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2009年1月 6日 (火)

超弦理論(10)(開弦とチャン・パトン因子)

新しい年になりましたが,久しぶりに,超弦理論の続きです。

 これまでの細かい話は特に明示していませんでしたが,主として幾つかの外粒子頂点を持つ球のような閉弦に基づく描像の話題に終始していました。同じような考え方が開弦に対してはどのように適用できるかを論じてみます。

 閉弦の作るグラフは,円と同相で外粒子閉弦を意味する閉曲線が作る世界面軌跡の円筒から成る幾つかの頂点を持ち,トポロジー的には穴 or 種数(genus)の無い球や穴が1つのトーラス,穴が2つ,..などと同相な本体を持つ立体を意味していました。

  

 一方,開弦の作るグラフは直線分と同相な外粒子開弦を意味する曲線分が作る世界面軌跡のテープ様曲面から成る幾つかの頂点を持つ面領域という描像,言い換えるとそれら外粒子の世界面テープがその一端で円や矩形などの面領域と連結して本体(円や矩形の面領域)を共有する,という描像になります。

 こうした開弦の世界面グラフは幾つかの"外粒子開弦のテープの端=頂点"を共通な面領域の境界の閉円周上の点に抽象した平円板や,無限直線の下境界上の点に抽象した上半平面に写像されます。

 こうした定式化では,外粒子開弦は世界面の境界にのみ挿入されているため,これはV=∫dτ[hττ1/2U(τ)]の形の頂点演算子の挿入によって記述されるはずです。

 

 ただし,ここでのτは単に世界面の境界上の1つのパラメータを示しているだけです。

 

 そして,hττ→ (expφ)hττなる計量の共形的再縮尺の下での演算子Vの不変性は,この開弦の場合にはU=U(τ)の次元が1であるべきことを要求します。

 そこで,以前閉弦に対してしたのと同様,Wを=Xμとその微分の多項式としたU≡Wexp(-ikX)なるUの形を仮定します。

 外粒子がスピンがゼロの粒子であれば,それはスカラーなのでW=1と採ることができます。

 

 そして,これも既に示したことですがexp(-ikX)の異常次元が-k2/2で与えられることを思い起こすと,Uの次元が1であるべきという条件はk2=-2なることを要求します。

 

 すなわち,この場合も最低レベルのスカラー粒子はタキオンであってその平方質量はm2=-2<0 で与えられます。

また,スピンが1の粒子であれば,これはベクトル粒子であることを意味するので,W=dXμ/dτなる形を仮定すると,この因子Wが次元1を荷うため,Uの次元が1であるべきという条件はm2=k2=0 を要求します。

 

そして,こうしたスピンが1,かつ質量がゼロのモードは例えば光子に対応します。Wの他の選択は正質量の粒子に対応します。

そして開弦の散乱振幅の評価は前の閉弦に対する解析と同様です。

すなわち,閉弦ではM点グリーン関数はA(Λ1,12,2;..;ΛM,M)=κM-2∫D(x,y)exp[{1/(2π)}∫d2x(∂αμβμ)]{Πi=1MΛi(i)}=κM-2<Πi=1MΛi(i)>で与えられることを見ました。

外粒子が全てタキオンである場合には,この式での頂点演算子VΛ()としてz=x+iy or z=τ+iσなる複素表現でV0≡∫d2zexp{-ikX(z)}を代入すれば,タキオンM点振幅はA=κM-2Πi=1M∫d2i<exp{-ii(zi)}>となり,結局A(1,2,..,M)=κM-2∫Πi=1M2iΠi<j|zi-zj|-kikj/2なる評価式になることもわかりました。

これら閉弦定式化の開弦でのアナロジーを考えて,結合定数をκでなくgと書くと,開弦タキオンのM点振幅はA(1,2,..,M)=gM-2∫dx1dx2..dxM<Πi=1Mexp{-ii(xi)}>と表わせます。

先の閉弦での頂点演算子が複素数zによるV0≡∫d2exp{-ikX(z)}なる表現式であったのに対し,今回の開弦での頂点演算子はV0≡∫dxexp{-ikX(x)}となります。

閉弦での同じ形の被積分関数とは異なり,弦の時空座標=Xμを指定するパラメータが1変数xだけなのは,外粒子頂点の存在する多様体の境界が開弦では1変数で指定される曲線であるからです。

 

つまり,先述したように頂点演算子の一般形はV=∫dτ[hττ1/2U(τ)]のように1つのパラメータτだけの関数形であるからです。

閉弦のときと同様,上の表現で世界面となる上半平面への共形的写像は完全に一意に決まるわけではなく,ある修正が要求されます。

 

すなわち,座標変換の下で形を不変に保つ対称性変換の群がまだ残っていて,それは上半平面からそれ自身への共形写像で構成されます。

既に,閉弦の解析においてパラメータをz=x+iyとすれば変換z→z+δz=z+ε(z)においてε(z)が無限遠点z=∞ に極を持たないという要求から,無限小の共形写像がa,b,cを任意の無限小の複素パラメータとしてδz=a+bz+cz2になる形に限定されることを見ました。

さらに,この変換は成分が第1行(1+b/2,a),第2行(-c, 1-b/2)で行列式が1,つまりA∈SL(2,)であるような2×2行列Aによる"zの1次分数変換=メビウス変換(Möbius)"と同一視できることも見ました。

今の開弦の場合には,同じ共形写像が上半平面をそれ自身に写す,あるいは実軸を実軸に写すことを要求されるので,上の無限小定数パラメータa,b,cは全て実数でなければなりません。

 

そこで,この変換と同等なメビウス変換を与える行列式が1の行列Aは,成分が全て実数の実行列である必要があるため開弦ではこの対称性変換に同型な変換を生成する変換群はSL(2,)ではなくSL(2,)になります。

さて,上で論じた残りのゲージ不変性を除去固定する前に,A(1,2,..,M)=gM-2∫dx1dx2..dxM<Πi=1Mexp{-ii(xi)}>のxiにわたる積分での適切な積分領域とは何かについて考察します。

閉弦では基礎となる再パラメータ化不変性は弦の世界面上に外粒子の世界面が挿入さるべき場所についてどんな自然な制限を置くことも許しませんでした。

しかし,開弦では事態は異なっています。M個の外粒子開弦を持つ開いたグラフではこれらM個の外粒子はある順序,例えば1,2,3,..,Mで現われます。

 

世界面の回転はこれらの順序:1,2,3,..,Mを,例えば2,3,..,M,1に変えることができます。

 

しかし,如何なる再パラメータ化も1,2,3,..,Mを,例えば 2,1,3,..,Mに変えることはできません。

 

それ故,逆に外粒子開弦が現われる巡回的な順序は再パラメータ化の下で不変な1つの対称性となっています。

そこで,振幅A(1,2,..,M)=gM-2∫dx1dx2..dxM<Πj=1Mexp{-ii(xi)}>を右辺でのxiにわたる積分が与えられた巡回的な順序に対応するxiの値にわたって実行される際のみの振幅として再定義することが意味をなします。

この可能性は,ある非常に重要な物理学と関係しています。

 

閉弦とは異なる開弦だけに特別な点は端点があることです。開弦はその端点でクォーク荷を運ぶと仮定できます。例えば向き付けされた開弦は一端にクォークを持ち,他端には反クォークを持つと仮定できます。

そして我々はこうしたクォークと反クォークのみに作用し,他の自由度の何物とも作用しないU(n)対称性群を導入し,クォークと反クォークがそれぞれU(n)のn表現とn*表現で変換すると仮定します。

 

そして開弦同士が結合して1つの弦曲線が作られたとき,その両端で"クォーク荷=チャージ"がマッチすること,つまり弦のクォーク-反クォーク対をなすクォークの種類が一致することが要求されます。

そして,n表現とn*表現のテンソル積:n⊗n* 表現はU(n)の随伴表現です。それ故,U(n)は生成子λを与えることで特徴付けられます。具体的にはλは添字i,jが,それぞれクォーク,反クォークのU(n)状態に対応する成分がλijのn×n行列です。

もしもM個の外粒子開弦が巡回的順序1,2,3,..,Mで円板に付いているなら,"クォーク荷=チャージ"がマッチするべきという規則は外粒子開弦の反クォーク添字がその次のクォーク添字と縮約さるべきことを意味します。

 

それ故,一般の平面様の開弦振幅は群論因子としてtr(λ1λ2..λM)=(λ1)i1i22) i2i3..(λM)iMi1を持ちます。(※縮約に際してはアインシュタインの規約をデフォルトとしています。)

より一般には,境界が1成分以上を有する任意の弦の世界面を想定することができます。

 

そして各境界成分に対して群論因子tr(λ1λ2..λM)を含めます。そして,行列の積はその境界面上に挿入されたあらゆる開弦にわたって取るものとします。

この群論因子tr(λ1λ2..λM)はチャン・パトン因子(Chan-Paton's factor)という名で知られています。

 

この因子のアナロジーは閉弦には存在しません。もっとも閉弦では後述するように内部対称性群はより巧妙な仕方で生じます。

今日は,まだ正月ボケみたいなのでここまでにします。

参考文献:M.B.Green,J.H.Schwarz,& E.Witten著「superstring theory」(Cambridge University Press)

 

PS:前田愛のおめでたいニュースは少しショックでした。

 

 私は歳甲斐もなく10年くらい前だったか,彼女が一時休業してカナダ留学する前に柴田恭平と風吹ジュンの別かれた夫婦の娘役で出ていた頃からの大ファンで,女房が上役とかのあまり面白くもない刑事ドラマを見たのも前田愛が出演していたからでした。

  

 母親役の風吹ジュンのファンである方が年相応なのでしょうが。。

 

(よく考えたら相手の父親が子役で,中村勘九郎としてデビューした頃可愛かったのを覚えてるくらいですからねえ。。)

 

 しかし糖尿病で両足首が紫色になって触ると冷たく,ほとんど感覚がないくらいですが,一応歩けるし時々はかゆいので足はまだ生きてるんだろうなあと思います。

 

 身体は生きているにしても今年いっぱい足が持つかどうか。。

 

 手術で両足を切断して車椅子生活になるとしても盲目になったり透析したりするよりは,まだましでしょうけど部屋はバリアフリーじゃないし面倒くさいなあ。。

 

 心臓手術も料金が高いからと,一応断ったくらいですからネェ。。。

 

 たとえ命が助かっても最低限の精神生活もできないくらいな経済状態だったら命が無いのと大差無いですからね。。

 

 まあ,ちょっと意味が違うのでしょうけれど,未成年でタクシー運転手などの連続射殺魔として逮捕され死刑を宣告された後に実際に刑死した永山則夫氏が書いておられたか述べておられたらしいこと:

 

 被害者には気の毒だが「殺人という罪を犯したおかげで短いながらも,牛馬のような生活とは違う,ある意味では人間らしい精神生活を送ることができた。」というのとも通じるのでしょうか。。。

 

 キルケゴールもゲバラも確か39歳で夭折したから,学生時代友人達と誰が40歳まで生きるかという馬鹿な賭けをしたけど,恐らく全員まだ生きてるでしょう。。

 

 結局は夭折するほどの逸材でもないのに勘違いしてただけでした。。

 

 (ちょっと調べたらキルケゴールについては5年くらい勘違いしてましたね。)

 

 ああ,でも友達の中でT大でプラズマ物理の研究やってて最期はオカシクなって,結局大宮だったかのアパートで変死体で見つかった四国出身のT永君だけは丁度30歳くらいで死んだけれど,彼はこの賭けをしたメンバーでは無かったですね。。

 

 夜中の2時頃に年末に買って正月には読もうと思っていて実際読みかけになっていた東野圭吾氏の小説「秘密」を読み終えました。

 

 プロットは面白かったです。やはり最後に題名を意味するようなドンデンがありました。

 

 また,「罪を憎んで。。。」みたいなところもありました。

 

 東野さんって,醒めているのか優しいのかのどっちかでしょうね。。

 

 なんか内容抜きのSF的プロットだけなら,ちょっと大林監督の映画「転校生」を思い出しました。

 

 当時はヒロインの「猫が好き」にも出ていた小林聡美のファンでもあったので見たのですが。。。我ながら気が多いですね。。

 

 (中身が女房でも外見が実の娘ならセックスは無理だろうなあ。。)

 

 しかし東野氏以外の著者のものも読んではいますが,最近一気に読み終えるということが少なくなりましたね。

 

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