« 代数的数と超越数 | トップページ | 超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(3) »

2007年5月28日 (月)

超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(2)

超幾何微分方程式の代数関数解に関するシュワルツ(Schwarz)の研究についての話の続きを記述します。

 

前回の最後では,超幾何微分方程式の全ての解が代数関数であるという命題が成り立つための必要十分条件は2つの1次独立な解の比が代数関数であることである。ということを証明しました。

  

それは,2つの1次独立な解を1,y2とすると,

d(y2/y1)/dz=(y12'-y1'y2)/y12 が代数関数である

という条件と同値でした。

 

ところで,

2階線形常微分方程式:2/dz2+p(z)dy/dz+q(z)y= 0 の2つの解の比を一般解とするような微分方程式はどのような方程式でしょうか?

 

これを求めるのが今日の課題です。

 

まず,1次独立な解を1,y2を任意に取ると,

2/dz2+p(z)dy/dz+q(z)y= 0 の2つの解の比は,

一般にw(z)=(ay1+by2)/(cy1+dy2)(a,b,c,d∈C)

と書けます。

 

そこで,このw(z)を一般解とするような微分方程式を求めるにはwとwの導関数を用いて任意定数a,b,c,dを消去すればいいということになります。

 

まず,ζ=y1/y2とおけば,w=(aζ+b)/(cζ+d)であり,

w'=(ad-bc)ζ'/(cζ+d)2です。

 

それ故,logw'=log(ad-bc)+logζ'-2log(cζ+d)であり,

そこでd(logw')/dz=d(logζ')/dz-2cζ'/(cζ+d),

 

さらに微分して,2(logw')/dz2=d2(logζ')/dz2

-2cζ"/(cζ+d)+2c2ζ'2/(cζ+d)2 を得ます。

 

これらによって,等式:

2(logw')/dz2-(d(logw')/dz)2/2

=d2(logζ')/dz2-(d(logζ')/dz)2/2,

 

あるいは

(d/dz)(w"/w')-w"2/(2w'2)

=(d/dz)(ζ"/ζ')-ζ”2/(2ζ'2),

 

すなわち,(2w'w(3)-3w"2)/(2w'2)

=(2ζ'ζ(3)-3ζ"2)/(2ζ'2)を得ます。

 

つまり,(2ζ'ζ(3)-3ζ"2)/(2ζ'2)は1次分数変換(Möbius変換);

w=(aζ+b)/(cζ+d)に関して不変です。

 

(2ζ'ζ(3)-3ζ"2)/(2ζ'2)をSchwarzの微分式,またはSchwartz微分(Schwarzian derivative)と呼び,記号{ζ,z}で表わします。

 

wはd2/dz2+p(z)dy/dz+q(z)y=0 の2つの解の比が満たす微分方程式の一般解であり,ζはその1つの特殊解です。

 

この特殊解に対して,{ζ,z}を計算し,それをp(z),q(z)で表わしたものを(2w'w(3)-3w"2)/(2w'2)=(2ζ'ζ(3)-3ζ"2)/(2ζ'2)の右辺に代入すれば,求める微分方程式が得られます。

 

ζ=y1/y2,ζ'=(y1'y2-y12')/y22より,d(logζ')/dz

=(y1"y2-y12")/(y1'y2-y12')-2y2'/y2 です。

 

y=y1,およびy=y2は,それぞれが

2y/dz2+p(z)dy/dz+q(z)y=0 の解ですから,

 

d(logζ')/dz=-p-2y2'/y2,

2(logζ')/dz2=-p'-2(y1"y2-y2'2)/y22

=-p'+2qy2'/y2+2q(y2'/y2)2 となります。

 

これから,結局,

2(logζ')/dz2-(d(logζ')/dz)2/2 =2q-p'-p2/2

が成立することがわかりました。

 

以上から,求める微分方程式として,

{w,z}≡(2w'w(3)-3w"2)/(2w'2)=2q-p'-p2/2

が得られました。

 

これをSchwarzの微分方程式といいます。

 

変換:w=(aζ+b)/(cζ+d)においては,4つの任意定数a,b,c,dのうちで独立なのは3つだけですから,これらを消去するには3階微分までが必要であろう,と予想され,その通りになりました。

 

超幾何微分方程式では,

(z)={(α+β+1)z-γ}/{z(z-1)}

=γ/z+(α+β-γ+1)/(z-1),

q(z)=αβ/{z(z-1)}なので,

 

2q-p'-p2/2=(2γ-γ2)/(2z2)+{2(α+β-γ+1)

-(α+β-γ+1)2}/{2(z-1)2}

+{2αβ-γ(α+β-γ+1)}/{z(z-1)}となり,

右辺はかなり煩雑な式になります。

 

そこで,特異点 0,1,∞ に対する決定方程式の根の差の絶対値を,それぞれλ,μ,νとおいて:λ≡|1-γ|,μ≡|γ-α-β|,ν≡|α-β|とし,これを用いて,2q-p'-p2/2 の表式の右辺を表現します。

 

すると.

2q-p'-p2/2=(1-λ2)/(2z2)+(1-μ2)/{2(z-1)2}

+(1-λ2-μ2+ν2)/{z(z-1)} になります。

 

超幾何微分方程式に対するSchwarzの微分方程式は,

{w,z}=(1-λ2)/(2z2)+(1-μ2)/{2(z-1)2}

+(1-λ2-μ2+ν2)/{z(z-1)} で与えられます。

 

そして,この方程式の解;w(z)全体が作る関数族をs(λ,μ,ν;z)と表わし,その各々の要素をSchwarzのs関数と呼びます。

 

1,w2が共にs関数なら,それらの間には,

2=(aw1+b)/(cw1+d) (a,b,c,d∈C,ad-bc≠0 )

という関係が成り立ちます。

 

長くなりそうなので今日はここまでにします。

 

(PS:私の近況です。

 

手術(4/10),退院(4/22)から1ヶ月以上経って日常生活には支障なくなりましたが,まだ仕事復帰できるほど元気には動けません。

 

単に体調が復活するだけなのに,こんなに時間がかかるのか?という感覚で少々困惑しています。)

 

参考文献:斎藤利弥 著「線形微分方程式とフックス関数I(ポアンカレを読む)」(河合文化教育研究所)

 

http://folomy.jp/heart/「folomy 物理フォーラム」サブマネージャーです。

人気blogランキングへ ← クリックして投票してください。(1クリック=1投票です。1人1日1投票しかできません。)

http://homepage2.nifty.com/toshis-kaiga-auction/「健康商品の店 タクザイ」

にほんブログ村 科学ブログへクリックして投票してください。(ブログ村科学ブログランキング)

にほんブログ村 トラコミュ 物理学へ
    物理学

|

« 代数的数と超越数 | トップページ | 超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(3) »

308. 微分方程式」カテゴリの記事

305. 複素数・複素関数論」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(2):

« 代数的数と超越数 | トップページ | 超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(3) »