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2007年7月31日 (火)

遅い粘性流(5)(Stokes近似)

遅い粘性流の項目を終わりにするに当たって1982年5月の覚書きノートから「I.Imai(今井功)の方法(1972)によるストークス(Stokes)方程式の一般解」を紹介します。

まず,非圧縮性流体の定常流のストークス方程式と連続方程式はη△=gradp (1),div=0 (2)と表わされます。

 

そこで,今 △φ0 を満足するあるベクトル場:φ (3)によってp=2ηdivφ (4)と表わされたとします。

 

このとき(1),(2)の1つの解1は次式で与えられます。すなわち,1grad(rφ)-2φ (5) です。これが実際に解であることは1を直接(1),(2)に代入することで確かめられます。

次に一般解をとして,'≡1とおけば,'=0 ,div'=0 となります。第2の式によって,'=rotなるが存在します。

 

そして第1の式から,△'=rot(△)=0 なので,ある関数χが存在して△=gradχと書けます。

 

ここで,△Ψ=-χなるΨによって,ゲージ変換:'=+gradΨを施せば △'=0 とできることがわかります。

以上から,一般解1rot(6),△=0 (7)と表わすことができることがわかります。

 

そこで,χ≡-/2, △Φ=0 (8)なるχ,Φを用いてφ'=φ+gradΦ+rotχ(9)とおけば,△φ'=△φ=0 ,divφ'=divφ(10)が成立し,grad(rφ')-2φ'=1grad{gradΦ-2Φ+rot(-/2)}+rot(11)と書けます。

したがって,gradΦ-2Φ-(/2)rot=一定となるような調和関数Φが存在すれば,φ'1grad(rφ)-2φ(15)のφの代わりに用いて=grad(rφ')-2φ'とすることで,一般解が与えらます。

今,Φ=ΣlΦl,=Σll (12)と,Φ,をl次の体球関数Φl,l(調和関数であってx,y,zのl次の同次式):Φl=Σmlmllm(θ,φ),l=Σmlmllm(θ,φ))で展開すれば,(l-2)Φl(/2)rotlconst.δl0(13)が得られます。

そこで,20 でもrot20 のケースには,l≠2なるlに対するΦlとしてΦlrotl/{2(l-2)}と取れば,求めるΦ=ΣlΦlが存在することがわかります。

 

すなわち,Φ=(1/2)Σl≠2[rotl/(l-2)] (14) です。

さらにrot20 のケースでも(9)とは別のφ'の選び方で=grad(rφ')-2φ' (5)'の形に帰着できることが予想されます。

今井功 著「流体力学」(1973)(裳華房)

 

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