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2007年3月 7日 (水)

カルツァ・クラインの5次元統一場理論(2)

 前回のつづきです。

 

 前記事では,無限小な局所的平行移動に対する全物理量の不変性

 を要求しましたが,

 

 実際には我々の時空の4次元座標(x0,x1,x2,x3)はそのままで,

 5番目軸であるx4軸に対してのみ平行移動をしたときの不変性

 を要求するのが妥当であると思われます。

 

 

 実際,あらゆる物理量がx4に依存しないなら,我々はその存在

 に気付かないからです。

 

 

  そこで,平行移動:xi→ xi+εξi(x)において,

  ξi(x)≡δi4とします。

 

  そして,これが 5iξj5jξi0 の解であるとします。

 

  まず,ξi(x)=γik(x)δk4=γi4(x)ですから,これを上の

 方程式に代入すると,∂γij(x)/∂x4= 0 が得られます。

 

 つまり,計量(metric)γijはx4 軸には依存しないという帰結

 になります。

 

 また,ベクトル:ξの大きさが1,つまり,γijξiξj1より,

 γ44(x)=1を得ます。

 

 この余計なx4座標を分離すると,計量は

 dσ2=γ44(dx4)2+2γμ4dxμdx4+(γμ4dxμ)2

 +(γμν-γμ4γν4)dxμdxν となります。

 

 ここで,まだ未定の定数αを用いてαAμ≡γμ4=γ,

 gμν≡γμν-γμ4γν4と置きます。

 

 すると,γ44=1より,

 dσ2=(dx4+αAμdxμ)2+gμνdxμdxν

 と書けます。

 

 ここで見やすいように,改めてγμν=gμν+α2μν,

 γμ4=γ=αAμ44=1 と書きます。

 

 そして,γijの逆行列γijは,γikγkj=δijより,

 γμν=gμνμ4=γ=-αAμ44=1+α2μμ

 となることがわかります。ここにAμ≡gμννです。

 

 条件∂γij(x)/∂x4=0 ,およびγ44(x)=1を保持する

 一般座標変換(=微分同相写像)xi → x'iは,fi

 x'μ(μ=0,1,2,3)の任意関数として,

 

 xi=x'i+fi(x'0,x'1,x'2,x'3)

 

 という形に限られます。

 

 これに対し,γij

 γ'ij(x')=(∂xm/∂x'i)(∂xn/∂x'jmn(x)

 と変換されます。

 

 これを分離すると,

 g'μν=(∂xρ/∂x'μ)(∂xσ/∂x'ν)gρσ(x),A'μ

 =(∂xρ/∂x'μ)Aρ+(∂f4/∂x'μ)/α,

 γ'44=γ44=1となります。

 

 ここで,この変換をxμ=x'μ,f4=-αλ(x'0,x'1,x'2,x'3)

 とすれば,上述の変換性はg'μν=gμν,A'μ

 =Aμ-∂λ/∂xμ,γ44=1 となり,これはいわゆるゲージ変換

 と同じ形をしています。

 

 そこで,KaluzaはAμを電磁場のポテンシャル,gμνを重力場の

 計量テンソルと同一視しました。

 

 それが妥当であるかどうかは場の方程式や荷電粒子の運動方程式

 を調べることによって判明するはずです。

 

 そのために,まず接続係数(特に:Christoffel's symbol)Γ

 求めてみます。

 

 計算結果だけ書くと,

 

 5Γλμν=Γλμν2/2)(fλμν+fλνμ),

 5Γ4μν=-αAλ5Γλμν+(α/2)Sμν,

 

 5Γλ5Γλμ4=-(α/2)fλμ,5Γ45Γ4μ4

 =-(α2/2)(fμρρ),5Γλ44=0,5Γ444=0

 

 となります。

 

 ただしfμν≡∂μν-∂νμ,Sμν≡∂μν+∂νμです。

 

 今日はここまでとします。

 

 

 

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参考文献:内山龍雄 著「一般ゲージ場論序説」(岩波書店) 

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