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2007年4月

2007年4月30日 (月)

フックス型微分方程式とガウスの微分方程式

前記事の続きとして,2階線形斉次(同次)常微分方程式:

"+(z)y'+q(z)y=0 の考察を続けます。

 

この形の方程式の中で特異点が全て確定特異点であるものをFuchs型微分方程式と呼びます。

z=∞を含めて特異点が全く存在しないという1番簡単なFuchs型(Fuchsian)は存在することができません。

 

なぜなら,その場合はもちろん|z|<∞におけるz平面においてp(z),q(z)は正則で,しかもこれらは有理関数と仮定されていますから,これらは実は多項式です。

 

そして,一方z=∞ も特異点ではないのでz=∞でzp(z)=2,かつz4(z)も正則でなければならないため,q(z)≡0 であり,p(z)は多項式なのでz=∞でzp(z)=2 となることは不可能だからです。

次に考えられる最も簡単なFuchs型は特異点が1つしかないものです。

 

その特異点をz=a≠∞ とすると,これが確定特異点であるための必要十分条件から(z-a)p(z)と(z-a)2(z)は|z|<∞で正則です。

 

つまり多項式です。

 

一方,z=∞ は正則点ですからz=∞ でzp(z)=2であり,

4(z)は正則でなければなりません。

 

というわけで,必然的にp(z)=2/(z-a),q(z)=0 です。

 

つまり,この形の方程式は"+ 2y'/(z-a)=0 に限られます。

一方,ただ1つの特異点がz=∞の場合はp(z),q(z)は多項式で

あって,しかもzp(z)とz2(z)はz=∞で正則ですから,

p(z)≡q(z)≡0です。

 

よって方程式は単純な"0 となります。

 

この方程式は,すぐに積分できて一般解はy=b+cz

(b,cは任意定数)で与えられます。

実は,"+ 2y'/(z-a)=0 は簡単な独立変数の変換によって,

"0 と結びついています。

 

実際,ζ≡1/(z-a)とおけば,d/dz=-ζ2(d/dζ),d2/dz2

{2ζ3(d/dζ)+ζ4(d2/dζ2)}なので,

 

"+ 2y'/(z-a)=0 はζ4(d2y/dζ2)=0 ,すなわち

2y/dζ20 となります。

 

そこで,"+ 2y'/(z-a)=0 の一般解は

y=b+cζ=b+c/(z-a) (b,cは任意定数)

となります。

次は特異点が2個の場合です。それらの確定特異点を

z=a,bとし,a,bのいずれも∞ではないとします。

 

p(z)は(z-a)(z-b)p(z)が|z|<∞で正則,

またz=∞でzp(z)=2という条件から決まります。

 

すなわち,p(z)はA,αをある定数として,p(z)

=(2z+A)/{(z-a)(z-b)}=(1+α)/(z-a)

+(1-α)/(z-b),A=-a-b+α(a-b)と表現

されますね。

(z)は(z-a)2(z-b)2(z)が|z|<∞で正則,

z=∞でz4(z)が正則という条件から決まります。

 

すなわち,βをある定数としてq(z)

=β/{(z-a)2(z-b)2}となります。

 

つまり,この場合の方程式は、

"+{(1+α)/(z-a)+(1-α)/(z-b)}y'

+βy/{(z-a)2(z-b)2}=0

と書くことができます。

ここで変数変換:ζ=(z-a)/(z-b)=1-(a-b)/(z-b)

を行います。

 

これは複素z平面から複素ζ平面への1次分数変換(Möbius変換)と呼ばれるものの一種です。

 

一般の1次分数変換(Möbius変換)は

ζ=(Az+B)/(Cz+D)(A,B,C,DはAD-BC≠0

を満たす任意の複素数)なる,zからζへの変換で定義される

ものです。

とにかく,ζ=(z-a)/(z-b)=1-(a-b)/(z-b)によって

 

y"{(1+α)/(z-a)+(1-α)/(z-b)}y'

+βy/{(z-a)2(z-b)2}=0 は,

2/dζ2{(1+α)/ζ}(dy/dζ)+βy/{(a-b)ζ2}

 

となります。

 

これはEulerの方程式ですが,特異点がz=a,bからζ=0,∞に移行

しています。

特異点が3個のFuchs型になって初めて,求積法では解けない場合が出現

します。

 

また,特異点が4個以上のFuchs型方程式については,大域的な意味で

解を作るという問題は未だ解決していない領域です。

以下では特異点が3個のFuchs型を詳しく調べます。

初めに,その3個がz=a,b,c(≠∞)であるとします。

 

このときにはp(z)=(多項式)/{(z-a)(z-b)(z-c)}

=α/(z-a)+αb/(z-b)+αc/(z-c)+(多項式)

と書くことができます。

 

ここでαb c はある定数です。

そして,z=∞では正則なのでz=∞でzp(z)=2ですが,

これはp(∞)=0 を意味するので,

 

p(z)=α/(z-a)+αb/(z-b)+αc/(z-c)+(多項式)

における(多項式)の部分は,実はゼロで,

 

結局,p(z)=α/(z-a)+αb/(z-b)+αc/(z-c),

α+αb+αc2と表わされます。

一方,q(z)についてはq~(z)≡(z-a)(z-b)(z-c)q(z)

とおくと,これはp(z)と同じくz=a,b,cだけに1位の極を

持ちます。

 

さらにz=∞ は正則点なので,zq~(z)はz=∞ 有限です。

 

それ故,q(z)=1/{(z-a)(z-b)(z-c)}{β/(z-a)+βb/(z-b)+βc/(z-c)}と書くことができます。

よって,特異点が3個のFuchs型2階方程式の一般形は,

 

"+/(z-a)+αb/(z-b)+αc/(z-c)}y'

+[1/{(z-a)(z-b)(z-c)}]{β/(z-a)+βb/(z-b)

+βc/(z-c)}y=0,α+αb+αc2

 

となります。

これの解は,一般には初等関数で表現することはできません。

 

そこで解をz=a,b,cのまわりのベキ級数として求めることを

考えます。それには前に述べたFrobeniusの方法を用います。

各特異点での決定方程式から決まる2つの根を,それぞれ

ρii'(i=a,b,c)と書きます。

 

p(z),q(z)の表式の中に現われる3つずつ,合わせて6つのパラメータα,βは結局この6つの根ρii'(i=a,b,c)を使えば全て表現できることを以下で示します。

まず,特異点z=aの周りでp(z),q(z)は,それぞれ

P(z)=(z-a)p(z)=αa+O(z-a),Q(z)=(z-a)2(z)

=βa/{(a-b)(a-c)}+O(z-a)と表わされるので,

0=αa,Q0=βa/{(a-b)(a-c)}です。

 

z=b,cについても同様の関係が得られます。

 

ここに,Pk,k(k=0,1,2,..)はP(z)=Σk=0k(z-a)k,

Q(z)=Σk=0k(z-a)kなるベキ級数展開の係数です。

すなわち,決定方程式:ρ2(P01)ρ+Q00 の

根と係数の関係によって,

 

   1-αa=ρa+ρa', βa(a-b)(a-c)ρaρa'

     1-αb=ρb+ρb', βb(b-a)(b-c)ρbρb'

     1-αc=ρc+ρc', βc(c-a)(c-b)ρcρc' 

 

が得られます。

 

ただし,ρa+ρa'+ρb+ρb'+ρc+ρc'=1 なる拘束があって,

全てが独立というわけではないです。

 次に特異点の1つが∞である場合,3つの特異点をz=a,b,∞

とします。

 

このときには微分方程式の一般形は,

 

"+/(z-a)+αb/(z-b)}y'

+[1/{(z-a)(z-b)}]{β/(z-a)+βb/(z-b)+β}=0

 

と書くことができます。

z=a,b,∞ における決定方程式の根を,それぞれρii'

(i=a,b,∞)とすると,

 

      1-αa=ρa+ρa', βa(a-b)ρaρa'

   1-αb=ρb+ρb', βb(b-a)ρbρb'

   β=ρρ',ρa+ρa'+ρb+ρb'+ρ+ρ'=1

 

です

 

 ここまでの考察から,結局丁度3つの確定特異点を持つ微分方程式

は,3つの極の位置a,b,cと3組の根ρii'(i=a,b)

与えることによって完全に1つに決まることがわかりました。

 

 それ故,その微分方程式の解全体も1つの関数族を決定しますが,こ

関数族もこれらのパラメータによっ完全に指定されることになり

そこで先に示した方程式の解全体のつくる関数族を3つの縦ベクトル:

(a,ρaa'),(b,ρbb'),(c,ρcc')を並

たものの関数としてP{,,,z},

 

あるいはcが ∞ のときは(∞,ρ')により

P{,,,z}という記号で表わされるもの,

 

で総称することにします。

 

これらの記号表示された微分方程式の解の作る関数族をRiemann関数(ペイカンスウ)(Riemann's P-function)と言います。

ここで独立変数zの1次分数関数ζ=(Az+B)/(Cz+D)(A,B,C,DはAD-BC≠0 を満たす任意の複素数)によるzからζへの変換,

 

すなわち,1次分数変換(=Möbius変換)を用いれば,異なる3つの特異点

z=a,b,cをζ平面の任意の3点へと写すことができます。

特別な変換としてζ=(b-c)(z-a)/{(b-a)(z-c)}

{(b-c)/(b-a)}{1-(a-c)/(z-c)}とすれば,

z=a,b,cをζ平面のζ= 0,1,∞ へと写せます。

これによって,"+/(z-a)+αb/(z-b)+αc/(z-c)}y'

+[1/{(z-a)(z-b)(z-c)}]{β/(z-a)+βb/(z-b)

+βc/(z-c)}=0 を独立変数がζの2階微分方程式に変換した結果は

 

2/dζ2/ζ+αb/(ζ-1)](dy/dζ)

+[y/{ζ(ζ-1)}][β/ζ+βb/(ζ-1)+β]=0

 

という形になります。

 

ここで変換後のパラメータ(α,β)は変換前の(α,β)とは異なる値を

表わしており,変換された値も,もちろん定数なので改めて標準の形

の定数の記号として表現したものです。

つまり,この変換で,結局 P{,,,z}=P{ 0,1,,ζ}

が成立することがわかったわけです。

そして上に得られたz= 0,1,∞ を確定特異点とする微分方程式,

"+/z+αb/(z-1)]y'+[y/{z(z-1)}][β/z

+βb/(z-1)+β]= 0 は以下のようにして標準形に直すこと

ができます。

すなわち,z=a,b,∞ を確定特異点とする方程式;

"+/(z-a)+αb/(z-b)}y'

+{y/{(z-a)(z-b)]/[β/(z-a)+βb/(z-b)+β]= 0

に対して,従属変数yをy(z)=(z-a)(z-b)(z)で

wに変換します。

 

これを実行した結果だけ述べると,新しい従属変数wに対する微分方程式

も同じ位置z=a,b,∞ に確定特異点を持ちますが,

 

yについての方程式に関しての決定方程式の根をρii'

(i=a,b,∞)とすると,wに対する根は,

 

ρ+λ'+λ,ρb+μb'+μ, ρ-λ-μ'-λ-μ

となります。

 

そこで,a=(a,ρaa'),b=(b,ρbb'),

(∞,ρ')に対して,

 

'(a,ρa+λa'+λ),'(b,ρb+μb'+μ),

'=(∞,ρ-λ-μ'-λ-μ)とおけば,

P{,,,z}=(z-a)(z-b){',b',',z}

となります。

そして,P{,,,z}=P{ 0,1,,ζ}と

P{,,,z}=(z-a)(z-b){',',',z}

とを合わせてP関数の変換公式と呼びます。

 

これら両方の変換公式を使えば,任意の3つの位置に確定特異点を持ち,

任意の決定方程式の根を持つ2階方程式は,全て確定特異点を

z=0,1,∞に持つガウスの微分方程式に帰着させることが

できます。

{ 0,1,,z}で,0=(0,0,1-γ),1=(1,0 ,γ-α-β),

(∞,α,β)であるような方程式が,Gaussの超幾何微分方程式

で,これはz(z-1)"+{(1+α+β)z-γ}y'+αβy=0

です。

 

そして,特異点z=0 の周りで,1-γが整数でなく,したがってlogz

の項のない場合にFrobeniusの方法で,これのベキ級数解を求めると

ρ=0 に対する解としては,y=y1=F(α,β,γ;z)

≡1+Σk=1(α)k(β)kk/[k!(γ)k]

 

(ただし(α)k≡α(α+1)(α+2)...(α+k-1))が得られます。

この級数を超幾何級数(hypergeometric series)といいます。

これの収束半径は1であり,上に求めた無限級数は|z|<1でのみ収束し,

そこで正則であるわけですが,解析接続により全z平面で定義することが

可能なので,

 

このz平面全体で定義される解析関数を記号的にF(α,β,γ;z)

と表わして超幾何関数(hypergeometric funvtion)と呼びます。

  

そしてこれと独立な z=0 における決定方程式の解ρ=1-γに対応する

解もFを用いて y=y21-γ(α-γ+1,β-γ+1,2-γ:z)と

表現されます。

かくして,確定特異点がちょうど3個のFuchs型方程式の解の全ての解析

は超幾何関数を調べることに帰着することがわかりました。

これで,稲見武雄 著「常微分方程式」(岩波書店)をすべて読み終わった

のですが,これは丁度,入院してから10日目帝京大病院から順天堂大

病院に転院する前日の早朝のことでした。

 

まあ1冊読み終わったといっても,1~5章は読む必要性を感じなかった

ので最後の6章と7章を読んだに過ぎないのですが,この本に関しては

それで十分でしょう。

  

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2007年4月29日 (日)

惑星の近日点の移動

 記事「シュヴァルツシルト時空内の測地線(惑星の公転軌道)」を書いた際,機会があればと約束していた「惑星の近日点の移動」について,さっそく書いてみようと思います。

 30年以上も前の学生時代,ゲージ場で有名なヤン-ミルスのうちのヤン(Yang)が書いた重力場についての論文の輪講をすることになり,私がそのレヴューを発表する担当役になったことがありました。

 そこで,実はそれまでは全く知らなかった「一般相対性理論」を至急勉強する必要に迫られました。

 先輩から,付け焼刃的にそれを習得するには,当時,出版されて間もなかった「アインシュタイン選集(日本語版)」を読むのが最適との指摘を受けたので,研究室の図書室から借りて,選集を読みました。

  

その際に,太陽重力による光の曲がりや,水星の近日点の移動についても読んだ,という淡い記憶があるだけで,まあ,真面目に考えるのはこれが初めてですから,初めて計算するのとあまり変わりはありません。

  

近日点とは,先に述べたNewton力学での惑星の軌道:

=ℓ/[1+ecos(φ+α)]で離心率eがゼロではなく,

0<e<1の場合の楕円軌道において,

 

θ=(一定)の軌道面内の公転軌道上で

焦点の1つである太陽に距離的に最も近くなる

点のことです

 

太陽との最短距離は,cos(φ+α)=1となるφをφ≡φ-とすれば,

r=r-≡ℓ/(1+e)で与えられますから,これらの記号を用いると,

近日点の平面極座標は(r--)です。

 

惑星が,公転軌道に沿ってある(r,φ)=(r--)からn回転して,

φ=φ-+2nπとなったときにも,cos(φ+α)=1という性質は不変

です。

 

そこで,公転軌道がr=/[1+ecos(φ+α)]を正確に満足している

なら,いくら惑星が回転しようともr-は全く動かないはずです。

 

つまり,正確に楕円軌道であれば,近日点の移動などというものは全く

存在しないのですが,現実には1年ならわずかなものですが近日点の

移動が観測されています。

 

実際,対象となる惑星の運動は太陽とそれの2つだけがあるという厳密な

体問題に従うものではなく,他に惑星や小惑星,彗星などがあって太陽

とは比べものになりませんが,それらの影響を受けるわけですから,

一般には周りの天体をも含めた3体以上の問題になります。

 

そしてまた,太陽と惑星だけという2体問題としても,相対論的効果を無視できません。

 

それらによる摂動によって正確な楕円軌道からずれるのが,現実に観測されるの惑星の近日点移動の原因であろうと思われます。

 

ちなみに,遠日点の方はr+=ℓ/(1-e),cos(φ++α)=-1,による

(r,φ)=(r++)で与えられます。

 

そして,同じ回転の1周回においては厳密な楕円軌道なら,

+-φ- )=πで一般に1周回あたりの回転角は 2πですが,

これは,一般にr-からrを経由する周回軌道では,1周回の回転角

が 2(φ+-φ-)であることを示すものである,と考えられます。

 

そして,近日点の移動というからには,それはn回転してφ=φ-+2nπ

になったときに,回転前の近日点の位置(r--)からずれた近日点

の動径r=r-の変動のことだろう,と勝手に思っていました。

 

しかし,どうも相対論の教科書によれば,観測による水星の近日点の移動

は100年間に43"である。というような角度表現になっていて私の解釈と

は異なるようです。

 

これはどういう意味なのだろうか?と一瞬思いましたが,

結局,観測の最初の近日点の位置を(r--)とし,それからn回転後

の近日点の位置を(rn-n-)とすると,

 

軌道平面内での偏角φの(mod 2π)からの変動分,つまり

n--φ-)の 2nπからのずれ:Δφn≡|(φn--φ-)-2nπ|

のことを指しているらしい,ということがわかりました。

 

 したがって,先の遠日点を含めた考察を考慮すると,

Δφn=|2(φn+-φn-)-2nπ|,あるいは

Δφn=nΔφ=2n|(φ+-φ-)-π|であると考えてよい

と思います。

 

 ところで,前の4/27の記事「シュヴァルツシルト時空内の測地線(惑星の公転軌道)」によると,

 

 Schwarzschild時空での2体問題で惑星軌道を与える方程式は,

 dr/dφ=[(22)r4/h22GM3/2-r22GMr/c2]1/2

です。

 

 これを解くと,∫dr/[(22)/h2)4(2GM/2)r3-r2

(2GM/c2)r]1/2=φ+α となります。

 

 そこで,φ+-φ-=∫r-r+dr/[(22)/h2)4(2GM/2)r3

-r2(2GM/c2)]1/2と書くことができますから,r=r±となるのは,

明らかにdr/dφ=[(22)r4/h22GM3/2-r22GMr/c2]1/2=0 が成立するときです。

 

 そして,2GMr/c2=0 というNewton力学近似では,e<1 の楕円軌道の

場合:e≡{(22)h2+G22}1/2/(GM)より2<c2の場合は,

 

 このr±はrの2次方程式:

[-(22)/h2]r2(2GM/2)r-10

の2根です。

 

 したがって,2GMr/c2=0 なら確かに,

 

 r-=[(GM)/h2{22(22)h2}1/2/h2]/[(22)/h2]

 =ℓ/(1+e),

 

+=[(GM)/h2{22(22)h2}1/2/h2]/[(22)/h2]

 =ℓ/(1-e)

 

となることが再確認できます。

 

 また,ちょっと積分に技巧が必要ですが,これも先に軌道を表わす式から

求めた値により,

 

φ+-φ-=∫-+dr{(r+-)1/2/r}/{-(r-r+)(r-r-)}1/2

 =--+ds/{-(s+-s)(s--s)}1/2

 =∫0πdu=π が成立することも再確認されます。

 

 ここで,積分を実行するためにr=1/s,s-(s++s-)/2

={(s+-s-)/2}cosuなる変数の置換を行ないました。

 

 しかし,2GMr/c2=0 という近似をしないなら,

 φ+-φ-=∫r-r+dr/[{(22)/h2}4(2GM/2)r3

 -r2(2GM/c2)]1/2  です。

 

 r±はdr/dφ=0 によるrの3次方程式:

 [(22)/h2]r3(2GM/2)r2-r+(2GM/c2)0 の3根

 のうちで正の実数値を取るもののうちの最大値と最小値であると

 考えられます。

 

φ+-φ-=∫-+dr/[{(22)/h2}4(2GM/2)r3

-r2(2GM/c2)]1/2 ~∫r-r+(dr/r)/[{(22)/h2)2

(2GM/2)r-1]1/2-∫r-r+dr(GM/c2)/[{(22)/h2)2

(2GM/2)r-1]1/2

 

です。

 

±をr+/(1+e),r-=ℓ/(1+e)で近似すれば,

φ+-φ-=∫-+dr[{(r+-)1/2/r}/{-(r-r+)(r-r-)}1/2

(GM/c2)(r+-)1/2]

-+dr{(r+-)1/2/r}/{-(r-r+)(r-r-)}1/2{(r-r+)(r-r-)}-1/2

=π-(GM/c2)-+dr/{-(r-r+)(r-r-)}-3/2   

 

となります。

 

したがって,Δφ/2=(GM/c2)-+dr/{-(r-r+)(r-r-)}-3/2

(GM/c2)-+dr/{-(r-r+)(r-r-)}-3/2

GM/{c2(r+-r-)}0πdu/sin2

となります。

 

この右辺の積分は無限大になるので,ここで計算作業は一旦挫折してし

まいました。恐らく考慮した近似に無理があるか,どこかで計算間違い

をしたのでしょう。

 

しかし,ここで休んだ後に,ちょっと方針を変えて再度,計算にトライして

みました。

 

{(22)/h2}3(2GM/2)r2-r(2GM/c2)=0 の3つの

根を+,r-,r3とおいて,

 

これを,{(2-B2)/h2}[-32GM2/(2-B2)+h2/(2-B2)

2GM2/{c2(2-B2)}]

=[(1-e2)/ℓ2][-(r-+)(r--)(r-3)]

と書くことにします。

 

このとき,この3次方程式の根と係数の関係のうちで,特に微小摂動項の

効果が顕著に現われると思われる3根の積に対する

+-3=-2GM2/{c2(2-B2)}

なる関係式に着目します。

 

一方,

 

φ+-φ-[ℓ/(1-e2)1/2]-+dr/ [-r(r-+)(r--)

(r-3)]1/2

[ℓ/(1-e2)1/2]-+(dr/r)/[-(r-+)(r--)]1/2

[1+(1/2)r3/r]=π+

[(3/2)/(1-e2)1/2]-+(dr/r2)/[-(r-+)(r--)]1/2

=π+[2r3(r+-)1/2/(r+-)2]0πdu/(1+ecosu)2

 

となります。

 

これから,理論に基づいた近似計算値として,

Δφ/2=[2r3(r+-)1/2/(r+-)2][π/(1-e2)3/2]

を得ます。

 

最後の定積分については数学公式集を見て,その三角関数を含む定積分に

関する部分から見つけた公式:

0πdx/(a+bcosx)2=πa/(a2-b2)3/2に頼りました。 

 

そして,先に着目した関係式r+-3=-2GM2/{c2(2-B2)}より

3=-2GM2/{r+-2(2-B2)}を代入すると,

Δφ=2πGM(1-e2)/(ℓ2)が得られます。

 

「理科年表」etc.によると惑星が水星の場合には,e=0.2056,

a=5.79×1010mですが,ℓ=a(1-e2)と表わされますから上の式は

Δφ=2πGM/(a2)です。

 

そして,万有引力定数はG=6.672×10-113/(kg・s2),太陽の質量は

M=1.9891×1030 kg,ということです。

 

これらの値と,πラジアン(rad)=180度を秒(≡(1/3600)度)という単位で

表現したものπ=180×3600秒を代入し,水星の平均周期が0.2409年とい

ことから,これが100年間に太陽の周りをn=415.1周回することを考慮

すると,

 

100年間(n=100)での水星の近日点の移動の計算値として, 

Δφ=43.1秒という理論値が得られました。

 

このことから,他の惑星の効果を無視して相対論的効果のみを考慮した

だけで,観測値とのとても良い一致が得られたことになります。

 

ということは,他の天体の影響は,相対論的効果と比較して,とても小さいのだろう,などと考えていました。

  

PS:(2007年12月18日追記) しかし水星の近日点の移動に関する最後の部分の見解については,最近読んだ雑誌記事によって,私自身が大きな誤解をしていたことに気付いたので,ここでお詫びして訂正します。

 

すなわち,19世紀に海王星の発見に貢献したルヴェリエ(Urbain Leverrier)は,他の惑星に比べて格段に大きい水星の近日点の移動に注目して,その問題を解決すべく仮説を立て,それは他の惑星の影響であろう,と考えました。

 

そこで,現在はNewtonの万有引力の法則に基づいて解析的に解くことは不可能であることがわかっている中心力の3体以上の多体問題ですが,当時も彼は近似計算を行いました。

 

しかし,既存の惑星の影響だけからは,どうしても観測値とのくい違いを説明できないので,彼は未発見の新たな惑星の存在を予測しましたが,結局,そうした惑星は発見できなかった,ということです。

 

観測によると,水星の近日点の移動は100年間に,574秒らしいです。

 

Leverrierの計算では,このうち38.3秒だけが説明できない,というものでしたが,近代の精密な計算によると,38.3秒ではなく,約43秒が既存の他の惑星からNewton力学によっては説明できない値として残されていた,

 

というのが真相でした。

 

この計算値とのくい違いを解決した,と見られるのが上述の一般相対性理論に基づく計算値です。

 

このことから,他の惑星の効果を無視して相対論的効果のみを考慮しただけで観測値とのとても良い一致が得られたことになります。

 

ということは,「他の天体の影響は,相対論的効果と比較してとても小さいのだろうなどと考えました。」と述べたのは,

 

こうした過去の歴史に無知な私の全くの見当違いの発言であるということがわかりましたので,ここで撤回したいと思います。

  

公の知見を述べることを目指している私のブログで,誤った情報を流して申し訳ありませんでした。

 

参考文献:大槻義彦,室谷義昭 監修「新数学公式集I(初等関数)」(丸善),理科年表(1997年版) (丸善)

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2007年4月28日 (土)

1週間ぶりに病院で診察を受けました。

 昨日は,病院側がどうしても4月中に決算しておきたいというので,4月最後の平日のため,1日がかりで板橋の帝京大病院と御茶ノ水の順天堂大病院へ行って,要求された入院費を全部支払ってきました。

 予想通り4月から法律が変わったらしく,4月に19日間入院していた順天堂大病院では4月分の差額ベッド代や食費以外の治療費に相当するものについては,「(診療費に保険の3割を掛ける前の実質的な額から12万円を引いたもの)の1パーセント+(ある定額)」を超える高額医療費については要求されず,27万円足らずだったので,なんとか支払うことができました。

 3月一杯と4月の3日間,あわせて11日間入院していた帝京大病院では,手術はしなかったので,順天堂大病院で高額医療費控除をされる前の要求額(156万円)と比較して額が一桁違いました(17万円余りでした)が,とりあえず,全額払って,あとからいくらか返還されるということでした。

 入院している間に,支払いが遅れた税金や保険料なども,昨日支払いましたが,ゴールデンウィーク前で銀行や郵便局には長い行列ができていて,自分の金を下ろすだけでも,かなり時間がかかってしまって,結局全部終えるのに夕方までかかり,かなり疲れました。

 やはり,まだ退院して6日目だったので,座れないだけでも身体が辛く,座って休むためには喫茶店などに入るしかありません。

 お金のことなので自分でやるしかしょうがないし,金のことを任せられる家族がいない一人暮らしではいろいろと大変だ。ということを痛感した次第です。

 そして,今日は早朝からブログを書いて,それが終わった後に順天堂大病院で手術してもらった外科の医者から帝京大病院の内科の担当医に当てた手紙を持って,久しぶりに帝京大病院の外来診察を受けに行きました。

 それというのも帝京大病院の内科の主治医が4月から配置換えで臨床にいなくなり,土曜日の外来診察のみが今まで通りであると聞いていたからです。

 ところが,予約のない患者の受付は土曜日は朝11時半までということで5分程度遅れてしまいました。

 しかし,何度も来るというのもしんどいし,今日を逃すとまた来週の土曜日になるということも有り,なんとか内科の受付に頼んで,診察してもらえることになりました。

 実は,主治医も私のその後の経過を知りたいと思っていたらしく,私と会ってしかも手紙に書いてあった医者にしかわらない手術内容を見て,私の退院の早いのに驚いたということでした。

 どうも私が思っていたより大変むずかしい手術だったようで,5~6時間で終わるはずの手術が 10 時間以上もかかったらしいのです。

 私は術後に足や手が痛くないので,手術前には必要なら使うと言っていたそれらの動脈血管を使用しなかったらしいため,予想より軽かったのかと勘違いしていたのですが,どうも胸の動脈だけでなく胃の血管など内臓の血管を使用したということでした。

 道理で消化器など心臓でも肺でもないところが不調で不定愁訴があるなと感じていたのですが,そういうことだったのですね。

 しかし,とにかく心臓の状態はきわめてよいらしく,今身体が辛いのは入院が長いことや手術による体力消耗その他もろもろのためで,傷口さえ治れば自然に元気になるらしいです。

 ということで検査は何もしなかったし診察といっても近況報告をして,お話をしただけでした。

 次は5月2日に順天堂大病院で,執刀された外科の天野先生の外来診察を受ける予定になっています。

 今は外食あるいは,食料,飲料の調達などでやむを得ない外出でさえ長時間になると身体が辛いので,外出も少し控えるようにしていますが,昨日はついでに神保町の本屋で立ち読み,今日は秋葉原でパソコンなどのウィンドウショッピングと退院したらやりたいと思っていたことを,無理にやってみたのですが,帰るとひどく疲れました。

 もう少しおとなしくしていようと思いますが,家事を含む日常茶飯事だけは省略することはできませんね。

 まあ,とりあえず明日は天皇賞だし,私は自分のJRAの口座に,わずかながら金が残っているし,ネットのホームページから自由に投票できるわけですから,少しだけ遊んでみようと思います。

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2階線形常微分方程式と確定特異点

線形常微分方程式に関連する話題の続きです。

 

まず,複素数zを独立変数とする2階線形斉次常微分方程式を

y"+(z)y'+q(z)y=0 と書きます。

 

ただし,p(z),q(z)はzの有理関数であると仮定します。

 

※(注):有理関数とはzの多項式を分子,分母とするような,zの多項式の四

則演算のみから得られる関数のことです。

 

これに対して,zの有理関数のルートやベキ根をとるような関数はzの

無理関数といわれます。(注終わり)※

 

そして,p(z),q(z)のいずれか,または両方がz=αに1つの極を持つとします。

 

このとき,先に述べた定理のn=2のケースに相当して,次の定理が

成立します。

 

"2階線形斉次常微分方程式:y"+(z)y'+q(z)y=0 で係数

p(z),q(z)は領域D={z∈|0<|z-α|<r}で正則とする。

 

このとき,この微分方程式がz=αを確定特異点とする異なる2つの

独立な解を持つための必要十分条件は,p(z)とq(z)がz=αに

それぞれ高々1位と高々2位の極を持つことである。

 

すなわち,p(z)≡P(z)/(z-α),q(z)≡Q(z)/(z-α)2とおけば

(z),Q(z)がz=αで正則なることが必要十分条件である。

 

つまり,上記の必要十分条件はP(z),Q(z)が|z-α|<rで正則

でΣn=0n(z-α)nとベキ級数展開可能なことである。"

  

という定理ですね。

 

そして,y"+(z)y'+q(z)y=0 の解の解析性を完全に理解するためには,p(z),q(z)が無限遠点z=∞を極とする場合,つまり解がz=∞ に特異点を取る場合も考慮しなければなりません。

   

すなわち,対象とする領域は全複素z平面だけではなく複素関数論で通常考察される全z平面であるところの∪{∞}とします。

 

ここで,y"+(z)y'+q(z)y=0 においてz=∞ が正則点である,

または特異点であるとは,この方程式をz≡1/uによってuの2階方程式

に変換したとき,その方程式において,それぞれu=0 が正則点である,

または特異点であることである。と定義します。

 

まあ,これは全く妥当な(well-definedな)定義です。

 

z≡1/uとおけばdz=-du/u2より,d/dz=-u2(d/du)

です。

 

それ故,d2/dz2=u2(d/du){u2(d/du)}

=2u3(d/du)+u4(d2/du2) となります。

 

結局,"+(z)y'+q(z)y=0 は,

(d2/du2)+[2/u-(1/u2)p(1/u)](dy/du)+(1/u4)q(1/u)

=0  と変換されます。

 

したがって,無限遠点z=∞ に対しては,上述の定理は,

  

"z=∞ が"+(z)y'+q(z)y=0 の正則点であるための条件は

z{2-zp(z)}とz4(z)がz=∞ で正則であることである。

 

特に前者はlimz→∞zp(z)=2 が必要条件なることを意味する。

 

そしてz=∞が確定特異点であるための必要十分条件はzp(z)とz2(z)がz=∞ で正則(有限)であることである。"

  

となります。

 

例えば,"-{2z/(1-z)}'+{2/(1-z2)}y=0 ではz=∞ は確定特異点ですが,Besselの微分方程式z2"-z'+(z2-ν2)y=0 ではz=0 は確定特異点ですが,z=∞ は不確定特異点です。

 

次に,"+(z)y'+q(z)y=0 の確定特異点z=αの近傍における解は,y(z)=(z-α){f(z)+g(z)log(z-α)}(f(z),g(z)はz=αで正則な関数)という一般式で与えられますから,

 

Frobenius(フロベニウス)の方法に基づき,確定特異点z=αの近傍においてf(z),g(z)が(z-α)の正ベキの級数に展開できることを用いて微分方程式を具体的に解くことを試みます。

 

一般性を失うことなく,特異点はz=0 であるとします。

 

先の定理によって,zp(z)とz2q(z)はz=0 で正則であるはずです

から,P(z)≡zp(z),Q(z)≡z2q(z)として,これらをzのベキ

数で展開したものを,P(z)≡Σk=0kk,Q(z)≡Σk=0kk

表現しておきます。

 

また,元の方程式をL(y)≡z2y"+zP(z)'+(z)y=0 と書き直しておきます。

 

このとき,L(zρ)=ρ(ρ-1)zρ+ρP(z)ρ+Q(z)ρ

=φ(z,ρ)ρ,ただしφ(z,ρ)≡ρ(ρ-1)+ρP(z)+Q(z)

であり,これはφ(z,ρ)=φ0(ρ)+φ1(ρ)z+φ2(ρ)z2+..と

展開できるはずです。

 

未定係数法が適用できるとして,両辺のzの各ベキの係数を比較することにより,φ0(ρ)=ρ(ρ-1)+ρP0+Q0k(ρ)=ρPk+Qk

(k=1,2,...)なる等式群が得られます。

 

まず,y"+(z)y'+q(z)y=0 の解でlogzに関わる項が現われ

ない場合を想定してy(z)≡zρΣk=0kkと置きます。

 

ここでρは(z)のz=0 における指数と呼ばれます。

 

(z)≡zρΣk=0kkという形式解をL(y)≡z2y"+zP(z)'

(z)y=0 に代入すると,

  

(y)=Σk=0k(zρ+k)

ρΣk=0k0(ρ+k)+φ1(ρ+k)z+φ2(ρ+k)z2+..]k

0 となります。

 

したがって,再び未定係数法を適用してa0φ0(ρ)=0,

1φ0(ρ+1)+a0φ1(ρ)=0...+akφ0(ρ+k)+a0φ1(ρ+k-1)+...+a0φk(ρ)=0 が得られます。

 

まず,a0φ0(ρ)=0 においてa0=任意の定数≠0 なのでφ0(ρ)

ρ(ρ-1)+ρP0+Q00 が成立します。

 

これはρに関する2次方程式であり,ρの決定方程式と呼ばれます。

 

そして,その2根をρ=ρ12とするとき,ρ1-ρ2が整数であるかどうかによって方程式の解き方が異なります。

 

ρ1-ρ2(整数)のとき

  

 ρ=ρi (i=1,2)とします。

 

 (y)=0 のベキzρ+kについての未定係数法による第2式:1φ0i+1)+a0φ1i)=0 から,1=-a0φ1i)/φ0i+1) となり,a0=任意の定数≠0 を与えることによりa1も決まります。

 

 これはρ1-ρ2≠(整数)なので,φ0i)=0 なら確実にφ0i+1)≠0 がいえるからです。

 

 同様に,第3,4,..式から漸化式により順にa2,a3,..が決まります。

 

今の場合ρ1-ρ2(整数)なので,akφ0i+k)+ak-1φ1i+k-1)+..+a0φki)=0 (k=1,2,..)においてakの係数φ0i+k)が決して 0 にはならないので,a0=任意の定数≠0 を与えれば原理的には全てのakが決まります。

 

そこで,ρ=ρ12 のそれぞれに対してakの列:{a(1)k},{a(2)k}が得ら

れるので,これに対応して,y1ρ1Σk=0(1)kk,

2ρ2Σk=0(2)kk が得られます。

 

これら2つの解は明らかに互いに1次独立なので,

y"+(z)y'+q(z)y=0 の1組の基本解です。

 

ρ1-ρ2(整数)のとき

 

  決定方程式の根をρ=ρ12,ただし,ρ2=ρ1-m (mは 0 ,または

 正の整数)とします。

 

 ρ1についてはρ1≧ρ2ですから,k=1,2,..に対してφ01+k)=0

 となることはないので,

 上の①の方法に従ってy1ρ1Σk=0(1)k kが求まります。

 

 一方ρ=ρ2に対しては,φ02+m)=0 となるので,

 akφ02+k)+ak-1φ12+k-1)+..+a0φk2)=0 において,

 k=mとしたときにamが決まりません。

 

 それ故,k≧mの全てのkに対しakを求めることができません。

 

 そこで,a0φ0(ρ)=0 ,a1φ0(ρ+1)+a0φ1(ρ)=0 ,..,

 akφ0(ρ+k)+ak-1φ1(ρ+k-1)+..+a0φk(ρ)=0 において,

 ρ=ρ2 としないで,ρはa0φ0(ρ)≠0 の未知パラメータのまま残して

 おきます。

 

 そして,元々a0はゼロでなければ何でもいいわけですから,a0をρの関数としてa0=a0(ρ)≡φ0(ρ+m)としておきます。

 

 a0φ0(ρ)≠0 ではありますが,とりあえずa0=a0(ρ)≡φ0(ρ+m)は与えられていますから,第2式以下,a1φ0(ρ+1)+a0φ1(ρ)=0,...,akφ0(ρ+k)+ak-1φ1(ρ+k-1)+...+a0φk(ρ)=0 は普通に成立するとします。

 

 これから,a1(ρ)=-a0(ρ)φ1(ρ)/φ0i+1),...以下,ak(ρ)を全て決めることができて,これらによるベキ級数:u(z,ρ)をu(z,ρ)≡zρΣk=0k(ρ)zkで定義します。

 これを微分方程式の左辺に代入することによって,L[u(z,ρ)]=a0(ρ)φ0(ρ)zρ=φ0(ρ+m)φ0(ρ)zρが成立します。

 

 この等式で両辺をρで偏微分し,その後でρ=ρ1-m=ρ2と置くことにします。

 φ0i)=0 (i=1,2)なので,L[∂u(z,ρ)/∂ρ|ρ=ρ2]=[φ0'(ρ102)+φ010'(ρ2)+φ0102)logz]=0 が成立します。すなわちy=∂u(z,ρ)/∂ρ|ρ=ρ2 はL(y)≡z2y"+zP(z)'+(z)y=0 の解であることがわかりました。

 

 (z,ρ)=zρΣk=0k(ρ)zkなので,y=∂u(z,ρ)/∂ρ|ρ=ρ2=zρ2Σk=0[ak(ρ)'|ρ=ρ2+ak2)logz]zkですが,a02)=φ01)=0 です。

 

 明らかにak2)∝a02)ですから,ak2)=0 (k=0,1,2,..,m-1)であり,そこで[ ]の中の第2項に関わる項はzρ2Σk=mk2)zklogz=zρ1Σk=0+k2)zklogzとなります。

 ところで,実はa02)=φ01)=0,ak2)=0 (k=0,1,2,..m-1)を用いた後で,am+k2)=am+k1-m) (k=0,1,2,..,m-1)を求める漸化式はak1)を求める式と完全に一致します。

 

 そこで,am+k2)=cak1)となり,結局第2項はzρ2Σk=mk2)zklogz=zρ1Σk=0+k2)zklogz=cy1(z)logzとなることがわかりました。

 以上の結果をまとめると,結局ρ=ρ12=ρ11-m(mは0または正の整数の場合には,y"+(z)y'+q(z)y=0 の2つの独立な解はy1(z)=ρ1Σk=01k k,y2(z)=ρ2Σk=0k(ρ)'|ρ=ρ2kcy1(z)logzで与えられることが示されました。

 以上が決定方程式から指数ρを定めてzρとzρlogzの係数であるzの正則関数をzの正のベキ級数に展開してその係数を未定係数法によって決定するFrobeniusの方法です。

今日はここまでとします。これらについては帝京大病院で入院から1週間くらいまでに勉強して得られた成果の一部です。

参考文献:稲見武雄 著「常微分方程式」(岩波書店)

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2007年4月27日 (金)

シュヴァルツシルト時空内の測地線(惑星の公転軌道)

 Newton力学では,太陽と1つの惑星だけの2体問題を想定して惑星の近似的な公転軌道を求めるという昔から有名な問題があります。

 

 すなわち,

 

 "太陽は1点に固定されて対象とする惑星よりもはるかに大きい質量を持つ不動点であり,一方惑星は質点であるという近似の下で,太陽と惑星の間には万有引力と呼ばれる重力のみが働く"

 

 という想定でNewtonの運動方程式の解としての公転軌道を求める問題

 ですね。

 

 この解は,太陽に近いという通常の初期条件の下では,鶴わゆるKepler(ケプラー)の法則に従う楕円軌道になりますが,こうした計算問題は,通常は大学初年級での力学の演習で学ぶと思われます。

 

 しかし,最近ニフティ(@nifty)から移動して新装開店したfolomy「物理フォーラム」の「相対論の部屋」で次のような質問を受けました。

 

 "ケプラー運動を一般相対論で計算したいのですが,どうすればいいの

でしょうか?"という内容の質問でした。

 

 私は「これは大げさだな。」とは思いましたが,

 

"取り合えず,太陽中心を中心と考えて,球対称で静的な解であるSchwarzlzschild解(シュヴァルツシルト解.またはシュワルツシルト解)

を採用して,その計量で,

   

 対象がSchwarzschild半径より外側の点である,という初期条件の下で,

質点の測地線を計算することによって軌道を求めたらどうか?"

  

 と答えたのですが,その後,まったく音信不通でした。

 

 そこで,Christoffelの記号の計算など,かなり面倒だとは思いましたが,

それは普通,重力場のSchwarzschild解を求める際,得られるものなので,

 

 こうしたChristoffelの記号などについては,相対論の参考書をフルに参照しながら,微分方程式を導き,これを自分で解いてみよう,と思います。

 

 そもそも重力が弱いとき,Newtonの万有引力の法則に近似的に一致するSchwarzschild時空の計量(metric)を実際に書き下すと,

 

 ds2=gμνdxμdxν

 (1-2m/r)c2dt2-dr2/(1-2m/r)-r2(dθ2sin2θdφ2)

  

 となります。

 

 ここで,μ=(x0,x1,x2,x3)≡(ct,r,θ,φ)ですが,これは極座標で表わした時空の座標です。

 

 また,2m=2GM/c2はSchwarzschild半径を示しています。

 

 Gは万有引力定数でcは光速,Mは今の場合は太陽の質量です。

 

 そして,重力場の中での自由粒子の運動を表わす測地線の方程式は,λを任意パラメータとして,

  

 d2μ/dλ2+Γρνμ(dxρ/dλ)(dxν/dλ)=0

 

で与えられます。

 

 ただし,ΓρνμはChristoffelの記号です。

  

 これは,Γρνμ(1/2)gμσ(gσρ,ν+gσν,ρ-gρν,σ) です。

 ここで,ρν≡∂gρν/∂xσ etc.です。

 

 光の運動が対象の場合はds20 ですが,質量を持つ質点の運動の場合

τを固有時としてds2=c2dτ2と書けます。

 

 そこで,今の惑星を質点近似する場合なら,λ≡τと置いて測地線の方程式をd2μ/dτ2+Γρνμ(dxρ/dτ)(dxν/dτ)=0 と書いてよいことになります。

 

 そして,計量によりc2=gμν(dxμ/dτ)(dxν/dτ)という拘束があります。

 

 Schwarzschild時空ではゼロでない計量成分は対角成分だけであり,

それはg00(1-2m/r),g11=-1/(1-2m/r),g22=-r2,

33=-r2sin2θです。

 

 また,ゼロでないChristoffelの記号は,

 

 Γ010Γ100(m/r2)/(1-2m/r)=m/[r(r-2m)],

 Γ001={m/r2)(1-2m/r)=m(r-2m)/r3,

 Γ111=(-m/r2)/(1-2m/r)=-m/[r(r-2m)],

 

  Γ221=-r(1-2m/r)=-(r-2m),Γ331=-rsin2θ(1-2m/r)

 =-(r-2m)sin2θ,Γ122=Γ2121/r,Γ332=-sinθcosθ,

 Γ133=Γ3131/r,Γ233=Γ323=cosθ/sinθ

 

 だけになります。

 

 故に,測地線の方程式は,

 

(1)d2/dτ2[2/{r(r-2m)}](dt/dτ)(dr/dτ)=0

 

(2)d2/dτ2[c2(r-2m)/r3](dt/dτ)2

  [m/{r(r-2m)}](dr/dτ)2(r-2m)(dθ/dτ)2

  (r-2m)sin2θ(dφ/dτ)20

 

(3)d2θ/dτ2(2/r)(dr/dτ)(dθ/dτ)

  sinθcosθ(dr/dτ)(dφ/dτ)=0

 

(4)d2φ/dτ2(2/r)(dr/dτ)(dφ/dτ)

 +(2cosθ/sinθ)(dθ/dτ)(dφ/dτ)=0

 

となります。

 

 また,拘束条件は, 

 c2[c2(r-2m)/r](dt/dτ)2[r/(r-2m)](dr/dτ)2

   -r2(dθ/dτ)2sin2θ(dφ/dτ)2 です。

 

 これは単に計量の式:

 

 ds2=c2dτ2(1-2m/r)c2dt2-dr2/(1-2m/r)

   -r2(dθ2sin2θdφ2)

 

 を書き直しただけなので,方程式を解く際には積分定数

 を決めるのに役立つだけです。

 

 まず,(3)のd2θ/dτ2(2/r)(dr/dτ)(dθ/dτ)

 -sinθcosθ(dr/dτ)(dφ/dτ)=0 は,あるτにおいて,

 θ=π/2,dθ/dτ=0 という初期条件で解くと,d2θ/dτ20

 となります。

  

 結局,解は常にdθ/dτ=0 (一定)であり,この座標系選択では

 θ=π/2(一定)となります。

 

 すなわち,このような初期条件では"質点=惑星"の運動は常に,

 赤道面;θ=π/2という特別な平面内に束縛された運動になります。

 

そして,θ=π/2 (一定)を,

(4)d2φ/dτ2(2/r)(dr/dτ)(dφ/dτ)

+(2cosθ/sinθ)(dθ/dτ)(dφ/dτ)=0

に代入すると,

 

2φ/dτ2(2/r)(dr/dτ)(dφ/dτ)=0 ,

 

つまり[d(r2dφ/dτ)/dτ]/r20

が得られます。

 

すなわち,d(r2dφ/dτ)/dτ=0 なので,r2dφ/dτ=h(一定)

となります。

 

これは「角運動量の保存則」,または「面積速度一定の法則」

を示しています。後者は,Keplerの法則の1つです。

 

一方,(1)d2/dτ2[2/{r(r-2m)}](dt/dτ)(dr/dτ)=0 に(dt/dτ)を掛けると,

 

(1/2)d(dt/dτ)2/dτ+[2/{r(r-2m)}](dt/dτ)2

(dr/dτ)=0

 

となります。

 

そこで,A≡(dt/dτ)2とおけば,

dA/dτ=-[4mA/{r(r-2m)}](dr/dτ) です。

 

dA/A=[4/{r(r-2m)}]dr=2[dr/r-dr/(r-2m)]

より,lnA=2ln[r/(r-2m)]+const.となります。

 

つまり,(B/c)2を適当な積分定数として,

(dt/dτ)2=[B22/{c2(r-2m)2}]=(B2/2)/(1-2m/r)2

 

あるいは,dt/dτ=±[Br/{c(r-2m)}]=±(B/c)/(1-2m/r)

を得ます。

 

最後に,これらを全て,

(2)d2/dτ2[c2(r-2m)/r3](dt/dτ)2[m/{r(r-2m)}](dr/dτ)2(r-2m)(dθ/dτ)2(r-2m)sin2θ(dφ/dτ)20 に代入すると,

 

2/dτ2mB2/{r(r-2m)}-[/{r(r-2m)}](dr/dτ)2

-h2(r-2m)/r40 が得られます。

 

さらに,この全体に[2/(1-2m/r)](dr/dτ)を掛け,

C≡(dr/dτ)2/(1-2m/r)]とおけば,

 

(d/dτ)[C-B2/(1-2m/r)+h2/r2]=0 です。

 

したがって,C-2/(1-2m/r)+h2/r2≡-ε(一定),

すなわち,[(dr/dτ)22]/(1-2m/r)+h2/r2=-ε(一定)

となります。

 

そこで,(dr/dτ)2/(1-2m/r)=-ε-h2/r22/(1-2m/r)

により,dr/dτ=±[{(-(ε+h2/r2)(1-2m/r)+2}1/2

=±[2-ε+2mε/r-h2/r22m2/r3]1/2

を得ます。

 

定数εを決定するために,計量の拘束式:ds2=c2dτ2

(1-2m/r)c2dt2-dr2/(1-2m/r)-r2(dθ2sin2θdφ2)に,θ=π/2=一定とdθ=0 ,そしてdφ/dτ=h2/r2,(dt/dτ)2

=B2/[c2(1-2m/r)2]を代入します。

 

すると,2[-(dr/dτ)2+B2]/(1-2m/r)-h2/r2となるので,

結局ε=2であることがわかります。

 

したがって,2m=2GM/2を使用するとdr/dτ=±[222GM/r-2/r2+2GM2/(c23)]1/2が得られます。

 

あるいは,運動エネルギーを表わす式と考え,

(dr/dτ)2/2=(22)/2+GM/r-h2/(2r2)+GM2/(c23)

と書くこともできます。

 

ここで,軌道を求めることを優先するのであれば,dr/dτの表式の両辺

をdφ/dτ=h/r2で割ることにより,

 

dr/dφ=±[(22)r4/h22GM3/2-r22GMr/c2]1/2

が得られるので,これを積分すると,

 

±∫dr/[(22)/h2)4(2GM/2)r3-r2(2GM/c2)]1/2 =φ+αとなります。

 

便宜上,r≡1/sと変数変換すればdr=-ds/s2であり,

±∫ds/[(22)/h2) +(2GM/2)s-2(2GM/c2)s3]1/2

=-(φ+α)となります。

 

ここで,(2GM/c2)s3,あるいは,dr/dτ

=±[222GM/r-2/r22GM2/(c23)]1/2における

2GM2/(c23)は分母のc2のせいで,rが十分大きいときには

他の項と比較してごく小さいという意味で無視します。

 

そうすれば,±∫ds/[(22)/h2+(2GM/2)s-2]1/2

=-(φ+α)となるため,±∫ds/[(2222+G22)/h4

-(s―GM/2)2]1/2=-(φ+α)と近似されます。

 

さらに,s-GM/2[(2222+G22)1/2/h2]cosuとおくことにより,±∫du=φ+αときわめて簡単になります。

 

そこで例えば左辺で+符号を取って惑星が正の向き(反時計周り)に回転すると仮定すれば,u=φ+α となります。

 

s-GM/21/r-GM/2

[(2222+G22)1/2/h2]cos(φ+α),つまり

r=(2/GM)/[1+{(22)2+G22}1/2/(GM)]cos(φ+α)]

が得られます。

 

ここで,ℓ≡2/(GM),e≡{(22)2+G22}1/2/(GM)

≡{1-ℓ(c22)/(GM)}1/2とおけば,この軌道はNewton力学で

得られる円錐曲線の式:r=ℓ/[1+ecos(φ+α)]と完全に一致します。

  

この曲線は離心率eの値によって楕円,放物線,双曲線になりますが,

一般に太陽系の惑星軌道は22であって,離心率eが 0≦e<1を

満たす場合に相当します。 

 

そこで,この2体近似では惑星の軌道は一方の焦点に太陽が位置する

楕円を表わします。

 

特にeがゼロのときは2つの焦点が一致して完全な円を表わしますが,

実際の太陽系の惑星の軌道の離心率eはかなりゼロに近く軌道が円に

近いものが多いようです。

 

これらの結果はKeplerの法則を示しているので,

dr/dτ=[222GM/r-h2/r22GM2/(c23)]1/2

において2GM2/(c23)を無視する近似は,丁度Newton理論に対応

している,と考えることができます。

 

Newton力学は相対論的力学での計算結果において光速cが無限大

極限を取れば得られると予想されるので,2GM2/(c23)→ 0

という近似がこれに対応するのでしょうね。

 

また,時間についてのNewton近似はdτ→ dtなので,これは

(dt/dτ)2(B2/2)/(1-2m/r)2(B2/2)/{1-2GM/(c2r)}2 → 1 に相当します。

 

それ故,c2→∞ と同時にB2→∞ となるべきことが示唆されます。そして,この極限で(B2-c2)は有限に留まると予想されます。

 

そこでさらに進めて,恐らく初等的に積分することは不可能と思われま

すが,dr/dτの中に項 2GM2/(c23)を含む正しい式を考え,

 

この項がごく小さいことを考慮して何らかの摂動展開により高次の

近似計算を行なえば,惑星の近日点の移動なども計算できるだろう

と予測されます。

 

しかし,今日のところは相対論での球対称なSchwarzschild計量の時空の

測地線を求めるという見地から,Newton理論で得られるKeplerの法則に

従う惑星の楕円軌道を再現できたことに満足して,

ひとまず終わりにします。

 

精確な相対論に基づく高次の計算については,機会があれば,

また別の日にやってみようと思います。

    

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2007年4月26日 (木)

n階線形常微分方程式と確定特異点(補遺)

前記事においてちょっと不明確な点があったので補足しておきます。

 

"n階線形常微分方程式(n)+p1(z)y(n-1)+..pn-1(z)'+pn(z)y=0 における係数p1(z),p2(z),...p(z)が領域D:0<|z|<rで正則であるとする。

 

ここでp1(z)≡z-11(z),p2(z)≡z-22(z),..,p(z)≡z-nn(z)とおく。

 

このとき,P1(z),P2(z),..,P(z)がz=0 で全て正則であるということ(z → 0 の極限でzjj(z)が有界であるということ)が微分方程式:

(n)+p1(z)y(n-1)+..pn-1(z)'+pn(z)y=0 がz=0 を確定

特異点とするn個の互いに1次独立な解を持つための必要十分条件

である。"

 

という定理の省略した証明をしています。

   

そして,その中で必要条件であることを示す過程において,

 

"z=0 が確定特異点であるとすると,その解はφ(z)

≡zρ(m)(z,logz)という形をしていて,logzのm次の多項式:

(m)(z,logz)の係数は全て,z=0 でたかだか極を持ちますが,

これらの係数はz=0 で1価正則であるとしてかまいません。"

 

と書きました。

 

これは何故か,というと,φ(z)≡zρ(m)(z,logz)において,logzの

m次の多項式P(m)(z,logz)の係数のz=0 における極の位数は全て

有限なので,その最大値がsのとき,zs(m)(z,logz)を改めて

(m)(z,logz)と書き直せば,これの全ての係数は確かにz=0 で

1価正則になるからです。

 

つまり,zρをzρ-s に変えた後(ρ-s)を改めてρとし,

ρ-sを改めてzρと書き直しても結果として,φ(z)は

不変です。

 

そして,かなり面倒で煩雑であるという理由で,n=1の場合,すなわち、

解くべき線形方程式が1階の方程式:y'+[1(z)/z]y=0 のとき

のみに,必要条件であること,つまり,

 

"z=0 が確定特異点であるなら1(z)がz=0 で正則であること"

 

を証明するに留めました。

 

しかし,実際,面倒ではありますが,後にFuchs型方程式の解析において,

主に扱う予定にしているn=2の場合,すなわち,

 

2階方程式y"+[1(z)/z]y'+[2(z)/z2]y=0

についても,これを証明しおくことは重要であると考え,

今回これにトライしてみました。

 

ここで便宜上,線形演算子L(y)を,

L(y)≡y"+[1(z)/z]y'+[2(z)/z2]y

によって導入します。

 

1階の方程式:y'+[1(z)/z]y=0 のときと同様,

z=0 が確定特異点であるとき,その周りの領域での1つの解は

y=φ(z)≡zρψ(z)(ただしψ(z)はz=0 で1価正則な関数)

で与えられます。

 

方程式L(y)=0 に解であるy=φ(z)を代入すると,

L[φ(z)]=L[zρψ(z)]

=[ρ(ρ-1)ψ+2ρzψ'+z2ψ"+1(z)(ρψ+zψ')+2(z)ψ]

ρ-2=0 となります。

 

ρ-2≠0 なので,これは,

χ(ρ,z)≡ρ(ρ-1)ψ+2ρzψ'+z2ψ"+1(z)(ρψ+zψ')

2(z)ψ=0 を意味します。

 

すなわち,χ(ρ,z)/ψ(z)

ρ(ρ-1)+2ρzψ'/ψ+z2ψ"/ψ+1(z)(ρ+zψ'/ψ)

2(z)=0  が成立します。

 

そして,φ(z)≡zρψ(z)において,正則関数ψ(z)はψ(0)≠0 となる

ように選ばれており,またz=0 で正則関数ψ'(z),ψ"(z)も有限値を

取るので,z→ 0 に対してzψ'/ψ → 0,z2ψ"/ψ → 0 となり,

ρ(ρ-1)+ρ・lim1(z)+lim2(z)=0 が成り立つはずです。

 

そして,もしも方程式の解の2次の基本行列に対する2次のmonodromy行列Mの2つの固有値:α12が重根でなく異なる値をとる場合は,

 

解y=φ(z)≡zρψ(z)におけるρはρi=log(αi)/(2πi)(i=1,2)

で与えられ,しかもρ1ρ2なのでyi=φi(z)≡zρiψi(z)(i=1,2)

がL(y)=0 の2つの独立な解となります。

 

よってχ(ρi,z)=0 (i=1,2)のz→ 0 における極限での連立方程式

から,Qi≡limi(z)と置くときρ11-1)+ρ11+Q2=0,

ρ22-1)+ρ212=0 が得られます。

 

これを解けば,1=[ρ11-1)-ρ22-1)]/(ρ2-ρ1),

2=ρ111-1)-ρ22-1)]/(ρ1-ρ2)-ρ11-1)

となります。

 

つまり,1lim1(z)=1-ρ1ρ2,2limP2(z)=ρ1ρ2

(as z→ 0)が得られます。

 

すなわち,この場合は確かに1(z),2(z)はz=0 で正則であること

がわかります。

 

一方,ρ1ρ2≡ρ,つまり,Mの2つの固有値α12が重根をとる場合

の計算は非常に煩雑になります。

  

このときはL(y)=0 の2つの独立な解は明らかに

φ1(z)=zρψ(z),φ2(z)=zρ{f(z)+g(z)logz}

と表わすことができます。

 

ただし,ψ(z),f(z),g(z)はz=0で1価正則な関数です。

 

このとき,L[φ1(z)]=L[zρψ(z)]

[ρ(ρ-1)ψ+2ρzψ'+z2ψ"+1(z)(ρψ+zψ')+2(z)ψ]

×zρ-2=0 より,ρ(ρ-1)+2ρzψ'/ψ+z2ψ"/ψ

1(z)(ρ+zψ'/ψ)+2(z)=0 が成立します。

 

一方,L[zρf(z)]=[ρ(ρ-1)f+2ρzf'+z2f"

1(z)(ρf+zf')+2(z)f]zρ-2であり,

L[zρg(z)]=[ρ(ρ-1)g+2ρzg'+z2g"

1(z)(ρg+zg')+2(z)g]zρ-2

 

と書くことができます。

 

最後の方程式の両辺をρで微分すると,L[zρg(z)logz]

=L[zρg(z)]logz+(2ρ-1)g+2zg'+1(z)gと書けます。

 

それ故,L[φ2(z)]=L[zρf(z)+zρg(z)logz]

=L[zρf(z)]+L[zρg(z)]logz+(2ρ-1)g+2zg'

1(z)g=0 が成立するはずです。

 

そこで,L[φ1(z)]=0 とL[φ2(z)]=0 を連立させてz→ 0 の

極限を取るとzlogz,z2logz → 0 が成立するので,

 

ρ(ρ-1)+ρ1+Q2=0 ,かつ

[ρ(ρ-1)+ρ1+Q2]f(0)+[ρ(ρ-1)+ρ1+Q2]g(0)lim(logz) +[(2ρ-1)+Q1]g(0)=0 となります。

 

結局,ρ(ρ-1)+ρ1+Q2=0 ,かつ(2ρ-1)+Q1=0 です。

 

つまり,Q1=lim1(z)=1-2ρ,Q2=lim2(z)=ρ2が得られます

から,やはり,1(z),2(z)はz=0 で正則です。

 

これで,n=2のときにも1(z),2(z)がz=0 で正則であることが

必要なことが示されました。(以上)

 

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2007年4月25日 (水)

n階線形常微分方程式と確定特異点

 

前記事の続きです。

 

今日は,n階線形常微分方程式y(n)+p1(z)y(n-1)+..pn-1(z)'

+pn(z)y=0 を考察します。

 

これは(y,y',y",..,y(n-1))とおくと,同等なn元の連立1階線形常微分方程式に書きかえることができます。

 

つまり,y1≡y,y2≡y',y3≡y",..,yn≡y(n-1)とおくことによって,

同値なn元の連立1階線形常微分方程式:

i'=yi+1 (i=1,2,3,..,n-1),yn'=-Σj=1nn-j+1(z)

に変換できます。

 

この連立方程式を行列表示で'=A(z)と書けば,係数行列A(z)は

第1行目が(0,1,0,..,0),第2行目が(0,0,1,0,..,0),...,第(n-1)行目

が(0,0,..,0,1),そして,最後の

 

第n行目が(-pn(z),-pn-1(z),...,-p2(z),-p1(z))

 

n次の正方行列です。

 

したがって,正規形の常微分方程式'=f(z,)に対し,f(z,)が

z,に関して解析的な場合の"正則解の存在と一意性の定理"によって,

 

全ての係数pi(z)(i=0,1,2,..,n)が正則な領域Dで,

n階線形常微分方程式;(n)+p1(z)y(n-1)+..+pn-1(z)'

+pn(z)y=0 の正則解の存在と一意性が保証されます。

 

すなわち,全ての係数pi(z)が複素z平面のある領域Dで正則なら,

任意のα∈Dと任意のn次元複素定数ベクトルβ≡(β12,..,βn)

に対するn個の初期条件の組;φ(α)=β1,φ'(α)=β2,..,φ(n-1)(α)

=βnを満たす解:y=φ(z)がD全体で定義され,そこで正則となります。

 

このときz=αを正則点と呼ぶことができます。

 

1(z),y2(z),..,yn(z)を,y(n)+p1(z)y(n-1)+..pn-1(z)'

+pn(z)y=0, or '=A(z)の解:(y,y',..,y(n-1))

の基本系:,つまり,方程式のn個の1次独立な解であるとします。

 

このn個の1次独立な解を,連立方程式のベクトル形式で,

j(z)≡(yj(z),yj'(z),..,yj(n-1)(z))(j=1,2,3,..,n)

と書きます。

 

これの,n次の基本行列:W(z)を,

W(z)≡(1(z),2(z),..n(z))と定義すれば,det[W(z)]が,

1,y2,..,yn のロンスキアン(Wronskian)に等しいので,解の

1次独立性から確かにdet[W(z)]≠0 となります。

 

また,もちろん,W(z)'=A(z)W(z)も成立しています。

 

そして,前記事で述べたようにpi(z)(i=0,1,2,..,n)のうち

少なくとも1つがz­=αに極を持つ場合には,変換:z-α→z-α

exp(2πi)(z-α)に対してmonodromy行列と呼ばれる正則な複素

定数行列Mが存在してW(z)=W(z)Mが成立することになります。

 

Mがジョルダン(Jordan)標準形Jになるように基本行列W(z)を選び,

J=exp(2πiΛ)とおくと,W(z)=Φ(z)exp[Λlog(z-α)],

Φ(z)≡[φij(z)]と書けて,Φ(z)は点z­=αを除くz­=αの近傍の

領域Dで1価正則な行列になります。

 

そして,monodromy行列Jのnj重に縮退した固有値をαjとすると,

J=exp(2πiΛ)で定義されるn次の正方定数行列Λは,

2πiΛj=logαj+σ,σm=0 (m≧nj)を満たすnj次の小正方行列

Λjを対角線上に並べた形になります。

 

こうしたJの形によって次の2つの場合が想定できます。

 

①monodromy行列のジョルダン標準形が完全に対角形である場合:

  

monodromy行列のn個の固有値αj0 (j=0,1,2,..,n)が全て

異なる値となり全く縮退していない場合:

 

Λjはρj(logαj)/(2πi)を対角成分とする"1次の行列=数"となり,

n個の1次独立な解yj(z)はyj(z)=φ1j(z)(z-α)ρjと表わさ

れます。

 

②monodromy行列の固有値αi0 がni重に縮退している場合:

 

縮退していないαl0 (l≠i)の部分については上の①の考察が,

そのまま当てはまりますが,縮退したni次正方行列の部分については,

この固有値に対応するni個の独立な解を,

 

ki(z)=(z-α)ρiki(ni-1)(z,log(z-α))(ki1,2,..,ni)

と表わすことができます。

 

ただしPk(m)(z,u)はuのm次多項式で,その係数がすべてDで1価正則

なzの関数であるようなものです。

 

そして,yki(z)=(z-α)ρiki(ni-1)(z,log(z-α))において,

log(z-α)の多項式ki(ni-1)(z,log(z-α))のzの関数係数は

z=αに特異点を持つことがあります。

 

それらが全て高々極であるときにはz=αは確定特異点です。

 

一方,多項式の係数のうち少なくとも1つでz=αが真性特異点なら,

z=αは不確定特異点です。

 

さて,次に

 

"'=A(z)においてA(z)がz=αに持つ極が1位の極

であるならば,z=αはこの方程式の確定特異点である。"

 

という定理を証明します。

 

(証明):一般性を失うことがなくα=0 とします。

 

そして'=A(z)の1つの基本行列Y(z)として,

Y(z)=Φ(z)exp(Λlogz)を取ります。

 

もしも特異点z=0 がΦ(z)の真性特異点であるなら行列Φ(z)の

成分の1つ,例えばφij(z)がz=0 に真性特異点を持ちます。

 

このときには∀正の整数m>0 に対しzmφij(z)がz→ 0 の極限で

非有界です。

 

そこで,"A(z)の特異点z=0 が高々1位の極なら∀i,jに関して

十分大きい正整数Nに対してNφij(z)がz→ 0 の極限で有界に

留まる。"ということが証明されれば,

 

z=0 がA(z)の高々1位の極ならこれはΦ(z)の高々極であること,

つまりz=0 が方程式'=A(z)の確定特異点であることが示され

ることになります。

 

そして実際,Y(z)'=A(z)Y(z)より,領域Dでは,

Φ(z)'exp(Λlogz)+Φ(z)Λexp(Λlogz)/z

=A(z)Φ(z)exp(Λlogz),

 

つまり,Φ(z)'+Φ(z)Λ/z=A(z)Φ(z) ですから,

zΦ(z)'Φ(z)-1=zA(z)-Φ(z)ΛΦ(z)-1となります。

  

Φ(z)ΛΦ(z)-1Φ(z)が如何なる挙動を取ろうとΦ(z)-1によって

相殺されるためz→ 0 の極限でも有界ですから,

 

z=0 がA(z)の1位の極の場合にはz→ 0 の極限で

zΦ(z)'Φ(z)-1zA(z)-Φ(z)ΛΦ(z)-1→ K(定数行列)

となります。

 

そして微分方程式zΦ(z)'Φ(z)-1=Kを積分すると,Cを任意の

積分定数の行列として,Φ(z)=CzK=Cexp(Klogz)となります

から,z→ 0 の極限ではΦ(z)→ CzK=Cexp(Klogz)となります。

 

ここで行列Pのノルムを|P|で表わすと,zNΦ(z)のノルムは

N|Φ(z)|~zN|C||exp(Klogz)|=|C||exp[(NE+K)(logz)]|

です。

 

結局,N>|K|となるように十分大きいNを取れば,n次の定数行列;

(NE+K)は正値行列となり,z→ 0 に対して,

exp[(NE+K)(logz)]=z(NE+K)0 となるため,

確かにzN|Φ(z)|0 が成立します。(証明終わり)

 

ここで,1例として特殊な形のn階線形常微分方程式であるEuler型

の微分方程式:zn(n)+a1n-1(n-1)+..an-1zy'+any=0

を考えてみます。

 

これはpj(z)=aj-j(j=1,2,..,n)と表わされるのでpj(z)は

z=0 にj位の極を持つ例となっています。

 

この方程式はy=zρという形の解を持ちます。

 

これを示すための助けとして線形演算子L(y)を,

L(y)≡zn(n)+a1n-1(n-1)+..an-1zy'+an

で定義すれば,

 

Euler型の微分方程式:

n(n)+a1n-1(n-1)+..an-1zy'+any=0 は

L(y)=0 と書くことができます。

 

y=zρが実際にL(y)=0 の解であるとすれば,

(zρ)=[ρ(ρ-1)..(ρ-n+1)+a1ρ(ρ-1)..(ρ-n+2)+..

+an]ρ0 です。

 

ρ0 なので,これは,

φ(ρ)≡ρ(ρ-1)...(ρ-n+1)+a1ρ(ρ-1)...(ρ-n+2)+..

+an0 なる式の成立を意味します。

 

そこで,φ(ρ)=0 でρがこのn次代数方程式の根なら,

y=zρがL(y)=zn(n)+a1n-1(n-1)+..an-1zy'+any=0

の解になります。

 

仮にφ(ρ)=0 が全く重根を含まず,n個の根が全て異なるなら,

それらのρに対応するy=zρがL(y)=0 のn個の1次独立な解

を表わすことになります。

 

そこで,これらn個の独立解の1次結合によって,方程式L(y)=0 の

一般解の全てが尽くされることになって,方程式は完全に解けることに

なります。

 

しかし,一般にはすべての根が単根であるわけではなく,例えば

ρがm重根のときにはy=(logz)kρ(k=0,1,...,m-1)

もまたL(y)=0 の解となることがわかります。

 

なぜなら,L(zρ)=φ(ρ)zρの両辺をρで微分すると,左辺の微分

係数はdL(zρ)/dρ=limΔρ→0[L(zρ+Δρ)-L(zρ)]/Δρ

=limΔρ→0[(zρ+Δρ-zρ)/Δρ]=L(dzρ/dρ)

=L[(logz)zρ]で,

 

右辺の微分係数は,d[φ(ρ)zρ]/dz

=φ'(ρ)zρ+φ(ρ)(logz)zρですが,φ(ρ)=0 であり,

ρがそのm重根(m≧2)なのでφ'(ρ)=0 も成立します。

 

そのため,L[(logz)zρ]=[φ'(ρ)+φ(ρ)(logz)]zρ0 が

成り立ち,y=(logz)zρも,L(y)=0 の解となることがわかります。

 

結局,これのアナロジーで,全てのy=(logz)kρ(k=0,1,..,m-1)

がL(y)=0 の解となることがわかるからです。

 

すなわち,dk(zρ)/dρk=L(dkρ/dρk)=L[(logz)kρ]

=[φ(k)(ρ)+kφ(k-1)(ρ)(logz)+..+φ'(ρ)(logz)2

+φ(ρ)(logz)k]zρです。

 

この恒等式で,ρがφ(ρ)=0 のm重根(m≧2)なのでφ(ρ)=0,

φ'(ρ)=0,φ"(ρ)=0,..φ(m-1)(ρ)=0 が成立するため,

 

k=2,3,..,(m-1)のときにも,L[(logz)kρ]=0 となって,

y=(logz)kρ(k=0,1,..,m-1)が全てL(y)=0 の解となる

ことがわかるのです。

 

結局,ρがφ(ρ)=0 の単根である場合のy=zρと,ρがそのm重根

(m≧2)である場合のy=(logz)kρ(k=0,1,..,m-1)によって,

 

Euler型微分方程式:zn(n)+a1n-1(n-1)+...an-1zy'+any=0

のn個の1次独立な解の全てが尽くされることがわかりました。

 

したがって,ρが整数でないときにはz=0 は分岐点ですが,y=zρ

y=(logz)kρの係数であるΦ(z)は定数であり,全z平面で正則

なので,定義によってEuler型の微分方程式の特異点z=0 は確定特

異点であることになります。

 

今日は最後に次の定理の証明を試みることで,締めくくりにしたいと

思います。

 

(定理):n階線形常微分方程式(n)+p1(z)y(n-1)+..pn-1(z)'+

n(z)y=0 において係数1(z)≡z-11(z),p2(z)≡

-22(z),..,p(z)≡z-nn(z)とおき,領域D:0<|z|<r

においては全ての係数p1(z),p2(z),..,p(z)は正則であるする。

 

この微分方程式(n)+p1(z)y(n-1)+..pn-1(z)'+pn(z)y=0

z=0 を確定特異点とするn個の互いに1次独立な解を持つための必要十分条件は"z=0 でP1(z),P2(z),..,P(z)が全て正則であること(z→ 0 の極限でzjj(z)が有界であること)"である。

 

(証明):初めに,必要条件であることを示します。

 

z=0 が確定特異点であるとすると,その解は

φ(z)≡zρ(m)(z,logz)という形をしていて,logzのm次の多項式

(m)(z,logz)の全ての係数はz=0 で高々極を持ちますが,これらの

係数はz=0 で1価正則であるとしてもかまいません。

 

そこで,領域D:0<|z|<rの中でz=0 を正の向きに1周する経路に

沿ってφ(z)を解析接続して,zexp(2πi)zにおいてこれを

計算すると,

 

φ(z)=exp(2πiρ)zρ(m)(z,logz+2πi)となりますが,

これも元の微分方程式の解です。

 

係数:exp(2πiρ)を除いた,

φ(z)/exp(2πiρ)=zρ(m)(z,logz+2πi)も.

もちろん元の微分方程式の1つの解です。

  

 それらの解;φ(z)とφ(z)/exp(2πiρ)の1次結合:

ρ(m-1)(z,logz)≡zρ[P(m)(z,logz+2πi)-P(m)(z,logz)]

も解です。

 

ところが,Q(m-1)(z,logz)はlogzの(m-1)次の多項式となり,

その係数はz=0 で1価正則です。

 

この操作をQ(m-1)(z,logz)について繰り返すとlogzの(m-2)次の

多項式で係数がz=0 で1価正則な解R(m-2)(z,logz)が得られます。

 

こうしてlogzの多項式の次数をmから1つずつ減らしていくこと

により,結局z=0 で1価正則な関数ψ(z)によって,

φ(z)=zρψ(z)という形に書けるy=φ(z)という解を得る

ことができます。

 

この最終形の解φ(z)=zρψ(z)を用いれば,全てのPj(z)

(j=1,2,..,n)がz=0 で正則であることを示すことができます。

 

nが一般の場合にこれを示すことはもちろん可能ですが,それは非常に

煩雑なので,ここでは証明を省略しn=1(1階線形常微分方程式)

の場合に,これを示すことでお茶を濁しておきます。

 

すなわち,1階の方程式y'+[P1(z)/z]y=0 において,

y=φ(z)=zρψ(z)が解であるとすると,

 

φ'(z)=ρzρψ(z)+ρψ'(z)なので,

φ'/φ=ρ/z+ψ'/ψにより,元の方程式から,

1(z)=-ρ-zψ'/ψを得ます。

 

ところが,ψ(z)Σn=0nnψ(z)をベキ級数に展開すると,

limz→ 0(zψ'/ψ)=limz→ 0n=1ncnn)/n=0nn)となり,

右辺は分母 →c0,分子 → 0 ですから,c0≠0でもc0=0 でも,その

極限値は明らかに有限です。

 

したがって,1(z)=-ρ-zψ'がz=0 で正則であることが

証明されました。

 

次に十分条件の証明です。

k(z)≡zk-1(k-1)(k=1,2,..,n)とおいて,1階連立微分方程式

に変換すると,k=1,2,..,(n-1)については,

k'=(k-1)zk-2(k-1)+zk-1(k)=[(k-1)yk+yk+1]/z

です。

 

また,k=nについては,yk'=(n-1)zn-2(n-1)+zn-1(n)

=(n-1)y/z-zn-1[P1(z)y(n-1)/z+P2(z)y(n-2)/z2+..

+Pn(z)y/zn]

=[{(n-1)-P1(z)}y-P2(z)yn-1-P2(z)yn-1-..

-Pn(z)y1]/zとなります。

 

したがって,このように変換した1階連立微分方程式:

'=A(z)においては,係数行列A(z)は,Q(z)をz=0 と

その近傍Dを含んだ領域で1価正則なn次正方行列として,

A(z)=Q(z)/zと表現できます。

 

つまりA(z)はz=0 に高々1位の極を持つことになりますから,

先に証明した定理により,z=0 は線形方程式;'=A(z),

 

あるいは,n階線形常微分方程式:

(n)+p1(z)y(n-1)+..pn-1(z)'+pn(z)y=0 の

確定特異点であることが証明されました。(証明終わり?)

 

以上は帝京大病院で入院から五日目くらいまでに勉強して得られた

成果です。

 

参考文献:稲見武雄 著「常微分方程式」(岩波書店)

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2007年4月24日 (火)

線形常微分方程式の確定特異点と不確定特異点

 入院中に勉強した成果のノートから,いくらか抜書きしていこうと

 思います。

 

 y'≡dy/dx,y"≡d2/dx2として2階の斉次線形常微分方程式y"-3y'+2y=0 の一般解を求める問題は,通常の演算子法と同等な手法で簡単に解けます。

 

 これは特性方程式がλ2-3λ+2=0 であり,その根が1と2なので一般解はa,bを任意定数としてy=aexp(2x)+bexp(x)となります。

 

 簡単な線形常微分方程式すが,わざわざ,解がy=Σn=0nnとベキ級数展開できると仮定して,方程式にこれを代入すると,未定係数法により,

(n+1){(n+2)n+23cn+1}=(n+1)n+13cn (n=0.1,2,...)

なる漸化式が得られます。

 

 そして,これを満たす{n}がn=(2na+b)/n!で与えられることは

簡単にわかります。

 

 このnによるベキ級数表現:y=Σn=0nnの右辺が収束するなら,このyは与えられた常微分方程式の解となります。

 

 そして,今の場合これが確かに先に求めた一般解の表式:

y=aexp(2x)+bexp(x)と完全に一致します。

 

 こうして,求めた微分方程式のベキ級数解を形式解と呼びます。

 

 ある領域でこの級数が収束するときには,そこでは実際にこれがその微分方程式の解という意味を持ちます。

 

 上に例示したものではベキ級数の収束半径ρが∞なので,全てのxで意味を持ちます。

 

 さて,より一般的に扱うため,独立変数xを複素数と考えてzという文字で表記します。

 

 そして,n個の未知関数yiに対する1階連立微分方程式系を考察対象と

して,これを正規形で表現すると,i'=fi(z,yj)(i=1,2,...,n)と

なります。

 

 左辺のi'は,もちろん,dyi/dzを意味します。

 

 ここで,(z,)≡(z,y1,y2,...,n)∈Cn+1と数ベクトル表示すると,「Cauchy-Kovalevskaya(コーシー・コワレフスカヤ)の定理」により,

 

 "∀iについてiが点(α,β12,..,βn)で正則であるとすると,

i'=fi(z,)の解i=yi(z)(i=1,2,..,n)で,z=αにおいて

正則,かつ初期条件βi=yi(α)を満たすものがただ1つ存在する。

 

という"正則解=ベキ級数解の存在と一意性の定理"が成立します。

 

 この場合,"正則解=ベキ級数解"はyi(z)=Σn=0n(z-α)nなる形になり,この形は収束半径をρとすれば|z-α|<ρの領域にあるzに対してのみ意味を持ち,yi'(z)=fi(z,(z))が恒等的に成り立ちます。

 

 しかし,この範囲を超えてyi(z)とfi(z,(z))を同時に解析接続すると,αの近傍では両者は一致しているのですから,「一致の定理」によって,両者は解析接続可能な全領域で一致することになります。

 

 この正則解yi(z)をさらに繰り返し解析接続していけば,これ以上延長不可能な解まで延長されます。

 

 1階連立微分方程式系が1階線形連立微分方程式系である場合,n個の複素未知関数yi(z)(i=1,2,...,n)について方程式の形は,

i'=Σj=1nij(z)yj(z)+bi(z)であるはずです。

  

 もしもbi(z)≡0 (i=1,2,...,n)なら,この系は斉次方程式,さもなければ非斉次方程式と呼ばれます。

 

 ここで,(z)=t(y1(z),y2(z), ..,n(z)),

(z)=t(b1(z),b2(z),...,bn(z))のように,(z),(z)なる

縦ベクトル表示を採用し,微分方程式の右辺の係数を行列:

A(z)=[aij(z)]で表示すれば,与えられた連立方程式の系は

'=A(z)(z)と簡単な形になります。

 

 特に,(z)≡0斉次方程式なら'=A(z)ですね。

 

 ところで斉次方程式'=A(z)のn個の一次独立な解を,

1(z),2(z),...,n(z)とすれば,

その一般解は(z)≡Σj=1njj(z)と表わすことができます。

 

 つまり,斉次方程式の解全体の集合である解空間Vは,n次元複素線形空間となるわけです。

 

 そして,(z)を非斉次方程式'=A(z)(z)の1つの解と

すると,そのn個の任意定数を伴う一般解を

 y(z)+(z)=(z)+Σj=1njj(z)と表わすことができる

のは線形微分方程式の一般論からよく知られています。

 

 以下では斉次方程式'=A(z)のみを考察します。

 

 そして,

 

 "行列A(z)がz平面のある領域Dで1価正則なら,z=αをD内の1点

 としβを任意のn成分複素定数縦ベクトルとすると,

 

 初期条件βφ(α)を満たす斉次方程式'=A(z)の解:

 φ(z)はD全体で定義されそこで正則である。"

 

 という定理が成立することが既にわかっています。

 

 こうしたD内の点αは正則点といわれます。

 

 ところが,領域Dは領域というからには連結ですが,これが単連結でない

場合には,一般に解析接続は接続の経路に依存するため,D上で(z)が

多価関数になる可能性があります。

 

 ここで,再び斉次方程式'=A(z)のn個の一次独立な解を,

 w1(z),2(z),...,n(z)とし,n次正方行列W(z)を,

 W(z)≡(1(z),2(z),...,n(z))で定義すれば,

 

 方程式の一般解t(c1,2,...,cn)を任意の定数ベクトルと

して,(z)≡Σj=1njj(z)=W(z)と表現することができ

ます。

 

 このW(z)を'=A(z)基本行列と呼びます。

 

 これは,W(z)'=A(z)W(z)を満足します。

 

 逆にW(z)'=A(z)W(z),det[W(z)]≠0 を満足する任意の関数行列W(z)は'=A(z)基本行列になります。

 

 そこで,W(z)を1つの基本行列とし,Pをdet(P)≠0 を満たすn次複素定数行列とすると,Y(z)=W(z)Pも1つの基本行列となります。

 

 逆にP(z)≡W(z)-1(z)と置くと,dP(z)/dz=0 なのでP(z)はdet(P)≠0 なる定数行列Pとなります。

 

 つまりY(z)とW(z)が共に基本行列ならば,det(P)≠0 なる定数行列Pが存在してY(z)=W(z)Pと表わすことができます。

 

 A(z)がz=αで正則ならば'=A(z)の解はz=αで正則であることは既に述べた通りですが,

 

 A(z)がz=αに極を持つ場合はどうでしょうか?

 

 まず,一般性を失うことなくこの"特異点=極"の位置をz平面の原点,

つまりα=0 とすることができます。

 

 解析関数の極は常に孤立しているので,r>0 を十分小さく取れば,

領域D:0<|z|<rではA(z)が1価正則であるようにできます。

  

 しかしDは単連結ではないので,'=A(z)の解(z)は一般に

Dにおいて多価関数になります。

 

 つまり,(z)はz=0 に分岐点を持つ可能性がありますから,

単葉z平面の代わりに例えば正の実軸に沿ってz=0 からz=∞ まで

の切断を持つ複葉z平面から成るRiemann面を考える必要性が生じます。

 

 再び,W(z)を'=A(z)の1つの基本行列とします。

 

 そして,z=0 にA(z)が孤立した極を持つ領域Dにおいて,

exp(2πi)zとします。

 

 DにおいてW(z)'=A(z)W(z),det[W(z)]≠0 ですが,zも,

もちろんD内の点ですからW(z)'=A(z)W(z)と書くことが

できます。

 

 W(z)をzの関数とみなしてW(z)=W(z)と書けば,

A(z)は領域Dにおいて1価正則なので,A(z)=A(z)故,

(z)'=A(z)W(z)となります。

 

 したがって,W(z)=W(z)も'=A(z)1つの基本行列となるので,ある定数行列M(det(M)≠0)が存在してW(z)=W(z)Mと掛けます。この行列MをMonodromy(モノドロミー)行列と呼びます。

 

 もしも,W(z)でなくY(z)≡W(z)Pを基本行列とする場合には,相似変換によりMonodromy行列はP-1MPとなります。

 

 そこで,はじめから相似変換によってMoodromy行列P-1MPが,ジョルダン標準形:JとなるようにY(z)を選びます。

 

 つまりY(z)=Y(z)Jです。

 

 そして,J≡exp(2πiΛ)とおき,Monodromy行列:Jのnj重に縮退した固有値をαjとすると,n次の正方定数行列Λは,2πiΛj=logαj+σjjm=0 (m≧nj)が成り立つようなj次の正方行列Λjを対角線上に並べたものになります。

 

 そして,Y(z)≡Φ(z)exp(Λlogz)によってn次の正方行列Φ(z)を

定義し,zをzexp(2πi)zに置き換えると,

 

 (z)=Φ(z)exp(Λlogz)exp(2πiΛ)

 =Φ(z)exp(Λlogz)J

 

 となります。

 

 元々,Y(z)=Y(z)J=Φ(z)exp(Λlogz)JとなるようなY(z)

を考えているので,Φ(z)=Φ(z)を得ます。

 

 つまり,行列:Φ(z)は領域Dで1価正則です。

 

 ここで,極の位置を原点z=0 からz=αに戻し,Y(z)=Y(z)J

なるY(z)を改めてW(z)と書けば,

 

 結局,W(z)はDで1価正則なΦ(z)とn次の定数行列Λを用いて

W(z)=Φ(z)exp[Λlog(z-α)]と表わせることになります。

 

 そして,Φ(z)は一般にDに属さないz=αでは特異点を持つことが

あり得ます。

 

 しかし,Dで1価正則なのでそれは分岐点ではありません。

 

 そこでz=αがたかだかΦ(z)の極であるときには,それを確定特異点

であるといい,z=αがΦ(z)の真性特異点であるときには,それを

不確定特異点であるといいます。

 

そして,W(z)=Φ(z)exp[Λlog(z-α)]という形から,Wj(z),

Φj(z)をΛjに対応するnj次の正方行列とすれば,

 

ρj(logαj)/(2πi)とおくとき,j(z)

Φj(z)(z-α)ρjexp[σjlog(z-α)/(2πi)]

となります。

 

σjm0 (m≧nj)なので,係数exp[σjlog(z-α)/(2πi)]は,

log(z-α)の(j1)次多項式となります。

 

特に固有値αjが縮退していない場合には,Wj(z)=Φj(z)(z-α)ρj

であり,このときはj(z),Φj(z)は行列ではなくてn個の独立解の

1つを表わしています。

 

以上が帝京大病院での入院初期時に勉強して得られた成果です。

 

参考文献:稲見武雄 著「常微分方程式」(岩波書店)

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2007年4月22日 (日)

再掲「エネルギーと時間の不確定性」

2006年9月5日の記事「エネルギーと時間の不確定性関係」について,

つい最近入院中にコメントを頂いたらしいのですが,退院後,ついうっ

かりジャク・コメントと一緒に削除してしまいました。

  

しかし,幸いログが残っていました。

 

少し気になったので記事を再掲して検証してみます。

  

コメントされたのは,「kafuka」様で,内容は次の通りです。

 

※コメントの内容:

 

blogs.yahoo.co.jpのentangled74様から教えて頂いたことですが,時間は 物理量ではないようです。

 

[E,t]=ihbarを仮定した場合,エネルギー固有状態<E_n|と|E_m>で

交換関係をはさむと, (E_n-E_m)=ihbarδ_nm になります。

 

これはおかしいですから,仮定した交換関係は正しくないです。

 

D. T. Pegg, "Complement of the Hamiltonian," Phys. Rev. A 58, 4307 (1998)

 

というものです。

 

それに対する!私=TOSHI"のコメントを以下に書きます。

 

「時間は物理量ではないようです。」というのは常識的な考えであり,私

もちゃんとした根拠があればそれに従いたいという気持ちが大いにある

ですが,"エネルギー固有状態:<E_n|と|E_m>で交換関係をはさむ",

というのは,いただけません。

 

エネルギー固有状態<E_n|と|E_m>というのは,既にある時刻における同時

的なエネルギー固有状態ベクトルを仮定していますが,

 

そもそも,[H,t]=ihbarであるという意味は,運動量と空間位置座標

と同じく,エネルギーと時刻も同時に決定することはできない。

 

つまり両方の共通の固有状態ベクトルは存在しない,という意味なので,

それを否定するのに,そうした時刻を単なるパラメータと考えた定式化で

対応するなら,矛盾を生じるのは当たり前ですね。

 

「これ=固有状態ではさむこと」を運動量と位置の場合に行っても,

矛盾が起きないだろうと思うのは,この定常固有状態が時間と運動量

との共通の固有状態であっても,位置座標と運動量の共通の固有状態

ではないからです。

 

これはつまり,1次元で考えると,

<p|[x ,p ]|p'>=(p'-p)<p|x|p'>

=iδ(p-p') となりますが,

 

<p|x|p'>においては,xをc-数(c-number)パラメータではなく,

例えば運動量表示のx =i(∂/∂p)とすれば,運動量表示では,

|p0>=δ(p-p0<