電磁気学と相対論(6)(真空中の電磁気学5)
続きです。
まず,このシリーズの最初の記事である,
「電磁気学と相対論(1)(特殊相対論の運動学と力学のレヴュー)」
から引用します。(若干,修正しています。)
(※引用開始)
"有限質量mを持ち速度uで運動する粒子の運動方程式:
dp/dt=Fは,tの代わりにdτ≡(1-u2/c2)1/2dt
を満たすスカラーである固有時τを使用し,Fの代わりに,
Minkowskiの力FM≡F/(1-u2/c2)1/2を用いて表現すれ
ば,dp/dτ=FMとなります。
dpが空間ベクトルで,dτがスカラーなので,左辺のdp/dτ
はMinkwski空間の4元ベクトルの空間ベクトル成分となります。
そこで右辺のFMもそうです。
したがって,元の運動方程式dp/dt=Fの両辺に,
1/(1-u2/c2)1/2を掛けてdp/dτ=FMとし,運動量p
の固有時間τによる微分とMinkowskiの力FMの等式という
形で表現したものは座標系に依存しない表現です。
また,運動方程式dp/dt=Fと独立ではなくこれから
導かれる式ですが,エネルギー保存則を表わす式:
dE/dt=(Fu)も同じくdE/dτ=(FMu)と書ける
ので,((FMu)/c,FM)はMinkowski空間の4元ベクトル
です。
そこで,これは4元エネルギー運動量ベクトル:
pμ≡(E/c,p)=(mc/(1-u2/c2)1/2,mu/(1-u2/c2)1/2)
と同じ変換性を持ちます。
ただし,mは粒子の"質量=静止質量"です。
そこで,FMμ≡((FMu)/c,FM)と書いてこれをMinkowskiの
4元力と呼べば,運動方程式は4次元共変な形で,
dpμ/dτ=FMμ と書けます。
そして,粒子の位置をxμ=(ct,x)と書くと,
4元速度;Uμ≡dxμ/dτ
=(c/(1-u2/c2)1/2,u/(1-u2/c2)1/2)
によって,pμ=mUμとなりますから,
dpμ/dτ=FMμはd(mUμ)/dτ=FMμ
と変形されます。"
(引用終わり※)
ここで,電荷eを有する荷電粒子が電場E,磁場Bの中を
速度uで運動している系を考えると,これに働く電磁力は
Lorentzの公式F=e(E+u×B)で与えられます。
そこで,この電磁力に対するMinkowskiの4元力の表現は,FMμ
=e((Eu)/{c(1-u2/c2)1/2},(E+u×B)/(1-u2/c2)1/2)
です。
そして,E=(E1,E2,E3)=-c(F01,F02,F03),
B=(B1,B2,B3)=-(F23,F31,F12)なるテンソル表現によれば
FMμ=eFμνUνが成立することがわかります。
したがって,質量m,電荷eを持つ粒子が電磁場Aμの中を運動
するときの4次元共変な運動方程式は,
d(mUμ)/dτ=FMμ=eFμνUν なる形に書けることが
わかりました。
ただし,Fμν=∂Aν/∂xμ-∂Aμ/∂xνです。
より一般の電荷密度ρの帯電物体が速度uで並進運動している
場合について考えるために,速度uで運動する質点粒子の力学を
S系で密度μを持ち速度uで並進運動する連続体に一般化する
ことを考えます。
そのために,まず,この運動物体の速度がゼロ,つまり,
"物体が静止していると見える系=静止系"をS0系とし,この系
での物理量には全て上添字 0 を付けて表現します。
対象物体において,S系で密度μを持つ点の近傍の微小体積
をΔVとすれば,この領域の物体の全質量はμΔVで与えら
れますが,質量はLorentzスカラーですから,静止系S0での同
じ領域の体積をΔV0とし密度をμ0とすると,
μΔV=μ0ΔV0が成立するはずです。
ところが,ΔV=ΔV0(1-u 2/c2)1/2ですから,
μ=μ0/(1-u 2/c2)1/2 なる関係式が成り立ちます。
そして,スカラー量μΔV=μ0ΔV0が,質点の場合の運動方程式
dpμ/dτ=d(mUμ)/dτ=FMμでのmに相当しますから,
4元運動量pμ=mUμには,pμ=μΔVUμ=μ0ΔV0Uμが
対応します。
一方,Minkowskiの4元力FMμ≡((FMu)/c,FM)は,
具体的には,
FMμ=((Fu)/{c(1-u2/c2)1/2},F/(1-u2/c2)1/2)
で与えられます。
これは,上述の密度μを持つ点の近傍ΔVでは,F≡fΔVと書いて
FMμ=((fu)ΔV/{c(1-u2/c2)1/2},
fΔV/(1-u2/c2)1/2)=((fu)/c,f)ΔV0
と表わすことができます。
そこで4元力密度をfμ≡((fu)/c,f)によって定義すれば,
FMμ=fμΔV0と書けます。
以上から,質点粒子に対する運動方程式:
dpμ/dτ=d(mUμ)/dτ=FMμは,連続体に対しては,
d(μ0UμΔV0)/dτ=fμΔV0となることがわかります。
そこで,もしも,質量湧き出しも吸い込みもなくて運動中に物体
の固有質量が保存されるなら,つまりd(μ0ΔV0)/dτ=0 なら
運動方程式はμ0dUμ/dτ=fμとなるのですが,
一般には,d(μ0ΔV0)/dτ=0 が成立するとは限りません。
一般に,dV/dt=∫σudσ=∫V(divu)dV
=∫V(∇u)dVが成立するので,ΔVが微小なら,
d(ΔV)/dt=(divu)ΔV=(∇u)ΔVです。
また,一般に,d(μ0ΔV0)/dt=d(μΔV)/dt
=(dμ/dt)ΔV+μ{d(ΔV)/dt}
=[dμ/dt+μdivu]ΔV
=[∂μ/∂t+div(μu)]ΔVです。
それ故,d(μ0ΔV0)/dτ=0 なる式が成立することは,
質量保存の連続方程式∂μ/∂t+div(μu)
=dμ/dt+μdivu=0 が成立することと同等であること
がわかります。
S0系ではdt0=dτですから,d(ΔV)/dt=(divu)ΔVは
d(ΔV0)/dτ=(div0u0)(ΔV0)を意味しますが,
速度がuの物体の4元速度Uμについて∂Uμ/∂xμを考えると,
これはLorentzスカラーなので,S0系での4元速度U0μ=(c,0)
とS系のそれについて,等式:∂U0μ/∂x0μ=∂Uμ/∂xμが
成立します。
定義:Uμ≡(c/(1-u2/c2)1/2,u/(1-u2/c2)1/2)から,
∂U0/∂x0=cu(∂u/∂x0)/(1-u2/c2)3/2なので,
u=0 のS0系では∂U0/∂x0はゼロですから,
∂Uμ/∂xμ=∂U0μ/∂x0μ=div0u0
が得られます。
故にd(ΔV0)/dt=(div0u0)ΔV0=(∂Uμ/∂xμ)ΔV0
です。
これを用いると,d(μ0ΔV0)/dτ
=(dμ0/dτ)ΔV0+μ0d(ΔV0)/dτ
=[(dμ0/dτ)+μ0(∂Uμ/∂xμ)]ΔV0
と書けます。
それ故,運動方程式d(μ0UμΔV0)/dτ=fμΔV0は,
[d(μ0Uμ)/dτ+μ0Uμ(∂Uν/∂xν)]ΔV0
=fμΔV0と変形されます。
また,d(μ0Uμ)/dτ
={∂(μ0Uμ)/∂xν}(dxν/dτ)
={∂(μ0Uμ)/∂xν}Uνですから,
結局,連続物体の運動方程式は,
∂(μ0UμUν)/∂xν=fμ となります。
そこで,この連続体のエネルギー運動量テンソルを,
θμν≡μ0UμUνで定義すれば,運動方程式は,
∂θμν/∂xν=fμと,エネルギー運動量の保存則を示
す形になります。
さて,S系で電荷密度ρの帯電物体が速度uで並進運動して
いる場合の考察に入ります。
ρ0をS0系における電荷密度とすると,ρ=ρ0/(12-u 2/c2)1/2
ですから,上と同じようにS系,S0系での微小体積をΔV,ΔV0
とすると,この領域の総電荷量はρΔV=ρ0ΔV0です。
そして,今の場合に,粒子の運動方程式:
d(mUμ)/dτ=FMμ=eFμνUνの右辺の電荷eに
相当するのはρΔV=ρ0ΔV0です。
そこで,この帯電体の運動方程式は,
d(μ0ΔV0Uμ)/dτ=fμΔV0=ρ0ΔV0FμνUν
となります。
このときの4元力の密度はfμ=ρ0FμνUνですが,
4元電流密度sμ=(cρ,ρu)=ρ0Uμを用いると,
fμ=ρ0FμνUν=Fμνsνとなりますから,
運動方程式は,
d(μ0ΔV0Uμ)/dτ=fμΔV0=FμνsνΔV0
とも書けます。
d(μ0ΔV0Uμ)/dτ=fμΔV0と同等な,
∂θμν/∂xν=∂(μ0UμUν)/∂xν=fμなる
表現では,∂θμν/∂xν=∂(μ0UμUν)/∂xν
=Fμνsνですね。
さて,次に電磁場を解析力学の形式で表現することを考えます。
まず,既に見たようにFμν=∂Aν/∂xμ-∂Aμ/∂xνと
すれば,Maxwellの方程式のうちの4つの方程式:
∂Fμν/∂xλ+∂Fνλ/∂xμ+∂Fλμ/∂xν=0
は自動的に満たされます。
一般に系全体のLagrangian密度をL,LagrangianをLとすると,
L=∫LdV0です。
そして,作用積分はS=∫Ldx0=∫ΩLdΣ と書けます。
dΣは,dΣ=dx0dV=cdτdV0なる4次元体積要素
でありスカラー量です。
ところで,自由粒子のLagrangianは,L=-mc2(1-u2/c2)1/2
ですが,電磁場との相互作用があるとき,電磁場自身の項:
(-c2ε0/4)∫V(FμνFμν)dVを除けば,
L=-mc2(1-u2/c2)1/2+eAu-eφ です。
そして,-mc2(1-u2/c2)1/2を連続体の場合の式に書き直せば
-∫μdVc2(1-u2/c2)1/2=-∫μ0c2dVとなります。
eAu-eφについては,∫ρdV(Au-φ)
=-∫ρ0AμUμdV=-∫Aμsμ dVです。
そこで系全体のLagrangan密度は,
L=-(c2ε0/4)FμνFμν-Aμsμ-μ0c2
=(-c2ε0/4)×
(∂Aν/∂xμ-∂Aμ/∂xν)(∂Aν/∂xμ-∂Aμ/∂xν)
-Aμsμ-μ0c2 と書けます。
このLagrangian密度を採用するとき,"任意変分に対して,
作用S=∫Ldx0=∫ΩLdΣが停留値を取るべきである。"
という作用原理からMaxwellの基本方程式を導くことが
できます。
すなわち,Ωの境界でδAμ=0 を満たす任意の電磁場Aμ
の変分δAμに対して,δS=0 を要求します。
ただし,この変分の際にはsμとμ0は一定に保たれるとします。
すると,δ(∂Aν/∂xμ)=∂(δAν)/∂xμなので,
δS=∫δLdΣ
=∫[(c2ε0)Fμν∂(δAμ)/∂xν-(δAμ)sμ]dΣ
=∫[-(c2ε0)∂Fμν/∂xν-sμ](δAμ)dΣ=0
です。
変分δAμは各μについて独立であり,しかも任意である
ことから,-(c2ε0)∂Fμν/∂xν-sμ=0,
つまり,電磁場の基本方程式:
∂Fμν/∂xν=-sμ/(c2ε0)
が得られます。
一方,電磁場Aμを一定に保って,荷電粒子の世界線のxμの変分
δxμに対してδS=0 を要求します。
S=∫LdΣ=c∫LdV0dτ=∫dV0∫τ1τ2Ldτです。
微小体積要素:ΔV0=∫dV0の領域を取って
∫(-Aμsμ-μ0c2)dΣ
=c∫[-Aμρ0ΔV0(dxμ/dτ)-μ0ΔV0c2]dτ
=-c∫{ρ0ΔV0Aμ(dxμ/dτ)}dτ-c3∫{μ0ΔV0}dτ
を考えます。
そして,世界線の変分δxμ(τ)に対して,
δ(dxμ/dτ)=d(δxμ)/dτより,
δ∫τ1τ2[Aμ(dxμ/dτ)]dτ=
∫τ1τ2[(∂Aμ/∂xν)δxν(dxμ/dτ)
+Aμd(δxμ)/dτ]dτ
=∫τ1τ2[(∂Aμ/∂xν)Uμ-dAν/dτ]δxνdτ
=∫τ1τ2[(∂Aν/∂xμ)Uν-(∂Aμ/∂xν)Uν}]δxμdτ
=∫τ1τ2(FμνUν)δxμdτ
です。
電荷ρ0ΔV0が変動しないとすると,
-cδ∫{ρ0ΔV0Aμ(dxμ/dτ)}dτ
=-c∫τ1τ2(ρ0ΔV0FμνUν)δxμdτ を得ます。
一方,前にも見たように世界線の変分に対して質量Δm≡μ0ΔV0
が変わることを考慮すれば,
δ(Δmdτ)=δ(Δm)dτ+Δm(δdτ)ですが,
cdτ=(dxμdxμ)1/2より,
cδ(Δmdτ)=(1/2)δ{Δm(dxμdxμ)}(dxνdxν)-1/2
=ΔmUμδ(dxμ/dτ)(UνUν)-1/2dτ
=c-1ΔmUμδ(dxμ/dτ)dτ
です。
故に,δ∫τ1τ2Δmdτ
=(1/c2)∫τ1τ2{ΔmUμδ(dxμ/dτ)}dτ
=-(1/c2)∫τ1τ2{d(ΔmUμ)/dτ}δxμdτ
です。
以上から,作用原理がδS=c∫τ1τ2[-ρ0FμνUνΔV0
+d(μ0UμΔV0)/dτ]δxνdτ=0 と表わされること
がわかります。
したがって粒子の運動方程式として,
d(μ0UμΔV0)/dτ=ρ0FμνUνΔV0
が得られます。
これは,前に4元力密度がfμ=ρ0FμνUν=Fμνsνで
与えられ,粒子の運動方程式が,d(μ0ΔV0Uμ)/dτ=fμΔV0
となること,
あるいはそれと同等ですが,
粒子のエネルギー運動量テンソルθμν=μ0UμUνに対して,
その保存方程式:∂θμν/∂xν=fμ=Fμνsνが成立する
ことを改めて示すものです。
さて,Maxwellの方程式を用いれば上記の4元力の密度:
fμ=Fμνsνはある対称な反変テンソルの4次元発散
として表現できることを示すことができます。
すなわち,Maxwellの運動方程式:
∂Fμν/∂xν=-sμ/(c2ε0)によって,
fμ=Fμνsνの右辺に,sμ=-(c2ε0)∂Fμν/∂xν
を代入すれば,
-fμ/(c2ε0)=-Fμλsλ/(c2ε0)
=Fμλ(∂Fλν/∂xν)
=∂(FμλFλν)/∂xν-(∂Fμλ/∂xν)Fλν
となります。
ここで,∂Fμν/∂xλ+∂Fνλ/∂xμ+∂Fλμ/∂xν=0
とFμνの反対称性により,
右辺第2項は,(∂Fμλ/∂xν)Fλν
=(∂Fμν/∂xλ)Fνλ=(∂Fνμ/∂xλ)Fλν
=(1/2)[(∂Fμλ/∂xν)+(∂Fνμ/∂xλ)]
=-(1/2)(∂Fλν/∂xμ)Fλν=-(1/4)∂(FλνFλν)/∂xμ
と書けます。
結局,Sμν≡-(c2ε0)[FλμFλν-(1/4)ημν(FσρFσρ)]
=-(c2ε0)[ημδFλδFλν-(1/4)ημν(FσρFσρ)]
とおけば,Sνμ=Sμνであり,fμ=-∂Sμν/∂xν
と書けます。
そこで,4元力の密度fμ=Fμνsνが対称な反変テンソル
Sμνの4次元発散として表現できることがわかりました。
対称テンソルSμνはトレースレス(対角和がゼロ)であることも
わかります。
すなわち,
Sμμ=-(c2ε0)[FλμFλμ-(1/4)4(FσρFσρ)]=0 です。
Sμνの空間成分:
Sij=-(c2ε0)[FλiFλj-(1/4)ηij(FσρFσρ)]に,
E=(E1,E2,E3)=-c(F01,F02,F03),
B=(B1,B2,B3)=-(F23,F31,F12)の左辺の電場,磁場
を代入すると,
Sij=(c2ε0)[FλiFλj-(1/4)ηij(FσρFσρ)
=(-c2ε0)[F0iF0j+FkiFkj-(1/2)δij(B2-E2/c2)]
=ε0EiEj+μ0-1BiBj-δijμ0-1B2
+(1/2)δij(μ0-1B2-ε0E2)
となります。
すなわち,4元力密度はfμ=-∂Sμν/∂xνであって,
Sμνの空間成分をSij≡-tijとすると,
tij=ε0EiEj+μ0-1BiBj-(1/2)δij(ε0E2+μ0-1B2)
と表現できて,tijはMaxwellの応力テンソルと呼ばれている
3次元空間のテンソルに一致しています。
また,3次元ベクトルSの成分を,
Sk/c≡Sk0=S0k=-(c2ε0)Fλ0Fλkで定義すれば,
S=(E×μ0-1B)=E×Hであって,
これは電磁エネルギーの流れを示すポインティングベクトル
(Poynting vector)になっています。
そしてh≡S00とおくと,
h=-(c2ε0)[Fλ0Fλ0-(1/2)(B2-E2/c2)]
=(1/2)(ε0E2+μ0-1B2)=(1/2)(ED+BH)ですが,
これは電磁エネルギー密度を表わしています。
そこで,fμ=-∂Sμν/∂xνでのμ=0 の式は,
f0=(fu)/c=(1/c){-divS-∂h/∂t},
すなわち,∂h/∂t+divS=-(fu)です。
これを,系全体を囲むある定まった閉曲面σで囲まれた有限
な体積Vにおいて体積積分し,W≡∫VhdVとすると,Gauss
の定理によって-dW/dt=∫σSdσ+∫V(fu)dV
となります。
これは,(Vにおける場の総エネルギーWの減少分)
=(境界面σから流出するエネルギー量)
+(電磁場による力fdVがVの外部になす仕事)
という等式で表わされ,エネルギー保存を意味すると
解釈できます。
他方,μ=1,2,3についての式は,
fi=∂tij/∂xj-∂(Si/c2)/∂tです。
静電場の場合には右辺第2項はゼロですから,
fi=∂tij/∂xjです。
これは真空も含めた物質中の力の密度をMaxwellの
応力テンソルの空間微分で表現した有名な力の密度に関する
Maxwellの式です。
すなわち,fi=∂tij/∂xjはGaussの定理により,
Fi=∫VfidV=∫V(∂tij/∂xj)dV=∫σtijnjdσ
を意味しています。
物体に働く応力の総体がF=∫VfdVであるとき,これは
応力テンソルτij≡-tijがあって,j軸に垂直な面に働く力
の第i成分がτijnjdσで与えられることを示していて,
むしろ,Faraday的な見方ですね。
※ (注):応力テンソルτijというのは,nを応力が働く向きの
法線ベクトルとするとき,j軸に垂直な面要素dσに働く力の
第i成分がτijnjdσで与えられる,というのがその定義です。
ただし,閉曲面境界で囲まれた物体が受ける応力を考える際には,
慣例として物体境界の面要素dσの法線nを外向き法線と定義
するため,普通とnの向きが逆になるので,電磁力の物体に及ぼす
力の密度がfi=-∂τij/∂xj=∂tij/∂xjとなるのですね。)
以上はMinkoeskiの考察によるものですが,Minkowskiと対立して
いたらしいAbrahamの指摘によれば,閉じた系で運動量が保存さ
れるためには,ベクトル量g≡S/c2を電磁場の運動量密度と
解釈する必要があるということです。
なぜなら,次のような考察ができるからです。
すなわち,上で実行した積分と同じく,系全体を囲む定まった
閉曲面Σで囲まれた有限な体積Vにわたって,
fi=∂tij/∂xj-∂(Si/c2)/∂tの両辺を体積積分すれば,
Gaussの定理によって∫V(∂tij/∂xj)dVは閉曲面Σ上でtij
の面積分となります。
閉曲面の上では電磁場がゼロなので応力tijもゼロですから,
F=∫VfdV=-(d/dt)(∫VgdV)となります。
ここでFはもちろん物体に作用する電磁力の総体です。
これはニュートンの運動の第2法則が示すところによれば,
単位時間当りの力学的運動量Gmの増加分に等しいはずです。
つまり,dGm/dt=∫VfdV となるはずです。
そこで,∫VfdV=-(d/dt)(∫VgdV)は,
(d/dt)(Gm+∫VgdV)=0 と書くことができます。
そこで,時間的に一定なベクトル量として全運動量が存在する
ためには,力学的運動量Gmの他に∫VgdVにある(定数)を加
えたものが電磁的運動量であると仮定して,力学的運動量と
電磁的運動量の和が全運動量であるとしなければなりません。
それ故,[S/c2+(定数)]を電磁運動量密度と考えることが
できますが,電磁場がないときには電磁運動量密度はゼロで
あるべきですから,この(定数)はゼロでありg=S/c2が
電磁運動量密度を表わしていると考えてよいと思われます。
さらにu*≡S/hを電磁エネルギーの伝播速度と定義すれば
電磁運動量密度はg=S/c2=(h/c2)u*と書けます。
これは一般にエネルギーE=∫εdVの粒子が速度uで運動
しているとき,その力学的エネルギー密度がεなら運動量密度
はg=(ε/c2)uで与えられるという関係に類似しています。
すなわち,エネルギー:E=mc2/(1-u2/c2)1/2
と運動量:p=mu/(1-u2/c2)1/2=(E/c2)uを持つ
自由粒子の相対論的質量はm/(1-u2/c2)1/2=(E/c2)
で定義されます。
そこで,もしもE=∫εdV,m=∫μdVなら,この粒子の
相対論的質量に対応する相対論的密度が,
μ/(1-u2/c2)1/2=(ε/c2)で与えられるという事実から
のアナロジーで,
今の場合は,(h/c2)はu*≡S/hで運動する電磁場の相対論的
密度を示していると考えるわけです。
しかも,偏った単色電磁波では(EB)=0 であり,D=H,
つまりε0E=μ0-1Bであって,ε0μ0=1/c2なので,
u*=|u*|=|S|/h
=2μ0-1|E||B|/(ε0E2+μ0-1B2)=c
です。
そこで,これが電磁波の伝播速度を示していると考えるなら,
それは光速cに等しいので,電磁波のエネルギーは光速cで
伝わります。
一方,任意の運動している荷電粒子の場でも(EB)=0 ですが,
|D|/|H|=ε0|E|/(μ0-1|B|)=α≧1なので,
u*=|u*|=2cα/(1+α2)≦cです。
いずれにしても,u*は光速c以下なので,g=S/c2=(h/c2)u*
を電磁場の運動量密度とするAbrahamの描像は正しいと思われます。
しかし,これを3次元で体積積分して近似すると,電磁運動量
Gは(W/c2)u*ではなく,G=(4/3)(W/c2)u*で与えられる
ので,4元ベクトルにならないとの考察があります。
すなわち,荷電粒子の速度u*の大きさが光速cに比べて小さい
ときには,G=∫gdV=(1/c2)∫SdV
=(1/c2)∫(E×H)dV=(ε0/c2)∫{E×(u*×E)}dV
={2ε0u*/(3c2)}∫E2dV です。
同じ近似で,W=(ε0/2)∫E2dVなのでG
=(4/3)(W/c2)u* となるというわけです。
しかし,後の考察で4元速度Uμで運動する荷電粒子と相互作用
している電磁場のエネルギー運動量はGμ=(1/c2)∫Sμ0dV
ではなく,Gμ=(1/c2)∫SμνUνdVで与えられるのが正し
いということで,先に矛盾があると見えたのは,定義,または,
近似方法の誤りであると指摘されているようです。
さて,Tμν≡θμν+Sμνと書いて,これを系全体の
全エネルギー運動量テンソルと定義します。
このとき,粒子に働く4元力の密度:fμは電磁場のエネルギー
運動量テンソルSμνをテンソルポテンシャルとして
fμ=-∂Sμν/∂xνと表現されます。
そして,この電磁力によって加速される粒子の運動方程式が
∂θμν/∂xν=fμで与えられるので,
∂Tμν/∂xν=∂θμν/∂xν+∂Sμν/∂xν=0
なる式が得られます。
これは閉じた系では,全系のエネルギーと運動量が保存される
ことを示しています。
Tμν=θμν+Sμνを陽に書いてみます。
まず,これの空間成分は,
Tij=θij-tij=μuiuj/(1-u2/c2)1/2-tij
となります。
また,先に電磁エネルギーの流れ密度を示すポインティング
ベクトルをS=E×H=μ0-1E×Bとして,Sk/c=S0kと
定義しましたが,
ここでは改めてSk/c≡T0kと定義し直すと,
S=μ0c2u/(1-u2/c2)+E×H
=μc2u/(1-u2/c2)1/2+E×H
と書けます。
右辺は全エネルギーの流れ密度を表わしていると見えます。
そして,cgk≡Tk0で与えられる成分gkを持つ3次元ベクトル
をgとすると,g=μu/(1-u2/c2)1/2+(E×H)/c2は,
系の全運動量密度であると解釈されます。
先にはS00が電磁エネルギー密度を表わすことを示し,これを
hと表記しましたが,今度はT00=θ00+S00を改めてhと書き
h=μc2/(1-u2/c2)1/2+(1/2)(ε0E2+μ0-1B2)
=μc2/(1-u2/c2)1/2+(1/2)(ED+BH)と表わせば,
これは系の全エネルギー密度を与えるものであることが
わかります。
そして,Tμνのトレース(対角和)は,
Tμμ=θμμ=μ0c2=μ0c2/(1-u2/c2)1/2
となります。
これで,とりあえず真空中の電磁気学を中心とした話について
は終わりにし,次回からのこのシリーズの記事では,物質中の
電磁気学の話をしたいと思います。
参考文献:メラー 著(永田恒夫,伊藤大介 訳)
「相対性理論」(みすず書房),
砂川重信 著「理論電磁気学(第2版)」(紀伊国屋書店)
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