電磁気学と相対論(7)(物質中の電磁気学1)
前回までで真空中の電磁気学については一通り述べ終わったと
思われるので,約束通り物質中の現象論的な電磁気学,特に運動
物体中の電磁力学の話に入ります。
定常運動をしている物体内の現象論的な電磁力学の
Maxwel方程式は,中に含まれる電子数が莫大な通常の領域:
(ただし,巨視的に見れば,この電子数も小さいと見える領域)
においては,
電子論における個々の電子に対する基礎方程式を平均化すること
から導くことができるということが,既にLorentzによって示され
ていました。
電子論の基礎方程式(真空中のMaxwell方程式):
∂Fμν/∂xλ+∂Fνλ/∂xμ+∂Fλμ/∂xν=0,
∂Fμν/∂xν=-sμ/(c2ε0)
は相対論的に共変な形になっているので,
これらの式を適当に取った時空領域について平均化することから
共変性が保たれた運動物体中の巨視的な電磁力学の方程式が得ら
れるはずです。
この方法は,主としてボルン(Born)とダレンバッハ(Dallenbach)に
よって行なわれました。
Maxwellの現象論的な方程式は,物体の静止系S0において,これが
正しいことを認めれば,同じ物体が運動中のS系でもLorentz変換
によって同じ方程式が得られるはずであると考えられます。
こうした考えから,最初にこの方法を用いたのはMinkowskiでした。
相対性理論によれば,恒星に対して静止した系であるS系において
定常運動をしている物体中のMaxwellの方程式は,その物体の静止
座標系S0系においてもそのまま成立し,その際にS0系の"恒星=
S系"に対する速度を考慮する必要はないはずです。
これは,電場Eや磁場BなどのS0系における物理量を上添字 0
をつけてで表現するとき,基礎方程式系として,
div0B0=0,rot0E0+∂B0/∂t0=0,div0D0=ρ0,
rot0H0+∂D0/∂t0=J0
が成立するということを意味します。
ここに,E0は電場,D0は電束密度,H0は磁場の強さ,B0は磁束密度
であり,ρ0は巨視的電荷密度,J0は巨視的電流密度です。
これらの量は全て原理的にはS0系での巨視的実験で決めることが
できます。
等方性の誘電体や常磁性体では,上述の方程式に加えて,
次の式が成立すると仮定されます。
すなわち,D0=εE0,B0=μH0,J0=σE0 です。
ここにεは誘電率,μは透磁率です。
最後の式は,電子物性に由来するオームの法則(Ohm's law)を数学的
に表現したものです。
係数σは電気抵抗の逆数であり,電気伝導度と呼ばれるものです。
ここで,EとBを与える反対称テンソルFμνとDとHを与える
反対称テンソルHμνの2つの2階反変テンソルを導入します。
すなわち,Fμνを任意の座標系Sにおける反対称テンソル成分
として,S系の3次元空間における極性ベクトルである電場Eと
軸性ベクトルである磁束密度Bを,
E=(E1,E2,E3)≡-c(F01,F02,F03),
B=(B1,B2,B3)≡-(F23,F31,F12)
で定義することができます。
これが可能なことは既に真空中の電磁気学において見ました。
そして,同様にHμνを任意の座標系Sにおける反対称テンソルの
成分として,S系の3次元空間の極性ベクトルである電束密度Dと
軸性ベクトルである磁場の強さHを,それぞれ,
D=(D1,D2,D3)≡-c-1(H01,H02,H03),
H=(H1,H2,H3)≡-(H23,H31,H12)
によって定義します。
さらにS系における成分が(cρ,J)で与えられる4元ベクトル
Jμ=(J0,J1,J2,J3)≡(cρ,J)を導入し,これを4元電流密度
と呼びます。
テンソルFμν,Hμν,およびベクトルJμは,ある1つの座標系
での成分が与えられさえすれば,他のどんな座標系における成分
も,テンソルの変換公式F'μν=ΛμλΛνσFλσ,
H'μν=ΛμλΛνσHλσ,およびベクトルの変換公式:
J'μ=ΛμνJνを用いて計算できます。
特に,空間軸の回転を伴わないLorentz変換がある場合のJμ
の逆変換はρ={ρ'+(uJ')/c2}/(1-u2/c2)1/2,
J=J'+(u/u2)[(uJ'){1-(1-u2/c2)1/2}+ρ'u2]
/(1-u2/c2)1/2となります。
これまで通り,uはS系に対するS'系の速度です。
こうして定義した量E,D,H,B,J,ρが,物質の静止S0系では,
それぞれ,E0,D0,H0,B0,J0,ρ0に一致するようにFμν,Hμν
Jμを定義すると,任意の座標系における電磁力学の基本方程式は
次のように書けます。
∂Fμν/∂xλ+∂Fνλ/∂xμ+∂Fλμ/∂xν=0 ,および,
∂Hμν/∂xν=-Jμです。
これらはテンソル方程式ですから,任意の慣性系で成立し,
しかも静止S0系では,div0B0=0 ,rot0E0+∂B0/∂t0=0
div0D0=ρ0,rot0H0+∂D0/∂t0=J0 に一致します。
そこで,任意の慣性系で,divB=0 ,rotE+∂B/∂t=0,
divD=ρ,rotH+∂D/∂t=J が成立すると考えられます。
Hμνの反対称性と方程式:∂Hμν/∂xν=-Jμから,
∂Jμ/∂xμ=-∂Hμν/∂xμ∂xν=0 が成立することが
わかります。
Jμ=(cρ,J)なる成分から,これは∂ρ/∂t+divJ=0
を意味しますが,ρは電荷密度,Jは電流密度ですから,これは
電荷の保存を示す連続方程式です。
絶縁体では静止S0系においてJ0≡0 が成立するので,
ρ={ρ'+(uJ')/c2}/(1-u2/c2)1/2,
J=J'+(u/u2)[(uJ'){1-(1-u2/c2)1/2}
+ρ'u2]/(1-u2/c2)1/2により,
ρ=ρ0/(1-u2/c2)1/2,J=ρ0u/(1-u2/c2)1/2=ρu
が得られます。uはS系における絶縁体の速度です。
それ故,微小体積ΔV=ΔV0(1-u2/c2)1/2の微小物質片
が帯びている総電荷Δeが,Δe=ρΔV=ρ0ΔV0を満たし,
Δeが"不変量=Lorentzスカラー"であることを再確認でき
ます。
また,J=ρuなる形の電流は帯電物体の運動が電流を表現し
ているので携帯電流と呼ばれるものです。
絶縁体の場合には電流が純粋に携帯電流のみでしたが,一般の
場合には電流は常に,携帯電流ρuといわゆる伝導電流Cの和
の形でJ=ρu+Cと書けます。
しかし,この分割の仕方は相対論的に不変ではありません。
静止系S0でρ0=0 なら,J0=C0となって静止系では純粋
に伝導電流のみですが,この場合でもS系ではρ≠0 であり,
その結果,Sではρu≠0 なる携帯電流が出現します。
この状況を具体的に示すと,ρ0=0 ,J0=C0,および,
SとS'の間の変換式:
ρ={ρ'+(uJ')/c2}/(1-u2/c2)1/2,
J=J'+(u/u2)[(uJ'){1-(1-u2/c2)1/2}+ρ'u2]
/(1-u2/c2)1/2において,S0系をS'系とした式により,
ρ=(uC0)/{c2(1-u2/c2)1/2},
J=C0+(u/u2)[(uC0){1-(1-u2/c2)1/2}]/(1-u2/c2)1/2
=ρu+Cですから,
C=C0+(u/u2)[(uC0){(1-u2/c2)1/2-1}}
となります。
しかし,ρ0,Uμ,sμを次のような量として,これらによって
以下のようなJμの分解式を与えれば,この分解を相対論的に
不変なものとすることができます。
すなわち,Jμ≡ρ0Uμ+sμと書き,sμ=(s0,s)を定義します。
こうすれば,この分解は最初から4元ベクトルの和の形をしている
ので相対論的に不変なのは自明です。
そして,ρ0Uμ,sμとをそれぞれ携帯4元電流,伝導4元電流と
見なすわけです。
ここで,もちろんρ0は静止系S0における物質の電荷密度,
Uμは4元速度Uμ=(c/(1-u2/c2)1/2,u/(1-u2/c2)1/2)
です。
このとき静止S0系で考えると,
J0μ=ρ0U0μ+s0μ,U0μ=(c,0)なので,
sμ=(s0,s)は,静止系でs0μ=(0,J0)となるような
4元ベクトルを示しています。
sμUμ=s0μU0μ=0 ですから,JμUμ=c2ρ0より
ρ0=(JμUμ)/c2です。
故に,sμ=Jμ-(JλUλ)Uμ/c2なる表式を得ます。
よって,常にs0=0,s=J-ρuでJμ=(cρ,ρu+s)
ですから,sμ=(s0,s)の空間成分sは確かに伝導電流を
示しています。
以前,真空中の電磁気学では,sμ≡(cρ,ρu)と定義しました
が,これは伝導電流がゼロの場合の全電流Jμを示しています。
つまり,ここでのsμは真空中の電磁気学とは違う定義です。
場の方程式divB=0 ,rotE+∂B/∂t=0, divD=ρ,
rotH+∂D/∂t=Jに現われる量の中で,
ρ,Jについては直接物理的意味を与えることができますが,
場の変数E,D,H,Bには静止系の場合を除いて物理的意味
付けを与えること自体が簡単ではありません。
Fμ≡FμνUνによって4元ベクトルFμを定義すれば,
S系でのFμの成分は,
Fμ=((Eu)/{c(1-u2/c2)1/2},(E+u×B)/(1-u2/c2)1/2)
となります。
したがって,これの静止系S0での成分はF0μ=(0,E0)となり,
これは,そもそも,このシリーズ記事の発端となった,以前の,
2008年4/21の記事「電場と電束密度,磁場と磁束密度(1)」
で述べた,"canal field"
(誘電分極を示す直列に並んだ双極子の腕ベクトルの上に電荷を
置いた場合の電場),つまり物質中の電場の方向に入れた割れ目
の中の物質に対して静止した単位電荷に作用する力,
になっています。
さらに,E~≡E+u×Bと定義して,E~なる量を導入すれば
Fμ=((E~u)/{c(1-u2/c2)1/2},E~/(1-u2/c2)1/2)
となります。
これをMinkowskiの4元力:FMμ≡((FMu)/c,FM)
=((Fu)/{c(1-u2/c2)1/2},F/(1-u2/c2)1/2)の
表式と比較すれば,E~はS系で単位量の試験電荷に作用
する"canal field"の電気力であることがわかります。
同様にKμ≡HμνUν/c2によって,4元ベクトルKμを
定義すれば,
Kμ=((Du)/{c2 (1-u2/c2)1/2},
{D+(u×H)/c2}/(1-u2/c2)1/2)
となります。
D~≡D+(u×H)/c2とおけば,
Kμ=((D~u)/{c(1-u2/c2)1/2},D~/(1-u2/c2)1/2)
であり,静止系S0ではK0μ=(0,D0)ですが,
これも,「電場と電束密度,磁場と磁束密度(1)」
で述べた"gap field"
(誘電分極を示す直列に並んだ双極子と双極子の間に電荷を置いた
場合の電場),つまり物質中の電場の方向に垂直に入れた割れ目の
中の単位電荷に作用する力になっています。
そこで,D~≡D+(u×H)/c2はS系で単位量の試験電荷に
作用する"gap field"の電気力です。
(ただし,実際に"canal field"E~と比較される力場としての
"gapfield"は,D~ではなくD~/ε0です。)
さらに,Fμν,Hμνに対偶な擬テンソルをそれぞれ,
F*μν≡(1/2)εμνλσFλσ,H*μν≡(1/2)εμνλσHλσ
とすれば,これは,E→ -cB,B→ -E/c,および,
D→ -H/c,H→ -cDなる変換なので,
F*μ≡-F*μνUν/c
=((Bu)/{c(1-u2/c2)1/2},{B-(u×E)/c2}/(1-u2/c2)1/2)
=((B~u)/{c(1-u2/c2)1/2},B~/(1-u2/c2)1/2),および,
K*μ≡-H*μνUν/c
=((Hu)/{c(1-u2/c2)1/2},{H-(u×D)/c2}/(1-u2/c2)1/2)
として,2つの擬ベクトルを作ります。
Fμ.KμとE~,D~のアナロジー(類推)からF*μ,K*μは,
それぞれ物質にあけた磁場に平行な割れ目,垂直な割れ目
に単位磁極の試験磁荷を置いたとき作用する4元力という
ことになります。
したがってE~,D~の場合と同じく,B~=B-u×E,
H~=H-(u×D)/c2は,S系で単位磁極の試験磁荷に
作用する磁気力です。
以上から,ベクトルE~,D~,H~,B~ (Fμ,Kμ,K*μ,F*μ)は,
原理的にはS系の観測者の測定で直接得ることができます。
特に,Fμν,Hμνを逆にFμ,Kμ,K*μ,F*μで表現すると
Fμν=(UμFν-UνFμ)/c-εμνλσF*λUσ/c,
Hμν=(UμKν-UνKμ)/c-εμνλσK*λUσ/c
と書けます。
uは空間の定ベクトルなので,
rot(u×B)=-(ugrad)B,rot(u×D)
=-(ugrad)D+ρu ですから,
場の方程式:divB=0 ,rotE+∂B/∂t=0 ,divD=ρ,
rotH+∂D/∂t=J は,
rotE~+dB~/dt=0, rotH~+dD~/dt=J-ρu=s,
divB=0 ,divD=ρ
となります。
ここまでは一定速度uで運動している物体が唯1つある場合
のみを扱ってきました。
しかし,場の方程式が線型であるため,場の加法性が成立する
ことになり,いくつかの物体が,真空によって間を隔てられて
各々が互いに異なる速度で一様運動をしている場合でも,
∂Fμν/∂xλ+∂Fνλ/∂xμ+∂Fλμ/∂xν=0 ,
∂Hμν/∂xν=-Jμ を適用していいと思われます。
さらに,電磁力によって生じた物体の加速度が小さいと見てよい
場合には,上のテンソル方程式は,なお運動物体から成る系を記述
する良い近似式を与えると思われます。
今日はこのくらいにします。
参考文献:メラー 著(永田恒夫,伊藤大介 訳)
「相対性理論」(みすず書房)
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コメント
ありがとうございました。
ディラックの本をよく読むと、
「運動量は保存されるが、エネルギーは保存されない」
ことの理由は、
「ここでは、ある瞬間のエネルギーを考えているからです。、、、のHは、ある時刻だけに適用されます。たった1つの瞬間について述べる場合は、エネルギーは確定しません」
とあり、当然とわかりました。
>最大に寄与するのはエネルギーや4元運動量が保存する実粒子のポール(極)ですが,これらが保存しない仮想粒子をも総和しないと正しい計算結果が得られません。
>これは経路積分でも全ての多世界経路の総和を計算するけれど最大の寄与が運動方程式を満たす現実の経路であるという事情と同じ
<
やっと、場の理論に取り付くしまができました。
ありがとうございます。
投稿: kafuka | 2008年6月18日 (水) 02時24分
PS:
上記では<out|H^2|in>=<m|H|in>ではなくて<out|H^2|in>=Σ<out|H|m><m|H|in>なのですが,シグマ記号がまずいのか上のコメントではどう修正しても表記できませんでした。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年6月17日 (火) 13時53分
どもkafukaさん,TOSHIです。
仮想過程というのは虚数のように本当は計算の中にしか現れないもので,量子論だと摂動論に現れる1次,2次,3次..の摂動項の話です。つまり,<out|S|in>,S=Texp(iHt);t=(-∞,∞)の級数展開での各項で,たとえば2次の項なら,<out|H^2|in>=Σ<out|H|m><m|H|in>と展開する際の中間状態|m>を仮想状態と呼ぶだけの話です。
非相対論なら展開係数として1/(Em-E+iε),相対論では伝播関数=プロパゲータの4運動量表現のフーリエ係数として1/(γp-m+iε)のような形を含むので,最大に寄与するのはエネルギーや4元運動量が保存する実粒子のポール(極)ですが,これらが保存しない仮想粒子をも総和しないと正しい計算結果が得られません。
これは経路積分でも全ての多世界経路の総和を計算するけれど最大の寄与が運動方程式を満たす現実の経路であるという事情と同じですね。
というわけで,例えばファインマングラフのような摂動論の描像で光子を吸収して再び放出するまでの中間状態など運動量やエネルギーの保存しない仮想状態を不確定性原理によって許されるものと解釈しているだけです。
もっとも時間とエネルギーの不確定性原理では不安定粒子の質量をm,寿命をτとしてτ~h/mc^2のような実過程のほうが有名ですね。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年6月17日 (火) 13時44分
「エネルギーと時間の不確定性関係」の記事、
読ませて頂きました。
たしかに、Δtが0に近づけば、ΔEは∞になりますが、
これは、Eが連続固有値になり、分布が∞になるだけことですから、
射影仮説を適用する=測定する と、Eの何らかの値が得られることに、なると思います。
実際は「測定する」と、Eψ=Hψで決まるちゃんとした値しか
出てきませんから、これは、矛盾だと思います。
あっ、測定の途中ならいいんですね。
でも、そうなると、射影仮説をΔtを含むように
修正しないといけなくなる気がします。
投稿: kafuka | 2008年6月17日 (火) 08時57分
仮想過程の場合、運動量は保存されるが、エネルギーは保存されない
という文脈のようなのですが、
4元運動量のうち、pは保存されるのに、
Eが保存されないというのは、xyztを
対称に扱う相対論に反すると思います。
もちろん、xとPy、Pzが可換なのに、
xとHつまりPtが非可換であるという量子力学では、当然かも知れませんが。
何故、仮想過程の場合、エネルギーが保存されないかは、これから調べようと思っていますが、簡単でもお教え頂ければ、幸いです。
尚、僕が「仮想過程でも保存される必要がある」と考えるのは、
「仮想過程でも射影仮説は適用されないといけない」
「連続固有値であっても、射影仮説を適用すれば、何らかの値が出てくる」
と思うからです。
(仮想過程に射影仮説を適用したら何も出てこないというのでしたら、それでいいですが)
投稿: kafuka | 2008年6月17日 (火) 08時03分
どもkafukaさん。コメントありがとうございます。TOSHI@西宮です。
>物質中というのは、電子中も含まれるのでしょうか?
電子は構造を持たず古典論なので単なる点」ですから電子中というのは位置が全く一致する点をいうのでしょうがふつうは量子論ですが排他原理で電子は存在できません。もっとも以前書いたように自己力は働かないのでそこも含みます。
ただし古典電磁気学というのは元々電荷に帯電している物質を連続電荷とみなせるように近似している話なのでそこまで考える必要はないでしょう。
>ディラックの「現代物理学講義」の§2量子電磁気学に、
「ハミルトニアンが電子、陽電子、光子を同時に作る項を含んで、、、
この時、運動量は保存されますが、エネルギーは保存されません」
とありますが、
これどういう文脈で述べられているのかわかりませんが,微視過程では中間状態を含む過程(仮想過程)以外ではコンプトン散乱のような衝突前後では4元運動量は保存されます。
ただし散乱前後で自由粒子ではなくポテンシャルが存在して束縛状態ができるようなトムソン散乱のような場合は粒子以外にクーロン引力ポテンシャルの負のエネルギーがあるので全体エネルギーは保存されますが個々の粒子の総エネルギーは保存されません。
いずれにしてもディラックがその程度のことを誤解するとは思えないので詳細な前後関係を見ないとわかりません。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年6月13日 (金) 09時46分
物質中というのは、電子中も含まれるのでしょうか?
まじめな話。
ディラックの「現代物理学講義」の§2量子電磁気学に、
「ハミルトニアンが電子、陽電子、光子を同時に作る項を含んで、、、
この時、運動量は保存されますが、エネルギーは保存されません」
とありますが、
エネルギーが保存されなくていい理由が、
もし、「光円錐の外なら保存されなくてよい」
というのだったら、Entangled性から言って
間違いだと思います。
Hがxと非可換のためというなら、
Hはpとも非可換です。
どう思われますでしょうか。
投稿: kafuka | 2008年6月13日 (金) 01時26分