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2007年8月17日 (金)

代数学の基本定理

コーヒー・ブレイクとして,ガウスの代数学の基本定理="複素係数の多項式は,それが定数でなければ複素数体の中に必ず零点を持つ。"の証明について記述してみます。 

 まず普通の証明です。 

(証明)あるzの多項式f(z)=a0+a1z+..+aNN=Σn=0Nnn (0,N≧1)が任意に与えられたとき,これが複素数体の中に零点を持たないと仮定すると,g(z)≡1/f(z)は全体で正則です。

 ところが十分大きい正の数Rに対して|z|≧Rなら|f(z)|/|z|N=|N+aN-1/z+..+0/N|≧|N|-|aN-1/z+..+0/N|≧|N|/2となります。

 

 すなわち,|f(z)|≧|NN|/2なので,|(z)|=1/|f(z)|≦2/|NN|≦2/|NN|,つまりg(z)は|z|≧Rで有界です。

 

 そこで,閉領域|z|≦Rでの|g(z)|の最大値をMとすると,|z|≦Rなら|g(z)|≦M,|z|≧Rなら|g(z)|≦2/|NN|です。よって,gは全体で有界です。

 ところが最大絶対値の原理によって,gは全体で正則(つまり整関数),かつ有界なのでこれは定数です。これは(z)=1/(z)=Σn=0Nnn において0,N≧1であるという仮定と矛盾します。したがってfはに零点を持ちます。(証明終わり)

 以上の証明が,通常,複素関数論の初学者が教えられる一般的な証明でしょう。 

 ここで,"有界な整関数は定数しかない。"という命題が最大絶対値の原理に帰すると書きましたが,最大絶対値の原理というのは"fを領域Dの上の正則関数とするとき,|f|がDで最大値を取るならばfは定数である。"というものです。

こうした複素関数論における定理の出発点は大体においてコーシーの積分定理にあります。

 

これは,"領域Dで正則な関数fがあってCをDの内部にあって正の向きにまわる閉曲線の経路とするときCが1点にホモトープ(領域の場合は単連結と同義)なら∫Cf(z)=0 である。"という定理です。

これと,∫|z-α|=ρdz/(z-α)=2πiという計算式から,"Cを単純閉曲線としαはCの上にない点とすると,αがCの囲む領域の内部にあれば∫Cdz/(z-α)=2πi, αがCの外部にあれば∫Cdz/(z-α)=0 である。"という命題が成立します。

 

したがって,fを領域Dで正則な関数としCを単純閉曲線としてCとその内部(C)がDに含まれるとき∀z∈(C)に対してf(z)={1/(2πi)}∫Cdζ[f(ζ)/(ζ-z)]という積分表示が成立します。

そして,f(z)を滑らかな単純閉曲線C上で連続な関数であるとしてC上にない点z∈D対して関数φ(z)≡∫Cdζ[f(ζ)/(ζ-z)]を定義します。

 

このとき,Cの上にない点αに対し,Rα≡inf{|ζ-α|:∀ζ∈}とおけば 0<ρ<Rαなる任意のρについて,|z-α|≦ρなら1/(ζ-z)=1/[(ζ-α)-(z-α)]={1/(ζ-α)}[1/{1-(z-α)/(ζ-α)}]=Σn=0(z-α)n/(ζ-α)n+1が成り立ちますから,f(ζ)/(ζ-z)=Σn=0(z-α)n{f(ζ)/(ζ-α)n+1}となります。

右辺は∀ζ∈に関して一様収束するので,an≡∫Cdζ{f(ζ)/(ζ-α)n+1}とおくと,|z-α|≦ρならφ(z)=∫Cdζ[f(ζ)/(ζ-z)]=Σn=0n(z-α)nとベキ級数展開ができます。

 

ところが,関数φ(z)が|z-α|≦ρで絶対かつ一様収束するベキ級数に展開可能なとき,φ(z)はαの近傍で無限回微分可能です。そして関数の"ベキ級数=Taylor級数"の展開係数の一意性によってan=φ(n)(α)/n!=∫Cdζ{f(ζ)/(ζ-α)n+1}なる等式が成立します。

一方,先に述べたように,"fを領域Dで正則な関数としCを単純閉曲線としてCとその内部(C)がDに含まれるとき,∀z∈(C)に対してf(z)={1/(2πi)}∫Cdζ[f(ζ)/(ζ-z)]が成立する。"という定理があります。

 

そこで,f(z)は∀α∈Dに対して|z-α|<Rα=inf{|ζ-α|:∀ζ∈}で一意的にf(z)=Σn=0n(z-α)nとベキ級数に展開できて,an=f(n)(α)/n!={1/(2πi)}∫Cdζ{f(ζ)/(ζ-α)n+1}が成立することがわかります。

したがって,f(z)が円板N(α;R)≡{z:|z-α|<R}において正則であるとすると,f(α)={1/(2πi)}∫|z-α|=ρ[f(z)/(z-α)]dz;0<ρ<Rと表現されます。

 

z=α+ρe;0≦θ≦2πと書けば,f(α)={1/(2π)}∫0f(α+ρe)dθ;0<ρ<Rと変形されます。

 

これはいわゆる平均値の定理ですが,これから絶対値についての不等式として|f(α)|≦{1/(2π)}∫0|f(α+ρe)|dθ;0<ρ<Rが得られます。

fを領域Dの上の正則関数とするとき,|f|がα∈Dで最大値を取るとすると,∀z∈Dに対して|f(z)|≦|f(α)|です。

 

そこで,N(α;R)={z∈C:|z-α|<R}⊂Dとなるように半径Rを取ると 0<ρ<R なるρに対して|f(α)|≦{1/(2π)}∫0|f(α+ρe)|dθ≦|f(α)|と書けます。

 

よって 0<ρ<R なる任意のρについて,中心がαで半径がρの円周上では,|f(α+ρe)|=|f(α)|ですから,z∈N(α;R)なら|f(z)|=|f(α)|=一定です。すなわち,円板N(α;R)において|f|は定数です。

このときf≡u+iv(u=Ref,v=Imf)とおくと|f|2=u2+v2であり,これが定数ですからu・ux+v・vx=u・ux-v・uy=0 かつ,u・uy+v・vy=u・uy+v・ux=0 から直ちにux=uy=vx=vy=0 が得られるので,結局N(α:R)においてf自身が定数です。

 

したがって,一致の定理によってfはD全体で定数となることがわかります。

こうして,"fを領域Dの上の正則関数とするとき,|f|がDで最大値を取るならばfは定数である。"という最大絶対値の原理を得ました。

 

ここでfが整関数の場合にはfが正則関数である領域Dとして,無限遠点を除く複素平面全体={z;|z|<∞}を採用できます。

 

そして,そのとき|f|がDで最大値を取るという命題はfがで有界であることと同じですから,結局,"有界な整関数は定数である。"という定理が得られます。

  

これをリウヴィルの定理(Liouville)といいます。

ついでに一致の定理ですが,これは解析接続という概念の元になるもので,"f,gが領域Dで正則とする。Dの部分集合Aのあらゆる点zで(z)=g(z)が成立し,Aのある集積点がDに含まれるならばD全体でf=gである。"というものです。

 

一応これも証明しておきましょう。 

(証明)仮定によって,Aのある集積点がDに含まれるので,αをα∈DなるAの集積点とします。

 

 αに収束するAの点列{zn}n=1,2,..⊂Aが存在して,φ≡f-gとおくとφ(zn)=0 (n=1,2,..)が成立します。

 

 φはDで正則ですから,その連続性によってφ(α)=limn→∞φ(zn)=0 です。しかし,"D全体では,φ≠0 である,つまり,φ(z)≠0 なるz∈Dが存在する。"として矛盾を導きます。

ここでφ(n)(α)=0 (n=0,1,2,..)である場合を考えます。

 

そしてある任意の点ζDを選びζとαをD内の折れ線Cで結びます。Dは領域ですから開集合であり,それ故,Cの点はすべてDの内点ですが,CはDの有界閉集合なのでコンパクトです。つまりCの有限個の点を中心としてDに含まれる有限個の開近傍の集合で閉曲線Cを被覆することができます。

 

したがって折れ線Cと境界∂Dとの距離をd≡inf{|ζ1-ζ2|:ζ1∈C,ζ2∈∂D}とすると,これはゼロではなくて正:d>0 です。

 

ここで,C上に十分多くの有限個の点α=z0,z1,..,zp-1,zp=ζを取って,|zj+1-zj|<d (j=0,1,2,..,p-1)が満たされるようにします。そして,Δ≡{z∈:|z―zj|<d}(j=0,1,2,..,p-1)と置きます。

円Δ0:|z-α|<d内ではz∈Dとなるので,そこでφは正則です。それ故,φを展開しφ(z)=Σn=0n(z-α)nとすれば,全てのnについてan=φ(n)(α)/n!=0 と書けるので,Δ0内ではφ=0 です。

 

したがって,z1∈Δ0でも全てのnについてφ(n)(z1)=0 (n=0,1,2,..)となります。

同様に,円Δ1:|z-z1|<d内でφを(z-z1)のベキ級数に展開することでΔ1内ではφ=0 を得ます。

 

それ故,z2∈Δ1でφ(n)(z2)=0 (n=0,1,2,..)が得られます。これを繰り返していって,結局Δp-1でφ=0 となり,ζ=zp∈ΔP-1なのでφ(ζ)=0 を得ます。

 

ζはD内の任意の点であると仮定していましたから,結局φ(n)(α)=0 (n=0,1,2,..)である場合にはD全体でφ=0 である,という結論が得られます。

一方,Dで恒等的にφ=0 というわけではなくて,αは正則関数φの単なる零点であるとするならばφ(k)(α)=0(k=0,1,...m-1),φ(m)(α)≠0 となるある正の整数mが存在するはずです。このときαはφのm位の零点である,あるいはmは零点αの位数であるといいます。

 

そして,φのαの近傍Uでの展開はφ(z)=Σn=mn(z-α)n=(z-α)mΣk=0m+k(z-α)k;am≠0 となりますからψ(z)≡Σk=0m+k(z-α)kとおけばψ(z)はαの近傍Uで正則であってψ(α)≠0 であり,φ(z)=(z-α)mψ(z)と書けます。

ところでφ(α)=0 となることはわかっていて,φ0 と仮定したので,ある正の整数mが存在してαの近傍Uで正則かつψ(α)≠0 なるψを用いてφ(z)=(z-α)mψ(z)と表わせます。

 

そして,十分大きいnに対しzn≠αはUに含まれますから,φ(zn)=(zn-α)mψ(zn)=0 です。

 

よって,十分大きいnでψ(zn)=0 が成立します。

したがって,ψの連続性によってψ(α)=limn→∞ψ(zn)=0 となりますから,これはψ(α)≠0 に矛盾します。

 

要するに,収束する点列の上で正則関数φの値が常にゼロというのは,φのあらゆる導関数もまたゼロなることを意味しているわけです。

 

したがって,D全体でφ=f-g=0 :つまりf=g,あるいはfとgが一致するという定理の結論が得られました

 

(証明終わり)

しかし,私が学生時代に初めて大学で函数論を履修したときに代数学の基本定理の証明として教わったものは,もっと複雑なルーシェの定理によるもので,講義を受けたその場ですぐには理解できませんでした。

「Dをの有界領域としfをD上の正則関数,CをD内で1点にホモトープな閉曲線でその上にはfの零点はないものとする。gをD上の正則関数でC上で|g(z)|<|f(z)|と仮定する。このときCの囲むfの零点の個数と(f+g)の零点の個数は等しい。」というのがルーシェの定理です。

 

これの証明に取りかかる前にそのために必要な予備知識や補助的定理などについて考察します。

 まず,有理型関数というものを定義します。

 

 "Dをの領域とする。D内では特異点を持っても極に過ぎないような関数をD上の有理型関数と呼ぶ。"というものです。 

そして,α∈とρ1<ρ2≦∞ に対し円環領域:R(α;ρ12)≡{z∈:ρ1<|z-α|<ρ2}の上でfが正則関数であるとします。

 

このとき,fはR(α;ρ12)においてf(z)=Σn=-1-∞n(z-α)nΣn=0n(z-α)nΣn=-∞n(z-α)nと展開されます。

 

この展開をfのローラン展開(Laurent expantion)と呼びます。

 

この級数の収束は絶対かつ広義一様収束です。

これを証明するために,z∈R(α;ρ12)を任意に取りρ1',ρ2'をρ1<ρ1'<|z-α|<ρ2'<ρ2となるように取ります。また,ρ>0 をρ<d≡inf{|z-ζ|:ζ∈∂R(α;ρ12)}なる値に取ります。

そして点α+ρ1'ei(argz)からαを中心として半径ρ1'の円を反時計回りに一周する曲線をC1,α+ρ1'ei(argz)から,α+(|z-α|-ρ)ei(argz)へ向かう線分をC2,α+(|z-α|-ρ)ei(argz)から時計回りにα+(|z-α|+ρ)ei(argz)まで半周する曲線をC3,α+(|z-α|+ρ)ei(argz)からα+ρ2'ei(argz)に向かう線分をC4,α+ρ2'ei(argz)から半径ρ2'の円を反時計回りに一周する曲線をC5,α+(|z-α|+ρ)ei(argz)から時計回りにα+(|z-α|-ρ)ei(argz)まで半周する曲線をC6とします。

このとき,R(α;ρ12)-{z}内でC≡-C1+C2+C3+C4+C5-C4+C6-C2は1点にホモトープなので,∫Cdζ[f(ζ)/(ζ-z)]=0 です。

 

それ故,f(z)={-1/(2πi)}∫C3+C6dζ[f(ζ)/(ζ-z)]={-1/(2πi)}∫C1dζ[f(ζ)/(ζ-z)]+{1/(2πi)}∫C5dζ[f(ζ)/(ζ-z)]です。

1上では|(ζ-α)/(z-α)|<1で,-1/(ζ-z)=-1/{(ζ-α)-(z-α)}={1/(z-α)}[1/{1-(ζ-α)/(z-α)}]=Σn=0(ζ-α)n/(z-α) n+1ですから,f(ζ)/(ζ-z)=Σn=0(ζ-α)nf(ζ)/(z-α)n+1です。

 

それ故,{-1/(2πi)}∫C1dζ[f(ζ)/(ζ-z)]=Σn=-1-∞[{-1/(2πi)}∫C1dζ(ζ-α)-n-1f(ζ)](z-α)nとなります。

同様にC5上では|(z-α)/(ζ-α)|<1ですから,{1/(2πi)}∫C5dζ[f(ζ)/(ζ-z)]=Σn=0[{1/(2πi)}∫C5dζ(ζ-α)-n-1f(ζ)](z-α)nとなります。

そして,(ζ-α)-n-1f(ζ)は∀ζ∈R(α;ρ12):ρ1<|ζ-α|<ρ2なるζに関して正則ですから,∫C1dζ(ζ-α)-n-1f(ζ)=∫C5dζ(ζ-α)-n-1f(ζ)です。

 

よって,全ての整数nに対してan≡∫|ζ-α|=ρdζ(ζ-α)-n-1f(ζ);ρ1<ρ<ρ2の値はρの取り方に依らないことになります。つまりanはwell-definedになります。

そしてこの展開係数anによって,fは確かにR(α;ρ12)でローラン展開されてf(z)=Σn=-1-∞n(z-α)nΣn=0n(z-α)nΣn=-∞n(z-α)nと表現されることがわかりました。

そこで"f(z)がD上の有理型関数である。"というのは∀α∈Dについて,αを除くαの近傍でのfのローラン展開f(z)=Σn=-∞n(z-α)nにおいて,n<0 についてan≠0 なるものが有限個しかないこと,つまりαが高々m位の極であって,f(z)=Σn=-mn(z-α)n=a-m/(z-α)m+a-m+1/(z-α)m-1+..+a0+..と表わされることを意味します。

このときローラン展開の展開係数a-1を特にfのαでの留数と呼びRes(α;f)と書きます。

 

そして,ρ>0 が十分小さいときには実際に級数を項別積分すると{1/(2πi)}∫|ζ-α|=ρf(ζ)dζ=a-1となるので,Res(α;f)={1/(2πi)}∫|ζ-α|=ρf(ζ)dζが成立します。

特異点αが無限遠点=∞ のときには,z~≡1/zとおいてfのローラン展開をf(z)=Σn=-∞nnΣn=-∞-n~n ≡f~(z~)と置き,fの ∞ での留数をRes(∞;f)=-a-1={1/(2πi)}∫|1/ζ|=ρf(ζ)dζ={1/(2πi)}∫|1/ζ|=ρf~(1/ζ)d(1/ζ)で定義します。

αが1位の極のときには,Res(α;f)=limz→α(z-α)f(z)によって,具体的にfのαでの留数を求めることができます。

 

また,αがm位の極(m≧2)のときには,Res(α;f)={1/(m-1)!}[(dm-1/dzm-1)(z-α)mf(z)]z=αによって,fのαでの留数が求められます。

ここで,D上の有理型関数f(z)に対して対数微分(df/dz)/f=d(logf)/dzを考えると,α∈Dがfの零点でも極でもないなら,(df/dz)/fはα∈Dで正則です。

しかし,α∈Dがfのm位の零点なら,α≠∞ のとき,f(z)=Σn=mn(z-α)n,df/dz=Σn=mnan(z-α)n-1なので,(df/dz)/f=m/(z-α)+Σn=0n(z-α)nと表わせます。

 

よって,Res(α;(df/dz)/f)=mです。同様にα=∞ のときにもRes(∞;(df/dz)/f)=m を得ることができます。

また,α∈Dがfのp位の極ならα≠∞ のとき,f(z)=Σn=-pn(z-α)n,df/dz=Σn=-pnan(z-α)n-1なので,Res(α;(df/dz)/f)=-pです。同様にα=∞ のときも,Res(∞;(df/dz)/f)=-pを得ます。

それ故,CをD内で1点にホモトープな閉曲線であって,その上にはfの零点も極もないとき,Cが囲むDの領域内にfのmν位の零点αν(ν=1,2,..), およびpμ位の極βμ(μ=1,2,..)があるとすれば,{1/(2πi)}∫C(df/dz)/{f(z)}dz=Σmν-Σpμと表わすことができます。

さらに,d(logf)=(df/dz)/{f(z)}dzより,{1/(2πi)}∫C(df/dz)/{f(z)}dz={1/(2πi)}[(logf)]C=[argf]C/(2π)ですから,この積分はzが閉曲線Cをまわるときの"fの偏角:argfの変化を(2π)で割ったもの=回転数"を表わしていると考えられます。

さて,ルーシェの定理="Dをの有界領域としfをD上の正則関数,CをD内で1点にホモトープな閉曲線でその上にはfの零点はないものとする。

 

gをD上の正則関数でC上で|g(z)|<|f(z)|と仮定する。

 

このとき,Cの囲むm位の零点をm個と重複して数えると,fの零点の個数と(f+g)の零点の個数は等しい。"ことを証明します。

(証明)f,gはD上の正則関数なので,fも(f+g)もCの囲む領域に零点は持っていても極を持つことはありません。

 

m位の零点をm個と重複して数えたときのfの零点の総数をMとすると,(f+g)の零点の総数M'はM'={1/(2πi)}∫C{(f'+g')/(f+g)dz={1/(2πi)}∫C[(f'/f)+(g/f)'/{1+(g/f)}]dz=M+{1/(2πi)}∫C[(g/f)'/{1+(g/f)}]dz=M+{1/(2πi)}∫C(h'/h)dzとなります。ここでh≡{1+(g/f)}とおきました。

ところが,C上で|g/f|<1ですから,|1+(g/f)|≦1+|g/f|<2,かつ|1+(g/f)|≧1-|g/f|>0です。したがって,h={1+(g/f)}はC上に零点も極も持ちません。

またC上で|1-h|<1ですから,点1からhまでの距離は常に1より小さいことになります。そこでzがC上を1回転するときhがloghの分岐点h=0 のまわりを回転することは決してありません。

 

それ故,∫C(h'/h)dz=0 です。

 

以上から,結局M'=Mであることが示されました。

 

(証明終わり)

そこで,zのN次多項式f(z)=a0+a1z+..+aNN=Σn=0Nnn (0,N≧1) が任意に与えられたとき,(z)=aNN+g(z) (0,N≧1)とおけば,正則関数NN はN位の零点としてz=0 があるだけなのでNNの零点の総数はNです。

 

そしてルーシェの定理の閉曲線Cを円:|z|=Rに取れば,Rが十分大きいときにはC上で|(z)|<|NN|ですから,この定理によって任意のN次多項式は丁度N個の零点を持つことが結論されます。 

 参考文献:野口潤次郎 著「複素解析概論」(裳華房);岸 正倫,藤本担孝 共著「複素関数論」(学術図書);Benjamin Fine,Gerhard Rosenberger 著(新妻弘,木村哲三 訳)「代数学の基本定理」(共立出版) 

 

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303. 代数学・数論」カテゴリの記事

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コメント

 ども単因子さん,コメントありがとうございます。TOSHIです。

>ご存知でしたら蛇足ですが、純粋に代数的な観点から考えると次の事実が成立します。

 いやいや,ご存知ではありません。貴重なアドバイスありがとうございます。

 この話題関連としては以前のアルティンなどを参考にしたガロア理論の記事で2007年1/14の「ガロア理論(1)」,2007年1/15の「ガロア理論(2)」,そしてこのときも単因子さんのコメントをいただいていますが2007年5/27の「代数的数と超越数」7/23の「eとπの超越性」などが相当するでしょうが数論や代数の抽象的扱いについてはかなり勉強不足です。
              TOSHI            

投稿: TOSHI | 2008年4月27日 (日) 06時21分

ご存知でしたら蛇足ですが、純粋に代数的な観点から考えると次の事実が成立します。

R を次の条件を満たす順序体であるとする。

(1) 任意の 2 次方程式は C = R[X]/(X^2 + 1) 内に解をもつ。
(2) 任意の奇数次の方程式は (R 内に) 解をもつ。

(1) (2) を満たす順序体は代数拡大に関し「順序体として」極大であることが分かります。このような順序体を極大順序体と呼びます。名前のつけ方はともかくとして、代数学の基本定理は純粋に代数的に記述すると次の形式です。

(代数学の基本定理) R を (1) (2) を満たす順序体 (すなわち極大順序体) であるとする。このとき C = R[X]/(X^2 + 1) は代数閉体である。

R を実数体と思えばもちろん C は複素数体です。R の完備性を考えれば (1) (2) の条件が満たされることは容易に分かります (自明に近い)

従って複素数体は代数閉体となるわけです。

投稿: 単因子 | 2008年4月27日 (日) 04時51分

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