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2007年12月25日 (火)

ヤングの干渉実験(5)(量子論)

ちょっと間があきましたが,光の干渉(Young's double-slit experiment)関連の続きです。

これまでは自由電磁場について述べてきましたが,完全な量子理論を得るためには原子と電磁場の相互作用の完全な議論を経由する必要があります。

原子番号がZの重い原子核が座標原点に事実上静止していて,Z個の電子が位置j(j=1,2,..,Z)にある中性原子を考えます。

 

このとき素電荷をe>0 とすると,電荷密度ρと電流密度はρ(r,t)=-Σj=1Zeδ(j(t))+Zeδ(),(r,t)=-Σj=1Zj(t)δ(j(t));j(t)≡dj/dtです。

 

ここでδ(j)はδ(j)={1/(2π)3}∫exp{i(j)}dとフーリエ(Fourier)積分による表示もできます。

そして,今まで通りクーロンゲージ:∇(,t)=0 を採用するとスカラーポテンシャルはφ(,t)={1/(4πε0)}∫d'ρ(',t)/|'|で与えられます。

 

そこで,これにρ(r,t)=-Σj=1Zeδ(j(t))+Zeδ()を代入して,φ(,t)={1/(4πε0)}{-Σj=1Z(e/|j(t)|)+Ze/r}となります。

一方,ベクトルポテンシャルは(,t)={μ0/(4π)}∫d'T(',t')/|'| ;t'≡t-|'|/cに,電流密度(r,t)=-Σj=1Zj(t)δ(j(t)) ;j(t)≡dj/dtの横成分T(,t)を代入すれば得られるはずです。

ところで原子と電磁場の相互作用の記述には原子の電荷に関連した分極(,t)と磁化(,t)を用いた現象論的な表式を立てるのが都合がいいです。

 

すなわち,ρ(,t)=-∇(,t),(,t)=d(,t)/dt+∇×(,t)なる式を介して電荷密度や電流密度から逆に,これらの量を決定します。

一見してわかるように,これらを満たす(,t)と(,t)の解には任意性があります。

 

例えば,任意のベクトルは横成分と縦成分に分解できるのでρ(,t)=-∇(,t)からは∇(,t)の縦成分しか決まりません。

 

すなわち,ρ(,t)=-∇L(,t)ですが,以前書いた式∇L=ρ/ε0と比較すると,定数の任意性を無視してL(,t)=ε0L(,t)です。

 

また,(,t)=d(,t)/dt+∇×(,t)からは,(,t)の縦成分が決まりません。そして,これらを満たす(,t),(,t)の横成分の選択にも幅があります。

ここで,ρ(r,t)=-Σj=1Zeδ(j(t))+Zeδ(),(r,t)=-Σj=1Zj(t)δ(j(t));j(t)≡dj/dtを代入したρ(,t)=-∇(,t),(,t)=d(,t)/dt+∇×(,t)なる連立方程式に対して,次の形に書いた(,t),(,t)がその解になることを証明を省略して述べておきます。

すなわち,(,t)=-eΣj=1Zj(t)∫01dλδ(-λj(t)),(,t)=-eΣj=1Zj(t)×(dj/dt)∫01dλλδ(-λj(t))です。

 

解のこの積分形は便利であり相互作用エネルギーの多極展開がこれから導かれます。

すなわち,横電場T(,t)の中にある原子のポテンシャルエネルギーをVE(t)とすると,VE(t)=-∫(,t)T(,t)dr=eΣj=1Z01dλj(t)Tj(t),t)と書くことができます。

 

何故なら,静電場があってその中に1つの双極子があるときの静電エネルギーUはよく知られているように,U=-pEで,働く力は=-∇(pE)=-(∇)ですから,これはそれからのアナロジーです。

ところで,一般に任意のベクトル(,t)は,(,t)=T(,t)+L(,t);∇T(,t)=0 ,∇×L(,t)=0 と分割可能です。

 

(,t)={1/(2π)3}∫dV^(,t)exp(ir),T(,t)={1/(2π)3}∫dkV^T(,t)exp(ir),L(,t)={1/(2π)3}∫dkV^L(,t)exp(ir)とフーリエ展開すると,^(,t)=^T(,t)+^L(,t);kV^T(,t)=0 ,×^L(,t)=0 です。

そこで^T(,t)≡(,t)×,(kA(,t)=0),^L(,t)≡B(,t)と置くと,(,t)×+B(,t)^(,t)より,B(,t)=^(,t)/k2,(,t)=×^(,t)/k2

 

すなわち,T(,t)={1/(2π)3}∫d[({×^(,t)}×)/k2]exp(ir),L(,t)={1/(2π)3}∫d[({^(,t)})/k2]exp(ir)と書けます。

これを用いると,任意の2つのベクトル場(,t)と(,t)に対して∫T(,t)L(,t)d={1/(2π)3}∫d[({×^(,t)}×)({^(-,t)})/k4]により,∫T(,t)L(,t)d=0 が成立することがわかります。

したがって,VE(t)=-∫(,t)T(,t)dr=eΣj=1Z01dλj(t)Tj(t),t)においてVE(t)=-∫(,t)T(,t)dr=-∫T(,t)T(,t)dであり,積分に寄与するのは分極ベクトルの横成分T(,t)だけです。

しかし,とりあえず縦成分も含めた形でVE(t)=eΣj=1Z01dλj(t)Tj(t),t)の右辺の電場をテイラー展開するとVE(t)=eΣj=1Z[∫01dλj(t)(1+λj(t)∇+(1/2!){λj(t)∇}2+...)T(0,t)]=eΣj=1Zj(t)[1+(1/2!)j(t)∇+(1/3!){j(t)∇}2+...]T(0,t)となります。

 

ただし,[ ]内の各項での空間微分∇iの実行の後ではその都度j(t)をゼロと置く操作をします。これは電気ポテンシャルエネルギーに対して"原子の電荷分布の多極モーメントによる展開=多極展開"を行ったものです。

そして,展開の第1項eΣj=1Zj(t)T(0,t)は電場の中で原子内の原点にZeの原子核があってそのまわりにZ個の電子がある場合の全電気双極子モーメント:-e(t)≡-Σj=1Zjに対する電気双極子相互作用ハミルトニアン=eDEと等価です。

 

また,展開の第2項には電気4重極子モーメント:Q=-(1/2)Σj=1Zjjと電場の勾配との積が含まれています。

同様に,磁場(,t)の中における原子のポテンシャルエネルギーはVM(t)=-∫(,t)(,t)dr=eΣj=1Z01dλ[{j(t)×(dj/dt)}j(t),t)]で与えられます。

 

磁場には元々横成分しかありません。常に,div=0 なのでTなんですね。

 

右辺の磁場をテイラー展開するとVM(t)=eΣj=1Z01dλ[{j(t)×(dj/dt)}(1+λj(t)∇+(1/2!){λj(t)∇}2+...)(0,t)]=(e/m)Σj=1Z[j(t)((1/2!)+(2/3!)j(t)∇+(3/4!){j(t)∇}2+...)(0,t)]となります。ここにj(t)≡mj(t)×(dj/dt)は電子jの角運動量です。

ここでも展開の第1項(e/m)Σj=1Zlj(t)(0,t)は磁場の中で原子内の原点にZeの原子核があってそのまわりにZ個の電子がある場合の磁気双極子モーメント:-eM(t)≡-(1/2)Σj=1Z(e/m)jに対する磁気双極子相互作用ハミルトニアンM=eMと等価です。

 

また,展開の第2項には磁気4重極子モーメント:QM=-(2/3!)Σj=1Z(e/m)jjと磁場の勾配との積が含まれています。

ここで原子と電磁場との極小相互作用(minimal coupling)を含むクーロンゲージでの全体系のハミルトニアンをtotとすると,tot={1/(2m)}Σj=1Z{j+e(j(t),t)}2+(1/2)∫ρ(,t)φ(,t)d+(1/2)∫(ε0T(,t)2+μ0-1(,t)2)dと書けます。

ここまでが,丁度1年前心臓病が発覚したころの2006年12月段階で既に私が"勉強=読解"していた内容です。

 

これ以降は新しい項目になるのでたった1行の式をチェックするのさえ,ときには何日もかかる恐れがあるため,かなりスピードが落ちると思います。

 

その上,22日から風邪を引いてしまって治りません。

 

私の場合,単なる風邪でも,糖尿病かつ心臓病なのでなかなか治りにくく,こじらせて肺炎にでもなると命取りなので,少し体に気を付けたいと思います。

今日はここで終わります。

参考文献:R.Loudon 著(小島忠宣,小島和子 共訳)「光の量子論(第2版)」(内田老鶴圃)

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