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2007年10月21日 (日)

光線の湾曲(一般相対論)

現在,EMANさんが「趣味で物理学」に続いて「趣味で相対論」という本の出版を計画しているらしいこともあり,EMANさんのボードT_NAKAさんのブログなどで一般相対論が話題にあがることが多いようです。

そういえば,退院直後の2007年4月27日の私のブログ記事「シュヴァルツシルト時空内の測地線(惑星の公転軌道)」やそれに続く4月29日の記事「惑星の近日点の移動」で関連した話題を取り上げました。

 

しかし,太陽付近を通過する光線の太陽の重力による湾曲についての計算はまだやってなかったなと思い出しました。

しかし,実は4月27日の記事での惑星の公転軌道の計算結果で,惑星を光に置き換え,その質量をゼロとするという簡単な修正を行なうだけで,直ちにこの問題が解けることに気づきました。

 

そこで,ちょっと手抜きですが4月27日の記事を再掲して一般相対性理論に従って太陽重力による光線の湾曲の角度を計算してみます。

 

まず,2007年4/27の記事「シュヴァルツシルト時空内の測地線(惑星の公転軌道)」を再掲します。

  

※(再掲開始)

 ニュートン力学では,太陽と1つの惑星だけの2体問題を想定して惑星の近似的な公転軌道を求めるという昔から有名な問題があります。

 

 すなわち,太陽は1点に固定されて対象とする惑星よりもはるかに大きい質量を持つ不動点であり,一方惑星は質点であるという近似の下で,太陽と惑星の間には万有引力と呼ばれる重力のみが働く,という想定でニュートンの運動方程式の解としての公転軌道を求める問題ですね。

 

 この解は,太陽に近いという通常の初期条件の下では,いわゆるケプラーの法則(Kepler's law)に従う楕円軌道になりますが,こうした計算問題は,通常は大学初年級での力学の演習で学ぶと思われます。

 しかし,最近ニフティ(@nifty)から移動して新装開店したfolomy「物理フォーラム」の「相対論の部屋」で次のような質問を受けました。

 

 "ケプラー運動を一般相対論で計算したいのですが,どうすればいいのでしょうか?"という内容の質問でした。

 

 これは大げさだなとは思いましたが,

 

"とりあえず太陽中心を中心と考えて,球対称で静的な解であるシュヴァルツシルト解を採用して,その計量でシュヴァルツシルト半径より外側の点であるという初期条件の下での質点の測地線を計算することによって軌道を求めたらどうか?"

 

 と答えたのですが,その後,まったく音信不通でした。

 

 そこで,クリストッフェルの記号の計算などが面倒だとは思いましたが,それは普通,重力場のシュヴァルツシルト解を求める際に得られるものなので,こうしたクリストッフェルの記号などについては,相対論の参考書をフルに参照しながら微分方程式を導き,これを自分で解いてみようと思います。 

 そもそも重力が弱いとき,ニュートンの万有引力の法則に近似的に一致するシュヴァルツシルト時空(シュワルツシルト時空)の計量(metric)を実際に書き下すと,ds2=gμνdxμdxν(1-2m/r)c2dt2-dr2/(1-2m/r)-r2(dθ2sin2θdφ2)となります。

 

 ここで,μ=(x0,x1,x2,x3)≡(ct,r,θ,φ)ですが,これは極座標で表わした時空の座標です。また,2m=2GM/c2はシュヴァルツシルト半径を示しています。Gは万有引力定数でcは光速,Mは今の場合は太陽の質量です。 

 そして,重力場の中での自由粒子の運動を表わす測地線の方程式はλを任意パラメータとしてd2μ/dλ2+Γρνμ(dxρ/dλ)(dxν/dλ)=0 で与えられます。

 

 ただし,Γρνμはクリストッフェル(Christoffel)の記号です。Γρνμ(1/2)gμσ(gσρ,ν+gσν,ρ-gρν,σ)で与えられます。ここで,ρν≡∂gρν/∂xσ etc.です。

 

 光の運動が対象の場合はds20 ですが,質量を持つ質点の運動の場合はτを固有時としてds2=c2dτ2と書けます。

 

 そこで,今の惑星を質点近似する場合なら,λ≡τと置いて測地線の方程式をd2μ/dτ2+Γρνμ(dxρ/dτ)(dxν/dτ)=0 と書いてよいことになります。

 

 そして,計量によりc2=gμν(dxμ/dτ)(dxν/dτ)という拘束があります。

 シュヴァルツシルト時空ではゼロでない計量成分は対角成分だけであり,それはg00(1-2m/r),g11=-1/(1-2m/r),g22=-r2,g33=-r2sin2θです。

 

 また,ゼロでないクリストッフェルの記号は,Γ010Γ100(m/r2)/(1-2m/r)=m/[r(r-2m)],Γ001={m/r2)(1-2m/r)=m(r-2m)/r3, Γ111=(-m/r2)/(1-2m/r)=-m/[r(r-2m)], Γ221=-r(1-2m/r)=-(r-2m),Γ331=-rsin2θ(1-2m/r)=-(r-2m)sin2θ,Γ122=Γ2121/r,Γ332=-sinθcosθ,Γ133=Γ3131/r,Γ233=Γ323=cosθ/sinθとだけになります。 

 故に,測地線の方程式は,

 

(1)d2/dτ2[2/{r(r-2m)}](dt/dτ)(dr/dτ)=0 ,

 

(2)d2/dτ2[c2(r-2m)/r3](dt/dτ)2[m/{r(r-2m)}](dr/dτ)2(r-2m)(dθ/dτ)2(r-2m)sin2θ(dφ/dτ)20 ,

 

(3)d2θ/dτ2(2/r)(dr/dτ)(dθ/dτ)sinθcosθ(dr/dτ)(dφ/dτ)=0 (4)d2φ/dτ2(2/r)(dr/dτ)(dφ/dτ)+(2cosθ/sinθ)(dθ/dτ)(dφ/dτ)=0 となります。

 また,拘束条件はc2[c2(r-2m)/r](dt/dτ)2[r/(r-2m)](dr/dτ)2-r2(dθ/dτ)2sin2θ(dφ/dτ)2です。

 

 これは単に計量の式:ds2=c2dτ2(1-2m/r)c2dt2-dr2/(1-2m/r)-r2(dθ2sin2θdφ2)を書き直しただけなので,方程式を解く際には積分定数を決めるのに役立つだけです。

 まず,(3)d2θ/dτ2(2/r)(dr/dτ)(dθ/dτ)sinθcosθ(dr/dτ)(dφ/dτ)=0 は,あるτにおいてθ=π/2,dθ/dτ=0 という初期条件で解くと,d2θ/dτ20 となります。

  

 結局,常にdθ/dτ=0 (一定)であり,θ=π/2(一定)となります。

 

 すなわち,このような初期条件では"質点=惑星"の運動は常に,赤道面θ=π/2という特別な平面内に束縛された運動になります。

そして,θ=π/2 (一定)を,(4)d2φ/dτ2(2/r)(dr/dτ)(dφ/dτ)+(2cosθ/sinθ)(dθ/dτ)(dφ/dτ)=0 に代入すると,d2φ/dτ2(2/r)(dr/dτ)(dφ/dτ)=0 ,つまり[d(r2dφ/dτ)/dτ]/r20 が得られます。

 

すなわち,d(r2dφ/dτ)/dτ=0 なので,r2dφ/dτ=h (一定)となります。

 

これは角運動量の保存則,または面積速度一定の法則を示しています。後者はケプラーの法則の1つです。

一方,(1)d2/dτ2[2/{r(r-2m)}](dt/dτ)(dr/dτ)=0 にdt/dτを掛けると,(1/2)d(dt/dτ)2/dτ+[2/{r(r-2m)}](dt/dτ)2(dr/dτ)=0 となります。

 

そこで,A≡(dt/dτ)2とおけば,dA/dτ=-[4mA/{r(r-2m)}](dr/dτ)です。

 

dA/A=[4/{r(r-2m)}]dr=2[dr/r-dr/(r-2m)]より,lnA=2ln[r/(r-2m)]+const.となります。

 

つまり,(B/c)2を適当な積分定数として(dt/dτ)2=[B22/{c2(r-2m)2}]=(B2/2)/(1-2m/r)2,あるいはdt/dτ=±[Br/{c(r-2m)}]=±(B/c)/(1-2m/r)を得ます。

最後に,これらを全て(2)d2/dτ2[c2(r-2m)/r3](dt/dτ)2[m/{r(r-2m)}](dr/dτ)2(r-2m)(dθ/dτ)2(r-2m)sin2θ(dφ/dτ)20 に代入すると,d2/dτ2mB2/{r(r-2m)}-[/{r(r-2m)}](dr/dτ)2-h2(r-2m)/r40 が得られます。

 

さらに,この全体に[2/(1-2m/r)](dr/dτ)を掛け,C≡(dr/dτ)2/(1-2m/r)]と置けば,(d/dτ)[C-B2/(1-2m/r)+h2/r2]=0 です。

 

したがって,C-2/(1-2m/r)+h2/r2≡-ε(一定),すなわち,[(dr/dτ)22]/(1-2m/r)+h2/r2=-ε(一定)となります。

 

そこで,(dr/dτ)2/(1-2m/r)=-ε-h2/r22/(1-2m/r)により,dr/dτ=±[{(-(ε+h2/r2)(1-2m/r)+2}1/2=±[2-ε+2mε/r-h2/r22m2/r3]1/2を得ます。

定数εを決定するために,計量の拘束式ds2=c2dτ2(1-2m/r)c2dt2-dr2/(1-2m/r)-r2(dθ2sin2θdφ2)に,θ=π/2=一定とdθ=0 ,そしてdφ/dτ=h2/r2,(dt/dτ)2=B2/[c2(1-2m/r)2]を代入します。

 

すると,2[-(dr/dτ)2+B2]/(1-2m/r)-h2/r2となるので,結局ε=2であることがわかります。 

したがって,2m=2GM/2を使用するとdr/dτ=±[222GM/r-2/r2+2GM2/(c23)]1/2が得られます。

 

あるいは,これを運動エネルギーを表わす式と考え,(dr/dτ)2/2=(22)/2+GM/r-h2/(2r2)+GM2/(c23)と書くこともできます。

ここで,軌道を求めることを優先するのであれば,dr/dτの表式の両辺をdφ/dτ=h/r2で割ることにより,dr/dφ=±[(22)r4/h22GM3/2-r22GMr/c2]1/2が得られるので,これを積分すると±∫dr/[(22)/h2)4(2GM/2)r3-r2(2GM/c2)]1/2=φ+αとなります。

 

便宜上,r≡1/sと変数変換すればdr=-ds/s2であり,±∫ds/[(22)/h2) +(2GM/2)s-2(2GM/c2)s3]1/2=-(φ+α)となります。

ここで,(2GM/c2)s3,あるいはdr/dτ=±[222GM/r-2/r22GM2/(c23)]1/2における 2GM2/(c23)は分母のc2のせいで,rが十分大きいときには他の項と比較してごく小さいという意味で無視します。

 

そうすれば,±∫ds/[(22)/h2+(2GM/2)s-2]1/2=-(φ+α)となるため,±∫ds/[(2222+G22)/h4-(s―GM/2)2]1/2=-(φ+α)と近似されます。

 

さらに,s-GM/2[(2222+G22)1/2/h2]cosuと置くことにより,±∫du=φ+αときわめて簡単になります。

 

そこで例えば左辺で+符号を取って惑星が正の向き(反時計周り)に回転すると仮定すれば,u=φ+αとなります。

 

s-GM/21/r-GM/2[(2222+G22)1/2/h2]cos(φ+α),つまりr=(2/GM)/[1+{(22)2+G22}1/2/(GM)]cos(φ+α)]が得られます。

 

ここで,ℓ≡2/(GM),e≡{(22)2+G22}1/2/(GM)≡{1-ℓ(c22)/(GM)}1/2とおけば,この軌道はニュートン力学で得られる円錐曲線の式:r=ℓ/[1+ecos(φ+α)]と完全に一致します。

 

この曲線は離心率eの値によって楕円,放物線,双曲線になりますが,一般に太陽系の惑星軌道は22であって,離心率eが 0≦e<1を満たす場合に相当し,この2体近似では惑星の軌道は一方の焦点に太陽が位置する楕円を表わします。

 

特にeがゼロのときは2つの焦点が一致して完全な円を表わしますが,実際の太陽系の惑星の軌道の離心率eはかなりゼロに近く軌道が円に近いものが多いようです。

 

これらの結果はケプラーの法則を示しているので,dr/dτ=[222GM/r-h2/r22GM2/(c23)]1/2において2GM2/(c23)を無視する近似は,丁度ニュートン理論に対応している,と考えることができます。

 

ニュートン力学は相対論的力学での計算結果において光速cが無限大の極限を取れば得られると予想されるので,2GM2/(c23)→ 0 という近似がこれに対応するのでしょうね。

 

また,時間についてのニュートン近似はdτ→ dtなので,これは(dt/dτ)2(B2/2)/(1-2m/r)2(B2/2)/{1-2GM/(c2r)}2→1 に相当します。

 

それ故,c2→∞ と同時にB2→∞ となるべきことが示唆されます。そして,この極限で(B2-c2)は有限に留まると予想されます。

そこで,さらに進めて,恐らく初等的に積分することは不可能だと思われますが,dr/dτの中に項 2GM2/(c23)を含む正しい式を考え,この項がごく小さいことを考慮して何らかの摂動展開によって,より高次の近似計算を行なえば,惑星の近日点の移動なども計算できるだろうと予測されます。

 

しかし,今日のところは相対論での球対称なシュヴァルツシルト計量の時空の測地線を求めるという見地から,ニュートン理論で得られるケプラーの法則に従う惑星の楕円軌道を再現できたことに満足してひとまず終わりにします。

 

精確な相対論に基づく高次の計算については,機会があればまた別の日にやってみようと思います。(以上再掲終わり)※

さて今日のブログに戻って,光線の湾曲を計算します。

上の過去記事では重力場の中での測地線の方程式はλを任意パラメータとしてd2μ/dλ2+Γρνμ(dxρ/dλ)(dxν/dλ)=0 で与えられる。と書いた後で,惑星の運動ではds2=c2dτ2(1-2m/r)c2dt2-dr2/(1-2m/r)-r2(dθ2sin2θdφ2)によって与えられる固有時τを任意パラメータλとして採用し,λ=τとして以下の計算を実行しています。

 

しかし,惑星でなく光の場合にはds2=c2dτ20 なので,常にdτ=0 のため,パラメータをλ=τに選ぶことはできません。そこで,λは任意のパラメータとして残しておきます。

そうすると,θ=π/2=一定やdθ=0 はそのままですが,角運動量の保存(面積速度=一定)dφ/dτ=h/r2は,dφ/dλ=h/r2とする必要があります。

 

また,dt/dτ=±Br/[c(r-2m)]=±B/[c(1-2m/r)]も,dt/dλ=±Br/[c(r-2m)]=±B/[c(1-2m/r)]に変更する必要があります。

 

しかし,実はパラメータλは任意に取っていいので,ここで積分定数BをB≡cと取れば,dt/dλ=±1/(1-2m/r)と簡単になります。

さらに,ds2=c2dτ2(1-2m/r)c2dt2-dr2/(1-2m/r)-r2(dθ2sin2θdφ2)から得られたc2[-(dr/dτ)2+B2]/(1-2m/r)-h2/r2は, 0[-(dr/dλ)2+c2]/(1-2m/r)-h2/r2です。

 

そこで,結局,2m=2GM/2を使用してdr/dλ==±[c2-h2/r22GM2/(c23)]1/2になります。または,(dr/dλ)2/2=c2/2-h2/(2r2)+GM2/(c23)とも書けます。

そして,dr/dλの表式の両辺をdφ/dλ=h/r2で割ることにより,dr/dφ=±[c24/h2-r22GMr/c2]1/2が得られ,例えば+符号をとって惑星が正の向き(反時計回り)に回転すると仮定すれば∫dr/[(c2/h2)4-r2(2GM/c2)]1/2=φ+αとなります。

 

φ/dλ=h/r2 ですから,hは任意パラメータλをどう取るかに依存するわけですが,今の場合はB=cとなるようにλの単位を定めています。

上に得られた光の軌道は,パラメータ次第で十分遠方から直進して来て太陽半径付近を通過して去っていく光線(恐らく双曲線)の軌道をも表わすと考えられます。

 

そして,太陽半径の位置の動径をr=r0とすると,φ(r)=φ(r0)+∫r0dr/[(c2/h2)4-r2(2GM/c2)]1/2と書けます。

特にφ(r0)=0 となるようにφの始線を選ぶと,φ(r)=∫r0dr/[(c2/h2)4-r2(2GM/c2)]1/2です。

 

このとき, 遠方から飛来して太陽付近を通過して曲げられた後に方向を変えた遠方へと去っていく光線の正味の角度変化をΔφとすれば,明らかにΔφ=2φ(∞)-πと書くことができます

特に,ニュートン近似として,2GMr/c2を無視すると,r=h/{ccos(φ+α)],すなわち,r=h/[ccos{φ(r)}]です。

 

このときには太陽半径r0はr0/cで与えられます。r=h/[ccos{φ(r)}]なら,cos{φ(∞)}=0ですから,φ(∞)=π/2 です。それ故,ΔφNewton=φ(∞)Newton-π=0 です。

 

一方,ニュートン近似をせず,φ(r)=∫r0rdr/[(c2/h2)4-r2(2GM/c2)]1/2を直接用いれば,(dr/dφ)r=r0=1/(dφ/dr)r=r0=0 です。

 

そこで,f(r)≡1(2GM/c2)/rとおけば,(dr/dφ)r=r0=0 により,(c2/h2)04-f(0)r020 ですからc2/h2=f(0)/r02でありφ(∞)=∫r0dr/[4(0)/r022()]1/2です。

 

そして,[4(0)/r022()]-1/2-1{r2(0)/r02()}-1/2=r-1 [(r2/r02){1-2GM/(20)}{12GM/(2)]-1/2=(r0/r)[r2-r02-2GM(2/r0-r02/r)/c2]-1/2 ~ (r0/r)(r2-r02)-1/2+(GM/c2)r-2(3-r03)(2-r02)-3/2と近似できます。

 

これの,第1項はニュートン近似ですから,前と同様φNewton(∞)=r0dr(r0/r)(r2-r02)-1/2=π/2となります。 

一方,第2項の積分は(GM/c2)∫r0(dr/r2)(r3-r03)(r2-r02)-3/2=(GM/c2)∫r0dr{r(r2-r02)-3/2-r03-2(r2-r02)-3/2}==(GM/c2)∫0s0ds{s03(s02-s2)-3/2-s3(s02-s02)-3/2}=2GMs0/c2=2GM/(c20)ですから,φ(∞) ~ 2GM/(c20)+π/2 となり,曲がり角としてΔφ=2φ(∞)-π ~ 4GM/(c20)が得られます。

 

現実の太陽半径:r0 ~ 7.0×105km,およびシュヴァルツシルト半径:rg ~2GM/c2~ 3.0kmを代入すれば,Δφ~ 2g/r0 ~ (6/7)×10-5×180/π×3600~ 1.76秒という光線の曲がり角の近似計算値が得られます。

 

これは観測結果とよく一致しています。

 

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コメント

いまごろ!ですが、black hole 周辺の距離短縮について思いついたことがありましたので、追加です。
上に書いた計量
 (ds)^2 = (1-(2m/r)/(1+m/(2r))^2)(c dt)^2 - (1+m/(2r))^4 ((dr)^2 + (r dθ)^2 + (r sinθ dφ)^2 )
をデカルト座標にしますと、
 (ds)^2 = (1-(2m/r)/(1+m/(2r))^2)(c dt)^2 - (1+m/(2r))^4 ((dx)^2 + (dy)^2 + (dz)^2 )
となって、一目で等方性が分かりますが、ここで空間目盛りを
 (dL)^2 = ((1+m/(2r))^6/(1-m/(2r))^2)((dx)^2 + (dy)^2 + (dz)^2 )
とすれば
 (ds)^2 = ((1-m/(2r))/(1+m/(2r)))^2 ((c dt)^2 - (dL)^2)
となり、dt, dL は外部から光速度を基準として観測した時間, 空間目盛りで、固有時間, 空間との比率は時間, 空間とも同じで (1-m/(2r))/(1+m/(2r)) となります。
いままでは、black hole 周辺の時間比率は明確だったけど、空間比率は採用する座標系しだいで何が正当なのか分かりませんでしたが、光速度を基準とすれば一応自然な比率が得られました。(時間比率と同じなので、わざわざ言うほどでも・・?)
なお、この比率を屈折率と思えば、光の経路は単なる屈折問題になります。

投稿: hirota | 2008年2月29日 (金) 11時32分

 ども,こんにちは、hirotaさん、TOSHIです。平日なのに飲んだくれて死んでました。

 水路庁というのはなつかしいです。かつて1990年頃、教育ソフトの1部の計算として年月日時を入力して西暦0年から9999年末までの月齢を計算して月の形を求めるのに複雑な水路庁の計算式を利用しました。
   
 (小学生用「太陽と月」(データポップ)。。。元々2人だけで1年で作るのは無理なのに,休日返上で作ったけど。。それでいて私1人分の給料にもならない仕事。。。

 無理だと気づいていない会社と受注先の両者に迷惑かけた。。。無理と言えばよかったかも。。。次のソフトもやったけど倍くらいの労力必要でやはり2人というのは無理でした。。結果的に他の社員に恨まれました。。。。これがクビの原因でしょう。)

 余談ですが,「マックの幕の内」がヒットした牧野武文君はどうしているのかなあ?

 私は彼を外注として使っていて2人だけでソフトを作成したのですが、当時FM-TOWNsのテクニカル・ライターだったけど、後に、マックに転向して一時は「幕の内」とかがヒットしたらしいけど、なつかしい。。  
          TOSHI  

投稿: TOSHI | 2007年10月24日 (水) 10時24分

こういう問題を考える時はシュバルツシルト計量の (dr)^2/(1-2m/r) と (r dθ)^2 の係数が違ってる(等方的でない)ことに気をつける必要があります。(1次近似なら無関係)
これを等方化すると、
(ds)^2 = (1-(2m/r)/(1+m/(2r))^2)(c dt)^2 - (1+m/(2r))^4 ((dr)^2 + (r dθ)^2 + (r sinθ dφ)^2 )
となります。
これをデカルト座標で多体にして2次近似したEIH計量というのが海上保安庁・水路部・天体位置表のサイトにあります。(シュバルツシルト計量を単純にデカルト座標にして、EIH計量と合わなかったときは、気が付くのにしばらくかかった)
ちょっと複雑になりますが、面積速度一定は
r^2 (dφ/dt) (1+m/(2r))^6/(1-m/(2r))^2 = h
になるだけですから、近日点を t =φ= 0, r = rp にすれば
c t =±∫( 1 - ( ( rp (1+m/(2rp))^3/(1-m/(2rp)) )/( r (1+m/(2r))^3/(1-m/(2r)) ) )^2 )^(-1/2) (1+m/(2r))^3/(1-m/(2r)) dr
φ=±∫( 1 - ( ( rp (1+m/(2rp))^3/(1-m/(2rp)) )/( r (1+m/(2r))^3/(1-m/(2r)) ) )^2 )^(-1/2) ( rp (1+m/(2rp))^3/(1-m/(2rp)) )/( r^2 (1+m/(2r))^3/(1-m/(2r)) ) dr
(積分は rp から r まで)
までは出ますが、さて積分できるんですかね。

投稿: hirota | 2007年10月22日 (月) 16時49分

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