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2007年2月12日 (月)

ベキ級数解の存在(コワレフスカヤの優級数)(2)

 前記事の続きです。

 最後の補助定理として補助定理5を与えます。

 これは,ベキ級数の代入についての定理です。

 

"f(ζ)=Σn=0nζnの収束半径をR(>0)とするとき,

|x|<ρでg(x)=Σn=0nnが絶対収束し,かつ

Σn=0|bn||x|n<Rが成立するなら,

 

ζ≡Σn=0nnΣn=0nζnに代入して得られる

形式的ベキ級数:Σn=0nn(cn≡Σm=0mn(m),bn(0)≡1,

n(1)≡bn,bn(m)≡Σk=0n-k(m-1)k(m≧2))は,

|x|<ρで絶対収束する。

  

そこで,|cn|=|Σm=0mn(m)|<+∞ (n=0,1,2,...)であり,

形式的なベキ級数:Σn=0nnは実際のxのベキ級数となって

和は|x|<ρにおいてf(g(x))になる。

  

したがって,|x|<ρでf(g(x))=Σn=0nnが成立し

f(g(x))はxでベキ展開可能である。"

 

以下これを証明します。

 

v=v(x)≡Σn=0|bn||x|n(|x|<ρ)とおくと,

仮定により, 0 ≦v<Rなので正項級数Σm=0|am|vm

は収束します。

 

一方,|x|<ρでΣn=0nnn=0|bn||x|nが絶対収束するので

n(0)≡1,Bn(1)≡|bn|,Bn(m)≡Σk=0|bn-k(m-1)||bk|(m≧2)

とおけば,

 

補助定理4よりΣn=0n(m)n,とΣn=0n(m)|x|nは共に

|x|<ρで絶対収束して,(Σn=0nn)m=Σn=0n(m)n,

かつ(Σn=0|bn||x|n)m=Σn=0n(m)|x|n(m=0,1,2,..)

が成立します。

 

ここで,|bn(0)|=Bn(0)=1,|bn(1)|=|bn|=Bn(1),

|bn(m)|=|Σk=0n-k(m-1)k|≦Σk=0|bn-k(m-1)k|

=Bn(m)(m≧2)より,一般に|bn(m)|≦Bn(m)

(m=0,1,2,...)が成立します。

 

そして,|am|vm=|am|(Σn=0|bn||x|n)m

=|am|(Σn=0n(m)|x|n)=Σn=0|am|Bn(m)|x|n(|x|<ρ,

(m=0,1,2,...)です。

 

ところが,Σm=0|am|vmは,0≦v<Rで収束し|x|<ρに対して

Σn=0|bn||x|n<Rが成立するので,Σm=0|am|vm

=Σm=0n=0|am|Bn(m)|x|n)は|x|<ρに対して収束して

有限な極限値を持ちます。

 

したがって,補助定理3により,Σn=0m=0|am|Bn(m)|x|n)

=Σn=0m=0|am|Bn(m))|x|nも|x|<ρに対し収束して

極限値はΣm=0n=0|am|Bn(m)|x|n)=Σm=0|am|vm

等しいことになります。

 

このことから,m=0|am|Bn(m))|x|n<+∞ (|x|<ρ)であり,

したがってΣm=0|am|Bn(m)<+∞となります。

 

|bn(m)|≦Bn(m)より,あらゆる負でない整数rに対して,

m=0rmn(m)|≦Σm=0r|am|Bn(m)≦Σm=0|am|Bn(m)

が成立します。

 

そこで,|Σm=0mn(m)|≦Σm=0|am|Bn(m),

すなわち|cn|=|Σm=0mn(m)|≦Σm=0|am|Bn(m)<+∞

です。

 

よってΣm=0mn(m)は収束して,形式的に与えたcn

全て有限になります。

 

それ故,|cn||x|n≦Σm=0|am|Bn(m)|x|nであり,

またΣn=0m=0|am|Bn(m)|x|n)が|x|<ρで収束するので,

Σn=0|cn||x|nも|x|<ρで収束します。

 

このことからΣn=0nnも実際にベキ級数であって

|x|<ρで絶対収束することがわかりました。

 

Σn=0|bn||x|n<R (|x|<ρ)より,

n=0nn|<R (|x|<ρ)で,しかも補助定理4により

Σn=0n(m)n=(Σn=0nn)m (|x|<ρ,

(m=0,1,2,...)です。

 

そこで,Σm=0mζm=Σm=0mn=0n(m)n)<+∞であり,

したがって補助定理3によってΣm=0mn=0n(m)n)

=Σm=0n=0mn(m)n)=Σn=0m=0mn(m))xn­

=Σn=0nnが得られます。

 

以上から,f(g(x))=Σn=0nn(cn=Σm=0mn(m))が成立します。(以上,証明終わり)

 

これの系として

 

"g(x)=Σn=0nnにおいて|b0|=|g(0)|<Rなら,

十分小さいρ'(<ρ)に対して,補助定理5の条件である

Σn=0|bn||x|n<R が|x|<ρ'で満たされ,

したがって補助定理5の結論が|x|<ρ'で成立する。"

 

ということになります。

何故ならg1(x)≡Σn=0|bn||x|nとおくと,

右辺は|x|<ρで広義一様収束するので|x|<ρで連続であり,

したがってx=0 でも連続ですからg1(0)=|b0|<Rなら

十分小さいρ'>0 に対して|x|<ρ'のとき,

1(x)=Σn=0|bn||x|n<Rが成立するからです。

 

今日はここまでとします。

   

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