カルツァ・クラインの5次元統一場理論(2)
前回のつづきです。
前記事では,無限小な局所的平行移動に対する全物理量の不変性
を要求しましたが,
実際には我々の時空の4次元座標(x0,x1,x2,x3)はそのままで,
5番目軸であるx4軸に対してのみ平行移動をしたときの不変性
を要求するのが妥当であると思われます。
実際,あらゆる物理量がx4に依存しないなら,我々はその存在
に気付かないからです。
そこで,平行移動:xi→ xi+εξi(x)において,
ξi(x)≡δi4とします。
そして,これが 5∇iξj+5∇jξi=0 の解であるとします。
まず,ξi(x)=γik(x)δk4=γi4(x)ですから,これを上の
方程式に代入すると,∂γij(x)/∂x4= 0 が得られます。
つまり,計量(metric)γijはx4 軸には依存しないという帰結
になります。
また,ベクトル:ξの大きさが1,つまり,γijξiξj=1より,
γ44(x)=1を得ます。
この余計なx4座標を分離すると,計量は
dσ2=γ44(dx4)2+2γμ4dxμdx4+(γμ4dxμ)2
+(γμν-γμ4γν4)dxμdxν となります。
ここで,まだ未定の定数αを用いてαAμ≡γμ4=γ4μ,
gμν≡γμν-γμ4γν4と置きます。
すると,γ44=1より,
dσ2=(dx4+αAμdxμ)2+gμνdxμdxν
と書けます。
ここで見やすいように,改めてγμν=gμν+α2AμAν,
γμ4=γ4μ=αAμ,γ44=1 と書きます。
そして,γijの逆行列γijは,γikγkj=δijより,
γμν=gμν,γμ4=γ4μ=-αAμ,γ44=1+α2AμAμ
となることがわかります。ここにAμ≡gμνAνです。
条件∂γij(x)/∂x4=0 ,およびγ44(x)=1を保持する
一般座標変換(=微分同相写像)xi → x'iは,fiを
x'μ(μ=0,1,2,3)の任意関数として,
xi=x'i+fi(x'0,x'1,x'2,x'3)
という形に限られます。
これに対し,γijは
γ'ij(x')=(∂xm/∂x'i)(∂xn/∂x'j)γmn(x)
と変換されます。
これを分離すると,
g'μν=(∂xρ/∂x'μ)(∂xσ/∂x'ν)gρσ(x),A'μ
=(∂xρ/∂x'μ)Aρ+(∂f4/∂x'μ)/α,
γ'44=γ44=1となります。
ここで,この変換をxμ=x'μ,f4=-αλ(x'0,x'1,x'2,x'3)
とすれば,上述の変換性はg'μν=gμν,A'μ
=Aμ-∂λ/∂xμ,γ44=1 となり,これはいわゆるゲージ変換
と同じ形をしています。
そこで,KaluzaはAμを電磁場のポテンシャル,gμνを重力場の
計量テンソルと同一視しました。
それが妥当であるかどうかは場の方程式や荷電粒子の運動方程式
を調べることによって判明するはずです。
そのために,まず接続係数(特に:Christoffel's symbol)Γを
求めてみます。
計算結果だけ書くと,
5Γλμν=Γλμν-(α2/2)(fλμAν+fλνAμ),
5Γ4μν=-αAλ5Γλμν+(α/2)Sμν,
5Γλ4μ=5Γλμ4=-(α/2)fλμ,5Γ44μ=5Γ4μ4
=-(α2/2)(fμρAρ),5Γλ44=0,5Γ444=0
となります。
ただしfμν≡∂μAν-∂νAμ,Sμν≡∂μAν+∂νAμです。
今日はここまでとします。
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参考文献:内山龍雄 著「一般ゲージ場論序説」(岩波書店)
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