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2007年3月17日 (土)

虚数(複素数)の起源

 虚数(imaginary),あるいは複素数(complex),

 

 すなわちa,bを実数(real)としてa+b√-1と表わされる

想像上の数が,数学の世界に導入されるようになったきっかけは,

 

 別に,全ての2次方程式が必ず根を持つようにするため,という

ような理由からではありません。

  

 例えば,方程式:x2+1=0 がx=±√-1という根を持つ

としなければ,この方程式は解を持たない,などという理論的な

不都合と感じられるもの,

 

 これを無くそうという理由からであった。などと思われがちですが,

実際の歴史的経緯は違います。

 

実は,16世紀にイタリアで発見された3次方程式の根の公式である

「カルダノ(Gerolamo Cardano)の公式」が,

 

当時においては,唯一認められていた実数解を実際に表現する

ためには,途中経過として虚数を経由しなければ不可能な

ケースがあったためです。

 

すなわち,一般の3次方程式はx3の係数が1のモニック(monic)

として,x3+ax2+bx+c=0 で与えられます。

 

これは,y=x+a/3とおいてx=y-a/3を元の方程式に代入して

yの方程式にすれば,必ずy2の係数がゼロの3次方程式:

 

3+py+q=0

(p≡-a2/3+b,q≡2a3/27-ab/3+c)

に変換されます。

 

そして,この3次方程式を満たすyの根を求めるには,これに

y=u+vを代入します。

 

(u+v)3+p(u+v)+q=0 ,

すなわち,u3+v3(u+v)(3uv+p)+q=0

が得られます。

 

これから,解yを求めることは,u3+v3=-q,uv=-p/3,

を満たすu,vの組,またはu3+v3=-q,u33=-p3/27

を満足するu3とv3の組を求めることに帰着します。

 

明らかに,このu3とv3の組を求めるには,

2次方程式t2+qt-p3/27=0 を解けばいいので,

結局3次方程式の根を求めることが,2次方程式の根

を求めることに帰着します。

 

2次方程式の根の公式によれば,

3,v3=-q/2±(2/4+3/27)1/2です。

 

したがって,u,v=[-q/2±(2/4+3/27)1/2]1/3が得られますから,

これらをy=u+vに戻せば,これが3次方程式y3+py+q=0

の1つの根になります。

 

上に得られた3次方程式の根の公式を「Cardanoの公式」

と呼びます。

 

現在のわれわれの立場で考えると,u,vが1組でも求まれば,

ωを1とは異なる1の立方根:ω2+ω+10 の根の1つとすれば,

 

y=u+v,uω+vω2,uω2+vωが,

3次方程式:3+py+q=0 の3つの根の全てを表現する

ものである,

 

とすぐに理解できます。

  

しかし,当時は複素数は存在しないという時代であったので,

3次方程式の根であると認められるのは実数解だけでした。

  

ところが,例えばy315y-4=0 という具体的な方程式を

考えると,これは代入すれば明らかなようにy=4 という

実数根を持ちます。

 

しかし,「Cardanoの根の公式」によれば,これの根は

y=(2-121)1/3(2-√-121)1/3と表現されますから,

これの右辺の1つが4に等しい,

 

つまり,ある3乗根を取れば,

(2-121)1/3(2-√-121)1/34 である

とせざるを得ません。

 

現在のわれわれの感覚であれば,iを虚数√-1とすれば

-121=11iであり,例えば(2±i)32±11i=2±√-121

ですからu,v=2±i= 2±√-1とすれば,y=u+v=4

となって何ら矛盾を感じるようなことはありません。

 

ところが,当時は想像上の数である虚数√-121=11iの存在を認める

ということは,たとえ計算の途中でも有り得ない。という雰囲気で

あったので,大いに困惑しただろうと想像されます。

 

結局,3次方程式の根を計算する途中に限って,特別に虚数,

あるいは複素数の存在を認めるということになったのが,

虚数.あるいは複素数を導入するきっかけになったと

考えられます。

 

ですから,2次方程式が必ず根を持つためとかいう理論的な

経緯から,これ(虚数)が導入されたわけではありません。

 

参考文献:原田耕一郎 著「群の発見」(岩波書店)

  

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