ヤングの干渉実験(8)(量子論)終わり
皆様,新年あけましておめでとうございます。
続きです。この項目については今日の記事で一応終わりにします。
ここまでは,演算子が時間に依らず,時間依存性は全て"波動関数=状態"にしわ寄せさせるシュレーディンガー表示に基づいて論議を進めてきました。
しかし,量子場を記述する演算子を古典場との類似性と比較して類推で理解するには"波動関数=状態"の方が時間に依存せず,時間依存性は全て演算子にしわ寄せさせるハイゼンベルク表示の記述の方が便利なことが多いです。
そこで,原子-輻射系の定式化のハイゼンベルク表示による記述を求めてみます。
ハイゼンベルク表示の波動関数ΦHはシュレーディンガー表示の波動関数ΦS(t)とΦH=exp(iHt/hc)ΦS(t)=ΦS(0)なる関係式で結ばれています。
ここにH は系の時間に依存しないハミルトニアンでhc≡h/(2π)はプランク(Planck)定数です。
そして,もちろん,dΦH/dt=0 が成立します。
一方,時間に依存しないシュレーディンガー表示の演算子Oに対応するハイゼンベルク表示の演算子はOH(t)≡exp(iHt/hc)Oexp(-iHt/hc)で定義されます。
それ故,定義式の両辺を時間微分することにより,ihc{dOH(t)/dt}=[OH(t),H ]が演算子の従う運動方程式であることがわかります。これをハイゼンベルクの運動方程式といいます。
ハミルトニアンH については[H,H ]=0 が成り立つのはもちろんですから,ハミルトニアンH なる演算子では常にH(t)≡HH(t)=Hであって,ハイゼンベルク表示でも時間依存性はありません。
一般に,ハミルトニアンHと交換する演算子の表わす物理量であれば,それは全て時間依存性を持たないいわゆる保存量です。
"観測可能な量=物理量"の期待値はいずれの表示でも同じであるべきです。シュレーディンガー表示の時刻tでの演算子Oの期待値<O>t=<ΦS(t)|O|ΦS(t)>はハイゼンベルクの演算子OH(t)の期待値<O(t)>=<ΦH|OH(t)|ΦH>と一致します。
時刻tでのシュレーディンガー表示の密度演算子ρ(t)≡ΣSPS|ΦS(t)><ΦS(t)|=ΣSPSexp(-iHt/hc)|ΦS(0)><ΦS(0)|exp(iHt/hc)は,ハイゼンベルク表示ではρH(t)≡exp(iHt/hc)ρ(t)exp(-iHt/hc)=ΣSPS|ΦS(0)><ΦS(0)|=ρ(0)です。
そこでdρH(t)/dt=0 であり, Heisenberg表示の密度演算子ρH(t)は実は時間に独立なので,これを単にρHと書きます。
そして混合状態でのOH(t)の期待値は<O(t)>=Tr(ρHOH(t))ですが,これももちろんTr(ρ(t)O)と一致します。
後の計算の便宜のために,原子-輻射系に対して対象とする気体原子が実際に電磁相互作用による遷移に預かる2つの準位のみから成るという模型を設定し,それを用いてシュレーディンガー表示のハミルトニアンを簡単な形に表現しておきます。
そのために,基底状態|1>と励起状態|2>のみを持った原子を考察します。そしてハミルトニアンのうちの原子に関わる部分を簡単に表わすために遷移演算子π+≡|2><1|,およびπ≡|1><2|を導入します。
状態|1>,|2>は直交規格化されているとします。このとき,π+π=|2><2|,ππ+=|1><1|と書けて,それぞれ状態|1>,|2>の射影演算子になっています。
そして,完全系条件|2><2|+|1><1|=1はπ+π+ππ+=1を意味します。π+π+=ππ=0 が成り立つことも自明です。
そして,"エネルギーの基準=零点"を基底状態|1>の準位に取るなら,原子のハミルトニアンHE はHE =hcω0|2><2|+0|1><1|=hcω0|2><2|=hcω0π+πと書けます。
つまりπ+,πは原子のエネルギー準位の"昇降演算子=生成消滅演算子"となっています。
一方,電気双極子近似の相互作用項はHED=eDET(R,0),ただしD=Σi,jDij|i><j|(Dij≡<i|D|j>),ET(R,0)=iΣkΣλ{hcωk/(ε0V)}1/2εkλ[akλexp(ikR)-akλ+exp(-ikR)]です。
今の場合には,D=D12(π++π)です。ただし,分極要素D12,D21は実数と仮定しており,D21=D12としています。
故に,HED=iΣkΣλhcgkλ[akλexp(ikR)-akλ+exp(-ikR)](π++π)と書けます。
ただし,記号を簡単にするために振幅部分をgkλ≡e(ωk/(ε0hcV)}1/2εkλD12と定義しました。
さらに輻射光子のハミルトニアンHR≡ΣkΣλhcωkakλakλ+を加え,最後に消滅演算子が生成演算子より右にくるという正規順序積の規約を採用すると,シュレーディンガー表示での系の全ハミルトニアンはH=HE+HR+HED=hcω0π+π+ΣkΣλhcωkakλakλ++iΣkΣλhcgkλ[π+akλexp(ikR)-akλ+πexp(-ikR)]なる簡単な表式で与えられます。
このハミルトニアンのハイゼンベルク表示は,H(t)=hcω0π+(t)π(t)+ΣkΣλhcωkakλ(t)akλ+(t)+iΣkΣλhcgkλ[π+(t)akλ(t)exp(ikR)-akλ+(t)π(t)exp(-ikR)]となります。
エネルギー保存則が破れるという現象は未だ発見されていませんから,近似ではなく完全なハミルトニアンなら,如何なる表示であろうとハミルトニアンは時間に依存しないはずですが,今の場合は近似ハミルトニアンであり,シュレーディンガー表示とハイゼンベルク表示のハミルトニアンはt=0 を除いて等しくありません。
そして,ihc{dOH(t)/dt}=[OH(t),H ]にOH(t)=π(t)を代入すると,ihc{dπ(t)/dt}=[π(t),H ]=hcω0π(t)-iΣkΣλhcgkλ{2π+(t)π(t)-1}akλ(t)exp(ikR)です。
この方程式を形式的に積分すると,π(t)=exp(-iω0t)[π(0)-ΣkΣλgkλ∫0t{2π+(t')π(t')-1}akλ(t')exp(ikR+iω0t')dt']となります。
同様に,ihc{dπ+(t)/dt}=[π+(t),H ]=-hcω0π+(t)-iΣkΣλhcgkλ{2π+(t)π(t)-1}akλ+(t)exp(-ikR)より,π+(t)=exp(iω0t)[π+(0)-ΣkΣλgkλ∫0t{2π+(t')π(t')-1}akλ+(t')exp(-ikR-iω0t')dt']です。
輻射の生成消滅演算子については,akλ(t)=exp(-iωkt)[akλ(0)-gkλ∫0tπ(t')exp(-ikR+iωkt')dt'],akλ+(t)=exp(iωkt)[akλ+(0)-gkλ∫0tπ+(t')exp(ikR-iωkt')dt']となります。
場の量子論的考察による近似計算の例として,半古典論扱いでは計算不可能な励起原子からの"光子の自然放出=自然輻射"を考えます。
基底準位と励起準位の2つの準位のみから成る任意の状態において,その状態の中に励起準位|2>が存在する程度は,"励起準位の射影演算子π+π=|2><2|"の"時刻tでのハイゼンベルク表示でのそれ=π+(t)π(t)"の期待値で与えられます。
これが従う運動方程式は,d{π+(t)π(t)}/dt=π+(t){dπ(t)/dt}+{dπ+(t)/dt}π(t)により,d{π+(t)π(t)}/dt=ΣkΣλgkλ{π+(t)akλ(t)exp(ikR)-akλ+(t)π(t)exp(-ikR)}です。
右辺に近似解を代入する反復法によって,gkλ2のオーダーまで正しい解を求めるため,輻射演算子に関するgkλのオーダーまで正しい表式を代入します。
π(t),π+(t)のゼロ次の近似:π(t)=π(t')exp{iω0(t-t')},π+(t)=π+(t')exp{iω0(t'-t)}を採用すれば,akλ(t)=exp(-iωkt)[akλ(0)-gkλπ(t)exp(-ikR+iω0t)∫0t exp{i(ωk-ω0)t'}dt'],akλ+(t)=exp(iωkt)[akλ+(0)-gkλπ+(t)exp(ikR-iω0t)∫0t exp{-i(ωk-ω0)t'}dt']と近似されます。
これによって,d{π+(t)π(t)}/dt=ΣkΣλgkλ{π+(t)akλ(t)exp(ikR)-akλ+(t)π(t)exp(-ikR)}=ΣkΣλgkλ[π+(t)akλ(0)exp(ikR-iωkt)-gkλπ+(t)π(t)∫0t exp{i(ωk-ω0)(t'-t)}dt']+[akλ+(0)π(t)exp(-ikR+iωkt)-gkλπ+(t)π(t)∫0t exp{i(ωk-ω0)(t-t')}dt']を得ます。
輻射場については,t=0 で光子がゼロの真空状態|0>にあるとすると,d{π+(t)π(t)}/dtの期待値は,d{<0|π+(t)π(t)|0>}/dt=-<0|π+(t)π(t)|0>ΣkΣλgkλ2∫0t [exp{i(ωk-ω0)(t'-t)}+exp{i(ωk-ω0)(t-t')}dt'= -<0|π+(t)π(t)|0>ΣkΣλ[2gkλ2sin{(ωk-ω0)t}]/(ωk-ω0)です。
結局,d{<0|π+(t)π(t)|0>}/dt ~ -<0|π+(t)π(t)|0>ΣkΣλ2πgkλ2δ(ωk-ω0) as t→∞ です。
これは,初期時刻t=0 に光子が全く存在しない状態で,時間と共に元々あった原子励起状態が減衰していく比率を示しています。
そして,吸収係数を2γ≡ΣkΣλ2πgkλ2δ(ωk-ω0)で定義すると励起状態の個数の期待値について,<0|π+(t)π(t)|0>=<0|π+π|0>exp(-2γt)なる指数減衰式が得られます。
これは光子の自発放出の過程を示していると考えられます。
さて,やっと本題のヤング(Young)の干渉実験を論じるための準備ができました。
まず,既に半古典論の項で実験の概略を述べたものを再掲します。
ヤングの干渉実験は,点光源から出たカオス光がレンズによってほぼ平行な平面波にされて右前方に進み,次に2つのスリットを備えた第1スクリーンを通過した後,その右側にある第2スクリーンの上で生じる干渉縞を観測するものです。
以下,光源は完全な点光源であると理想化され,光源が有限な直径を持つとか,ビームが完全には平行ではないなどの複雑さは無視します。
簡単のために光は1方向にだけ偏っているとして,観測スクリーンの位置rにおける時刻tでの輻射の全横電場演算子をハイゼンベルク表示でET(r,t)とします。
そして,都合上ET(r,t)を2つの部分に分離し,ET(r,t)=E+(r,t)+E-(r,t)と書きます。
E+(r,t)≡iΣk{hcωk/(ε0V)}1/2akexp(-iωkt+ikr),E-(r,t)≡iΣk{hcωk/(ε0V)}1/2ak+exp(iωkt-ikr)です。
この横電場は光速cによって定まるtより前の時刻t1,t2におけるスリット,あるいはピンホ-ルr1,r2での電場の重ね合わせです。
すなわち,形式的にはE±(r,t)=u1E±(r1,t1)+u2E±(r2,t2)と書けます。
t1,t2はs1,s2を,それぞれ光が第1スクリーン上のr1,r2から第2スクリーンまで到達するまでの距離とすると,t1≡t-s1/c,t2≡t-s2/cで指定される時刻です。
u1,u2は球面波に対応して,それぞれs1,s2に逆比例する量です。
古典論では,光ビームの強さI(r,t)はポインティングベクトルSの大きさ|S|で定義され,光の複素電場をE(r,t)とすると,I(r,t)がサイクル平均を示すものと考えて,I(r,t)=(1/2)ε0cη<|E(r,t)|2>cなる表式で与えられます。
そして,結局E*(r,t)とE(r,t)の積の平均に比例する量として定義されます。
その結果,ヤングの干渉実験の半古典論では,ビーム強度はI(r,t)=(1/2)ε0c<|E(r,t)|2>c=(1/2)ε0c[|u1|2<|E(r1,t1)|2>c+|u2|2<|E(r2,t2)|2>c+2u1*u2Re<E*(r1,t1)E(r2,t2)>cで与えられるという結論を得ました。
そして,<E*(r1,t1)E(r2,t2)>c etc.のサイクル平均の時間平均を得るため,これをカオス光としての集団平均<E*(r1,t1)E(r2,t2)>etc.で置き換えて,スクリーン上で得られる縞の濃淡を示す強度がI(r)=<I(r,t)>=(1/2)ε0cνE02[|u1|2+|u2|2+2u1*u2 exp(-γ'|τ|)cos(ω0τ)]なる関数形で得られることを見ました。
ここで,τ=(s1-s2)/cは行路差,γ'は輻射や気体原子の衝突など種々の効果に起因する光の線幅を拡げる効果の総和です。
一方,量子論では光子が初めに光子数の確定した状態|nk>にあったとするとき,例えばモードk,λの1個の光子の吸収過程に関する遷移現象を電気双極子近似による摂動の1次の行列要素で近似すると<f|HED|i>=<nkλ-1,i|eD{E+(r,t)+E-(r,t)}|nkλ,j>=e<nkλ-1|E+(r,t)|nkλ><i|D|j>となります。
そこで,フェルミの黄金律による遷移速度は,1/τ=(2π/hc2)Σi|<nkλ-1|E+(r,t)|nkλ>|2|<i|eD|j>|2δ(ωk-(pi-pj)2/(2mhc))ρ(pi)で与えられます。
そして遷移確率への光子部分の寄与は|<nkλ-1|E+(r,t)|nkλ>|2=<nkλ|E-(r,t)|nkλ-1><nkλ-1|E+(r,t)|nkλ>=<nkλ|E-(r,t)E+(r,t)|nkλ>と書けます。
そこで,古典論のビーム強度に対応する量子論での光子強度演算子:I(r,t)は古典論でのビーム強度I(r,t)での,E*(r,t)E(r,t)を演算子E-(r,t)E+(r,t)で置き換えたものとして定義されます。
そこで,量子論でのヤングの干渉実験の結論式は<I(r,t)>=(1/2)ε0c[|u1|2<E-(r1,t1)E+(r1,t1)>+|u2|2<E-(r2,t2)E+(r2,t2)>c+2u1*u2Re<E-(r1,t1)E+(r2,t2)>です。
ここで,< >は干渉実験の系の量子状態に対する位置r,時刻tにおける期待値を表わしています。
このときの量子状態としては光子の数が1個,2個...に確定した個数状態や,個数が全く不定のコヒーレント状態(可干渉状態)などの純粋状態である場合よりも,これらが統計的に乱雑に混合した混合状態である場合のほうが多いので,上記の期待値< >は一般に密度行列ρH によって<E-(ri,ti)E+(rj,tj)>(i,j=1,2)は<E-(ri,ti)E+(rj,tj)>≡Tr(ρHE-(ri,ti)E+(rj,tj))と定義されます。
しかしながら,最終的に干渉縞の濃淡を示す強度が統計平均を取ってI(r)=<I(r,t)>=(1/2)ε0cνE02[|u1|2+|u2|2+2u1*u2 exp(-γ'|τ|)cos(ω0τ)]なる関数形で得られ,周波数の拡がりγ'に左右される,というヤングの干渉実験結果の性質の理論的性格は,統計的論議に関する部分は量子論だからといって,特に古典論(半古典論)と変わるところはないため,その内容に変化はありません。
古典論での電磁波が,量子論では1個,2個と数えられる光子という粒子の波,あるいは確率波に変わったといっても,それが光であれば我々には元々実体として光が波であるという意識がありますから,粒子性を持つにも関わらず干渉という波独特の現象を起こすことにもあまり違和感はないようです。
しかし電子のド・ブロイ波のような本格的な粒子の波という意味では,光も電子も量子としての本質には違いはないと頭では理解していても,やはり1個の電子という粒子が干渉するなどという現象は今でも依然として量子論の創生期の頃と全く変わることなく我々の拙い常識で理解するのはむずかしいものですね。
以上で,本連載は終わります。
参考文献:R.Loudon 著(小島忠宣,小島和子 共訳)「光の量子論(第2版)」(内田老鶴圃)
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コメント
特定 E 以外の光子数 0 というのは個数状態であってコヒーレント状態ではないのに、Δω=γ'=0 だと干渉縞が出来そうなのは何故か? などと疑問を抱いてます。
投稿: hirota | 2008年1月 6日 (日) 16時43分
ども,hirotaさん、コメントありがとうございます。TOSHIです。
>コヒーレントの程度によって、干渉縞の出来方が違う。という所まで計算するかと思ったのに、ここで止めちゃうの?
(ΔEが小さいと干渉縞の本数が沢山出ると言うやつ)
上の記事にこの記事の(1)(古典論)=半古典論で書いた内容も再掲しました。
「スクリーン上で得られる縞(interference fringes)の濃淡を示す強度が時間平均:I(r)=<I(r,t)>=(1/2)ε0cνE02[|u1|2+|u2|2+2u1*u2 exp(-γ'|τ|)cos(ω0τ)]なる関数形で得られることを見ました。ここでτ=(s1-s2)/cは行路差(path difference),γ'は輻射や気体原子の衝突(collision)など種々の効果に起因する光の線幅(line width)を拡げる効果の総和です。」
という部分です。
これの評価は半古典論の記事では
「光源のカオス性は指数因子:exp(-γ'|s1-s2|/c)を通して「縞の鮮明度」に影響します。そのためs1とs2が十分異なるときには原則的に縞は全く消えてしまいます。
しかしω0>>γ'のような「幅の狭い光源」の場合にはτ=(s1-s2)/cが十分大きいため,指数因子により縞がぼやける前に余弦項cos(ω0τ)により非常に多くの縞が作り出されます。」
と書いていますが,これは量子論でも本質的に同じでしょう。
ΔE=hΔωにおいて,Δω=γ' (周波数の幅)に関してω0>>γ'のような場合「幅が狭いと多くの縞ができる」ということには古典論で既に言及しているので,量子論にすると理論として特有の新しいことがあるわけではない,と思ったのであえて言及していません。。。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年1月 3日 (木) 19時52分
コヒーレントの程度によって、干渉縞の出来方が違う。という所まで計算するかと思ったのに、ここで止めちゃうの?
(ΔEが小さいと干渉縞の本数が沢山出ると言うやつ)
投稿: hirota | 2008年1月 3日 (木) 16時53分