有限な1次元空間の運動量演算子の境界条件
以前の2007年5月24日の記事「有限な1次元空間に限定された運動量演算子」に関連した問題で運動量演算子を規定するために,波動関数に課せられる境界条件の妥当性などが種々の掲示板やブログで問題になっているようなので,私のブログ記事を再掲し,内容説明をして少し補足しておくことにします。
※ (再掲記事)↓
表題の1次元空間での座標表示のSchrödinger表現の運動量演算子p=-ihcd/dx(hc≡h/(2π),hはPlanck定数)に関する問題は,私は以前個人的に考察したことがあります.
これは,2001年頃に,岩波講座物理学[第2版]「量子力学Ⅱ」の第Ⅵ部の量子力学の構造において,物理量を表わす演算子の定義域とその自己共役性との関係に関わる問題として考察しました。
その際に,ノートに記述した覚え書きを抜粋して書いてみます。
まず,状態空間であるHilbert空間をHとします。
もしも状態ベクトルを波動関数で表わす空間という意味で用いる場合には,Hは2乗可積分な関数族の空間L2です。
そして,Hのベクトルに作用する線形演算子Aの定義域D(A)はHの部分空間であり,Hにおいて稠密であるとします。
また,D(A)に属する任意の状態ベクトル(or 波動関数)φ,ψに対して,<φ|A|ψ>=<Aφ|ψ>となる場合にはAをエルミート演算子と呼びますが,その上さらにAの定義域D(A)がHで稠密な場合にはAは対称演算子である,といいます。
ついでに,D(A)に属する状態ベクトルの列{ψn}があって,"ノルム収束=強収束"の意味での極限lim n→∞ψn=φ,lim n→∞(Aψn)=χが共に存在するとき,必ずφ,χ∈D(A)となって,Aφ=χが常に成立するとき,Aは閉じているとか,Aは閉演算子であるといいます。
今,D(A)はHで稠密(dense)であるとします。
このとき,Hに属する状態ベクトルφによっては,∀ψ∈D(A)に対し<φ|A|ψ>=<χ|ψ>を満たすχ∈Hが存在することがあります。
このようなφの全体をD(A*)と記し,χ≡A*φによって,D(A*)を定義域とするAの共役と呼ばれる線形演算子A*を定義します。
Aが対称演算子のときには,∀φ∈D(A)に対してχ≡Aφとすることで,必ず<φ|A|ψ>=<χ|ψ>が成り立つので,D(A*)の方が集合としてD(A)より大きくなります。D(A)⊂D(A*)⊂Hです。
特にD(A*)=D(A)の場合には,A*=Aと書いてこの場合の演算子Aを自己共役演算子であるといいます。
Aが自己共役演算子であるときには,これは虚数固有値を持たないので観測量となる必要条件を満たしています。
以下では,Aが"物理的観測可能量=observable"であるということと,Aが自己共役演算子であるということを同一視します。
すなわち,Aが観測量であるための必要十分条件はAが自己共役演算子であることとします。
ところが,1次元剛体壁(x=0,x=a)の間の区間[0,a]を動く粒子についての運動量演算子pが定義できるとして,
これが区間(-∞,∞)において定義される通常のSchrödinger表示の運動量演算子と同じくp=-ihcd/dxであるとすると,これの[0,a]で定義された波動関数ψ(x)に対する作用はpψ=-ihc(dψ/dx)です。
そして,p=-ihcd/dxの定義域Dは,
D≡{ψ(x):ψ(0)=ψ(a)=0,ψ∈L2は[0,a]で絶対連続で(dψ/dx)∈L2(0,a)} で定義される関数族として与えられます。
ψ(x)が[0,a]で絶対連続であるとは,[0,a]でLebesgue積分可能な関数f(x)があって,∀x∈[0,a]に対して,ψ(x)=ψ(0)+∫0xf(x)dxと表現できることをいいます。
とにかく,このように定義したDはHilbert空間:H=L2(0,a)で稠密であることがわかります。
そして証明はしませんがpは対称演算子であり,かつ閉演算子でもあります。しかしpは自己共役演算子ではありませんから,それは観測量であるための必要十分条件を満足しません。
すなわち,例えばφ(x)=exp(ikx)に対してχ(x)=hckexp(ikx)とすれば<φ|p|ψ>=<χ|ψ>が全てのψ∈D(p)(=演算子pの定義域)に対して成立するのに,φ(x)=exp(ikx)はDには属さない,(φ(0)=φ(a)=0 を満たさない)からです。
つまり,D(p)=Dが成り立ちませんから,Dを定義域とするp=-ihcd/dxは自己共役演算子の条件を満足しません。
実際,物理的に見ても剛体壁のため粒子は往復運動を続けるしかないので,この系では決して運動量が確定することはありません。
つまり,こうした状況では,そもそもpは観測量であるという要件を満たしていません。
ということで,そもそもこのDに属する境界条件を満たすp=-ihcd/dxの固有状態は存在が不可能です。
したがって,通常,状態はDに属する波動関数で表現されるにもかかわらず,これを展開できるような同じ境界条件を満足する固有関数もないという不都合な状況になっています。
(もっとも自由空間(-∞,∞)での運動量p=-ihcd/dxの固有関数も完全なので束縛条件=境界条件に関わらずFourier展開という意味で展開することはできますが,それにどんな意味があるかは疑問です。)
そこでpを拡大して,αを0≦α<2πのある定数としてL2(0,a)の部分空間D[α]をD[α]≡{ψ(x):ψ(a)=exp(iα)ψ(0),[0,a]で絶対連続で(dψ/dx)∈L2(0,a)}と定義し,その作用は前と同じく,p=-ihcd/dxであるとします。
すると,<φ|p|ψ>=<χ|ψ>なることは,
∫0aφ*(-ihcdψ/dx)dx=∫0a(χ*ψ)dx(∀ψ∈D[α])
と表現されます。
これを満たすχ∈Hの存在を許すφの範囲D[α,p*]が,正しくD[α]に一致し,その他,対称性,稠密性も示せるので,結局こう定義すればpは自己共役演算子であるといえます。
そこで,この定義では全ての状態ψ∈Hにおける運動量pの観測量としての確率解釈(<ψ|p|ψ>がpの期待値を与えるという解釈)を行うことができます。
つまり,この定義では,x軸を正の向きに走っていた粒子がx=aに達した途端にψ(0)=exp(-iα)ψ(a)によって,exp(-iα)の位相のずれを受ける程度で反対の端x=0 に顔を出し,再び正の向きに走り続けることを表わしているからです。
数学的には,これはαの無数の選択に伴って運動量の演算子pの自己共役演算子への拡大の仕方が無数にあること(pには多義性あること)を意味しています。
円のような周期運動ならα=0 としたいわゆる周期的境界条件:
ψ(a)=ψ(0)とするのが妥当ですが,そうでないケースに,これを取っても一般性を失わないと考えられます。
つまり,ψ(x)=Csin(knx) (kn=nπ/a)というように,剛体境界条件にこだわる限り,
自由空間(-∞,∞)での自由粒子の状態ベクトルとしての固有状態の波動関数:exp(ikx)が状態空間H==L2には属していないという困難に類似して,量子論でのpの物理的意味付け自体が,結構むずかしいのではないかと思われます。
要約すると,1次元の剛体壁で囲まれた箱という物理系は,古典的描像では,粒子が往復運動をしているので,
ある位置座標での運動量あるいは速度を観測するとき,量子論におけるような不確定性原理というものは存在しないので,確定値としてその時刻時刻の逆向きの運動量あるいは速度を観測できます。
しかし,それを量子力学の対象と考える場合,
特に時間に無関係な"定常状態=エネルギー一定のあるエネルギー固有状態"だけの問題として捉える場合には,
観測対象の物理量がその定常状態における保存量でないならば,私にはその"物理量の確定値=固有値"を観測しようという行為が何らかの意味を持つとは思えません。
この定常状態でも,人間の目視あるいは観測装置によって運動量あるいは速度を観測することはもちろん可能ですが,
それは定常状態での時間的平均値を観測するのではなく,その観測時刻における瞬時値の観測量であり定常状態の量ではありません。
この場合に瞬時値として観測される運動量,あるいは速度は,箱の中の粒子の定常状態の範囲内で定義された運動量ではなくて,(-∞,∞)で与えられた一般的なそれであり,位置座標xを同時に確定することはできず,xについてはΔxだけぼやけています。
もしも,これを1次元の剛体壁(x=0,x=a)で囲まれた箱の中の定常状態での量と見るならば,それは無限回独立に繰り返し観測された(-∞,∞)で与えられた,別の一般的定義による運動量,あるいは速度の"期待値=平均値"とみるべきであり,そして位置の不確定さΔxとしてはΔx=aと考えるべきです。
一般に,物理学での,ある物理系で物理量=観測量として定義され名称を与えられているものは,パラメータである位置座標や時刻を除けば時間的な保存量に対してのみであると考えられます。
1次元の剛体壁という境界条件の下では非定常状態として考えると,壁にぶつかるまでの微小時間帯では運動量あるいは速度は保存量ですが,この力学系を定常状態として,
つまり時間というパラメータを度外視した時間を含まないSchrödinger方程式の解空間の範囲において考える限りでは,これは保存量ではなく"物理量=観測量(observable)"とは考えられません。
そこで,そうした運動量の保存しない,"定常状態=エネルギー固有状態"のみを考えるという問題設定ならば,私であればそもそも運動量を観測するという必要性を感じません。
ただ,1次元の箱の中の1粒子でも,量子論では無関係な全体にかかる位相を無視した定式化をして,粒子が往復運動をするという描像を忘れ,運動量が保存量となるような境界条件を与えるなら,(-∞,∞)領域での一般的な運動量と同様,1つの物理量として定義可能なように,定義を拡張することはできます。
参考文献:岩波講座 現代物理学の基礎「第2版」4「量子力学Ⅱ」(再掲終わり)※
さて,本題ですが,これは対象とする系の演算子p=-ihcd/dxの定義域をD={ψ(x):ψ(0)=ψ(a)=0,[0,a]で絶対連続でdψ/dx∈L2(0,a)}とした理由を示すことです。
どんな量子力学の状況であろうと,規格化するしないに関わらず1粒子波動関数ψ(x)に対しては,ψ*(x)ψ(x)dxがその粒子の存在確率に比例する量を示していると解釈されるので,ψ(x)はそのノルムの2乗が可積分なL2空間に属します。
このψ(x)に1次元Schrödinger表現の運動量演算子p=-ihcd/dxを作用させたもの:-ihcdψ/dxも定義できて期待値が計算可能であるべきだと考えられます。
運動量演算子の定義域についての条件は,できるだけ緩い方がいいと考えられるので,-ihcdψ/dxも可積分であるべきという条件をも考慮してdψ/dx∈L2(0,a)としたのですが,この条件についてはこれで必要十分かといわれると必ずしも是とは断言できませんが。。。
そして,Schrödinger方程式:Hψ=-{hc2/(2m)}d2ψ/dx2+V(x)ψ=Eψにおいて粒子が1次元剛体壁(x=0,x=a)の間に閉じ込められているという設定は,
左辺のHamiltonian:H≡-{hc2/(2m)}d2/dx2+V(x)のポテンシャルV(x)が区間 [0,a]ではV(x)=0 であり,それ以外のx<0,またはx>aではV(x)=∞ であるという設定と同等であると考えられます。
実際,物理的に考えて右辺のエネルギー固有値E(定常状態ではエネルギー期待値と同じ)は有限であるべきであり,また全確率に比例する∫-∞∞ψ*(x)ψ(x)dxも有限ですから,測度がゼロのxの区間を除けば,ψ(x)自身も有限です。
そこで,一般に右辺の絶対値は有限:|Eψ|<∞なので左辺の絶対値も有限で|-{hc2/(2m)}d2ψ/dx2+V(x)ψ|< ∞ です。
ところがx軸上[0,a]を除く区間ではV(x)=∞ ですから,その区間でψ(x)が恒等的にゼロでないなら,|V(x)ψ|=∞となりますから,
この項と-{hc2/(2m)}d2ψ/dx2が相殺して-{hc2/(2m)}d2ψ/dx2+V(x)ψが右辺のEψと同じく有限になるためには,少なくともx軸上[0,a]を除く区間で常に|d2ψ/dx2|=∞ となることが必要です。
方程式d2ψ/dx2=C1(定数)を普通に解けば,ψ(x)=C1x+C2ですが,もしも[0,a]を除く区間ではC1=∞ の場合には,この関数ψ(x)=C1x+C2は[0,a]では有限であるとしても,確率の条件∫-∞∞ψ*(x)ψ(x)dx<∞ が満足されるはずはありません。
そこで,[0,a]を除く区間で,測度がゼロの区間を除けばψ(x)は恒等的にゼロであると考えられます。
したがって,粒子の存在確率は[0,a]以外ではゼロなので,この範囲に閉じ込められているという設定に同等であると思われるわけです。
そもそも2乗可積分な関数の空間L2に属する2つの関数f,gが,xでの積分には寄与しない測度ゼロのxの部分以外では等しい:f=gなら,測度ゼロの部分のみで2つの関数に有限差があっても,それらは恒等的に等しいとみなされます。
つまり,"ほとんど至るところで"f=0 なる関数fは,全て,関数空間でのゼロ関数と同定されます。
そして,ψ(x)がSchrödinger方程式:-{hc2/(2m)}d2ψ/dx2+V(x)ψ=Eψの解になるためには,d2ψ/dx2が存在する必要があるので,通常はdψ/dxが連続かつ微分可能である必要があります。
ただし,それはポテンシャルV(x)が有限:|V(x)|<∞ のときに限られます。
しかし,今のケースのようにx=0,aの境界でV(x)=0 から,V(x)=∞ の剛体障壁に飛躍するときには,その限りではありません。
例えばx=aの壁の左右でのdψ/dxをそれぞれ(dψ/dx)-,(dψ/dx)+とおけばd2ψ/dx2はlimΔx→0[{(dψ/dx)+-(dψ/dx)-}/Δx]となり,これがaの右側で|V(x)ψ|=∞ なる項V(x)ψと相殺する必要があるので,必ずしも境界でdψ/dxが連続である必要はないのです。
しかし,少なくともψ(x)は微分可能でdψ/dxが存在する必要はあるので,ψ(x)は絶対連続であり特にψ(0)=ψ(a)=0 となる必要があると考えられます。
これで運動量演算子の定義域Dを与えるために設定された条件の存在理由についての説明を終わります。
蛇足ですが,運動量演算子の定義域Dというのは,あくまで波動関数ψの属する空間,x表示の状態空間であるHilbert空間:L2の部分空間の意味であって,波動関数ψ(x)の定義域である1次元x座標の空間の部分空間のことではありません。
確かに,今の場合粒子は[0,a]に閉じ込められていますが,それは波動関数ψ(x)がこの区間のみでゼロでなくて,[0,a]以外では恒等的にゼロであるという意味です。
そこで,[0,a]をψ(x)の定義域と設定しても問題としては大差ないので,以前の記事ではそうした扱いをしていますが,
一般に物理系の如何によらず,1次元の系では全x空間(-∞,∞)を波動関数ψ(x)の定義域とするのが慣例となっているので,演算子の定義域との混同を避けるため,以下では慣例に従う定義域:(-∞,∞)に変更した話を対象とします。
一方,状態空間L2の部分集合としての運動量演算子の定義域DやD[α]は,今の場合のように粒子が長さaの範囲に閉じ込められているという設定では,x=0,aでゼロであるべき,という条件で規定しようとD[α]でα=0 の周期的境界条件で規定しようと,
その固有値pが連続な全てのp^=-ihcd/dxの固有関数スペクトル;<x|p>=Aexp(ipx/hc)(x∈(-∞,∞)(Aは規格化定数)の完全系で展開される波動関数ψ(x)全体から成る全状態空間L2ではありません。
それらは,区間[0,a]以外ではゼロで,[0,a]では離散的なpn=nπhc/a (n=0,±1,±2,..)を満たすp値に限定されたp=-ihcd/dxの固有関数スペクトルです。
すなわち,<x|pn>=Bexp(ipnx/hc)(x∈[0,a];Bは規格化定数),<x|pn>= 0 (x<0 または x>a)で級数展開される波動関数ψ(x)の集合の部分集合であり,L2[0,a]の部分空間です。
(もしも,D[α]でα≠0 とするならpn=(nπ+α)hc/a(n=0,±1,±2,..)です。)
※(注) 実は,2006年7/22の記事「黒体輻射(空洞輻射)と空洞の形状」で考察したことですが,自由粒子が有限な領域に閉じ込められていること,つまり局在化していることと,運動量pが連続ではなく離散的であることは同等な意味を持ちます。
逆に,エネルギーEや運動量pが有限な限界(切断)で押さえられるなら,それに双対な時間tや空間xの方は離散化されます。つまり時空座標が量子化されます。
自由粒子の場合には,運動量pが離散的であることはエネルギーE(=運動エネルギーT)が離散的であることと同等です。
Planckの黒体(空洞)輻射実験の場合なら,これは輻射光子の波数ベクトルkと振動数ω=ckが離散的で,ω=ω1,ω2,..と書けることを意味し,En=hcωnにより空洞の中のエネルギー準位を規定します。
そして前記ブログ記事では,輻射が閉じ込められている空洞の体積Vが有限であって,その大きさスケールLがL=V1/3であるときには,
実際の実験室での空洞の形状をそのまま考慮して容器境界で剛体壁の境界条件を取ろうと,空洞を1辺がLの立方体に理想化して周期的境界条件を設定しようと,Vが同じであれば問題にとって本質的な差異は生じない,ということを論じています。
つまり,本質的なのは不確定性原理:ΔpΔx~ h/2 であり,そのために,有限領域への局在を余儀なくされていてΔx≦Lの場合,つまり,"光子の波=輻射電磁波"がL以上には拡がることができない場合には,
Δp≧h/L=πhc/Lとなって,運動量pに格子のようなπhc/Lのオーダーの離散的刻みが生じざるを得ないことになります。(注終わり)※
演算子の定義域がL2全体ではなく,その部分空間のDである場合でも,[0,a]以外でのψ(x)≡0 をも含めて波動関数ψ(x)の定義域は(-∞,∞)ですから,決してψ(x)の定義域が[0,a]に限定されるという風に誤解しないでください。
運動量演算子;p=-ihcd/dxの定義域と呼んでいるので,それは別にDに限定せず,全状態空間でもよいように感じるかもしれませんが,
実はここでいう演算子の作用すべき定義域というのは,対象とする物理系における波動方程式の解全体から成る解空間のことを指しています。
つまり今の場合は境界条件を与えることで解が一意に決まることが可能になる偏微分方程式,すなわち定常状態のSchrödinger方程式の解の集合を定義域と呼んでいるのです。
物理的に意味のある状態関数はSchrödinger方程式の解だけであり,それ以外のベクトルに観測量の演算子を作用させても無意味なので解空間を演算子の定義域とするのは自然なことですね。
ところで,1次元Schrödinger表現の運動量演算子:p=-ihcd/dxについて関数空間での演算子の定義域を伴なう自己共役性ではなく,単にHermite性という意味だけなら∫-∞∞{φ*(x)(dψ/dx)}dx=[φ*(x)ψ(x)] -∞∞-∫-∞∞{φ*(x)(dψ/dx)}dxと書けるので,
φ(±∞)=ψ(±∞)=0 なら,いつでも<φ|p|ψ>=∫-∞∞{φ*(x)(-ihcdψ/dx)}dx=∫-∞∞{(-ihcdφ/dx)*ψ(x)}dx=<pφ|ψ>が成立します。
今の場合も,[0,a]の外側のx<0,またはx>aではφ(x)=ψ(x)=0 なので,x=±∞ではφ(x)やψ(x)がゼロという要件は確かに満たされています。
そこで,その他の境界条件が運動量演算子の定義域Dを規定する条件であろうと,D[α]を規定するそれであろうと,運動量演算子の表現p=-ihcd/dxのHermite性は成立し全く問題はありません。
過去記事「有限な1次元空間に限定された運動量演算子」で述べたかったことのエッセンスは,今の定常状態の問題は自由粒子以外では一般に[H,p]≠0 であることに起因するものです。
例えばちょっと違うけれど,粒子のスピン角運動量算子では,[sx,sz]≠0 なので,z軸のスピンszを測定した結果,アップ(up)かダウン(down)かが完全に確定した状態では,
これとは独立なx軸のスピンsxを測定しても,これらを同時に決めることは不可能なので意味がないのではないか?というような話ですね。
PS:この話題とは直接関係ないですが,定常状態のSchrödinger方程式:Hψ=Eψは,エネルギーの保存則:E=T+V(Tは運動エネルギーでT=p2/(2m)=mv2/2,Vは位置エネルギー)を示していますが,
古典論でも量子論でも非相対論では,エネルギーに明確な基準点,または原点があるわけではありません。
例えば,粒子の受ける力が電磁気のCoulomb力や,万有引力であれば,位置エネルギーVはV=-K/r+(定数)(K>0)なる形で与えられますが,
これは,"慣性の法則が成立するとされている場所=無限遠:r=∞"でV=0 となるように右辺の(定数)をゼロに取ってエネルギーの基準とするのが慣例となっています。
しかし,今の例の場合r→ 0 に対してV→-∞ となるので位置エネルギーには下限がないことがわかります。
また,V=-K/r+C(Cは定数)と設定しCを如何なる値に取って基準を変えようと,対象とする系の本質的な記述には無関係である,という曖昧さがあります。
量子論の方程式Hψ=Eψにおいても,Tを変えないでVのみV→V+Cとシフトしても,E→E+Cとすれば同じψが解となって理論は不変であるといえます。
上述のように,位置エネルギーVには下限がないように見えますが,運動エネルギーTには明確な下限があります。
すなわち,古典論では明らかにT=p2/(2m)=mv2/2≧0 です。
そして量子論でも1次元の運動量演算子p=-ihcd/dxの期待値は実数ですから,T=p2/(2m)=(-ihcd/dx)2/(2m)は演算子として正値 or 非負です。
で,運動エネルギ-Tの方は基準をこう定めると絶対的,一意的かというとそうでもありません。
実際,位置エネルギーVを無視した自由粒子の運動ならGalileiの相対性原理が成立します。
つまりこれはGalilei変換に対して理論が不変,すなわち,どの慣性系を基準にして記述しても本質的に同じである場合ですね。
そうすると,1次元で考えた場合に,ある慣性系でT=p2/(2m)=mv2/2 と書けるとき,その慣性系に対して原点が相体速度uで運動する別の慣性系を基準にすると,v→ v-uとなるので,
T=mv2/2→ m(v-u)2/2と変わりますから,こういう意味では運動エネルギ-Tも絶対的ではなく相対的にころころ変わる量です。
例えば地上にいる人が見ると,音速程度で慣性飛行しているジェット機内のシートに着席している人も,やはり音速程度で運動しているので,
人の質量mは大したことはなくても運動エネルギ-:T=mv2/2 はかなり大きいですが,慣性飛行しているジェット機を基準系に取れば,その人は着席して静止しているだけですから,T=0 ですね。
Hamiltonian:H=T+V自身が正値2次形式となる例としては,調和振動子H=p2/(2m)+mω2x2/2≧0 があります。
古典論だと静止することが可能なので,エネルギーH=Eの下限は確かにゼロで,それはp=x=0 の静止の場合です。
量子論では不確定性原理があって,pとxが同時に確定値を取ることはできず,"固有値=期待値"Eの下限は正の零点エネルギーとなるのはよく知られています。
前の話に戻りますが,基準を変えて,H=p2/(2m)+mω2x2/2+C(Cは定数)としても問題に変わりはないので,例えばCを-∞ に近い非常に大きい負の数としてもかまいませんから,そういう意味ではエネルギーH=Eに下限はなくなります。
しかし零点エネルギーに相当する"エネルギーが最低の安定な状態=基底状態"は,Cを加減する操作とは本質的に無関係な存在なので,わざわざ下限はないなどと考える必要はないでしょう。
また,水素様原子の電子のHamiltonianはc.g.s.単位でH=p2/(2m)-Ze2x2/rです。
これは位置エネルギーがV=-Ze2x2/rであり,前にも述べたようにこれには下限がなく,このままでは電子が原子核に落ち込むまでは常に不安定で,ほぼ瞬時にr=0 まで落下してしまい,原子はこわれてしまって安定に存在できない,という困難がありました。
そして,これを回避しようとしたのが量子論の動機の1つでもあったことはよく知られています。
だからといって,これに定数C=∞ を加えるというような操作をするのはは,あまり意味がないでしょう。
本論の剛体障壁の井戸型ポテンシャルの問題でも無理に任意定数Cを加えた一般化した体系の1つとして問題を考えなくても,箱の中ではV=0 ,外ではV=∞ の設定で考えれば,
これで他の基準Cが異なる全ての場合を扱うのと同等になりますから,単純なわかりやすい特殊例だけでの話の方がいいと私的には思います。
なお,粒子場を第2量子化した場理論では"エネルギー下限の状態=基底状態"の存在を仮定して真空と呼んで特別扱いします。
Diracの空孔理論では自由粒子の負エネルギー電子の海があって,そのままでは系のエネルギーが最低,とはいってもdefiniteではなくて-∞ですが,Pauliの排他律によって電子状態には縮退が許されないので,その状態からさらに下のより安定な状態へと落ち込まないという話もありました。
これから,半導体の正孔からのアナロジーで,その電子の海の空孔が"負エネルギーの電子の反粒子=正エネルギーの陽電子"と同一視できるという発見的な話もありました。
しかし,Diracの空孔理論は電子がFermi粒子(Fermion)だから成立するもので,縮退可能なBose粒子(Boson)には適用できません。
まあ,単なる理論ですから,それらの問題が場の理論で完全に解決したわけではありませんが,
真空をエネルギーが最低の基底状態としてその状態のエネルギーをゼロと指定し,それから粒子が生成する演算子を施して得られる状態にさらに生成,消滅演算子を掛けて状態を得るようなFock空間を設定することで,一応の解決を見ています。
真空のエネルギーがゼロでなければならないのは,ゼロという数が ∞ と同じく"大きな対称性"を持つからです。
例えば長さがゼロの空間ベクトルなら,有限長さのベクトルとは異なって座標系の軸の回転に対して,その成分を変えません。
これは球対称性の例です。
そして,例えば温度が高くなるとか,あるきっかけでゼロでない状態に移ると今の話の対称性であれば,球対称性という対称性が破れて最低状態でなくなり相転移などが起こるとかいう話もあるようです。
PS:量子力学の微妙な数学的定式化の部分を論じるのなら,予め基礎的な知見が必要だと思います。
そのための参考としては,以前,kafukaさんの質問を意識して書いた2007年8/8のブログ記事「量子力学の基礎(表示の話)(1)」,「量子力学の基礎(表示の話)(2) 」の2つがあります。
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この記事へのコメントは終了しました。
コメント
はんどるさま
おそらく、この手の話を具体的に回答するのは、
高度に抽象化された数学の話をせねばならないので、
困難だと思います。
ただ、数学の専門的な議論を尽くせば理解は可能だと思います。
ここで述べたことは、
関数解析のテキストにのっていることばかりですので、
そちらの方を参照していただけるとありがたいです。
なお、今回私が参考にした文献は、
method of modern mathematical physics
http://www.amazon.co.jp/Functional-Analysis-Methods-Mathematical-Physics/dp/0125850506/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=english-books&qid=1220177756&sr=1-2
です。
多くの論文に引用されており、
信用のおける文献だと思われます。
>「調和振動子のハミルトニアンで本質的に、定義域制限の必要性が存在する」とのことですが、確率解釈可能以外のどのような制限が必要で、もし、その制限がないと物理量の計算でどのような不都合が生じるのでしょうか?
おそらく、確率解釈可能の条件にはたくさんの要請があると思いますが、少なくとも
<ψ|Hφ>=<Hψ|φ>
は絶対入っているでしょう。
この制限をみとめると、ヒルベルト空間全域でHは定義できません。
つまり、僕の議論は、高々確率解釈可能という条件と、ヒルベルト空間を考えているということしか仮定していません。
なお、folomyとはどこなのでしょうか?
私よく知らないのでご教授お願いします。
投稿: あ | 2008年8月31日 (日) 19時36分
あさん。回答有難うございます。
要するに具体的に答えられないという回答なので、自分の疑問を解決するものでないことを理解いただけたと思います。
気になることコメントがありますので、できたら解説をお願い致します。ここを占有し続けるの気が引けますので、回答はfolomy辺りにお願いします。
「調和振動子のハミルトニアンで本質的に、定義域制限の必要性が存在する」とのことですが、確率解釈可能以外のどのような制限が必要で、もし、その制限がないと物理量の計算でどのような不都合が生じるのでしょうか?
投稿: はんどる。 | 2008年8月31日 (日) 18時33分
訂正
何箇所か
<φ|Hψ> =
となっていますが、これは、
<φ|Hψ> = <Hφ|ψ>
のつもりです。
申し訳ありません。
投稿: あ | 2008年8月31日 (日) 12時56分
はんどるさん
>>物理系を構成している空間のみを意図しています。
>必要十分な空間と判定する基準等を具体的にお聞きしたかったわけですが。
>抽象的と書いたのは、回答が「必要十分」とか「意図」とかで具体的でないからです。
具体的といわれましても……。
例えば、実験室なら、
実験室のある空間を台とする関数だけを考えればよいということです。
>>われわれが粒子を局所的にトラップできるという意味で,
>>現実味のある仮定だと思います。
>有限の井戸型ポテンシャルでも局所的にトラップできますが(無理やり局所空間に制約しなくても可能)。
ええ、実際にはそうですよ。
でも、それじゃ不十分なんですよ。
実際はトラップしている領域の境界に、
非常に高いポテンシャルの壁があって、
その外はどうなってるかわからないという状態です。
その場合、まず、トンネル効果や散乱状態などめんどくさいものがごっそりいます。
なおかつ、外のポテンシャルで変なのがいて、
波動関数が影響されるかもしれません。
そういうことを考えると、
壁を高くすると切れてしまう!
ということを保証してほしくなります。
切れるとはどういうことかというと、
関数空間がL^2(R)ではなく、
たとえば、
L^2([0,1])直和L^2(R-[0,1])と
近似できるということです。
実はそういう近似が実際可能で、
その文脈で、
L^2([0,1])を考えたいという話なんです。
>>演算子が完備とはどういうことかわかりません。
>はしょって書いたので、オブザーバブルが実固有値ということも分からないかもしれませんね。
えっと、実固有値というのは把握してますよ。
>>つまり、領域制限は本質的な問題なのです。
>ある意味、Hの空間(確率解釈可能)で
>すでに領域制限しているわけですが、
>オブザーバブルの固有空間が領域制限されるとは限りません。
>オブザーバブルの領域制限は本質的な問題でなく、
>Hの空間を考えるときの付随物といえる考えます
>(観測に依存するがオブザーバブルの領域制限は不要と考えることもできる)。
この部分ですが、誤記をしてましたので訂正します。
>固有値に上限がない波動関数関数の場合、
ではなく
>固有値に上限がない演算子の場合、
でした。
申し訳ありません。
このあたりの事情をもう少しちゃんと説明しておきます。
ヒルベルト空間V(完備な内積空間)が与えられたとします。
で、Vの中で
<φ|Hψ> =
を満たすとします。
なおかつHはV全域で定義されているとします。
このとき、Vの固有値には上限と下限がなくてはならないことが数学的に示されます。
(Helinger-Toeplitzの定理より)
具体的には、たとえば、ヒルベルト空間をHの固有状態の線形和でかかれる空間に限定しましょう。
このとき、実数固有値で直行性を保つならば当然
<φ|Hψ> =
が成り立つはずです。
今、実数固有値と直行性と線形性という二つの条件を課しました。
この二つの条件が確率解釈可能な最低限の条件であることはご理解いただけると思います。
しかしながら、定理から鑑みるに、
固有値に上限がない場合、
このような試みはとん挫します。
(おそらく、限定した空間は完備ではない、
(つまり、コーシー列が収束しないか、)
Hの作用で閉じてないでしょう)
つまり、確率解釈できるという条件を課してヒルベルト空間を探す試みは失敗するわけです。
固有値の上限がない演算子には、自由粒子のハミルトニアンや調和振動子のハミルトニアンなど、応用上大切なものがたくさん存在します。これらの演算子は、本質的に、定義域制限の必要性が存在するということになります。
投稿: あ | 2008年8月31日 (日) 12時54分
はんどるです。
あさん。回答有難うございます。
しかし、あさんの回答が良く分からないことは変わらないです。
>物理系を構成している空間のみを意図しています。
必要十分な空間と判定する基準等を具体的にお聞きしたかったわけですが。
抽象的と書いたのは、回答が「必要十分」とか「意図」とかで具体的でないからです。
以下は余談に関することですが、誤解があるようなので補足しておきます
>われわれが粒子を局所的にトラップできるという意味で,
現実味のある仮定だと思います。
有限の井戸型ポテンシャルでも局所的にトラップできますが(無理やり局所空間に制約しなくても可能)。
>演算子が完備とはどういうことかわかりません。
はしょって書いたので、オブザーバブルが実固有値ということも分からないかもしれませんね。
>つまり、領域制限は本質的な問題なのです。
ある意味、Hの空間(確率解釈可能)ですでに領域制限しているわけですが、オブザーバブルの固有空間が領域制限されるとは限りません。
オブザーバブルの領域制限は本質的な問題でなく、Hの空間を考えるときの付随物といえる考えます(観測に依存するがオブザーバブルの領域制限は不要と考えることもできる)。
投稿: はんどる | 2008年8月31日 (日) 06時48分
つづきです
>>そのような事が可能であるなら、
>それはどの程度現実的なのでしょうか?
われわれが粒子を局所的にトラップできるという意味で,
現実味のある仮定だと思います。
>>極限の取り方は無数にあったりします。
>これは問題にならなのでしょうか?
量子的には全く問題はありません。
>>Rが可則ではないのでL^2(R)
>Rで考えなくても、上下に有界で可則なものを考えればいいのでは?
Rが可測ではないというのはRの体積が無限であるという意味です。
結果、Rを台にするとリーマン可測ですが、ルベーグ可測でないものが存在します
(確か高木貞二の解析概論より)
したがって、普通はL^2(-a,a)でaを無限に飛ばして構成するんですが、
この極限操作の結果、L^2の良い性質が失われないかどうかは僕は知りません。
最近の研究でちゃんとっした筋道があるかもしれませんが。
ちなみに、ぼくが知る限り、R上の量子力学は、有限体積の極限で議論したり、
L^2(R)ではなく、緩減少関数の空間で議論していました。
>>世界が無限であるという仮定は危険です
>宇宙は十分広いと申しただけで無限とは申していませんし、Rで考ろと強要もしてません。
では、どのような空間を考えるのが最も一般的なのでしょうか?
>>たとえば、こんな感じでしょうか?
>教科書に従い、エルミート条件。
>系のオブザーバブルはHの空間(確率解釈可能)に対して完備、実固有値。
>H^nφ=E^nφ等々極標準的と思います(領域制限無しに)。
演算子が完備とはどういうことかわかりません。
ただ、調和振動子や自由粒子のハミルトニアンなど
固有値に上限がない波動関数関数の場合、
ヒルベルト空間全域では定義できない!
ということが
数学的に!
示されています。
つまり、領域制限は本質的な問題なのです。
(きっと、証明した数学者も頭を抱えたことでしょうw)
>>最初のは一次元水素原子で二つ目はカロジェロ模型といわれるものです。
>どのような測定系で、モデルとの突合せが行われたのでしょうか?
>(測定系でなければ、物理的に無意味と考えますが)
>b/x^2は、もしかして遠心ポテンシャル(もはや純粋な一次元でない気がします)でしょうか?
一次元水素原子は純粋に数学的です。
カロジェロ模型は量子ホール効果、マグノン、
電子ホール相互作用などなど、
理論物理ではヤンミルズや
ブラックホール、枚挙につきません。
ぜひ、ご自分で調べてください。
投稿: あ | 2008年8月30日 (土) 20時30分
はんどるさん
>あさんの回答は、抽象的で分かりにくいです。
抽象的な数学の話ですのであきらめてください。
> 必要十分な空間
物理系を構成している空間のみを意図しています。
>>模型を構築する際、
>模型とは、物理モデルのことですか?
>体系の基盤を汎用的で確実なものにするという観点では、
>まず、広い空間を考察対象とすることで包括的な物理モデルを設定し、
>そこで必要なツールを確実にしておけば、
>個別部分空間でも網羅されることになるとおもいます。
>というか、部分を網羅し各種の系での応用に耐えうる実用的なものを望みます。
前回の僕の返答は、まさにその話をしています。
>量子力学は、作られてから1世紀近くたち、応用もされるようになり、
>その基盤が確実としたものと思われるのに、
>わざわざを部分で議論する意義がはたしてあるのかという疑問でもあるのですよ
>(今のケースなら物理的条件付けで避けられるし、逆に物理的条件付けを理解しないと問題になるケースといえる)。
そもそも、量子力学の基盤が確実であるというのは自己共役な演算子をつかうという意味でのみですよ。
自己共役性を外れると全く確実ではありません。
また、自己共役であるならば、それは量子力学として全く問題はありません。
物理的な条件を付けるとおっしゃりますが、
そのような物理的要件をどのように量子力学で正当化するのでしょうか?
たとえば、量子ナノデバイスのように、非常に微細な空間での装置のふるまいを記述する際、
古典的類推で物理的要請を課すと、
量子力学特有の現象を取りこぼしてしまう恐れがあります。
実際、このような事があるかどうかはちゃんと計算をし、
確かめなければなりません。実験装置が進歩した現在こそ、
このような効果をちゃんと検討する必要性が出てくるということになります。
投稿: あ | 2008年8月30日 (土) 20時20分
はんどるです。
あさん回答有難うございます。
あさんの回答は、抽象的で分かりにくいです。
> 必要十分な空間
必要十分となる条件を、具体的にしてくださると理解しやすいです(目的やら前提条件やらを含めて)。
>模型を構築する際、
模型とは、物理モデルのことですか?
体系の基盤を汎用的で確実なものにするという観点では、まず、広い空間を考察対象とすることで包括的な物理モデルを設定し、そこで必要なツールを確実にしておけば、個別部分空間でも網羅されることになるとおもいます。というか、部分を網羅し各種の系での応用に耐えうる実用的なものを望みます。
量子力学は、作られてから1世紀近くたち、応用もされるようになり、その基盤が確実としたものと思われるのに、わざわざを部分で議論する意義がはたしてあるのかという疑問でもあるのですよ(今のケースなら物理的条件付けで避けられるし、逆に物理的条件付けを理解しないと問題になるケースといえる)。
後は余談でなので回答なされなくても結構です。
>そのような事が可能であるなら、
それはどの程度現実的なのでしょうか?
>極限の取り方は無数にあったりします。
これは問題にならなのでしょうか?
>Rが可則ではないのでL^2(R)
Rで考えなくても、上下に有界で可則なものを考えればいいのでは?
>世界が無限であるという仮定は危険です
宇宙は十分広いと申しただけで無限とは申していませんし、Rで考ろと強要もしてません。
>たとえば、こんな感じでしょうか?
教科書に従い、エルミート条件。系のオブザーバブルはHの空間(確率解釈可能)に対して完備、実固有値。H^nφ=E^nφ等々極標準的と思います(領域制限無しに)。
>最初のは一次元水素原子で二つ目はカロジェロ模型といわれるものです。
どのような測定系で、モデルとの突合せが行われたのでしょうか?
(測定系でなければ、物理的に無意味と考えますが)
b/x^2は、もしかして遠心ポテンシャル(もはや純粋な一次元でない気がします)でしょうか?
投稿: はんどる | 2008年8月30日 (土) 19時10分
はんどるさん
L^2(R)をいちいち考えたくない理由は、
必要十分な空間で取り扱えればそれでいいと申しました。
第一に、我々は全世界の状態を考慮することはできません。したがって、模型を構築する際、近似的に一部の空間しか制御できません。そのような現実があるのに、模型が全体空間を考慮せねばならないというのは、ひどく取り扱いが難解に思われます。
そこで、井戸型ポテンシャルの極限として、壁を高くしていくと、実際には外の空間と中の空間が切れて、ということを申します。
そのような事が可能であるなら、部分空間を取り扱うという処方箋で十分なわけで、したがってL[0,1]のような部分空間を取り扱うわけです。
# この、外部と切ってしまう極限の取り方は無数にあったりします。その切り方の多様性と自己共役が一意でないことが対応しています。
また、測度論的な問題として、Rが可則ではないのでL^2(R)は取扱いがよくなかったりします。
再度指摘しますが、世界が無限であるとはわかりません。もしかしたら、有限かもしれません。ですから、世界が無限であるという仮定は危険です。
なお、最初のはんどるさんの質問は、
投稿 はんどる | 2008年8月30日 (土) 06時39分の、
>はんどるです。
>あさん、コメント有難うございます。
>宇宙の大きさは非常に大きいのに
>なぜL^2[0,1]と有限区間で限定して考え>なければならないのか、その物理的理由が>わかりません。
だったとおもいますので、これでお答えになっていると思います。
>>Hψ=∫e^ikx k^2 f(k)dk
>>はからずしも収束するとは限りません。
>そういったものは、物理的理由から落としてるのでは?
>L2という非物理的状態を含んだ一般空間で考えても無意味で、
>Hで規定され、物理的理由により残した関数空間で考えれば
>問題ないと考えます(このケースなら(d/dx)^nψが遠方(or境界)で0収束とか)。
>Hの固有値が複素数
逆に、固有値が実数のものだけ、物理系を表わすHとされるのではないでしょうか。
お説もっともなのですが、そのような空間はどういう空間なのでしょうか?どのような判断基準でそれを選別し、そのような空間を選んだ時、ちゃんと量子力学の定式化ができるというのでしょうか?が成り立ち、
たとえば、こんな感じでしょうか?
まず、<ψ|Hφ>=
力学として、exp(iHt)|φ>がちゃんと定義できる空間ような空間を物理的なものとして選んできます。そうすると全く問題なく量子力学が構成できるはずです。
……まぁ、これが自己共役を課すってやつなんですけどね。
>H = d^2/dx^2 + ax^2 + b/x^2
>H = d^2/dx^2 + b/x
ですが、おっしゃる通り、
H = -d^2/dx^2 + ax^2 + b/x^2
H = -d^2/dx^2 + b/x
の間違いです。
物理系の説明ですが、最初のは一次元水素原子で二つ目はカロジェロ模型といわれるものです。
どちらも、厳密に解けるということで有名なものです。
投稿: あ | 2008年8月30日 (土) 16時30分
はんどるです。
TOSHIさんコメント有難うございます。
>自己共役のような解を得るために対等な同じ2つの境界条件を設定できると思います。
Hの条件とpの条件は同じである必然性はないと考えてます。折り返し運動していると見ると、pで同じ状態に戻るためには2L 走らなければならないわけで、これからHの0条件と、pの2L周期条件が対等になると考えます。
要するに、演算子の数学的定義用件に拘らず、単に物理的条件の設定方法で避けられる問題なので、そんなに大層な物理的意味はないと考えた次第です。
投稿: はんどる | 2008年8月30日 (土) 15時57分
はんどるです。
あさん。コメント有難うございます。
>L^2(R)をいちいち考えたくないということです。
その具体的理由を知りたいと思います。
>もう一つは世界は本当に無限かという問題です。
つながりが分かりません。領域限定せずに、非常に大きいものとして扱うときの問題点についてお聞きしたつもりですけど。
>Hψ=∫e^ikx k^2 f(k)dk
>はからずしも収束するとは限りません。
そういったものは、物理的理由から落としてるのでは?
L2という非物理的状態を含んだ一般空間で考えても無意味で、Hで規定され、物理的理由により残した関数空間で考えれば問題ないと考えます(このケースなら(d/dx)^nψが遠方(or境界)で0収束とか)。
>Hの固有値が複素数
逆に、固有値が実数のものだけ、物理系を表わすHとされるのではないでしょうか。
>H = d^2/dx^2 + ax^2 + b/x^2
>H = d^2/dx^2 + b/x
それぞれ、具体的にどのような物理系なのですか?
浅学なため1/x^3に比例する作用(力)については聞いたことがありません。
後、d^2/dx^2は-d^2/dx^2の間違いでしょうか?
投稿: はんどる | 2008年8月30日 (土) 15時32分
訂正
この要領でいくと、H^nまでは定義できるが、H^(2n)が定義できないという関数は
とありますが、
この要領でいくと、H^nまでは定義できるが、H^(n+1)が定義できないという関数は
に訂正します。失礼しました。
また、以前、L^2(R)で-i d/dx は自己共役な演算子と言いましたが、大錯覚でした。実際は、L^2(R)かつ絶対連続な空間で自己共役です。訂正します。
TOSHIさん。
実は自己共役である様な境界条件を与えることと、超関数ポテンシャルには、対応がつくことが知られています。
投稿: あ | 2008年8月30日 (土) 15時14分
はんどるさん
L^2(R)でなく、井戸型を考える理由は二つあります。
一つは、模型としての使い勝手の問題で、L^2(R)をいちいち考えたくないということです。必要十分な空間で十分議論が可能なら、それに越したことがないというわけです。
もう一つは世界は本当に無限かという問題です。実は世界は四次元ではなく、もっと多次元で、そういった余剰次元が有限空間になっているみたいな指摘があり、そのような有限空間を量子力学の場にした場合、必然的にこのような議論が必要になると思われます。
実際、そのような境界条件を用いて、ヒエラルキーを説明しようとする研究もあります。
物理状態はHψ=Eψで、それゆえHのべき乗がちゃんと定義できるとのことですが、その線形和については必ずしもそうは言えなかったりします。
たとえば、自由場のハミルトニアン
H= - d^2/dx^2
を考えます。
ψ=∫e^ikx f(k)dk
はf(k)が無限遠方で十分減衰するならちゃんと定義できます。
しかし、
Hψ=∫e^ikx k^2 f(k)dk
はからずしも収束するとは限りません。
この要領でいくと、H^nまでは定義できるが、H^(2n)が定義できないという関数はL^2(R)にはたくさんあります。
自己共役演算子についてはスペクトラム分解を用いた一般論があり、うまくいくことが分かっています。
Hの固有値が複素数だとすると、変な事が起きる例として、exp(iEt)がユニタリー演算子でなくなり、確率が保存しなくなることが挙げられます。
さて、だいたいこんなものでしょうか?
なお、L^2(R)でも、ポテンシャルが発散するようなものでは、解空間が連続スペクトラムを持つことがあります。たとえば、
H = d^2/dx^2 + ax^2 + b/x^2
とか、
H = d^2/dx^2 + b/x
など。
もちろん、各々の固有解は直行しませんので、ハミルトニアンが自己共役であるよう、領域を限定せねばなりません。
投稿: あ | 2008年8月30日 (土) 14時30分
TOSHIさん 甘泉法師です。
これまでいただいた議論から納得したことをまとめてみました。
1 「完全に閉じ込められた粒子」「剛体壁にかこまれた粒子」「箱の中の粒子」などといわれる系
ハミルトニアン H=0 有限区間、+∞ その外
2 状態はこの有限区間の外でψ(x)=0 、エネルギーの固有状態でもそうでなくても。
「1ならば2」が成り立つような気がしますがそれは誤り。仮に2を導くようなハミルトニアンがあったとして、それはオブザーバブルでないことになり正しいハミルトニアンではないことがわかる。
運動量を考えると2の論点が陽わに意識されます。
あ さん
数学の厳密な話には脱帽です。位置も運動量も固有関数を持つ、デルタ関数でごまかす、規格化やヒルベルト空間の次元の可算、非可算というような話は聞こえないふりをする という範囲の素養です。結果があまりにも陳腐な場合は、またご指摘大歓迎です。
=甘泉法師=
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月30日 (土) 14時23分
あさん,はじめまして,はんどるさん,お二人ともコメントありがとうございます。TOSHIです。
あさん,すみません。ココログテンプレートでは半角文字で書くと次の文字が消えるというバグが時折あるので,半角の数字や英字や括弧などの記号なら,まず全角で書いてそれからファンクションキーのF10を押してください。また,これらを半角ではなく全角に確定したい場合はF9を押してください。
はんどるさんの
>元記事は物理的意味のない数学的トライアルということで納得しました
ですが。。。
いや,確かに無限大のポテンシャルで数学的トライアルには違いなく,単なる演算子が自己共役にならない例として出したにすぎませんが物理的意味がないとまでは言っていません。
まあ,V=∞の剛体といっても実際に粒子がトンネル効果で染み出すということがないだろうと近似できるような粒子が剛体近似できるような材質の容器に閉じ込められている場合は黒体輻射などの場合のように考え得る物理的なシチュエーションであるとは思います。
それはx表示状態空間全体の母となる空間はL^2(-∞,∞)=L^2(R)ですが,少なくとも日常的に観測される力学量が実数として観測される必要があるので,例えばハミルトニアンHが与えられるごとに,そのHが演算子としてR=(-∞,∞)でエルミートでなければならないという制限で対象となる物理的状態空間がL^2全体ではなくある定義域D⊂L^2に狭くなることはあるでしょう。(記事本文でもそうですがめんどうなのでL^2(R)をL^2としました。)
これは,あくまでもx空間ではなく状態空間の話なのでx表示の波動関数のx空間の定義域という意味では依然としてそれはR=(-∞,∞)であり,本例でもDをL^2[0,a]の関数に制限することではありません。
しかし,エルミート性とか期待値というのはx表示ではxに関する(-∞,∞)での波動関数φ,ψ etc.のxでの積分に関する話で,現実的に今の例では[0,a]の外のxではV=∞なのでそこではφ(x),ψ(x)=0ですから[0,a]の端点で「超関数的な挙動がない」という前提ならば(-∞,∞)でのエルミート性の要求は[0,a]でのそれと変わりません。
そこで過去の記事では,測度がゼロでも積分に寄与するデルタ関数とかの「端点での超関数的挙動」までは考慮してなかったので,[0,a]を定義域とする関数ψの空間をL^2[0,a]の関数としても,[0,a]の外ではψ=0とすれば(-∞,∞)を積分域としてL^2の関数という意味を持つものと等価であろうと考えて,[0,a]のみで考えることにしたのですが,べつに,[0,a]以外でψ=0を付け加えれば(-∞,∞)で考えるのと同じと思っていました。
[0,a]だけを考える,特に(0,a)を考える限りそこでは[H,p]=0ですから,(0,a)に限定すればHが保存する定常状態でpも同時に測定できることになります。
壁で反射するという境界条件,確率流束の法線成分がゼロd(ψ*ψ)/dx=0 at x=0,aであれば物理的には合理的です。2階方程式なのでx=0,aの2つの境界条件で必要十分ですから境界条件はこれ以外には不要なはずです。
しかし,x=0,aでの連続性を要求すればψ(0)=ψ(a)=0で,これもd(ψ*ψ)/dx=0 at x=0,aを満たすための十分条件ですが,これからψ_n(x)=sinp_nxでp_n=nπ/aとなります。しかしこれは[H,p]=0を満たすp=-id/dxの固有状態でなく逆に固有状態ならexp(ipx)の形をしているのでψ(0)=ψ(a)=0を満たしません。
もちろんpの固有関数をφ_p(x)とすると,これはexp(ipx)の形をしているとは言っても(-∞,∞)で常にexp(ipx)ではなく,(-∞,∞)を定義域とはしても[0,a]でのみexp(ipx)であり,それ以外ではゼロですが,確かにこのφ_p(x)は-idφ_p/dx=pφ_pを満足します。しかし決してφ_p(0)=φ_p(a)=0を満たさないのでHの状態空間にはありません。
[0,a]では[H,p]=0を満たす(=「定常状態にも関わらず運動量が意味を持つ」)にも関わらず,Hとpの同時的な固有状態が存在しない,というのでは違和感があります。
そこで,今のようなケースにはエルミートでもp=-id/dxを観測量とみなさないという定義のほうが妥当に見えます。そこで定義域に関係なくエルミート性をそのまま観測量と定義するのではなく,本記事のようにエルミートであっても観測量ではなく自己共役なら観測量とする定義を採用するという見方ができます。
しかしφ_p(0)=φ_p(a)=0の連続性にこだわらなければφ_p(x)も解空間に入り,しかもd(φ_p*φ_p)/dx=0 at x=0,aも満たしているので問題なしです。
しかし何らかの境界条件でp=p_n=nπ/a+constのような離散性が出てこなければ元のDの解と対応が付きませんからD[α]のようなD同等だが自己共役のような解を得るために対等な同じ2つの境界条件を設定できると思います。
端点での超関数的扱いが可能かどうかは別途考え中です。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年8月30日 (土) 08時59分
はんどるです。
あさん、コメント有難うございます。
宇宙の大きさは非常に大きいのに
なぜL^2[0,1]と有限区間で限定して考えなければならないのか、その物理的理由がわかりません。
その辺りを疑問に思ったのでTOSHIさんへの質問となりました(元記事は物理的意味のない数学的トライアルということで納得しました)。
>結果、≠<φ|pψ>となり、量子力学の定式化が死にます。
具体的には有限井戸の井戸中での束縛状態などでの話ですね。
実際L^2[R]で定式化されているので問題ないですけど。
>"おそらく"物理的に非合理なことになると思われます。
その他、どの様な非合理が発生するのでしょうか、よろしければ教えてください。大抵のことは、境界条件などの物理的理由により落とすという処方箋で対応できていると思ってます。
>Hの定義域と値域が異なるかもしれないので、一般には、Hのべきが定義できないかもしれません。
これも良く分かりません。
物理的状態はHの固有関数だから、H=EψにHを作用させればHのべきが定義できます。
ちなみに、物理的状態が計算できる算法が確立されていれば、物理としてそれ以上のことはいらないと考えてます。
投稿: はんどる | 2008年8月30日 (土) 06時39分
何度もご迷惑をおかけします。
どうやら入らないようですので、
全角でうってみます。
<Pφ|ψ>=<φ|Pψ>
これで入らなかったら諦めます。
いろいろと失礼しました。
投稿: あ | 2008年8月30日 (土) 01時41分
訂正
>そこで、実数固有値じゃないものを除外したとします。
>たとえば、φ(x)=exp(ikx)でk in Rとしましょう。
>すると、これらはたがいに直行しません!
>(∫^1_0 exp(ikx)exp(-iqx)dx ≠ 0という意味で!)
>結果、≠<φ|pψ>となり、
>量子力学の定式化が死にます。
の
>結果、≠<φ|pψ>となり、
を
>結果、
≠<φ|pψ>となり、
となおします。
投稿: あ | 2008年8月30日 (土) 01時39分
ちょっと通りがかったので、
いくつかコメントをしておきます。
はんどる様へ
俎上に上がっている演算子の
p:=-i d/dx ですが、
これはL^2(R)で自己共役な演算子で、
自己共役な拡張を考える余地はありません。
で、拡張が必然的に必要な空間として、たとえば、L^2[0,1]を考えます。
この中には、当然、φ(x)=exp(x)などが含まれています。
もし、pの定義域にexp(x)が含まれると、
虚数固有値を持ち、
"おそらく"物理的に非合理なことになると思われます。
したがって、このようなことの起きないよう、
ちゃんと定義域を選ばないといけません。
そこで、実数固有値じゃないものを除外したとします。
たとえば、φ(x)=exp(ikx)でk in Rとしましょう。
すると、これらはたがいに直行しません!
(∫^1_0 exp(ikx)exp(-iqx)dx ≠ 0という意味で!)
結果、
≠<φ|pψ>となり、
量子力学の定式化が死にます。
つまり、直交するように定義域を選ばないと物理になりません。
自己共役性にこだわるもう一つの根拠に、
力学の問題があります。
つまり、exp(iHt)がちゃんと定義できるかどうかということです。
∑(iHt)^n/n!で定義できると思われるかもしれませんが、
Hの定義域と値域が異なるかもしれないので、一般には、Hのべきが定義できないかもしれません。
自己共役演算子の場合、exp(iHt)がちゃんと定義できます。
甘泉法師さま
演算子が自己共役だからと言って、
その固有関数系で
ヒルベルト空間を張るとは必ずしも言えません。
そういうことが言えるのは、
かなりたちの良い演算子(コンパクト演算子)の場合のみです!
いちばんよい例は位置演算子xで、
この固有関数はL^2(R)の中に(それどころか関数の中にすら)ありません。
このあたりの話はひどく微妙で数学の(物理屋が使う"算数"ではなく、位相空間に関するちゃんとしたものの)知識がいります。
注 虚数固有値状態について、"おそらく"という言葉を使った理由は、原子核の崩壊現象のような減衰する系の記述に役立つかもしれないと現在期待されているからです。ただ、しっかりとした理論はまだ存在しません。
投稿: あ | 2008年8月30日 (土) 01時36分
TOSHIさん 甘泉法師です。 たくさんのご教示ありがとうございます。
甘泉法師
>|●のψ(x)>=Σ|En><En|●のψ(x)> と。
TOSHIさん
>いやもちろん間違いではありませんが
間違いでない
------------
御ハミルトニアンのエネルギー固有状態ベクトルで|●のψ(x)>が展開できる
よって
御ハミルトニアンのエネルギー固有状態ベクトルの張る空間はDより大きい
------------
であれば、うかがいたかったことは拝聴できました。ありがとうございました。
=甘泉法師=
全発言のPSは議論の本筋に関係ないことですので撤回いたします。
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月29日 (金) 08時05分
どうもすみません。TOSHIです。
>|●のψ(x)>はエネルギーの固有関数で展開できると考えました。
|●のψ(x)>=Σ|En><En|●のψ(x)> と。
こういうのは普通考えないので悪意があるのかと勘違いしました。。。
いやもちろん間違いではありませんが無意味です。
Σ|En><En|というのは問題のHの固有ベクトルの空間への射影演算子です。P≡Σ|En><En|とおくとこれはPが作用する対象の|ψ>がH|ψ>=E|ψ>の解空間にあるならP=1でそうでないならP|ψ>は解空間へ射影した成分ですね。
つまりH|ψ>=E|ψ>ならP|ψ>=Σ|En><En|ψ>でH|ψ>=E|ψ>の|ψ>を|E>と書くとEはどれかのEmに一致します。
つまりi∂|t>/∂t=H|t>=E|t>の定常状態の|t>からx依存成分だけを取り出したのが|ψ>ですから定常状態の波動方程式H|ψ>=E|ψ>という固有値問題のエネルギー固有値Eは固有ベクトル|En>のどれかのEnで|ψ>はどれか固有ベクトル|En>またはそれの定数倍c|En>(規格化されてても位相が違えばc=exp(iθ))です。
縮退はめんどくさいからとりあえず考えず離散なら<En|E>=c<En|Em>=cδnmなのでP|ψ>=c|Em>=|ψ>ですから|ψ>が定常状態=Hの固有状態なら当たり前の式です。(縮退してる場合もシュミットの直交化でやれば同じです。)
というわけで公式というか恒等式をいじってもなにか新しい意味のあるものは出てきません。
しかし,奇想天外な私の想像の外にあるようなトートロジーを持ち出されても答えようがありません。。
誰かコメントしてあげてください。。私にはとても対応が無理ですから。。。
あ,|●のψ(x)>が解空間にぞくさないということを定常状態でないと述べられたのですよね。つまり|●のψ(x)>は固有値問題H|ψ>=E|ψ>の解=固有ベクトルではないという意味ですね。
それなら,P|●のψ(x)>=|●のψ(x)>は成り立たたないから,やはり|●のψ(x)>=Σ|En><En|●のψ(x)> は間違いです。もちろんHP|●のψ(x)>=PH|●のψ(x)>すなわち[H,P]=0ですが。。。
あとはエネルギー期待値<●のψ(x)|H|●のψ(x)>を求めればと言いたいところですが,そもそも定常でないなら時間と関係ないxの関数の成分を空間部分ベクトル因子として取り出せないので何か意味あるとは思えません。
やはり非定常|t>を考えて空間のある点xの時刻tでの瞬時のエネルギー密度をはかるという意味しかないのでは?
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年8月29日 (金) 01時10分
TOSHIさん 甘泉法師です。
>定常状態でなければ非定常状態なのでHψ=Eψの解ではないですね。
>非定常状態といわれればHψ=i∂ψ/∂tの解でしょう。
|●のψ(x)>に時間のことは考えていませんでした。
たとえば位置の固有関数δ(x-x0)や運動量固有関数δ(p-p0)
に時間が関係ないように。
|●のψ(x)>はエネルギーの固有関数で展開できると考えました。
|●のψ(x)>=Σ|En><En|●のψ(x)> と。
ここでやめておけばよかったと後悔しています。エネルギー固有関数の重ねあわせ状態のことを「定常状態でない」といったために、時間のはいったシュレジンガー方程式のことをTOSHIさんに想起させてしまったのではないでしょうか。
時間のことを考えるのは本意でありません。もし時間を考えるならある決まった時刻に固定した話と見ていただけないでしょうか。
PS
あらためてトラブル発生前の御投稿 TOSHI | 2008年8月28日 (木) 15時46分 について
>瞬時値は関係ないですよ。私の記事はHψ=Eψの解空間の話をしていてHψ=i∂ψ/∂tの>解空間の話ではないです。
>そもそも瞬間値なら保存量じゃなくても観測量です。。
1 御テクニカルターム「瞬時値」「瞬間値」をかってに解釈して発言したのがトラブルのもとでした。
>別にこのくらいでは腹も立ちませんが
御寛恕ありがとうございます。『瞬時値または瞬間値とはどういうものか、その保存量、観測量との関係は』を浅学で知りません。もし教えていただければ幸いです。
2 「Hψ=Eψの解空間」というのは、固有値方程式の解のベクトル|En>のひとつひとつのことを指すのでしょうか。
3 Dは「Hψ=Eψの解空間」に属するのでしょうかそれとも「Hψ=i∂ψ/∂tの解空間」でしょうか。
3 線形結合|●のψ>=Σ|En><En|●のψ>と|●のψの時間t後>=Σe^iEnt/hbar |En><En|ψ> は属する空間が違うのでしょうか同じでしょうか
愚問かと恥じつつもっと御考えを理解したく。
=甘泉法師=
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月28日 (木) 21時25分
TOSHIです。
話が通じなければT_NAKAさんじゃないけど,ここはブログであってfolomyでもEMANさんの掲示板でもないので削除はしないけど私はコメントしません。
投稿: TOSHI | 2008年8月28日 (木) 18時54分
甘泉法師さん。。TOSHIです。
自分の言ったというか書いたことをあくまで言ってない,というのにはあきれましたから,レスやめようと思いましたが誤解かもしれなので。。。ちょっとだけ
以下全文引用
TOSHIさん
たとえば波動関数が●のような
状態のことを考えたのですが...
○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○●○○
○○○○○○○○○○○●○○
○○○○○○○○○○○●○○
○○○○○○○○○○○●○○
○○○○○○○○○○○●○○
○○○○○○○○○○●●●○○
○○○○○○○○○○●●●○○
○○○○○○○○○○●●●○○
○○○○○○○○○○●●●○○
○○○○○○○○○○●●●○○
○○○○○○○○○●●●●●○○
ーーーー○○○○○ーーーー
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
途中省略
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○ ーーー ○○○○
○○○○○○○○○○○○○
横軸は座標、縦軸はψです、エネルギーでなく。もちろん定常状態ではありません。
この状態ψ(x)のエネルギーは測定できるのでしょうか。
=甘泉法師=
引用終わり
にて
>もちろん定常状態ではありません。
と確かに述べられていますよね。
定常状態でなければ非定常状態なのでHψ=Eψの解ではないですね。非定常状態といわれればHψ=i∂ψ/∂tの解でしょう。非定常ならもちろん単に位相変化にすぎないexp(-iEt)以外の干渉のある時間発展をします。
ところが
>時間発展を考えていたつもりはなかったので「瞬時値」といわれポカンとしております。
エネルギー固有状態について運動量を測定すると、〔p,H〕≠0 ですから、運動量固有状態のどれかにジャンプした状態が定常状態でないことは明らかですが...
とあたかも私が唐突に非定常を持ち出したように言われると別にこのくらいでは腹も立ちませんが回答する気にもなりません。ポカンとしているのは私です。。。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年8月28日 (木) 18時51分
自発言へのつっこみ:
1
>1のように観測によるジャンプでもう定常状態は破られています。
「定常」という言葉が時間をイメージして御気にさわったなら、「エネルギー固有」とみてください。実際、時間的イメージはもっていませんでしたので。
2
運動量の測定をして値pをえたら直後の状態が|p>であるかは、運動量についての理想測定、もっとくわしくいうと第一種観測が可能かどうかについてEMANさんのWebでみなさんと若干議論しました。 ここの議論ではそれには頓着しませんでした。
=甘泉法師=
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月28日 (木) 18時24分
TOSHIさん 甘泉法師です。
>え?二枚舌ですか?
日本語に自信がなくご気分を害されたこと申し訳ありまえん。
>PS;言いたいことはハッキリ言ってくださいね。
の教えに従い、説明にこれ努めます。
エネルギー固有状態の運動量観測による状態変化には
1「pの観測によるジャンプ 複数のエネルギー固有状態の重ねあわせへ」と
2「ハミルトニアンによる時間発展」があり
まず1が次いで2がおきると考えます。
御用語「瞬時値」という意味がよくわからず、漢字「時」から2のことかと思った次第です。これについては、先のコメントのように、初期状態をエネルギー固有状態で表示してしまえば、あとは振動させるだけでなんら問題になることはなく特別の議論は不要でないでしょうか。難しい話ではないですから今後の議論で2を考慮することにしても当方は問題ありません。
TOSHIさんが「定常状態」「保存量」に込められた深い意味がよくわかりませんでした。
〔p、H〕≠0から
1’「pの観測によるジャンプ あるエネルギー固有状態へ」
はありえませんね。1のように観測によるジャンプでもう定常状態は破られています。その系がなんらかの緩和現象で定常状態(エネルギー固有状態)になることがあるかもしれませんがそれはまた別の話と存じます。
=甘泉法師=
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月28日 (木) 18時03分
どもTOSHIです。
>時間発展を考えていたつもりはなかったので「瞬時値」といわれポカンとしております。
え?二枚舌ですか?
>もちろん定常状態ではありません。
と書かれていたので。。。
そういうのであればもう対応しません。。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年8月28日 (木) 17時28分
TOSHIさん お答えありがとうございます。
>Hψ=Eψの解空間の話をしていてHψ=i∂ψ/∂tの解空間の話ではない
エネルギー固有関数は「Hψ=Eψの解空間の話」でよいと存じます。この式はまさに固有値方程式ですね。●の|ψ(x)> もHψ=Eψを満たす固有関数で表示できねばなりません、Hがオブザーバブルならば。
時間発展を気にされているようですが、簡単に
ψ(t)=Σ e^-iEnt/hbar|En><En| ●のψ(x)>
と表されると存じます。
>瞬時値は関係ないですよ。
>そもそも瞬間値なら保存量じゃなくても観測量です。。
時間発展を考えていたつもりはなかったので「瞬時値」といわれポカンとしております。
エネルギー固有状態について運動量を測定すると、〔p,H〕≠0 ですから、運動量固有状態のどれかにジャンプした状態が定常状態でないことは明らかですが...
TOSHIさんのいわれる「瞬間値」、「瞬時値」の意味をつかめていませんが、そういうものを許容するならば、|p>や●の|ψ(x)> はHの固有状態で展開できるということでしょうか。
見当違いを正していただければ幸いです。
=甘泉法師=
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月28日 (木) 16時43分
どもTOSHIです。
瞬時値は関係ないですよ。私の記事はHψ=Eψの解空間の話をしていてHψ=i∂ψ/∂tの解空間の話ではないです。
井戸型はHψ=Eψの話じゃないとあまり面白くないのじゃないですか?
そもそも瞬間値なら保存量じゃなくても観測量です。。
そうそう1.の展開の話もありましたね。ψ(x,t)=Σa_Eψ(E,x)exp(-iEt)ですよね。。。Σか積分かはケースバイケースです。
本題と何か関係あるのですか?偏微分方程式の変数分離による解法です。ただしHψ(_E,x)=Eψ(E,x)です。
こういうのは自分で本読んで勉強してください。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年8月28日 (木) 15時46分
TOSHIさん お答えありがとうございます。
甘泉法師
>この状態ψ(x)のエネルギーは測定できるのでしょうか。
TOSHIさん
>測定方法とか実験方法とか言われると
「測定方法とか実験方法とか」のつもりでなく、
1 御ハミルトニアンでは●の|ψ(x)>を、エネルギーの固有関数で展開して表示できますか。
2 もしできないなら御ハミルトニアンはオブザーバブルでないことになり、正しい議論が期せないのではないでしょうか。
|p>も、●の|ψ(x)>も状態空間Dに収まらないが、そういう状態のエネルギー測定(実験でなく理論として)についてTOSHIさんの見解をお聞きしたかったものです。
>PS;言いたいことはハッキリ言ってくださいね。
ハッキリするよう少し書き加えます。
1 はじめにxとpありき
x(ー∞、∞)とp(-∞、∞)があって、フーリエ変換の関係にある。
どんな状態ψ(x)(φ(p))も考えることができる。(上の例だと●も)
2 Hはあくまでその次
この空間にH=(x、p)とxとpの式であらわされる複合演算子の量も考える。Hはその固有関数(固有値はエネルギー)でどんなψ(x)(φ(p))も(上の例だと●も)展開できるようにつくらねばならない。そうでないと「エネルギーが測定でき」ない状態(たとえば●?)が存在することになり経験に反する。
=甘泉法師=
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月28日 (木) 15時24分
どもTOSHIです。甘泉さん、コメントありがとうございます。
>この状態ψ(x)のエネルギーは測定できるのでしょうか。
わかりません。
測定方法とか実験方法とか言われると混乱してわからない頭なのです。
機械いじりとか星を見るとか宇宙旅行に行くとかにも興味なくて,どうしてそうなるんだろうか?ということのみに興味があるという好奇心だけで理論の方に行ったのだし,頭が悪くて絵とかグラフもあまりイメージできなくて,やっと数式の助けで数理物理として物理が理解できているかな?という感じなので。。。
そもそも粒子が持つエネルギーというのはどうやって測るのでしょうか?速さとか位置を測るんでしょうがもちろん差しか測らないんでしょうね。考えるだけでも面倒くさい。。失礼。。。
運動量p=mvの瞬時値ならmがわかってるとしてボールだとスピードガンでvが測れるみたい。
TOSHI
PS;言いたいことはハッキリ言ってくださいね。私の知人の間では私はハッタリも謎かけもお世辞も皮肉も何もかも真に受けて,そういうのは全く効かない人間だと評されているらしいです。自分じゃ冗談もハッタリもわかるつもりなのに,「オダテりゃすぐ木にのぼるし長生きする人間」らしいので。。
投稿: TOSHI | 2008年8月28日 (木) 14時10分
TOSHIさん
たとえば波動関数が●のような
状態のことを考えたのですが...
○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○●○○
○○○○○○○○○○○●○○
○○○○○○○○○○○●○○
○○○○○○○○○○○●○○
○○○○○○○○○○○●○○
○○○○○○○○○○●●●○○
○○○○○○○○○○●●●○○
○○○○○○○○○○●●●○○
○○○○○○○○○○●●●○○
○○○○○○○○○○●●●○○
○○○○○○○○○●●●●●○○
ーーーー○○○○○ーーーー
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
途中省略
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○ ーーー ○○○○
○○○○○○○○○○○○○
横軸は座標、縦軸はψです、エネルギーでなく。もちろん定常状態ではありません。
この状態ψ(x)のエネルギーは測定できるのでしょうか。
=甘泉法師=
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月28日 (木) 12時30分
どもTOSHIです。
>D= Tならば 井戸の外の状態はエネルギーが測定不能であることからHはオブザーバブルでない
??? 1つの状態のエネルギーに井戸の外も内もないと思います。定常状態でエネルギーが保存しているなら全体的に1つのエネルギーレベルにいるでしょう。
別に井戸型でなく現実的な水素原子などの束縛状態でも原子の内部とか外とか区別しません。
なんかまだ状態空間とx空間を混同している気が。。。気のせいかな。
DもTもL^2の真部分空間であることだけは確かでしょうね。。。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年8月28日 (木) 10時20分
TOSHIさん 甘泉法師です。
>一方,状態空間L2の部分集合としての運動量演算子の定義域DやD[α]は,
状態空間の部分空間Dは、たとえばエネルギー基底状態を要素としますが、
>左辺のハミルトニアン(Hamiltonian)H≡-{hc2/(2m)}d2/dx2+V(x)のポテンシャル(potential)V(x)が区間 [0,a]ではV(x)=0 であり,それ以外,つまりx<0,またはx>aではV(x)=∞ であるという
ハミルトニアンの固有状態のすべての張る空間(Tとよぶことにします。)とDの関係は
D=T でしょうか D⊂T 真部分空間 でしょうか
D= Tならば 井戸の外の状態はエネルギーが測定不能であることからHはオブザーバブルでない
D⊂Tならば 運動量演算子の定義域をDとする設定に理由がない。運動量の固有状態(のいくつかでよい)がDのベクトルで展開できないのは自明なので。
と考え、どちらにしても行き詰るように思います。失礼しました。
=甘泉法師=
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月28日 (木) 09時40分
>演算子はその系において定義できるのかという論理的な数学としての矛盾点
了解いたしました。
元記事は、あくまで適用条件を厳しくしたときの数学的トライアルとの認識ですね。
御回答有難うございました。
投稿: はんどる | 2008年8月28日 (木) 07時23分
TOSHIです。
後でゆっくり回答とか書きましたがブログに書いた以上の話はないしどこに差があるのかというのはDがD[α]に変わったら論理矛盾が解決したという話なのでDとD[α]の差です。
ということで個人的には「後でゆっくり」というのはしない予定です。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年8月27日 (水) 18時26分
どもはんどるさん。。コメントありがとうございます。TOSHIです。
ちょっと後でゆっくり答えますが「定常状態の波動方程式の解空間=演算子の定義域」に限る話をしています。
運動量の測定と同時に定常状態という前提そのものがこわれてしまうので,ふつうの話だと運動量を定義するのさえむずかしいかなと考えただけです。
自己共役の定義は受け売りです。まあ相手が定義がこうだよと述べているのには異議申し立てできません。自己共役と観測量が同義というのも,私はもともと観測量になるにはエルミートで十分と思っていたので,まあ条件を厳しくして状態空間を狭くするのは定常状態にかかる演算子に限定しているのだよということを示すというメリットがある程度かなと思っただけです。そうすると観測したとたんに定常状態でなくなるように飛躍するのは困るかなと。。。。
オブザーバブルといっても「ある系において」という系(定常状態)そのものが成立しないような場合であれば成り立つ(保存する)というような演算子はその系において定義できるのかという論理的な数学としての矛盾点にのみ興味を持っただけで,もともととの物理的シチュエーションとしてはあまり興味のない問題ではありますね。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年8月26日 (火) 18時29分
はんどるです。
どこまでが、岩波講座物理学「量子力学Ⅱ[第2版]」の引用で、どこがTOSHIさんオリジナルの考えなのか良く分かりませんが、以下S1,S2、2つの叙述について、腑に落ちない点があるので質問いたします。
S0「物理的観測可能量=オブザーバブル(obsernable)であるということと,Aが自己共役演算子であるということを同一視(identify)します。」
運動量演算子の固有関数系を考慮すると、その作用ドメインは、L^2(-∞,∞) であり、オブザーバブルである用件を満たしているように思います。
S1>pは自己共役演算子ではありませんから,それは観測量であるための必要十分条件を満足しません。
Q1-1.同じ形式の運動量演算子pでも、作用する相手によってオブザーバブルであったり、なかったりの違いがでるとお考えでしょうか?
Q1-2.運動量演算子pの被作用ドメインと作用後のドメインが異なったとしてそれが共にL^2(-∞,∞)のサブ空間である場合に、オブザーバブルだと看做すと、どのような物理的不都合が発生して問題になるのでしょうか?
S2>運動量演算子の表現p=-ihcd/dxのエルミート性は成立し全く問題はありません。
Q2-1.pがオブザーバブルと看做せ、固有状態でない場合は平均値が観測されるとの普通の解釈に影響しないということでしょうか?
Q2-2.結局、ある系において運動量演算子がオブザーバブルである用件は、なんだと考えておられるのでしょうか?
投稿: はんどる | 2008年8月26日 (火) 16時05分
無限大のエネルギーは四則演算も微分もまともに出来ないので、記述可能な系にはならない。
負の無限大のエネルギーがあると全部が負の無限大に落ち込んでしまうから、意味のある系にはならない。
というわけで、無限大はナンセンス。
投稿: hirota | 2008年8月26日 (火) 15時56分
甘泉法師です。自発言の筆が滑ったところを突っ込みます。
>有限深さ井戸なら有限値であることに同意します。
たとえ有限深さ井戸でも、エネルギーの上に制限はないですから+∞になりえますね。調和振動子などふつうの(きっと、任意の)ハミルトニアンでも同じです。下についてはふつう下限があります(注:エネルギーレベルのとりかたにより値は任意にはなりますが)。
でも無限深さ井戸は「底なし」で、いくらでも低いエネルギーレベルをとることができる、というのが本質に思えます。「無限井戸で井戸底がエネルギー0」との設定は、上の無限だけに目が行き、負方向のエネルギーの非有界性を気づかせない蓋になっているように思えます。
変数 -∞<E<∞ に定数Cを加えて 0<E+C<∞ にする ということが数学で許されるのかということです。逆に 「0<E<∞ のところをお前が誤って-∞<E-C<∞ としているのだ」といわれ水掛論か、全くの勘違いでどっちでもいいのかもしれませんが.....
『エネルギーには下限がなければいけない』という要請を時間演算子の非存在の議論で見たことがあります。わたしはわかりませんがTOSHIさんは理屈をご存知でしょうか。無限深さ井戸の「非物理性」と関係しないかな、と思い言及しました。
>たとえば、いくら引力の大きいブラックホールがあるとしてもすべての
一般相対論を持ち出すと自信がないので、どうせたとえと割り切って、ニュートン力学の話で大きさ、密度ρが一定の天体でρをどんどん大きくする場合というふうに変えます。 それならまだ説明できそうなので...。
滑りを矯正するつもりがさらに上滑りになっていないかとおそれつつ
=甘泉法師=
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月25日 (月) 20時56分
hirotaさん
>井戸外の自由な波動関数は存在しなくなる。
1 有限井戸では非束縛状態が存在する。無限井戸では非束縛状態が存在しないなら、その挙動の違いの境のポテンシャルの値はどれか。 温度はしかじかなのでエネルギーの分布は、...とか統計力学(系のエネルギーが決まっている)の話ならできるかもしれませんが、そういう設定ではないと存じます。
2 無限深さ井戸(エネルギーレベルは井戸口)ならば、井戸がいくら深くてもそれを跳びこえている非束縛状態があることは、たとえば、いくら引力の大きいブラックホールがあるとしてもすべての物体が引き込まれるわけではなく、適当な半径でその周りをまわる円軌道や無限遠から来て無限遠に去っていく放物線軌道があるようなイメージで考えられます。この例は運動量でなく角運動量の話かもしれませんが....
無限障壁(エネルギーレベルは井戸底)で考えると、-∞のポテンシャルに打ち勝つ∞の運動エネルギーをもち ∞-∞=有限:井戸外での(ポテンシャルUの台の上を走る速度による実質の)運動エネルギー といった状況が無限の雲の上に隠れていてイメージしにくいのだろうと考えます。が、先に言いましたように定数しか違わない両者のハミルトニアンは同じ物理を示すと考えます。
=甘泉法師=
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月25日 (月) 17時59分
TOSHIさん hirotaさん 甘泉法師です。
1 別の場ですすめられ図書館から借りて手元にある
新版 量子論の基礎 清水明著を 繰ってみたら
「5.7 1次元井戸型ポテンシャル 無限に高い障壁」 に
引用----
もっと現実的なポテンシャルの場合は...で述べる。この節は...の結果のV0→∞の極限をとったものと理解してほしい。
....
ポテンシャルが発散している(という非物理的な状況の)
引用----
とあり、有限深さ井戸の考察をもとにしていることを明確にしています。
2 さて、無限井戸を少しいじってみるとφ’の不連続性とか定数の∞(くりこみでおなじみの)には気にしなくてもいい、おおらかで頑丈な系であるように思えます。
=甘泉法師=
PS お盆休みで返却期限を過ぎてしまいました。
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月25日 (月) 15時28分
>仮想剛体壁は有限井戸の延長上にあるものではない
「定数が無限大」がナンセンスという意味では、そのとおり。
井戸内の波動関数しみ出しが、壁が高くなるにつれて0になるのは延長上だけど、井戸外の自由な波動関数は存在しなくなる。
投稿: hirota | 2008年8月25日 (月) 14時18分
どもTOSHIです。
私的ブログなので理解されなければそれはそれでいいです。
TOSHI
投稿: TOSHI | 2008年8月25日 (月) 12時04分
TOSHIさん 甘泉法師です。
>そもそも∞という数はないと思うので,その絶対値がどんなに大きくてもいいですが
つまり有限深さ井戸ですね。
>Eはdefiniteな値を持つと考えていますから有限値でいいのではないでしょうか。。。
有限深さ井戸なら有限値であることに同意します。
>それに対し剛体壁のVは∞という値であると仮想していますが
仮想剛体壁は上記有限井戸(「絶対値がどんなに大きくてもいいですが」)の考察の延長上にあるものではない、というお考えでしょうか。
=甘泉法師=
PS 前のコメントの図 AとBは逆でした。訂正いたします。
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月25日 (月) 11時52分
甘泉法師さん。。コメントありがとうございます。TOSHIです。
もちろん非相対論的量子力学ではエネルギーというのはどこを基準にとってもいいのでエネルギー差でいいですが。。
一応エネルギー固有値Eには上にも下にも限界はないと考えていますが,そもそも∞という数はないと思うので,その絶対値がどんなに大きくてもいいですがEはdefiniteな値を持つと考えていますから有限値でいいのではないでしょうか。。。実際エネルギーが観測可能なら∞ではないでしょう。
それに対し剛体壁のVは∞という値であると仮想していますが妥当だと思います。
投稿: TOSHI | 2008年8月25日 (月) 10時41分
TOSHIさん 甘泉法師です。
ハミルトニアンに定数を加えても(=エネルギーレベル0をどこにとっても)物理は変わりません。定数が無限大であり、A井戸の底を0にとって「無限高さの壁」、 B井戸口を0にとって「無限深さの井戸」であろうとも。
○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○
ーーーー ーーーー A
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
途中省略
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○|○○○|○○○○
○○○○ ーーー ○○○○ B
○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○
作図苦手につき横ずれは補って見てください。
こう考えると御説の
>実際,物理的に考えて右辺のエネルギー固有値Eは有限(finite)であるべきで
---
>少なくともx軸上[0,a]を除く区間で常に|d2ψ/dx2|=∞ となることが必要です。
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>そこで,[0,a]を除く区間で,測度がゼロの区間を除けばψ(x)は恒等的にゼロであると考えられ
ます。
は再考を要すると思われるのですが、いかがでしょうか。
=甘泉法師=
投稿: 甘泉法師 | 2008年8月25日 (月) 10時00分