

 これは,1870年にC.Jordan(ジョルダン)が,わかりやすく構成し直して,やっと日の目を見た理論です。

  

 「5次の代数方程式がベキ根によっては解けない,つまり5次方程式の解の公式(根の公式)が存在しない。」ことは,彼と同時期に26歳で肺結核で夭折したノルウェーの数学者:N.H.Abel(アーベル)が発見していました。

  

 さて,ここでの当面の目的は,

 

 "E/Fが,ある体の拡大でα∈EがF上で代数的,つまりαがF上の多項式環F[x]のあるモニック(最高次の係数が1の多項式:nonic)の根であるとき,αを根に持つ"既約なモニック=F上でこれ以上因数分解できないモニック)"p(x)∈F(x)が存在する。

 

 そして,商環F[x]/(p(x))は(p(x))が素イデアルなので商体となり,体F(α)に同型である,すなわちF[x]/(p(x)) ~ F(α)である。"

 

 ことを示すことです。

 

 そして,

 

 "p(x)はαを根に持つF[x]の最低次数のモニックであり,しかもαを根に持つこの最低次数のモニックはp(x)以外にはない。そして[F(α):F]=∂(p)である。(ただし∂(f)は多項式f(x)の次数)"

 

 ということも示そうと思います。

 

 まず,環Rがあるとき,a,b∈Iならa-b∈I,かつa∈I,r∈Rならra∈IとなるようなRの部分環IをRのイデアル(ideal)と呼びます。

 

 特にIがRと一致しない(I≠R)ならIをRの真のイデアル(proper ideal)といいます。

 

 そして,任意のa∈Rに対しI={ra|r∈R}とおけばIは確かにRの1つのイデアルなので,これをaによって生成されるイデアル,または単項イデアルと呼び,記号:(a)で表わします。

 

 また,環Rのゼロでない任意の2つの元の積がゼロにならないとき,Rは整域(integral domain)であるといいます。

 

 つまり,a,b∈R,ab=0 なら必ずa=0,またはb=0 であるとき,Rを整域と呼ぶわけです。

 

 さらに,Rが整域で,かつRのイデアルが全て単項イデアルであるなら,Rを単項イデアル整域(principal ideal domain)といいます。略してRはPIDである,といいます。

 

 さてFを任意の体とし,F[x]をその上の多項式環とするとき,F[x]がPIDになることを示すことができます。

 

 これを証明するため,まず,Iを多項式環F[x]の任意のイデアルであるとします。I={0}ならIはもちろん単項イデアルですから,I≠{0}と仮定します。

 

 そしてIに属するゼロでない最低次数の多項式をm(x)と仮定すると,明らかに(m(x))⊂Iです。

 

 ∀f(x)∈Iに対してf(x)=q(x)m(x)+r(x) (r(x)=0 または∂(r)<∂(m))と書けますが,これはr(x)=f(x)-q(x)m(x)と同値です。

 

 そこで,f(x)∈I,m(x)∈Iにより,イデアルの定義からr(x)∈Iとなります。

 

 ここでr(x)=0 または∂(r)<∂(m)ですから,m(x)がIに属するゼロでない最低次数の多項式であるという仮定によってr(x)=0 でなければなりません。

 

 つまりf(x)=q(x)m(x)となります。したがってf(x)∈(m(x))です。

 

 f(x)はIの任意の元だったので,これはI⊂(m(x))であることを意味しますが,(m(x))⊂IなのでI=(m(x))となります。

 

 IはF[x]の任意のイデアルでしたから,結局,F[x]はPID(単項イデアル整域)であることが証明されました。

 

 F[x]がPIDであることは,多項式環F[x]が整数環Zと同じく一意的に素因数分解できる環であること,つまり,一意分解整域であることを意味します。

 

 ちょっと,17日水曜から入院するので急用ができたため,今日はここまでにします。

 

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2007年1月11日 (木)

結合エネルギーが最大の元素(鉄)

重い原子核の結合エネルギーは質量公式:E(Z,N)=-c1A+c22-1/3+c3(N-Z)2/A+c42/3,c116MeV,c20.72MeV,c324MeV,c418MeVで近似的に表現できることを既に述べました。

そこで安定な原子核のZはAのどのような関数であるかを調べ,次に1核子当たりの結合エネルギーが最大の原子核の質量数AをN~Z~A/2の近似のもとで求めてみます。 

安定な核は,条件式(∂E/∂Z)|A=0 から得られます。

 

N-Z=A-2Zなので,(∂E/∂Z)|A=22ZA-1/343(A-2Z)/A=0 であり,このZを境にして∂E/∂Zは正から負に変わりますから,このZでEは最小になります。

 

したがって,Z=2c3/(22/343)≒48A/(0.72A2/396)という式が安定な核の条件になります。そこでAがあまり大きくなければ,Z~A/2 で安定ですね。

また,N~Z~A/2という前提で1核子当たりの結合エネルギーが最大になるAを求めると,d{E(A/2,A/2)/A}/dA=d(-c1+c22/3/4+c4-1/3)/dA=A-4/3(c2/6-c4/3)なので,

 

A=2c4/c236/0.72~ 50 となります。

 

A~ 50 付近の元素で,組成がZ~A/2に近いものは,バナジウム(V:A=51,Z=23),クロム(Cr:A=52,Z=24,マンガン(Mn:A=55,Z=25),鉄(Fe:A=56,Z=26)etc.があります。

 

しかし,これらは,丁度Z=A/2を満たすわけではありません。

 

むしろ,E(Z,N)に,=2c3/(22/343)≒48A/(0.72A2/396),およびN=2A-Zを代入した後,dE/dAがゼロとなるAを求めた方がいいかもしれません。これは,結構大変ですね。

  

鉄(Fe:A=56,Z=26)は,Z=2c3/(22/343)≒48A/(0.72A2/396)に組成がかなり近いようです。

 

そして,実在の元素では鉄(Fe)のときに結合エネルギー:E(Z,N)が最大になるようです。

 

したがって,星の熱核融合で重元素が創られていっても,最終的に鉄(Fe)に到達すると,それ以上反応は進まないで,そこで核融合は終わることになるようです。

 

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2007年1月10日 (水)

肺気腫ではなくて心不全でした。

 今日は胸が苦しかったので,近くの滝野川病院の内科で診療してもらいました。胸部レントゲン写真によると肺気腫ではなくてどうも肺炎らしいとのこと

 肺気腫なら不治の病だけれど肺炎なら治る可能性があるとぬか喜びしました。

 しかし,詳しくはCTスキャンなど取らないとわからないとのことで近くの帝京大学病院に行くように勧められ紹介状を渡されました。

 帝京大病院では,既に外来受付終了時間を過ぎていたので,救急外来扱いで診察を受けました。

 普通に歩けるのにも関わらず,生まれてはじめて車椅子でレントゲン室まで運ばれました。

 胸部だけでなく腹部までのレントゲンを取ると肺の下部に水がたまっていて呼吸ができないとのこと。

 これは肺の病気ではなく心臓の病気:心不全だということになりました。これは結構深刻です。

 さらに心臓内科の先生が来て,超音波で診察し,過去に1回心筋梗塞を起こした形跡があり,もう1回やると命がない,ということで即入院しろ,という話になりました。

 しかし,今は引越しで忙しくて命の世話をするどころではないので,入院を断ると,例によって一筆書かされました。

 とりあえず今夜の夜勤はお休みにし,利尿剤で水を出すという対症療法を処方されて,また後日生きていたら診察を受けることになりました。

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2007年1月 9日 (火)

中性子星の物理

 重力収縮した星の中心部のように非常に高密度の物質では,陽子,電子,中性子の自由粒子の混合としての理想気体という描像とは程遠く,通常,核子は自 由粒子ではなく原子核という状態で存在しています。

 したがって,高密度状態では核力の影響を無視できません。 

 重い原子核の結合エネルギーは次のような半経験的質量公式で表わすことができます。

 

 すなわち,Z,Nをそれぞれ陽子数,中性子数,A=Z+Nを質量数とすると,結合エネルギーE(Z,N)はE(Z,N)=-c1A+c22-1/3+c3(N-Z)2/A+c42/3で与えられるという式です。

 

 ここに,c116MeV,c20.72MeV,c324MeV,c418MeVです。

 公式の右辺の項は,順に体積エネルギー,Coulombエネルギー,対称エネルギー,表面エネルギーです。

 

 このうち,Coulombエネルギー:c22-1/3と表面エネルギー:c42/3のA依存性は,原子核の半径が,r=1.3×10-151/3mのように与えられることから推察されます。

 原子核は,β崩壊による自由電子の放出と逆β過程による電子の吸収(捕獲)との平衡状態にあると考えられます。

 

 この平衡は原子核をA(Z,N)で表わすと,(Z,N)+e- ⇔ A(Z-1,N+1)と表現されます。

 

 この平衡式を原子核の静止質量を含んだエネルギーの保存と解釈すると,Zmp2+Nmn2+E(Z,N)+Ee(Z-1)mp2(N+1)mn2+E(Z-1,N+1)と書けます。

 すなわち,{E(Z,N)-E(Z-1,N)}+Ee{E(Z-1,N+1)-E(Z-1,N)}+(mn-mp)2 です。

 

 Z,N>>1であれば,(Z,N)-E(Z-1,N)~∂E(Z,N)/∂Z≡μp,E(Z-1,N+1)-E(Z-1,N)~∂E(Z,N)/∂N≡μnです。

 

 ここで化学ポテンシャルμpn は,それぞれ陽子,中性子を原子核に1個追加するのに必要なエネルギーを意味するので,原子核の内部エネルギーレベルのうちで占められる最も高い準位のエネルギーレベルと考えていいでしょう。

 そこで,e=μe+me2を考慮すると,平衡の式はμn-μp(mn-mp-me)2=μeですが,今はμe>>(mn-mp-me)2の場合を想定しているので,質量エネルギーを無視して平衡の条件をμn-μp=μeとします。

 一方,(Z,N)=-c1A+c22-1/3+c3(N-Z)2/A+c42/3,∂E(Z,N)/∂Z≡μp,∂E(Z,N)/∂Z≡μpより,μn-μp=-2c2ZA-1/34c3(N-Z)/Aです。

ここで,核子の平均個数密度をnNとすると,電子の平均個数密度neはx≡Z/Aとしてne=xnNです。

 

縮退Fermi気体としての電子は,Fermi運動量をpFとして,e(F /hc)3/(3π2),またはF(3π2)1/3ce1/3 (c≡h/(2π);hはPlanck定数)を満たします。

 

相対論的粒子なら,μe=pFc=2Kne1/32KnN1/31/3,K≡(3π2)1/3c/2です。さらに簡単のため,6c3k≡KnN1/3によってkを定義しておきます。

このとき,平衡条件:μn-μp=μeは,μn-μp=-2c2ZA-1/34c3(N-Z)/Aより,12c3kx1/3=-22xA2/34c3(1-2x),c2xA2/32c3(1-2x-3kx1/3)となります。

ここで,与えられた固定のA値に対し,エネルギーが最低になるx≡Z/Aを求めてみます。

 

Aは定数なので1核子当たりのエネルギーEtot/A=E/A+(3/4)xμeで考えることにします。

 

ただし,第2項(3/4)μeは1核子当たりの電子の平均Fermiエネルギーe/Nです。

 

なぜなら,相対論的には,e3Pe=(3/4)(3π2)1/3ccne4/3=(3/4)eμe(3/4)xμeNより,e/N(3/4)μeとなるからです。

結局,Etot/A=-c12c3(1-2x-3kx1/3)+c3(1-2x)2+c4{c2/(2c3)}1/21/2(1-2x-3kx1/3)-1/29c3kx4/3となるので,d(tot/A)/dx=0 を計算すると,x1/2(1-2x-3kx1/3)3/2=c421/2/{2(2c3)3/2}が得られます。

具体的な値はK≒4.9×10-26Jm,324MeV≒3.84×10-12Jですから,K/6c33.84×10-15m,nN~1028-3より,nN1/3~4.6×1010-1です。

 

k~10-4,2k1/310-4からd(tot/A)/dxを調べると,x1/2 (1-2x-3kx1/3)3/2=c421/2/{2(2c3)3/2}を満たすxでtot/Aは極小になることがわかります。

具体的なc2,c3,c4の値を代入すると,1/3(1-2x-3kx1/3)≒0.081,

すなわちk=(1/3)x-1/3(-0.081x-1/31-2x)となり,これから

A≒12.5(A/Z)2が得られます。

 

すなわち,A=Z2/12.5なる放物線が平衡曲線として得られたわけです。

一方,中性子の結合エネルギー:μn0 はμn≒-16+3.88x2/324(1-4x2)(MeV)なので,nNが増加してxが減少するにつれてμnは増加してx≒0.32でμn 0 となってしまいます。

 

これの意味はこれ以上の密度では中性子を追加するとかえって原子核の内部エネルギーが高くなってしまうということです。

 

そこで,この密度以上では一部の中性子は非束縛の核子として自由な中性子として挙動するわけです。

この臨界の自由中性子が発生する核子密度は,ρ=mNNとしてρ=ρ12.84×1014kgm-3です。

 

そして,x≒0.32でA=122,Z=39です。

ρ>ρ1では物質は原子核,電子,中性子の3成分から成っています。もちろん,このときの中性子を理想気体として扱うことはできません。

 

核力をも考慮した状態方程式が計算できるので,これを用いて全エネルギーが最小になる状態を定めると密度の増加と共に引き続きAとZは増加しますがxは減少します。

 

そして密度がρ25.6×1016kgm-3以上になると,μpも正になりこの密度からは原子核も溶けてしまうことになります。 

ρ2以上の密度では,中性子と,その数百分の1の陽子,電子で構成された状態になります。核子間では中性子の縮退圧よりも大きい核力が働くことになります。

参考文献;佐藤文隆 原 哲也 著「宇宙物理学」(朝倉書店)

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2007年1月 7日 (日)

ローレンツ多様体上での固有時間

 さて唐突ですが,相対性理論の運動学を支配する根本的な幾何学構造を示すのは次の命題であることは,よく知られています。

 

 "ローレンツ多様体(Lorentz manifold)の上では,三角形の2辺の長さの和は他の1辺の長さより小さい" 

 

 という命題ですね。

  

 今日は,これを証明してみます。

 

これは,次元が2以上ならLorentz多様体である限り成立する命題です。

 

証明は平易です。そして2次元で成立するなら任意次元で成立するのは,ほぼ自明です。

 

そこで,対象を2次元多様体とします。

 

多様体の計量(metric)は,ds2≡c2dτ2=gijdxidxj (i=0,1)で与えられます。

 

一方,平坦な時空のMinkowski計量は,ds2=ηijdXidXj;η00=1,η11=-1,η01=η10=0 です。

 

0=ct,X1=xと書けばds2=c2dt2-dx2す。

 

そして,ds2≡c2dτ2=gijdxidxj=ηijdXidXjなる表式が可能であることが等価原理の1つの表現を与えます。

 

つまり,各時空点でMinkowski計量になる局所的な一般座標変換;

i=Aj(x)xjが必ず存在することが可能ということです。

 

 Minkowski空間では,P1(X10,X11)とP2=(X20,X21)間の距離の平方は,|P12|2=(X10-X20)2-(X11-X21)2となります。

 

 そして,第3の点P3=(X30,X31)があるとき,

 不等式:|P13|+|P32|≦|P12|が成り立つことは,

 簡単な計算で示すことができます。

 

 これは簡単な計算なので具体的計算のプロセスは省略します。

 

 上記表現の等価原理により,一般のLorentz多様体の接近した31,P2,Pについても,常にある共通な微小領域でのMinkowski計量の座標を取ることが可能です。

 

 そこで,この3点についても,測地線長さという意味で,不等式:

 |P13|+|P32|≦|P12| が成立することがわかります。

 

 したがって,この多様体上での直線分である測地線で作った三角形では三角形の2辺の長さの和は他の1辺の長さより常に小さいといえます。

 

   

 このこととds=cdτなることから,固有時間τは測地線(平坦な空間での直線)の上にあるとき,最大値を取ることがわかります。

 

 つまり,重力場の中では,その重力に逆らわず運動,あるいは静止している状態が最も固有時間が長い,つまり,最も歳を取ることになります。

 

 そこで,"その運動経路=自由重力落下の測地線"から少しでも逸れて重力以外の機械的動力を用いて宇宙旅行などをすると,回り道をして測地線からはずれた三角形の2辺以上の運動をすることになります。

 

 そこで,彼の経験する固有時間は重力に逆らわない場合よりも短かいことになり,結局は時間の遅れが生じて歳を取るのが遅れてしまいます。

(※↑例えばウラシマ効果,or 双子のパラドックス。)

  

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2007年1月 6日 (土)

ネット復活しました。

 遅ればせながら,昨日(2007年1月5日)朝から新居に電話回線が通じ,ADSL回線ながらインターネットを再開することができました。

 これからは以前の通り恒常的にブログを重ねていこうと思っています。

 ただ,まだノート類の所在が明確でないので資料が乏しい状況ではあります。

 SPEED TESTで回線スピードを調べてみましたが2.8(メガビット/秒)で,かなり遅いです。

 旧居でのフレッツ・光では40(メガビット/秒)程度でしたから,今ははるかに遅いですが大量の画像やムービーをダウンロードするのでなければ不自由ではありません。

 また,管理組合によると2月ごろマンションタイプの光回線を導入するらしいのでその頃には光に復帰できるかもしれません。

 まずは,本年もよろしくお願いします。 

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