ネーターの定理と電磁エネルギー運動量テンソル(補遺)
前記事「ネーターの定理と電磁エネルギー運動量テンソル」で延期(Pending)にしておいた問題について気になっていたので,他の事をやっている合間にも細々と考えたり計算していたら何とか解決したので,補足記事にしておきます。
まずは,問題そのものがどうだったか?について思い出すために,前記事のその部分を再掲します。
(※再掲開始)
ここで,古典解析力学で多体系に対して定義されるPoisson括弧式:
[u,v]P.B.
≡Σs[(∂u/∂qs)(∂v/∂ps)-(∂u/∂ps)(∂v/∂qs)]
を連続体の場の理論に拡張します。
場φi(x)に正準共役な運動量πi(x)を,πi(x)≡∂L/∂(∂0φi)
で定義して,Poissojn括弧式を,
[u,v]P.B.
≡Σi[(∂u/∂φi)(∂v/∂πi)-(∂u/∂πi)(∂v/∂φi)]
とします。
これを使用すると,場の量φ={φi(x)}とNoether保存量:Qについては[φi(x),Q]P.B.=Σk[(∂φi/∂φk)(∂Q/∂πk)-(∂φi/∂πk)(∂Q/∂φk)]=∂Q/∂πiと書けます。
Q=∫j0(x,t)d3x,j0(x,t)=j0(x)
=Σk{∂L/∂(∂0φk)}Gk(φj,∂μφj)-Lη0-X0(φj,∂νφi)
=ΣkGk(φj,∂μφj)πk(x)-Lη0-X0(φj,∂νφi) です。
Gi(φj,∂μφj),Xμ(φj,∂νφi)が,∂0φj,またはπjと独立な場合,
∂Q/∂πi=Gi(φj,∂μφj)なので,
[φi(x),Q]P.B.=Gi(φj,∂μφj) なる等式が得られます。
すなわち,この無限小変換に際しては,δLφi=ε∂Q/∂πi
=ε[φi(x),Q]P.B. が成立します。
このような関係を満たす量Qを,この変換の生成子(generator)
と呼びます。
理論を不変(作用を不変)に保つ対称性変換に対しては,Noether保存量:Qは常にその変換の生成子になっていると考えられます。
一方,δLπi=δL{∂L/∂(∂0φi)}=∂(δLL)/∂(∂0φi)
=ε{∂(∂μXμ)/∂(∂0φi)}ですが,先にも述べたように,
Xμ(φj,∂νφi)が,∂0φj,またはπjと独立な場合を想定するなら,
δLπi=0 です。
また,[πi(x),Q]P.B.=Σk[(∂πi/∂φk)(∂Q/∂πk)-(∂πi/∂πk)(∂Q/∂φk)]=-∂Q/∂φiであることもわかります。
そこで,φi(x),πi(x)の汎関数で与えられる任意の物理量を,
A=A(φj,πj)とすると,この対称性変換によるAのLie変分は
δLA=Σk[(∂A/∂φk)δLφk+(∂A/∂πk)δLπk(x)]で,
δLπk=0 ゆえ,δLA=εΣk(∂A/∂φk)δLφk となります。
一方,ε[A,Q]P.B.=εΣk[(∂A/∂φk)(∂Q/∂πk)-(∂A/∂πk)
(∂Q/∂φk)]=Σk[(∂A/∂φk)δLφk+ε(∂A/∂πk)(∂Q/∂φk)]
と書けます。
物理量Qが,δLφi(x)=ε∂Q/∂πi=ε[φi(x),Q]P.B.を満たし,
変換の生成子となっている場合,
一般に,δLA=ε[A,Q]P.B.となるであろうという予測に基づいて考察していたのですが,今のところは,どうもうまくいきません。
古典論でLie微分とPoisson括弧は,HamiltonianをHとして,
dA/dt=[A,H] P.B.なる関係があることから類推して,
Lie変分についてもPoisson括弧は同等な内容を与えると思ったのですが,
当面はこの項目の議論を延期します。(Pendingです。)
(再掲終わり※)
こういうのは解析力学の原点に帰って,1変数qのtを陽には含まないLagrangian;L=L(q,qd)で考えるのが一番です。
ここでは,簡単のためqd=qdot≡dq/dtとしました。
そして,δLq≡εGなる変換q→q+δLq=q+εGに対して,
δLL=εdX(q,qd,t)/dt=ε[∂X/∂t+(∂X/∂q)qd
+(∂X/∂qd)(dqd/dt)]と書ける場合を考察します。
δLL=(∂L/∂q)δLq+(∂L/∂qd)δLqdですが,
δLqd=δL(dq/dt)=d(δLq)/dtです。
運動方程式であるEuler-Lagrange方程式:
(∂L/∂q)-d(∂L/∂qd)/dt=0 から,
∂L/∂q=d(∂L/∂qd)/dtを代入すれば,
δLL={d(∂L/∂qd)/dt}δLq+d(δLq)/dt
=d{(∂L/∂qd)δLq}/dt=εd{(∂L/∂qd)G}/dt
が得られます。
一方,既に述べたようにδLL=εdX/dtと書けると仮定しているので,上のδLLの表式の最右辺と等置すれば,
εd{(∂L/∂qd)G}/dt=εdX/dt です。
そこで,Q≡(∂L/∂qd)G-Xとおけば,dQ/dt=0 となりますが,
このQが先の記事でも述べたような,この変換q→q+δLq=q+εG
に伴なうNoether保存量です。
そして,qに正準共役な運動量p≡(∂L/∂qd)を定義して,q,pによる
Poisson括弧で表現することを考えれば,Q=pG-Xなので,
[q,Q]P.B.=∂Q/∂p=G+p(∂G/∂p)-(∂X/∂p)]
となります。
そして,関数:X=X(q,qd,t)が特にX=X(q,t)とq,tのみの関数の場合には,もちろん∂X/∂p=0 です。
また,p=(∂L/∂qd)を逆に解いたqd=qd(p,q)に対して,無限小変換q→q+δLq=q+εGにおける関数Gのpに対する依存性は.
G=G(q,qd)=G(q,qd(p,q))で与えられます。
この変換が座標qに依らない大域的変換であるとすれば,Gはqの時間微分qdにも依存せず,したがってpにも依存しないので∂G/∂p=0 となるはずですから,結局,[q,Q]P.B.=∂Q/∂p=Gとなります。
そこで,δLq=ε[q,Q]P.B.=ε∂Q/∂pが成立し,やはりNoether保存量Qがこの変換の生成子といえることがわかります。
一方,p=(∂L/∂qd)なので,δLp=δL(∂L/∂qd)
=∂(δLL)/∂qdであり,仮定:δLL=εdX/dtによって
δLp=ε∂(dX/dt)/∂qdと書けます。
そして,今はこのδLLを与える関数X=X(q,qd,t)が,X=X(q,t)のようにq,tのみの関数形に書ける場合を考えています。
先の記事では,dX/dtがqdに独立なためδLp=0 になると早合点しましたが,実はXがqdに独立でもdX/dtはqdに独立ではなく,
dX(q,t)/dt=∂X/∂t+(∂X/∂q)qdとなります。
これは簡単なqdの1次式ですから,δLp=ε∂(dX/dt)/∂qd
=ε∂X/∂qとなってδLpはゼロではありません。
一方,Q=pG-Xより,[p,Q]P.B.=-∂Q/∂q
=-p(∂G/∂q)+(∂X/∂q)ですから,変換q→q+δLq
=q+εGが,やはり座標qに依らない大域的変換であるとすれば,
∂G/∂q=0 なので,[p,Q]P.B.=∂X/∂q
となることがわかります。
これと,上のδLp=ε∂X/∂qなる表式を比較すれば,
δLp=ε[p,Q]P.B.=-ε∂Q/∂q が得られます。
以上から,δLq=ε[q,Q]P.B.=ε∂Q/∂p,δLp=ε[p,Q]P.B.
=-ε∂Q/∂qであり,結局q,pの任意関数A=A(q,p)に対して,
δLA=(∂A/∂q)δLq+(∂A/∂p)δLp
=ε[(∂A/∂q)(∂Q/∂p)-(∂A/∂p)(∂Q/∂q)],
つまり,δLA=ε[A,Q]P.B.なる等式が得られることがわかりました。
結局,理論の対称性を示す無限小変換:q→q+δLq=q+εGに対し,
Noether保存量をQとすると,任意の物理量に対して常に,
δLA=ε[A,Q]P.B.が成立する,という法則が得られました。
そこで,改めてQが変換の生成子(generator)であるとは,こういう意味だったのか,と再認識することができました。
また,古典論ではLie変分とPoisson括弧が同等な意味を持っていること,
もわかりました。
1変数の考察を多変数に拡張し,さらに連続的な場の量に対するものに拡張するのは直線的作業で平易なので,これを詳細に書くことはしませんが,
δLφi=ε[φi,Q]P.B.=ε∂Q/∂πi,δLπi=ε[πi,Q]P.B.
=-ε∂Q/∂φiから,φi,πiの任意関数A=A(φ,π)に対して
δLA=ε[A,Q]P.B.が得られる,という内容に変わりはありません。
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