« 超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(5) | トップページ | ニュートンの運動の第3法則の重要性 »

2007年6月 2日 (土)

有限なモノドロミー群と代数関数解

ポアンカレ以前のシュワルツの項目で気になったことを補足しておきます。

すなわち,前記事までに次のような内容の事実が得られました。

 

超幾何微分方程式x(x-1)(d2y/dx2)+{(α+β+1)x-γ}(dy/dx)+αβy=0 の1次独立な解の比であるs関数z(x)の逆関数x(z)がzの1価関数となるための条件は,正の整数m,n,pが存在してλ=|1-γ|=1/m,μ=|γ-α-β|=1/n,ν=|α-β|と書けることです。

 

このとき,さらに,(ⅰ)λ+μ+ν=1/m+1/n+1/p>1 の場合,(ⅱ)λ+μ+ν=1/m+1/n+1/p=1 の場合,(ⅲ)λ+μ+ν=1/m+1/n+1/p<1 の場合に分けます。

 

それぞれの場合に,x(z)の定義域である∪T∈GTz(Π)の基本領域を構成するTz(Π+),Tz(Π-)に対応する円弧三角形の内角の和が(λ+μ+ν)πで与えられるということから判断すると,次のような幾何学との関係性が見て取れます。

 

すなわち,(ⅰ)がリーマン空間=楕円幾何学の空間,(ⅱ)がユークリッド空間=放物幾何学の空間,(ⅲ)がロバチェフスキー空間=双曲幾何学の空間に,それぞれ対応していることがわかります。

 

そこで,超幾何微分方程式の解についての議論は,非ユークリッド幾何学,あるいはユークリッド幾何学のような空間幾何学の分類と非常に密接な関係があるのではないか?ということに気が付きます。

ところで,(ⅰ)λ+μ+ν=1/m+1/n+1/p>1 の場合について既述したように,αを任意の複素数とすると,x(z)=αとなるzの値は各基本領域の中に1つずつしかありません。

 

そして,この場合はGは有限群であり,基本領域の総数が有限なのでz平面全体でx(z)=αとなるzの個数,複素数αに対する方程式x(z)-α=0 の解の個数は有限です。

 

このような1価関数x(z)は有理関数でしか有り得ないと結論されます。と書きましたが,実は書いた本人の私には,これは自明なこととは思えませんでした。

フックス群Gに対応するモノドロミー群が有限群のとき,または(ⅰ)λ+μ+ν=1/m+1/n+1/p>1の場合,s関数z(x)の逆関数で1価関数のx(z)に関し,任意の複素数αに対する方程式x(z)-α=0 の解の個数が有限個である。というところまでは問題なしです。

 

しかし,z(x)の逆関数で1価関数のx(z)に関し任意の複素数αに対する方程式x(z)-α=0 の解の個数が有限個なら,何故x(z)が有理関数でしか有り得ないのだろうか?という疑問が湧きました。

 

そこで,これを自分なりの方法で証明してみます。

まず,x(z)は1価関数なのでx(z)-αもそうです。

そこで,{x(z)-α}の零点は分岐点ではなく,零点の位数は全て正整数であるはずです。

 

そして,この根の重複度も含めてx(z)-α= 0 の解zの個数(基本領域の個数)をNとすると,{x(z)-α}はそれらの解を零点とするN次多項式fN(α,z)で割り切れて,x(z)-α=fN(α,z)g(α,z)と表現できるはずです。

 

すなわち,x(z)=α+fN(α,z)g(α,z)と表わせます。

(z)-αとfN(α,z)は共にzの1価関数ですから,g(α,z)もzの1価関数です。そしてあり,g(α,z)は特異点は持っても零点を全く持たない関数です。

ところで,z(x)は超幾何微分方程式の解であり,例えばx=0 の近傍ではz(x)=xλP(x)=x1/pP(x) (P(0)≠0でP(x)はx=0 の近傍で正則)という形をしています。

 

それ故,その逆関数"x(z)の特異点=g(α,z)"の特異点は真性特異点ではなく,しかもg(α,z)はzの1価関数ですから,これの特異点は全て極であり,それ故g(α,z)は有理型関数であることがわかります。

 

ちなみに,有理関数はもちろん有理型関数ですが,有理型関数が全て有理関数であるというわけではありません。

 

例えば,expzやsinzもz=∞を除けば,有理型関数ですが,もちろん有理関数ではありません。expzは整関数ですがz=∞ に特異点を持ち,それは極ではなくて真性特異点です。

 

これは,exp(1/x)がx=0 に真性特異点を持つというのと同じ意味で,特異点x=0 の周りのローラン展開の主要部がxの負の無限級数になる:つまり特異点x=0 を極と考えるならその位数が∞ になる,という意味です。

話を元に戻すと,有理型関数g(α,z)は零点を全く持たないので,{1/g(α,z)}は無限遠点を除いて特異点を全く持たないことからzの整関数です。

 

しかも,z=∞ に真性特異点を持たないことから,結局 1/g(α,z)はzの多項式であり,g(α,z)は1/(zの多項式)の形をしていることがわかります。

 

それ故,x(z)=α+fN(α,z)g(α,z)は1つの有理関数であることが証明されました。(以上)

 

http://folomy.jp/heart/「folomy 物理フォーラム」サブマネージャーです。

人気blogランキングへ ← クリックして投票してください。(1クリック=1投票です。1人1日1投票しかできません。)

http://homepage2.nifty.com/toshis-kaiga-auction/「健康商品の店 タクザイ」

にほんブログ村 科学ブログへクリックして投票してください。(ブログ村科学ブログランキング)

にほんブログ村 トラコミュ 物理学へ
    物理学

|

« 超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(5) | トップページ | ニュートンの運動の第3法則の重要性 »

308. 微分方程式」カテゴリの記事

305. 複素数・複素関数論」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 有限なモノドロミー群と代数関数解:

« 超幾何微分方程式の代数関数解(シュワルツ)(5) | トップページ | ニュートンの運動の第3法則の重要性 »