重力崩壊とブラックホール(1)
今日は,すぐ前に記述した重力場の球対称時空解の続きとして,星の重力崩壊の初等的モデルについて計算をしてみます。
なお,一般相対論とは直接関係しない星の構造や進化については,2006年11/29「星の重力平衡とエネルギーの流れ」から,続く11/30の「星の構造(ポリトロープガス球とエムデン解)」,12/1「星の進化とチャンドラセカール質量」のシリーズで書いたことがあります。
これらは,2006年11/25,26の「高密度状態での陽子の中性子化(1)」,「高密度状態での陽子の中性子化(2)」から続いて,11/27「電離平衡のサハの式」,「高温状態での電子対発生」というプラズマ状態での核反応など,どちらかというと微視的メカニズムに主眼を置いていたシリーズの続きとして書いたものです。
巨視的現象である重力崩壊についての記事は2006年8/25の「ブラックホールの形成時間」や,2008年6/19の「重力崩壊によるブラックホール形成についての小考察」程度であまり詳細な計算を記述していませんでした。
そこで,今回は重力崩壊について,より詳細に考察,計算してみます。
まず,後の便宜上,一般相対論での固有長さ,固有時,固有体積の概念を共動座標系に伴なう量として明確に定義しておきます。
一般に,任意の準拠系:Rにおける準拠点の座標をxμとし,同じ点の局所慣性系:Iにおける座標をXμとすると,ds2=gμνdxμdxν=ημνdXμdXνであり,dXμ=(∂Xμ/∂xν)dxνです。
そこで,計量テンソルについて,gμν=(∂Xρ/∂xμ)(∂Xσ/∂xν)ηρσなる変換式が成立します。
また,Rにおける準拠点の局所慣性系:Iにおける速度をvとすると,vk/c=dXk/dX0=(∂Xk/∂x0)/(∂X0/∂x0)と書けます。(Rに固定された準拠点なのでdxk=0 )
Rにおいて空間的に近接した任意の準拠点A,Bを取り,その空間座標をそれぞれ,xk,xk+dxkとします。
そして,Aが静止しBも近似的に静止している局所慣性系I0を取って,そこでのAの局所座標をXμとします。
このとき,I0におけるAの速度vについてはvk/c=0 なので,∂Xk/∂x0=0 が成立しています。
そこで,I0でのある測定時刻におけるA,Bの同時的な空間距離は,dXk=(∂Xk/∂xν)dxν=(∂Xk/∂xl)dxlで与えられます。
そこで,この同時刻での3次元ベクトル(dXk)の空間的な長さをdσと書いて固有長さと呼びます。
つまり,dσ2≡Σk=13(dXk)2=γijdxidxj,γij≡(∂Xk/∂xi)(∂Xk/∂xj)=(∂X0/∂xi)(∂X0/∂xj)-gijと定義します。
係数,γijは空間計量テンソルと呼ばれます。
ところで,gμ0=(∂X0/∂xμ)(∂X0/∂x0)-(∂Xk/∂xμ)(∂Xk/∂x0)=(∂X0/∂xμ)(∂X0/∂x0)より,gi0=(∂X0/∂xi)(∂X0/∂x0),(∂X0/∂x0)=(g00)1/2です。
それ故,γi≡(∂X0/∂xi)=gi0/(g00)1/2と定義すれば,γij=-gij+γiγj=-gij+gi0gj0/g00と書けます。
よって,一般に-γijは計量テンソルgμνの空間部分gijに等しくはなくて,-γij=gijが成立するのはgi0=0,あるいはγi=0 (i=1,2,3)の場合のみです。
そして,準拠系内に与えられた準拠点Aに静止する標準時計Cにおいては,dxk=0 なので,その描く世界線はds2=g00(dx0)2で与えられます。
t=x0/cはAに置いた座標時計の示す時間ですが,Cの示す時間変動はds2=c2dτ2を満たす固有時τで与えられます。
これはCに対して瞬間静止する慣性系I0での時空座標をX(0)μで表現するとき,ds2はRとI0のどちらの座標系から見ても不変であり,dX(0)k=0,dX(0)0=cT(0)なので,ds2=c2dτ2=c2(dT(0))2ですからdT(0)=dτですが,時間T(0)はI0中に静止して時を刻む標準時計の時間だからです。
そして,ds2=g00(dx0)2はdτ=(g00)1/2dtを意味するので,(g00)1/2は標準時計C(共動座標系)と座標時計の時間の進む速さの比を示しています。
さらに,γ≡det(γij)とすると,gij=-γij+gi0gj0/g00によって,γ=-g/g00;g≡det(gμν)が得られます。
共動座標系での4次元不変体積を示す等式dΣ=cdTdXdYdZ=det(∂Xμ/∂xν)(Πν=03dxν)=(-g)1/2(Πν=03dxν)を,固有時間cdτ=(g00)1/2dx0=cdTで割ったものを3次元の固有体積と呼び,dVp=γ1/2dx1dx2dx3と書きます。
これらを用いて,さらに,星の質量と関連した重力質量と固有質量の概念を述べておきましょう。
共動座標系で星の中心を原点とする球対称時空の計量はc=G=1の自然単位ではds2=exp(2ψ)dt2-exp(λ)dr2-r2(dθ2+sin2θdφ2)です。
上述の固有体積の表現におけるγ1/2はγ1/2=exp(λ/2)r2sinθで与えられるので動径rとr+drに挟まれた球殻の固有体積は,dVp=exp(λ/2)r2dr∫sinθdθdΦ=4πr2exp(λ/2)drです。
そこで,星の中の動径rの位置での核子の数密度をnN(r)とすると,全核子数は共動座標系では固有体積で積分して,NN=4π∫0RnN(r)exp(λ/2)r2dr=4π∫0RnN(r){1-2m(r)/r}-1/2r2drです。
そこで核子の質量をmNとし,それ以外の微小質量の電子などの質量を無視すれば,星の密度はρm(r)=mNnN(r)で与えられ,密度と固有体積の積の積分で与えられる星の質量をMm=∫0Rρm(r)dVp=4π∫0Rρm(r){1-2m(r)/r}-1/2r2drと書いて,これを星の静止固有質量と呼びます。
さらに,(静止エネルギー)+(運動エネルギー+相互作用エネルギー)の全エネルギーによる密度をρ(r)≡ρm(r)+ρI(r)と書けば,ρm(r)のみの寄与による質量Mmは,ρI(r)をも加えた効果を加えた質量Mp=∫0Rρ(r)dVp=4π∫0Rρ(r){1-2m(r)/r}-1/2r2drに変わります。
このMpを星の固有質量と呼びます。これに対し,密度と座標系に依存する通常の体積の積の積分で与えられる質量M≡4π∫0Rρ(r)r2dr=m(R)を重力質量といいます。
ニュートンの万有引力の近似では,普通の単位でm(r)/r→Gm(r)/(c2r)<<1,ρm(r)>>ρI(r)なので,M≡4π∫0Rρ(r)r2dr=∫0R{ρm(r)+ρI(r)}exp(-λ/2)dVp=∫0R{ρm(r)+ρI(r)}{1-2m(r)/r}1/2dVp~∫0Rρm(r)dVp+∫0RρI(r)dVp-∫0R{ρm(r)m(r)/r}dVp=Mm+(UI-Ω)です。
ここにΩ≡∫0R{ρm(r)m(r)/r}dVpは万有引力による結合エネルギー,UI≡∫0RρI(r)dVpは内部エネルギーです。通常の単位ならM=Mm+(UI-Ω)/c2,Ω≡G∫0R{ρm(r)m(r)/r}dVp,UI≡c2∫0RρI(r)dVpです。
一方,Mp=∫0Rρ(r)dVp=Mm+UI/c2ですから,重力結合による質量欠損はΔM=Mp-M=Ω/c2です。
中性子星のモデルで計算すると,多くの場合Mp>Mm>Mですが,重力Ωが十分大きいとMp>M>Mmとなります。
これはΩ>UIが実現したためであろうと解釈されますから,重力だけでなく,内部エネルギーUIもまた現実に星の質量に寄与していることがわかります。
特に圧力:P=0 の物質をダスト物質と呼びますが,以下では星が球状のダスト物質でできている場合の重力崩壊を考察します。
また,時空の計量はds2=exp(2ψ)dt2-exp(λ)dr2-R2(dθ2+sin2θdφ2)ですが,R=rと置けるとは限らない一般の場合を考えます。
さて,以前の記事で既述したことを用いれば次のようになります。
共動座標系に乗った観測者の固有時間τはdτ2=exp(2ψ)dt2,つまりdτ=exp(ψ)dtで与えられ,それ故τによる偏微分をDτなる記号で表わすことにすれば,例えばR=R(r,t)のτによる偏微分はDτRと書けますが,さらにDτRをUと表記すると,U≡DτR≡∂R/∂τ=exp(-ψ)Rdです。
ただし時間微分をRd≡∂R/∂tとしています。
そして,Uをさらにrで偏微分するとU'=exp(-ψ)(R'd-ψ'Rd)=exp(-ψ)R'd-ψ'Uとなります。
ただし動径微分をR'≡∂R/∂retc.と表記しています。
そして,DτlnR'= exp(-ψ)R'd/R'=U'/R'+Uψ'/R'によってDτlnR'=(∂U/∂R )t+U(∂ψ/∂R )tです。
exp(λ/2)=R'(1+U2-2m/R )-1/2より,λ/2=lnR '-(1/2)ln(1+U2-2m/R ),Dτλ=2DτlnR'-Dτln(1+U2-2m/R ),またDτλ=2U'/R'=2(∂U/∂R )tです。
故に,2(∂U/∂R )t=2(∂U/∂R )t+2U(∂ψ/∂R )t-Dτln(1+U2-2m/R )となります。すなわち,Dτln(1+U2-2m/R )=2U(∂ψ/∂R )tです。
そこで,エネルギー運動量テンソルの保存則を示す条件式Tμν;ν=0 の1つ(∂ψ/∂r)t=-(∂P/∂r)t/(ρ+P)を代入することにより,実際に解ける形の運動方程式Dτln(1+U2-2m/R )1/2=U(∂ψ/∂R)t=-U(∂P/∂R)t/(ρ+P)が得られます。
今は星がダスト球であって,P=0 なので,1+U2-2m(r,t)/R =(時間的に一定)となり,また(∂ψ/∂r)t=0 なのでψは空間座標rに依存しません。
ψがtだけの関数なので,共動座標系の固有時間:dτ=exp(ψ)dtで与えられるτを改めて座標時間tと考えます。
すると,DτはDt=∂/∂tを意味するので,上述のU=DτR =exp(-ψ)RdはU=Rdと書けます。
そこで,1+U2-2m(r,t)/R =(時間的に一定)の左辺のm(r,t)が時間tに独立∂m/∂t=0 でm(r,t)=m(r)と表現できるなら,(1/2)(R d)2-m(r)/R=(一定)となって,これはニュートン力学の万有引力の中での自由落下の際の(力学的エネルギー)=(運動エネルギー+位置エネルギー)の保存の式と同じになります。
そして,実際にDtm=∂m/∂t=0 を示すこともできます。
まず,Dtln(1+U2-2m/R)1/2=-U(∂P/∂R)t/(ρ+P)から,(1/2)Dtln(1+U2-2m/R)=(UDtU+mDtR/R2-Dtm/R)/(1+U2-2m/R)=-U(∂P/∂R)t/(ρ+P)です。
これに,以前の記事で得られた運動方程式DtU=-{(1+U2-2m/R)/(ρ+P)}(∂P/∂R)t-(m+4πR3P)/R2}を代入すると,-U(∂P/∂R)t/(ρ+P)+(mDtR/R2-mU/R2-4πRPU-Dtm/R)/(1+U2-2m/R)=-U(∂P/∂R)t/(ρ+P)を得ます。
したがって,Dtm=-4πR2PUですから,P=0 のときは確かに,Dtm=∂m/∂t=0 が成立します。
さて,運動方程式(1/2)(Rd)2-m(r)/R=(一定)の右辺の一定値を{Γ(r)2-1}/2 と書いて,(Rd)2-2m(r)/R=Γ(r)2-1とします。
するとexp(λ/2)=(∂R/∂r)(1+U2-2m/R)-1/2,およびU=Rdから,exp(λ)=(∂R/∂r)2/Γ(r)2と書けます。
これによって,Γ(r)2>0 なる条件が得られます。
そして,時空計量はds2=dt2-{R'/Γ(r)}2dr2-R2(dθ2+sin2θdφ2)と表わされます。
方程式(Rd)2-2m(r)/R=Γ(r)2-1の重力崩壊:Rd<0 に対応する解は各rに対して,∫dR[R/{2m+(Γ2-1)R}]1/2=-∫dtで与えられます。
ここでr=(一定)では,Rd=(∂R/∂t)rであり,m(r)もΓ(r)も時間的に一定の定数と考えることができるとしています。
そこで,Γ2-1>0 の場合はR=0 になる時刻をt=t0 とおけば,(Γ2-1)-1/2∫0RdR[R/{R+2m/(Γ2-1)}]1/2=t-t0です。
積分を実行すると,最終的な形としてt0(r)-t=(Γ2-1)-1{2mR+(Γ2-1)R2}1/2-2m(Γ2-1)-3/2sinh-1[{(Γ2-1)R/(2m)}1/2],sinh-1(x)=ln{x+(x-1)1/2}が得られます。
そこで,R → 0 のとき,{2mR+(Γ2-1)R2}1/2 ~ (2mR)1/2+(1/2)(2mR)1/2(Γ2-1)R/(2m),すなわちt0(r)-t~ (2/3)(2m)1/2R3/2となることがわかります。
また,Γ2-1<0 の場合はt0(r)-t=(1-Γ2)-1{2mR+(1-Γ2)R2}1/2+2m(1-Γ2)-3/2sin-1[{(1-Γ2)R/(2m)}1/2]です。
このときもR → 0で,t0(r)-t~ (2/3)(2m)1/2R3/2です。
そしてΓ2-1=0 の場合には,Rd=-(2m/R)1/2よりR=(3/2)2/3(2m)1/3{t0(r)-t}2/3が得られます。
以上から,t→t0(r)(R → 0)の極限では,Γ2の値に関わらず,R ~(3/2)2/3(2m)1/3{t0(r)-t}2/3となることがわかります。
この最後の表式から,t→t0(r)においてexp(λ/2)=(∂R/∂r)Γ-1 ~ 6-1/3m'm-2/3Γ-1(t0-t)2/3+(2/3)1/3(2m)1/3t0'Γ-1(t0-t)-1/3により,exp(λ/2) ~ (2/3)1/3(2m)1/3t0'Γ-1(t0-t)-1/3となります。
そこで,exp(λ/2)drに比例した動径方向の固有距離は,t→t0(r)では無限大に発散し,一方,固有体積はVp∝∫R2exp(λ/2)dr∝∫{t0(r)-t}drなので,ゼロに近づきます。
また,(∂m/∂R)t=4πR2ρよりρ=m'/(4πR2R')ですが,t→t0(r)では,R ~ (3/2)2/3(2m)1/3{t0(r)-t}2/3なので,結局ρはρ∝ (m'/m){t0(r)-t}-1のように挙動します。
そして,m=m(r)により,(∂m/∂R)t=4πR2ρはdm/dr=4πR2ρ(∂R/∂r)tと書けます。
もしも一様密度の星ならρ=ρ(t),かつP=0 なので,重力場の方程式Rμν-(1/2)δμνR=8πTμνの右辺:8πTμνは全てtだけの関数になるためR(r,t)≡a(t)g(r)と変数分離が可能で,特にg(r)≡r,すなわちR(r,t)≡a(t)rなる解も可能です。
実際,重力場の方程式の成分で自明でないものは{λdRd/R+(Rd/R)2}exp(-2ψ)+{-2R"/R-(R'/R)2+λ'R'/R}exp(-λ)+1/R2=8πρ,{2R'd/R-λdR'/R-2ψ'Rd/R}exp(-λ)=0 ,{2R2d/R+(Rd/R)2-2ψdRd/R}exp(-2ψ)+{-(R'/R)2-2ψ'R'/R}exp(-λ)+1/R2=-8πP,{λ2d/2+(λd/2)2+R2d/R-λdψd/2-ψdRd/R+λdRd/(2R)}exp(-2ψ)+{-ψ"-ψ'2-R"/R-ψ'(R'/R-λ'/2)+λ'R'/(2R)}exp(-λ)=-8πPの4つだけです。
これは,今の場合,P=0,ρ=ρ(t),ψ≡0 なので,これらを代入すれば{λdRd/R+(Rd/R)2}+{-2R"/R-(R'/R)2+λ'R'/R}exp(-λ)+1/R2=8πρ,{2R'd/R-λdR'/R}exp(-λ)=0 ,{2R2d/R+(Rd/R)2}-(R'/R)2exp(-λ)+1/R2=0 ,{λ2d/2+(λd/2)2+R2d/R+λdRd/(2R)}+{-R"/R+λ'R'/(2R)}exp(-λ)=0 と書けます。
そこでR(r,t)≡a(t)g(r)と置くことができれば,これらはλdad/a+(ad/a)2+{-2g"/g-(g'/g)2+λ'g'/g}exp(-λ)+1/(a2g2)=8πρ(t),{2adg'/(ag)-λdg'/g}exp(-λ)=0 ,2a2d/a+(ad/a)2-(g'/g)2exp(-λ)+1/(a2g2)=0 ,λ2d/2+(λd/2)2+a2d/a+λdad/(2a)+{-g"/g+λ'g'/(2g)}exp(-λ)=0 なる連立方程式になります。
2番目の方程式{2adg'/(ag)-λdg'/g}exp(-λ)=0 からg'≠0 ならλd=2ad/aとなります。
そこでλ2d=2a2d/a-2(ad/a)2です。
これらを残りの式に代入すると,3(ad/a)2+{-2g"/g-(g'/g)2+λ'g'/g}exp(-λ)+1/(a2g2)=8πρ(t),2a2d/a+(ad/a)2-(g'/g)2exp(-λ)+1/(a2g2)=0 ,2a2d/a+(ad/a)2+{-g"/g+λ'g'/(2g)}exp(-λ)=0 となります。
得られた3つのうちの2番目の式 2a2d/a+(ad/a)2-(g'/g)2exp(-λ)+1/(a2g2)=0 から1番目の式 3(ad/a)2+{-2g"/g-(g'/g)2+λ'g'/g}exp(-λ)+1/(a2g2)=8πρを引いて2で割ると,a2d/a-(ad/a)2+{g"/g-λ'g'/(2g)}exp(-λ)=-4πρです。
また,3番目の式は,2a2d/a+(ad/a)2-{g"/g-λ'g'/(2g)}exp(-λ)=0 です。
これらを辺々加えると,3a2d/a=-4πρ,あるいはa2d=-4πρa/3となります。
よって,d/dt{(ad)2+4πρa2/3}=0 ,すなわち(ad)2+4πρa2/3=const.が得られます。
そこで,ρ=ρ(t)の場合には,実際にR(r,t)≡a(t)g(r)なる仮定からg(r)とは独立にa(t)を解くことができます。
またg'≡0 の場合には,R(r,t)はa(t)の定数倍ですから明らかに変数分離可能です。
したがって,いずれにしても一様密度の星ρ=ρ(t)の場合にはR(r,t)≡a(t)g(r)なる変数分離解が可能なことが示されました。
しかし,(ad)2+4πρa2/3=(定数)なる表式では,両辺にg(r)2を掛けたとき,(Rd)2+m(r)/R=(定数)g(r)2となり,先の一般的に成立する式(Rd)2-2m(r)/R=Γ(r)2-1とは係数や符号が微妙に合致しないような気がするので,どこかに間違いがあるかもしれません。
特に,g(r)≡rの特別な場合を仮定しても,a2d=-4πρa/3,(ad)2+4πρa2/3=(定数)が成立することに変わりはなく,例えば2a2d/a+(ad/a)2-(g'/g)2exp(-λ)+1/(a2g2)=0 は(g'/g)2exp(-λ)-1/(a2g2)=-4πρ(t)を意味します。
これにg=r,g'=1を代入すると(1/r2){exp(-λ)-1/a2}=-4πρ(t)となり,これとa2d=-4πρa/3,λd=2ad/aを連立させたa=a(t)を未知関数とする方程式は確かに解を持ちますから,R(r,t)≡a(t)rなる形の解も可能です。
R(r,t)≡a(t)rなる形で,a(0)=1,つまりR(r,0)=rの解では,mの定義m(r,t)=∫0R 4πρξ2dξにおいて,一様密度ρ=ρ(t)により,m(r,t)=4πρR3/3=4πρ(t)a(t)3r3/3ですが,左辺は時間に無関係であって,m(r,t)=m(r)と書けますから,ρ(t)a(t)3=ρ(0)(一定)となります。
このとき,一般的な運動方程式(Rd)2-2m(r)/R=Γ(r)2-1から,Γ(r)2=1+(ad)2r2-8πρ(0)r2/(3a)=1+r2{(ad)2-8πρ(0)/(3a)}となりますが,∂Γ(r)2/∂t=0 なので,(ad)2-8πρ(0)/(3a)=-k=一定,Γ(r)2=1-kr2と書くことができます。
それ故,計量ds2=dt2-{R '/Γ(r)}2dr2-R2(dθ2+sin2θdφ2)はds2=dt2-a(t)2{dr2/(1-kr2)-r2(dθ2+sin2θdφ2)}となって,一様等方宇宙モデルのロバートソン・ウォーカー計量(Robertson-Walker metric)と同じ形をしています。
しかし,ロバートソン・ウォーカー計量ではa(t)は宇宙の空間的規模を示すパラメータで,膨張宇宙の初期条件a(0)=0 と,膨張の境界条件ad>0 を持つ場合の解であり,rの変域も違っています。
一方,今の場合,a(t)は星の半径Rに対しR=a(t)rで与えられるパラメータであって,重力崩壊の初期条件a(0)=1と収縮の境界条件ad<0 に対応しています。
そして,(ad)2-8πρ(0)/(3a)=-kは初等的に解けます。ad(0)=0 なる初期条件を与えると,これはk=8πρ(0)/3を意味します。
そして重力崩壊の初期条件a(0)=1,ad(0)=0と収縮の境界条件ad<0 を満たす解はad=-{k(1/a-1)}1/2より,∫da[a/{k(1-a)}]1/2=-∫dtです。
変数置換によって積分を実行すると,解は結局t=(η+sinη)/(2k1/2),a=(1/2)(1+cosη)=cos2(η/2)となります。
これはt=0 でη=0 によってa(0)=1を満足していて,η=πではa(0)=0 となるので,η=πに対応する時刻をt=TとするとT=π/(2k1/2)=(π/2)[3/{8πρ(0)}]1/2です。
つまり,t=0 で静止していた球状の一様密度のガス球が,有限時間Tの後には中心の1点に崩壊することを示していると思われます。
今日は一応,これで中断します。
ここまでの話は,星の内部各点に固定された"共動座標の時間=固有時間"をtとして,これを中心とした見方をしてきましたが,次回は遠方の観測者から見た重力崩壊現象と,その観測者の座標系の時間などについて考察する予定です。
例えば光子に固定した質量のない仮想標準時計は,その光子と共にたとえ50光年離れた星で反射されて100年後に帰ってきても,全く時を刻まないはずですから,ある意味で高速物体に固定された"共動座標の時間=固有時間"など実際の観測さえむずかしいような量には,物理としてどの程度興味を覚えるかは私自身も疑問ですね。
参考文献:佐藤文隆,原 哲也 著「宇宙物理学」(朝倉書店),メラー著「相対性理論」(みすず書房)
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コメント
hirotaさん、いつもコメントありがとうございます。TOSHIです。
>いや,普通に面積,体積の変数変換はヤコビアンです。あるいは外微分形式なので,変換前後の比が行列式なので平方根をとらないでしょう。
と書きましたが,またまた勘違いしていました。計量が2次形式でその係数がgなので変数変換のヤコビアンはgの行列式の平方根でした。
本文は間違っていないはずなのに指摘を受容すると大幅に書き直さなければいけないと思って反論したのですが,単にノートの写し間違いで,1ヶ所だけ-gをその平方根に直せばよいのでした。
ご指摘ありがとうございました。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年7月22日 (火) 19時52分
うわっ! 符号むちゃくちゃだった。(いいかげんな記憶で書くとこうなる)
投稿: hirota | 2008年7月22日 (火) 19時08分
x↑i (上付き添え字のつもり), g↓i,j (下付き〃) を x'↑i, g'↓i,j に座標変換すると、
g↓i,j = (∂x'↑k/∂x↑i )(∂x'↑n/∂x↑j ) g'↓k,n
∴-g = det{ g↓i,j }
= det{∂x'↑k/∂x↑i } det{∂x'↑n/∂x↑j } det{ g'↓k,n }}
=-g' det{∂x'↑k/∂x↑i }^2
∴det{∂x'↑k/∂x↑i }=√[g/g']
体積要素の座標変換は
dx'↑0 dx'↑1 dx'↑2 dx'↑3=det{∂x'↑k/∂x↑i ) dx↑0 dx↑1 dx↑2 dx↑3
=√[g/g'] dx↑0 dx↑1 dx↑2 dx↑3
∴√[-g] dx↑0 dx↑1 dx↑2 dx↑3=√[-g'] dx'↑0 dx'↑1 dx'↑2 dx'↑3
となったような。(noteが見つからない)
投稿: hirota | 2008年7月22日 (火) 19時01分
どもhirotaさん。。TOSHIです。
>4次元不変体積の-gは平方根が付いてなかったかなー?
いや,普通に面積,体積の変数変換はヤコビアンです。あるいは外微分形式なので,変換前後の比が行列式なので平方根をとらないでしょう。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年7月18日 (金) 22時37分
4次元不変体積の-gは平方根が付いてなかったかなー?(昔のノート探し出さないと追いて行けなくなってきた)
投稿: hirota | 2008年7月18日 (金) 12時00分