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2007年1月14日 (日)

ガロア理論(1)

 今日はガロアの代数方程式論のさわりの部分について述べてみたいと思います。

 

 ガロアとは,19世紀に決闘で20歳で夭折したフランスの天才数学者エヴァリスト・ガロア(Evaliste.Galois:1811-1932)のことです

     

  

 そして,ここで私が取り上げるGaloisの理論というのは,

  

 彼が決闘前夜に書いた「(代数)方程式がベキ根によって解けるための必要十分条件について」という,当時は誰も理解できなかったらしい論文を死後14年も経って,J.Liouville(リウヴィル)が再発見したものです。

 

 これは,1870年にC.Jordan(ジョルダン)が,わかりやすく構成し直して,やっと日の目を見た理論です。

  

 「5次の代数方程式がベキ根によっては解けない,つまり5次方程式の解の公式(根の公式)が存在しない。」ことは,彼と同時期に26歳で肺結核で夭折したノルウェーの数学者:N.H.Abel(アーベル)が発見していました。

  

 さて,ここでの当面の目的は,

 

 "E/Fが,ある体の拡大でα∈EがF上で代数的,つまりαがF上の多項式環F[x]のあるモニック(最高次の係数が1の多項式:nonic)の根であるとき,αを根に持つ"既約なモニック=F上でこれ以上因数分解できないモニック)"p(x)∈F(x)が存在する。

 

 そして,商環F[x]/(p(x))は(p(x))が素イデアルなので商体となり,体F(α)に同型である,すなわちF[x]/(p(x)) ~ F(α)である。"

 

 ことを示すことです。

 

 そして,

 

 "p(x)はαを根に持つF[x]の最低次数のモニックであり,しかもαを根に持つこの最低次数のモニックはp(x)以外にはない。そして[F(α):F]=∂(p)である。(ただし∂(f)は多項式f(x)の次数)"

 

 ということも示そうと思います。

 

 まず,環Rがあるとき,a,b∈Iならa-b∈I,かつa∈I,r∈Rならra∈IとなるようなRの部分環IをRのイデアル(ideal)と呼びます。

 

 特にIがRと一致しない(I≠R)ならIをRの真のイデアル(proper ideal)といいます。

 

 そして,任意のa∈Rに対しI={ra|r∈R}とおけばIは確かにRの1つのイデアルなので,これをaによって生成されるイデアル,または単項イデアルと呼び,記号:(a)で表わします。

 

 また,環Rのゼロでない任意の2つの元の積がゼロにならないとき,Rは整域(integral domain)であるといいます。

 

 つまり,a,b∈R,ab=0 なら必ずa=0,またはb=0 であるとき,Rを整域と呼ぶわけです。

 

 さらに,Rが整域で,かつRのイデアルが全て単項イデアルであるなら,Rを単項イデアル整域(principal ideal domain)といいます。略してRはPIDである,といいます。

 

 さてFを任意の体とし,F[x]をその上の多項式環とするとき,F[x]がPIDになることを示すことができます。

 

 これを証明するため,まず,Iを多項式環F[x]の任意のイデアルであるとします。I={0}ならIはもちろん単項イデアルですから,I≠{0}と仮定します。

 

 そしてIに属するゼロでない最低次数の多項式をm(x)と仮定すると,明らかに(m(x))⊂Iです。

 

 ∀f(x)∈Iに対してf(x)=q(x)m(x)+r(x) (r(x)=0 または∂(r)<∂(m))と書けますが,これはr(x)=f(x)-q(x)m(x)と同値です。

 

 そこで,f(x)∈I,m(x)∈Iにより,イデアルの定義からr(x)∈Iとなります。

 

 ここでr(x)=0 または∂(r)<∂(m)ですから,m(x)がIに属するゼロでない最低次数の多項式であるという仮定によってr(x)=0 でなければなりません。

 

 つまりf(x)=q(x)m(x)となります。したがってf(x)∈(m(x))です。

 

 f(x)はIの任意の元だったので,これはI⊂(m(x))であることを意味しますが,(m(x))⊂IなのでI=(m(x))となります。

 

 IはF[x]の任意のイデアルでしたから,結局,F[x]はPID(単項イデアル整域)であることが証明されました。

 

 F[x]がPIDであることは,多項式環F[x]が整数環Zと同じく一意的に素因数分解できる環であること,つまり,一意分解整域であることを意味します。

 

 ちょっと,17日水曜から入院するので急用ができたため,今日はここまでにします。

 

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