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2007年12月 9日 (日)

ヤングの干渉実験(3)(量子論)

ヤングの干渉実験(Young's experiment)の量子論の続きです。

 

まず,前記事の終わりの部分を再掲します。

自由場の波動方程式は□2(1/c2)(∂2/∂t2)=0 です。電磁場の量子化はポテンシャル:(,t)を量子力学の演算子と読み換えることから始まります。

簡単のために,便宜上,1辺がLの立方体空洞の中の電磁場を想定し,しかも周期的境界条件を満たすとします。こう設定しても一般性を失なうわけではありません。

 

このとき波動方程式の解は(,t)=Σk[k(t)exp(ikr)+k*(t)exp(-ikr)]とフーリエ級数で表現されます。

 

ここで周期的境界条件を満たす波動ベクトル:k=(kx,ky,kz)は,kx=2πνx/L,ky=2πνy/L,kz=2πνz/L(νxyz=0,±1,±2,±3,..)で与えられます。

 

クーロンゲージの条件:∇(,t)=0 はkAk(t)=0 であれば満たされます。

(,t)の相異なるフーリエ成分k(t)は互いに独立であり,個別に波動方程式を満たす必要があります。

 

すなわち,2k(t)+(1/c2)(d2k(t)/dt2)=0 です。これの複素共役k*(t)も同じ方程式を満足します。

ωk≡ck≡c||と置いたとき,k,k*の満たす方程式:d2k/dt2=-ωk2kは,通常の単振動,あるいは調和振動の方程式を表わしています。

 

そこで電磁場を量子力学における調和振動子の集まりとみなすことで,これを量子化できます。

k(t)=kexp(-iωkt)と表わせば,(,t)=Σk[kexp(-iωkt+ikr)+k*exp(iωkt-ikr)]と書けます。

ここからが,今日の記事の始まりです。

単一のモードのサイクル平均のエネルギーをεkとすると,k,kが実電場,実磁場であるとするとき,εk=(1/2)∫(空洞)<ε0k2+μ0-1k2cdVです。

ベクトルポテンシャルのフーリエ展開:(,t)=Σk[kexp(-iωkt+ikr)+k*exp(iωkt-ikr)]によれば,電場は(,t)=-(∂(,t)/∂t)=Σk(iωk)[kexp(-iωkt+ikr)-k*exp(iωkt-ikr)]=Σkk(,t),磁場は(,t)=∇×(,t)=Σk[i×{kexp(-iωkt+ikr)-k*exp(iωkt-ikr)}]=Σkk(,t)となります。

そこで,電場のフーリエ成分:kk(,t)と磁場のフーリエ成分:kk(,t)は,k=(iωk){kexp(-iωkt+ikr)-k*exp(iωkt-ikr)},およびk=i×{kexp(-iωkt+ikr)-k*exp(iωkt-ikr)}と表現されます。

実電場の意味でのkでは<k2c=ωk2kk*であり,実磁場の意味でのkでは<k2c=k2kk*=(ωk/c)2kk*です。

 

したがってεk=(1/2)∫(空洞)<ε0k2+μ0-1k2cdV=ε0Vωk2kk*となります。

 

ここにV≡L3は立方体空洞の体積(volume)です。

2006年7/22の記事「黒体輻射(空洞輻射)と空洞の形状」において証明したように,輻射の分布やその性質はここで仮定した立方体形状やその1辺の長さLと関わる特殊な周期的境界条件の選択とは無関係です。

  

ただ空洞の大きさが有限であって,その体積がVであるということのみが場にとって本質的なのです。つまり特定な形状の選択によって議論の一般性は失われません。

ここで,k(2ε0Vωk2)-1/2Σλ=12kkλ+iPkλ)εkλ,k*≡(2ε0Vωk2)-1/2Σλ=12kkλ-iPk)εkλと置きます。

 

εkλεkλ=0,|εkλ|=1なるに垂直な横波の偏光(偏り or 偏極)を示す2つの独立な単位ベクトルです。

 

そしてkk*≡(2ε0Vωk2)-1Σλ=12(Pkλ2+ωk2kλ2)となり,モードエネルギーはεk=(1/2)Σλ=12(Pkλ2+ωk2kλ2)となります。これは単位質量を持つ位置座標:Qkλ,運動量座標:Pkλを持つ通常の古典的1次元調和振動子のエネルギーの形になっています。

そこで,"総エネルギー=電磁場全体のハミルトニアンrad"はrad=(1/2)∫(空洞)<ε02+μ0-12cdV=Σkεk=(1/2)Σλ=12(Pkλ2+ωk2kλ2)となります。

ここで量子力学における1次元調和振動子の理論を復習します。

 

単位質量を仮定すると1次元調和振動子のハミルトニアンはqを位置演算子,pを運動量演算子として=(p2+ω22)と書けます。

 

そしてp,qは通常の交換関係:[q,p]=ihcに従います。(ただしc≡h/(2π)はプランク定数です。) 

,qに代わる1対の演算子a,a+をa≡(2hcω)-1/2(ωq+ip),a+≡(2hcω)-1/2(ωq-ip),あるいは逆にq≡{hc/(2ω)}1/2(a+a+),p≡{hc/(2ω)}1/2(a-a+)によって定義します。

 

これからa+a=(hcω)-1(-hcω/2),かつaa+=(hcω)-1(+hcω/2)が得られます。

したがって,[a,a+]=1,=hcω(a+a+1/2)と書けます。

 

ここで個数演算子n^をn^≡a+aによって定義すれば=hcω(n^+1/2)です。

固有値nに属する のエネルギー固有状態を|n>とします。すなわち, |n>=hcω(a+a+1/2)|n>=En|n>です。

 

このときa+ |n>=hcω(a+aa+-a++a+/2)|n>=En+|n>です。

 

故に,hcω(a+a+1/2)a+|n>=+|n>=(En+hcω)a+|n>となります。そこで,|n+1>≡a+|n>,En+1≡En+hcωと定義すると,上式は|n+1>=En+1|n+1>と書けます。

同様に,a|n>=(En-hcω)a|n>です。そこで,|n-1>≡a|n>,En-1≡En-hcωと定義すると,上式は|n-1>=En-1|n-1>とあります。

それ故,準位のはしごが等間隔hcωで上下に伸びていくという描像になります。

 

しかし,<ψ| |ψ>=<φ|φ>+(1/2)<ψ|ψ>,|φ>≡a|ψ>であって,状態ベクトルの空間では状態|ψ>のノルムは|ψ|≡<ψ|ψ>1/2≧0 で定義され,<ψ|ψ>は非負の値を取るはずですから,<ψ| |ψ>≧0 です。

 

つまり,ハミルトニアンは演算子,あるいは行列として正値なので,その期待値は負になることはありません。したがってその固有値も非負で下に有界です。

そこで"の固有値=エネルギー固有値"の最小値をE0≧0 とし,エネルギー固有値E0に属する状態を基底状態(真空)と呼んで,|0>という記号で表わすことにします。すなわち |0>=E0|0>です。

 

|0>がエネルギー最低の状態なので,必然的に必要条件であるa|0>=(E0-hcω)a|0>を満たす解はa|0>=0 を満たすものしかありません。それ故,|0>=hcω(aa+1/2)|0>=(hcω/2)|0>=E0|0>,つまりE0=hcω/2 です。

これから,結局En=(n+1/2)hcω(n=0,1,2,..)と書けることがわかりました。特に,|n>はとn^≡a+aの共通の固有状態になっていてn^|n>=a+a|n>=n|n>です。

先に規格化定数を無視して,暫定的に|n+1>≡a+|n>,|n-1>≡a|n>と定義しましたが,<n-1|n-1>=<n|n>=<n-1|n-1>=1を満たすようにa|n>=bn|n-1>,a+|n>=cn|n+1>と置くと,|bn|2=n,|cn|2=n+1ですから,位相をゼロにとるとbn=n1/2,cn=(n+1)1/2,つまりa|n>=n1/2|n-1>,a+|n>=(n+1)1/2|n+1>と書けます。

こうとれば個数状態は|n>=(n!)-1/2(a+)n|0>と陽に表わすことができます。

 

ここで,p,qはエルミート演算子ですがa,a+はエルミートではないので観測可能量ではないということを特に注意しておきます。

さて,準備が整ったので輻射場の各モード(,λ);λ=1,2に各々調和振動子を結びつけることによって自由電磁場を量子化します。

つまり,波動ベクトルが,偏りがλの空洞電磁場の各調和振動子モード(,λ)に対応する状態をhcωkだけ励起することを,エネルギーがhcωkの1個の"量子=光子(photon)"を生成することと同一視して調和振動子のエネルギーを昇降させる演算子akλ+を光子の生成演算子,akλを光子の消滅演算子と呼びます。

具体的には,k≡(2ε0Vωk2)-1/2Σλ=12kkλ+iPkλ)εkλ,k*≡(2ε0Vωk2)-1/2Σλ=12kkλ-iPkλ)εkλにおいてakλ≡(2hcωk)-1/2kkλ+iPk),akλ≡(2hcωk)-1/2kkλ-iPkλ)と書き換えます。

 

k=(2ε0Vωk2)-1/2Σλ=12kkλ+iPkλ)εkλ={hc/(ε0Vωk)}1/2Σλ=12kλεkλ,およびk*=(2ε0Vωk2)-1/2Σλ=12kkλ-iPkλ)εkλ={hc/(ε0Vωk)}1/2Σλ=12kλ+εkλと書き換えられます。

 

これにより,Pkλ,Qkλを量子力学における調和振動子の運動量演算子,位置演算子とする表現になります。

全ベクトルポテンシャルの量子化した表現は(,t)=Σk{hc/(ε0Vωk)}1/2εkλ[akλexp(-iωkt+ikr)+akλ+exp(iωkt-ikr)]となります。

 

そして全横電場Tと磁場T(,t)=Σkk;k=i{hcωk/(ε0V)}1/2Σλ=12εkλ[akλexp(-iωkt+ikr)-akλ+exp(iωkt-ikr)],(,t)=Σkk ;k=i{hc/(ε0Vωk)}1/2Σλ=12(×εkλ)[akλexp(-iωkt+ikr)-akλ+exp(iωkt-ikr)]なる表式で与えられます。

また,自由な輻射電磁場の総エネルギーは,もちろんrad=Σkεk=(1/2)Σkλ(Pkλ2+ωk2kλ2)=Σkcωk(akλ+kλ +1/2)で与えられます。

 

そして量子論にとって重要な(正準)交換関係(canonical commutation relations)は調和振動子のそれ:[akλ,ak'λ'+]=δkk'δλλ',[akλ,ak'λ']=[akλ+,ak'λ'+]=0 です。

 

これらによって例えば[rad,A]=ihcTなる関係式を得ます。

 

そうして,akλ|nkλ>=nkλ1/2|nkλ-1>,akλ|nkλ>=(nkλ+1)1/2|nkλ+1>です。

空洞内の場全体の個々の状態は,モード(11),(22),(33)..(ただしλ1=λ2=λ3=..=1,2)の作る完全系に対して,個数演算子n^kiλi≡akiλikiλiの固有値nkiλiで与えられる励起光子数の順列:nk1λ1,nk2λ2,nk3λ3..によって指定されます。

 

すなわち,ある順序を指定した空洞モードについて,規格化された個数表示の固有状態ベクトル|nk1,λ1,nk2,λ2,nk3,λ3..>=|nk1λ1>|nk2λ2>|nk3λ3>..の全体から成る集合が電磁場の状態の完全系を張ると考えるわけです。

 

以下では,この状態の個々の基底ベクトルを|{nk}>と略記することにします。

こうした量子化の手続きを個数量子化,第2量子化,あるいは場の量子化といいます。

切りがいいので今日はここまでにします。

参考文献:R.Loudon 著(小島忠宣,小島和子 共訳)「光の量子論(第2版)」(内田老鶴圃),J.D.Bjorken and S.D.Drell「Relativistic Quantum Field」(McGraw-Hill Book Company)

 

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