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2007年3月14日 (水)

クレローの微分方程式2(常微分方程式の解の存在定理の応用)

 前回に続き,クレロー(A.C.Clairaut)の微分方程式:

y=xy'+φ(y')の解法です。

 

 今日は解法2です。

 

 (解法2):

 

 y'=pとオけば方程式y=xy'+φ(y')は,

y=xp+φ(p)と書けます。

 

 一般に1階常微分方程式がy=f(x,y')なる形で与えられて

いるとき,y'=pと置けば,これはy=f(x,p)と書けます。

 

 そこで,もしも方程式系:y'=p,y=f(x,p)を満足する

ようなxの関数p=p(x)が存在するなら,

 

 y=f(x,p(x))の両辺は,もちろんxで微分可能なので,

dy=pdx,かつ,dy=df=(∂f/∂x)dx+(∂f/∂p)dp

が成立します。

 

(ここで,f(x,p)はその定義域で連続な偏導関数∂f/∂x,∂f/∂p

を持つと仮定しています。)

 

それ故,pdx=(∂f/∂x)dx+(∂f/∂p)dp

⇔ p=(∂f/∂x)+(∂f/∂p)(dp/dx)

が得られます。

 

∂f/∂x,∂f/∂pはxとpのみの関数ですから,

p=(∂f/∂x)+(∂f/∂p)(dp/dx)は,

xの関数pに対する微分方程式になっています。

 

特に,∂f/∂p≠0 の場合は,容易に正規形;

dp/dx=g(x,p)なる形式に変形できます。

 

逆に,p=(∂f/∂x)+(∂f/∂p)(dp/dx)を

満足するxの関数p=p(x)が存在するなら,

そのようなp(x)を代入して得られる関数:

y=f(x,p(x))は,確かにy=f(x,y')

の解です。

 

何故なら,y=f(x,p)に対しては,

y'=(∂f/∂x)+(∂f/∂p)(dp/dx),かつ

p=(∂f/∂x)+(∂f/∂p)(dp/dx)より,

 

y'=pが成立するので,明らかにy=f(x,p)=f(x,y')

となるからです。

 

(解法1)と同様な考察から,f(x,p)が連続で,∂f/∂p

もまた連続かつゼロでないような点(x,p)の十分近傍の

領域では,Φ(x,y,p)≡y-f(x,p)=0 は連続な

陰関数p=p(x,y)を持ちます。

 

このとき,∂Φ(x,y,p(x,y))/∂y=1-(∂f/∂p)(∂p/∂y)

=0 により,∂p/∂y=1/(∂f/∂p)です。

 

そして今の場合,∂f/∂pは∂f/∂p≠0 を満たし,かつ連続

と仮定しているので,∂p/∂yは点(x,p)の十分近傍の閉領域

で有界となり,y'=p(x,y)は存在と一意性に保証された

一般解のみを与えます。

 

すなわち,∂f/∂pが連続,かつゼロでないような場合のpに

対してはy=f(x,p(x))は一般解です。

 

このとき,p(x)=ψ(x,C)なる形でpに対する解も得られます。

 

一方,∂Φ/∂p=-∂f/∂p=0,∂Φ2/∂p2=-∂f2/∂p20

でΦ(x,y,p)=y-f(x,p)=0 なる点(x0,y0,p0)が存在

すれば,∂Φ/∂y=1≠0 が常に成立することから,

 

0 に十分近いxに対して,連続で1階導関数を持ち,

∂f/∂p=0 かつy=f(x,p)を満足する関数:

y=ψ(x),p=ω(x)が存在して,y0=ψ(x0),

0=ω(x0)を満たします。

 

そこで,もしψ'(x)=ω(x)が成立するなら,y=ψ(x)は

y=f(x,y')の特異解となります。

 

それ故,∂2/∂p20 と仮定すれば,y=f(x,p),

かつy'=pなる式からpを消去して,y=f(x,y')

の特異解を求めることができます。

 

ところが,y=f(x,p),かつy'=pは,

y=f(x,p),かつp=(∂f/∂x)+(∂f/∂p)(dp/dx)

と同値です。

 

すなわち,y=f(x,y')の解の全ては,pに対する微分方程式:

p=(∂f/∂x)+(∂f/∂p)(dp/dx)から得られる

解p(x)をf(x,p)に代入して得られます。

 

"∂f/∂p=0,かつp=(∂f/∂x)+(∂f/∂p)(dp/dx)

⇔ ∂f/∂p=0 ,かつp=∂f/∂x"ですから,

 

もしこれらを同時に満足するp=ω(x)が存在すれば,

y=f(x,ω(x))は確かにy=f(x,y')の特異解

となります。

 

以上の考察から,Clairautの微分方程式については,

y=xp+φ(p)より,p=p+[x+φ'(p)]p',

 

すなわち[x+φ'(p)]p'=0 の解p=ω(x)を代入した

関数y=xω(x)+φ(ω(x))が解となることがわかります。

 

(1)Clairautの微分方程式では,f(x,p)=xp+φ(p)より,

∂f/∂p=x+φ'(p)ですからx+φ'(p)≠0 に対しては,

[x+φ'(p)]p'=0 はp'=0 を意味し,このとき,

y=xp+φ(p)は一般解です。

 

p'=0 よりp=C(Cは任意定数)が得られることから,

結局y=xC+φ(C)が一般解として得られます。

 

(2)f(x,p)=xp+φ(p)より,∂f/∂x=pですから,

p=∂f/∂xは如何なる関数p(x)に対しても成立するので,

 

∂f/∂p=x+φ'(p)=0 ,かつy=xp+φ(p)から

pを消去すれば,y=xy'+φ(y')の特異解が得られます。

 

あるいは実際に計算してx+φ'(p)=0 なるp=ω(x)を代入して

y=xω(x)+φ(ω(x))を作ると,

 

y'=ω(x)+[x+φ'(ω(x))]ω'(x)=ω(x)より,

確かにy=xω(x)+φ(ω(x))がy=xy'+φ(y')の解

であることがわかります。

 

(ただ特異解であるかどうかを厳密に判定するには,

やはり∂f/∂y'=∂f/∂p=0 となることを確

かめる必要があります。)

 

Clairautの微分方程式は

 

"接線が接線自身にのみ関係して接点には関係しないような

与えられた性質を持つ曲線を決定する。"

 

という幾何学的問題から導かれます。

 

すなわち,接線の方程式は,その流通座標を(X,Y)とするとき,

曲線上の任意の点(x,y)において,Y-y=y'(X-x)

⇔Y=y'X+(y-xy') と表わされます。

 

直線というのは,一般にその"勾配=傾き"とy切片を与えること

によって完全に決まりますから,接線の性質は全て(y-xy')

とy'の関係として,Φ(y-xy',y')=0 と表わされます。

 

これを(y-xy')について解けば,y-xy'=φ(y'),つまり,

Clairautの微分方程式:y=xy'+φ(y')が得られるわけです。

 

(以上,この項終わり)

 

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