リーマン予想と素数定理
素数定理:π(x) ~ x/logx は,現在も未解決のリーマン予想
=R.H(Riemann hypothesis)の解決を待つまでもなく,既に証明
されていますが,Riemann予想が元々は精密な素数定理を導くこと
を,その目的としていたことはよく知られています。
しかし,ゼータ関数(Zeta)の零点が素数の個数分布π(x)と
具体的に,どのように結びつくのか?の詳細については私は
知らなかったので,ちょっと調べてみました。
本ブログでは,2006年10/30に「ベルヌーイ数とゼータ関数」,
10/31には,その続編「ベルヌーイ数とゼータ関数(その2)」
という記事を書きました。
そこでは,整数のべき乗数列の有限和のBernoulli(ベルヌーイ)数
による表現として,Euler-Maclaulinの和公式を与えました。
すなわち,s≠1なら,
∑n=1N(1/ns)=(1-1/Ns-1)/(s-1)+(1/2)(1+1/Ns)
+∑k=1M-1[Bk+1/(k+1)!](s)k(1-1/Ns+k)
-{(s)M/M!}∫1NBM(x-[x])x-s-Mdx
なる公式です。
ただし,Mは任意の自然数,BrはBernoulli数,であり,記号:
(s)kは,(s)k≡s(s+1)...(s+k-1)で定義されます。
そして,Riemannのゼータ関数:ζ(s)は,Re(s)>1の複素数s
に対して,ζ(s)≡∑n=1∞(1/ns)で定義されるのですが,上の
Euler-Maclaulinの和公式の右辺は,この範囲では絶対収束します。
そこで,両辺のN→ ∞ の極限を取ると,
ζ(s)=∑n=1∞(1/ns)
=1/(s-1)+1/2+∑1M-1[Bk+1/(k+1)!](s)k
-{(s)M/M!}∫1∞BM(x-[x])x-s-Mdx;(Re(s)>1)
という表現式が得られます。
ところが,右辺の積分式の方は,
Re(s)>(1-M)の範囲で絶対収束するので,この式の右辺に
よって,ゼータ関数ζ(s)は,Re(s)>(1-M)の範囲のsに
自然に解析接続されます。
Mは任意の自然数ですから,ζ(s)はs=1に"特異点=1位の極"
を持つだけで,この点を除く全複素s平面に解析接続されます。
そこで,今日はまずRiemannの原論文に従ってsと1-sの交換
に対して不変な関数:π-s/2Γ(s/2)ζ(s)を考察することから
始めます。
まず,EulerのΓ関数の定義Γ(s)≡∫0∞xs-1exp(-x)dxに
部分積分を繰り返すことによって,等式:
Γ(s)/ns=∫0∞xs-1exp(-nx)dx
が得られます。
これから,Γ(s)ζ(s)=∫0∞[xs-1/{exp(x)-1}]dx
が成立することがわかります。
故に,積分:∫0∞[(-x)s-1/{exp(x)-1}]dxの積分路が囲む
1位の極;x=±2πniの留数の寄与を考えると,
2sin(πs)Γ(s)ζ(s)=(2π)sΣ1∞ns-1[is-1+(-i)s-1]
=(2π)sζ(1-s)2sin(πs/2) を得ます。
公式:Γ(s)Γ(1-s)=π/sin(πs)より,
sin(πs)=π/[Γ(s)Γ(1-s)],
sin(πs/2)=π/[Γ(s/2)Γ(1-s/2)]ですから,
ζ(s)/Γ(1-s)=(2π)sζ(1-s)/[Γ(s/2)Γ(1-s/2)]
となります。
一方,Legendreの関係式:Γ(s)=2s-1π-1/2Γ(s/2)Γ((s+1)/2)
より,Γ(1-s)=2-sπ-1/2Γ((1-s)/2)Γ(1-s/2) です。
結局,関数等式:π-s/2Γ(s/2)ζ(s)
=π-(1-s)/2Γ((1-s)/2)ζ(1-s) が得られます。
よって,確かにπ-s/2Γ(s/2)ζ(s)は,sと(1-s)の交換に
ついて対称であることがわかりました。
さて,Γ(s)/ns=∫0∞xs-1 exp(-nx)dxと同様に,
部分積分により,
π-s/2Γ(s/2)/ns=∫0∞xs/2-1exp(-n2πx)dx
が得られます。
そこで,関数ψを関数:ψ(x)≡Σn=1∞exp(-n2πx)
(↑ 今日では,Jacobiのテータ関数と呼ばれている)
によって定義すれば,
π-s/2Γ(s/2)ζ(s)=∫0∞xs/2-1ψ(x)dx
となります。
ここでψ(x)の既知の性質:2ψ(x)+1=x-1/2{2ψ(1/x)+1}
を用いると,
π-s/2Γ(s/2)ζ(s)
=∫1∞xs/2-1ψ(x)dx+∫01x(s-3)/2ψ(1/x)dx
+(1/2)∫01(x(s-3)/2-xs/2-1)dx
=1/{s(s-1)}+∫1∞(xs/2-1+x-(1+s)/2)ψ(x)dx
となります。
そして,これの右辺第2項の積分は全てのsについて正則なので
結局,π-s/2Γ(s/2)ζ(s)は,s=0,1の1位の極を除いて全s
平面で正則であることがわかります。
一方,ガンマ関数の性質から,Γ(s/2)はs=-2,-4,..に1位の極
を持つことが知られていますが,
π-s/2Γ(s/2)ζ(s)は,それらのsでは正則で,しかもゼロでは
ないので,ζ(s)がs=-2,-4,..に重複度1の零点を持つこと
がわかります。
これをζ(s)の自明な零点といいます。
先に述べたEuler-Maclaullinの和公式でも,mを自然数とするとき,
ζ(1-m)
=-1/m+1/2+∑1m-1[Bk+1/(k+1)!](1-m)(2-m)..(k-m)
と書けることから,
m=3,5,..ではζ(1-m)=-Bm/m=0
となることがわかります。
しかも,ζ(1-m)/(1-m)≠0 ですから,これら自明な零点は
重複度が1であることがわかります。
いずれにしても,ζ(s)の自明な零点はΓ(s/2)の極によって
相殺されます。
そして,Γ(s/2)は零点を持ちませんから,π-s/2Γ(s/2)ζ(s)
の全ての零点は,ζ(s)の自明でない全ての零点と完全に一致
します。
2006年10/24の記事:「素数を分母とする循環小数とその周辺」,
および,10/25の記事;「素数定理への入り口」において,
Eulerによるゼータ関数:ζ(s)の素数pによる無限積表示
(=Euler積):ζ(s)=Πp=素数(1-p-s)-1を紹介して,
これによってlog{ζ(s)}=-Σlog(1-p-s)が成立すること
を既に記述しています。
そして,s=σ+iτ(σ,τ:実数)とおけば,|p-s|=p-σであり,
σ>1 のときは,
-Σlog(1-|p-s|)=-Σlog(1-p-σ)≦Σp-σ<∞
です。
つまり,
σ=Res>1なら,log{ζ(s)}=-Σlog(1-p-s)は有限なので,
Res>1 には,"ζ(s)の零点=π-s/2Γ(s/2)ζ(s)の零点"は
存在しないことがわかります。
また,関数等式:π-s/2Γ(s/2)ζ(s)
=π-(1-s)/2Γ((1-s)/2)ζ(1-s)
による,sと(1-s)の交換対称性から,Re(1-s)>1,
はRes<0 と同値ですから,
結局,Res<0 にもRes>1にも,π-s/2Γ(s/2)ζ(s)の零点
は存在しないことがわかります。
つまり,"π-s/2Γ(s/2)ζ(s)の零点=ζ(s)の自明でない零点"
は,存在すれば,0≦Res≦1の領域にしかないことになります。
ここで唐突ですが,複素関数論で現われる正則関数の零点に関する
Weierstrassの標準形を考えます。
これは,正則関数f(z)が重複度も含めてn個の零点:
a1,a2,..,anを持てば,
f(z)の一般形は,g(z)を整関数として,
f(z)=exp{g(z)}(z-a1)(z-a2)...(z-an)
なる形に書けること,を意味します。
しかし,このままではn→ ∞ に移行するときに不便なので,
これをak≠0 なる全ての零点について,(-ak)で割ります。
mをak=0 なる零点の重複度とすると,Σn|1/an|<∞ ならば,
n→ ∞ では,f(z)=zmexp{g(z)}Πan≠0(1-z/an)という
形に書けるという定理が成立します。
しかし,一般にはΣn|1/an|<∞ が成立するとは限りません。
そこで,より一般的な展開式は,mnを∀t>0 に対して,
Σn{2/(mn+1)}|t/an|mn+1<∞ なる最小の正の整数とすると、
f(z)=zmexp{g(z)}Πan≠0[(1-z/an)
exp{(z/an)+(z/an)2/2+...+(z/an)mn/mn}]
と書けるという式になります。
これが"Weierstrassの標準形"です。
特に,z= 0 がf(z)の零点ではなく,
Σn|1/an|=∞,Σn|1/an|2<∞ の場合には,
f(z)=Cexp(Bz)Πan≠0[(1-z/an)exp(z/an)]
と表わすことができます。
ここでは「Weierstrassの因数分解定理と有理型関数」という
murakさんのホームページのpdf情報を参照しました。
これによると,s(1-s)π-s/2Γ(s/2)ζ(s)は,s平面で正則
で,その零点=ζ(s)の自明でない零点ρ,は全て単根でρ≠0
であり,Σρ|1/ρ|=∞,Σn|1/ρ|2<∞なので,
s(1-s)π-s/2Γ(s/2)ζ(s)
=Cexp(Bs)Πρ[(1-s/ρ)exp(s/ρ)]
と表現できます。
この両辺でs→ 0 とすると,sΓ(s/2)ζ(s)→ 2ζ(0)=-1
なのでC=-1 です。
また,s→ 1 とすると,(1-s)π-s/2Γ(s/2)ζ(s)→ -1
なので,1=exp(B)(1-1/ρ)exp(1/ρ) です。
さらに,exp(Bs)Πρ[(1-s/ρ)exp(s/ρ)]の,s→ (1-s)
に対する不変性により,
exp(B)=Πρ[{(1-ρ)/(-ρ)]exp{-1/(1-ρ)}]
と書けます。
結局,s(1-s)π-s/2Γ(s/2)ζ(s)=-Πρ(1-s/ρ)
が得られました。
右辺最後の式:Πρ:零点(1-s/ρ)は,Hadamad(アダマール)積
といいます。
したがって,ζ(s)=Πp.素数(1-p-s)-1
=[-π-s/2Γ(s/2)/{s(1-s)}]Πρ:零点(1-s/ρ)
という関係式が得られます。
Euler積とHadamad積の間には,こうした美しい関係があることが
わかりました。
これは素数とゼータの零点の間に成り立つ1つの双対性(Duality)
であると考えられます。
Euler積表現:ζ(s)=Πp.素数(1-p-s)-1の両辺をsで対数微分
すると,dlog(ζ(s))/ds=Σp.素数(1-p-s)-1logp
=Σn=1∞Λ(n)n-sと表わすことができます。
ここで,Λ(n)はvon Mangoldtの関数と呼ばれるnの関数で,
Λ(n)≡logp(n=pm:m≧1のとき),Λ(n)≡0 (それ以外)
です。
Hadamad積表現:ζ(s)
=[-π-s/2Γ(s/2)/{s(1-s)}]Πρ:零点(1-s/ρ)も,
sで対数微分して,Euler積表現の式に等置すれば,
dlog(ζ(s))/ds=Σn=1∞Λ(n)n-s
=1/s+1/(s-1)-1/2logπ+Γ'(s/2)/{2Γ(s/2)}
-Σρ:零点{1/(s-ρ)}
なる式を得ます。
ここで,前に戻り,ζ(s)においてs=1/2+it,または,
t=i(1/2-s)(tは複素数)とおいて,
ξ(t)≡π-s/2Γ(s/2+1)(s-1)ζ(s)
={s(s-1)/2}π-s/2Γ(s/2)ζ(s)と書けば,
ξ(t)=1/2-(t2+1/4)∫1∞dx[x-3/4cos{(tlogx)/2}ψ(x)],
または,
ξ(t)=4∫1∞dx[x-1/4cos{(tlogx)/2}d{x3/2ψ(x)}/dx]
と書けます。
これから,ξ(t)はtの偶関数であり,しかもtが実数ならξ(t)
も実数であることがわかります。
このとき,ξ(t)=0 となる根tで 0≦Ret≦Tなるものの個数:
すなわち 0≦Res≦1(-1/2≦Imt≦1/2),かつ,
0≦Ims≦T(0≦Ret≦T)を満たすζ(s)の自明でない零点;
ρ=sの個数をN(T)と書けば,
"N(T)={T/(2π)}log{T/(2π)}-{T/(2π)}+o(logT)
である。"という命題が成立することに関する,Riemannの幾分
不十分な説明が与えられていますが,
これは1905年に von Mangoldt によって,厳密な証明が与えら
れています。
そしてξ(α)=0 を満たす任意の根をαとします。
ρ=1/2+iαですからα=i(1/2-ρ)ですが.このときRiemann
によれば,上に求めた,
N(T)={T/(2π)}log{T/(2π)}-{T/(2π)}+o(logT)
という表式を考慮することで,
積公式:ξ(t)=ξ(0)ΠReα>0(1-t2/α2):つまり,
logξ(t)=ΣReα>0log(1-t2/α2)+logξ(0)が得られるという
ことです。
これも,Riemannの説明は私にははっきり言ってよく理解できません。
実際これも不十分な説明で,厳密な証明はHadamardによって,1896年
に与えられたらしいです。
しかし,むしろ先に求めた等式;
dlog(ζ(s))/ds=Σn=1∞Λ(n)n-s
=1/s+1/(s-1)-1/2logπ+Γ'(s/2)/{2Γ(s/2)}
-Σρ:零点{1/(s-ρ)}と,
ξ(t)={s(s-1)/2}π-s/2Γ(s/2)ζ(s)という表式,
および,ξ(t)の偶関数性から,
dlog(ξ(t))/dt=iΣρ{1/(s-ρ)}
=ΣReα>0{1/(t-α)+1/1/(t+α)} を得ます。
この両辺を,0からtまで定積分すると,
log(ξ(t))-log(ξ(0))=ΣReα>0[log(t±α)-log(±α)]
=ΣReα>0log(1-t2/α2) が,直接得られるので,
先のRiemannの説明は不要ですね。
そして,このξ(t)の表式をζ(s)の表式に翻訳すると,
log(ζ(s))=(s/2)logπ-log(s-1)-log{Γ(s/2+1)}
+ΣReα>0log{1+(s-1/2)2/α2}+log(ξ(0))
なる式が得られます。
次に任意の正の実数xより小さい素数の個数を,慣例によって,
π(x)で表わし,xの関数F(x)を,
xが素数でないならF(x)≡π(x),
xが素数ならF(x)≡limε→0[π(x+ε)+π(x-ε)]/2
=π(x-0)+1/2
によって定義します。
さらに,関数f(x)を
f(x)≡F(x)+F(x1/2)/2+F(x1/3)/3+...
=Σm=1∞[F(x1/m)/m]
で定義します。
log(ζ(s))=-Σplog(1-p-s)
=Σpp-s+Σpp-2s/2+Σpp-3s/3+...
=Σm=1∞[Σpp-ms/m]であり,p-ms=s∫pm∞x-s-1dxなので
log(ζ(s))/s=∫1∞x-s-1f(x)dx
が得られます。
そして,Fourierの反転公式によれば,
f(x)={1/(2πi)}∫a-i∞a+i∞ds[xslog(ζ(s))/s]
です。
ただし,右辺が収束しない場合を考慮して,1回引き算した形
にすると,f(x)=[{1/(2πi)}/logx]∫a-i∞a+i∞ds
[xsd{log(ζ(s))/s]/ds] となります。
これに,log(ζ(s))
=(s/2)logπ-log(s-1)-log{Γ(s/2+1)}
+ΣReα>0log{1+(s-1/2)2/α2}+log(ξ(0))
を代入します。
例えば,
-log{Γ(s/2+1)}
=limm→∞Σn=1n-mlog{1+s/(2n)}-(s/2)logm}ですから,
d[log{Γ(s/2+1)}/s]/ds
=Σn=1∞(d[log{1+s/(2n)}/s]/ds)
です。
よって,log(ξ(0))を別にすれば,f(x)を示す右辺の積分の全て
の項が,
[{±1/(2πi)}/logx]
∫a-i∞a+i∞ds[xsd{log(1-s/β)/s}/ds]
という形をしています。
d{log(1-s/β)/s]/dβ=1/{β(β-s)}ですから,
{1/(2πi)}∫a-i∞a+i∞ds[xsd{log(1-s/β)/s]/dβ]
なる積分を計算すると,
{1/(2πi)}∫a-i∞a+i∞ds[xs/{β(β-s)}]=xβ/β
です。
そして,これはResが Reβより大きいとき,Reβが負であるか?
正であるか?によって,
xβ/β=∫∞xxβ-1dx=(d/dβ)∫∞x[xβ-1/logx]β-1dx,
または,
xβ/β=∫0xxβ-1dx=(d/dβ)∫0x[xβ-1/logx]β-1dx
となります。
それ故,
[{1/(2πi)}/logx]∫a-i∞a+i∞ds[xsd{log(1-s/β)/s}/ds]
=∫∞x[xβ-1/logx]dx+(定数),または,
∫0x[xβ-1/logx]dx+(定数)です。
具体的には,
[{1/(2πi)}/logx]∫a-i∞a+i∞ds
(xsd[log{Γ(s/2+1)}/s]/ds)
=∫x∞[1/{x(x2-1)logx}]dx,
[{1/(2πi)}/logx]∫a-i∞a+i∞ds
[xsd{log(s-1)/s}/ds]=Li(x)
を得ます。
ただし,Li(x)は対数積分と呼ばれる関数で,
Li(x)≡∫0x(du/logu)
=limε→0[∫01-ε(du/logu)+∫1+εx(du/logu)]
で定義されます。
そして,f(x)
=[{1/(2πi)}/logx]∫a-i∞a+i∞ds[xsd{log(ζ(s))/s]/ds]
=Li(x)―Σα[Li(x1/2+αi)+Li(x1/2-αi)]
+∫x∞[1/{x(x2-1)logx}]dx-log2
となることがわかります。
これは,「Riemannの素数式」と呼ばれます。
一方,f(x)=Σm=1∞[F(x1/m)/m]の反転公式は,
F(x)=π(x)=Σm=1∞[μ(m)f(x1/m)/m]
で与えられます。
ここで,μ(m)は,数論でよく知られたMobius関数で,
μ(m)≡(-1)k(mの素因数分解:m=p1p2...pk;k個の
素数p1,p2,...,pkが全て相異なる素数のとき),
μ(m)≡1(m=1のとき),μ(m)≡0 (それ以外のとき)で
定義されるものです。
結局,F(x)=π(x)=Σm=1∞[μ(m)f(x1/m)/m],
f(x)=Li(x)―Σα[Li(x1/2+αi)+Li(x1/2-αi)]
+∫x∞[1/{x(x2-1)logx}]dx-log2 なる式が,
素数定理の表現を与えることがわかりました。
素数定理:π(x)~ Li(x)はRiemann予想とは別に,
1896年にHadamardや,de la Vallee-Poussinによって
証明されましたが,
π(x)~ Σm=1∞[μ(m)Li(x1/m)/m]という近似式の方が
より優れていることが,かなり大きいxまで検証されています。
ここまでは,ζ(s)の自明でない零点が全て 0≦Res≦1 の領域
にあれば成立することであり,特にRiemann予想が成立することを
必要としません。
しかし,特に,
"ζ(s)の自明でない零点が全てRes=1/2の上にある。"
というRiemann予想が成立するなら,
素数定理"π(x) ~ Li(x)"はより精密に,Riemann予想と同値な
命題であることが,1901年にvon Kochによって証明されている定理
として,
"F(x)=π(x)=Li(x)+o(x1/2+ε) (εは任意の正の数)"
に置き換わることになります。
最後に挙げた命題が,Riemasnn予想と同値な命題であることの
理由については,まだ把握していませんが,もしも詳細が理解
できたなら,そのときにはまた紹介したいと思います。
参考文献:鹿野 腱 編著「リーマン予想」(日本評論社);
梅田 亨,黒川信重,若山正人,中島さち子 著
「ゼータの世界」(日本評論社),
荒川恒男,伊吹山知義,金子昌信 著
「ベルヌーイ数とゼータ関数」(牧野書店) ;
E.Artin著(上野建爾 訳・解説)
「ガンマ関数入門」(日本評論社)
http://folomy.jp/heart/「folomy 物理フォーラム」サブマネージャーです。
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