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2008年3月

2008年3月28日 (金)

カシミール効果(Casimir effect)

昨年の今頃は丁度入院したばかりで,結局1ヶ月程度ブログを休んで,4月末に退院してから再開したわけです。

 

今年も引越しのドサクサでブログが滞り勝ちになっていましたが,昨日くらいからやっと落ち着いたので以前のように科学的記事中心のブログを再開したいと思い,手始めにこの話題を取り上げたわけです。

昨年のブログ再開時も,まずは過去の記事を顧みてそれを反芻するような話題から入って慣らし運転をしましたが,今回も引越し直前の3月初旬にEMANさんのボードでの「談話室」 において

 

ゼータ関数の素朴な定義における見かけ上の発散の問題についてのごく軽い話題に関連して,カシミール効果(カシミア効果)の零点エネルギーの処理について述べた私のコメントの説明から始めます。

この話題については,ある方がかなりのこだわりを持っておられ,T.NAKAさんの「阿房ブログ」でも未だに頻繁に取り上げられているものでもあります。

まず,私のEMANさんのボードでの発言を再掲します。

 

これは私のホームページの内容ではないものを無断でアップするということになりますが,私自身が発言した部分のみを私のブログに掲載するのですから恐らく問題ないと思っています。

 

ただし,ブログ向きに内容を少し修正しています。

[再掲開始]

 手前みその連続ですがブログ「TOSHIの宇宙」の2006年10/14の記事「零点エネルギーとファン・デル・ワールス力でもカシミール効果とよく似た話になっているので,良かったら参照してください。

 この場合,記事では零点エネルギーはhcω0+ΔU(ただしc≡h/(2π)はプランク定数)で与えられ,ΔUが距離の6乗に反比例するファン・デル・ワールス力となっています。

 

 無限大とは関係ないように見えますが,実はこれは1対の分子のみに着目しているので,全ての分子の寄与を加えると,全体の零点エネルギーはΣ(hcω0+ΔU)です。

 

 通常の巨視的体積(数立法センチメートル)程度では,分子対の個数NはN~1023くらいで,零点エネルギーの大きさのオーダーはΣhcω0 ~ Nhcω0 ~hcω0×1023ですね。

このΣhcω0 ~ Nhcω0は無限大ではないにしても,分子間力としての個々のファン・デル・ワールス力の大きさと比較すると莫大ですね。

 

(ここでは"格子振動=フォノン"を問題にしているのでNは有限ですが,宇宙全体の真空エネルギーなどのように"電磁波=光子"が対象ならNが有限とは限らず,零点エネルギーは無限大になります。)

しかし,ファン・デル・ワールス力の全エネルギーは,Σhcω0を原点としたときの差であるΣΔUの方です。

 

別に各点の近傍での1対の分子に働く力だけを知りたいのであれば,その位置でのΔUのみが問題になるので,敢えてそのΣを取る必要もないくらいですし,ましてや零点エネルギーΣhcω0~Nhcω0は有限であろうが無限大であろうが,ファン・デル・ワールス力の評価には全く無関係な量です。

零点エネルギーが無限大とか莫大な値となるのは通常の量子力学でも場の量子論でも,"不確定性原理"がその根本原因ですから,これは付きものであって量子論ならこれを避けて通ることはできません。

 

しかし,実際の観測にかかる力は全位置エネルギーをUとするとき,=-gradU=-∇Uにより,Uの"空間微分=勾配"として与えられますから,U自身が莫大な値であろうと,力に無関係な単なる定数項なので,零点エネルギーを気にする必要はないと思います。

そして,私の過去の記事での"ファン・デル・ワールス力"を"カシミール力"と読み替えてみると,今の話になると思います。 [再掲終わり]

 と書きました。

 

 まあ,実際に過去の記事を読めばこれ以上の説明は蛇足に思えます。

 

 私自身がカシミール力(Casimir force)(=真空の中で2枚の平面金属板を微小な距離を隔てて平行に設置したとき互いに引き合うという不思議な力)については,Wikipedia程度の予備知識しかないですから,この部分に関する説明を若干詳細に行なって問題をより明確にする必要があると思ったわけです。

 

 一般に学問的,専門的なことに限らず,初等教育においてもそうですが,ある意味で他人に説明するという行為は,説明を試みる本人が得るものの方が,教えられる人の得るものよりもはるかに大きい場合が多い,という側面がありますから,これは自分自身への解説でもあります。

 さて,Wikipediaの“Casimir effect”によれば,

 

 z=0とz=aで与えられるxy面に平行で距離aだけ離れた2枚の金属導体平面上では,自由電磁波の成分であるところの電場の横波成分,および磁場(横波しかない)は消えるという境界条件から,それらの場の成分は定在波:ψm(x,y,z,t)=exp(-iωmt)exp(ikxx+ikyy)sin(kmz);km=mπ/a,ωm=c(kx2+ky2+km2)1/2(m=1,2,..)の重ね合わせとして表現されることがわかります。

 

 ここにcは光速です。

これは電場あるいは磁場の偏り成分を複素電場,あるいは複素磁場で表現した形式ですが,実際の電磁場は実数であり,例えば電場なら複素電場の実部,あるいは虚部で与えられます。

 

そこで,複素電場が単一の角振動数ωによって,(x,y,z,t)0(x,y,z)exp(-iωt)で与えられる場合には,電場の強さはこれのサイクル平均,すなわち,周期をT≡2π/ωとして<2c(1/T)∫0T|Re|2dt=(02/T)∫0Tcos2ωtdt=02/2=||2/2 で与えられると考えられます。

 

ここで< >cの添字cはサイクル平均を表わしています。

特に,先の2枚の平行金属板の間にあると仮定した境界条件を満たす光=電磁波のケースなら電場の横成分ベクトルは(x,y,z,t)0ψm(x,y,z,t)=0exp(-iωmt)exp(ikxx+ikyy)sin(kmz)なる形ですから,サイクル平均強度は2c02sin2(kmz)/2 となるはずです。

振動数がωmの単一モード(単色)の電磁波のエネルギーのサイクル平均は,古典電磁気学では<E>c(1/2)∫dxdydz<ε02+μ0-12c(1/2)ε002A∫0a sin2(kmz)dz=(1/4)ε002aAで与えられます。

 

ここに,Aは平面金属板の面積です。

 

そして,特に真空の場合には(x,y,z,t)0ψm(x,y,z,t)=0 ですから,古典電磁気学で考える限りでは,もちろん,真空での平均エネルギー<E>cはゼロです。

ところが量子論では振動数がωの"単色電磁波=光子"のエネルギーの期待値<E>はその励起準位がnの場合,つまりn個の光子が存在する場合には<E>=(n+1/2)hcωで与えられます。

 

そして特に真空の場合,すなわち光子数がゼロでn=0 の場合でも,その"状態(真空)=基底準位"のエネルギー<E>はゼロではなく,有限値<E>=(1/2)hcωを取ります。これを零点エネルギーと呼びます。

この零点エネルギーの存在は量子論特有の現象であり,一般に電磁場は多くの1次元調和振動子の集まりとして表現できますが,個々の"1次元調和振動子のエネルギー=ハミルトニアン"Hの表現E=H=p2/(2m)+(1/2)mω22では,ハイゼンベルクの不確定性原理ΔxΔp≧hc/2 のせいで量子論的にはバネ振動が完全に静止x=p=0 し,E=0 となるような状態の存在が不可能です。

 

そこで,|xp|≧hc/2 とならざるを得ないため,(相加平均)≧(相乗平均)によりE=p2/(2m)+(1/2)mω222{p2/(2m)×(1/2)mω22}1/2(1/2)cωが成立することに起因しています。

そこで,振動数がωmの光:ψm(x,y,z,t)=exp(-iωmt)exp(ikxx+ikyy)sin(kmz);km=mπ/a,ωm=c(kx2+ky2+km2)1/2(m=1,2,..)に対しm≡hcωmとおけば,その光子に対応する"真空でのエネルギー期待値=零点エネルギー"は,(1/2)Em(1/2)hcωmです。

それ故,x,y方向の運動量成分(x,ky)の各々について許される全ての振動数に対する"真空の全エネルギー期待値=全零点エネルギー"<E(x,ky)>は,<E(x,ky)>=2×(1/2)Σn=1n=hcΣn=1ωn;ωn=c(kx2+ky2+n2π2/a2)1/2,(n=1,2,..)で与えられます。

 

2を掛けたのは光の偏りの2つの自由度を考慮したものです。

そして,(x,ky)の近傍,kx~kx+dkx,ky~ky+dkyでの単位面積当りでの状態密度はdkxdky(2π)-2なので,単位面積当りの零点エネルギーは<E>/A=c∫dkxdky(2π)-2Σn=1ωn (ただしωn=c(kx2+ky2+n2π2/a2)1/2)で与えられることになります。

ところが,2=kx2+ky2とおいて<E>/A=c∫dkxdky(2π)-2Σn=1ωn={c/(4π2)}Σn=102πqdq(q2+n2π2/a2)1/2と書くと,この右辺は明らかに発散します。

 

そこで,これが発散しないための処方として,パラメーターsを導入して級数Σn=1ωn=cΣn=1(kx2+ky2+n2π2/a2)1/2でのωnにかかるベキを1から(1-s)に変えることを考えます。

 

つまり,<E(s)>/A≡cΣn=1∫dkxdky(2π)-2ωn1-sと定義して,求める<E>/Aは上式の右辺が収束するようなsに対する<E(s)>/Aから回り道をして<E>/A=lims→+0<E(s)>/Aにより,<E(s)>/As→ 0 の極限値で与えられると考えるわけです。

 

こうしたテクニックを使って発散を緩和する手法は正則化と呼ばれています。

こうすれば,<E(s)>/Aを表わす右辺の級数の各項の積分は簡単に実行できて<E(s)>/A=cΣn=1∫dkxdky/(2π)2ωn1-s={hc1-s/(4π2)}Σn=102πqdq(q2+n2π2/a2)(1-s)/2=-[c1-sπ2-s/{2(3-s)a3-s}][Σn=1(1/ns-3)]と書けます。

 

もしもRe(s-3)>1であって右辺の無限級数が収束する場合なら,これはゼータ関数を用いて表わすことが可能で,<E(s)>/A=-[c1-sπ2-s/{2(3-s)a3-s}]ζ(s-3)と書くことができます。

この最後の表式が正しいのであれば,ζ(-3)=1/120ですから見かけ上は<E>/A=lims→+0<E(s)>/A=-[ccπ2/(6a3)]ζ(-3)=-[ccπ2/(6a3)](1/120)となって値は有限になります。

 

しかし,現実にはs=0ではRe(s-3)>1は満足されず<E>/A=-[ccπ2/(6a3)][Σn=13]=-∞であって,これは明確な意味を持たない量で無限大ですから,Σn=13有限確定な値を定めるゼータ関数ζ(-3)=1/120に一致するはずはありません。

しかし,現実に実測にかかる量は金属板間にかかる張力,あるいは圧力,つまりT=F/A=-{d<E>/da}/Aで与えられる量であって,位置エネルギー<E>/A=-∞ そのものではありません。しかし,そもそも無限大の値である<E>/Aを有限な距離パラメータaで微分することに明確な意味があるのでしょうか?

これについては,既に量子電磁力学の実際の理論計算において,理論に忠実に計算を行なえば物理的観測量の値のほとんどが発散して無限大の値になってしまう,という避けられない現実との不一致が現われるという困難を回避するための"くりこみ理論"という有名な有効理論の先例があります。

 

これは,一見したところ無限大に発散する量から,無限大を差し引くという方法で,この方法によってある種の正則化をしたお釣りの有限項から,物理量の実測値と一致する種々の計算結果を理論的に非常に厳密な精度で得ることに成功しています。

そこで,今の場合も<E>/A=-[ccπ2/(6a3)][Σn=13]=-∞という負の無限大量は-[ccπ2/(6a3)]ζ(-3)-∞とゼータ関数で与えられる有限なお釣りを持つと想定して,項ごとにaで微分したとき,右辺第2項の零点エネルギーの無限大寄与部分は定数項であると考え,その微分{d(-∞)/da}/Aはゼロであると仮定すれば,結局,張力としてT=F/A=-{d<E>/da}/A=-[3ccπ2/(6a4)]ζ(-3)=-ccπ2/(240a4)なる表現式が得られます。

これは,カシミール力として知られている真空中に単に平行に金属板を置いただけで観測される距離の4乗に反比例する張力あるいは引力を正しく表現する式となっています。

 

上述のくりこみは,カシミール力の実験値を再現する有効理論としての意味を持っていることがわかります。この理論で用いた正則化はゼータ関数による正則化と呼ばれているようです。

 

このカシミール力をフォトンの零点振動から導いた方法が以前の記事において結晶のフォノンの零点振動から分子間力であるファン・デル・ワールス力(Van der Waalsの力)を導いた方法と同じであることは,ほぼ明らかであると思われます。

 

こうした量子論の根本原理である本質的な確率的性格に起因する零点エネルギーや紫外発散のように無限大に発散する計算値を除去する種々の正則化の試みはファインマン(Feynman),朝永,シュヴィンガー(Schwinger),ダイソン(Dyson)のくりこみ理論においても,所詮は処方箋というか,実験値を再現するための対症療法,つまり有効理論でしかないわけで原因療法ではあり得ないわけです。

  

2006年4/23の記事「くりこみ回避のアイデア」にも書きましたが,過去には私自身も解析接続にその真の解決の可能性を求めたこともありました。

 

しかし,結局これらの根本的解決は現在では超弦理論などの新理論に委ねられるべきかもしれませんね。

  

参考文献:Wikipedia "Casimir effect"

 

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2008年3月22日 (土)

不如意ということ

 大した障がいでもないのに引越しの後片付けが1週間経っても終わらないのがもどかしい。身体が思うように動かないのだ。

 重い箱は運べないので全て開けて中身をバラバラにしてからでないと運べないけど,何とか片付けることはできたが,カーテンをカーテンレールのフックにかけるのがむずかしくて何日もかかっている。

 14個のフックのうち9個までかけたがまだ5個残っている,1日に3個かけるのがせいいいっぱいだ。

 身体が普通ならこんなの至って簡単なのにともどかしい。パソコンのデスクが届いたが重いのでまだ組み立てていない。

 これが組みあがって今の暫定的な台を取り除いて設置できれば終わりだがこれも一苦労だと思う。元気な身体ならなんてことはないのだが。。。

 今日は身体が極端に重く地蔵通りを散歩したが,そこらの元気な爺さん婆さんよりも歩くのが遅くてほとんどヨチヨチ歩きで何度もしゃがんでしまった。

 ここ数日無理して身体を使ったので足腰がおかしくなったらしい。

 それに極端な低血圧で,しかも運動能力が低くなったのか,両手がふさがっているとバランスとれなくて,ここ数日の間に5,6回も部屋の中でよろけて転んでしまい,肘などに擦り傷ができてしまったけど弱音を吐くわけにもいかない。

 とにかく両日中には片付けを終わって,また平静な日々を回復したい。。。

 大した障がいでもないのに,普通人には何でもないことでもできないこと,

 頭の中でイメージした通りには身体がいうことを効いてくれないのは,とてももどかしくて困ったものだ。

 健康で五体満足なのはそれだけでとても贅沢なことだと痛感した。

 ときどき,りくちゃんが様子を見に来るので手伝ってくれるように頼むけど,本とか荷物を捨てろとか,配置が悪いとか指図するばかりで,口は出すが力は貸してくれない。

 まあ,私にとっては大事なもので捨てることはできないし自分のことだから自分でやるしかない。。。荷物が多すぎるのは事実だが部屋が狭いのはどうしようもないことだ。

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2008年3月18日 (火)

ネット開通しました!

 さっき3月18日(火)正午頃やっと引越し先のPCでBフレッツ光が開通しました。これでネット喫茶や会社,あるいはモバイルのカードで遅いアクセスをする必要から解放されました。。。。自分自身へのメールがこまめにチェックできるのも嬉しいです。とりあえず報告まで。。

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2008年3月14日 (金)

引越し,孟母三遷,神の意思

 13日のお昼頃,滝野川4丁目に天草という引越し業者が来て,3トントラックにギリギリというワンルームの住人としては通常の3倍以上らしい荷物を運んでもらって,新居である,巣鴨1丁目7階に引っ越して来ました。

 新居といっても平成6年5月から平成18年暮れまで12年半も住んでいた勝手知ったる部屋です。結局,もうすぐ自分の持ち物だった部屋に自分が店子として入るという形態になります。

 これで職が持てれば,少しは借金も返せるので,このまま事が進めば一応望んでいた通りになるわけです。

 もっとも,売却契約は,正式に完了してはいないので,まだ安堵するわけには行きませんが。。

 引越し荷物が新居に全部入って,引越し代金を払って完了したのは午後3時過ぎでした。

 それから,まもなくNTTが来て電話がつながり,取り合えずベッドに寝られるスペースを作り,テレビが見られるようにした後,,開いたダンボールを片付けたりしているといつの間にか午後6時を過ぎていました。

 そこで,歩いて2分程度の巣鴨駅前まで歩いて行って,「ジョナサン」で「カニ雑炊」や「鶏のからあげ」などを食して空腹を満たした後に,帰宅しました。

 さすがに疲れたので,2時間余り,いっぷくした後に,例によって近くの店に飲みにいきました。

 木曜で客が少なかったのですが,やがて会うのが3回目の同年輩の客が来て,この「せんずり野郎」とか言ってほめられました。

 まあ,例によって,心臓病の自慢をしていたら,彼はガンを経験していたらしくて対抗意識が湧いたのか,私の病気自慢が気にさわったのが原因らしいですね。

 何か仕事で特殊な技術的なことをやっているらしくて,自分の持った技術にえらくプライドを持っているらしかったので,ついついいつものいたずら心が湧いてきて,

 「私は何の能もないけど飲んでて楽しいし,今がよければいいじゃないか。私,馬鹿だから自己満足だけのために生きてる。」とかチャカしたら,

 「それじゃ,"せんずり"じゃないか」と言うので,「そうだよ,"せんずり"だよ,自己満足だよ,"せんずり"のために生きてるんだよ」と答えると,

 「自分の欲望だけじゃなくて他人のためになることなどをしようとは思わないのか?」という感じのことを言われたので,

 「ボランティアはやりたいよ。でもそれも自己満足,"せんずり"の内なんだよ」と言ったら,.またまた「それは甘い!」と褒められました。

 この当りで,"これ以上やるとまずい"と思われたのか?ママに話をするのを止められてしまいました

 女からみると「男はいくつになっても青いねえ。。」というところでしょうか。。。

 「せんずり野郎」とか「変態野郎」というのが強がりではなく,相手の意図とは逆に正直に私への褒めめ言葉になるのですから,

 全然ケンカにはならない,とは思いましたが,チャカしていると取られると危ないかもしれない,ということで,ママのチャチャが入ったらしいのですね。

 でも,その日は夜中の2時頃,お店1件で矛を収めて寝ました。

 翌日の今日は朝10時頃目覚めて,あわてて旧居の掃除をして,賃貸の解約手続きを終え,近くの郵便局と北区,豊島区の区役所をまわって午後6時ころ,転出,転入の手続きを終えました。

 そして,またぞろ夜は巣鴨の自宅の裏で久しぶりに3件ハシゴをしました。

 3件目でオケラになる予定でしたが,偶々,知人のどこかの会社の社長に出会ったため,3件目はただ酒でした。

 私のただ酒はしょっちゅうあるのですが,その話はそれだけでもかなり長くなるのでまた別の機会にします。

 昨日は酒の上とはいえ,またぞろ「傲慢な心」が顕在化してしまいました。

 あとで思うとその場では使い古された陳腐な話だと思ったけれど,彼はいいことを言っていましたね。

 「あなたは生かされているのだ。人が生まれてきて生きているのには,それぞれ意味があって神様に使命を負わされているのだから,自分の命だからといって粗末にしていいと思うのは思い上がりだ。」

 という意味のことをしきりに主張されていました。

 そうです。思えば神は私に一貫して「傲慢さ」を捨てて,ひたすら「やさしさ」を求めてきたように思います。

 若い頃,父を早く亡くし,入試で第一志望に失敗したこと,そして,偶々学生闘争の時代であったことが私を立身出世というような上昇志向性から解放して転向させ

 弱者の利益の追求,弱者へのやさしさを目的として生きてゆくように仕向けたと思います。

 「孟母三遷」とはよく言ったもので巣鴨に移って一夜たっただけで著しく気分がハイになって一時的なものかもしれませんが開放的気分になり,幸福感が感じられるほどです。

 ああ,そうだったんだ。

 私が1年数ヶ月とはいえ,滝野川で比較的不自由な生活を強いられてきたことは,13年近くも住んでいたときには窮屈で苦しいと感じていた巣鴨の生活が実は如何に贅沢で快適なものであったのか,を実感させ再発見させてくれるためにあったんだ,と思うに到りました

 心臓病になって曲がりなりにも障がい者という立場になったことにも,意味がありました。

 まだまだ,私の意識には「やさしさ」が足りない部分,欠けている部分が大いにあったのだということを知らせるためです。

 病気は私に障がい者という目を持たせました。

 卑近な話ですが.ときには電車の優先席の近くのつり革にすがっているときに,外見上は平気を装っていても,実は立っているだけでさえ,かなり辛くて何とか譲ってもらえないかと思っていることがずいぶんあります。

  一応今は自身障害者手帳を持っているので堂々と優先席に座っていますが,普段は虚勢を張っていて見かけは元気に見えるし,巣鴨という土地柄バスの優先席に座っているとき,いかにもヨボヨボのお年寄りが乗ってこられると譲らざるをえません。。

 前に電車でずっと体がきつくて数駅立っていた後に,やっと座れたと思って座ってホッとしていたらすぐ近くに顔は青年男性なのに体が子供の人(先天的障がい者?)がいるのに気が付き,

 彼が平気を装っていても体をゆすっているのが見て取れたので,「仕方ないな」と席を譲って,ワザと遠くに離れてから目的地に着くまでつり革に頼ってやせ我慢していたこともありましたね。

 イヤ,別に私以外の他人にも「やさしさ」とか,それ以外の何かを求めているツモリはありません。

 自分が辛いときには,「譲ってくれたらいいのに」と逆恨みすることもありますが,むしろそう思う自分の心が恥ずかしいです。

 人間は世界で一番自分が大切なのは当たり前なので,それを他人がどうのこうのと自分のエゴからとやかく批判する資格などはありません。

 「やさしさ」を持ちたいというのは,もちろん私だけのエゴであって,他人への要求ではないです。

 駅の階段,そしてエレベーターがない旧自宅の3階までの階段でさえ,心不全の身では上り下りがかなり辛かったです。

 自分にとって辛いということは,当然同じ境遇の他人にとっても辛いということですから,私に障がい者への「バリアフリー」ということの意味を痛感させるという"神の意思"が働いたとも取れるわけです。

 この1年間は道楽である物理や数学をやる上でも違う意味がありました。

 生活が窮屈だという思いから新しい知見を開拓しようとする意欲が減退して,ひたすら過去を振り返ってしまうことが多かったように思います。

 しかし,まあそれはそれなりに意味があって,おかげで比較的浅かった既得の知識が少しだけ深くなったかもしれません。

 そして引っ越したとたんに余裕が出てきて,この年齢ですが,また新しいことを追求したいという欲求が起きてきました。

 もっとも,この「贅沢な道楽の分野」での欲求は,「やさしさ」とは別物ですが。。。

 まあ,いつまで続くかわかりませんが自宅に帰るのも外出するのも億劫という気分だったのが,逆になったというのは,いい傾向でしょう。

 あとは,貧乏とはいえ,自由な時間があるということが如何に贅沢か?ということもこの1年余りで思い知りました。

 人に対してやさしくできるような気がするのも,こうした"時間的余裕= 有閑階層の贅沢"なんだと実感しました。 

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2008年3月12日 (水)

一般の2原子分子(等核,異核)

化学結合関係の話題の続きです。まず,以前(2月5日)の記事「2原子分子イオン再考」から始めます。

原子核の運動エネルギーを無視して核配置をに固定した核固定近似での多原子系の電子ハミルトニアンee(,)=Ke+Unn+Une+Ueeで与えられます。

 

ここにKeは電子の運動エネルギー:Ke≡Σi{-hc2i2/(2me)},Unnは核間相互作用:Unn≡ΣA<B{ZAB2/(4πε0AB)},Uneは原子核と電子の相互作用:Une≡ΣA{-ZA2/(4πε0Ai)},Ueeは電子間相互作用:Uee≡Σi<j{e2/(4πε0ij)}です。

ここでhc≡h/(2π)はプランク定数,meは電子質量,RABは原子核A,B間の核間距離|AB|であり,電子iと電子jの距離をrij|ij|としています。

そして電子群に対する核固定近似での波動方程式はe(,)ψ(,)=u()ψ(,)となりますが,水素分子イオンのように,"2原子核+1電子"の系では,これは-hc22ψ(R,)/(2me)+[ZAB2/(4πε0)-ZA2/(4πε0A)-ZB2/(4πε0B)]ψ(R,)=u(R)ψ(R,)と書けます。

 

ただしψ(R,)は電子の波動関数であり,rA|A|,rB|B|としています。

そして,特にZA=ZB1の水素分子イオンの系ではξ≡(rA+rB)/R,η≡(rA-rB)/Rと変数変換し,φを核を結ぶ分子軸BAのまわりの角とすると,1/rA1/rB(2/R){(ξ+η)-1(ξ-η)-1]=(4/R)(ξ2-η2)-1ξです。

 

原子核と電子の相互作用項がUne≡-ZA2/(4πε0A)-ZB2/(4πε0B)={-e2/(4πε0)}(ξ2-η2)-1ξとなるので,電子の波動関数をψ(R,)≡X(ξ)Y(η)Φ(φ)とすれば方程式は変数分離できるのではないか,と期待されます。ξ,ηは楕円座標と呼ばれます。

そして,結局,mとAを任意定数とすれば実際に波動方程式は変数分離されて,ψ(R,)≡X(ξ)Y(η)Φ(φ),かつd2Φ/dφ2=-mΦ,(d/dξ){(ξ1)(dX/dξ)}+{(2R/aB)ξ+λξ2-m/(ξ1)+A}X=0 ,(d/dη) {(1-η)(dY/dη)}+{-λη2-m/(1-η)-A}Y=0 となります。

 

ただしaB4πε0c2/(me2)はボーア半径であり,λ≡{R2e/(2hc2)}{u(R)-e2/(4πε0)}です。

ここまでが,以前の記事の内容の再掲です。

そしてZA=ZB1の水素分子イオンではなく,一般の2原子分子イオンでもZA/rA+ZB/rB(4/R)(ξ2-η2)-1ξとなるようにξ,ηを取って工夫することはできます。

 

例えば,ξ≡(rA/ZA+rB/ZB)/R,η≡(rA/ZA-rB/ZB)/Rとすれば,ξ+η=2r/(ZA)です。1/ZB2+ξη=1/ZB2{(rA/ZA)2(rB/ZB)2}/R2[R2/ZB2+r2/ZA2(r2+R22Rrcosθ)/ZB2]/R2=r2/ZA22-r2/ZB222rcosθ/ZB2Rですから,cosθをξ,ηで表現することもできます。

しかし,ZA,ZBが全く任意の一般的な場合には方程式の極座標による表現をξとηが対等になるようには変換できませんから,水素分子イオンと同様な変数分離をするにはかなりの工夫が必要だと思われます。

 

特にZA=ZBの等核2原子分子イオンの場合なら,単にスケール変換r→r/ZA=r/ZB,R→R/ZA=R/ZBによって,水素分子イオンと全く同じ変数分離の波動方程式が得られます。

そして,この変数分離の波動方程式が解析的に解ければ,2つの原子核の両方が囲む1電子軌道関数が得られるのですが,この形にまで簡単化されてもΦ(φ)=exp(imφ)の他の2つの因子について,その常微分方程式を解析的に解いて初等関数などで表現するのはかなりむずかしいようです。

 

しかし,これらを数値計算か何らかの方法で解いて得られる分子全体に広がる1電子軌道関数の性質を分析することは可能であり,これは多電子系に移っても理論の素材として用いられて,分子軌道関数,または単に分子軌道(MO)と呼ばれています。

そして,前にも書いたように原子とは異なり,核が2つ以上ある分子イオンでは1電子系でも,もはや角運動量は保存されませんが,2原子分子を含む直線分子では核軸のまわりの回転に対して核による静電場は不変なので,軸方向(z軸)の角運動量の成分Lzihc(∂/∂φ)は保存されるため,その固有値=磁気量子数mに対応する軌道関数が存在します。

 

そして,そうした直線分子の|m|=0,1,2,3,..に対応する分子軌道を,それぞれσ軌道,π軌道,δ軌道,φ軌道,..などと呼びます。

核間距離Rを0 ~ ∞ まで連続的に変化させたとき,分子軌道関数と"電子エネルギーの固有値=断熱ポテンシャル"u(R)は連続的に変動しますが,R→ 0 の極限を融合原子,R→ ∞ の極限を分離原子と呼びます。

融合原子は事実上,2つの原子の原子番号を加えた正電荷を持つ1つの原子核となった水素様原子になっている状態ですから,その楕円座標は,ξ→2r/R,η→cosθの極座標r,θ,φへと移行します。

  

水素様原子と同じ軌道ですから,量子数はn,l,mで表現されます。

 

一方,R→ ∞ の極限で2原子分子イオンが分離原子になっている状況では,電子が核Aの近くにある場合,つまりAのとき,AA0,BA(BA)=A~ -より,A0,rB~Rであって,ξ=(rA+rB)/R=1+{rA(rB-R)}/R,η=(rA-rB)/R=-1+{rA(rB-R)}/Rです。

 

また,rB-R=|A|-R=|A|-R=(rA2+R22rAcosθA)1/2R~R(1-zA/)となります。

 

ここにzAAのz軸成分です。

結局,R→ ∞ でAのとき,ξ→ 1+(A-zA)/R,η→ -1+(A+zA)/Rとなります。

 

これは原点を原子核Aとしたとき,z方向がA→Bであってξ,ηの定義が逆である,という違いはありますが,先に原子のシュタルク効果(Stark effect)で用いた放物線座標ξ=r+z, η=-z,φ=arctan(y/x)に対応しています。

シュタルク効果は電場の中に原子があるときの分極による原子軌道の歪みを表現するものですが,今の場合は2原子分子イオンの一方の原子核Aの近傍にある電子とAとの対を1つの単独原子とみなしたとき,遠方の原子核Bによるクーロン電場の影響による分極を表わす,と考えられます。

 

それ故,分離原子の軌道の量子数はシュタルク効果で見たようにn',n1,n2,m (ただしn'=n121)で指定されるはずです。

先に述べた2原子分子イオンの変数分離された電子波動関数ψ(R,)≡X(ξ)Y(η)exp(imφ)の節の数を,nξ,nη,mとし,これらを融合原子,分離原子の量子数と関連付けることで,融合と分離の中間の状態である分子構造の性質を,ある程度表現できると思われます。

 

文献による結果だけを参照すると,nr≡n-l-1=nξ,l-m=nη2n2 (if nηが偶数),2n21 (if nηが奇数)です。

2原子分子のR→ 0 の極限の融合原子やR→ ∞ の極限の分離原子の波動関数は,分子軌道(MO)と区別して原子軌道関数(AO)といわれます。

 

そして,|m|=0 に対応する分子軌道はσ軌道なので,R→ 0 の場合にn=1,l=0,|m|=0 に対応する分子軌道は(1sσg)とか,n=2,l=1,|m|=0 に対応する分子軌道は(2pσu)とか書きます。

ここでσgの下添字gは基底準位のg,σuのuは上位準位のuを示していて,先に記述した水素分子イオンのLCAO近似式としては,(1sσg)はエネルギーが最低の対称状態=結合軌道性軌道ψbA+χB)/{2(1+S)}1/2に対応し,(2pσu)は次のレベルの反対称状態=反結合軌道性軌道ψaA-χB)/{2(1-S)}1/2に対応しているとします。

ただし,以前に与えたようにχAB,α,β,Sの定義はχA()≡π-1/20-3/2exp(-rA/a0),χB()≡π-1/20-3/2exp(-rB/a0),∫χi*χj≡α(i=j),β(i≠j),∫χi*χj≡S(i≠j)です。

 

なお,ここではrA,rBとの関係で添字が紛らわしいのでボーア半径をaBではなくa0で表わしています。

書物によっては,上述のσの結合性軌道を単にσ,反結合性軌道をσ*と書いているものがあります。

 

π軌道ならπとπ*という具合です。

イオンではなく一般の等核2原子分子ではイオンの電子状態を手がかりにして,十分Rが大きいところ(R=∞)での2つの原子軌道関数の和や差から出発して,融合原子(R=0)のどのAOに近づくかを見ます。

これは,結局は分子軌道には軌道関数の対称性があって.その性質はRの変化によっては変わらない,という考え方があるからです。

 

これによって分子を分類することができます。

 

ここで軌道関数の対称性というのは,系のハミルトニアンを変えないような核を固定したときの電子座標の変換ii',例えば回転,反転,鏡映などの対称操作の群が存在することをいいます。

例えば,窒素N2では,こうして分類していった結果として,14個の電子配置の軌道は,下のレベルから順に,おおよそ次のようになります。すなわち,(σg1s)2u1s)2g2s)2u2s)2u2p)42p)2です。

 

ここに出現する分子軌道は全て満員でスピンはゼロ,軸まわりの軌道角運動量もゼロです。また反転,鏡映についても系全体で不変です。

1s,2s軌道から作られた分子軌道g1s)2u1s)2g2s)2u2s)2では結合性gと反結合性uがほぼ打ち消し合っていますが,そのあとu2p)42p)2は3対の電子が全て結合性軌道に入っていてこれが結合力に寄与しているので分子の構造式を書くときN2ではN≡Nと3重線で書きます。

同じ結合性でもσ軌道(m=0)とπ軌道(|m|=1)では差があるので3重線で書かれた結合が1本線のそれの3倍の強さというわけではありません。

 

σ軌道では2つの原子核の中点領域に電子が集中することで結合力を生み出し,π軌道では2つの原子核を結ぶ軸に垂直な領域=p軌道の領域に電子が集中するので,π軌道では原子の重なりσ軌道より小さく,同じ核間距離Rではσ結合の方がπ結合より結合力が強いからです。

 

なお,π結合はσ結合と異なり,m=±1と2つの値があるで軌道の数はσの2倍であり,uが結合性:π,gが反結合性:π*となります。

また,酸素O2では16個の電子配置が(σg1s)2u1s)2g2s)2u2s)2u2p)42p)2g2p)2となってN2のそれにg2p)2が加わります。

 

そこでu2p)4のうちのu2p)2が打ち消されて,u2p)2g2p)2の2対の電子が結合力として発現するため,結合を示す分子構造式はO=Oと2重線になります。

核A,Bが異なる異核2原子分子も原子番号が近いなら等核2原子分子からの少しの修正で同様な分類ができます。

 

大きな違いは核間距離Rが大きいとき:R=∞のときの2つの分離した原子が同じ名称の原子軌道でも等核2原子のように軌道エネルギーが一致せず,遠方でのエネルギー準位が分かれることです。

 

もう1つはgやuの対称性もなくなり,等核2原子のときσgであった曲線とσuであった曲線が交わっていたのに交わらない,つまりポテシャル曲線の非交差則が成立することです。

核A,Bの原子番号が大きく異なる場合には事情は等核2原子分子とはかなり違うので別の考察が必要になります。

今日はこのくらいにします。

参考文献:高柳和夫 著「原子分子物理学」(朝倉書店)

 

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2008年3月10日 (月)

また入院か??

 1年ぶりに,元いた巣鴨へ引っ越すことになり先日から引越しの準備をしていましたが何故か左肩から肩甲骨や腕にかけて痛みが起きて,土曜から日曜に激痛が走り,さらに摂食障害かつ睡眠障害でフラフラになって昨日は16時頃九段下から帝京大病院まで救急車で運ばれました。

 幸い,心筋梗塞ではなくて疲労による頚椎のわずかなずれらしく,痛み止めなどをもらって今日起床してからは小康状態です。

 我ながらストレスに弱いみたいですね。 

 また,引越しがあるので入院などしている場合ではありません。  

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2008年3月 5日 (水)

電場の中の原子(シュタルク効果)

いろいろと邪魔が入ったり脱線したりして分子構造関係の記事

が中断して長い間隔が開きましたが再開しようと思います。

 

分子軌道(MO)の分類に原子軌道(AO)が必要なため,電場の中

の原子の構造から始めます。

一般に電場の中に物体を置けば,それを構成する正負の荷電粒子

が反対向きに引かれるために電気的分極が起こります。

そこで単独の原子を電場の中においてもそうした現象が見られ

ます。

まず,一様電場の下では中性原子の正負の電荷は同じで,それら

は互いに反対向きに同じ大きさの力を受けるので原子全体とし

ては動きませんが,分極は生じるはずです。

 

電場があまり大きくないとして摂動論によって分極の程度を

見積もってみます。一般には原子は多電子を有しますが,近似

的に水素様原子と仮定し1電子問題として扱うことにします。

一様電場をとし,電子の電荷を-eとするとき,その位置エネ

ルギーはV()=eErとなります。

 

したがって,原子核と電子の2体問題を電子の1体問題にした

Hamiltonianは0+V,と書けます。

ただし,0{-hc2/(2m)}∇2-Ze2/(4πε0)は電場が無い

場合の非摂動Hamiltonianです。

 

ここにhc≡h/(2π)でhはPlanck定数です。

また,mは電子の換算質量です。

定常状態の波動関数をψ()とすれば,それに対するSchrödinger

の波動方程式ψ=Eψ,

すなわち,

[{-hc2/(2m)}∇2-Ze2/(4πε0)+eEr]ψ()

=Eψ()   

です。

ここで,この水素様原子の量子数n,l,mを持つ電子の原子軌道

の波動関数をφnlm()とすると,水素様原子の量子力学から

0φnlm=Enφnlm;En=-mZ24/{(4πε0)2(2c22)}

が成立します。

 

ここで特にn=3,l=0 の3s状態の電子が分極して

n=3,l=1の3つの3p状態に分離する場合を考え

ます。

ここで, 計算上は非摂動の状態としてエネルギーが縮退した

3s状態と3p状態の4つしか存在しないと仮定してもかまい

ませんから,そう仮定します。

 

そして,φs≡φ300x≡φ31+y≡φ31-z≡φ311,とおけば

0φj=E3φj(j=s,x,y,z)です。

エネルギーの縮退がある場合の摂動論を適用するために

ψ=csφs+cxφx+cyφy+czφzとおけば,

ψ=(0+V)ψ=

s(0+Vs+cx(0+Vx+cy(0+Vy

+cz(0+Vz です。

 

よって,解くべき方程式は

3(csφs+cxφx+cyφy+czφz)+V(csφs+cxφx

+cyφy+czφz)=Eψ となります。

 

この両辺に左からφi*()を掛けて積分して,内積

<φj|0+V|ψ>=∫φj*()(0+V())ψ()d

を取ると,4つの未知係数{cj}に対する4つの連立1次方程式

3i+Σj<φi|V|φj>cj=Eci が得られます。 

ここでV()=eErにおける電場の向きをz軸に取れば,

V()=e||zです。

 

波動関数の対称性,つまり被積分関数φi*()zφj()の

x,y,の関数としての奇関数性から,i=s,j=zで

φi()=φs(),φj()=φz()のケース,および,

この逆のケースi=z,j=sを除けば

<φi|V|φj>=e||∫φi*()zφj()d

は全てゼロです。

 

そこで唯一のゼロでない成分を

sp≡<φs|z|φz>=<φz|z|φs>とすれば,

連立1次方程式は2つだけ,

(E-E3)cs+e||zspz0 ,

e||zsps(E-E3)cz0  になります。

これが,自明でない解を持つのは、t(cs,cz)の係数行列の行列式

がゼロになることが必要十分であり,この永年方程式を解くと,

エネルギー固有値として, 

E=E±=E3±e||zsp  が得られます。

 

そして,エネルギーがこの値を取るときには,

3x=E±x,3y=E±y±≠E3ですから

x=cy0 です。

 

そこで固有値E=E±に属する固有状態の波動関数は

ψ±(1/2)1/2s±φz) と書けます。

このように電場によってエネルギー準位が受ける変化

=今の水素様原子のn=3の場合ならエネルギー縮退に

伴なうスペクトルの変化をシュタルク効果(Stark effect)

といいます。

 

上述のように水素様原子の特別な場合には1次のStark効果

が存在しますが,それ以外の多電子の原子では,電場による

摂動の効果Vは全電子の平均としては原子内電子全体に

ついての和の形でV=ejj)となり,

球対称,つまり座標の偶関数になると考えられるので

1次Stark効果は存在せず,2次以上の摂動の効果しか

存在しなくなります。

そして,水素様原子について前述のzsp=<φs|z|φz>の平方

sp2(xsp2+ysp2+zsp2)/3=|sp|2/3で置き換えるのが

妥当と思われます。

時間によらない定常摂動論は,波動関数ψとエネルギーE

を微小摂動Vの次数に比例する項に展開して,

ψ≡φn+Δφ+Δ2φ+Δ3φ+..,

E≡En+ΔE+Δ2E+Δ3E+..としたとすると,

方程式ψ=(0+V)ψ=Eψは,

(0+V)(φn+Δφ+Δ2φ+Δ3φ+..)

=(En+ΔE+Δ2E+Δ3E+..)(φn+Δφ+Δ2φ+Δ3φ+..)

となること,

 

これからVの同じ次数の微小項に関して恒等式

0Δφ+Vφn=EnΔφ+ΔEφn,

0Δ2φ+VΔφ=EnΔ2φ+ΔEΔφ+Δ2Eφn,..etc.

が成立するという推論に基づいています。

1次の等式0Δφ+Vφn=EnΔφ+ΔEφnにおいては,

Δφ=Σiiφiと展開して左からφiを掛けて内積を取ると

縮退していようがいまいが状態が全ての波動関数が直交規格化

されているなら,

(n-Ei)ai=<φi|V|φn>-ΔE<φin

です。

 

そして,縮退してないとき,つまりEi=Enなるiがnだけ

しかないときには,ΔE=<φn|V|φn,

i=<φi|V|φn/(n-Ei) (i≠n)となります。

nについては任意ですが,Vの最低次で規格化条件

<ψ|ψ>=1が成立することを要求すればこれも

決まります。

一方,縮退していてEi=Enなるiがn1,n2,..,nNのN個

あれば1次の等式0Δφ+Vφn=EnΔφ+ΔEφnに戻って

実は摂動効果のために 0 次の波動関数φn自身が

φn=Σjjφnj に変わると考える必要があります。

 

次の波動関数をΔφ=Σiiφiと展開して左から

φniを掛けて内積を取ると,N個の等式

Σjj<φni|V|φnj>-ΔEcj0

が得られます。

これを未知係数{cj}に対する連立1次方程式として自明で

ない解を持つ条件から永年方程式を作れば,これはΔEを

未知数とするN次代数方程式になります。

 

もしもこれがN個の異なる実数根を持つなら,この摂動で縮退

完全に解けることになります。

これは丁度, 上で水素様原子のエネルギー縮退した3s,3p

が1次Stark効果で解ける様子を論じた内容の論拠になって

います。

しかし,多電子系のStark効果では,既に述べたように全電子

の平均としての摂動の対称性のせいで,全ての<φni|V|φnj

がゼロなので1次の摂動近似の解は自明な解のみであること

になり,系の電子エネルギーへの1次のStark効果による寄与

はありません。

そこで,次にVの2次の摂動に対する等式

0Δ2φ+VΔφ=EnΔ2φ+ΔEΔφ+Δ2Eφn

を考えます。

 

やはり,Δφ=Σiiφiとし,次の波動関数も

Δ2φ=Σiiφiと展開できるとします。

これらを等式の両辺に代入した後に,左からφiを掛けて

内積を取ると

ii+Σjj<φi|V|φj>=Eni+ΔEai+Δ2E<φin

が得られます 

上式において,もしi=nなら,

Σjj<φn|V|φj>=ΔEan+Δ2E となります。

これに先に求めた

ΔE=<φn|V|φn,aj=<φj|V|φn/(n-Ej) (j≠n)

を代入すると,

Δ2E=Σj≠n{<φn|V|φj><φj|V|φn/(n-Ej)}

となります。 

一方,i≠nなら,同じく

ΔE=<φn|V|φn,aj=<φj|V|φn/(n-Ej) (j≠n)

を代入して,

(Ei-En)bi[an<φi|V|φn

+Σj≠n{<φi|V|φj><φj|V|φn/(n-Ej)}

=<φn|V|φn><φi|V|φn/(n-Ei)

が得られます。

 

これを解けば

i=an<φi|V|φn/(n-Ei)

+Σj≠n[<φi|V|φj><φj|V|φn/{(n-Ei)(n-Ej)}]

-<φn|V|φn><φi|V|φn/(n-Ei)2

となります。

 

そして,bnは決まらず任意です。 

非摂動時に縮退がある場合には,

0Δ2φ+VΔφ=EnΔ2φ+ΔEΔφ+Δ2Eφnにおいて,

0 次近似の波動関数φn自身が摂動効果でφn=Σjjφnj

に変わりますが,やはりΔφ=Σiiφi2φ=Σiiφi

と展開できるとして,左からφniを掛けて内積を取ると

Σjj<φni|V|φj>=ΔEani+Δ2Eci(i=1,2,..,N)

が得られます。

ここで,エネルギー準位Enを取るN個の状態:

φnj(j=n1,n2,..,nN)について1次の摂動で全く縮退が

解けず,ΔE=<φnj|V|φnj>=0 ,anj0 ,

つまり<φnj|V|φn>=0(j=n1,n2,..,nN)を満たし

自明な解しか無いとします。

 

特にci1,cj0(j≠i)として得られる式

Δ2E=Σjj<φni|V|φj>に,aj=<φj|V|φn/(n-Ej)

(j≠n1,n2,..,nN)を代入すれば,

Δ2E=Σj≠n1,n2,..,nN {<φni|V|φj><φj|V|φn/(n-Ej)}

を得ます。

縮退,非縮退のいずれにしても多電子原子の2次のStark効果

ではV=ejj)で平均すると,

<V>=eErsp  ただし,sp≡<Σjj> です。

 

そこで,先に平均としてzsp2(xsp2+ysp2+zsp2)/3=|sp|2/3

とみなせるとした論拠により,

<φni|V|φj><φj|V|φn>=(e2||2/3)|spjn|2

と書けばΔ2E=-(e2||2/3)Σj≠n{|spjn|2/(j-En)}

となります。

 

ここで対象としているエネルギー準位がEnの状態がn=0

の基底状態の場合にはEj>EnよりΔ2E<0 です。

E=En+ΔE+Δ2EであってΔE=0 ですから,

E<Enとなります。

 

したがって,この場合Stark効果によってエネルギーは必ず

減少します。

ところで,現象論としては,電場によって原子が分極する

場合に原子全体として誘起される電気双極子ベクトルを

とすれば,分極率αなる比例係数を用いて=αと書け

ます。

 

そして電場の存在による系のエネルギー変化をやはりΔ2

と書けばΔ2E=-∫0E=-α||2/2 となります。

 

これを上に摂動論で求めた

Δ2E=-(e2||2/3)Σj≠n{|spjn|2/(j-En)}に等置すれば

分極率の表現としてα=(2e2/3)Σj≠n{|spjn|2/(j-En)}

なる式が得られます。

さらに,具体的な計算を進めるには上式の右辺の無限個の項の和

を求める必要があります。

右辺の和はエネルギー準位が連続固有値である領域にも及ぶ

ので,実は積分も含んでいて正攻法で見積もるのはかなりむず

かしい問題です。

そこで,再び2次の等式

Σjj<φn|V|φj>=ΔEan+Δ2Eまで戻ると,

1次の摂動ΔEがゼロの場合には,Δ2E=<φn|V|Δφ>

を得ますから,もしもΔφ=Σiiφiを直接求めることが

できればΔ2Eを導出できると思われます。

 

そしてこれからΔ2Eが得られたなら,それを用いて

α=-2Δ2/||2によって分極率αを求めることが

できますから,Δφを解くことを考えます。

さて,摂動の1次の式は0Δφ+Vφn=EnΔφ+ΔEφn

でしたからV=e||zと置いて,さらに対象となる非摂動

の状態はn=0 の水素の基底状態で波動関数は

φn()=(πa03)-1/2exp(-r/a0)で与えられる場合

であるとすると,

このときは確かにΔE=<φn|V|φn0

が満たされています。

 

0はBohr半径でa0≡ε02/(πme2)=4πε0c2/(me2)

です。

ただし,ここでのmは電子の換算質量ですから,原子核が

水素原子のそれでないなら素朴なBohr半径とは微妙に異なる

とは思います。 

そこでΔφ()≡Σlmlm(r)Yim(θ,φ)と置いて,

これを0{-hc2/(2m)}∇2-e2/(4πε0),V=e||z,

およびφn()=(πa03)-1/2exp(-r/a0)と共に,全て

0Δφ+Vφn=EnΔφ+ΔEφnに代入した後に,

動径波動関数f(r)=flm(r)を分離すると,

(d2f/dr2)+(2/r)(df/dr)-(2f/r2)+{2f/(0)}

-(f/02)=8πε0||rexp(-r/a0)/{ea0(πa03)1/2}

が得られます。

この2階常微分方程式

(r)=fim(r)=(Ar+Br2)exp(-r/a0)なる解の形

を仮定して代入し係数A,Bが満たす式を求めるという方法

を実施することから,このA,Bを適当な定数に取ったときに

これが確かに方程式の解となることがわかります。

そして,この解によって得られる

Δφ()≡Σlmlm(r)Yim(θ,φ)を

φn()=(πa03)-1/2exp(-r/a0)と共に

Δ2E=<φn|V|Δφ>=e||∫φn()zΔφ()d

に代入して,右辺の積分を実行し,

結局,分極率の陽な値として

α=-2Δ2/||2(9/2)(4πε0)a03

が得られます。 

弱い電場ならば摂動は2次までで十分ですが,より強い電場

ならさら高次の摂動を取る必要性も生じるようです。

ただ,一様電場中の水素様原子の場合にはSchroedinger

の波動方程式は変数分離できて,正確に解けます。

 

[{-hc2/(2m)}∇2-Ze2/(4πε0)+e||z]ψ()

=Eψ()において,放物線座標ξ≡r,η≡r-z,

φ≡arctan(y/x) ⇔ x≡(ξη)1/2cosφ,y≡(ξη)1/2sinφ

z≡(ξ-η)/2,r≡(ξη)/2を用いると,

Laplacianは,

2{4/(ξη)}(∂/∂ξ){ξ(∂/∂ξ)}

{4/(ξη)}(∂/∂η){η(∂/∂η)}{1/(ξη)}(∂2/∂φ2)

となり,

摂動項は,V=e||z=e||(ξ-η)/2  となります。

ここで,e/(4πε0)1/2とhc2/mを1とする単位を取り,

さらにF≡(4πε0)1/2||とおくと,波動方程式は

{-(1/2)∇2-Z/r+Fz}ψ()=Eψ()となり,

変数変換すると,

(∂/∂ξ){ξ(∂ψ/∂ξ)}(∂/∂η){η(∂ψ/∂η)}

{1/(4ξ)1/(4η)}(∂2ψ/∂φ2)+{(E/2)(ξη)

Z-(F/4)(ξ2η2)}ψ0  となります。

ψ()≡u1(ξ)2(η)exp(imφ),かつZ12とおくと

変数分離されて

(d/dξ){ξ(d1/dξ)}{Eξ/21-m2/(4ξ)

-Fξ2/4}10 ,

(d/dη){η(d2/dη)}{Eη/22-m2/(4η)

Fη2/4}20 ,

 

さらにu1(ξ)1(ξ)ξ-1/2,u2(η)2(ξ)η-1/2

おけば,

ξ(d1/dξ)=(dU1/dξ)ξ1/21(ξ)ξ-1/2/2,

(d/dξ){ξ(d1/dξ)}=(d21/dξ21/21(ξ)ξ-3/2/4

etc.より,

21/dξ2{E/21(1-m2)/(4ξ2)

-Fξ/4}U10 ,

22/dη2{E/21 /η+(1-m2)/(4η2)

+Fη/4}U20

となります。

以下,計算を省略して結果だけ書けばF=0 の電場の無い

非摂動系ではZ1{n1(|m|+1)}(-2E)1/2,

1(ξ)=(-2E)(|m|+1)/4{(n1!)1/2/(n1|m|)3/2}

exp{-(-E/2)1/2ξ|m|/2n1+|m||m|((-2E)1/2ξ)

となります。

 

ここでn10,1,2,..は量子数で,Llm(x)はLaguere陪多項式です。

この場合,Z2の方はZ2=Z-Z1から自動的に決まります。 

これからFがゼロでないときのZ1 の補正をFの1次まで求める

と,Z1{n1(|m|+1)}(-2E)1/2+∫0dξ(Fξ2/4)u1(ξ)2

{n1(|m|+1)}(-2E)1/2{/(-8E)}(6126n1|m|+m2

6n13|m|+2) です。

 

同様に2の量子数n20,1,2,..による表現を求めて,

12をFの1次までの近似で表わせば,

(-2E)1/2{3/(-8E)}n(n1-n2) となります。

ここに,n≡n12|m|+1 です。

 

これを逆に解いて,エネルギーEを求めると,Fの1次まで

でE=-2/n23Fn(n1-n2)/Z が得られます。

ここまでは,Eは量子数n,n1,n2が同じならmには依らない

表現になっています。

そしてn≡n12|m|+1で,F=0 のとき

Z=n(-2E)1/20 ,1{n1(|m|+1)}(-2E)1/20

なので,mは|m|=0,1,2,..,n-1の範囲にあり,

=-2/n23Fn(n1-n2)/ZのFの項が最大になるのは

1=n-1,n20のときで,最小になるのはn10 ,n2=n-1

のときです。

 

これらの差は3Fn(n-1)/Zなのでnが大きいと,ほぼn2

比例して1次Stark効果による分極が大きくなって電子波動関数

の広がりは大きくなると思われます。 

一方,2次のStark効果も2次の摂動論から求めてこれの

計算結果を付け加えると,

=-2/n23Fn(n1-n2)/Z-(1/16)F2(n/Z)4{172

3(n1-n2)29m219}

となります。

 

この式で基底状態n=1,12=m=0 を取れば,1次

のStark効果はゼロであって,=-2(9/4)F2/Z4

となります。

 

これから(9/4)F2/Z4Δ2E=-αF2/2と等置すれ

ば,α=9/(2Z4) が得られます。

ここではe/(4πε0)1/2とhc2/mを1とする単位を取っており,

かつ,F≡(4πε0)1/2||としていますからBohr半径は

0=ε02/(πme2)=4πε0c2/(me2)=1

になっています。

 

それ故,先に水素原子Z=1について摂動論から求めた値

α=-2Δ2/||2(9/2)(4πε0)a03と完全に一致し

ています。 

ところで,他の多電子原子と異なり,水素様原子で1次の

Stark効果が現われる原因は,先に考察した3sと3pの例の

ように,エネルギー準位が方位量子数lによらず縮退して

いることであると考えられます。

今日はこのへんで終わりにします。 

参考文献:高柳和夫 著「原子分子物理学」(朝倉書店),猪木慶冶,川合 光 著「量子力学Ⅱ」(講談社) 

 

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