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2008年12月 5日 (金)

相対論の幾何学(第Ⅱ部-7)(リー群とリー代数)

相対論の幾何学シリーズ記事の多様体に作用するリー群とリー代数等について残りの必要な知見を要約します。

まず,既に述べたことの復習です。

(復習):^≡Xμ(∂/∂xμ)を微分多様体M上の滑らかなベクトル場とするとき,^の積分曲線(t)とはM上の曲線であって,その上の各点(t)∈Mでの接ベクトルが丁度^|xに一致するものです。

 

つまり,(t)が^の積分曲線であるとは曲線上の各点の近傍Uでチャート(U,φ)が与えられたとき,座標(位置ベクトル)(t)={xμ(t)}が,微分方程式dxμ/dt=Xμ((t))の解になることを意味します。

 

ただし,正確には点の座標xμ=xμ(t)とは,チャート(U,φ)による座標φ((t))の成分φμの意味です。

ベクトル場^≡Xμ(∂/∂xμ)が滑らかなベクトル場であることから,初期条件として点(0)=0を与えれば,この点を通る一意的なd/dt=の解が少なくとも局所的には存在することが,常微分方程式の解の存在と一意性の定理によって保証されます。

そこで初期条件(0)=0を満たすd/dt=の一意解をσ(t,0)とします。

  

すなわち,dσμ(t,0)/dt=Xμ(σ(t,0)),かつσμ(0,0)=x0μとします。

 

このσ(t,)∈M for (t,)∈×Mで表わされる写像σ:×M → Mを"Mの上の滑らかなベクトル場^によって生成される流れ"と呼びます。

[定義5]:リー群をGとし,a,g∈Gとする。Gの上での変換としてgのaによる右移動Ra,および左移動Laを,それぞれRag≡ga,およびLag≡agで定義する。

定義により,右左移動:Ra,Laは共に明らかにGからGへの微分同相写像です。

 

したがって,これらに対して接ベクトルの空間の上の誘導写:Ra*:Tg(G)→Tga(G),およびLa*:Tg(G)→Tag(G)が存在します。

 

そして,これら両方の移動は等価なので,以下では左移動のみを考えることにします。

 

以下,移動に関連する概念の定義をいくつか列記します。

[定義6]:^=Xμ(∂/∂xμ)をリー群G上のベクトル場とする。これが左移動に対してLa*^|g^|agを満たすとき,この^を左不変ベクトル場であるという。

[定義7]:Gの上の左不変ベクトル場全体の集合であって,リー括弧積[ , ]:×が定義されたものをリー代数(Lie algebra),またはリー環という。

  

 (復習終わり)

  

 さて,^≡Xμ(∂/∂xμ)を"リ-群G=微分多様体G"上の滑らかな左不変ベクトル場とすると,これはGにおける流れを生成します。これに関連して1つ定義を書きます。

[定義8]:Gにおける曲線φ:→Gがφ(t)φ(s)=φ(t+s)を満たすとき,φをGの1-パラメータ部分群)という。

これから,明らかにφ(0),かつφ-1(t)=φ(-t)であり,曲線φからGへの準同型写像です。Gが非アーベル群の場合でも,曲線φの群は常にアーベル部分群であることもわかります。

Gの1-パラメータ部分群φ:→Gが与えられたとき,dφμ(t)/dt=Xμを満たすベクトル場≡Xμ(∂/∂xμ)が存在します。これがGの上で左不変であることを示します。

すなわち,d/dt≡(dφμ/dt)(∂/∂xμ)が左不変であることを証明します。

 

(証明):定義によれば,ベクトル場d/dtが左不変である,というのは(La)*(d/dt)|g=(d/dt)||agが成立することを意味しますが,点gと点agが共に同じ流れ関数の曲線φ(t)上の点でなければ,d/dtなる演算に意味がないのでg=φ(s),a=φ(t)とすると,φは1-パラメータ部分群なのでag=φ(t)φ(s)=φ(t+s)です。

今,aもgもパラメータt,sだけで決まるので,(La)*(d/dt)|gを(Lt)*(d/dt)|sと書きます。

 

そして,f:M→Nに対する誘導写像f*:Tp(M)→Tf(p)(N)の定義式f*^[h]≡^[h・f]で,f,f*の代わりにLt:G→G,(Lt)*:Tφ(s)(G)→Tφ(t+s)(G)を代入し,hをN上の関数ではなくG上の任意関数とします。

 

すると,誘導写像の定義は,(Lt)*(dh(φ(t))/dt)|s=(d/dt)[h(Ltφ(s))]=(d/dt)(h(φ(t+s)))を意味します。

それ故,1-パラメータ部分群φの場合,誘導写像の定義がそのまま左不変の定義(Lt)*(d/dt)|s=(d/dt)|t+sに一致しますから,確かにd/dt=(dφμ/dt)(∂/∂xμ)は左不変です。

 

特に,g=φ(s)でs=0 つまりg=φ(0)=eとすれば左不変性は(Lt)*(d/dt)|0=(d/dt)|tと書けます。(証明終わり)

 

くどいようですが,^≡Xμ(∂/∂xμ)の係数がXμ≡dφμ(t)/dtで与えられる場合には,g=φ(t)のとき^|g=Xμ(∂/∂xμ)|g=(d/dt)|t=(dφμ/dt)(∂/∂xμ)|φ(t)と書けます。

 

そして,この式でt=0 としてgの代わりにe=φ(0)と書くと,^|e=(d/dt)|0=(dφμ/dt)(∂/∂xμ)|φ(0)となります。

 

そこで,上に示したd/dtの左不変性(Lt)*(d/dt)|0=(d/dt)|tは,ベクトル場^を用いた表記ではg*^|e^|gとなります。

 

以上から,流れφ(t)が与えられると,それに伴なう左不変ベクトル場^|gが常に存在することが示されました

逆に,左不変ベクトル場^があると,dσμ(t,g)/dt=Xμ|g,かつσ(0,g)=gを満たす流れσ(t,g):→Gが存在します。

 

そこでφ(t)≡σ(t,e)と定義すると,曲線φ(t)はGの1-パラメータ部分群になることがわかります。

すなわち,定義によりdσμ(t,σ(s,e))/dt=Xμ(σ(t,σ(s,e))),つまりdσμ(t,φ(s))/dt=Xμ(σ(t,φ(s)))です。また特にσ(0,φ(s))=φ(s)です。

 

一方,σ~(t,φ(s))をσ~(t,φ(s))≡φ(t)φ(s)で定義すれば,φ(t)≡σ~(t,e)ですからdσ~μ(t,φ(s))/dt=Xμ(σ~(t,φ(s))),かつσ~(0,φ(s))=φ(s)です。

以上から,常微分方程式の解の一意性定理によって,σσ~は一致します。つまりσ(t,σ(s,e))=σ~(t,φ(s))=φ(t)φ(s)となりますが,σ(t,g)は流れですからσ(t,σ(s,e))=σ(t+s,e)=φ(t+s)を満足します。

 

そこで,結局φ(t+s)=φ(t)φ(s)が得られます。

こうして,Gの1-パラメータ部分群と左不変ベクトル場の間には1対1の対応があることがわかりました。

[定義9]:Gを1つのリー群とし^∈Te(G)とする。このとき指数写像:exp:Te(G)→Gを,exp(^)≡φV(1)で定義する。ここでφV(t)は左不変ベクトル場V|g≡Lg*^に対応するGの1-パラメータ部分群である。

 

(V|e^∈Te(G)であり,VV|g≡Lg*^で定義されて,これを^によって生成される左不変ベクトル場といいます。)

ここで,任意のベクトル場^∈Te(G)に対して一意的に決まる左不変ベクトル場V^の概念について,前記事で述べた内容を再掲します。

(再掲):任意のベクトル場^∈Te(G)とg∈Gに対して,ベクトル場V^をV^|g≡Lg*^で定義します。

 

 V^|g,g∈GはG全体で決まります。

 

 そして,これはV^|ag=Lag*^=(La*g*)^=La*V^|gを満たしますから,V^それ自身左不変です。

 

 逆にGの上の任意の左不変ベクトル場^があるとき,Te(G)の元として^≡^|eを与えるとV^|g=La*^|gとなりますから,V^≡^が成立します。

Gの上の左不変ベクトル場全体の集合をと書けば,写像^→V^はT(G)からへの同型写像であることがわかります。

 

左不変ベクトル場全体はT(G)に同型なベクトル空間です。そして,特にdim=dimGです。

 

V^を^によって生成される左不変ベクトル場といいます。

ベクトル^=Vμ(∂/∂xμ)|e∈Te(G)は,リー群Gが行列群GL(n,)の場合には,^=Vij(∂/∂xij)|eとなり,^で生成される左不変ベクトル場V^はV^|g=La*^|g=Σijklmij[∂({xkl(g)xlm(e)}/∂xij(e)}{∂/∂xkm(g)}=Σijkki(g)Vij(e)(∂/∂xkj)|gと表わされます。

 

(Vijは行列^の(i,j)要素ですが,これをn2次元ベクトル^の成分Vμ(μ=1,2,..n2)と同一視しました。)

 

ここで,上の最後に陽に書いたベクトル場V^|g=La*^|gの係数をgの座標を示す行列と^の行列との積の行列要素として,Σkki(g)Vij(e)=(gV)kjと書くことにすれば,上記表現はV^|g=Σij(gV)ij(∂/∂xij)|gとなります。(再掲終わり)

 

さて,重要な定理を1つ与えて証明します。

[定理]:Gを1つのリー群とし^∈Te(G)とする。このときexp(t^)=φV(t)が成り立つ。

(証明)a∈をゼロでない定数とすると,φV(at)はdφVμ(at)/dt|t=0=adφVμ(t)/dt|t=0=aVμを満たします。

 

 これは,φV(at)がa^で生成される左不変ベクトル場aV^|g≡La*^|gから生成されるGの1-パラメータ部分群φaV(t)に一致することを意味しています。すなわち,φaV(t)≡φV(at)です。

 

 ところが定義によって,exp(a^)=φaV(1)ですから,φaV(1)=φV(a)により,exp(a^)=φV(a)です。

 

 最後の式でaをtに置き換えると,exp(t^)=φV(t)を得ます。

                     (証明終わり)

さて,リー群Gが行列群GL(n,)の場合,そのリー代数をl(n,)と書くことにします。

 

つまり,Gの左不変ベクトル場全体の集合で,g∈Gに対応して∀^∈Te(G)に対しV^|g=Lg*^=gl(n,)が定義され,[V^,V^]|g=Lg*[^,^]|g=g[,]なるリー括弧積[ , ]:l(n,l(n,)→l(n,)が定義されるようなものをGL(n,)のリー代数,またはリー環と呼び,l(n,)と表記します。

一般に行列群Gに対して,∈Te(G)のときは行列であり,行列積:gV^|gの行列を表わします。

 

l(n,)ですが,g=eとした^=eも,もちろんリー代数l(n,)の元です。

 

先述したように,Te(G)はl(n,)と同型なのでTe(G)をGのリー代数と同一視できます。

行列群に対しては指数写像は指数行列を意味します。

 

G=GL(n,),l(n,)のとき,に対応する1-パラメータ部分群φA:→GL(n,)をφA(t)≡exp(t)≡1+t+t22/2!+..+tnn/n!+..で定義します。

 

A(t)]-1=φA(-t)により,φA(t)∈l(n,)です。

 

そしてφA(t+s)=φA(t)φA(s),e=φA(0)も成立し,φA(t)は確かにGの1-パラメータ部分群として問題ありません。

 

またの指数写像:exp:Te(G)→Gは,φA(1)=exp()=1+2/2!+..+n/n!+..で与えられます。

さらに,曲線gexp(t)はg∈Gを通る流れであり,d(gexp(t))/dt|t=0A|g=Lg*A=が成立します。

 

曲線gexp(t)は,各tに対して写像σ(t):G→Gをσ(t,g)≡gexp(t)によって定めます。これは右移動としてRexp(t)とも表現されます。

さて,次にはn=dimGとし,nは有限であって{1^,2^,..,n^}をG上のベクトル場Te(G)の基底とします。

 

∀g∈Gに対してμ^|g≡Lg*μ^(μ=1,2,..,n)により,n個の1次独立な左不変ベクトル場{1^,2^,..,n^}を定めます。

 

集合{μ^}μ=1,2,..,nはG全体で定義されるベクトル場Tg(G)の基底となり,標構と呼ばれます。

リー括弧積[μ^,ν^]|gもまたTg(G)の元ですから,基底{μ^}|gの1次結合で表わすことができます。

 

すなわち,[μ^,ν^]=cμνλλ^と展開できます。このときの右辺の係数cμνλをリー群Gの構造定数と呼びます。

構造定数cμνλはg∈Gに依存すると考えられるので,[μ^,ν^]|g=cμνλ(g)λ^|gと表記すれば,[μ^,ν^]|e=cμνλ(e)λ^|eです。

 

この両辺にLg*を作用させるとLg*[μ^,ν^]|e=[Lg*μ^|e,Lg*ν^|e]=[μ^,ν^]|gなる公式によって[μ^,ν^]|g=cμνλ(e)λ^|gが得られます。

 

つまり,cμνλ(g)=cμνλ(e)です。これは構造定数cμνλ(g)がg∈Gに独立な定数であることを意味します。このことはリーの定理として知られています。

というわけで,以下では構造定数はcμνλ(g)ではなく,cμνλとのみ表記します。

 

構造定数は個々の元gに独立で全体のGにのみ依存するので,むしろcμνλ(G)とでも表記すべきものです。ある意味では,これがリー群Gを完全に決定すると考えられます。

そして構造定数cμνλは次の性質を持ちます。

 

(a)歪対称性:cνμλ=-cμνλ,これは[ν^,μ^]=-[μ^,ν^]から明らかです。

 

(b)ヤコービ恒等式:cμνττρλ+cρμττνλ+cνρττμλ=0 ,これは,リー括弧積のヤコービ恒等式[[μ^,ν^],ρ^]+[[ν^,ρ^],μ^]+[[ρ^,μ^],ν^]=0 を構造定数で表わしたものになっています。

次に{μ^}μ=1,2,..,nの双対基底,つまり左不変1-形式Tg*(G)の基底であって,<θμ,ν^>=θμ(ν^)=δμνを満たすものを{θμ}μ=1,2,..,nと表わすことにします。

これは,以前の記事で,df(^)=^[f]∈が内積の意味を持つため,これを<df,^>と表記したのと同じ意味です。

 

このときには,基底として{∂/∂xν}を取り,その双対基底が{e}={dxμ}で与えられることを見ました。

 

そして基底の正規直交性を<dxμ,∂/∂xν>=dxμ(∂/∂xν)=δμνと表現しました。そして,任意のベクトル:^=Xμμ=Xμ(∂/∂xμ)∈Tp(M)と,1-形式:ω=ωμ* μ=ωμdxμ∈Tp* (M)について<ω,^>=ωμμとなり,これが基底の選択に依らないことを見ました。

さて,<θμ,ν^>=δμνを満たす双対基底{θμ}はマウレ-・カルタン(Maurer-Cartan)の構造方程式と呼ばれる公式:dθμ=(-1/2)cνλμθν∧θλを満たします。

 

これも,以前に微分形式について述べたとき求めた公式:dω(^,^)=^[ω(^)]-^[ω(^)]-ω([^,^])から導かれます。

すなわち,上式のω,^,^として,それぞれθμ,ν^,λ^を代入するとdθμ(ν^,λ^)=ν^[θμ(λ^)]-λ^[θμ(ν^)]-θμ([ν^,λ^])=ν^[δμλ]-λ^[δμν]-θμ(cνλρρ^)=-cνλμとなります。

 

そこで,2-形式dθμを,基底{θν∧θλ}で展開してdθμ=aνλμθν∧θλと書けば,上式からaνλμはaνλμ-aλνμ=-cνλμを満たします。

 

係数aνλμは,普通aνλμ-aλνμ=2aνλμとなるように歪対称に選ぶので,aνλμ=(-1/2)cνλμとなり,それ故,dθμ=(-1/2)cνλμθν∧θλが得られます。

次に,リー代数:Te(G)に値を持つ(1,1)-形式θ:Tg(G)→Te(G)を,^∈Tg(G)に対してθ(^)≡(Lg-1)*^=(Lg*)-1^∈Te(G)で定義します。

 

このθ(^)を,マウレー・カルタン形式,あるいは,標準1-形式と呼びます。

[定理]:(a)マウレー・カルタン形式θは,Te(G)の基底{μ^}と,Tg*(G)の基底{θμ}によってθ=μ^⊗θμと展開される。

 

(b)マウレ-・カルタン形式θは,dθ+[θ∧θ]/2=0 を満たす。ここでdθ≡μ^⊗dθμであり,[θ∧θ]≡[μ^,ν^]⊗(θμ∧θν)である。

(証明)(a)Tg(G)の基底を{μ^}とし,μ^=Lg*μ^とするとθ(μ^)=μ^,かつθμ(ν^)=<θμ,ν^>=δμνです。

 

 そこで,∀^≡Yμμ^∈Tg(G)に対してθ(^)=Yμθ(^)=Yμμ^=θμ(^)μ^=μ^⊗θμ(^)です。

 

 ^は任意のTg(G)の元なので,θ=μ^⊗θμと結論されます。

 

(b) dθ≡μ^⊗dθμ=(-1/2)cνλμμ^⊗(θν∧θλ)=(-1/2)[ν^,λ^]⊗(θν∧θλ)=(-1/2)[θ∧θ]です。それ故,dθ+[θ∧θ]/2=0 を得ます。(証明終わり)

※素粒子論では自発的対称性の破れと関連してマウレー・カルタン形式が現われます。

すなわち,理論が元々は線型リー群Gに属する変換に対して不変であるという対称性を持っていたが,それが自発的に破れて部分群Hについてのみ不変という対称性が残ったとき,

 

"Gのリー代数の基底=Gの生成子"{A}を,対称性が破れていないHの生成子{a}⊂と,破れた生成子{a}⊂に分離します。

このとき現われる(dimG-dimH)個の零質量の南部・ゴールドストン粒子の場:π(x)={πa(x)}は,(右)商空間G/H="(右)同値類:gH={gh∈G|h∈H}を元とする空間"のリー代数の座標となります。

 

G/Hの(右)同値類の代表元をξ(π)=exp(iπ(x)),π(x)=ΣXa∈g-hπa(x)aと書いて,α=ξ-1dξ∈をマウレー・カルタン1-形式と呼びます。※

 さて,さらに群Gの作用を考えます。 

[定義10]:Mを多様体,GをMに作用するリー群とする。GのMへの作用は微分可能写像σ:G×M→Mで,(ⅰ)∀p∈Mに対してσ(e,p)=p(ⅱ)σ(g1,σ(g2,p))=σ(g12,p)を満たすものとする。

σ(g,p)をgpと表わすこともあります。

 

この表わし方では,上の作用規則は(ⅰ)∀p∈Mに対してep=p(ⅱ) g1(g2p)=g12pを満たす,となります。

[定義11]:Mを多様体,GをMに微分可能写像σ:G×M→Mによって作用するリー群とする。

 

(a)作用σが推移的である:とは∀p1,p2∈Mに対してσ(g,p1)=p2を満たすg∈Gが存在することをいう。

 

(b)作用σが自由である:とは如何なる非自明なGの元gもM内に不動点を持たないことをいう。すなわちσ(g,p)=pなるp∈Mが存在するならg=eでなければならないことをいう。

 

(c)作用σが効果的である:とは,単位元e∈GがM上に自明に作用する唯一の元であることをいう。すなわち,∀p∈Mに対してσ(g,p)=pならばg=eでなければならないことをいう。

一般にリー群の左移動L:(ag)→Lag=ag,右移動R:(ag)→Rag=gaはG自身の上で自由,かつ推移的ですね。

 また,点p∈Mが与えられたとき,Gのpへの作用σの下でのpの軌道Gpを,Gp≡{σ(g,p)|g∈G}で定義します。

 

 もしも,GのMへの作用が推移的であれば,軌道GpはM自身です。そしてGのGpへの作用は明らかに推移的です。

[定義12]:Mを多様体,GをMに作用するリー群とする。

 

 点p∈Mが与えられたときpの等方群H(p)とは,H(p)≡{g∈G|σ(g,p)=p}で定義されるGの部分群である。

 

 H(p)はまた,pの小群(little group),あるいは安定化部分群と呼ばれる。

※例えばMを(3+1)次元ミンコフスキー空間3,1,G=SO(3,1)(ローレンツ群)とし,点=pμ=(1,0,0,0)∈3,1に取ると,小群H(p)は時間軸を固定した3次元空間の回転,つまりSO(3)(回転群)に同型です。

 

 そこでH(p)=SO(3)の表現を調べることで,ローレンツ群全体の構造を知ることができます。

 

 つまり量子論における粒子のスピンによる分類におけるスカラー,ベクトル,テンソルetc.の粒子場が(3+1)次元の幾何学量ではなく3次元空間の量であるのは,ローレンツ回転の自由度が"等方群=SO(3)"で尽くされるからです。※

Gをリー群,Hをその任意の部分群とするとき剰余空間G/Hは微分構造を持ち多様体になります。

 

これを等質空間と呼びます。Gを多様対Mに推移的に作用するリー群とし,H(p)を点p∈Mに対する等方群とします。

 

このときの等質空間G/H(p),Mがある種の要請を満たせば,G/H(p)はMに同相になります。

 Gを多様体M上で(g,)→gとして作用するリー群とします。

 

 V^∈Te(G)によって生成される左不変ベクトル場V^は,自然にMにおけるベクトル場を誘導します。

 

 すなわち,Mにおける流れをσ(t,)≡exp(t^)によって定義します。σ(t,)はGの1-パラメータ部分群です。このとき#^|x≡dσ(t,)/dt|t=0を誘導ベクトル場と呼ぶわけです。

  

 つまり,点σ(t,)∈Mを陽に座標表示でσμ(t,)と書くとき,#^|x={dσμ(t,) /dt|t=0}(∂/∂xμ)|x^(∂/∂xμ)|xが誘導ベクトル場です。

 

 (M)を多様体M上のベクトル場全体の集合とするとき,^→#^は#:Te(G)→(M)なる1つの写像を定義します。

 さて,リー群GはG自身には特別な仕方で作用します。

[定義13]:Gをリー群とする。∀a∈Gに対して準同型ada:G→Gをadag≡aga-1で定義する。一般に準同型を表現と呼ぶが,特にada:G→Gを随伴表現と呼ぶ。

 さて,adae=eですから,ada:G→Gの誘導写像ada*:Tg(G)→Tadag(G)のg=eへの制限,ada*|Te(G)をAdaと書くと,これはTe(G)のTe(G)自身への写像となります。

 

 そしてTe(G)をGのリー代数と同一視して,AdaをG×からへの写像と見るとき,この写像Adaを随伴写像と呼びます。

 Gが行列群であれば,随伴表現は単に行列演算になります。

 

 g∈G,vとしσv(t)=exp(t)を∈Te(G)で生成される1-パラメータ部分群とすると,adgσv(t)=gexp(t)g-1=exp(tg-1)(=行列σv(t)の共役)です。したがって,誘導ベクトル場もの共役であり,Adg=g-1を得ます。

今日はこれで終わります。

 

(相対論の幾何学第Ⅱ部終わり)

参考文献:中原幹夫 著「理論物理学のための幾何学とトポロジー」(ピアソン・エデュケーション),九後太一郎 著「ゲージ場の量子論Ⅱ」(培風館) ,大貫義郎 著「ポアンカレ群と波動方程式」(岩波書店)

 

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コメント

Lie環(Lie代数)を満たす条件として、
[x,y]=-[y,x]
[[x,y],z]+[[y,z],x]+[[z,x],y]=0
がありますが、フェルミオン/グラスマン数の性質を用いた次の反交換関係(G奇)
{A,B}=AB+BA=0
の{}はLie環を成すのでしょうか?
[]の代わりを{}がつとまればLie環とみなせるでいいでしょうか?

投稿: 多様体勉強中 | 2013年3月21日 (木) 01時20分

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