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2008年10月16日 (木)

超弦理論(1)(初期の双対模型(dual model))

今日から,シリーズ記事の1つとして超弦理論(superstring theory)を取り上げることにします。

 

1990年代の終わり頃には,超弦理論の知見に関して私は高々啓蒙書レベルだったのですが,当時それについて少し専門的に勉強しようと思い立ち入門テキストとしてB.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著の「superstring theory」(Cambridge University Press)を購入して,読み始めたのでした。

 

気紛れですが急に思い立って,今日からその当時の勉強ノートのレビューを書いてみようと思います。

これは,もちろん私自身の覚え書きでもあります。

 

昔から英語は苦手なせいもあって,1999年7月12日から大体1日1ページのペースで読み進んでいました。

 

ところが,実は2000年の3月末頃にVolume1Ⅰ(第Ⅰ巻)の267pのたった1行=第5章"Space-time supersymmetry in string theory(超弦理論における時空の超対称性)での"Super Poincare algebra(超ポアンカレ代数)"の節でのある1式が理解できず,1ヶ月以上も考えたり調べたりして悩んだ末に,そこで中途止めになっていました。

 

しかし,6年ぶりにふとその部分を見たら,何と一発で理解できたので,また2006年1月から読書を再開しました。

 

でも.すぐに278pまで読んだところで,またしてもスピン群の直積表現の既約表現への分解の項目が理解できなくて,改めて線型リー群の表現論から勉強し直しているうちに,他に興味が移って投げ出したのでこれの読解はまた中途で止まっています。

 

(まあ,英語で2巻で1000ページ程度の本とはいっても,文章だけを追って式のチェックもせずに流し読みしていたなら,いくら何でも20世紀から今まで8年くらいも経てば読み終わっていたはずだとは思います。

 

例えば,日本語の本でも,2巻で550ページくらいの専門書を精読したときには,1行足らずでもいくら考えてもわからなければ本屋や図書館で対象としている本の10倍以上の参考書を見たりして調べる,または図書館で原論文を探したりして中には数ヶ月も塾考を重ねて理解に努め,

 

全く聞ける人もなく完全独学で何とか99%理解して読了するまで4年かかったというのもありますから,式を追いかけて理解しながら精読すれば英語の大部だと20世紀から今までかかっても読了できない,というのは決して不思議ではないです。

 

もちろん,その間も全く無関係に生活のための仕事は欠かせないので,こうして勉強するといっても,それは平日の夜中か休日にやるしかありませんから,まともにやってると歳を食うばかりです。

 

しかし,大学受験勉強の時代にやっていたように,極端な話をすれば英語の単語を覚えるために辞書を破っては食べるというように時間に追われて無理矢理記憶するという類の勉強は大嫌いだし,お上から資格を頂くというのも好きではないので,資格試験など受けるための勉強をしたことはなく,大学で普通に取れる教員免許の資格さえ持っていません。

 

でも,今は試験を受けるときのように他人より早く理解できなければ意味がないというわけでもなく,別に知識として蓄えたりする必要もないので,理解するためには徹底的に調べるけどそれで記憶するというわけではないので,ちょっと離れるとすぐ忘れてしまいます。

 

しかし,気にすることはなく必要ならまた調べればいい,というような気の長い勉強ならむしろ好きな方ですね。)

 

とりあえず,投げ出したところまでは,再考しつつ進み,できたらそれから先もゆっくり読んで理解できるように努力しようと思います。

 

一応,ブログに書いていけば何だか長続きしそうな気がします。

超弦理論は素粒子の基礎理論候補として有望な理論ですが,これは未だ確立されたものではなく,候補となる新理論はこればかりではないし,今のところ正しいとも間違っているとも検証不可能です。

 

また,他に日本語訳書としてもっと新しいテキストのポルチンスキー(Polchinski)もあるので,この本の理解だけにモチヴェーション維持し続けるのも結構大変です。

しかし,これまでは何であろうとくだらないと思って放り投げた場合を除けば,専門書は読み始めたものは何年かかっても理解できるまで粘って読み終えてきたので,これも最後まで読めるようにトライしてみようと思います。

まずは,Chapter.1 Introduction(第1章:序文)からです。弦理論の歴史を述べている章ですね。

さて,1900年にPlanckの黒体輻射から量子論が始まりました。その後,1960年代には新粒子の発見,特にハドロン(hadron)の発見が相次ぎました。

これは強い相互作用の分野でのハドロンの共鳴として分類され,特にレッジェ軌跡(Regge trajectory)を作るものとして注目されました。

 

すなわち,比較的軽い粒子の質量mの平方とその粒子のスピン(spin):Jの間に"比例関係=直線関係":m2=J/α'(α'~1GeV)がある,というものです。

 

こうした挙動は,およそ,スピンがJ=11/2の粒子まで成り立つことがテストされており,このレッジェ・スロープは無限に続くのではないか?と予想されました。

(この辺りのS行列の解析性などの関連の話は2007年の8/21~10/1のR.Omnes & M.Froissartの著書「Mandelstam theory and Regge Poles」について解説した記事「S行列とレッジェ理論」の(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) に詳述していますので,興味があれば参照してみてください。)

共鳴の個数はあまりにも多く,それらの全てが基本粒子であるとは考えられず,当時,高いスピンの素粒子についての首尾一貫した理論の存在は知られていませんでした。

 

そして整合的で,くりこみ可能な場の量子論は,スピンが0,1/2,1のそれに限られているように見えて,既知の理論は可換ゲージ理論とスカラー理論,そして湯川理論くらいでした。

合理的な場の理論は低い値のスピンを扱うケースに限定されていることが多い,ということについては現在でもあまり状況は変わらないと思われますが,現在ではスピンが1の無矛盾な理論の中に非可換ゲージのヤン・ミルス理論(Yang-Mills theory)が含まれています。

合理的な場の理論でのスピンの限定は,スピンとして1/2,1を持つ粒子だけの電磁相互作用において成功を収めたQED(量子電磁力学)と同じ場の理論的記述と矛盾しなかったし,少なくともその後すぐに展開された弱い相互作用での試みとも両立しました。

 

しかし強い相互作用への同様なアプローチは成功の見込みがありませんでした。

強い相互作用における困難は散乱振幅の高エネルギーでの挙動に関連していました。

 

例えば運動量がp1,p2のスピンゼロの入射粒子が運動量がp3,p4の粒子に散乱される弾性散乱を考えます。 

 ↑図1-1:入射運動量p1,p2,散乱運動量-p3,-p4のスピンゼロ粒子の弾性散乱 (s-チャンネルとtチャンネルの両方を示す。伝統的場の理論では散乱の総振幅はs-チャンネルとtチャンネルの両グラフの寄与の総和で構成される。)

 

単位を自然単位に取り4元運動量がpiμ=(Ei,i),p=(Ei,-i)(i=1,2,3,4)と表わされる計量(metric)を採用すれば,Mandelstam変数と呼ばれる運動学的変数s,t,uはs=(p1+p2)2,t=(p2+p3)2,u=(p1+p3)2と定義されます。

ただし,粒子の運動量の符号は全てが1つの標的に向かうように取ります。つまり,入射粒子の運動量はp1,p2ですが散乱粒子の運動量は本来は-p3,-p4と書かれるべきものです。

 

このときs,t,uは恒等式s+t+u=Σi=14i2を満たします。

弾性散乱される外的スカラー粒子の属性は3つのフレイバー(flavor)自由度についてのSU(3)群の随伴表現で変換するπ中間子のような粒子と仮定し,i番目の外的粒子のフレイバー量子数はその生成子の表現行列λiで特徴づけされるとします。

この散乱振幅には群論因子tr(λ1λ2λ3λ4)(tr(A)は行列Aのtrace(対角和))に比例する項が存在しますが,この群論因子は1,2,3,4の巡回置換に対して不変なので,ボーズ統計(Bose統計)により対応する散乱振幅の項もp1,p2,p3,p4の巡回置換の下で対称であることが要求されます。

そしてMandelstam変数においては上記の置換に対する対称性は散乱振幅A(s,t)のs⇔tの交換対称性に対応します。

 

つまり,sチャンネルとtチャンネルの交叉対称性(crossing symmetry)です。

通常の場の量子論では,散乱振幅への無視できない主な寄与は摂動の基本的なツリーグラフ(tree diagram)に由来しますが,高スピン粒子に対する明確な場の理論の構成がむずかしい根本的な理由は高スピン粒子を交換する摂動グラフの高エネルギーでの挙動の扱いがむずかしいからです。

すなわち,散乱振幅が漸近的にはユニタリ性(unitarity)の限界を超えます。

例えば入射p1,p4が弾性散乱されてp2,p3になると見るtチャンネルのグラフを想定し,そのチャンネルで散乱される粒子場は単一種類で,それをφ,散乱の中間状態の粒子場をσで記述することにします。

このとき,もしσのスピンがゼロなら相互作用はφ*φσなる形であり,振幅は単純にA(s,t)=-g2/(t-M2)となるはずです。

 

ただしgは結合定数,Mはσで記述される粒子の質量です。この振幅は今論じている相互作用の高エネルギーの1つの方向であるt→ ∞ の極限では消えます。

一方,σがスピンJの場=テンソル場σμ1μ2..μJであるとすれば,相互作用項の形は,φ*μ1μ2..∂μJφσμ1μ2..μJのようなものでなければなりません。

 

ただし,φ*μφ≡φ*μφ-(∂μφ*)∂φと定義されています。

 

φの方がスカラー粒子なら,tチャンネルでのスピンがJの粒子σの交換の散乱振幅への寄与AJは,高エネルギーではAJ(s,t)=-g2(-s)J/(t-M2)なる形を取るはずです。

なぜなら,運動量表示でのφ*μ1μ2..∂μJφσμ1μ2..μJの2つの頂点(vertex)の寄与は,{(-i)(p1-p4)(-i)(p2-p3)}J=(u-s)Jです。

 

そして,μを粒子φの質量とすればs+t+u=4μ2なので,u-s=4μ2-2s-tと書けますが,4μ2は小さいのでtを固定するとs→ ∞ の高エネルギー極限では,u-s~ -2sとなります。

 

そこで,s→ ∞ では(u-s)J ~ (-2s)Jですから,正しくはAJはAJ(s,t)=-2J2(-s)J/(t-M2)となります。

そこで,s→ ∞ の高エネルギーでの摂動グラフの散乱振幅への寄与AJは交換粒子のスピンJが,J<1を満たす場合なら収束しますが,J>1の高スピン粒子を交換する場合は発散します。

 

この振幅はJが大きくなるとどんどん"悪く"なるわけです。(つまりより発散するようになります。)

↑図1-2:(1-loop-graphは2つのtree-graphsを縫合することによってつくることができる。)

 

何のために"悪い"振幅なのかという客観的判定条件は,図1-2のようにループを作るのにAJ(s,t)=-g2(-s)J/(t-M2)のような振幅を縫い合わせると何が生じるのか?を問うことです。

 

1ループグラフの寄与は,空間がn次元なら1-ループ積分:∫dnpA(s,t)2/(p2)2で与えられます。

 

そこで,空間が4次元,つまりn=4では,AJが同じくJ<1に対して収束し,J>1に対しては発散するのでくりこみ不可能,J=1ならくりこみ可能な対数発散です。

そうして,tチャンネルで交換される種々のスピンJを持った質量MJの相互作用粒子による寄与を総和すると,A(s,t)=-ΣJJ2(-s)J/(t-MJ2)と書けます。

 

ただし,結合定数gJ2の中には,例えば上の2Jのような因子も含め,スピンJの交換粒子と関わる量子数などに起因する全ての情報因子が含まれているとします。

もちろん,強い相互作用は結合があまりに強くて,このようなボルン級数での近似をするのは意味がないという見解をとることも可能です。しかし,とりあえずは楽観的に考えてこうした手法が可能と考えます

もしも,A(s,t)=-ΣJJ2(-s)J/(t-MJ2)の右辺が有限和であるならs→ ∞ の高エネルギーでの散乱振幅A(s,t)の挙動は,右辺に寄与する最大のスピンJを持つハドロンの項sJ に比例する支配的な項から決まるはずです。

 

しかし,自然界で観測される振幅の高エネルギーでの挙動は,これとは大きく異なっていて右辺のどの項の挙動よりもはるかに緩やかです。

 

したがって,散乱振幅が観測される結果と適合するためには,A(s,t)=-ΣJJ2(-s)J/(t-MJ2)の右辺の級数が有限級数であると考えるのは合理的ではないことになります。

右辺の級数が無限級数であるとすれば,それは確かに最高スピンのハドロンを交換した振幅のようには見えません。

 

そして,丁度,"exp(-x)=Σn=0(-x)n/n!なるベキ級数展開では,x→ ∞ としたとき,左辺の和:exp(-x)の絶対値が右辺の級数の各項のx→ ∞での絶対値(=∞)よりも小さくなる"という例と同じく,

 

A(s,t)=-ΣJJ2(-s)J/(t-MJ2)なる級数展開表現では,s→ ∞ において,右辺の有限なJに対応する如何なる項よりも左辺のA(s,t)の方がソフトな挙動をすることも有り得ます。

級数和が無限和であると見なすことからは,もう1つ別の帰結も生み出されます。

すなわち,πの弾性散乱のような物理的過程ではA(s,t)=-ΣJJ2(-s)J/(t-MJ2)の右辺におけるようなtチャンネルの極:t=MJ2が主要な役割を果たすと予想されます。

 

しかし,先に述べたように群論因子tr(λ1λ2λ3λ4)に由来するA(s,t)のs-t交叉対称性があるため,sチャンネルにも共鳴によるsの極があると予想されます。

 

ところが,A(s,t)=-ΣJJ2(-s)J/(t-MJ2)の右辺の級数が有限級数である場合には,全てのスピンJが非負の値なので固定したtに対して,これは明らかにsの極を持ち得ません。

通常の場の量子論では,散乱振幅に寄与する摂動グラフとしてsチャンネルのグラフとtチャンネルのグラフの両方を対等な寄与として含めますから,それぞれの級数が有限級数でもs-tの交叉対称性は満足されています。

 

しかし,もしもA(s,t)=-ΣJJ2(-s)J/(t-MJ2)の右辺が無限級数であるなら,各項には有限なsの極がなくても無限和が有限なsの極を持つことが可能なので,sチャンネルを想定したグラフによる単独の寄与だけでも,十分にs-tの交叉対称性が満たされる可能性があることになります。

すなわち,A'(s,t)=-ΣJJ2(-t)J/(s-MJ2)として,A(s,t)+A'(s,t)を全散乱振幅とするのではなく,両者でのgJ2,MJ2を巧妙に選んで共に無限級数とすれば,A(s,t)=A'(s,t)とできるのではないかと予測されます。

sチャンネルとtチャンネルの等価性は1968年頃にDoren,Horn,Schmidによって論じられ,彼らは実験データの助けにより,小さいs,tでは近似的にA(s,t)=A'(s,t)が従うことを主張しました。これは双対性(duality)の仮定と呼ばれています。

双対性の仮定:A(s,t)=A'(s,t)に正確に従うgJ2とMJ2を選ぶことはほとんど不可能に見えましたが,1968年にこれを可能にする方法がヴェネツィアノ(Veneziano)によって発見されました。

 

すなわち,A(s,t)=Γ(-α(s))Γ(-α(t))/Γ(-α(s)-α(t))とおけば,これは双対性を満たします。

 

これをVeneziano振幅と呼びます。ここで,ΓはEulerのガンマ関数:Γ(u)=∫0u-1exp(-t)dtです。また,α(s)はsの関数としてのスピンの値を示すレッジェ軌跡です。

Venezianoはレッジェ理論で,それぞれレッジェ軌跡曲線の傾きと切片として知られているα'とα(0)を用いて,レッジェ軌跡としてα(s)=α(0)+α'sなる1次式を仮定しました。

今日はここで終わります。 

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」(Cambridge University Press) 

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