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2007年12月28日 (金)

ヤングの干渉実験(6)(量子論)

光の干渉関連(Young's experiment)の続きです。

前記事の最後で原子と電磁場との極小相互作用(minimal coupling)を含むクーロンゲージでの全体系のハミルトニアンが'={1/(2m)}Σj=1Z{j+e(j(t),t)}2+(1/2)∫ρ(,t)φ(,t)d+(1/2)∫(ε0T(,t)2+μ0-1(,t)2)dと表わされると書きました。

これの右辺の第2項:(1/2)∫ρ(,t)φ(,t)d=(-1/2)ε0∫φ(,t)∇2φ(,t)d=(1/2)ε0∫{∇φ(,t)}2=(1/2)ε0L2(,t)d={1/(2ε0)}∫L2(,t)dは,形の上では電荷による静電エネルギー,ρ(r,t)=-Σj=1Zeδ(j(t))+Zeδ(),およびφ(,t)={1/(4πε0)}{-Σj=1Z(e/|j(t)|)+Ze/r}を代入すればクーロン相互作用エネルギーを全て含んでいることがわかります。

この第2項は輻射場を含んでいないので,第2量子化されていても量子場の演算子を含んでいません。一方,第3項は原子の運動に関わるエネルギーを含まない"輻射場=横波光子"単独のエネルギーです。

結局,第1項のみが相互作用に関わる極小結合部分で,原子と輻射場の相互作用はint={e/(2m)}Σj=1Z{j(j(t),t)+(j(t),t)j}+{e2/(2m)}Σj=1Z(j(t),t)2で与えられます。

 

これ自身を用いた厳密な計算結果はゲージの選択によらないはずですが,実際の多くの計算はほとんど近似計算なのでベクトルポテンシャルによる表式ではゲージ依存になります。

そこで基本的には理論を不変に保つユニタリ変換を用いてハミルトニアンを便利な形に変えることを試みます。

すなわち,ユニタリ演算子:U^(t)≡exp[{i/(chc)}∫T(,t)(,t)d](ただし,hc≡h/(2π)はプランク定数)を定義します。

 

(,t)=0 なので,∫T(,t)(,t)d=∫(,t)(,t)dが成立します。(,t)=-eΣj=1Zj(t)∫01dλδ(-λj(t))を代入すると,U^(t)≡exp[(-ie/hcj=1Z01dλ{j(t)j(t),t)}]となります。

このU^(t)によって変換されたハミルトニアン=U^-1(t)'U^(t)と書けます。

 

一方,',に対応する波動関数を,それぞれψ',ψと書くとψ=U^(t)ψ'です。

j=-ihcjなる陽な表示によって,U^-1(t){j+e(j(t),t)}U^(t)=j-ej01dλ{j(t)j(t),t)}+e(j(t),t)となります。

  

(j(t),t)=∫01dλ[{1+j(t)j}j(t),t)],

 

故にU^-1(t){j+e(j(t),t)}U^(t)=j-e∫01dλ[j{j(t)j(t),t)}-{1+j(t)j}j(t),t)]です。

 

ところで,[{rA(,t)}-{1+r∇}(,t)]i=rkik-rkki=rk(∂ik-∂ki)=εikjkεjlmlm={×(,t)}i;(ただし,(,t)=×(,t))と書けます。

 

結局,U^-1(t){j+e(j(t),t)}U^(t)=j-e∫01dλ{λj(t)×j(t),t)}です。

同様に,U^-1(t)T(,t)U^(t)=T(,t)-(1/ε0)T(,t) etc.から,=U^-1(t)'U^(t)={1/(2m)}Σj=1Z(j-e∫01dλ{λj(t)×j(t),t)})2+(1/2)∫ρ(,t)φ(,t)d+(1/2)∫(ε0T(,t)2+μ0-1(,t)2)d+eΣj=1Z01dλ{j(t)Tj(t),t)}+{1/(2ε0)}∫T(,t)2です。

  

結局,変換前のハミルトニアンの中からゲージ依存のベクトルポテンシャルを追い出すことに成功しました。

電子の座標軌道j(t)はボーア半径aB=4πε0c2/(me2)程度の大きさを持っていると思われます。また,勾配演算子Tに作用するとき,それは輻射の波動ベクトル程度の大きさです。

そこで,前にVE(t)=eΣj=1Z[∫01dλj(t)(1+λj(t)∇+(1/2!){λj(t)∇}2+...)T(0,t)]=eΣj=1Zj(t)[1+(1/2!)j(t)∇+(1/3!){j(t)∇}2+...]T(0,t),

  

M(t)=eΣj=1Z01dλ[{j(t)×(dj/dt)}(1+λj(t)∇+(1/2!){λj(t)∇}2+..)(0,t)]=(e/m)Σj=1Z[j(t)((1/2!)+(2/3!)j(t)∇+(3/4!){j(t)∇}2+..)(0,t)]と表現しました。

  

そこで見たような,Tj(t),t)やj(t),t)の多極展開において,λの高次のベキの項は急激に減衰するはずです。

したがって,-e∫01dλ{λj(t)×j(t),t)}は第1項の磁気双極子項だけ残して-{e/(2m)}{mj(t)×(0,t)}で近似し,e∫01dλ{j(t)Tj(t),t)}は第1項の電気双極子項ej(t)T(0,t)と第2項の4重極子項(e/2)j(t){j(t)∇}T(0,t)をとって近似することにします。

このとき,近似ハミルトニアンを改めてと書き,ERIと分解します。

 

E は孤立原子のハミルトニアンでE=Σj=1Z{j2/(2m)}+(1/2)∫ρ(,t)φ(,t)d,Rは輻射場のハミルトニアンでR=(1/2)∫(ε0T(,t)2+μ0-1(,t)2)dです。

 

そして,輻射場と原子の相互作用ハミルトニアンIをさらに4つに分けます。IEDEQMDNLです。

 

ここでEDEQ は電場との相互作用項で,ED=eΣj=1ZjT(0,t)=eDET(0,t)であり,eD=Σj=1Zjは電気双極子モーメントです。

 

また,EQ=(e/2)Σj=1Zj(t){j(t)∇}T(0,t)=-(∇Q)T(0,t)です。ここで,Q=-(1/2)Σj=1Zjjは電気4重極子モーメントです。

MDNLは磁場との相互作用項です。すなわち,MD =-{e/(4m)}Σj=1Z[j{j(t)×(0,t)}+{j(t)×(0,t)}j]={e/(2m)}MB(0,t)です。ただし,は角運動量の総和で≡Σj=1Zj=Σj=1Z{j(t)×j}です。

 

最後にNLは反磁性項と呼ばれ,NL={e2/(8m)}Σj=1Z{j(t)×(0,t)}2と表現されます。

j ~ aB4πε0c2/(me2),ω ~ ω0=(3/4)ωB=(3me4)/(128π2ε02c3),k~ω/cとして,各項のオーダーを評価します。

 

まず,ED ~ET(0,t){4πε0c2/(me)}です。次に∇T(0,t)~kET(0,t)=(ω/c)ET(0,t)により,EQ ~ET(0,t){3ehc/(16mc)}です。

一方,≡Σj=1Zj=Σj=1Z{j(t)×j}~hcと考えてMD ~ B(0,t){ehc/(2m)}~ET(0,t){ehc/(2mc)}です。

 

そこで,電磁相互作用の結合の大きさを特徴付ける無次元定数である微細構造定数α≡e2/(4πε0cc)~ 1/137を用いると,EQ ~ (3α/16)ED,MD ~(α/2)EDとなりますから,電気4重極子項EQと磁気双極子項MDは電気双極子項EDに比べてαの1次程度のオーダーになります。

以下では,電気双極子項EDに比べて電気4重極子項EQ,磁気双極子項MD,および非線形項の反磁性項NLを無視する電気双極子近似を採用してIEDとします。

 

 というのも後述の摂動論で述べるように状態ψif間の原子遷移に伴なって光子が放出,吸収される遷移速度は行列要素<ψf|Ii>の絶対値の2乗に比例するからです。

 電気双極子近似ではその対称性のために行列要素<ψf|Ii>がゼロになるような遷移の寄与が無視され,そうした遷移は禁止されることになります。

 

 例えばj は空間反転に対して符号を変えるので電気双極子相互作用e(ただし=Σjj)は奇のパリティ(偶奇性)を持つため,状態ψiとψfが互いに異なるパリティを持つ場合にみ,それらの間の遷移が許容されるわけです。

今日はこれで終わります。

参考文献:R.Loudon 著(小島忠宣,小島和子 共訳)「光の量子論(第2版)」(内田老鶴圃)

 

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