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2007年4月26日 (木)

n階線形常微分方程式と確定特異点(補遺)

前記事においてちょっと不明確な点があったので補足しておきます。

 

"n階線形常微分方程式(n)+p1(z)y(n-1)+..pn-1(z)'+pn(z)y=0 における係数p1(z),p2(z),...p(z)が領域D:0<|z|<rで正則であるとする。

 

ここでp1(z)≡z-11(z),p2(z)≡z-22(z),..,p(z)≡z-nn(z)とおく。

 

このとき,P1(z),P2(z),..,P(z)がz=0 で全て正則であるということ(z → 0 の極限でzjj(z)が有界であるということ)が微分方程式:

(n)+p1(z)y(n-1)+..pn-1(z)'+pn(z)y=0 がz=0 を確定

特異点とするn個の互いに1次独立な解を持つための必要十分条件

である。"

 

という定理の省略した証明をしています。

   

そして,その中で必要条件であることを示す過程において,

 

"z=0 が確定特異点であるとすると,その解はφ(z)

≡zρ(m)(z,logz)という形をしていて,logzのm次の多項式:

(m)(z,logz)の係数は全て,z=0 でたかだか極を持ちますが,

これらの係数はz=0 で1価正則であるとしてかまいません。"

 

と書きました。

 

これは何故か,というと,φ(z)≡zρ(m)(z,logz)において,logzの

m次の多項式P(m)(z,logz)の係数のz=0 における極の位数は全て

有限なので,その最大値がsのとき,zs(m)(z,logz)を改めて

(m)(z,logz)と書き直せば,これの全ての係数は確かにz=0 で

1価正則になるからです。

 

つまり,zρをzρ-s に変えた後(ρ-s)を改めてρとし,

ρ-sを改めてzρと書き直しても結果として,φ(z)は

不変です。

 

そして,かなり面倒で煩雑であるという理由で,n=1の場合,すなわち、

解くべき線形方程式が1階の方程式:y'+[1(z)/z]y=0 のとき

のみに,必要条件であること,つまり,

 

"z=0 が確定特異点であるなら1(z)がz=0 で正則であること"

 

を証明するに留めました。

 

しかし,実際,面倒ではありますが,後にFuchs型方程式の解析において,

主に扱う予定にしているn=2の場合,すなわち,

 

2階方程式y"+[1(z)/z]y'+[2(z)/z2]y=0

についても,これを証明しおくことは重要であると考え,

今回これにトライしてみました。

 

ここで便宜上,線形演算子L(y)を,

L(y)≡y"+[1(z)/z]y'+[2(z)/z2]y

によって導入します。

 

1階の方程式:y'+[1(z)/z]y=0 のときと同様,

z=0 が確定特異点であるとき,その周りの領域での1つの解は

y=φ(z)≡zρψ(z)(ただしψ(z)はz=0 で1価正則な関数)

で与えられます。

 

方程式L(y)=0 に解であるy=φ(z)を代入すると,

L[φ(z)]=L[zρψ(z)]

=[ρ(ρ-1)ψ+2ρzψ'+z2ψ"+1(z)(ρψ+zψ')+2(z)ψ]

ρ-2=0 となります。

 

ρ-2≠0 なので,これは,

χ(ρ,z)≡ρ(ρ-1)ψ+2ρzψ'+z2ψ"+1(z)(ρψ+zψ')

2(z)ψ=0 を意味します。

 

すなわち,χ(ρ,z)/ψ(z)

ρ(ρ-1)+2ρzψ'/ψ+z2ψ"/ψ+1(z)(ρ+zψ'/ψ)

2(z)=0  が成立します。

 

そして,φ(z)≡zρψ(z)において,正則関数ψ(z)はψ(0)≠0 となる

ように選ばれており,またz=0 で正則関数ψ'(z),ψ"(z)も有限値を

取るので,z→ 0 に対してzψ'/ψ → 0,z2ψ"/ψ → 0 となり,

ρ(ρ-1)+ρ・lim1(z)+lim2(z)=0 が成り立つはずです。

 

そして,もしも方程式の解の2次の基本行列に対する2次のmonodromy行列Mの2つの固有値:α12が重根でなく異なる値をとる場合は,

 

解y=φ(z)≡zρψ(z)におけるρはρi=log(αi)/(2πi)(i=1,2)

で与えられ,しかもρ1ρ2なのでyi=φi(z)≡zρiψi(z)(i=1,2)

がL(y)=0 の2つの独立な解となります。

 

よってχ(ρi,z)=0 (i=1,2)のz→ 0 における極限での連立方程式

から,Qi≡limi(z)と置くときρ11-1)+ρ11+Q2=0,

ρ22-1)+ρ212=0 が得られます。

 

これを解けば,1=[ρ11-1)-ρ22-1)]/(ρ2-ρ1),

2=ρ111-1)-ρ22-1)]/(ρ1-ρ2)-ρ11-1)

となります。

 

つまり,1lim1(z)=1-ρ1ρ2,2limP2(z)=ρ1ρ2

(as z→ 0)が得られます。

 

すなわち,この場合は確かに1(z),2(z)はz=0 で正則であること

がわかります。

 

一方,ρ1ρ2≡ρ,つまり,Mの2つの固有値α12が重根をとる場合

の計算は非常に煩雑になります。

  

このときはL(y)=0 の2つの独立な解は明らかに

φ1(z)=zρψ(z),φ2(z)=zρ{f(z)+g(z)logz}

と表わすことができます。

 

ただし,ψ(z),f(z),g(z)はz=0で1価正則な関数です。

 

このとき,L[φ1(z)]=L[zρψ(z)]

[ρ(ρ-1)ψ+2ρzψ'+z2ψ"+1(z)(ρψ+zψ')+2(z)ψ]

×zρ-2=0 より,ρ(ρ-1)+2ρzψ'/ψ+z2ψ"/ψ

1(z)(ρ+zψ'/ψ)+2(z)=0 が成立します。

 

一方,L[zρf(z)]=[ρ(ρ-1)f+2ρzf'+z2f"

1(z)(ρf+zf')+2(z)f]zρ-2であり,

L[zρg(z)]=[ρ(ρ-1)g+2ρzg'+z2g"

1(z)(ρg+zg')+2(z)g]zρ-2

 

と書くことができます。

 

最後の方程式の両辺をρで微分すると,L[zρg(z)logz]

=L[zρg(z)]logz+(2ρ-1)g+2zg'+1(z)gと書けます。

 

それ故,L[φ2(z)]=L[zρf(z)+zρg(z)logz]

=L[zρf(z)]+L[zρg(z)]logz+(2ρ-1)g+2zg'

1(z)g=0 が成立するはずです。

 

そこで,L[φ1(z)]=0 とL[φ2(z)]=0 を連立させてz→ 0 の

極限を取るとzlogz,z2logz → 0 が成立するので,

 

ρ(ρ-1)+ρ1+Q2=0 ,かつ

[ρ(ρ-1)+ρ1+Q2]f(0)+[ρ(ρ-1)+ρ1+Q2]g(0)lim(logz) +[(2ρ-1)+Q1]g(0)=0 となります。

 

結局,ρ(ρ-1)+ρ1+Q2=0 ,かつ(2ρ-1)+Q1=0 です。

 

つまり,Q1=lim1(z)=1-2ρ,Q2=lim2(z)=ρ2が得られます

から,やはり,1(z),2(z)はz=0 で正則です。

 

これで,n=2のときにも1(z),2(z)がz=0 で正則であることが

必要なことが示されました。(以上)

 

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