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2007年1月29日 (月)

ガロア理論(6)

 結局,Galoisが示したことは,

 "n次代数方程式の係数の作る体Fは,n個の根の対称式の作る体に一致し,Fを不変に保つ自己同型の集まりであるガロア群はn個の異なる根の置換に同型なn次の対称群Snであること,

 そしてn次代数方程式がベキ根によって可解なことは,ベキ根による拡大体/Fが方程式の全ての根を含む分解体を含むことに帰着すること,

さらに,それはその拡大に伴うガロア群(Galois group9が可解群であることに同等である。"

 

ということです。

 

一般に,n次の対称群(置換群?):Snは,n≦4のときは可解であり,n≧5のときは可解ではありません。

 

可解群の部分群は可解群なので,結局S4が可解群であって,一方5は可解群ではないことを示せば十分です。

 

nのうち偶置換のみの集合をAnとすると,これは奇置換とは異なり,単位元を含みますから群を作るので交代群と呼ばれます。

  

交代群Anが対称群nの正規部分群となるのは直接確かめることによって容易に証明できます。

 

4には正規部分群の列:{1}⊂V⊂A44があり(Vは4元群),因子群:4/A4,A4/V,V/{1}の位数は2,3,4なのでAbel群です。

 

一方,5の正規部分群は{1},A5,5しかないことがわかります。

 

H≠{1}をA5の正規部分群と仮定してσ∈Hとすると,A5 におけるすべての共役元はHに含まれます。

 

そして,全ての3巡回元がA5の共役元となることがわかりますが,全ての交代群Anは3巡回元によって生成されるのでA5は単純群,つまり自分自身と{1}以外に正規部分群を持たない,ことになります。

 

さらにH≠{1}を5の任意の正規部分群とすると,H∩A5はA5の正規部分群ですが,A5は単純群なのでH∩A5=A5,すなわち,A5⊂H (H=A5,またはH=5)であるか,H∩A5={1}であるはずです。

 

後者の場合h∈A5ではないh∈Hが存在し,このhは奇置換なのでHA55です。

 

H∩A5={1}なので,位数の関係式|H∩A5||HA5|=|H||A5|が成立することから,結局|H|=|5|/|A5|=2が成立するはずです。

 

H∩A5 ={1}より,Hは1以外には奇置換しか含まないのでh≠1なるh∈Hをとると,その位数は2なのでh=(ab)(ある決まった2つのaとbの互換)になります。

 

g∈5で共役元ghg-1を作るとき,例えばh=(12)としてg=(134)とすればghg-1=(24)となります。

 

これは単位元ともhとも一致しないのでgHg-1≠HとなりHが正規部分群であることに矛盾します。

 

したがって,5の正規部分群は{1},A5,5しかないことが示されました。

 

それ故,正規列は{1}⊂A55となり因子群A5/{1}はA5/{1}~A5と交代群A5に同型であって,交代群A5は明らかに非Abel群ですから,5は可解群ではありません。

 

以上から,

 

"4次以下の代数方程式はベキ根による一般解が存在するけれども,5次以上の代数方程式は一般にベキ根によっては解けない。"

  

ことがわかりました。

 

(→ ※2次方程式,3次方程式,4次方程式までは解の公式がありますが,5次方程式には解の公式はありません。)

  

これでGalois理論については,ひとまず終わりにしたいと思います。

 

参考文献:J.ロットマン 著(関口次郎 訳)「ガロア理論」(シュプリンガーフェアラーク東京)

 

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コメント

 こんばんは、TOSHIです。
 失礼、その通りです。訂正しときます。V={(1),(12)(34),(13)(24),(14)(23)}です。

投稿: TOSHI | 2007年8月 1日 (水) 20時23分

「Vは4元数の群」てのは「クラインの4元群」の間違いでしょう。

投稿: hirota | 2007年7月31日 (火) 11時32分

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