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2008年10月 1日 (水)

相対論の幾何学(第Ⅱ部-1)(ベクトル空間)

これまでは主に3次元空間内の2次元曲面の幾何学について論じてきましたが,ここからは一般のn次元空間内の多様体などの話について述べることから始めます。

 

さし当っての目的は接続やリーマン曲率などのより詳細な幾何学的意味を理解するためです。

まず,体Kの上の2つの抽象的なベクトル空間(線型空間)V,Wが与えられ,VからWへの写像fが∀1,2∈V,∀a1,a2∈Kに対してf(a11+a22)=a1(1)+a2(2)∈Wを満たすとき,fを線型写像と呼びます。

 

Vの元をベクトル,Kの元をスカラーと呼ぶことにします。

 

線型写像は,ベクトルの和とスカラー倍という演算を保つ準同型写像を意味します。特にWがKである場合,つまりfがV→Kの線型写像ならfを線型関数と呼びます。また,W=Vならf:V→Vの線型写像fを線型変換と呼びます。

Imf≡f(V)≡{f()|∈V}をVの写像fによる像と呼びます。もちろん,f(V)⊂Wです。

 

また,Kerf≡{∈V|f()=0 }を写像fの核と呼びます。fが線型写像なら,f(0)=0 により,Kerf≠φです。

 

VとWの間に同型写像(全単射(全射,かつ単射)の準同型写像)が1つでも存在するとき,VとWは同型であるといいます。

 

VとWが同型であることを,V~Wと書くことにします。

  

特に線型写像fの場合,これが同型写像であることは,Kerf={0}なることと同値です

ベクトル空間の1次独立な元の最大個数は,各ベクトル空間に固有であり,これを次元と呼びます。Vの次元,Wの次元をそれぞれdimV,dimWと書きます。

 

VとWが同型:V~Wなら,もちろん,dimV=dimWです。

 

逆に任意のn次元ベクトル空間は,全て線型空間としては同型,つまりdimV=dimWならV~Wなので,特に体Kのn次元数ベクトル空間:Knと同型です。

 

K=R(実数体)なら,Kn=Rnはn次元ユークリッド空間です。

dimV=nの場合,V~Knなので,VをKnと同一視します。

 

一方f:Kn → Knの線型変換は,n次の正方行列と同型対応しますが,この変換行列の全体はリー群(Lie group)を作ります。

 

この行列群を一般線型変換群と呼びます。これは,GL(n,K)で表わされるのが慣例です。

 

そこで,もしもV~W~Knなら,V→Wの線型写像fも"GL(n,K)の元=n次正方行列"と同型対応するので,fをそのGL(n,K)の元の変換行列と同一視します。

 

以下では特に,V~KnでVがK上のn次元ベクトル空間である場合,VをV(n,K)と書くことがあります。

線型代数学において,"線型空間V,Wがあるとき,V→Wの任意の線型写像fに対してdimV=dim(Kerf)+dim(Imf)が成立する。"という定理があります。

 

先に述べた,"fが同型写像であることはKerf={0}と同値である。"という命題はこの定理の特別な場合に相当しています。

さて,f:V→Kをベクトル空間V=V(n,K)上のある線型関数とします。

 

{i}i=1,2,..,nをVの1つの基底として,≡v11+v22+..+vnn∈Vを適当に選びます。

 

このとき,f() =v1(1)+v2(2)+..+vn(n)と書けます。そこで,{f(i)}i=1,2,..,nが決まれば関数fは完全に決決定されまります。

 

そしてV上の2つの任意の線型関数f1,f2に対し,∀a1,a2∈Kについて,{a11+a22}()≡a11()+a22()によって関数a11+a22を定義すれば,a11+a22もまたV上の線形関数なのでV上の線型関数全体も再び線型空間になります。

 

この線型空間をV=V(n,K)の双対ベクトル空間といい,V*(n,K),あるいは単にV*と表わします。

先に述べたように,f:V→Kはn個のKの元の組(f(1),f(2),..,f(n))で完全に決まります。

 

これらの値が1つでも欠けるとfは決まりませんが,このn個の"スカラー=数"を並べた組は正にn次元数ベクトルの形をしています。

 

それ故,線型関数fとKnの元が完全に1対1に対応することになりますから,VとKnは同型です。

 

よって*の次元もnです。すなわちdimV*dimVですね。

そして,e*k(i)=δik (i=1,2,..,n)のn個の値で定義されるn個の線型関数e*k (k=1,2,..,n)の組を*双対基底と呼ぶことにします。

 

明らかに,任意の線型関数fはf=Σkk*kと展開されます。

 

そこで,∈Vに対し,f()=Σkk*k()=Σk,iki*k(i)=Σkkkとなります。

 

右辺はf∈V*の成分(f1,f2,..,fn)と∈Vの成分(v1,v2,..,vn)の内積の形になっています。そこで,f()を*×V→Kの内積として(,)と書くこともあります。

:V→Wとg:W→Kがあるとき,合成写像g・fをhと書いてh()≡g(f());∈Vと定義することで,h∈V*が得られます。

 

これを,g∈Wが与えられたときに,写像:V→Wが写像h∈V*を誘導したと見ます。そこで,このg→hなる対応を*としてh=f*(g)と書くと,誘導写像と呼ばれる写像f*:W*→V*が得られます。

 

=f*(g)を,f*によるgの引き戻しと呼びます。

以下ではKを実数体として考察します。

さて,V=V(m,)を基底{i}i=1,2,..,mを持つベクトル空間,V*をその双対空間とします。

 

このときdimV*dimVなので,VとV*の間には同型写像g:V→V*が存在します。

 

先に述べたようにgはGL(m,)の任意の元と同一視できますから,gの行列としての成分表示が存在します。

 

すなわち,同型写像g:V→V*は,g:vj→Σkjkk,つまりgj=Σkkj*k,または=Σjjj∈Vに対して,=Σk,jkjj*k∈V*と表現できます。

そこで,Vの任意の2つのベクトル12の内積をg(1,2)と書き,同型写像g:V→V*を用いてg(1,2)≡Σk,j1kkj2jt(1)2t1t2と定義します。

 

さらに,g(2,1)=g(1,2)であるようにgの行列(gij)はgji=gijなる対称行列gであるとし,常にg(,)≧0:行列g=(gij)は正値であるとします。

 

これによって非負ののノルムを,g(,)の正の平方根として定義できます。

 

ji=gij (tg=g) なので,g(1,2)=Σk,j1kkj2jt(g1)2t1t2は,(1,2)=Σk,j1kjk2jt12と書いても同じです。

 

ただしt1,tgの左上添字tはそれぞれ行列1,gの転置行列を示しています。

次に,上と同じくg:V→V*がV=V(m,)からV*への同型写像であるとき,W=W(m,)を基底{Wα}α=1,2,..,mを持つm次元ベクトル空間とし,G:W→W*をWからW*への同型写像とします。

 

そして,線型写像f:V→Wが与えられたとき,∀∈V,∀∈Wに対してG(,f)=g(,f~)を満たす写像f~:W→Vをが存在すれば,これをf:V→Wの随伴と呼びます。

(,f)=g(,f~)は成分表示では,Σα,β,kααββkkΣk,j,αkkj~jααとなります。

 

ここに(fβj),(f~jα)は,それぞれ写像f,f~の行列成分表示です。

 

この等式から,随伴の条件は,Gαββkkj~jα,またはG,f,g,f~を行列として,ttG=gf~,or f~=g-1 ttGなることで与えられることがわかります。

 

ここで,g,Gは同型写像故,detg≠0,かつdetG≠0 なので,条件f~=g-1 ttGから,rankf=rankf~であることが結論されます。

 

rankf=dim(Imf)ですから,このことはdim(Imf)=dim(Imf~)を意味します。

なお,Kが実数体ではなくて複素数体のときには,1,2∈V=V(n,)に対する内積はg:V=V*を同型写像として(1,2)≡Σk,j1k*kj2jで定義されます。ただし,1k*は複素数v1kの複素共役です。

 

そして,fの随伴f~は(,f)*=g(,f~)で定義され,随伴であるための条件はf~=g-1++となります。

 

ただし,f+はfのエルミート共役であり,行列の意味でf+*なることを意味します。また,dim(Imf) =dim(Imf~)が成立することはKがでもKがの場合と同じです。

したがって,V,Wが体K上の有限次元ベクトル空間でf:V→Wが線型写像であるとすると,dimV=dim(Kerf)+dim(Imf),かつdimW=dim(Kerf~)+dim(Imf~)なので,f~がfの随伴でdim(Imf)=dim(Imf~)なることは,dim(Kerf)-dim(Kerf~)=dimV-dimWを意味します。

 

右辺の差dimV-dimWは写像fの選択には無関係です。

 

もしも,fが微分作用素D^である場合,D^の随伴はD^+と書かれ,左辺のdim(Kerf)-dim(Kerf~)はdim(KerD^)-dim(KerD^+)と表現されますが,これを微分作用素D^の解析的指数といいます。

 

したがって,dim(Kerf)-dim(Kerf~)=dimV-dimWなる等式は後に述べる指数定理のミニチュア版となっています。

今日はここで終わります。

参考文献:中原幹夫 著「理論物理学のための幾何学とトポロジー」(ピアソン・エデュケーション)

 

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