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2007年2月 1日 (木)

常微分方程式の解の存在定理⑦(一般解の存在(4))

 では,いよいよ一般解の存在定理を証明しましょう。

まず,定理の内容ですが,

 

"1階常微分方程式:dy/dx=f(x,y)の右辺の関数f(x,y)は開いた領域Dの上で一価連続,かつ,Lipschitz条件を満足するものとする。

 

このとき,Dに属する任意の点(x0,y0)を取ると,この点を含む十分小さい範囲においてdy/dx=f(x,y)の一般解が存在する。"

 

というものです。

 

以下,証明です。

 

(x0,y0)はDの点であり,f(x,y)はDの上で一価連続,かつLipschitz条件を満足するので,

 

(x0,y0)を含みDに属するある閉領域における「解の存在と一意性の定理」によって,αを十分小さい正の数とすれば,

  

y|x=x0=y0を満足し,x0-α≦x≦x0+αで定義されてDに含まれるdy/dx=f(x,y)の解y=φ0(x)が存在します。

 

Dは領域ですから,δ10 を十分小さく取ればx0-α≦x≦x0+α,|y-φ0(x)|≦δ1なる点(x,y)の集合をU1とおけばU1が閉領域でU1⊂Dとなるようにできます。

 

そこで,補助定理2によって,δ>0 をδ<δ1exp(-2Lα)となるように取り,別の閉領域UをU≡{(x,y)|x0-α≦x≦x0+α,|y-φ0(x)|≦δ}によって定義すれば,

 

任意の(x~0,y~0)∈Uに対しこの点を通りx0-α≦x≦x0+αで定義されてU1に含まれるdy/dx=f(x,y)の一意解y=φ(x,x~0,y~0)が存在します。

 

したがって,y^0≡φ(x0,x~0,y~0)とおけば,(x0,y^0)∈U1,

つまり,|y^0-y0 |≦δ1です。

 

そして,以上のことから点(x0,y^0)を通る解y=φ(x,x0,y^0)は閉区間[x0-α,x0+α]で定義され,しかも(x~0,y~0)を通ります。

 

すなわち,φ(x,x~0,y~0)≡φ(x,x0,y^0)となる値y^0:|y^0-y0 |≦δ1が必ずUに属する任意の(x~0,y~0)に対して存在します。

 

しかしながら,逆に|y^0-y0 |≦δ1なる全てのy^0に対して点(x~0,y~0)∈U,したがってφ(x,x~0,y~0)が対応するわけではありません。

 

では,如何なる制限のあるy^0に対して,φ(x,x~0,y~0)≡φ(x,x0,y^0)となるφ(x,x~0,y~0)が対応するのでしょうか?

 

今,点(x~0,y~0)を通る閉区間[x0-α, x0+α]で定義されるdy/dx=f(x,y)の一意解φ(x,x~0,y~0)が(x0,y^0)を通る,

 

すなわち,φ(x,x~0,y~0)≡φ(x,x0,y^0) on [x0-α,x0+α]であるとします。

 

このとき,y^0>y0としてy0<y^1<y^0なるy^1に対する点(x0,y^1)を考えます。

 

明らかに,(x0,y^1)∈U1なので,(x0,y^1)を通り,ある区間[a,b] (ただし,x0-α≦a<b≦x0+α)で定義されるdy/dx=f(x,y)の一意解y=φ(x,x0,y^1)が存在して,

 

∀x∈[a,b]に対して,(x,φ(x,x0,y^1))∈U1です。

 

このとき,∀x∈[a,b]に対してφ0(x)<φ(x,x0,y^1)<φ(x,x0,y^0)となります。

 

何故なら,もしもある点でφ0(x)=φ(x,x0,y^1),あるいはφ(x,x0,y^1)=φ(x,x0,y^0)となるなら,y0<y^1<y^0より

 

φ0(x),φ(x,x0,y^1),φ(x,x0,y^0)は全く異なるxの関数であるのに,同一の点を2つの関数(dy/dx=f(x,y)の一意解)が通ることになり矛盾を生じます。

 

そして,φ0(x)>φ(x,x0,y^1),またはφ(x,x0,y^1)>φ(x,x0,y^0)となるなら,これらの関数の連続性によって,

 

xとx0との間にφ0(x')=φ(x',x0,y^1),またはφ(x",x0,y^1)=φ(x",x0,y^0)なるような値x',またはx"が存在することになり,同じ理由で矛盾を生じるからです。

 

このことから,φ0(a)<φ(a,x0,y^1)<φ(a,x0,y^0),φ0(b)<φ(b,x0,y^1)<φ(b,x0,y^0),すなわち|φ(a,x0,y^1)-φ0(a)|<δ1,かつ|φ(b,x0,y^1)-φ0(b)|<δ1となります。

 

そして,x0-α<a<b<x0+αである限り,(a,φ(a,x0,y^1)),(b,φ(b,x0,y^1))はU1の内点に留まります。

 

aはx0-α,bはx0+αにいくらでも近づけることが可能で,φ(x,x0,y^1)は各々のa,bに対してx∈[a,b]で定義されるので,結局x0-α<x<x0+αなる全てのxに対して定義できます。

 

したがって,補助定理1により,解φ(x,x0,y^1)はx0-α≦x≦x0+αまで延長されます。

 

そして,「一意性の定理」により,φ0(x~0)<φ(x~0,x0,y^1)<φ(x~0,x0,y^0)=y~0 ですから,

 

|φ(x~0,x0,y^1)-φ0(x~0)|<|y~0-φ0(x~0)|≦δ

<δ1exp(-2Lα),かつx0-α≦x~0≦x0+αであり,

(x~0,φ(x~0,x0,y^1))∈Uが成立します。

 

すなわち,解φ(x,x0,y^1)はUに属する点を通ります。

 

つまり,y^0>y0なら,y0<y^1<y^0 なる全てのy^1に対して,解φ(x,x0,y^1)が存在して,しかもUに属することがわかりました。

 

y^0<y0 の場合も同様に,y0>y^1>y^0なる全てのy^1に対して,[x0-α,x0+α]で定義されUに属する点を通る解φ(x,x0,y^1)が存在します。

 

補助定理2によって点(x~0,y~0)をUに属する任意の点とすると,y^0≡φ(x0,x~0,y~0)は点(x~0,y~0)が変化するにつれてy0-δ1≦y≦y0+δ1なる範囲内の値を連続的に変化します。

 

そしてUが閉領域であることから,そのようなy^0には最小値:y0-ρ1 および最大値:y0+ρ212> 0 )が存在することがわかります。

 

もちろん,δ≦ρ12≦δ1です。

 

以上のことから,y^0 を[y0-ρ1,y0+ρ2]における任意定数とすれば,各々のy^0 に対してUの点を通り,[x0-α,x0+α]を定義域とするφ(x,x~0,y~0)が対応します。

 

逆に,任意の(x~0,y~0)∈Uを通り,[x0-α,x0+α]で定義されるdy/dx=f(x,y)の解:y=φ(x,x~0,y~0)は[y0-ρ1,y0+ρ2]に属するあるy^0に対応します。

 

以上から,Uにおいては,C=y^0とおくことにより,y0-ρ1≦C≦y0+ρ2という条件下でy=φ(x,C)なるdy/dx=f(x,y)の一般解が存在することが示されました。以上で証明終わりです。

 

ところで,昨日ようやく帝京大病院に入院時に2階のローソンで買った赤川次郎作の推理小説「二重奏(デュオ)」を読み終わりました。

  

なかなか興味深い本でした。

 

赤川次郎は読まず嫌いで,病院の売店にはそれしかなかったので読んだのですが,赤川次郎を少しだけ見直しました。

 

しかし,後で考えてみると,終わりの方ではバタバタと事件が意外な犯人で解決する,といういかにも性急な感じで,紙数が足りなくなって省略して無理に終わらせたというようにも見えて,かなり尻切れトンボでしたね。

 

新聞の連載かなんかで急に終わらせる必要でもあったのかな?

 

http://fphys.nifty.com/(ニフティ「物理フォーラム」サブマネージャー)                                  TOSHI

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