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2009年1月 7日 (水)

運動物質内の相対論(13)(物質中の電磁エネルギー運動量:前編)

さて,いよいよAbraham,およびMinkowskiの表現に代表される"物質中の電磁エネルギー運動量テンソル"という本題について私なりの決着を付ける準備ができました。

実は,こうしたことのきっかけとなったのは,昨年2008年9月の2つの連休の谷間に,こうした問題に決着を付けられる可能性のある論文を読んだことでした。

 

そして,これを基に「物質中の電磁エネルギー運動量テンソル」という題名の記事を書きかけていました。

 

しかし,論文内のある式を説明しようとしたとき,自分自身が混乱して矛盾を解消できず,仕方なくまた基礎からやり直そうと思ったのでした。

 

結局,この記事シリーズの(12)まで3~4か月もかかりました。

 

どうしても解決できず行き詰ったときは,原点回帰するのが一番ですね。

時間的にも余裕があることが前提ですが。。。

そこで,まず9月下旬に書いた未完の記事「物質中の電磁エネルギー運動量テンソル」の原稿から掲載します。

2008年6/15の記事「電磁気学と相対論(8)(物質中の電磁気学2)」においては,物質中の電磁場の電磁エネルギー運動量テンソルにはMinkowskiの表現式(1908年)とAbrahamの表現式(1909,1910年)があることを述べ,そこではMinkowskiの表現式の方にやや利点があるというように書きました。

すなわち,運動する物質中の電磁場に対して2つの2階反対称反変テンソルFμν,Hμνを導入しました。

 

それによって,電場,磁束密度,電束密度,磁場の強さを,

E=(E1,E2,E3)≡-c(F01,F02,F03),B=(B1,B2,B3)

≡-(F23,F31,F12),D=(D1,D2,D3)≡-c-1(H01,H02,H03),

H=(H1,H2,H3)≡-(H23,H31,H12)で定義しました。

そして,ρを物質の電荷密度,Uμを運動物質の4元速度

μ≡(c/(1-2/c2)1/2,/(1-2/c2)1/2)として,4元電流密度を

μ≡(cρ,)=ρ0μ+sμ=(cρ,ρ),sμ=(s0,)

=Jμ-(Jλλ)Uμ/c2=(0,-ρ) とします。

 

こうすれば,任意の座標系における電磁力学の基本方程式は,

∂Fμν/∂xλ+∂Fνλ/∂xμ+∂Fλμ/∂xν=0 ,

∂Hμν/∂xν=-Jμと表現されます。

さらに,Fμν,Hμνから4元ベクトルFμ≡Fμνν

=((Eu)/{c(1-2/c2)1/2},(×)/(1-2/c2)1/2),

 

および,μ≡Hμνν/c2

=((Du)/{c2(1-2/c2)1/2},{+(×)/c2}/(1-2/c2)1/2)

を作ります。

 

また,Fμν,Hμνに双対な擬テンソルF*μν≡(1/2)εμνλσλσ,

*μν≡(1/2)εμνλσλσ)を構成します。

 

そして,4元擬ベクトルF≡-F*μνν/c

=((Bu)/{c(1-2/c2)1/2},{-(×)/c2}/(1-2/c2)1/2)

=(()/{c(1-2/c2)1/2},/(1-2/c2)1/2),

 

および,K≡-H*μνν/c

=((Hu)/{c(1-2/c2)1/2},{-(×)/c2}/(1-2/c2)1/2)

を作ります。

特に,0 の静止系S0では,F=(0,0),K=(0,0),

*0μ=(0,0),K*0μ=(0,0)です。

 

これら4元ベクトルFμ,Kμ,F,Kを,S系のMinkowskiの

4元力の表現:FMμ≡((M)/c,M)

=({(Fu)/c}/(1-2/c2)1/2,/(1-2/c2)1/2)

と比較します。

 

すると,×,および+(×)/c2は,それぞれ,

単位量の試験電荷に作用する"canal field",および

"gap field"の電気力,

 

×,および-(×)/c2は,それぞれ,

単位磁極の試験磁荷に作用する"canals field",および

"gap field"の磁気力であることがわかります。

そしてS系での量×,+(×)/c2,

×,-(×)/c2のS0系(0)での表現:

0,0,0,0に対しては,等方性媒質の場合,εを誘電率,μを透磁率

と呼ばれる比例定数として0=ε0,0=μ0と書けます。

  

このことから,=ε,=μ,あるいはKμ=εFμ,

=μKが成立し,試験体に作用する"canal field"の力と

"gap field"の力が互いに比例するという表式が得られます。

これらの式はまた,Hμνν/c2=εFμνν,

*μνν/c=μH*μνν/cとも書けます。

 

そして後者:F*μνν/c=μH*μνν/cは,

μνλ+Fνλμ+Fλμν=μ(Hμνλ+Hνλμ+Hλμν)なる等式と同等であることを示すこともできます。

さらに,σを電気伝導度とすると,S0系でのOhmの法則は,0=σ0で与えられます。

 

そこで,sμ=(s0,)=Jμ-(Jλλ)Uμ/c2=(0,-ρ)の

0系での形は,s=(0,0)=(0,σ0)=σFと書けます。

 

それ故,S系ではsμ=σFμより,Jμ-(Jλλ)Uμ/c2=σFμなる形で,Ohmの法則のテンソル表現が得られます。

結局,電流密度Jμが与えられている場合の電磁力学の基本方程式の閉じた形式は,∂Fμν/∂xλ+∂Fνλ/∂xμ+∂Fλμ/∂xν=0 ,

∂Hμν/∂xν=-Jμと,

 

μνν/c2=εFμνν,

μνλ+Fνλμ+Fλμν

=μ(Hμνλ+Hνλμ+Hλμν),

μ-(Jλλ)Uμ/c2=σFμ

 

の組で与えられます。

 

原理的には,これらから物質内の場を決定できるはずです。

ここで,物質と真空の境界で場の量が満足すべき境界条件は,については方程式 rot+d/dt=0,rot+d/dt=-ρ

=sを,物質の境界面のすぐ内側と外側に相対する2辺を持つ小さな長方形が囲む無限小面内で積分することから得られます。

 

これは,,あるいはの境界面に平行な成分が連続であるべきという条件になります。

一方,については,方程式 div=0,div=ρを積分することにより,の垂直成分:Bnは境界で連続であるべきで,の垂直成分:Dnは物質外部から内部に向かって境界表面の電荷密度分ΔDnだけ不連続に変化してDn+ΔDnなるべきという条件が得られます。

ただし,定義×,+(×)/c2,

×,-(×)/c2における

"境界の外=真空領域"でも物質の速度に等しいとしています。

先に2008年5/30の記事電磁気学と相対論(6)(真空中の電磁気学5)」では,μをLorentzの電子論における電流密度とすると真空中での電磁気力の4元力密度fμがfμ=ρ0μνν=Fμννなる表式で与えられることを見ました。

4元力がこの形に書けることは,静電荷(=0)に作用する力の密度がρ00であるという電場の定義から明らかです。

しかしε≠ε0,μ≠μ0の一般の物質内で作用する力の密度を一意的に表現するのは容易ではありません。このような力の定義の曖昧さは当然ながら,エネルギー運動量テンソルの曖昧さを呼び起こします。

ともあれ,ここではまず電子論での話にならってfμ=Fμννにおいて携帯電流ρのみで書かれた4元電流密度sμをρに伝導電流(を加えた物質における全4元電流密度Jμで置き換えた4元ベクトル量Fμννを取り上げて考えてみます。

場の方程式:∂Fμν/∂xλ+∂Fνλ/∂xμ+∂Fλμ/∂xν=0 ,

∂Hμν/∂xν=-Jμによって,Fμνν=-Fμν(∂Hνλ/∂xλ)

=-∂(Fμννλ)/∂xλ+(∂Fμν/∂xλ)Hνλ

  

=∂(Fμνλν)/∂xλ+(1/2)(∂Fμν/∂xλ

+∂Fλμ/∂xν)νλ

=∂(Fμνλν)/∂xλ-(1/2)(∂Fνλ/∂xμ)Hνλ

=∂(Fμνλν)/∂xλ-(1/4)∂(Fνλνλ)/∂xμ

-(1/4){(∂Fνλ/∂xμ)Hνλ-Fνλ(∂Hνλ/∂xμ)}

 

が得られます。

したがって,Fμνν(1/4){Fσλ(∂Hσλ/∂xμ)

-(∂Fλσ/∂xμ)Hσλ}=-∂Sμν/∂xν

が成立します。

 

μν≡-ηνσμλσλ+(1/4)Fλσλσημνです。

このテンソルSμνの空間成分;ij≡-tijを,E=(E1,E2,E3)

-c(F01,F02,F03),B=(B1,B2,B3)-(F23,F31,F12),

およびD=(D1,D2,D3)-c-1(H01,H02,H03),H=(H1,H2,H3)

-(H23,H31,H12)を用いて表わすと,

 

ij=Eij+Hij-(1/2)(EDHBijとになります。

それ故,Sμνの空間成分Sijにマイナス符号をつけたtijは静止系S0では物体におけるMaxwellの応力テンソルに一致します。

さらに,/c≡(S01,S01,S03)と定義すれば,×はPoyntingベクトルになっています。

 

また,h≡S00とするとh=(1/2)(EDHB)となります。

 

すなわち,静止系S0ではおよびhはそれぞれ定常運動している物体の電磁エネルギー流,および電磁エネルギー密度に一致します。

また,c≡(S10,S20,S30)で与えられる3次元ベクトルをとすると×となり,真空中の理論からのアナロジーで,これは電磁運動量密度を示していると思われます。

これらのことから,Fμνν-(1/4){Fσλ(∂Hσλ/∂xμ)

-(∂Fλσ/∂xμ)Hσλ}=-∂Sμν/∂xνの左辺が,この際の電磁的な4元力密度fμであって,Sμνが電磁エネルギー運動量テンソルを表わしていると暗示されます。

 

この結果,,h,は静止系S0だけでなく,任意の座標系Sにおいても電磁エネルギー流,電磁エネルギー密度,電磁運動量密度に相当するとして扱えると考えられます。

,h,を上述のように表現することは,Minkowskiに始まりますが,

ε=ε0,μ=μ0のときには,いずれも電子論における表現形式に

帰着します。

ところで,一般物質から成る対象帯電物体が均質かつ等方的であれば,

μνν-(1/4){Fσλ(∂Hσλ/∂xμ)-(∂Fλσ/∂xμ)Hσλ}

=-∂Sμν/∂xνの左辺第2項はゼロになることを示せます。

すなわち,(1/4){F0σλ(∂H0σλ/∂x0μ)-(∂F0λσ/∂x0μ)H0σλ}

=(1/2)[0(∂0/∂x0μ)-0(∂0/∂x0μ)-(∂0/∂x0μ)0

+(∂0/∂x0μ)0]=-(1/2)[|0|2(∂μ/∂x0μ)

+|0|2(∂ε/∂x0μ)]となりますが,

 

0系でεとμが定数なら,最右辺はゼロです。

 

この式は座標系によらない表現なので,任意の系Sでもゼロであるというわけです。

こうして,均質かつ等方的な物体内部ではfμ=Fμννとなりますが,

μ=(cρ,)よりfμ=((EJ)/c,ρ+(×)) を得ます。

 

つまり,=ρ+(×)=ρ[+(×)]+(×),

0=(EJ)/c={)}/c=(ρEC)/c

=(fu)/cとなります。

すなわち,cf0fuですが,これは静止S0系(=0)では,

物体中の単位体積中で単位時間に発生する熱量=Joule熱を表わしたもの

0~00と一致しています。

 

一方,fuはどんな座標系でも力学的仕事を示すので,fμが相対論的力学において定式化された4元力密度の一般的な表現形式:

μ=((fu+q)/c,)(qは単位時間当りに系が自身の運動で放出する非力学的エネルギー)と合致するためには,先の式の項がこのプロセスで発生する熱量率qを示している,と考える必要があります。

実際,系の力学的エネルギーをEmとすると,cf0=dEm/dt

=(エネルギーの増加率)ですから,これは力学系が受け取るエネルギー率

そのものです。

そこで,独立な4個の方程式fμ=-∂Sμν/∂xνは通常のエネルギー運動量の保存法則を示しています。

 

そしてfμ=Fμνν=((EJ)/c,ρ+(×))から,

μμ=Uμμνν=U0μ0μν0ν=(00)0=不変量

が得られます。

0は静止系での力学的効果以外の効果を示しており,もちろんスカラーですが,fμ=((fu+q)/c,),

μ=(c/(1-2/c2)1/2,/(1-2/c2)1/2)から得られる

μμの表式において,0 とおけばわかるように,

 

0=q/(1-2/c2)1/2,あるいはq=q0(1-2/c2)1/2

が成立します。

一方,先に同じく2008年5/30の記事「電磁気学と相対論(6)(真空中の電磁気学5)」で述べたように,

 

μを対象とする帯電物体の"密度(静止質量密度)としμ0 を物質の不変質量密度(静止系での物質密度)とすれば,μ=μ0/(1-2/c2)1/2と書けるので,

 

この物体の微小体積をΔVとしたとき,従うべき運動方程式は

d(μ0ΔV0μ)/dτ=fμΔV0となります。

 

そして,この方程式が∂(μ0μν)/∂xν=fμなる式と等価であることも示しました。

そこで,この両辺にUμを掛けてμで縮約すると,Uμμ=c2,,

かつUμ(dUμ/dτ)=0 であってfμμ=q0なので,

∂(μ0ν)/∂xν=q0/c2,

 

つまり∂μ/∂t+div(μ)=q0/c2なる質量保存の連続方程式

が得られます。

連続方程式の右辺は質量の湧き出しですから,この式は正に非力学的エネルギーq0,今の場合は"q0=(00)(~0,C0)=(Joule熱)"を受け取ることによって,物質の固有質量がq0/c2だけ増加するのを意味しています。

 

つまり,電磁場の話は質量とエネルギーについてのEinsteinの一般定理:

(E=mc2)の典型例の1つを示していると考えられます。

Minkowskiの電磁エネルギー運動量テンソル:

μν=-ηνσμλσλ(1/4)Fλσλνημνは,

電子論の場合のそれと同じくtraceless(対角和がゼロ)という性質:

μμ=-Fμλμλ+(1/4)4Fλσλσ=0

を確かに満たしています。

 

しかし,Fμλνλ≠Fνλμλなので,Sμν≠Sνμとなり

μνは対称テンソルではありません。

μνの空間部分:Sij=-tij

=-Eij-Hij(1/2)(EDHBijは,

等方性物体なら静止系S0では0=ε0,0=μ0なので

対称テンソルですが,

 

時間と空間の混合成分は静止系でもSi0-S0i=c(gi-Si/c2)

=c(εμ-ε0μ0)(0×0)≠0 となって

確かに対称ではありません。

 

したがって,一般に等方性物体でもS0系以外ではSij≠Sjiであって

空間成分も非対称です。

こうしたMinkowskiのエネルギー運動量テンソルの非対称性については,

長い間文献上で議論が続けられ,この非対称性の中にMinkowski理論の真の難点が現われているという感がありました。

そこで,Abrahamは対称性を持つ電磁エネルギー運動量テンソルの表現形式を作ってみました。

  

彼の電磁エネルギー運動量テンソルの表現:SAμνはとにかく静止系S0

等方性物体の場合には,

 

Aij=-tAij=-Eij-Hij+(1/2)(EDHBij,

×=c(SA01,SA01,SA03),h=(1/2)(EDHB)=SA00

 

となるように作られています。

しかし,電磁運動量密度については,Minkowskiが自身のテンソルSμνから≡(S10,S20,S30)=×としてこれを与えたのに対し,

 

Abrahamはあくまでもテンソルの対称性が保たれるように,静止系S0

=(×)/c2/c2の形をとるものと仮定しました。

AbrahamのテンソルSAμν,静止系S0では対称ですから,任意の座標系Sでも対称です。

 

しかしS0系以外の任意系Sでの成分はS0系での表現:SAij=-tAij

=-Eij-Hij+(1/2)(EDHBij,

×=c(SA01,SA01,SA03),h=(1/2)(EDHB)=SA00

のような簡単な形にはならず,

 

場を示す変数,,,でSAμνを表わそうとすると,物質速度を示す

が非常に複雑な形で入ってきます。

そして,テンソルSAμνから方程式fAμ=-∂SAμν/∂xνを満たすものとして導かれるAbrahamの4元力密度fAμは,先の表現式:

μ=Fμνν=((EJ)/c,ρ+(×))からのずれも,

きわめて複雑な形になります。

Minkowskiの表現の場合,静止系でもFμννからのずれが,

(1/4){F0σλ(∂H0σλ/∂x0μ)-(∂F0λσ/∂x0μ)H0σλ}

=(1/2)[|0|2(∂μ/∂x0μ)+|0|2(∂ε/∂x0μ)]であり,

これは均質,かつ等方的な物質内ならゼロになります。

 

一方,Abrahamの表現の場合には,静止系では空間成分の力の密度Aが,

A+{(εμ-ε0μ0)/c2}(∂/∂t)と表わせることが

わかっています。

 

これによれば,Abrahamの力の密度AはMinkowskiのそれよりも

{(εμ-ε0μ0)/c2}(∂/∂t)だけ異なります。

 

しかし,この違いを実験的に検証するのは困難らしいです。

そして,ごく最近まで,ほとんどの物理学者はAbrahamの理論を採用する方向に向かっていましたが,これについてはまだ決着が付いていたわけではなく,最近,Tamm(タム)はこの問題の論議を再開して,結局Minkowskiの表現形式の方が正しいという結論を得ています。

  

(最近というのは"参考文献=メラー(Moeler)の著書"が書かれた当時のことですが,現在については調べていません。)

すなわち,ある物体中の電磁場は本質的には閉じた系ではないため,電磁エネルギー運動量テンソルが対称であるべき,という先験的理由(a-prioriな理由)はありません。

 

Abrahamがテンソルが対称であるべきことを主張する主な論拠は,

 

"巨視的理論に現われる諸量は,各々に対応する電子論の諸量を適当な大きさの時空領域で平均して得られるべきで,電子論での微視的なエネルギー運動量テンソルsμνは対称なので,その平均として得られるSμν=<sμν>も対称でなければならない。"

 

というものでした。

しかし,Tammが着目したのは,

 

"巨視的テンソルSμνは,必ずしもsμνの平均<sμν>に一致する必要はなく,むしろSμνが力の密度,および力のモーメント(能率)を正しく与えるように定義すべきである"

 

ということです。

 

つまり,彼は,

 

"fμ=-∂Sμν/∂xν=-<∂sμν/∂xν>,および

αμν=xμν-xνμ+Sμν-Sνμ

=-xμ(∂Sνλ/∂xλ)-xν(∂Sμλ/∂xλ)+Sμν-Sνμ

=-<xμ(∂sνλ/∂xλ)>+<xν(∂sμλ/∂xλ)>

 

の成立を条件とすべきである"

 

と主張しました。

 

それ故,Tammによれば,aμνを∂aμν/∂xν=0 を満たす適切な非対称テンソルとして,Sμν=<sμν>+aμνと書かれるべき,ということがいえるのみです。

そして,これを力のモーメントテンソルの等式:

αμν=-xμ(∂Sνλ/∂xλ)-xν(∂Sμλ/∂xλ)+Sμν-Sνμ

=-<xμ(∂sνλ/∂xλ)>+<xν(∂sμλ/∂xλ)>

に代入すると,

 

-<xμ(∂sνλ/∂xλ)>+<xν(∂sμλ/∂xλ)>

=-<xμ><∂sνλ/∂xλ>+<xν><∂sμλ/∂xλ

が成立するときに限って,Sμνが対称となることがわかります。

 

そして,今の電磁場のテンソルの場合に,こうなる必然性はないということです。

さらに加えて,TammはMinkowskiのテンソル表現が電子論と一致するのに反して,Abrahamの表現はある特別な場合には誤った結果に導くことを示し得ました。

 

また,Dallenbachは電子論からMinkowskiのテンソルを一般的に導く方法を与えました。

と書きました。

 

しかし,こうしたことの実験的検証は不可能で,1908年以来ほぼ100年間論争が続いていると聞いていました。

私は,極楽トンボなのであまり関係ないのですが,世間が連休というので,私も比較的心に余裕があったので,この連休に関連の論文を検索しtて,

 

AustraliaのQueensland州Brisbane(Brisbane Queensland 4072)にあるQueensland大学の研究室の以下の総括的なレビュー論文を見つけて読んでみました。

  

'Robert N.C.Pfeifer,Timo A.Nieminen,Norman R.Heckerbergによる,"Momentum of an electromagnetic wave in dielectric media" Reviews of Modern Physics Vol.79(4),pp1197-1216(2007)' です。

 

このレポート論文によれば,こうした電磁場のエネルギー運動量テンソルの定義の問題については,既に解決済みで明確な結論が出ているということでした。

内容を概観してみると,要するに次のような話でした。

 

電束密度と磁束密度は真空中でも媒質中でも同一なのに対し,

"canal-field"としての電場,磁場は真空中では,0=ε00,0=μ00

を満たし,等方性媒質の静止系S0では,その中で0=ε0,0=μ0

を満たします。

 

そこで,一般に真空中ではvac000,vac000,

媒質中では00/ε,00/μですから,

0=(ε0/ε)vac0,0=(μ0/μ)vac0

となるはずです。

とはいっても,これらは所詮は現象論であって,非分散性の媒質中での分極,あるいは磁化の原因となる誘電体,あるいは磁性体を構成する分子の運動を平均化したものに過ぎません。

真空中では,0×0=ε0μ0(vac0×vac0)=(vac0×vac0)/c2

vac0/c2なので,MInkowskiの定義でもAbrahamの定義でも運動量密度

vac0は一致します。

 

しかし,物質中ではAbrahamの運動量が依然として

A0=(0×0)/c2=ε0μ0(0×0)であるのに対し,

Minkowskiのそれは00×0=εμ(0×0)です。

結局,熱物理学的に閉じた系という意味では,運動媒質中の電磁波は電子論に由来した集団運動の平均値としての真空中の電磁場という意味に取れるAbrahamの電磁場単独では,そのエネルギー運動量テンソルが保存量となり得ません。

 

正しくは,分極や磁化などを巻き込んだ物質場,つまり媒質をなす物質自身の力学的運動に伴なうエネルギー運動量テンソルも加えて総和した総エネルギー運動量テンソルが保存するわけです。

結局,MinkowskiのテンソルもAbrahamのテンソルも,総エネルギー運動量テンソルを電磁場テンソルと物質場テンソルに分割する仕方が違うだけで,

 

電磁場テンソルと見る場合には対等な資格を持つ,

という内容であるようです。

ところで,この問題は,量子論での光子のエネルギーや運動量とも関係ありますね。

 

真空中での1光子の振動数をνとするとhをPlanck定数として,その光子の持つエネルギーはU=hνです。

 

そして,光子の運動量をpとすると光の質量mはゼロなので,相対論の公式U=c(p2+m22)1/2から,U=cp,あるいはp=U/cです。

 

そして,光子が屈折率がnの屈折性媒質に入ったとき,この光子のエネルギーや運動量はどうなるのかという話になります。

古典電磁光学でよく知られていることですが,屈折率がnの媒質中で光が屈折するのは,その媒質中では電磁波の位相速度としての光速が真空中の値cではなくc'=c/nになるからですね。

 

そして,媒質の性質は空間的なものであって,真空から媒質に入ったからといって時間に変化が起きるわけではないので,媒質中で振動数が変わるわけではなく位相速度の変化は波長の変化に起因するものです。

つまり,真空中での光子の振動数をν,波長をλとするとc=νλですが媒質中でc'=c/nになるのは,波長がλからλ'=λ/nに変わるだけで振動数νに変化があるわけではありませんね。

そして,運動量は=hc,k=2π/λで与えられるので,λ→λ/nはp→npを意味し,媒質の中に入ったからといって光子の質量mが発生するわけではないので,U=cpなるエネルギーと運動量の比例関係は同じであるとすると,p→npにつれてU→nUとなるはずです。

しかし,一方光子が媒質中に入ったときにも振動数νは不変で光子のエネルギーはU=hνのまま変わらないのでしょうか?

 

いや,一般に現象論ではU=(1/2)∫(EDHB)dVですからU→nUが満たされています。

一方,運動量は=∫dVですが=ε=ε0,=μ

=μ0であり,Minkowskiでは×=εμ,

Abrahamでは=(×)/c2=ε0μ0です。

 

ただし,はPoyntingベクトルで×ですね。

 

そして,特に電磁波における電場と磁場は直交していて,実場としてこれらを1周期当りの時間平均と見ると,=∫dV=.. (未完)

ということで,いろいろと頭が混乱してきたので,9月の連休後に書いた原稿は途中で終わっていました。

 

それから,しばらくして2008年10/31に始まる「連続物質内の相対論」というシリーズの記事の中で,地道に解決しようと考えたのでした。 

あまりにも長くなったので続きは後編で。。。

 

参考文献:Robert N.C.Pfeifer,Timo A.Nieminen,Norman R.Heckerberg(The University of Queensland Brisbane Queensland 4072 in Australia):"Momentum of an electromagnetic wave in dielectric media" Reviews of Modern Physics Vol.79(4),pp1197-1216(2007)

 

PS:"はしのえみ" お前もかぁ。でも"あやや"はまだまだだろう。。

 

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