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2007年5月

2007年5月31日 (木)

超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(5)

前記事の続きです。

 

次に∪T∈GTz(Π)の構造を少し詳しく調べてみます。

(x)の1つの分枝を定め,それによるxの上半平面:Π+の像をx=0,1,∞ が頂点A,B,Cに対応する円弧三角形ABCとします。

 

z(x)をxの下半平面:Π-に解析接続するには,

  

 "(ⅰ)区間(-∞,0)を横切る経路に沿って接続する。(ⅱ)区間(0,1)を横切る経路に沿って接続する。(ⅲ)区間(1,∞)を横切る経路に沿って接続する。"

 

という3通りの方法があります。

 既に前記事で述べた通り,(ⅱ)を行なって得られるz(x)の分枝によって,下半平面Π-を写像するならば,その像は弧ABに関して円弧三角形ABCを反転した円弧三角形ABC'になります。

 全く同様に(ⅰ)によって接続すると下半平面Π-は円弧三角形ABCを弧ACに関して反転した円弧三角形AB'Cになり,(ⅲ)によるなら弧BCに関して反転した円弧三角形A'BCになります。

 以下,同様に各辺に関する反転を繰り返すことにより,z(x)のいろいろな分枝による上半平面Π+,下半平面Π-の像の円弧三角形の連鎖が得られ,各円弧三角形はその円弧でできた3辺の全てを他の3個の円弧三角形の1辺と共有し,全体として単連結な領域をなします。

 

 こうして作られた反転領域の全体がx(z)の定義域∪T∈GTz(Π)です。

 隣接した上半平面Π+の像,下半平面Π-の像を合わせたものを1組選ぶと,それはz(x)のある分枝によるx平面全体Πの像です。

 

 これを群Gによる保型関数x(z)の基本領域と呼びます。

 基本領域はGに関する1次分数変換Tによって,他の基本領域に移ります。なぜなら,1つおきに隣接したΠ+の像である円弧三角形は反転を2回行なうことで互いに移ることができるし,同じことはΠ-の像についてもいえます。

 

 そして,既に述べたように,偶数回の反転の合成は,それぞれが1つの1次分数変換になるからです。

 領域∪T∈GTz(Π)が如何なるものか?をさらに調べるために、シュワルツにしたがって次の分類を行ないます。

  

 (ⅰ)λ+μ+ν> 1,(ⅱ)λ+μ+ν= 1,(ⅲλ+μ+ν< 1 の3つの場合に分けて考察します。

(ⅰ)の場合:s関数z(x)として特に上半平面Π+の像である円弧三角形ABCで2辺AB,ACが共に直線分でBCが円弧となるものを取ってみます。

 

 そのようなs関数z(x)が存在し得ることは,既に見た通りです。この三角形の頂角は,それぞれλπ,μπ,νπなので,この場合には三角形の内角の和(λ+μ+ν)πはπより大きいわけです。

 

 したがってこの⊿ABCは凸三角形であり,円弧BCの中心OはBCを境にしてAと同じ側にありAは円Oの内部にあります。

 

 図を描けないので詳細を省いて結果だけ述べます。

 

 OAと垂直な円Oの弦を直径としAを中心としてB,Cを通る円Γを赤道とするような球面Σを作り,その北極点Nから立体射影によって⊿ABCを球面Σの上に射影したものを⊿A111とすると3つの弧A11,A11,B11はΣの大円の一部になります。

 ところで,一般に次のことが知られています。

 

 "γをz平面上の円として,それのΣ上への立体射影γ1がΣの大円であるとする。

 

 このときPをz平面上のある点で,P'をそれのγに関する反転とし,P,P'のΣ上への立体射影をP1,P1'とすると,P1とP1'とは大円γ1が定める平面に関して互いに対称である。"

 

という性質が成り立つことです。

 これによると,z平面上で⊿ABCをその1辺に関して反転した図形のΣ上への射影は,弧A11,A11,B11はΣの大円の一部なので⊿A111を対応する辺に関して球面上で折り返したものとなります。

 

 したがって,それは球面三角形として⊿A111と合同な三角形であり,その3辺はやはりΣの大円の弧になっています。

 z平面上で⊿ABCから出発して辺に関する反転を次々に繰り返し,それをΣ上に射影するとΣは合同な球面三角形群に覆われます。

 

 しかしΣの全面積は有限であり,異なる球面三角形は辺を除いて重なる部分を全く持たないのですから,そうした球面三角形は有限個しかΣの上に載ることはできません。

 

 このことはGが有限群であることを示しており,それ故x(z)の定義域は有限個の基本領域の和で成立していることを意味します。

 Σ上の全ての点を,立体射影の逆写像でz平面上に引き戻すと,それはz平面全体ですから,結局z平面全体を有限個の基本領域が覆っていることになります。

 ところで,λ+μ+ν=1/m+1/n+1/p>1 となるような(m,n,p)の組み合わせは,実は次に挙げるものだけです。

 

 すなわち,(2,2,k),(2,3,3),(2,3,4),(2,3,5)だけです。

 

 これらに対応する群Gは多面体群と呼ばれる既知の群です。

 既述したように,αを任意の複素数とするとき,x(z)=αとなるzの値は各基本領域の中に1つずつしかありません。

 

 ところが,今の場合はGは有限群であり,基本領域の総数が有限なのでz平面全体でx(z)=αとなるzの個数,任意の複素数αに対して方程式x(z)-α=0 の解の個数は有限です。

 

 このような1価関数x(z)は有理関数でしか有り得ない,と結論されます。

(ⅱ)の場合:λ+μ+ν=1/m+1/n+1/p=1 となる正整数(m,n,p)の組み合わせは(3,3,3),(2,4,4),(2,3,6)だけです。

 s関数z(x)として上半平面Π+の像である円弧三角形の1つABCの2辺AB,ACが共に直線分となるように選ばれているとします。

 

 三角形の内角の和が(λ+μ+ν)π=πなので,円弧BCも実は直線分です。すなわち,⊿ABCは直線三角形でなければなりません。

 そして⊿ABCは,(m,n,p)=(3,3,3)のとき正三角形,(m,n,p)=(2,4,4)のとき直角二等辺三角形,(m,n,p)=(2,3,6)のとき,他の2角が60度,30度の直角三角形となります。

 

辺は全て直線分なので反転は対称な折り返しです。

 このとき基本領域は平行四辺形になり,基本領域をいくつか合わせた平行四辺形の各辺に対応する平行移動Gに属することになります。

 

 その平行四辺形の集合から成る定義域∪T∈GTz(Π)の上で,x(z)はこの平行移動に対して不変に保たれます。

 

 つまり,x(z)はトポロジー的には,この平行四辺形を周期平行四辺形とするトーラス,あるいは周期平行四辺形とする楕円関数です。

 楕円関数は超越関数ですから,(ⅱ)の場合には超幾何微分方程式の解は必ず超越関数を含み,したがって解が全て代数関数であるという場合ではありません。

(ⅲ)の場合:この場合もs関数z(x)として特に上半平面Π+の像である円弧三角形ABCで2辺AB,ACが共に直線分でBCが円弧となるものを取ります。

 

 (ⅰ)の場合とは逆に三角形の内角の和(λ+μ+ν)πはπより小さいので,⊿ABCの円弧BCの中心OはBCを境にしてAとは反対側にありAは円Oの外部にあります。

 

 Aから円Oに接線を引き,Aを中心としてAと接点を結ぶ線分を半径とする円を描けば,その円Γは明らかに直線AB,ACおよび円Oと直交します。

 すなわち⊿ABCの全ての辺と直交する円Γが存在します。

 

 そこで,この円Γを実軸に移す1次分数変換をTとして新しいs関数Tz(x)を考察します。

 

 この新しい関数Tz(x)を改めてz(x)と書けば1次分数変換は等角写像なのでΠ+のz(x)による像である円弧三角形の各辺は実軸と直交します。それ故,各辺はそれぞれ実軸上に中心を持つ円の弧です。

 このような円弧三角形を⊿ABCとし,例えば弧BCに関してこれを反転したものを⊿A'BCとします。

 

 弧BCの中心Oは実軸上にあり,その円の半径をrとすればPが実軸上の任意の点であるとき,OP・OP'=r2を満たす直線OP上の点P'はもちろん実軸上にあります。

 

 実軸の反転は元の実軸です。反転は角度を不変に保つので⊿A'BCの3辺もやはり実軸と直交する円弧,つまり,実軸上に中心を持つ円の円弧です。

 したがって,z平面上で⊿ABCから出発して辺に関する反転を次々に繰り返して得られる三角形の各辺は全て実軸と直交する円であり,実軸は実軸に移されます。

 Gに属する1次分数変換Tは全てこのような反転を偶数回合成すれば得られるので,∀T∈Gも実軸を実軸に移します。したがってこのようにz(x)を選んだ場合にはGの要素は全て実係数の1次分数変換で表わせるはずです。

 今,s関数z(x)の分枝の選び方によって⊿ABCがz平面の上半部にあったとします。

 

 全ての反転が実軸上に中心を持つ円に関して行なわれるので,反転をいくら繰り返しても作られる三角形は全てzの上半平面に含まれる故,Gの基本領域は全てzの上半平面に属することになります。

 基本領域全ての和集合をDとすれば,それがx(z)の定義域です。Dについては次のことが成り立ちます。

 

 (1) Dは無数の基本領域から成る。

 

 (2) Dは上半平面から実軸を除いた部分:{z|Imz>0}である。

 

 という命題が成立するように見えます。

 シュワルツは上記の命題を証明抜きで主張していましたが,これは決して自明なことではありません。

 

 特に,(2)を厳密に証明するには,シュワルツよりも後にポアンカレによって考案されたポアンカレ計量と呼ばれる1種の距離を上半平面に導入しなければなりません。

 

 この巧妙なテクニックについては,いずれポアンカレの項目で紹介する予定なのでここでは (2)を証明なしで認めておきます。

 これに対して(1)の方は次のようにして証明できます。すなわち,P∈Dとします。Dは基本領域で埋め尽くされており,各基本領域は2つの円弧三角形から成っています。

 

 故にPはある円弧三角形Δの内部にあるかその辺上にあるかのいずれかです。

 もしPがΔの内部にあればPはもちろんDの内点)です。一方PがΔの辺上にあってしかも頂点でないなら,Δをその辺に関して反転したものをΔ1とするとΔ∪Δ1は1つの基本領域であって,この場合も明らかにPはDの内点です。

 さらにPがΔの頂点ならPはいくつかの円弧三角形Δ, Δ12..Δnによって囲まれてしまうのでこのときもPはDの内点です。

 以上からDの点は全てDの内点であることになり,それ故,Dは開集合です。

 

 ところが基本領域は明らかに閉集合であり有限個の閉集合の和集合は閉集合なので,Dは無限個の基本領域の和である必要があります。

 

 故に(1)が成り立つことになります。

 したがってDが無限個の基本領域から成るので,x(z)は無数の異なるzに対して同一の値を取ります。

 

 故に逆関数z(x)はxの無限多価関数で,それ故,超越関数です。

 

 すなわち(ⅲ)の場合にも超幾何微分方程式の解は必ず超越関数を含み,したがって解が全て代数関数であるという場合ではありません。

 これで超幾何微分方程式の解が全て代数関数となるのは(ⅰ)の場合,すなわち,m,n,pが存在してλ=|1-γ|=1/m,μ=|γ-α-β|=1/n,ν=|α-β|=1/p, 1/m+1/n+1/p>1 である場合に限ることがわかりました。

 シュワルツはさらにλ,μ,νが整数となる場合も考察しています。

 

 これについては省略しますが,ただこの場合には例外的な場合を除いて超幾何微分方程式の解は対数関数を含むので代数関数にはなりません。

 また,λ,μ,νの中にゼロになるものがあると,それに対応する円弧三角形の頂角はゼロになりますが,そのときその頂点は実軸の上に乗っていなければなりません。

 ここで例としてλ=μ=ν=0 の特別な場合を挙げておきます。このときはα=β=1/2,γ=1ですから,ガウスの項で扱った例です。

 すなわち,そこでは「α=β=1/2,γ=1に対する超幾何微分方程式はx(x-1)(d2y/dx2)+(2x-1)(dy/dx)+(1/4)y= 0 で,そのx=k2 における解は1/M(1,k')=F(1/2,1/2,1;k2),1/M(1,k)=F(1/2, 1/2,1;k'2)=F(1/2, 1/2,1;1-k2)です。

 

 それら解の比は,τ=iK'/K=iM(1,k')/M(1,k)=iF(1/2,1/2,1;1-k2)/F(1/2,1/2,1;k2)で与えられました。

 そして,その逆関数x=k2(τ)はフックス群:Γ(2)/{±}に関するフックス関数でした。

 

 また楕円関数∫0xdx/{(1-x2)(1-k22)}1/2=uの逆関数:x=snuの周期は4Kと2iK'なので,τには楕円関数の周期の比という意味があります。

 

 k,k'はそれぞれsnuのモジュラス,補モジュラスと呼ばれ,k(τ),k'(τ)は楕円モジュラー関数と呼ばれる。という内容でした。

 シュワルツの研究での記号と比較すると,z=τ,x(z)=k2(τ)となります。すなわち,x(z)はモジュラー関数であってz平面上の基本領域については既にガウスの項で述べた通りです。

 シュワルツは超幾何方程式の解が代数関数となるための条件を決定することを目的としていたので,彼にとっては,場合(ⅰ)λ+μ+ν>1 が重要な意味を持っているのでしょうが,われわれにとっては.むしろ場合(ⅲ)λ+μ+ν<1 において現われる楕円関数とも異なる無限多価超越関数=フックス関数のx(z)の方に興味があります。

 

 これによってガウスによるモジュラー関数以外のフックス関数がはじめて発見されたわけです。(以上,シュワルツの項終わり)

 以上で,ポアンカレ以前の状況の説明を全て終わります。

  

 ここまでの部分は退院3日前の4月19日午前8時頃='朝飯前'に読了しました。

参考文献:斎藤利弥 著「線形微分方程式とフックス関数I(ポアンカレを読む)」(河合文化教育研究所) 

 

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2007年5月30日 (水)

超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(4)

 Fuchs型微分方程式(超幾何微分方程式)についてのSchwarz(シュワルツ)の理論の続きです。

 今までの議論ではz(x)の1つの分枝だけを考え,それによるx→zの写像を考えてきましたが,x(z)の性質を完全に調べるには,これだけでは不十分です。

 

z(x)が1つの分枝から他の分枝へ移るとき,x→zによるx平面の像{z(x)}がどのように変わるか?を詳細に調べる必要があります。

 

1,y2を超幾何微分方程式の1次独立な解として,s関数:

(x)=y1/y2を考えます。

 

そして,-{0}∪{1}とおいての中に点x0を取りの基本群=π1(,x0)を考えます。

 

ここで,の基本群=π1(,x0)とは何か?ということを説明しておきます。

 

まず,

 

 "x0から出発してx0に戻る有向閉曲線の集合をΓ0とするときγ12∈Γ0に対して,γ12がhomoiopic(ホモトピックまたはホモトープ)であるとき,γ1~γ2である。"

  

と定めることによって1つの同値関係: ~を定義します。

  

それによって作られる"同値類=homotopy類(homotopy^class)"において,γ∈Γ0を代表元とするものをγ~で表わします。

 

※(注):ここで,2つの有向曲線:α,βが互いにhomotopicであるとは,

 

"これらの曲線が定義されている平面上で,αを移動させてβに重ねることができる連続写像(homotopy)が存在する。"

 

ことを意味します。

  

(有向曲線:α,βは閉曲線とは限りませんが互いの始点同士,終点同士は一致しています。)

     

 故に,もしも移動:α→β,またはα←βの際に,移動する有向曲線が掃く平面領域:Sに特異点があるなら,この移動(homotopy写像)は連続写像とは見なされず,両者はhomotopicではない,ことになります。

 

(注終わり※)

 

 

そして,∀γ12∈Γ0に対して,x0から出発して,まずγ1を1周し,続いてγ2を1周することによって得られる閉曲線をγ1とγ2の積:γ2γ1∈Γ0であると定義します。

 

これによって,,Homotopy類における乗法(or 積):(γ2γ1)~≡γ21~を定義します。

 

このhomotopy類の全体から成る集合は,乗法に関して群をなすので,これをの基本群と呼びπ1(,x0)という記号で表わします。

 

次に,γ~∈π1(,x0)とするときy1,y2を基底として得られる,

γ~に対応するMonodromy行列:M(γ~)を,(y1(γ~x0),y2(γ~x0))

≡(y1(x0),y2(x0))M(γ~)によって定義します。

 

j(γ~x0)はyj(x0)をx0から出発してγ~に属するγに沿って解析接続し,1周して元のx0まで戻ったときに得られた関数です。

 

ここで,特別なx0ではなく任意のx∈を考え,複素x平面から[-∞,0]∪[1,∞]を除いた範囲内で,xとx0を結ぶ任意の経路をCxとします。

 

xからCxに沿ってx0まで行き,そこからγ~に属するγに沿って1周してx0まで戻り,最後にCxを逆向きにたどってxに戻る経路も1つの有向閉曲線です。これをCx-1γCxと書くことにします。

 

j(x) (j=1,2)の1つの分枝を取り,それをこの経路Cx-1γCxに沿って解析接続してxに戻ったときに得られる分枝をyj(Cx-1γCxx)と書けば,

 

(y1(Cx-1γCxx),y2(Cx-1γCxx))=(y1(x),y2(x))M(γ~)

となるのは明らかです。

 

これは,Cxが[-∞,0]∪[1,∞]を横切らなければ,経路Cxには依存しません。

 

 それ故,改めてCx-1γCx(for γ∈γ~)の全体をγ~とし,上の関係を(y1(γ~x),y2(γ~x))=(y1(x),y2(x))M(γ~)と書くことに決めます。

 

こうして,π1(,x0)は,実は特別な点x0には依らないということが示されました。

 

ここで,2×2行列M(γ~)の成分をM(γ~)≡(mij(γ~))i,j=1,2とすれば,y1(γ~x)=m11(γ~)y1(x)+m21(γ~)y2(x),y2(γ~x)=m12(γ~)y1(x)+m22(γ~)y2(x)です。

 

z(γ~x)=y1(γ~x)/y2(γ~x)により,

z(γ~x)=[m11(γ~)z(x)+m21(γ~)]/[m12(γ~)z(x)

+m22(γ~)]と書けます。

 

したがって,γ~によって定まる1次分数変換:T(γ~)を,

T(γ~)z≡[m11(γ~)z+m21(γ~)]/[m12(γ~)z+m22(γ~)]

で定義すれば,

 

x平面上の点が経路γ~を1周することで生じるs関数z(x)の解析接続は,z(x)→T(γ~)z(x)で与えられます。

 

21~))=T(γ2~)T(γ1~)となるのは明らかですから,

 

対応:M(γ~)→T(γ~)によって,

Monodromy行列:M(γ~)全体の作る群であるMOnodromy群は,

T(γ~)全体の作る集合の上に準同型に写像されます。

 

そこで,Gが上記のT(γ~)全体の集合を表わすとすると,Gも1つの群となります。

 

ところで,z(x)→T(γ~)z(x)は,xがγ~を1周して元のxに戻ったときにzがT(γ~)zに移ることを示す式なので,逆に,xをzの関数と考えればx(T(γ~)z)=x(z)の成立を意味します。

 

あるs関数の1分枝をz(x)で表わせば,その他の分枝はGに属する1次分数変換Tを用いて,Tz(x)と表わされます。

 

z(x)によるx平面全体Πの像をz(Π)とすると,z(x)の他の分枝によるΠの像はTz(Π) (T∈G)です。

 

 前の記事で述べたように,Tz(Π)もやはりz(Π)同様,z平面上での1つの円弧四辺形で与えられます。

 

 そしてx(z)はzの1価関数であるとしているので,2つの異なるxの値と1つのzが対応することはありません。

 

そこで,仮にz(Π)∩Tz(Π)≠φであるとすれば,

1∈z(Π)∩Tz(Π)なるz1が存在して適当なx1,x2∈Πに対して

1=z(x1)=Tz(x)が成立します。

 

ところが,Tが恒等変換でないならz(x1)≠Tz(x1)ですから,

z(x1)=Tz(x)というのはx1≠x2を意味します。

 

したがって,x1=x(z1),x2=x(T-11)=x(z1),かつ

1≠x2となり,これはx(z)の1価性に反します。

 

それ故,T≠1ならz(Π)∩Tz(Π)=φでなければなりません。

 

つまり,2つの円弧四辺形z(Π)とTz(Π)が重なることは,全く然ないわけです。

 

それ故,円弧四辺形の総和:∪T∈GTz(Π)はz平面のある領域を重複することなく覆うことになります。

 

この領域がz(x)の逆関数x(z)の定義域となります。

 

これまでの考察をまとめると,

 

"s関数z(x)の逆関数x(z)がzの1価関数となる条件は,m,n,pを正整数としてλ=1/m,μ=1/n,ν=1/pと書けることである。

 

このとき,z(x)の1分枝によるz平面Πの像:z(Π)を∀T∈Gで移したものの全体は互いに重なり合わない円弧四辺形によって覆われる領域であって,

 

x(z)はこの上で定義された次の2つの性質を持つ関数である。"

 

と要約されます。

 

そして,x(z)が満たす2つの性質とは,

 

"(1) 1つ1つの円弧四辺形の上ではx(z)は 0,1 以外の全ての複素数をただ1回ずつ取る。

 

(2) ∀T∈Gに対してx(Tz)=x(z),すなわちx(z)は群Gに関する保型関数である。"

 

というものです。

 

今日はここまでにします。

 

ここまで書いたところで,その昔,完全には理解できないながらも読了した覚えのある久賀道郎 著「ガロアの夢(群論と微分方程式)」(日本評論社)という本についての記憶がよみがえりました。

 

"上述の話は,その本の内容の一部によく似ているな。"という感覚を覚えました。

 

もっとも,こっちの本の方はガロア群に関する話とか,より高度な内容を含んでいるようですが。。。。

 

最近,T_NAKAさんも,そのブログの「同値類別について」という記事の中でこの書物に触れられていましたが,私にとってもこの本は未だに興味深いテキストだと思います。

 

参考文献:斎藤利弥 著「線形微分方程式とフックス関数I(ポアンカレを読む)」(河合文化教育研究所)

 

 

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2007年5月29日 (火)

安倍の犠牲者

 しかし,安倍はひどい。。小泉もひどかったけど,これほどではないだろう。

 最近はこうしたことは書きたくなくて,,つとめて科学ネタに逃避していたけど,我慢にも限度がある。

 まあ、安倍がひどい,といっても,こういうことは1人だけでできるわけではないし,唯物論者としては,個人を責めてもしかたない,という気持ちもありますが。。

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超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(3)

 前記事の続きです。

 これまでは独立変数をzとしてきましたが,以下では便宜上,zの代わりに独立変数として文字xを用いることにして,zはxの従属変数の文字として使用します。

 もちろん,変数名がxだからといって実数というわけではなく,ここでのxは一般に複素数を表わします。

(x)を超幾何微分方程式の1つのs関数とします。

 

このとき,s関数の定義によって超幾何微分方程式:

(x-1)(d2/dx2)+[(α+β+1)x-γ](dy/dx)+αβy=0 の1次独立な解1,y2を適当に選ぶとz(x)=y1/y2と書くことができます。

 

ここで,x0を 0,1,∞ 以外の複素数として,z0≡z(x0)とします。

 

このときz0=∞となることも有り得ますが,それはy2(x0)=0 のときに限ります。

 

z'=dz/dx=(y1'y2-y12')/y22であり,y1,y2は1次独立ですから,x=0,1,∞ 以外では,y1,y2のWronskian(ロンスキアン)はゼロにはなりません。

 

つまり,y1'(x0)y2(x0)-y1(x0)y2'(x0)≠ 0 です。

 

そこで,z0≠∞ ならy2(x0)≠0 なので,0<|z'(x0)|<∞ です。

 

また,z0=∞ならy2(x0)=0 ですが,このとき,もしy2'(x0)= 0 なら恒等的にy2(x)≡ 0 となりますから,1次独立性に矛盾します。

 

それ故,y2'(x0) ≠ 0 でなければなりませんから,x0は 1/z=y2/y1の1位の零点で,(1/z)'x=x0≠ 0 です。

 

以上から,複素x平面のC-[{0}∪{1}]を複素z平面のC∪{∞}に写す写像x→z(x)は全ての点において1対1です。

 

したがって,"複素平面上の各点における交角の角度を保存する写像=等角写像"です。

 

今後は,超幾何方程式のパラメータα,β,γは全て有理数である場合のみを考えます。

 

それは,今考えている対象は超幾何微分方程式の全ての解が代数関数である場合で,既に述べたようにこれが成り立つためには,解の分岐点が全て代数分岐点でなければならないため,α,β,γが全て有理数になることが必要だからです。

 

さらに,簡単のためにλ=|1-γ|,μ=|γ-α-β|,ν=|α-β|は整数ではないとしておきます。

 

全x平面をΠ,その上半部:Imx>0 をΠ+で表わします。

 

そしてΠ+をs関数z(x)によって,z平面に写像したらどうなるか?を考えます。

 

(x)はy1,y2がxの多価関数なので一般にxの多価関数です。

 

しかし,xがΠ+を動く限りでは,それは分岐点 0,1,∞ の周りを1周することができません。

 

そこで,予め分枝を1つ定めておけば,決して他の分枝に移ることはないので,Π+においてはz(x)は1価です。

 

また,z(x)はx= 0,1,∞ に特異点を持ちますが,

それらは超幾何微分方程式:

/(x-1)(d2/dx2)+[(α+β+1)x-γ](dy/dx)+αβy= 0 の確定特異点で,しかもλ,μ,νが有理数です。

  

(λ=|1-γ|,μ=|γ-α-β|,ν=|α-β|です。)

 

xがΠ+の中から実軸に向かって 0,1 に,あるいは∞ に近づくとき,

z(x)は確定した値(∞も含めます)に近づきます。

 

そこでこの極限値を0,1,∞ におけるz(x)の値であると定めます。

 

まず,実軸上の3つの区間(-∞,0],[0,1],[1,∞)のz(x)による像を定めます。

 

1=x1-γ(α-γ+1,β-γ+1,2-γ;x),y2=F(α,β,γ;x)とし,解の比z(x)としては,γ<1のときy1/y2,γ<1のときy2/y1を取ることにします。

 

ただし,F( , , :x)としては,|x|<1において超幾何級数で表わされる分枝を取ることにします。x1-γとしては,xが実数でx≧0 のときにはx|1-γ|≧0 となる分枝を選びます。

 

α,β,γは有理数であり,したがって実数なので,

F(α-γ+1,β-γ+1,2-γ;x),F(α,β,γ;x)はいずれも実係数の2階常微分方程式の解でx= 0 の近傍では,解とその1階導関数が実数値を取ります。

 

そこで,それを実軸に沿って解析接続していくと特異点x=1を超えない範囲-∞≦x≦1ではこれらは実数値を取ります。

 

したがって,γ<1のときz(x)=y1/y2,γ<1のとき,

z(x)=y2/y1よりs関数=解の比z(x)は,z(x)

=x|1-γ|P(x)=xλP(x)(-∞≦x≦1ではP(x)∈)

のような形を持ちます。

 

今,xが1から実軸に沿って-∞まで動くとき,z(x)はどのように変化するかを見てみます。

 

|1-γ|=xλはx≧0 のときに負にならない分枝を取っており,さらにF( , , :0)=1なのでxがゼロに近い正の値を取るとき,z(x)>0 でz(0)=0 です。

 

故に,実区間: 0≦x≦1はz平面の実軸上の線分:

0=z(0)≦z≦z(1)に移ります。

 

xがゼロを通過してx<0 の範囲に入ると,arg(x)はπだけ増加するのでxλはeπiλ|x|λに変化します。

 

P(x)は依然,実数値を取り続けるのでxの区間[0,-∞]はz(0)においてz平面の実軸と角度λπをなす線分z(0)→z(∞)に移ります。

 

このとき,もしλ>2であるとλπ>2πより,Π+の像がz平面上で重なり合いz平面の1部を2重に覆うようになります。

 

そこで,こうした場合は今後考えないことにして,λ=|1-γ|<2 を仮定しておきます。

 

今はz(x)として特別なs関数を選んだわけですが,他の一般のs関数z^(x)を選んだ場合には,

z^(x)=(az(x)+b)/(cz(x)+d) (ad-bc≠0 )

が成り立ちます。

 

z^(x)による-∞≦x≦1 の像は,今求めた図形:

(z(1)→z(0)→z(∞))に1次分数変換を施したもの

になります。

 

このとき,線分は一般に円弧に移るので求める図形:

(z^(1)→z^(0)→z^(∞))はz^(0)で交わる2つの円弧

になります。

 

そして,その交角は1次分数変換が等角写像なのでやはりλπです。

 

次には,y1(1-x)γ-α-βF(γ-β,γ-α,γ-α-β+1;1-x), y2=F(α,β,α+β-γ+1;1-x)とし解の比z(x)としては,γ-α-β<1のときy1/y2,γ-α-β<1のときy2/y1を取ることにします。

 

そして,0≦x≦∞ のz(x)による像を考えると,前と同様にして,これはz(1)において角度μπをなして交わる2つの線分になります。

 

同様にして,x=∞の周りで展開した2つの超幾何関数解の比:z(x)について考察して,

 

xの実区間[1, ∞]∪[-∞,0]のz(x)による像はz(∞)において角度νπをなして交わる2つの線分になることもわかります。

 

そしてz(1)において角度μπをなして交わる2つの線分とz(∞)において角度νπをなして交わる2つの線分も,他の一般のs関数z^(x)を選んだ場合には,それぞれz^(1)において角度μπで交わる2つの円弧とz^(∞)において角度νπで交わる2つの円弧になります。

 

以上からx平面の実軸全体のs関数による像はz^(0),z^(1),z^(∞)を頂点とする円弧三角形となることがわかりました。

 

そしてz^(0),z^(1),z^(∞)における頂角は,

それぞれ,λπ,μπ,νπです。

 

ここで次に挙げる複素関数論の定理を用います。

 

"複素x平面上の区分的に滑らかな曲線Cが単連結な領域Dを囲んでいるとする。

 

関数f(x)が与えられ,これはD∪Cから有限個の点a1,a2,..,amを除いたところで正則であり,ajにおいてはf(x)=f(aj)+(x-aj)λjφj(x),0<λj<2,φj(x)はajにおいて正則でφj(aj)≠0 のような形をしているとする。

 

このとき写像:x→z=f(x)によってCがz平面上の単純閉曲線:C~に1対1に写像されるならば,DはC~によって囲まれる領域D~に等角写像され,f(x)はDにおいて単葉である。つまりDとD~の対応は1対1である。" 

 

という定理です。

 

この定理については,ここでは証明せずに認めることにします。

 

そして上述の定理を用いることにより,結局,

 

+から実軸を除いた領域はs関数によってw平面の円弧三角形の内部に1対1に等角写像される。"

 

ということがわかります。

 

ただし,λ<2,μ<2,ν<2は常に仮定されているとしています。

 

次に,s関数によるΠ全体の像を考えます。 

 

まず,s関数を1価にするため,x平面上での実軸上の区間 [-∞,0],[1,∞]をΠから除きます。

 

こうすればs関数はこの範囲で1価正則です。

 

z(x)としては特にx平面実軸上の0≦x≦1において実数値を取るものを選んでみます。

 

そうすれば,Π+はw平面の実軸上の区間[z(0),z(1)]に対応する線分を1辺とし,2つの円弧を2辺とする三角形に写像されます。

 

z(x)はΠ+-([-∞,0]∪[1,∞])で正則で境界[0,1]で実数値をとるように定義されているので鏡像の原理によってz(x*)=z*(x)が成立します。

 

すなわちx平面の下半部のz(x)は,z(x)≡z*(x*)によって,上記Π+-([-∞,0]∪[1,∞])の円弧三角形を,実軸に関して対称な裏返しにした円弧三角形の内部に写像されます。

 

こうして,2つの互いに対称な円弧三角形を境界[z(0),z(1)]で連結させた円弧四角形がz(x)によるΠの像です。もちろん,Πとこの四角形の対応も1対1です。

 

そして,z(x)として,0≦x≦1において実数値を取るという特別なものではなく,一般のs関数を採用すると,それによるΠの像は先のz平面の特別な四角形を1次分数変換で移したものになります。

 

実軸に関する対称変換:z→z*を一般の円弧について一般化したものは反転という変換に対応します。

 

反転というのは,中心がOで半径がrの円または円弧があって,Pをその円の内側または外側にある任意の点とすると,その点PにOP・OP'=r2を満たすような半直線OP上の点P'を対応させる写像のことです。

 

なお,直線も半径が∞の円の1種であると考え,その際には単に直線に関する対称点をとる写像=対称変換を反転と定義します。

 

反転の主な性質は次の3つです。

 

(ⅰ)反転によって円は円に移る。ただし直線も円の1種とみなす。

 

(ⅱ)反転により角度は不変に保たれる。

 

(ⅲ)直線lに関する点Pの対称点をP'とし1次分数変換によって直線lが円Cに,P,P'がQ,Q'に移ったとすれば,QとQ'は互いに円Cに関する反転になっている。

 

ただし.a∈とし円Cが|z-a|2=r2で与えられているとすると,

wのCによる反転をz'とすれば,z'=a+r2/(z*-a*)

=(az*+r2-|a|2)/(z*-a*)なので,反転は1次分数変換ではありません。

 

しかしz'=a+r2/(z*-a*)という形から明らかなように,反転を2回合成したもの,それ故,偶数回合成したものは1次分数変換です。

 

Schwarzの目的はz(x)が代数関数になる条件を求めることですが,彼はここで関数z(x)そのものではなく,その逆関数x(z)を考えます。

 

そして代数関数の逆関数も代数関数ですから,x(z)が代数関数となる条件を求めても,その目的は達せられます。

  

彼は,ここでさらに問題を単純化して,x(z)がzの1価関数となる場合のみを考えます。

 

1価の代数関数は有理関数ですから,結局Schwarzはx(z)が有理関数となる条件を求めることによって,彼の問題に部分的な解決を与えたわけです。

 

そこで,x(z)がzの1価関数となる条件を求めます。

 

既に示したように,x=0,1,∞以外ではxとz(x)の対応は1対1なので,それらの点の近傍以外ではx(z)はzの1価関数です。

 

それ故,x=0,1,∞ の近傍におけるxとzの対応関係のみが問題となります。

 

z=0 の近傍での対応は既に述べたように,z(x)=xλP(x),λ=|1-γ|と書けて,P(x)はx=0 の近傍で正則かつP(0)≠0 です。

 

したがって,その逆関数はz=0 の近傍ではz1/λの正則関数となります。そこでx=0 の近傍に関する限り,x(z)がzの1価関数であるためには1/λが整数である。ということが必要十分です。

 

同様にx=1の近傍とx=∞ の近傍を考えることにより,

パラメータ:μ=|γ-α-β|,ν=|α-β|に関しては,

 

"x(z)がzの1価関数であるための条件は1/μ,1/νが整数となることである。"

 

という結論が得られます。

 

すなわち,x(z)がzの1価関数であるための条件は,正の整数m,n,pが存在してλ=1/m,μ=1/n,ν=1/pとなることである。ということが示されました。

 

今日はここまでにします。

 

参考文献:斎藤利弥 著「線形微分方程式とフックス関数I(ポアンカレを読む)」(河合文化教育研究所)

 

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2007年5月28日 (月)

超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(2)

超幾何微分方程式の代数関数解に関するシュワルツ(Schwarz)の研究についての話の続きを記述します。

 

前回の最後では,超幾何微分方程式の全ての解が代数関数であるという命題が成り立つための必要十分条件は2つの1次独立な解の比が代数関数であることである。ということを証明しました。

  

それは,2つの1次独立な解を1,y2とすると,

d(y2/y1)/dz=(y12'-y1'y2)/y12 が代数関数である

という条件と同値でした。

 

ところで,

2階線形常微分方程式:2/dz2+p(z)dy/dz+q(z)y= 0 の2つの解の比を一般解とするような微分方程式はどのような方程式でしょうか?

 

これを求めるのが今日の課題です。

 

まず,1次独立な解を1,y2を任意に取ると,

2/dz2+p(z)dy/dz+q(z)y= 0 の2つの解の比は,

一般にw(z)=(ay1+by2)/(cy1+dy2)(a,b,c,d∈C)

と書けます。

 

そこで,このw(z)を一般解とするような微分方程式を求めるにはwとwの導関数を用いて任意定数a,b,c,dを消去すればいいということになります。

 

まず,ζ=y1/y2とおけば,w=(aζ+b)/(cζ+d)であり,

w'=(ad-bc)ζ'/(cζ+d)2です。

 

それ故,logw'=log(ad-bc)+logζ'-2log(cζ+d)であり,

そこでd(logw')/dz=d(logζ')/dz-2cζ'/(cζ+d),

 

さらに微分して,2(logw')/dz2=d2(logζ')/dz2

-2cζ"/(cζ+d)+2c2ζ'2/(cζ+d)2 を得ます。

 

これらによって,等式:

2(logw')/dz2-(d(logw')/dz)2/2

=d2(logζ')/dz2-(d(logζ')/dz)2/2,

 

あるいは

(d/dz)(w"/w')-w"2/(2w'2)

=(d/dz)(ζ"/ζ')-ζ”2/(2ζ'2),

 

すなわち,(2w'w(3)-3w"2)/(2w'2)

=(2ζ'ζ(3)-3ζ"2)/(2ζ'2)を得ます。

 

つまり,(2ζ'ζ(3)-3ζ"2)/(2ζ'2)は1次分数変換(Möbius変換);

w=(aζ+b)/(cζ+d)に関して不変です。

 

(2ζ'ζ(3)-3ζ"2)/(2ζ'2)をSchwarzの微分式,またはSchwartz微分(Schwarzian derivative)と呼び,記号{ζ,z}で表わします。

 

wはd2/dz2+p(z)dy/dz+q(z)y=0 の2つの解の比が満たす微分方程式の一般解であり,ζはその1つの特殊解です。

 

この特殊解に対して,{ζ,z}を計算し,それをp(z),q(z)で表わしたものを(2w'w(3)-3w"2)/(2w'2)=(2ζ'ζ(3)-3ζ"2)/(2ζ'2)の右辺に代入すれば,求める微分方程式が得られます。

 

ζ=y1/y2,ζ'=(y1'y2-y12')/y22より,d(logζ')/dz

=(y1"y2-y12")/(y1'y2-y12')-2y2'/y2 です。

 

y=y1,およびy=y2は,それぞれが

2y/dz2+p(z)dy/dz+q(z)y=0 の解ですから,

 

d(logζ')/dz=-p-2y2'/y2,

2(logζ')/dz2=-p'-2(y1"y2-y2'2)/y22

=-p'+2qy2'/y2+2q(y2'/y2)2 となります。

 

これから,結局,

2(logζ')/dz2-(d(logζ')/dz)2/2 =2q-p'-p2/2

が成立することがわかりました。

 

以上から,求める微分方程式として,

{w,z}≡(2w'w(3)-3w"2)/(2w'2)=2q-p'-p2/2

が得られました。

 

これをSchwarzの微分方程式といいます。

 

変換:w=(aζ+b)/(cζ+d)においては,4つの任意定数a,b,c,dのうちで独立なのは3つだけですから,これらを消去するには3階微分までが必要であろう,と予想され,その通りになりました。

 

超幾何微分方程式では,

(z)={(α+β+1)z-γ}/{z(z-1)}

=γ/z+(α+β-γ+1)/(z-1),

q(z)=αβ/{z(z-1)}なので,

 

2q-p'-p2/2=(2γ-γ2)/(2z2)+{2(α+β-γ+1)

-(α+β-γ+1)2}/{2(z-1)2}

+{2αβ-γ(α+β-γ+1)}/{z(z-1)}となり,

右辺はかなり煩雑な式になります。

 

そこで,特異点 0,1,∞ に対する決定方程式の根の差の絶対値を,それぞれλ,μ,νとおいて:λ≡|1-γ|,μ≡|γ-α-β|,ν≡|α-β|とし,これを用いて,2q-p'-p2/2 の表式の右辺を表現します。

 

すると.

2q-p'-p2/2=(1-λ2)/(2z2)+(1-μ2)/{2(z-1)2}

+(1-λ2-μ2+ν2)/{z(z-1)} になります。

 

超幾何微分方程式に対するSchwarzの微分方程式は,

{w,z}=(1-λ2)/(2z2)+(1-μ2)/{2(z-1)2}

+(1-λ2-μ2+ν2)/{z(z-1)} で与えられます。

 

そして,この方程式の解;w(z)全体が作る関数族をs(λ,μ,ν;z)と表わし,その各々の要素をSchwarzのs関数と呼びます。

 

1,w2が共にs関数なら,それらの間には,

2=(aw1+b)/(cw1+d) (a,b,c,d∈C,ad-bc≠0 )

という関係が成り立ちます。

 

長くなりそうなので今日はここまでにします。

 

(PS:私の近況です。

 

手術(4/10),退院(4/22)から1ヶ月以上経って日常生活には支障なくなりましたが,まだ仕事復帰できるほど元気には動けません。

 

単に体調が復活するだけなのに,こんなに時間がかかるのか?という感覚で少々困惑しています。)

 

参考文献:斎藤利弥 著「線形微分方程式とフックス関数I(ポアンカレを読む)」(河合文化教育研究所)

 

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2007年5月27日 (日)

代数的数と超越数

 前の記事で,代数関数,および超越関数に関連したことを記述したことがきっかけで,急にこれに関連した代数的数,および超越数の記事を書きたいという欲求が起きました。

そこで,今日はコーヒー・ブレイクとして代数的数と超越数の定義や性質について少し記述してみようと思います。 

 

まず,これらの定義は,

 

"a0,a1,..,an-1,anを任意の整数(nは任意の自然数でa00)とするとき,複素数αがa0,a1,..,an-1,an を係数とする代数方程式a0n+a1n-1+..+an-1x+an0 の解の1つならαを代数的数と呼ぶ。

 

一方,複素数αが如何なる整数係数の代数方程式の解にも成り得ない場合には,このαを超越数と呼ぶ。"

 

というものです。

 

まず,複素数αが代数的数であり係数a0,a1,..,an-1,anが全て整数環の元の代数方程式a0n+a1n-1+..+an-1x+an0 の解である場合には,整数は有理数ですから,係数a0,a1,..,an-1,anが全て有理数体の元であるような代数方程式の特別な場合です。

 

それ故,代数的数αはいつでも有理数係数の代数方程式の解であることは明らかです。

 

その逆,つまり複素数αが有理数係数の代数方程式の解であるならば,それはいつでも"整数係数の代数方程式の解=代数的数"であるということをも示すことができます。

 

すなわち,a0n+a1n-1+..+an-1x+an0 を,その係数:a0,a1,..,an-1,an が全て"有理数=有理数体の元"の代数方程式とすると,a0,a1,..,an-1,anを全て既約分数で表わしたときのn個の分母の整数の最小公倍数を方程式の両辺に掛けて得られる代数方程式は係数が全て整数の代数方程式です。

 

これは方程式としては,元の有理係数のそれと全く同じですから,解はこの操作の前後で全く不変です。

 

したがって,複素数体の中で整数係数の代数方程式の解と有理数係数の代数方程式の解は全く同じもので,共に代数的数を定義するものとなっています。

 

次に上に定義した,全ての代数的数の集合をΩとします。そして,まずΩの濃度=Card(Ω)が可算であること,つまり,Card(Ω)=\aleph_0 (alef-0:アレフ・ゼロ)であることを示しましょう。

 

「代数学の基本定理」によれば,n次代数方程式f(x)=0 は複素数体の中に少なくとも1つの解を持ちます。

 

(※PS:上述の「代数学の基本定理」については,本ブログの2007年8/17の記事「 代数学の基本定理」を参照)

 

(x)=0 の解(=多項式f(x)の零点)の1つをα∈とすれば,多項式f(x)は(x-α)で割り切れて,f(x)=(x-α)g(x)(g(x)は多項式)と表わすことができます。

 

そして,g(x)=0 も,(n-1)次代数方程式ですから,それは複素数体の中に少なくとも1つの解を持ちます。

 

これを繰り返せば,結局n次代数方程式は複素数体の中に高々n個の異なる解を持つ,ということがいえます。

 

nを固定したときのn次代数方程式の(n+1)個の係数の組はそれを(0,a1,..,an-1,an)と(n+1)次元ベクトルの形式で表わしたとき,その座標成分が全て整数で与えられる(n+1)次元空間を形成しますから,その全ての係数集合の濃度は\aleph_0n+1\aleph_0 を超えません。

 

係数の組の個数は明らかに有限ではありませんから,その(n+1)次元空間の濃度は丁度 \aleph_0 (可算個)に等しいことになります。

 

そして,たった今示したことから,各々の(0,a1,..,an-1,an)に対してそれを係数とするn次代数方程式の異なる解の個数は高々n個ですから,nを固定したときのn次代数方程式の解の集合の濃度は高々(n×\aleph_0)であり,結局\aleph_0(可算)であるということになります。

 

そして,代数的数の集合Ωの濃度:Card(Ω)はnを固定したときのn次代数方程式の解の集合をn=1,2,..について全て総和したもので与えられますから,Card(Ω)=Σn=1\aleph_0\aleph_0×\aleph_0\aleph_0です。

 

こうして,代数的数の集合Ωの濃度は\aleph_0であること,つまり,整数係数(有理数係数)の代数方程式の解になることが可能な複素数の個数は可算個であることが示されました。

 

元々複素数全体の濃度は可算ではなく,連続無限ですから代数的数Ωの個数に比べて"超越数=Ω"の個数の方がはるかに多い,ということがわかりました。

 

次に,より本質的な性質であると思われる,"Ωは体をなす"という命題を証明することにします。

 

それには集合Ωが加法について群をなすこと,および集合Ω×Ω{0}が乗法について群をなすこと,の両方を示せば十分です。

 

Ω,Ω×が,それぞれ,加法,乗法について閉じていれば,結合法則,α,β,γ∈Ωなら,(α+β)+γ=α+(β+γ),およびα,β,γΩ×なら(αβ)γ=α(βγ)が成立することは明らかです。

 

また,0と1は明らかに代数的数ですから,0が加法群Ωの,1が乗法群Ω×の単位元であることも明らかです。

 

さらに,α∈Ωであってf(α)=0αn+a1αn-1+..+an-1α+an0 (a0,a1,..,an-1,an)が成立するとします。

 

このとき,{(-1)n0}(-α)n{(-1)n-11}(-α)n-1+..+(-an-1)(-α)+an0 が成立するので,(-α)Ωです。

  

特にα≠0なるときは,n(1/α)n+an-1(1/α)n-1+..+a1(1/α)α+a00 が成立するので,(1/α)=α-1Ω×となることもいえます。

 

そこで,加法と乗法について,共に単位元と逆元が存在することも自明です。 

 

ところが,Ωが加法について閉じていること,つまりα,β∈Ωなら(α+β)∈Ωとなること,およびΩ×が乗法について閉じていること,つまりα,β∈Ω×ならαβ∈Ω×となることを具体的に示すのは少々やっかいです。

 

証明のために,まずαがf(α)=0αn+a1αn-1+..+an-1α+an0 (a0,a1,..,an-1,an∈Z)を,βがg(β)=b0βm+b1βm-1+..+bm-1β+bm0 (b0,b1,..,bm-1,bm∈Z)を満足するとします。

 

ここで,一般性を失うことなくn≧mと仮定してよいので,そのように仮定します。

 

x=α+βとおくと,α=x-βより(α)=f(x-β)=0 ですから,φ(x)≡f(x-β)=c0n+c1n-1+..+cn-1x+cnと定義すれば,φ(x)はxのn次多項式でφ(α+β)=0 です。

 

一方,x=αβとおくとα=x/βより(α)=f(x/β)=0 ですから,ψ(x)≡f(x/β)=d0n+d1n-1+..+dn-1x+dnと定義すればψ(x)はxのn次多項式でψ(αβ)=0 が成立します。

 

ところが,c0,c1,..,cn-1,cn ;d0,d1,..,dn-1,dn は一般に整数あるいは有理数ではありませんから,x=α+βやx=αβは確かに代数方程式φ(x)=0 やψ(x)=0 の解ですが,それが代数的数であるとはいえません。

 

あるいは,f(x)=(x-α)f1(x),g(x)=(x-β)g1(x)より,y≡2xとしてχ(y)≡fg1+f1g={y-(α+β)}f1(y/2)g1(y/2)と定義すれば,これは確かにy=α+βを解とします。

 

しかしχ(y)はyの多項式ではありますが,その係数は整数または有理数ではありません。

 

有理数係数の多項式を微分しても導関数はやはり有理数係数の多項式ですから,これらの操作や性質を用いることも試行しましたが,私の力不足かα+βやαβを解とする具体的な整数あるいは有理数係数の代数方程式を求めようとする方法ではうまくいきません。

 

そこで抽象的な方法を利用することにし,代数的整数論の知識を借りて,α,β∈Ωなら(α+β)∈Ω,かつαβ∈Ωとなることを示します。

 

有理数体をで表わすとき,α∈Ωを仮定して"αの上の最小多項式=αを根とする有理数係数のモニック(最高次の係数が1の多項式)でその次数が最小のもの"をf(x)とします。

 

αの上の最小多項式f(x)の表現をf(x)=xn+a1n-1+..+an-1x+an (a1,..,an-1,an):f(α)=αn+a1αn-1+..+an-1α+an0 とします。

 

同様に,β∈Ωとして,βの上の最小多項式をg(x)とします。(x)=xm+b1m-1+..+bm-1x+bm (b1,..,bm-1,bm):(β)=βm+b1βm-1+..+bm-1β+bm0 です。

 

そして,の部分環であって,α,βを含む最小の環,つまり有理数体にαとβを添加してできる環を[α,β]とします。

 

このとき,αの最小多項式f(x)の性質:f(α)=0 から,αn=-a1αn-1-..-an-1α-anが成立しますから,αの全ての次数の量は1,α,..,αn-1の元を係数とする1次結合で表わすことができることがわかります。

 

同様に,βの全ての次数の量は,1,β,..,βm-1の元を係数とする1次結合で表わせます。

 

 それ故,[α,β]の全ての元は(nm)個の(αiβj)(i=0,1,..,n-1;j=0,1,..,m-1)の1次結合で表わすことができます。

 

 (nm)個の(αiβj)を,改めてθk(k=1,2,..,nm)と書きます。

 

 このとき,∀γ∈[α,β]に対してγθk(k=1,2,..,nm)も全て[α,β]の元ですから,これらの各々はγθk=Σj=1nmkjθj(bkj)とθj(j=1,2,..,nm)の1次結合で表わすことができます。

 

 そこで,θk(k=1,2,..,nm)の集合をθt12,..,θnm)と列ベクトルの形で再定義し,Bをの元bijを成分とするnm次の正方行列とすれば,γθ=Bθ,つまり(γE-B)θ=0 と表現できます。

 

 そして,θ≠0 なので,det(γE-B)=0 が成立します。

 

 (detAはAの行列式(determinant)を意味します。)

 

 det(γE-B)=0 はγを根とする係数が有理数のnm次の代数方程式です。それ故,γ∈Ωとなります。

 

 したがって,[α,β]⊂Ωであることが示されたわけです。

 そこで特にα+β,αβ∈Ωです。

 

 以上で,代数的数全体の集合Ωは体をなす,すなわち,複素数体の可算な部分体である,という命題が証明されました。 

 

まだ,eやπが超越数であることを示すという魅力的な話題も残っています。

 

eやπが無理数であることや超越数であることの証明は,ちょっと興味が湧いて1年くらい前に買った本に詳ししく載っています。

 

しかし,本の内容をただ写してブログ記事にする。というのはやりたくないので,書名を紹介するに留めて,今日はこのくらいにします。

 

その書名は塩川宇賢 著「無理数と超越数」(森北出版)です。

そのまんまですね。

 

参考文献:石田 信 著「代数的整数論」(森北出版)

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2007年5月26日 (土)

ジャズライブ(やねせん)に行ってきました。

 以前2006年8月6日(日)の「花火大会」という記事で,その前日の土曜日に板橋の花火大会に行ったことを書きました。

 今日,5月26日(土)には,そのときに一緒に花火を見に行った巣鴨のスナック「花曜日」のママに誘われて,前から約束していたのですが,午後1時過ぎから5時頃まで,上野の不忍池にある野外音楽堂でジャズのライブを楽しみました。

  ライブは「やねせんJAZZ FESTIVAL」という名称でした。

  "やねせん"というのは,谷中,根津,千駄木の頭文字を取ったもので,その近辺にある酒や飲食の店やクリニックとかに所属しているらしい,数組のジャズのセミプロのグループが13時から1時間ずつ出演するという内容でした。

 ジャズに限らず音楽を生で聴くのは,ずいぶん久しぶりです。

 音楽でなく観劇であれば,昔は島氏との関連で新宿ゴールデン街の「ゲットー(Getto)」のマスターであった「高橋征男氏」の作,演出によるものを良くみていました。

 つい数年前も「草薙良一氏」が主演の舞台を新橋で見ました。

 また,かなり昔には西武線の新桜台駅の近くだったかにあった,「麿赤児(まろあかじ)氏」が主催の裸に白塗りで踊る舞踏集団の「大駱駝鑑」の公演を何度も見に行きましたね。

 でも、音楽のライブについては私自身がメジャー志向ではないこともあるし,例えばオペラは好きなんですが,行きたいと思っても入場料が高額だし,規模の小さいライブ公演については積極的に行こうという気が起きなくて,なかなか見に行く機会がありませんでした。

 今回のライブは,私は別に耳は肥えていませんが,総じて素人が聴いても下手なプロはだしの,かなりレベルの高い内容だと思いました。

 大体のグループは,インストゥルメンタルのみで,スウィング系の演奏が中心であり,メロディ-のはっきりした素人受けしそうな演目が多かったようです。

 中に,1グループだけ女性ボーカルがいて,やはりわかり安いバラードが中心の内容でした。

 アランフェスのアレンジとか,ボサノバとかを含んだ,明るい内容ばかりでしたから,私の好みのブルース系とはちょっと違うかな?とは思いましたが,それなりに楽しめました。

 特にベースは前から生で聴きたかったので,良かったです。

 マッキントッシュのアンプなどを使っていたせいもあるでしょうが,オーディオでベースを聴くと,大体低音が出すぎてブーミーな感じがあり,これは演奏とは違うといつも不満を持っていましたが,生演奏を聴くと正に描いていたイメージ通りで音が澄んでおり,オーディオのブーミーな再生が忠実なものではない。ということを再確認しました。

 やはり,生のベースはいいですねえ,中の一人がチェロかヴァイオリンのように弓で弾くのを見ましたが,これははじめて見ました。

 意外といい音が出ますね,驚きました。

 ピアノとか管楽器とかは生でなくても,それなりの音は聴けますが、ベースとかパーカッションとかは生が格別です。ドラムも迫力があって音が澄んでいました。

 ところでジャズでピアノフォルテを聴くとピアノが弦楽器であることを改めて思い知らされますね。

 とても天気が良く風もあったので,夕方西日が当たって暑く感じるまではとても快適で,ジャズは「子守唄」としては最適なようで,ワインを飲みながらということもあったのでしょうが,何度か居眠りを繰り返していたようです。

 真ん中の方の席は招待席で座れなかったので,私達はカブリツキで左側のスピーカーのすぐそばの席にいました。

 こんなに近くてもさほどうるさく感じなかったのは,室内と違って野外であったせいか,それとも演者が上手で耳に心地よかったせいなのでしょうか。

 野外音楽堂といえば,昔,学生時代に70年安保関連のデモに参加するため私の通うS大学のあるS駅から800円の運賃で国鉄の各駅停車に乗って東京まで行き,日比谷の野外音楽堂での集会によく参加していたのを思い出します。

 当時の日比谷野外音楽堂は,あまりキレイではありませんでしたが今もそうなのでしょうか?それに比べると,不忍池野外音楽堂は屋根もあるし雲泥の差を感じました。

 また,やねせんの1つ千駄木もなつかしいです。

 S大学から東大の大学院に数名が入学したのですが (私ではありません ),そのうちの3名は当時の私の親友でした。

 そして,そのうちの2名はこの千駄木周辺に住んでいました。

 その1人はH君で,彼は確か地球物理学の竹内均氏の研究室にいました。

 彼は大学生時代には数少ない同じクラスの私の同志の1人で,S大:P共闘(物理学科共闘会議)の一員でした。(35人くらいいた物理学科の同学年で当時いわゆる「暴力学生と呼ばれていた反日共系の異端者」は私も含めてほんの4~5名くらいでしたね。)

 P共闘は当時,デモ隊の最前列を任された最強の武闘派だったのですが,物理など勉強の話をしていることも多かったので,「宿題共闘か?」と揶揄されたこともありました。

 物理学科の学生が物理の話をしていると白い眼で見られる時代だったのですから,今の学生から見るとかなり違和感を感じるでしょうが,当時はそれが普通でしたし,そもそも共闘会議の前にP=Physics=物理学などという名称を入れていたのも白眼視される原因の1つでした。

 そういえば,やはり同じクラスにいた同志の1人で,群馬の前橋だったかの出身のS君は顔は無邪気でかわいい感じだったのに,どこか頭のタガがはずれていたようで,やることは全く無茶苦茶でしたから,当時はかなり無茶な方だった私もついていけませんでした。

 学内集会の最中に,校舎の屋上からテープ代わりにトイレットペーパーを数本垂らしたり,市内での普通のデモ行進の最中に一人だけ竹竿を持って県警に突撃して捕まったりという予定外の行動をしていました。

 彼とマージャンを囲むと,積み木のように暗刻や順子は縦に3枚重ね,対子は縦に2枚重ねという感じで並べるので,だいたい手がわかってしまうというおバカなゲーム内容でした。

 彼は精神病院に入退院を繰り返していましたが,噂によると大学に8年いて結局卒業できなかったらしいです。彼のお父さんは彼を心配してよくS市に来て,いろいろと話をしたものでした。

 話を戻しますが,千駄木に住んでいた,もう1人の友達K君はかなり変人で政治思想的には当時はむしろ珍しいノンポリでした。専門に関しては物理学から,かなり畠の違う分子生物学に転向し,「ホヤ」を解剖したりしていたようです。

 忘れられないのは,政治思想的には日共系で私とは相反していたのですが,それでも私とは親友関係で,私が東京に就職してからも,まだ東大大学院の博士課程にいて,三鷹だったかの寮に住んでおり,ときどき新宿などで落ち合って映画を見たり食事をしたりしていたT君です。

 彼は愛媛県の大洲高校の出身で専門はプラズマ物理でしたが,結局は夭折してしまいました。

 晩年は夜中に寮の壁をよじ登って落ちて骨折したり,「四谷駅の近くですれ違う反対向きの電車の一方から他方へ瞬間移動した。」などということなどを全く普通の口調で述べたりして,いろいろと奇行が目立っていました。

 いろんなストレスが原因で精神病か神経症にかかり,それがひどくなっていたようです。

 ついには,寮を出て埼玉の方に下宿して風の噂で非常勤の高校教師をしていたとも聞きましたが,部屋の入り口に未読の新聞がたまりすぎていたので,不審に思った大家さんか誰かが部屋を開けてみたら,変死していたそうです。

 自殺かも知れませんが,事件ではなかったということなので,あまり詮索はされず死因は不明です。

 彼が以前から自分の博士論文に関わる研究テーマと同じテーマで研究をしていた他人(外国の論文らしい)との確執で悩んでいるのは少しは知っていましたが,私はそんな問題では神経症などにはかからない性格なので共感することはできず,理解はできませんでした。

 彼の場合は,他の世界を知らないこともあり,少し真面目過ぎたんでしょうね。

 (残酷映画が好きで,新宿で「徳川牛裂きの刑」という映画に付き合った直後に,海老天丼を食べに誘われたのにはちょっと閉口しました。)

 私も,今は長年共生してはいるけれど,もうほとんど症状は出ないうつ病の,かなりひどかった初期のトラウマのせいで親友どころか友達もいないし,未だに友達を作ることには抵抗があってできませんが,20代のころはまだ親友がいたんだなあとジャズを聴きながら,なつかしく思い出していました。

 かなり,脱線してしまいました。今日はこれで終わります。

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2007年5月25日 (金)

超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(1)

大分間が開いてしまいましたが,連載中の線形常微分方程式とフックス関数の続きを書きます。

 

Poincare'以前の最後の登場人物であるSchwarz(シュワルツ)の研究を紹介します。

 

彼の研究内容は,"有理関数を係数とするFuchs型微分方程式が代数関数を解に持つ条件は何か?”という問題に関するものです。

 

ここで代数関数というのは,次のように定義される関数のことです。

 

"A0,A1,..,Am-1,Amを変数zの任意の多項式(ただしmは任意の自然数でA0≠0)とするとき,

 

zの関数u(z)がA0,A1,..,Am-1,Amを係数とするある代数方程式:

0m+A1m-1..+Am-1u+Am0 の解と成り得る関数なら,

この関数u(z)は代数関数であるという。

 

一方,関数u(z)が如何なるzの多項式係数の代数方程式の解とも

成り得ない場合は,この関数u(z)は超越関数であるという。"

 

という定義で与えられます。

 

このSxhwarz研究は,保型関数をテーマとしたものではありませんが,

この研究の中で彼の用いた手法の副産物として保型関数が出現し,

 

彼の論文の中で超幾何微分方程式の2つの解の比の逆関数が如何なる

ときにFuchs関数になるか?という問題が解かれています。

 

Schwarzは超幾何微分方程式が代数関数を解に持つ場合を,次の2つに

分けて考察しました。

 

(ⅰ)1つの解(とその定数倍)が代数関数であって,それと1次独立な

もう1つの解は代数関数ではない場合

(ⅱ)全ての解が代数関数である場合

 

まず(ⅰ)のケースを考えます。

 

超幾何微分方程式の1つの解y1が代数関数であるとして,それの1つ

の分枝をy1(z)とし,それを分岐点のまわりを周回して解析接続した

ものをy1~(z)とします。

 

そして,y1(z)とは独立で同じ超幾何微分方程式の代数関数ではない

解をy2(z)とします。

 

2階線形微分方程式の一般論によって,y1~(z)はc1,c2を定数としてy1~(z)=c11(z)+c22(z)と表わすことができます。

 

しかし,仮定によって左辺のy1~(z)はy1(z)と同じく代数関数ですが,y2(z)は代数関数ではないのでc20 でなければなりません。

 

それ故,cを定数としてy1~(z)=cy1(z)と書けます。

 

この両辺の対数を取って,zで微分すると,

d[log{y1~(z)}]/dz=d[log{y1(z)}]/dzとなるので,

(dy1~/dz)/y1~=(dy1/dz)/y1 が成立します。

 

つまり,(dy1/dz)/y11'(z)/y1(z)はzの1価関数です。

 

1'(z)/y1(z)はzの代数関数でしかも1価関数ですから,これは有理関数であることを意味します。(例えば無理関数は多価関数です)

 

1'/y1 は有理関数となるので,それが特異点を持つとしたら,それは

真性特異点ではなく単なる極です。

 

ところで,y1(z)は"超幾何微分方程式=Fuchs型微分方程式"の解

ですから,その確定特異点の1つをz=αとすると,1(z)は代数

関数で対数関数などの超越関数を含まないので,Fuchs型微分方程

式の解の一般論から,

 

1(z)のz=αの近傍での級数展開式は,

1(z)=(z-α)ρν=0ν(z-α)ν]

と表わされます。

 

すると,

1'/y1=Σν=0(ρ+ν)cν(z-α)ρ+ν-1/Σν=0ν(z-α)ρ

となります。

 

この両辺に,(z-α)を乗ずると,

1'/y1ν=0(ρ+ν)cν(z-α)ν-1}/{Σν=0ν(z-α)ν}=ρ/(z-α)+Σν=0ν(z-α)ν

となります。

 

そこで,1'/y1の"特異点=極"は全て"超幾何微分方程式

=Fuchs型微分方程式"の確定特異点に一致し,しかも位数が1の

極です。

 

ここで,y1'/y1はzの有理関数であり,1(z)は特異点が 0,1,∞

の3つだけの超幾何微分方程式の解であることから,

 

1'/y1=a/z+b/(z-1)+R(z) (R(z)はzの多項式)

 

と書くことができます。

 

もちろん,係数aやbがゼロとなることも有り得ます。 

(1'/y1=ρ/(z-α)+Σν=0ν(z-α)νという表式に着目

すると,ρ=0 の場合がそれで,そのときはz=αはy1'/y1極で

はありません。)

 

これから,1(z)=za(z-1)bg(z)と表わせることがわかりま

した。

 

ここで1(z)は無限遠点を含まない全z平面Cで0,1を除いて正則

ですからg(z)は,"C全体で正則な関数=整関数"です。

 

ところで,y1(z)はFuchs型微分方程式の解ですから,z=∞ に真性特異点を持つことはないため,(z)は多項式です。

 

そこで,多項式g(z)の次数をnとしておきます。

 

超幾何微分方程式のz=0 における決定方程式の根は,0,1-γ,

z=1 における根は,0 ,1-γ-α-βなので,a=0 or 1-γ ;

b=0 or γ-α-βです。

 

まず,a=b=0 の場合,

 

1(z)=g(z)ですから1自身が多項式となりz=∞ の近傍では

1(z)=g(z)=zn×(z=∞で有限な関数)となりますが,z=∞

での決定方程式の解はα,βなのでα=-n,またはβ=-nです。

 

そして,αとβは超幾何微分方程式においては対等なパラメータなので,ここでは一般性を失うことなくα=-nとすることにします。

 

このときには,1(z)=g(z)=F(-n,β,γ;z)

=1+Σk=1(-n)(-n+1)..(-n+k-1)β(β+1)..(β+k-1)zk/{(k!)γ(γ+1)..(γ+k-1)}です。

 

この右辺の級数ではk≧(n+1)の項が全てゼロなので,左辺は実際に

zのn次多項式になります。

 

1(z)は多項式ですから,もちろん代数関数です。

 

次に,a=0,b=γ-α-βの場合は1(z)(1-z)γ-α-βg(z)

ですが,前と同様にz=∞ の近傍での挙動から,

 

α=-(n+γ-α-β),またはβ=-(n+γ-α-β),

すなわちβ=n+γ,またはα=n+γ

が得られます。

 

α=n+γの方を採用すれば,z=1の近傍でρ=γ-α-βに対応

する解:y12(z)

=(1-z)γ-α-βF(γ-β,γ-α,γ-α-β+1,;1-z)

です。

 

もしも,qを任意の有理数として,b=q=γ-α-βとおくなら

1(z)(1-z)qF(γ+n+q,-n,q+1,;1-z)

となります。

 

このときもF(γ+n+q,-n,q+1,;1-z)は確かに(1-z)の

n次多項式=zのn次多項式,ですが,qが有理数であると仮定した

ので,このように表現された解1は確かに代数関数になります。

 

われわれの本題は(ⅱ)のケースなので,残りの場合は省略して

(ⅱ)に移ります。

 

(ⅱ)全ての解が代数関数である。という命題が成り立つためには解の

分岐点は全て代数分岐点,すなわち分岐点をz=αとするとき,その

近傍での挙動は(z-α)の対数などではなく,その有理数乗で与えら

れなければなりません。

 

すなわち,1-γ,γ-α-β,α,βは全て有理数であること,

それ故,β,γは全て有理数であることが必要です。

 

以下ではα,β,γは有理数であることを前提として話を進めます。

 

次に,"(ⅱ)が成り立つためには,2つの1次独立な解の比が代数関数

であることが必要十分である。"ことを示すことにします。

 

必要条件であることは明らかなので,十分性のみを示せばいいです。

 

まず,n階線形斉次常微分方程式のn個の1次独立な解の全体を,

1,y2,..,ynとすると,Cをz平面内でのz=z0からz=z1まで

の経路として,

 

ロンスキー行列式(Wronskian)は,W(1(z1),y2(z1),..,yn(z1))

=W(1(z0),y2(z0),..,yn(z0))exp[-∫C1(z)dz]

となります。

  

2階方程式:y"+p(z)y'+q(z)y=0 の場合には,

12'-y1'y2=cexp[-∫Cp(z)dz](cは 0 でない定数)

と書けます。

 

超幾何方程式の場合には,p(z)=[(α+β+1)z-γ]/[z(z-1)]

=γ/z+(α+β-γ+1)/(z-1)なので,

exp[-∫Cp(z)dz]=(定数)×zγ(z-1)α+β-γ+1

となります。

 

α,β,γは全て有理数なので,これは1つの代数関数を示しています

から,12'-y1'y2は常に代数関数になります。

 

そこで,今,仮に解の比:y2 /y1が代数関数であるとすると,

 

d(y2/y1)/dz=(y12'-y1'y2)/y12も代数関数ですが,

たった今示したように,y12'-y1'y2は代数関数なのでy12

も代数関数となり,それ故,y1は代数関数となります。

 

以上から,"(ⅱ)が成り立つための必要十分条件は2つの1次独立な解

の比が代数関数であることである。"という命題が証明されました。

 

今日はここまでにします。

 

これで,やっと順天堂大病院で手術後に読書を再開した初めの部分に

入りました。

 

参考文献:斎藤利弥 著「線形微分方程式とフックス関数I(ポアンカレを読む)」(河合文化教育研究所)

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2007年5月24日 (木)

有限な1次元空間に限定された運動量演算子

 表題の1次元空間での座標表示のSchroedinger表現の運動量演算子:

p=-ihcd/dx (hc≡h/(2π)はPlanck定数)に関する問題については,私は以前個人的に考察したことがあります。

 

 これは,2001年頃に,岩波講座物理学[第2版]「量子力学Ⅱ」の第Ⅵ部の量子力学の構造において,物理量を表わす演算子の定義域とその自己共役性との関係に関わる問題として考察しました。

  

 その際に,ノートに記述した覚え書きを抜粋して書いてみます。

 まず,状態空間であるHilbert空間をHとします。

 

 もしも状態ベクトルを波動関数で表わす空間という意味で用いる場合には,Hは2乗可積分な関数族の空間L2です。

 

 そして,Hのベクトルに作用する線形演算子Aの定義域D(A)はHの部分空間であり,Hにおいて稠密であるとします。

 また,D(A)に属する任意の状態ベクトル(or 波動関数)φ,ψに対して,
<φ|A|ψ>=<Aφ|ψ>となる場合にはAをHermite演算子と呼びますが,その上さらにAの定義域D(A)がHで稠密な場合にはAは対称演算子である,といいます。

 ついでに,D(A)に属する状態ベクトルの列{ψn}があって,"ノルム収束=強収束"の意味での極限lim n→∞ψn=φ,lim n→∞(Aψn)=χが共に存在するとき,
必ずφ,χ(A)となって,Aφ=χが常に成立するとき,Aは閉じているとか,Aは閉演算子であるといいます。
 
 今,D(A)はHで稠密であるとします。

 

 このとき,Hに属する状態ベクトルφの中には,∀ψ(A)に対し,

<φ|A|ψ>=<χ|ψ>を満たすχHが存在することがあります。

 

 このようなφの全体をD(A*)と記し,χ≡A*φによって,D(A*)を定義域とするAの共役と呼ばれる線形演算子A*を定義します。

 Aが対称演算子のときには,∀φ
(A)に対してχ≡Aφとすることで,必ず<φ|A|ψ>=<χ|ψ>が成り立つので,D(A*)の方が集合としてD(A)より大きくなります。D(A)⊂D(A*)⊂Hです。

 

 特にD(A*)=D(A)の場合には,A*=Aと書いてこの場合の演算子Aを自己共役演算子であるといいます。

 Aが自己共役演算子であるときには,これは虚数固有値を持たないので観測量となる必要条件を満たしています。

 

 以下では,Aが"物理的観測可能量=observable"であるということと,Aが自己共役演算子であるということを同一視します。

 

 すなわち,Aが観測量であるための必要十分条件はAが自己共役演算子であることとします。

 ところが,1次元剛体壁(x=0,x=a)の間の区間[0,a]を動く粒子についての運動量演算子pが定義できるとして,

 

 これが区間(-∞,∞)において定義される通常のSchroedinger表示の運動量演算子と同じく,p=-ihcd/dxで与えられるとすると,これの[0,a]で定義された波動関数ψ(x)に対する作用はpψ=-ihc(dψ/dx)です。

 

 そして,p=-ihcd/dxの定義域Dは,D={ψ(x):ψ(0)=ψ(a)=0,[0,a]で絶対連続で(dψ/dx)2(0,a)}なる関数族で与えられます。

 ここで,ψ(x)が[0,a]で絶対連続である,とは[0,a]でLebesgue積分可能な関数f(x)があって,∀x∈[0,a]に対してψ(x)=ψ(0)+∫0f(x)dxと表現できることをいいます。

 とにかく,このように定義したDはHilbert空間H=L2(0,a)で稠密であることがわかります。

 

 そして証明はしませんが,pは対称演算子であり,かつ閉演算子でもあります。

 

 しかしpは自己共役演算子ではありませんから,それは観測量であるための必要十分条件を満足しません。

 すなわち,例えばφ(x)=exp(ikx)に対してχ(x)=hckexp(ikx)とすれば,<φ|p|ψ>=<χ|ψ>が全てのψ
(p)(演算子pの定義域)に対して成立するのに,φ(x)=exp(ikx)はDには属さない,(φ(0)=φ(a)=0 を満たさない)からです。

 

 つまり,D(p)=Dが成り立ちませんから,Dを定義域とする

p=-ihcd/dxは,自己共役演算子の条件を満足しません。

 実際,物理的に見ても剛体壁のため粒子は往復運動を続けるしかないので,この系では決して運動量が確定することはありません。

 

 つまり,こうした状況では,そもそもpは観測量であるという要件を満たしていません。

  

 ということで,そもそもこのDに属する境界条件を満たす

p=-ihcd/dxの固有状態は存在が不可能です。

 

 したがって,通常,状態はDに属する波動関数で表現されるにも関わらず,これを展開できるような同じ境界条件を満足する固有関数さえもない,という不都合な状況になっています。

 

 (もっとも自由空間(-∞,∞)での運動量:p=-ihcd/dxの固有関数も完全なので,束縛条件=境界条件に関わらずFourier展開という意味で展開することはできますが,それにどんな意味があるかは疑問です。)

 そこで,pを拡大して,αを0
α2πのある定数として.L2(0,a)の部分空間:D[α]をD[α]≡{ψ(x):ψ(a)=exp(iα)ψ(0),[0,a]で絶対連続で,(dψ/dx)2(0,a)}と定義し,その作用は前と同じく,

p=-ihcd/dxであるとします。

 

 すると,<φ|p|ψ>=<χ|ψ>は∫0φ*(-ihcdψ/dx)dx

=∫0*ψ)dx(ψ[α])と表現されます。

 これを満たすχ
∈Hの存在を許すφの範囲D[α,p*]が,正しくD[α]に一致し,その他,対称性,稠密性も示せるので,結局こう定義すればpは自己共役演算子であるといえます。

 

 そこで,この定義では全ての状態ψ∈Hにおける運動量:pの観測量としての確率解釈(<ψ|p|ψ>がpの期待値を与えるという解釈)を行うことができます。

 つまり,この定義では,x軸を正の向きに走っていた粒子がx=aに達した途端にψ(0)=exp(-iα)ψ(a)によって,exp(-iα)の位相のずれを受ける程度で,反対の端x=0 に顔を出し,再び正の向きに走り続けることを表わしているからです。

 数学的には,これはαの無数の選択に伴って運動量の演算子:pの自己共役演算子への拡大の仕方が無数にあること(pには多義性あること)を意味しています。

 円のような周期運動ならα=0 としたいわゆる周期的境界条件ψ(a)=ψ(0)とするのが妥当ですが,そうでないケースにこれを取っても一般性を失わないと思います。

 つまり,ψ(x)=Csin(knx) (kn=nπ/a)
というように剛体境界条件にこだわる限り,

 

 自由空間(-∞,∞)での自由粒子の状態ベクトルとしての固有状態の

波動関数:exp(ikx)が状態空間H==L2には属さない,という困難に

類似して,量子論でのpの物理的意味付け自体が結構むずかしいのでは

ないかと思います。

 

 要約すると,1次元の剛体壁で囲まれた箱という物理系は,古典的描像では,粒子が往復運動をしているので,ある位置座標での運動量,または速度を観測するとき,

 

 量子論における不確定性原理のようなものは存在しないので,確定値としてその,時刻時刻の逆向きの運動量,または速度を観測できます。

 

 しかし,それを量子力学の対象と考える場合:

 

 特に時間に無関係な定常状態=エネルギー一定のあるエネルギー固有状態だけの問題として捉える場合には,観測対象の物理量がその定常状態における保存量でないなら,私にはその物理量の確定値=固有値を観測しようという行為が何らかの意味を持つとは思えません。

 

 この定常状態でも,人間の目視あるいは観測装置によって運動量,または速度を観測することは,もちろん可能ですが,それは定常状態での時間的平均値を観測するのではなく,その観測時刻における瞬時値の観測量であり定常状態の量ではありません。

 

 この場合に瞬時値として観測される運動量,または速度は,箱の中の粒子の定常状態の範囲内で定義された運動量ではなく,(-∞,∞)で与えられた一般的なそれであり,位置座標xを同時に確定することはできず,xについてはΔxだけぼやけています。

 

 もしも,これを1次元の剛体壁(x=0,x=a)で囲まれた箱の中の定常状態での量と見るなら,

 

 それは無限回独立に繰り返し観測された(-∞,∞)で与えられた別の一般的定義による運動量,または速度の"期待値=平均値"とみるべきであり,そして位置の不確定さ:ΔxとしてはΔx=aと考えるべきです。

 

 一般に,物理学での,ある物理系で物理量=観測量として定義され,名称を与えられているモノは,パラメータである位置座標や時刻を除けば,時間的に一定な保存量に対してのみである,と考えられます。

 

 1次元の剛体壁という境界条件の下では,非定常状態として考えると,

 

 壁にぶつかるまでの微小時間帯では,運動量,または速度は保存量ですが,この力学系を定常状態として,つまり時間というパラメータを度外視した時間を含まないSchroedinger方程式の解空間の範囲で考える限りは,これは保存量ではなく"物理量=観測量"とは考えられません。

 

 そこで,そうした運動量の保存しない,"定常状態=エネルギー固有状態"のみを考えるという問題設定なら,私であれば,そもそも運動量を観測するという必要性を感じません。

 

 ただ,1次元の箱の中の1粒子でも,量子論では無関係な全体にかかる位相を無視した定式化して,,粒子が往復運動をするという描像を忘れて運動量が保存量となり得るような境界条件を与えるなら,

 

 (-∞,∞)領域での一般的な運動量と同様,,1つの物理量として定義可能であるように,運動量pの定義を拡張することはできます。

 

 参考文献:岩波講座 現代物理学の基礎「第2版」4「量子力学Ⅱ」

  

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2007年5月23日 (水)

対称操作の群とメタンのSP混成軌道

 今日は量子化学のごく軽い話題について述べましょう。

 

 多電子原子分子の量子状態を定める分子軌道法は分子内の個々の電子が核と他の電子の作る平均場のポテンシャルV()の中を互いに独立に運動しているという描像から出発します。

 

 この近似(独立電子近似)では,全電子系の状態は分子軌道ψj()を個々の電子が占めた状態として記述されます。

  

 ψj()は,もちろん,Schroedinger方程式;

 Hψj[-{hc2/(2m)}∇2+V()]ψj()=εjψj()

 を独立に満たします。(hc≡h/(2π)はPlanck定数)

 

 そして分子が,ある対称性を持っていれば,それはポテンシャルV()に反映され,「分子軌道法」の立場ではV()は分子ψ()と同じ対称性を持つものと考えます。

 

 すなわち,分子をそれ自身に重ね合わせる対称操作(例えば座標軸の回転操作など)の群をGとし,その1つの元をR^とするとR^によって空間座標'に移されるとき波動関数がψ()からψ'()に変わることはψ'()=R^ψ();ψ'(')=ψ()で定義されます。

 

 R^は単に分子を分子に重ねる操作ですから,R^によって'に移されたとしても,電子が感じるのは同じ場であるはずなのでV(')=V(),あるいはV()ψ()=V(')ψ'(')です。

 

 定義によって,V'()ψ'()≡R^V()ψ(),

 ψ'()≡R^ψ()ですから,

 

 対称性の反映であるR^によるポテンシャルの不変性:

 V'()≡R^V()=V(')=V()によれば,

 V()R^ψ()=R^V()ψ()です。

 

 これを簡単に書くならVR^ψ=R^Vψとなります。

 

 VR^ψ=R^VψでVを∇2に置き換えた等式:2R^ψ=R^∇2ψも

 明らかに成立するので,結局,Hamiltonian:

 =-{hc2/(2m)}∇2+Vに対して,R^=R^が成立

 します。

 

 つまり,対称性の群Gの任意の変換R^に対して,

 R^ψj=R^ψj=εjR^ψjが成立しますから,R^ψj

 ψjと同じエネルギーεjに属する固有関数です。

 

 ここで,より一般的にはエネルギーの固有状態は縮退していますから,

 固有値εαはd重に縮退しているとして,それに属する固有関数を 

 ψαν(ν=1,2,..,d)と表わすことにします。

 

 そこで,たった今述べたことから,R^ψανはεαの固有関数で展開

 できて,R^ψαν=Σμ=1dψαμαμν(R)と表わされます。

 

 そして,この両辺にQ^∈Gを施すとき,

 もちろんP^≡Q^R^∈Gですが,P^,Q^についても同じ論旨から

 展開行列Dα(P),Dα(Q)が定まり,Dα(P)=Dα(Q)Dα(R)が

 成り立ちます。

 

 すなわち,{Dα(R)}R∈Gは変換群Gの1つの表現を与えαν}は

 その基底になっています。

 

 そして,通常は1つの主量子数nと軌道量子数lに属する縮退した

 エネルギー固有関数を基底とするような表現は既約表現であると

 考えてよいと思われます。

  

 したがって次の法則性を仮定することができます。

 

(1) 各分子軌道準位,および固有関数は,その対称性,すなわち

 固有関数が張る表現空間に対する既約表現の種類:Γでラベル付け

 することができる。

 

 もちろん,軌道は無数にあるので異なるエネルギー準位が同じ

 種類の既約表現Γに属することも起こり,Γだけで準位を分類し

 尽くせるわけではない。

 

(2) 異なる対称性を持つ関数,すなわち異なる既約表現ΓとΓ'の基底,

 それぞれψγ(Γ)とψγ'(Γ')でHamiltonian:を挟んだ行列要素は

 ゼロでなければならない。

 

 すなわち,<ψγ(Γ)|γ'(Γ')>=0 である。

 

 これは,もしそうでなければ,このような関数でHamiltonianの対角化

 を行なったとき,1つのエネルギー固有値に2つ以上の既約表現の

 関数が属することになってしまうからです。

 

 これに反して,"同じ既約表現を示す基底=同じ対称性を持つ関数"

 の間ではの非対角要素は一般にゼロではありません。

 

 こうした2つの法則性から,有限個の原子軌道関数:φ12,..,φN 

 の1次結合の範囲でHamiltonian:H^を対角化してその固有関数と

 して分子軌道を求めたい場合には,

 

 これらの関数から群Gの既約表現Γの基底となるような1次結合:

 ψγν(Γ)=Σi=1Ni(νΓγiを何らかの方法で作り上げることに

 より,その方法は大幅に簡素化されると考えられます。

 

 原子価結合法では,分子の成分原子が互いに相互作用を及ぼしあって

 分子を形成する,という見方から出発します。

 

 特に電子対結合(共有結合)近似では,それぞれの原子に対して結合

 ごとに結合相手の方向を向いた軌道を考えて,それらに1つずつ

 電子を詰めていきます。

 

 この際に,原子軌道そのものよりも,エネルギー差の比較的小さい

 幾つかの原子軌道を重ね合わせて結合相手の方向に大きく伸びた

 混成軌道を作り,これを用いた方が軌道間の重なりも大きく化学

 結合をより強くするので,この混成軌道で分子構造を説明しようと

 することがあります。

 

 例えば,メタン(methane)の分子CH4における1つの炭素原子Cは

 主量子数n=1のエネルギーの基底状態に2つ,n=2 の状態に4つ

 の合計6個の電子を持ちます。

 

 これらのうちでHと相互作用するのは外郭にある4つの電子と考え

 られ,それらは1つのs軌道(2s)と3つのp軌道(px,py,pz)の上

 にあると思われます。

 

 しかし,この場合には炭素原子Cの4つの外郭電子は正四面体の頂点

 にある4つの水素原子Hの方向に伸びた4個の同等な混成軌道:

 φ1234の上にあるとしたほうが対称性の表現には適してい

 るように思えます。

 

 メタンを構成する4つの水素原子は正四面体の頂点に対応し,これに

 対するメタン分子における対称性の群Gはその正四面体の形状を不変

 に保つ4次の交代群と同型な正四面体群Tdで与えられますから,

 

 混成軌道φ1234は,そのdの可約な4次元表現Γを張る関数

 であるはずです。

 

 このG=Td可約表現Γを簡約して既約表現に分解すると,既約な

 状態を示す関数sやp=(px,py,pz)が得られるのですから,

 その逆変換によりΓの基底φ1234を作り上げることができ

 るはずです。

 

 まず,φ1≡as+bpx+cpy+dpzとおくと,これが[111]の回り

 の回転で不変なことを要求することから,b=c=dを得ます。

 

 すなわち,φ1=as+b(px+py+pz)です。

 

 さらにGに属する幾つかの対称性操作の回転を行うことにより,

 φ2=as+b(px-py-pz),

 φ3=as+b(-px+py-pz),

 φ4=as+b(-px-py+pz)

 が得られます。

 

 係数a,bは対称性からは決まらない定数ですがφ1234

 直交規格化されているとすれば,a2=b2,a2+3b2=1ですから,

 a=b=1/2を得ます。

 

 こうして得られたメタンに対するsp混成軌道をsp3混成軌道と呼びます。

 

参考文献:犬井鉄郎,田辺行人,小野寺嘉孝 著「応用群論」(裳華房);L.Fonda and G.C.Ghirardi 「Symmetry Principles In Quantum Physics」Theor.Phys.Vol.1(Mercel Dekker Inc.New York 1970)

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2007年5月21日 (月)

次元控除法によるポアソン方程式の直接数値解法(補遺)

Poisson方程式:△φ=∇2φ=ρを,微分方程式のままで解析的に解くのであれば,Laplace演算子(Laplacian):△=∇2の逆演算子△-1を求めて解として,φ=△-1ρを求めることに帰着します。

 

-1は微分演算子の逆演算子なので,これは一般に積分演算子です。

 

つまり,△x()=δ()となるGreen関数;D()を求める

とが,△D=1=δ^なる積分演算子:D^=△-1を求めることに相当

します。

 

D()はFourier変換を利用したり,Poisson方程式の斉次方程式であるLaplace方程式:△φ=0 の解を調べることから得ることができます。

特に,球対称なGreen関数は,D()=-1/(4πr)(ただしr=||)で

与えられます。

 

これを,x,y,zで有限回偏微分したものは,一般にはGreen関数ではないですが,原点r=0 を除けば,-1/(4πr)と同じく調和関数,つまりLaplace方程式の解です。

 

それらは,物理学的には,双極子,四重極子,...etc.という風に,多重極子と呼ばれ,数学的には球関数,あるいは球面調和関数と呼ばれます。

そうして得られたD()を用いて,φ(x)=∫D()ρ()dとおけば,φは確かに△φ=∇2φ=ρの解になります。

 

つまり,△D=1=δ^ですから,D^はD^=△-1という積分演算子で

あり,φ=△-1ρ=D^ρによって解φを求めるのが通常の解法です。

 

ここで,D^というのは関数D()を"演算子=積分演算子"とみなすことを意味しています。

 Poisson方程式:△φ=∇2φ=ρを差分方程式化すると,差分化によって左辺のLaplace演算子:△=∇2は広義の行列:Aとなり,微分方程式△φ=∇2φ=ρは,結局,連立1次方程式:Aφ=ρに帰着します。

 

 この連立1次方程式の解;φ=A-1ρを,ガウズザイデル法のような

"緩和法=繰り返し計算法"で解くのではなく,

 

 複雑で丸め誤差などが累積しやすいという数値計算に特有の欠点はあるのですが,直接法である消去法など,QR分解などを利用して色々と工夫してできるだけ精度良く,簡単に直接的に求めようと試みたのが,

 

 本題の「次元控除法によるポアソン方程式の直接数値解法」の目指す

ところです。 

そもそも,どこかに1つの大きな源があるようなPoisson方程式の解

である,太陽系の重力場やCoulomb場のようなものを求めるのが目的

であれば,それを求めるのに数値計算に頼る必要はないです。

 

しかし,室内気流に対する速度ポテンシャルに相当するような圧力場や,あるいは地球温暖化の源の1つとなる温排水などの影響による海流の変化のソースポテンシャルのような,中途段階で現われる量は,

 

通常はかなり複雑な条件下での2次元,3次元のPoisson方程式の解なので,それを解く場合は数値計算に頼らざるを得ません。 

しかし,本題の方法は対象とする領域の形が矩形や直方体に限られているので,建物の室内のような形状についての計算には適していても,一般の種々の形状の境界を持つ領域に対しては普通に考えれば,適用できないと思われるので,汎用性が少ないと感じられるかもしれません。 

しかし,領域が矩形や直方体ではなくても例えば2次元の円板や3次元球体のように,少なくとも単連結な領域であれば,それらは適当な変数変換によって互いに矩形や直方体に変換可能です。

 

あるいは,逆変換を行うことによって矩形や直方体を球面や球体に変換することもできます。 

実際,私のアルゴリズムによって作成したプログラムが,Poisson方程式の解を求めるものとなっているかを検証するための1手段として,

 

3次元メッシュの空間領域を十分大きく取り,直方体での計算結果を,直方体から球に座標変換することによって,解φが確かに球対称なCoulomb場:φ(x)=-ρ/(4πr)に一致することを確かめました。

というわけで,少なくとも単連結な領域における3次元以下のPoisson方程式であれば,私の示したこの方法は数値解を求めるのに有効なものであろうと考えられます。

 

つまり,トポロジー的に同相であるなら,一方で可能な操作は他方でも可能であるという例になっています。

  

(球面は境界がないので矩形と同相ではありませんが,球面を2つに分けると半球面は矩形と同相です。)

  

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2007年5月20日 (日)

次元控除法によるポアソン方程式の直接数値解法(2)

前記事の続きとして2次元Poisson方程式の問題から3次元Poisson方程式への拡張について記述した私自身の論文の続きを掲載します。

 

3次元の直方体領域での,3次元Poisson方程式は,

(∂2φ/∂x2)+(∂2φ/∂y2)+(∂2φ/∂z2)=ρ(x,y,z)

(a≦x≦b,c≦y≦d,e≦z≦f)...(3-1)で与えられます。

 

Neumman的境界条件は,(∂φ/∂x)|x=a=f(1)(y,z),

(∂φ/∂x)|x=b=f(2)(y,z),(∂φ/∂y)|y=c=g(1)(x,z),

(∂φ/∂y)|y=d=g(2)(x,z),(∂φ/∂z)|z=e=h(1)(x,y),

(∂φ/∂z)|z=f=h(2)(x,y) ...(3-2) です。

 

 直方体を,各辺がhx,hy,hzであるようなNx×Ny×Nz個の微小セル

分割します。

 

  x0=a,xNx=b;xi-xi-1=(b-a)/Nx=hx(i=1,2,..,Nx);

  y0=c,yNy=d;yj-yj-1=(d-c)/Ny=hy(j=1,2,..,Ny);

  0=e,zNz=f;zk-zk-1=(f-e)/Nz=hz(k=1,2,..,Nz)

 

 2次元の場合と同様に(3-1)式を差分化すると,

  

  [(φi+1,j,k-2φi,j,k+φi-1,j,k)/hx2]

 +[(φi,j+1,k-2φi,j,k+φi,j-1,k)/hy2]

 +[(φi,j,k+1-2φi,j,k+φi,j,k-1)/hz2]=ρi,j,k

 

 (i=1,2,...,Nx;j=1,2,..,Ny;k=1,2,..,Nz).

 ..(3-3)となります。

 

 φ0,j,kNx+1,j,ki,0,ki,Ny+1,ki,j,0i,j,Nz+1は境界条件

 (3-2)式を用いて2次元の場合の(2-4)式と同様に消去することができ

 ます。

 

(3-3)式を境界条件を考慮して行列×列ベクトル=列ベクトルの表現

変換すると,

 

Φk+1-2ΦkΦk-1+{(hz/hy)2A~+(hz/hx)2B~}ΦkΡ'k

(k=2,3,..,Nz-1)...(3-4a), 

Φ2Φ1+{(hz/hy)2A~+(hz/hx)2B~}Φ1Ρ'1 (3-4b),

ΦNzΦNz-1+{(hz/hy)2A~+(hz/hx)2B~}φNzΡ'Nz 

(3-4c)となります。

 

Φkt(φ1,k,φ2,k,..,φNy,k),

φj,kt1,j,k2,j,k,..,φNx,j,k),

Ρ'kt(ρ'1,k,ρ'2,k,..,ρ'Ny,k) 

と定義します。

   

ρ'j,kt1,j,k+f(1)j,k/hx+g(1)1,kδj1/hy-g(2)1,kδjNy/hy

+h(1)1,jδk1/hz-h(2)1,jδkNz/hz2,j,k

+g(1)2,kδj1/hy-g(2)2,kδjNy/hy

+h(1)2,jδk1/hz-h(2)2,jδkNz/hz,..,ρNx,j,k-f(2)j,k/hx

+g(1)Nx,kδj1/hy-g(2)Nx,kδjNy/hy+h(1)Nx,jδk1/hz

-h(2)Nx,jδkNz/hz)

 

(j=1,2,..,Ny;k=1,2,..,Nz)...(3-5)です。

 

 (Nx×Ny)次の正方行列A~,B~はNx次の単位行列Eと,

 (2-7)で与えたNx次の三重対角行列Aを用いて,次のように

 表わすことができます。

 

 A~は第1行目が(-E,E,0,..,0),第k行目(k=2,3,..,Ny-1)

 が(0,..,E,-2E,E,0,..,0),第Nx行目が(0,..,0,E,-E)で

 与えられるNx次正方行列を成分とするNy×Ny

 三重対角行列です。 ...(3-6)

 また,B~は対角成分が全てNx次正方行列Aでそれ以外の成分は

 ゼロ のNx次正方行列を成分とするNy×Ny

 の対角行列です。 (3-7)

  ただし,Nx次正方行列Aは次の通りです。

 A~を対角化する(Nx×Ny)次の直交行列をS~Nyとすると,

 tS~NyA~S~NyはEをNx次の単位行列として,対角成分が,

 σ1E,σ2E,..,σNyEの対角行列になります。 ...(3-8)

 ここに,

 σm=-4sin2{(m-1)π/(2Ny)} (m=1,2,..,Ny)...(3-9)

 

  (S~Ny)il,jm=(1/Ny)1/2δij (m=1;l=1,2,..,Ny),

  (S~Ny)il,jm=(2/Ny)1/2cos{(2l-1)(m-1)π/(2Ny)}δij

  (m=2,3...,,Ny;l=1,2,..,Ny) (i,j=1,2,..,Nx) .(3-10)

 

です。

 

 また,前記事の(2-9)によって,ΛNxtNxATNxNxは対角成分

 がλ12,..,λNxの対角行列) ...(3-11)であり, 

 λm=-4sin2{(m-1)π/(2Nx)} (m=1,2,..,Nx)です。

 

 T~Nyを対角成分が全てTNxのNy次対角行列 (3-12)と考えれば,

 tT~NyB~T~Nyは対角成分が全てΛNxのNy次対角行列

 となります。.(3-13)

 

 (T~Ny)il,jm=(1/Nx)1/2δlm (j=1;i=1,2,..,Nx),

 (T~Ny)il,jm=(2/Nx)1/2cos{(2i-1)(j-1)π/(2Nx)}δlm

 (j=2,3,..,Nx;i=1,2,..,Nx) (l,m=1,2,..,Ny)

 ..(3-14)です。

 

 以上から,A~の直交変換:t(S~NyT~Ny)A~S~NyT~Nyは,対角成分が

 σ1E,σ2E,..,σNyEの対角行列になります。..(3-15),

 

 一方,B~の直交変換:t(S~NyT~Ny)B~S~NyT~Nyは,対角成分が全て

 ΛNxの対角行列になります。..(3-16)

それ故,Q~≡S~NyT~Nyと置けば,Q~による直交変換によって,

A~,B~は同時に対角化できて,

 

tQ~{(hz/hy)2A~+(hz/hx)2B~}Q~は,対角成分が,

 [(hz/hy)2σmE+(hz/hx)2ΛNx]

の対角行列となります。(3-17)

 

 この得られた対角行列をΩとし,kt~Φk,ktQ~Ρ'k

 (k=1,2,..,Nz)とすれば,(3-4)のPoisson方程式は,

  

 k+1-2kk-1+Ωkk(k=2,3,..,Nz-1) (3-18a),

 21+Ω11 (3-18b),

 -NzNz-1+ΩNzNz (3-18c),

 

 すなわち,  

 Pi,j,k+1+{(hz/hy)2σj+(hz/hx)2λi-2}Pi,j,k+Pi,j,k-1

 =Ri,j,k   (k=2,3,.,Nz-1),

 

 Pi,j,2+{(hz/hy)2σj+(hz/hx)2λi -1}Pi,j,1

 =Ri,j,1,

 

  {(hz/hy)2σj+(hz/hx)2λi -1}Pi,j,Nz+Pi,j,Nz-1

 =Ri,j,Nz (i=1,2,.,Nx;j=1,2,.,Ny) 

 

 ...(3-19) となります。

  

 これはi,jを固定したとき,Nz次の三重対角行列の係数を持った

 次元の連立1次方程式系であり,係数行列は,i=j=1のとき非

 正則,その他の場合は正則ですから,2次元の場合と同様,容易に

 解けます。

 

 1次元の連立1次方程式を解いてkが得られれば,

 それに対して,Φk=Q~kとすれば,最終的な解Φk,

 またはφi,j,kが得られます。

 

 なお,Nx×Ny次の直交行列Q~=S~NyT~Nyの陽な形を書き下すと

 (Q~)ij,mn=Σk=1NxΣl=1Ny(S~Ny)ij,kl(T~Ny)kl,mn

 l(TNx)i,m(TNy)j,n となります。

 

 ただし,m(T)lm=(1/N)1/2 (m=1),

 (T)lm=(2/N)1/2cos{(2l-1)(m-1)π/(2N)}

 (m=2,3,..,N)です。...(3-20)

 

 ※付録(Appendix):特殊な三重対角行列Aを対角化する直交行列

 

 第1行目が(-1,1,0,..,0),第k行目(k=2,3,..,N-1)が

 (0,..,1,-2,1,0,..,0),第N行目が(0,..,0,1,-1)で与えられる

 N次の三重対角行列をAとしすると,

 既に示したように,固有値問題A=λ(≠0)の解として,

 N個の異なる固有値λ=λm=-4sin2{(m-1)π/(2N)}

  (m=1,2,..,N)が得られます。

 

 そして,固有値λに属する固有ベクトルは,

 θ=θm=(m-1)π/N (λ=λm=-4sin2m/2) )として,

 t(x1,x2,..,xN)の成分xkが,

 xk=a[exp(ikθ)+exp{-i(k-1)θ}}

 =2aexp(-iθ/2)cos{(2k-1)θ/2}なる形で与えられること

 も,既に前記事の(注2)で見た通りです。

 

 そこで,λmに属する固有ベクトルを改めてmt(x1m,x2m,..,xNm)

 とおけば,xlm=cmcos{(2l-1)(m-1)π/(2N)}です。

 

 そして,固有値λ12,..,λN はすべて異なるので,

 m≠nなら実内積(mn)は直交します,つまり(mn)=tmn=0

 を満たします。

 

 一方,(mm)=tmm=cm2Σl=1Ncos2{(2l-1)(m-1)π/(2N)}

 =Ncm2/2 (m=2,3,..,Nのとき),Nc12 (m=1のとき)ですから,

 

 xlm=(2/N)1/2cos{(2l-1)(m-1)π/(2N)}(m=2,3,..,N),

 (1/N)1/2 (m=1)とおけば,(n)=tmn=δmnと正規直交化

 されます。

 

 そこで,N×N行列TNで成分が(TN)lm=xlmとなるものを与えると,

 このTN は1つの直交行列で,Aは直交変換tNATN=Λ(Λは対角

 成分がλ12,..,λの対角行列)によって対角化されます。

 

 (以上)

 

参考文献:1)Masako Ogura:”A direct solution of Poisson's equation by dimention reduction method.”Journal of the Meteorogical Soc. Japan. Vol.47. No.4(1969).pp319-322(日本気象学会誌、第47巻4号,1969) 2)矢嶋信夫、野木達男 著「発展方程式の数値解法」(岩波書店) (1977)他

 

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2007年5月19日 (土)

次元控除法によるポアソン方程式の直接数値解法(1)

 引越し後の整理が完全には終わってなかったので,書類の整理をしていたところ,1987年前後にある会社の正社員時代に書いた未発表の数値計算に関する私の論文の草稿が見つかったので,それを紹介したいと思います。

当時,仕事上でストーブなどの暖房装置が原因で生じる室内汚染について,一酸化炭素や窒素酸化物などの濃度測定実験の結果に対して理論的な裏付けを与える必要がありました。

 

そのため,気流,温度,濃度の3次元の空間的な分布が時間が経つにつれて非定常的にどのように変化していくか?を見るという目的で具体的に流体の運動方程式を数値的に解くということになりました。

 

そこで,乱流部分に関しては2-方程式モデルを仮定して,時間を1次元差分に分割し,空間を3次元の格子(メッシュ)に区切ることによって非定常な差分方程式を設定して,それを数値的に解いたわけです。

 

その際,解法の過程の1部分,つまり中間段階として圧力に相当する量をPoisson(ポアソン)方程式の解として得る必要性が生じました。

 

そして,この論文はそうしたPoisson方程式を解く際の数値計算を効率的,かつ高い精度で行なうことを目的として,当時新たに考案した手法を紹介したものです。

 論文の正確な表題は,「境界条件がノイマン的である場合の次元控除法による3次元ポアソン方程式の直接数値解法」

(A Direct Numerical Solution of 3-Dimentional Poisson's Equation by Dimension Reduction Method(DRM), where the boundary conditions are Neumann.) です。

 

 以下,自分の過去論文をそのまま写します。なお,注は今回新たに書き入れたものです。 

                        Abstract

Up to the present time,iterative methods such as successive over-relaxation methods have been dominantly used to solve Poisson's equation numerically.

 

In many cases, however, it requires too much time to solve such partial differential equations by the iterative methods,even when a large-sized digital computer is used for calculation.

 

In this report,I describe a direct solving method of Poisson's equation in a rectangular parallelopiped domain where the gradient values are given on the boundary faces.

  

This method provides a precise solution and it is very economical of our calculation time.

 

1.序論

 本報告では,直方体領域におけるPoisson方程式のNeumann問題を,緩和法によらず直接的に解く数値解法を記述します。

 これには,1969年に,小倉1)によって2次元のDirichlet問題の次元控除法による直接解法が与えられており,今回はそれを拡張して2次元,及び3次元のノイマン問題を解くことにします。

 

 なお,Dirichlet問題も同様に3次元に拡張することができます。

 この直接解法は,次元控除法(DRM法)と呼ばれ,Poisson方程式に特有の三重対角行列の固有値問題を解いて,固有ベクトルによる直交変換によって行列を対角化し,2次元,3次元の差分方程式を最終的に1次元の三重対角行列の係数の連立方程式に帰着させるものです。

 Poisson方程式のNeumann問題は,流体の速度が圧力のような変量の勾配で表わされ,境界の流速が与えられた場合に,その変量(例えば圧力)を導出する問題等において出現しますが,こうした直接解法が解の精度の向上や演算時間の短縮に非常に有効であると考えられます。

  (注1)三重対角行列係数の連立方程式の解法と1次元Poisson方程式

 

   x(x1,x2,...,xn)を未知数とし,三重対角行列を係数とした

 n元連立一次方程式とは,

 

 a11+c12=y1,

 bkk-1+akk+ckk+1=yk (k=2,3,..,n-1),

 bnn-1+ann=yn

 

 なる方程式系で与えられる連立方程式のことをいいます。

 

これを行列で表現すると,定数項を(y1,y2,..,yn)とし,

 

n次正方行列Aを,第1行目が(a1,c1,0,...,0),第k行目

(k=2,3,...,n-1)が(0,..,bk,ak,ck,0,..,0),第n行目

が(0,...,0,bn,an)のように対角成分とその両側のみがゼロ

でない成分の行列=三重対角行列であるとすれば, 

=Aと書けます。

 

  

 これを解くのは簡単で,解法は大抵の数値計算の本に載っています。

 

1=a1,e1=y1として,dk+1=ak+1-ckk+1/dk,,

k+1=yk+1-ekk+1/dk(k=1,2,...,n-1)と順次計算して,

 

その後xn=en/dn,xn-k=(en-k-cn-kn-k+1)/dn-kとする,

 

というアルゴリズムを用いれば解けます。

つまり,Aと行列形式で書いたとき,Aが三重対角行列なら

A=QR(Rは上三角行列),Qは直交行列)とAをQR分解して,

=Q-1(e1,e2,...,en)とします。

 

Rをk行目(k=1,2,...,n-1)が(0,..,dk,ck,0,..,0),

第n行目が(0,...,0,dn)(ただしd1=1とする)の上三角行列

とすると,

 

A=QR,かつ=Qより,Qは第1行目が(1,0,...,0),

第k行目(k=2,3,..,n)が(0,..,bk/dk-1,1,0,..,0)で

与えられる下三角行列になるからです。

そして1次元のPoisson方程式は,φ(x)を未知関数,ρ(x)を与えられた周知の関数とすると,d2φ/dx2=ρ(x)で与えられます。

 

これを差分方程式化すると,hをxの差分として,

k+1-2φk+φk-1)/h2=ρk (k=1,2,...,n)となります。

 

ただし,k=1のときはφ0を,k=nのときはφn+1を境界条件によって

与える必要があります。

このため,直接境界値を与えたり(Dirichlet問題),境界での勾配:

1=(φ1-φ0)/h,f2=(φn+1-φn)/hを与える境界条件

(Neumann問題),あるいはこれらを混合した境界条件からφ0

φn+1を決めます。

 

例えば,Neumannン問題なら,これによって,

[(φ2-φ1)/h-f1]/h=ρ1より,(φ2-φ1)/h2=ρ1+f1/h

が得られます。

 

そして,(-φn+φn-1)/h2=ρn-f2/hです。

  

ρ1をρ1+f1/hで,ρnをρn-f2/hで置き換えた列ベクトルを

ρと定義すれば,方程式はAφρと行列形式で書けます。

このときn次の正方行列h2Aは第1行目が(-1,1,0,.. ,0),

第k行目(k=2,3,...,n-1)が(0,..,1,-2,1,0,..,0),

第n行目が(0,..,0,1,-1)の三重対角行列になります。

 

ところが,実はこのA,あるいはh2Aは固有値の1つがゼロの行列,

つまり非正則行列なので,逆行列が存在しませんから,単純に上記

の方法では解けません。

 

ただし,解ベクトルの1つの成分を適当に与えれば,漸化式的に他の

全ての成分を簡単に求めることができます。

 

それ故,これがNeumann問題でのPoisson方程式の解が微分方程式と

しても差分分方程式としても,なお定数だけの任意性を持つ所以と

なっています。

一応,三重対角行列を解くための,私の拙いFortranのソースコードを

下に入れておきます。

SUBROUTINE TRID(N,A,B,C,Y,X)

      REAL  A(N),B(N),C(N),Y(N),X(N)

      REAL  D(1000),E(1000)

      NN=N-1

      D(1)=A(1)

      E(1)=Y(1)

      DO 100 I=1,NN

      D(I+1)=A(I+1)-C(I)*B(I+1)/D(I)

      E(I+1)=Y(I+1)-E(I)*B(I+1)/D(I)

  100 CONTINUE

      X(N)=E(N)/D(N)

      DO 200 J=1,NN

      I=N-J

      X(I)=(E(I)-C(I)*X(I+1))/D(I)

  200 CONTINUE

      RETURN

   END                 (注1終) ※

2.2次元ポPoisson方程式の解法(Neumann問題)

 矩形領域での2次元Poisson方程式は(∂2φ/∂x2)+(∂2φ/∂y2)=ρ(x,y) (a≦x≦b,c≦y≦d) ...(2-1)で与えられます。

 Neumann問題での境界条件はf(1),f(2),g(1),g(2)を既知関数として

 x=aで∂φ/∂x=f(1)(y),x=bで∂φ/∂x=f(2)(y),

 y=cで∂φ/∂y=g(1)(x),y=dで∂φ/∂y=g(2)(x)

  

...(2-2)で与えられるとします。

 まず,2次元のメッシュの個数がNx×Nyであるとして差分hx,hy

 与えます:x0=a,xNx=b;xi-xi-1=(b-a)/Nx=hx

 (i=1,2,..,Nx),y0=c,yNy=d;yj-yj-1=(d-c)/Ny=hy

 (j=1,2,..,Ny) です。

 メッシュ(i,j)の中心でφ,ρの値φi,ji,jが定義されるとして

(2-1)式を差分化すると,

 

 [(φi+1,j-2φi,j+φi-1,j)/hx2]

+[(φi,j+1-2φi,j+φi,j-1)/hy2]=ρi,j

 (i=1,2,...,Nx;j=1,2,...,Ny) ...(2-3)となります。

ただし,i=1のときにはφ0,j,j=1のときにはφi,0,i=Nxのとき

にはφNx+1,j,j=Nのときにはφi,Ny+1の境界値が与えられなけれ

ばなりません。

 

これらは境界条件(2-2)で,f(1)(y)をf(1)j,f(2)(y)をf(2)j,g(1)(x)をg(1)i,g(2)(x)をg(2)iと離散化し,以下のように書き直すことで与えられます:

 

φ0,j=φ1,j-hx(1)jNx+1,j=φNx,j+h(2)j,

φi,0=φi,1-hy(1)i,

φi,Ny+1=φi,Ny+hy(2)i

(i=1,2,..,Nx;j=1,2,..,Ny)...(2-4)

(2-4)を(2-3)に代入して,行列と列ベクトルによる連立方程式系に

まとめると,

  

φj+1-2φjφj-1+(hy/hx)2φjρ'j

(j=2,3,..,Ny-1) ...(2-5a),

φ2φ1+(hy/hx)2φ1ρ'...(2-5b),

φNyφNy-1+(hy/hx)2φNy=ρ'Ny ...(2-5c)

 

となります。

ここに,φjt1,j2,j,..,φNx,j) (j=1,2,..,Ny),

ρ'jt1,j+f(1)j/hx2,j,..,ρNx,j-f(2)j/hx)

(j=2,3,..,Ny-1),

 

ρ'1t1,1+f(1)1/hx+g(1)1/hy ,ρ2,1+g(1)2/hy,..,ρNx,j

-f(2)j/hx+g(1)Nx/hy),

ρ'Nyt1,Ny+f(1)Ny /hx-g(2)1/hy2,Ny-g(2)2/hy..,ρNx,Ny-f(2)Ny/hx-g(2)Nx/hy)   ...(2-6)です。

また,Aは第1行目が(-1,1,0,..,0),第k行目(k=2,3,..,Nx-1)

が(0,..,1,-2,1,0,..,0),第Nx行目が(0,..,0,1,-1)で与えられる

x×Nxの三重対角行列になります。...(2-7)

Aの固有値方程式|λE-A|=0(Eは単位行列)は解析的に解くことができて,その固有値λ12,..,λNxは,

λm=-4sin2{(m-1)π/(2Nx)}  ...(2-8) で与えられます。

  (注2):以下,三重対角行列Aの固有値方程式|λE-A|=0 を具体的に解いてみます。

  

 簡単のために,Aをn×n行列とします。

 

固有値方程式|λE-A|=0 はλについてn次の代数方程式なので,正攻法で解くのはかなり困難です。

 

そこで,固有値方程式A=λを書き下してみます。

 

k+1-(λ+2)xk+xk-1=0 (k=2,3,..,n-1)ですが,

通常の差分方程式(関数方程式=漸化式)を解く手法に従って,

k=ξkとおいてこれを代入すれば,特性方程式:

ξ2-(λ+2)ξ+1=0 が得られます。

 

これは,ξ+1/ξ=λ+2と書けますから,ξ=exp(iθ)とおけば,

2cosθ=λ+2,すなわち固有値λはλ=2(cosθ-1)=-4sin2(θ/2)

と書くことができます。

 

そして,ξ=exp(iθ)がξ+1/ξ=λ+2の解なら,ξ-1=exp(-iθ)もそうですから,xk+1-(λ+2)xk+xk-1=0 の一般解はa,bを任意定数としてxk=aexp(ikθ)+bexp(-ikθ)と表わすことができます。

 

ここで,この一般解が境界条件;x2-x1=λx1,

λ=exp(iθ)+exp(-iθ)-2 に適合する条件を求めると, 

b=aexp(-iθ)となりますから,特にa=1,b=exp(iθ)

として,xk=exp(ikθ)+exp{-i(k-1)θ}とします。

 

これを-xn+xn-1=λxnに代入すると,sin(nθ)=0 を得ます。

 

したがって,sin(nθ)=0 を満たす異なるn個のθの組を,

θ=θ=(m-1)π/n (m=1,2,..,n)とすることができ

ます。

 

これらに対応して得られるn個の異なる固有値:

λ=λ=2(cosθ-1)=-4sin2/2)が,

固有値方程式|λE-A|=0 のn個の根を示していると

考えられます。 (注2終わり)※

 Aは実対称行列で固有値はすべて異なる値なので,直交行列Tx

 (すなわち,tNxNx=TNxtNx=E)が存在して,

 

 AはΛNxtNxATNxNxは対角成分がλ12,..,λNx

 対角行列) ...(2-9)と対角化できます。

 (※行列の下添字Nxは正方行列の次数を表わします。)

 xの陽な形は,後に付録(Appendix)で証明しますが,

 Tx(2/Nx)1/2(1,2,3..,Nx);

 

 1t(1/√2,1/√2,1/√2,..,1/√2),

 2=(cos{π/(2Nx)},cos{3π/(2Nx)},cos{5π/(2Nx)},..

 ,cos{(2Nx-1)π/(2Nx)}),

 3=(cos{2π/(2Nx)},cos{6π/(2Nx)},cos{10π/(2Nx)},..,

 cos{2(2Nx-1)π/(2Nx)}),..,

 

 Nx=(cos{(Nx-1)π/(2Nx)},cos{3(Nx-1)π/(2Nx)},

 cos{5(Nx-1)π/(2Nx)},..,cos{(2Nx-1)(Nx-1)π/(2Nx)})

 ...(2-10a),

 

 すなわち,

 (TNx)lm=(1/Nx)1/2 (m=1のとき),

 (TNx)lm=(2/Nx)1/2cos{(2l-1)(m-1)π/(2Nx)} 

 (m=2,3,..,Nxのとき) ...(2-10b)

 です。

 そこで,jtxφj,jtNxρ'j (j=1,2,..,Ny) ...(2-11)

とおけば,(2-5)式は,

 

j+1-2jj-1+(hy/hx)2ΛNxjj (j=2,3,..,Ny-1)

 ...(2-12a),

 21+(hy/hx)2ΛNx11 ...(2-12b),

 -NyNy-1+(hy/hx)2ΛNxNy=Ny ...(2-12c),

 

 すなわち,Pi,j+1+{(hy/hx)2λ-2}Pi,j+Pi,j-1=Ri,j

 (j=2,3,..,Ny-1),

 

 Pi,2+{(hy/hx)2λ-1}Pi,1=Ri,1,

 {(hy/hx)2λ-1}Pi,Ny+Pi,Ny-1=Ri,1Ny ...(2-13)

 

 となります。

 これらはi=1,2,...,Nxの各々を固定すると,j=1,2,...,Ny

に対して三重対角行列の係数を持った1次元の連立1次方程式系

です。そしてこれは次のように書けます。

 

すなわち,直交変換されたPoisson方程式の左辺の未知関数縦ベクトル

を,'it(Pi,1,Pi,2,..,Pi,Ny),右辺の既知関数縦ベクトル

'it(Ri,1,Ri,2,..,Ri,Ny)とおき,行列A'i

 

第1行目が({(hy/hx)2λ-1},1,0,..,0),

第k行目(k=2,3,..,Nx-1)が,

(0,..,1,{(hy/hx)2λ-2},1,0,..,0),

第Nx行目が(0,,.,0,1,{(hy/hx)2λ-1})

 

で与えられるNy×Ny三重対角行列とすれば,これを係数とし

未知数が'iの行列方程式; A'i'i'i (i=1,2,..,Nx) 

...(2-14) が得られます。

 

λi0 すなわち,i≠1のときには,左辺の行列A'iは正則であって,

逆行列が存在するので通常の1次元の三重対角行列係数の連立方程式

の解法を用いて解くことができます。

一方,λi0 すなわち,i=1 のときには,左辺の行列A'iはNy×Ny行列としてAと同じ形になるので,非正則であるからP1,1あるいはP1,Nyを与えることによって,漸次P1,jを計算できます。

 

こういう非正則の問題が生じるのは,Neumann問題を扱っているためであり解が定数だけの任意性を持つことに依ります。

 以上の過程で求めたjに対してφj≡Txjによってφjを求めれば

 2次元Poisson方程式のNeuman問題は解決されます。

 今日はここまでにします。

  

 以下は3次元ポPoison方程式 (Neumann問題) への拡張という論題

 へと続きます。

  

 この3次元の問題こそが,"成分が行列であるような行列=直積

 =テンソル積?"を導入するという私のオリジナルな発想を記述

 したものとなっています。

 

(※ 上記2次元問題は,元ネタの小倉さんの論文の紹介です。)

 

 参考文献:1)Masako Ogura:"A direct solution of Poisson's equation by dimention reduction method." Journal of the Meteorogical Soc.Japan. Vol.47. No.4.(1969),pp319-322(日本気象学会誌、第47巻4号,1969) 2)矢嶋信夫、野木達男 著「発展方程式の数値解法」(岩波書店) (1977) 他

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2007年5月17日 (木)

超幾何微分方程式の解と接続公式

Gaussの超幾何微分方程式:

/(z-1)(d2/dz2)+[(α+β+1)z-γ](dy/dz)

+αβy=0

の解全体の作る関数族は,

 

RiemannのP関数(ペイ関数)を用いて,P{0,1,;z}と表わすこと

ができます。

  

ここで,0,1,のそれぞれは,

0=(0,0,1-γ),1=(1,0,γ-α-β),(∞,α,β)

で定義される3行の列ベクトルを意味します。

 

(※行表示の左上に転置(transport)を意味する添字tを付けて

列を表現しています。)

 

そこで,P{0,1,;z}の(0,1,)は表記の上では,3×3 行列と同じですが,P関数の記号というのは別にベクトル演算や行列演算を行なうというものではなく,単に関数族を表現する記号にすぎません。

 

解の中に対数項が現われる面倒な場合を避けるためにRiemannと同じ

く,1-γ,γ-α-β,α-βはどれも整数ではないとしておきます。

 

すると,この関数族の3つの特異点に対応するそれぞれ2つの独立解として,次の6通りの解が含まれることになります。

 

 すなわちy01(z):z=0 で正則な関数,

 y02(z):z1-γ× (z=0 で正則な関数),

 11(z):z=1で正則な関数,

 12(z):(1-z)γ-α-β× (z=1で正則な関数),

 1(z):(1/z)α× (z=∞ で正則な関数),

 y2(z):(1/z)β× (z=∞ で正則な関数)の6つです。

  

 以下では,これらの解を全て具体的に求めます。

 

 まず,y01(z)を求めます。

 

 そのためにy=y01(z)≡Σk=0kkとおいて,超幾何微分方程式

 に代入し,未定係数法でckを求めます。

 

 解は定数だけの任意性を持つので,01とおきます。

 

 簡単な計算によって,y=Σk=0kk

 1+Σk=1(α)k(β)kk/[k!(γ)k]

(ただし,(α)k≡α(α+1)(α+2)..(α+k-1))

 が得られます。

 

 それ故,y01(z)=F(α,β,γ;z)(超幾何関数)です。

 

 この解が求まると他の解を求めるのに,もはや未定係数法を用いる

 必要はなく,RiemannのP関数による変換公式を用いればいいだけ

 です。

 

 y02(z)を求めるためには変換w=zγ-1yを行います。

 

γ-1{0,1,;z}=P{0',1',';z},ただし,0=(0,0,1-γ),

1=(1,0,γ-α-β),(∞,α,β);0'(0, 0,γ-1),

1'=1,'=(∞,α-γ+1,β-γ+1) )です。

 

そこで,w=zγ-1y=F(α-γ+1,β-γ+1,2-γ;z)

となります。

 

故に,y02(z)=z1-γ(α-γ+1,β-γ+1,2-γ;z)です。

 

次に,y11(z),y12(z)ですが,これらはy01(z),y02(z)で

ξ=1-zという1次分数変換を行なったときのξに対する解

に変換すればいいということになります。

 

ところが,この変換は特異点 0と1を入れ換えるだけですから,

P{0,1,;z}:0=(0,0,1-γ),1=(1,0,γ-α-β),

(∞,α,β)に対応する表式から,

 

P{0,1,;z}=P{0',',;1-z};0'1,'=0

表記を変換すればいいだけです。

 

そして,これはy01(z)とy02(z)においてパラメータを

(α,β,γ) から(α,β,α+β-γ+1)に変更して,

0 の周りの超幾何関数を1の周りのそれに変える操作を

することに相当します。

 

したがって,

11(z)=F(α,β,α+β-γ+1;1-z)と,

12(z)

=(1-z)γ-α+β(γ-β,γ-α,γ-α-β+1:1-z)

を得ます。

 

次に,y1(z),y2(z)ですが,これらは上と同様にy01(z),

02(z)でξ=1/zという1次分数変換を行うことによって,

特異点 0 と∞ を入れ換えてその後にξαを掛ければいいわけ

です。

 

したがって,同様なP関数の変換によって,これを求めるのは

01(z)と02(z)でパラメータを(α,β,γ)から

(α,α-γ+1,α-β+1)に変更し, 0の周りの超幾何関数を

∞の周りのそれに変えて,さらに(1/z)αを掛ける操作を行う

ことに相当します。

 

それ故,y1(z)=(1/z)α(α,α-γ+1,α-β+1;1/z),

2(z)=(1/z)β(β,β-γ+1,β-α+1;1/z)

となります。

 

以上の結果をまとめると,超幾何微分方程式の基本的な解は

次のように列記されます。 

 

01(z)=F(α,β,γ;z),y02(z)

=z1-γ(α-γ+1,β-γ+1,2-γ;z);

 

11(z)=F(α,β,α+β-γ+1;1-z),

12(z)=(1-z)γ-α+β(γ-β,γ-α,γ-α-β+1;1-z);

 

1(z)=(1/z)α(α,α-γ+1,α-β+1;1/z),

2(z)=(1/z)β(β,β-γ+1,β-α+1;1/z)

 

です。

 

 しかし,これらは単に解の超幾何級数による表示を求めただけです。

 

 そして,超幾何級数は,それが多項式になる場合を除けば収束半径

が1無限級数なので,

 

 我々が解の性質を知り得るのは,y01(z),y02(z)については,

|z|<1においてだけ,y11(z),y12(z)については,|1-z|<1

においてだけ,y1(z),y2(z) については |z|>1において

だけということになります。

 

 したがって,それぞれの解の収束円の外への解析接続を行わない

限りは超幾何微分方程式が完全に解けたとはいえません。

 

 この解析接続を行なって方程式を完全に解くという問題は実は

 1908年のBarnes(バーンズ)の論文によって完全に解決されてい

 ます。

 

彼の解析接続の方法は,まことに巧妙で技巧的な計算が必要なので,

ここではその詳細を紹介することはやめて考え方のアウトライン

示すだけとします。

 

例えば,y02(z)を|z|>1の範囲に解析接続することを考えます。

 

02(z)は2つの多価関数z1-γと,

(α-γ+1,β-γ+1,2-γ;z)積です。

 

そこで,まずこれらが|z|<1においてどの分枝を取るのか,

を決める必要があります。

 

それ故,まず解析接続は複素z平面上から正の実軸を除いたところ

で行なうと決めます。

  

この範囲での経路はz1-γの分岐点z=0 や.

F(α-γ+1,β-γ+1,2-γ;z)の分岐点z=1の周りを

1周することができないので,解析接続の結果が1価に確定

します。

 

次に解の分枝を定めるのですが,zが上記の範囲にあれば,

(2n-1)π<argz<(2n+1)πなので,y02(z)として,

(-z)1-γ(α-γ+1,β-γ+1,2-γ;z)を採用し,

この表現において-π<arg(-z)<πと定めることにより

(-z)1-γが確定します。

 

すなわち,(-z )1-γexp[(1-γ){log|z|+arg(-z)}];

-π<arg(-z)<πです。

 

さらにF(α-γ+1,β-γ+1,2-γ;z)の分枝としては,もちろん

|z|<1でzの超幾何級数で与えられるものをとります。

 

こうして定めたy02(z)

=(-z)1-γ(α-γ+1,β-γ+1,2-γ;z)を,

-π<arg(-z)<πの範囲を通る経路に沿って|z|>1

の範囲に解析接続したときどのような関数になるかを見る

ためには,

 

それをy1(z)とy2(z)の1次結合で表わせばいいこと

になります。

 

ただし,この際もy1(z)とy2(z)の分枝を確定するために

 

1(z)=(-z)(α,α-γ+1,α-β+1;1/z),

2(z)=(-z)(β,β-γ+1,β-α+1;1/z)

;-π<arg(-z)<πとし,F(α,α-γ+1,α-β+1;1/z)etc.

 

の分枝としては|z|>1で1/zの超幾何級数で与えられるもの

を取ります。

 

ここで,関数f(s)を,

f(s)≡[Γ(α+s)Γ(β+s)/{Γ(1+s)Γ(γ+s)}]{π/sin(πs)}(-z)sと定義します。

 

ただし,-π<arg(-z)<πとします。

 

こうすればlog(-z)が1価に確定するので,f(s)はsの1価

関数になります。

 

(s)の極を調べるために,公式Γ(x)Γ(1-x)=π/sin(πx)

においてx=-sとおくと,Γ(-s)Γ(1+s)=-π/sin(πs)

ですから,これを代入して,

f(s)=-{Γ(α+s)Γ(β+s)Γ(-s)/Γ(γ+s)}(-z)

が得られます。

 

Γ関数は零点を持たず,0,-1,-2,..に1位の極を持ちますから,

(s)はs=ν,-α-ν,-β-ν (ν=0,1,2,..)に1位の極を

持ち,それ以外では正則です。

 

ここで,s=σにおける(s)の留数を Reσ(s)と書けば

Γ(-s)の極s=νに対する留数は(-1)ν+1/Γ(1+ν)なので,

 

Reν(s)

=[Γ(α+ν)Γ(β+ν)/{Γ(1+ν)Γ(γ+ν)}]zν,

 

Re-α-ν(s)

=-[Γ(β-α-ν)Γ(α+ν)/{Γ(1+ν)Γ(γ-α-ν)}]

(-z)-ν,

 

Re-β-ν(s)

=-[Γ(α-β-ν)Γ(β+ν)/{Γ(1+ν)Γ(γ-β-ν)}]

(-z)-ν

 

と書けます。

 

したがって,|z|<1 のときにはΣν=0[Reν(s)]は収束して,

Σν=0[Reν(s)]={Γ(α)Γ(β)/Γ(γ)}F(α,β,γ;z)

={Γ(α)Γ(β)/Γ(γ)}y01(z) となります。

 

同様に,|z|>1 のときには,

Σν=0[Re-α-ν(s)]とΣν=0[Re-β-ν(s)]が収束して,

Σν=0[Re-α-ν(s)]

=-{Γ(β-α)Γ(α)/Γ(γ-α)}(-z)

(α,α-γ+1,α-β+1;1/z)

=-{Γ(β-α)Γ(α)/Γ(γ-α)}y1(z),

 

および,Σν=0[Re-β-ν(s)]

=-{Γ(α-β)Γ(β)/Γ(γ-β)}(-z)β

(β,β-γ+1,β-α+1;1/z)

=-{Γ(α-β)Γ(β)/Γ(γ-β)}y2(z)

 

が得られます。

 

ここで複素s平面の原点より左側にあって実軸に垂直な直線:

Res=λ (λ<0)を,その上には(s)の極が全く載らないよう

に取り,この直線を下から上(Ims=-∞~∞)にたどる経路をC

とします。

 

Cの右側にある(s)の極をs=0,1,2,..,;s=-α,-α-1,

..,-α-qλ;s=-β,-β-1,..,-β-rλとすると,Cの

左側にある(s)の極はs=-α-qλ1,-α-qλ2,..,;

=-β-rλ1,-β-rλ2,..,と書くことができます。

 

そこで,Tを|Imα|,|Imβ| のいずれよりも大きい正の数として,

Cのうち|Ims|≦Tの部分を示す経路をCTと書くと,経路Cに沿

っての積分∫Cf(s)ds=limT→∞CTf(s)dsが存在するこ

とを証明することができます。

 

すなわち,まず|Ims|≦Tの線分を下から上にたどる経路CTを通

った後に,Ims=T(ただしλ≦Res≦(λ+n) )で与えられる線

分を左から右にたどります。

 

さらに,Res=(λ+n) (ただし(λ+n)>0;(λ+n)より小さ

い最大の整数がNn )なる直線のうち,|Ims|≦Tを満たす部分の

線分を上から下にたどります。

 

最後に,Ims=-T (ただしλ≦Res≦(λ+n) )で与えられる

線分を右から左にたどってCTの出発点に戻る計回りの閉じた

経路=負の向きにまわる長方形の閉経路を積分経路として積分を

行なったとして積分結果を(2πi)で割ったものは,

 

f(s)が閉経路内部に持つ極による留数の総和に-)符号をつけ

たものに等しいはずです。

 

つまり,{1/(2πi)}[∫CTf(s)ds

+{∫λ+iTλ+n+iT+∫λ+n+iTλ+n-iT

+∫λ+n-iTλ-iT}f(s)ds]

 

=-Σν=0n[Reν(s)]-Σν=0qλ[Re-α-ν(s)]

-Σν=0rλ[Re-β-ν(s)]

 

です。

 

T→ ∞,n→ ∞ の極限では,左辺の第2,3,4項の積分はゼロに

収束し,n→ ∞ですから,結局,

 

{1/(2πi)}∫Cf(s)ds=-Σν=0[Reν(s)]

-Σν=0qλ[Re-α-ν(s)]-Σν=0rλ[Re-β-ν(s)]

 

となります。

 

そこで,{1/(2πi)}∫Cf(s)ds+Σν=0qλ[Re-α-ν(s)]

+Σν=0rλ[Re-β-ν(s)]=-{Γ(α)Γ(β)/Γ(γ)}y01(z)

が成立することがわかります。

 

一方,Cの左側にRes=λ-nなる直線を取って,Res=λの線分の

経路CTからRes=λ-nの線分まで長方形閉路を反時計回りに回る

場合のf(s)の極の留数の総和を調べることにより,

 

{1/(2πi)}∫Cf(s)ds+Σν=0qλ[Re-α-ν(s)]

+Σν=0rλ[Re-β-ν(s)]

Σν=0[Re-α-ν(s)]+Σν=0[Re-β-ν(s)]

 

なる等式が得られます。

 

結局,{Γ(α)Γ(β)/Γ(γ)}y01(z)

={Γ(β-α)Γ(α)/Γ(γ-α)}y1(z)

+{Γ(α-β)Γ(β)/Γ(γ-β)}y2(z)

が得られるわけです。

 

より具体的には,y01(z)=F(α,β,γ;z)

=[Γ(β-α)Γ(γ)/{Γ(γ-α)Γ(β)}]y1(z)

+[Γ(α-β)Γ(γ)/{Γ(γ-β)Γ(α)}]y2(z)

と書けます。

  

この等式で,(α,β,γ) → (α-γ+1,β-γ+1,2-γ)とする

ことにより,y02(z)=z1-γ(α-γ+1,β-γ+1,2-γ;z)

=[Γ(β-α)Γ(2-γ)/{Γ(β-γ+1)Γ(1-α)}]y1(z)

+[Γ(α-β)Γ(2-γ)/{Γ(α-γ+1)Γ(1-β)}]y2(z)

が得られます。

 

そして,y01(z),y02(z)の|1-z|<1 の内部の領域への解析接続

は,たった今得られた上の公式やKummerの関数等式F(α,β,γ;x)

=(1-x)(α,γ-β,γ;x/(x-1))を使用し,さらに同様な

手続きを行なえば得られます。

   

これらも基本的な手法としては留数を用いるものであって,先に

記述した方法と同じなので,以下は割愛します。

  

そして,こうして得られる全ての1次関係式を接続公式と呼びます。

 

以上は,1-γ,γ-α-β,α-βはどれも整数ではない場合のみの

扱いですが,これらが整数になる場合,すなわち一般にzの対数を含

む場合も論じることは可能なのですが,一応解を具体的に求めて

複素z平面に解析接続する話はこれで終わります。

 

今日紹介した話は,順天堂大病院で4/10朝から夜までかかった心臓

手術の翌日4/11朝に集中治療室(ICU)から一般病棟(CCU)に戻った後,

 

それから3日目の4/13から読書できる余裕と体力が戻ったので読

書を再開して4/15午後までに勉強して把握した部分に関するもの

です。

 

参考文献:斎藤利弥 著「線形微分方程式とフックス関数I(ポアンカレを読む)」(河合文化教育研究所)

 

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2007年5月15日 (火)

シルヴェスターの慣性律とローレンツ多様体

 我々の宇宙である時空多様体は,その計量(metric)が正定値ではなく,

不定計量であり,空間としてcompactではなく,謂わゆる擬Riemann多様体

(semi-Riemannian manifold)の一種です。

 

 この時空の計量を与える対称テンソルG≡(gμν)は,擬Riemann

計量です。

 

 そして,"適当な一般座標変換を行うことで任意の点の近傍では局所的にMinkowski計量を持つ空間にすることができる"という等価原理の1つの表現である局所平坦性が成立します。

 

 この意味で,時空の計量G≡(gμν)を一般座標変換により対角化したとき,"対角成分の符号は(0,1,2,3)成分についてMinkowski計量ημνと同じく,(+,-,-,-),または(-,+,+,+)になります。

 

 そこで,どのような一般座標を取ろうと計量の行列式g≡det(G)=det(gμν)は負の数になることがわかります。

 

 こうした各点での接空間がMinkowski空間になっているという特別な計量構造を持つ擬Riemann多様体を,特にLorentz多様体(Lorentz manifold)と呼びますから時空多様体は一種のLorentz多様体であるといえます。

 

 ということは"計量テンソルGを任意の正則行列Qによって,

'=tGQと変換したとき,Gの固有値における(+)符号の数と

(-)符号の数,およびゼロの数はG'の固有値におけるそれらの数

の組と全く同一である。"という性質が成立する必要があります。

 ,

 実はこの規則は線形代数学によって確かに成立することが保証されて

おり,Sylvesterの慣性律(Slvester's law of inertia;シルヴェスター

の慣性律)として知られています。

 

 局所平坦性により,=(Xμ)を時空座標=(xμ)に対応する

Minkowski計量の座標として,局所一般座標変換をd=A()d

or dXμ=aμν()dxν;A()≡(aμν())で表わすことに

します。

 

 このとき,計量を表わす2次形式の不変式:ds2=gμνdxμdxν

=ημνdXμdXνから,

 

 gμνdxμdxν=ηλσλμσνdxμdxνなる等式が成立

 します。

 

すなわち,μν=ηλσλμσνとなるのですが,これは

行列表現では,G=tAΗAです。

 

ただし,tAはAの転置行列でG()≡(gμν()),Ημν)

です。

 

ここで,P≡A-1とおけばΗ=tPGPとも書くことができます。

 

こうしたPが存在することが,計量Gを持つ多様体がLorentz多様体

になるための必要十分条件です。

 

一般にTを直交行列,すなわちtT=T-1とすれば,det(tTGT-λE)

=det[T-1(G-λE)T]=det(G-λE)より,Gに対する固有値

方程式はtTGT=T-1GTに対するそれと全く一致することがわ

かり,したがって両者の固有値は完全に一致します。

 

そして,Gは実対称行列なので,帰納法を用いると適当な直交行列

Tを用いた直交変換:G→tTGTによって,Gを常に対角化する

ことが可能であることが証明できます。

 

そして,そのときの対角成分は,既に述べたことから全てGの固有値

ですが,λを1つの固有値とすると"G=λ,0 を満たす

ベクトル:つまりGの固有ベクトル"が存在します。

 

Gは実行列なので,G=λの複素共役を取ればG*=λ**

なりますが,Gは対称行列:tG=Gでもあるので.t(G)*

t*が成立します。

 

それ故,λ(txx*)=λ*(txx*)が得られますが,txx*>0 なので,

λ=λ*です。つまり,λは実数であると結論されます。

 

よって,"対角行列:tTGTの対角成分:Gの固有値"は全て実数です。

 

したがって,Gを4次に限らずn次の実対称正方行列として,

そのn個の固有値をλ12,...,λnとすると,適当な直交行列:

による変換:'=Tにより,

 

実2次形式:t'G'は,t(T)G(T)=t(tTGT)

Σjλj(xj)2という簡単な形になります。

 

そして,固有値λ12,..,λnのうちp個が正,q個が負,残りがゼロの

場合は,簡単のために,λ1,..,λp>0 ,λp+1,..,λp+q<0 ,λp+q+1,..,

λn=0 と仮定します。

 

(※必要なら基底の並べ替えを行なえばいいだけです。)

 

ここで,対角行列Sを,その対角成分が,1)-1/2,..,(λp)-1/2,

(-λp+1)-1/2,..,(-λp+q)-1/2,1,..,1であるように作れば,

 

P≡TSと取ることによって,Pは正則となり,一般座標変換:

'=Pに対し,t(tPGP)(x1)2 +..+(xp)2-(xp+1)2

-..-(xp+q)2 なる標準形の表現が得られるわけです。

 

そして,こうした表現で,"正整数の対(p,q)が一意的であること" 

を証明するには,まず,(tP'GP')が標準形になるような変換:

"=P'が別に存在すると仮定して,

 

この変換で,(p,q)に相当するものを(p',q')とすると,

p+q=p'+q'=rankGなる等式が成立することを示す

必要があります。

 

さらに,p'>pと仮定し,ベクトルとして特別なベクトルを仮定

すれば矛盾に導かれることから,p'=p,q'=qとなるしかない

ことを示す必要があります。

 

しかし,証明は線型代数のテキストに譲ることにして,ここでは省略

してこれらは成立するとします。

 

結局,Gの固有値λ12,..,λnと,tPGPの固有値:

1,1,..,1,-1,-1,..,-1,0,0,..,0 は,一般に異なりますが,

その(+)符号の数と(-)符号の数,およびゼロの数は同じで

あることがわかります。

 

そこで,値(p,q)の組は行列Gが与えられれば完全に決まり,

一意的です。

 

さらに,任意の正則行列Qに対する変換:G'tQGQにおいても,

R≡Q-1Pと置けば,tPGP=t'Rと書けますから,正則行列

Rによって'をGと同じ標準形にすることができます。

 

それ故,変換G'tQGQに対して,GとG'の両者でその固有値は

一般に異なりますが,固有値における(+)符号の数と(-)符号の数,

およびゼロの数は同一であることが示されたわけです。

 

われわれの時空は空間と時間を含めて4次元,つまりn=4ですから,

次元Lorentz多様体であり,ことさら一般のn次元Lorentz多様体を

意識する必要はりませんが,例えば弦理論ではn=26,またはn=10

となることが知られています。

 

いずれの場合もnは偶数なので,例えばn=26のとき,そのMinkowski

計量のn次元空間での時間1次元の符号を(-)に,残りの空間25次元

の符号を全て(+)としても,その逆の符号に設定しても計量の行列式

の符号は共に負になるため,どちらでもいいと思われます。

 

しかし,次元が大きいときに扱いがより簡単なためでしょうか?

通常の弦理論では前者を採用することが多いようです。

 

これに対して,通常の点粒子の4次元相対論では(+,-,-,-)

の方が多く採用されているようです。

 

いずれにしろ,Minkowski計量をどちらに取るか次第で,Sylvesterの

慣性律で決まる計量に固有の(+)符号の数と(-)符号の数の組は異

なるわけですが,理論はどちらで定式化しても同じです。

 

(※電気理論の歴史においては,当時の人が勝手に決めた,

"電流=電荷(キャリア)の流れ"の符号と,後にその主要なキャリア

であることがわかった電子の流れが逆符号であった,という歴史的

経緯がありました。

 

これを見てもわかるように,(+)とか(-)とかいう符号自体は

人間が勝手に決めた概念です。

 

数学を含め自然科学を扱う際,例えば現状と逆に符号を定め,

今は(+)とされているものを(-)に,(-)とされているものを

(+)に,という符号選択をしても,理論全体の本質には全く影響

がない,という鏡のような相似対称性があります。※)

 

つまり,理論は,計量全体に(-1)を掛けても変わらないということ

です。

 

計量を指定したときの理論を構成する変換群を,位数が2の集合

{±1}で割った商群の方が本質的な意味を持ちます。

 

ただ,最近の統一超弦理論といわれているブレイン理論では,

n=11で,次元nが奇数らしいのですが,これについては,今の

ところ,私は齧ったことさえないので,よく知りません。

 

参考文献:佐竹一郎 著「線型代数学」(裳華房)

 

追伸:後で知ったのですが。。

 

本日の私の記事は,ちょうど5月16日零時頃にアップされたT_NAKA

さんのブログの,Weil(ワイル)著「空間・時間・物質」に関する

記事:

 

http://teenaka.at.webry.info/200705/article_16.html

  

と内容がかぶってしまったようです。

 

まあ,最近,Weylの書籍について書かれているのは知ってはいた

ですが,内容がほぼ一致したのは全くの偶然です。

   

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